説明

画像形成装置

【課題】表示部に表示される表示画像が切り替わるまでの間にユーザにストレスを感じさせない画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数のVRAM24と、VRAM24に展開された出力画像を表示する液晶表示部7と、液晶表示部7を制御するCPU21と、液晶表示部7に表示させる表示画像を選択設定する操作部5と、を備え、少なくとも1つのVRAM24は、表示画像の表示用画像データを雛形として保存可能であり、CPU21は、表示要求された画像の表示用画像データがVRAM24に雛形として保存されているときは、まず液晶表示部7に雛形の表示用画像データに基づいて展開された出力画像を表示させるとともに、雛形を保存するVRAM24以外のVRAM24に表示要求された画像の表示用画像データを展開し、展開が完了すると、当該VRAM24に展開された出力画像を表示するように液晶表示部7の画像表示を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に、表示部に表示させる出力画像を展開する複数のビデオメモリを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部等に表示画像を備える複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、表示画像に各種の設定事項等を表示させるため、表示画像の表示用画像データに基づく出力画像を展開するビデオメモリ(以下「VRAM」と称する。)を備えるものが知られている。
【0003】
しかし、記憶手段から表示画像の画像データを読み出してVRAM上に出力画像を展開するには0.5秒程度の時間がかかる。そして、ユーザが画像表示を求めてボタン操作等を行ってから所望の画像が表示されるまでに時間を要すると、ユーザが次の動作に移行することができず、ストレスを感じるという不都合が生じる。また、ボタン操作が正しく行われたか否かを確認できず、ユーザが不安を感じるとの不都合もある。
【0004】
この点、自動車用ナビゲーションの地図描画方法において、地図データを記憶するためのVRAMを2つ備え、所定領域の地図データを一方のVRAMに記憶させて、ディスプレイ画面に地図をスクロール表示させるとともに、スクロール方向に応じた新たな領域の地図データを他方のVRAMに記憶させ、ディスプレイ画面の表示に対応するVRAMをスクロールに応じて一方のVRAMから他方のVRAMに切り替える構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
これによれば、自動車用ナビゲーションの地図画面のように表示される画像領域が徐々に変化する場合には、ある地図領域の画像を表示させている間に表示されている領域の次の領域の画像データを他のVRAMに記憶させ、出力画像を展開することによって、ユーザは待ち時間なく順次新たな画像を見ることが可能となる。
【特許文献1】特許第2619058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複写機やプリンタ等、画像形成装置の表示部の場合には、画像領域が徐々に変化する自動車用ナビゲーションの地図画面とは異なり、ユーザがボタン操作等を行うことによって速やかに表示部の画面全体が切り替わることが求められている。このため、ボタン操作等によって表示部に表示させる画像が決定してから、できるだけ早くVRAM上に所望の画像の表示用画像データに基づく出力画像を展開することが必要であるが、表示画像の画像データを読み出してVRAMに記憶させ、出力画像を展開するまでには前述の通り時間を要し、ユーザはボタン操作をしてから次の画像に切り替わるまでの間、ストレスを感じるという問題があった。
【0007】
また、次に表示させる画像の表示用画像データを生成しているVRAMの画像生成過程を表示部に表示させることにより、ボタン操作が正しく行われ、次に表示させる画像を展開中であることを明らかにすることも考えられる。しかし、このように画像生成過程を表示部上に表示させると、表示部に表示される画像がちらついて見え難いとの問題がある。
【0008】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、表示画像の画像が切り替わるまでの間にユーザにストレスを感じさせない画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、表示用画像データを出力画像として展開する複数のビデオメモリと、
前記ビデオメモリに展開された出力画像を表示可能な表示部と、
前記表示部に出力画像を出力する前記ビデオメモリを選択的に切り替えて前記表示部の表示を制御する制御手段と、
前記表示部に表示させる表示画像を選択設定する選択設定手段と、
を備え、
少なくとも1つの前記ビデオメモリは、前記表示部に表示された表示画像の表示用画像データを雛形として保存可能であり、
前記制御手段は、前記選択設定手段により選択された表示画像の表示用画像データが前記ビデオメモリに雛形として保存されているときは、まず前記表示部に前記雛形の表示用画像データに基づいて展開された出力画像を表示させるとともに、前記雛形の表示用画像データを保存する前記ビデオメモリ以外のビデオメモリに前記選択設定手段により選択された表示画像の表示用画像データを展開し、当該ビデオメモリに前記表示用画像データに基づく出力画像の展開が完了されると当該展開された出力画像を表示させるように前記表示部の画像表示を切り替えることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記ビデオメモリを少なくとも3つ以上有することを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、表示部と、
表示用画像データを前記表示部に出力される出力画像として展開する第1のビデオメモリ、第2のビデオメモリ及び第3のビデオメモリと、
前記表示部に出力画像を出力するビデオメモリを選択的に切り替えて前記表示部の表示を制御する制御手段と、
前記表示部に表示させる表示画像を選択設定する選択設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記表示部が前記第1のビデオメモリに展開されている出力画像を表示中に、前記選択設定手段により現在前記表示部に表示されている表示画像とは異なる他の表示画像が選択されたときは、前記第1のビデオメモリに展開されている出力画像の雛型の表示用画像データを前記第2のビデオメモリに保存し、前記選択設定手段により選択設定された表示画像の表示用画像データを前記第3のビデオメモリに展開し、前記表示部に出力画像を出力するビデオメモリを前記第3のビデオメモリに切り替えることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記表示部に表示された表示画像が前記雛形の表示用画像データとして前記ビデオメモリに保存すべき保存必要画像か否かを判断し、
前記ビデオメモリは、前記制御手段により前記保存必要画像と判断された画像の表示用画像データを雛形として保存することを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、表示部品点数の多い画像又は使用頻度の高い画像を前記保存必要画像と判断することを特徴としている。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置において、前記ビデオメモリは、前記各保存必要画像について電源投入後に初めて保存された表示用画像データを前記雛形の表示用画像データとして保存するものであることを特徴としている。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、画像データに基づき画像を形成する画像形成手段を有し、
前記表示部は、前記画像形成手段による画像形成条件を設定するための画面を前記出力画像として表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、表示用画像データを雛形として保存可能なので、ユーザが所望の画像を選択すると、まずこの雛形としての表示画像を表示部に表示させることができ、表示部の表示がすぐに所望の画像に切り替わる。これにより、ユーザは表示部を見て次の動作を予測することができ、表示部の画像が実際の画像に切り替わった際に速やかに次の動作を行うことができる。このため、ユーザにストレスを感じさせることなく前記表示部の表示を切り替えることができるとの効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載された発明のように、ビデオメモリを少なくとも3つ以上有することにより、ユーザにストレスを感じさせることなく表示部の画像表示を切り替えることができるとの効果を奏する。
【0018】
請求項3に記載された発明によれば、表示部が第1のビデオメモリに展開されている出力画像を表示中に表示画像が選択されたら、表示中の出力画像の雛型の表示用画像データを第2のビデオメモリに保存し、選択設定手段により選択設定された表示画像の表示用画像データを第3のビデオメモリに展開して表示部に出力画像を出力するビデオメモリを第3のビデオメモリに切り替える。これにより、現在表示中の出力画像を、他の出力画像に切り替えた後に、再度表示させたい場合に、第2のビデオメモリに保存されている雛形を表示させることができ、ユーザにストレスを感じさせることなく表示部の画像表示を切り替えることができるとの効果を奏する。
【0019】
請求項4に記載された発明によれば、表示部に表示された画像が雛形の表示用画像データとしてビデオメモリに保存すべき保存必要画像と判断された画像の表示用画像データを雛形として保存するので、表示用画像データを保存するビデオメモリの数を必要最小限に留めながらユーザにストレスを感じさせることなく前記表示部の表示を切り替えることができることができるとの効果を奏する。
【0020】
請求項5に記載された発明によれば、VRAM上での出力画像の展開に時間を要する表示部品点数の多い画像やユーザの使用頻度の高い画像を保存必要画像としてビデオメモリに保存するので、ビデオメモリを効率よく用いて表示用画像データを保存するビデオメモリの数を必要最小限に留めながら、ユーザにストレスを感じさせることなく前記表示部の画像表示を切り替えることができるとの効果を奏する。
【0021】
請求項6に記載された発明によれば、ビデオメモリは、一旦保存必要画像として保存した表示用画像データを雛形の表示用画像データとして保持するので、同じ画像について保存動作を繰り返す必要がない。そして、ビデオメモリを効率よく用いて表示用画像データを保存するビデオメモリの数を必要最小限に留めながら、ユーザにストレスを感じさせることなく前記表示部の画像表示を切り替えることができるとの効果を奏する。
【0022】
請求項7に記載された発明によれば、画像形成手段による画像形成条件を設定するための画面のように、表示画像の切り替えの頻度が高い場合であっても、ユーザにストレスを感じさせることなく表示部の表示を切り替えることができ、画像形成の生産効率も向上させることができるとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1から図10を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0024】
画像形成装置1は、例えば電子写真方式の複写機である。なお、本発明を適用可能な画像形成装置1は複写機に限定されず、例えば、プリンタ、FAXや、1台の装置が複写機、プリンタ等の各種機能を備える複合機等であってもよい。本実施の形態においては、以下、画像形成装置1として電子写真方式の複写機を適用した場合を例として説明する。
【0025】
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2及び装置本体2にオプション接続される給紙ユニット3、後処理ユニット4等を備えて構成されている。
【0026】
措置本体2の上面には、操作部5及び自動原稿給送装置であるADF(Auto Document Feeder)部6が設けられている。
【0027】
操作部5は、表示部としての液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)7を備えており、液晶表示部7の画像上には、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル(図示せず)が構成されている。このタッチパネルは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として後述する本体制御部20(図2参照)に出力するようになっている。また、液晶表示部7は、本体制御部20から入力される表示信号の指示に従って、例えば画像形成条件等の設定条件の設定画面等の各種操作画面や画像の状態表示、各機能の動作状況、各種処理結果等を画面上に表示可能となっている。なお、表示部は、本実施形態で例示した液晶表示部(LCD)7の他、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやEL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であってもよい。また、操作部5及び液晶表示部7の形状等はここに例示したものに限定されない。
【0028】
操作部5は、前記液晶表示部7の他、図示しない数字ボタンや各種設定、動作モード等を切替える機能ボタン、動作のスタートを指示するためのスタートボタン等の各種操作ボタン8を備えている。操作部5は、これらの操作ボタン8を操作することにより入力された操作信号を本体制御部20から後述する本体制御部20(図2参照)に出力するように構成されている。
【0029】
本実施形態において操作部5のタッチパネル及び操作ボタンは、前記表示部に表示させる表示画像を選択設定する選択設定手段を構成している。
【0030】
次にADF部6は、原稿台9に載置された原稿を1枚ずつ所定位置に自動搬送するようになっている。
【0031】
また、装置本体2の内部であってADF部6の下方に対応する位置には、ADF部6により搬送された原稿の読み取り処理を行うスキャナ10(図2参照)が設けられている。スキャナ10は、プラテンガラスと、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と、光源と(いずれも図示せず)等を備えて構成されている。スキャナ10は、プラテンガラス上に載置された原稿に対して光源から光を走査し、その反射光をCCDにより結像して光電変換することにより原稿の画像を読み取り、画像データを取得する。スキャナ10は、取得した画像データを後述する本体制御部20(図2参照)に出力するようになっている。なお、スキャナ10の構成はここに例示したものに限定されず、原稿の画像を読み取り、画像データを取得することのできるものであれば他の構成でも適用できる。
本実施形態においては、スキャナ10とADF部6とによって画像入力部11(図2参照)が構成されている。
【0032】
また、装置本体2の内部には、プリント処理を行う画像形成手段としての画像形成部12(図2参照)及び記録媒体を収納する給紙トレイを備える給紙部(図示せず)が設けられている。
【0033】
画像形成部12は、電子写真方式の画像形成を行う画像形成手段であり、像担持体である感光体ドラム、感光ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光ドラム表面に露光走査するLD(Laser Diode)、感光ドラムにトナーを付着させる現像部、感光ドラム上に形成されたトナー像を記録用紙に転写する転写部、記録用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等(いずれも図示せず)を備えて構成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、画像形成部12が電子写真方式の画像形成を行うこととしたが、画像形成部12の画像形成方式はこれに限定されるものではなく、インクジェット方式、熱転写方式、ドットインパクト方式等の他の画像形成方式としてもよい。
【0035】
給紙部及び給紙ユニット3には、それぞれ1又は複数の給紙トレイが備えられている。なお、給紙部及び給紙ユニット3に備えられる給紙トレイの数は特に限定しない。給紙部及び給紙ユニット3に備えられる各給紙トレイには、普通紙、裏紙、再生紙、上質紙等の用紙種及びサイズが異なる記録媒体を収容することが可能であり、前記画像形成部12には、画像を形成する記録媒体のサイズや種類に応じて装置本体2の内部に設けられた給紙部及び前記給紙ユニット3から適宜記録媒体が供給されるようになっている。
【0036】
後処理ユニット4は、画像形成された記録媒体にソート処理、パンチ(穴開け)処理、ステープル処理、折り処理(中折り、三つ折り、四つ折り、観音折り、Z折り)等の各種後処理を施す各種の後処理部を備えて構成されており、画像形成後の記録媒体に所望の後処理を施して小冊子の作成や製本を行うことが可能となっている。
【0037】
また、後処理ユニット4には、画像形成後、所定の後処理を施した記録媒体を排出する排紙トレイ14が設けられている。
【0038】
また、画像形成装置1の内部には、所定の搬送経路に沿って給紙ユニット3及び給紙トレイから画像形成部12、画像形成部12から後処理ユニット4の各種後処理部、後処理部から排紙トレイ14に、記録媒体を搬送する複数の搬送ローラ(図示せず)が設けられている。なお、搬送経路はここに例示したものに限定されず、例えば、画像形成後、後処理をせずに排紙トレイ14に排出されるようにしてもよいし、画像形成後又は後処理後に画像形成装置1の内部の中間スタッカ等、排紙トレイ以外の排出先に排出されるようにしてもよい。
【0039】
次に、図2を参照しつつ、本実施形態における画像形成装置1の制御構成について説明する。
【0040】
画像形成装置1の本体制御部20は、制御手段としてのCPU21、記憶部22、RAM(Random Access Memory)23、VRAM(video Random Access Memory:ビデオメモリ)24等を備えて構成されている。
【0041】
記憶部22は、例えば半導体等の不揮発性メモリ等により構成されており、システムプログラムや該システムプログラム上で実行可能な各種の処理プログラム等を記憶するものである。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部22に格納されている。また、RAM23は、入力、若しくは出力データ及びパラメータ等、CPU21がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリのほか、画像の回転処理などを施すために画像データを少なくとも1ページ分格納するページメモリとして機能する。CPU21は、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM23の作業領域に展開し、展開したプログラムに従って各種処理を実行するように画像形成装置1の各部の動作を集中制御するようになっている。
【0042】
また、VRAM24は、操作部5の液晶表示部7への表示内容を一時的に保存するメモリである。このVRAM24で展開された出力画像は、そのまま液晶表示部7に表示される表示画像となり、CPU21がVRAM24のアクティブ、非アクティブを切り替えることにより、アクティブとなっているVRAM24に展開された出力画像に対応する画像が液晶表示部7に表示されるようになっている。図3から図6に示すように、本実施形態においては、本体制御部20は、第1のビデオメモリ、第2のビデオメモリ及び第3のビデオメモリとして、3つのVRAM24a,24b,24cを備えている。なお、本体制御部20に備えられるVRAM24は複数であればよく、その数は特に限定されない。
【0043】
本実施形態において、CPU21は、表示部品点数の多い画像又は使用頻度の高い画像をVRAM24a,24b,24cのいずれかに保存すべき保存必要画像と判断するようになっている。そして、例えば本体制御部20の記憶部22等には、液晶表示部7に表示された画像が雛形の表示用画像データとしてVRAM24a,24b,24cのいずれかに保存すべき保存必要画像か否かをCPU21が判断するための閾値データが格納されている。
【0044】
ここで、表示部品点数の多い画像とは、例えばテキスト文字列の存在する個所を1つの部品とした場合に部品点数が40点以上の画像である。例えば図7に示すようなコピー基本画面として表示される画像は50点ほどの部品で構成されており、表示部品点数の多い画像とされる。また、例えば図8に示すような機械状態を表示する機械状態表示画面として表示される画像のように装置構成図を表示する画像等も構成部品が多くVRAM24の上で出力画像を展開するのに時間を要する画像であるため表示部品点数の多い画像とされる。他方、表示部品点数の少ない画像とは、部品点数が10点以下の画像であり、例えば図9に示す言語切り替え画面として表示される画像のように10点程度の部品で構成されている画像は表示部品点数の少ない画像とされる。
【0045】
また、使用頻度の高い画像とは、例えば操作部5を操作する5人に1人以上が液晶表示部7に表示させる画像である。例えばコピー基本画面等の画像は5人に1人以上が液晶表示部7に表示させる画像であり、使用頻度の高い画像に該当する。なお、例えば、応用機能等に関する画像については操作部5を操作する20人に1人程度が液晶表示部7に表示させる画像である場合に使用頻度の高い画像と判断する等、表示画像の種類によって使用頻度の高い画像と判断する閾値を変えてもよい。
【0046】
例えばユーザが操作部5からコピー基本画面(図7参照)の画像を表示するように入力を行った場合、CPU21は、記憶部22等からコピー基本画面として表示させる画像の画像データを読み出し、VRAM24a,24b,24cのいずれかの上で表示用画像データに基づく出力画像を展開する。例えば、図3に示すようにVRAM24aの上でコピー基本画面の画像の表示用画像データに基づき出力画像が展開された場合には、CPU21がVRAM24aをアクティブとすることによりコピー基本画面の画像が液晶表示部7に表示される。そして、次にユーザが次画面として機械状態表示画面(図8参照)の画像を液晶表示部7に表示するよう操作部5から入力を行った場合には、CPU21は、記憶部22に格納されている閾値を読み出して現在液晶表示部7に表示されているコピー基本画面の表示画像と比較対照することにより当該表示画像が保存必要画像か否かを判断する。そして、当該表示画像が保存必要画像であると判断した場合には、CPU21は当該表示画像の表示用画像データを前記VRAM24a,24b,24cのいずれかにコピーして雛形として保存するとともに、次画面である機械状態表示画面の画像の画像データを記憶部22から読み出して、雛形を保存したVRAM24以外のVRAM24の上で当該表示画像の表示用画像データに基づく出力画像を展開する。例えば、図4に示すように、コピー基本画面の表示画像の雛形を非アクティブなVRAM24cにコピーした場合には、図5に示すように、他のVRAM24bの上で機械状態表示画面の出力画像を展開する。そして、VRAM24bの上で機械状態表示画面の出力画像が展開された場合には、図6に示すようにCPU21がVRAM24bをアクティブに切り替えることにより機械状態表示画面の表示画像が液晶表示部7に表示される。
【0047】
また、本体制御部20にはスキャナ10及びADF部6で構成される画像入力部11から画像データが送られるようになっており、本体制御部20は、送られた画像データを画像処理部25に送り、画像処理部25において圧縮処理等の所定の処理を行った後、記憶部22等に格納するようになっている。そして、本体制御部20は、画像形成部12の画像形成制御部13を制御することにより、画像入力部11から入力され記憶部22に格納されている画像データに基づく画像形成を行う。さらに、本体制御部20は、画像後の記録媒体を後処理ユニット4に送り、後処理ユニット4を動作させることにより、所定の後処理を施すようになっている。
【0048】
次に、本実施の形態における画像形成装置の動作について説明する。
【0049】
画像形成条件等が操作部5から入力されると、入力された情報は本体制御部20に送られる。また、画像入力部11から入力された画像データは本体制御部20を介して画像処理部25に送られ、圧縮処理等の所定の処理が行われた後、記憶部22等に記憶される。画像形成を行う際には、本体制御部20は、記憶部22から画像データを読み出すとともに、画像形成部12の画像形成制御部13を制御して、画像入力部11から入力された画像データに基づく画像形成を行わせる。さらに、本体制御部20は、画像形成後の記録媒体を後処理ユニット4に送り、後処理ユニット4を動作させる。これにより、記録媒体に所定の後処理が施され、その後記録媒体は排出トレイ14に排出される。
【0050】
次に、図10を参照しつつ、本体制御部20のCPU21が操作部5の液晶表示部7にユーザ所望の表示画像を展開する場合の処理について説明する。なお、以下においては、VRAM24a,24bを通常の表示画像切り替え用のVRAM24として使用し、VRAM24cを保存必要画像の雛型を保存するためのVRAM24cとして使用する場合を例として説明する。
【0051】
本実施形態においては、CPU21は、操作部5から液晶表示部7の表示画像変更要求が入力されたか否かを常に判断する(ステップS1)。表示画像変更要求が入力されていない場合(ステップS1;NO)にはステップ1に戻って表示画像変更要求の有無を判断する処理が繰り返される。表示画像変更要求が入力された場合(ステップS1;YES)には、CPU21は、さらに表示が要求されている画像が保存必要画像であるかを判断する(ステップS2)。具体的には、前述したように、例えば記憶部22に記憶されている閾値データを読み出して、表示が要求されている画像が表示部品点数の多い画像であるか、使用頻度の高い画像であるかを判断する。この際、CPU21は、表示部品点数の多い画像であり、かつ使用頻度の高い画像のみを保存必要画像と判断してもよいし、いずれか一方でも閾値を満たしていれば保存必要画像であると判断してもよい。また、例えば使用頻度の高い画像であっても、比較的出力画像の展開が容易な表示部品点数の少ない画像であれば保存必要画像と判断しないようにしてもよい。
【0052】
表示が要求されている画像が保存必要画像であると判断した場合(ステップS2;YES)には、CPU21は、当該画像がVRAM24cに保存されている画像であるかを判断する(ステップS3)。そして、当該画像がVRAM24cに保存されている場合(ステップS3;YES)には、VRAM24cをアクティブに切り替えてVRAM24cに保存されている出力画像を液晶表示部7に表示させる(ステップS4)。他方、画像がVRAM24cに保存されていない場合(ステップS3;NO)には、非アクティブとなっているいずれかのVRAM24(例えばVRAM24a)に表示が要求されている画像の表示用画像データに基づいて出力画像を展開する(ステップS5)。当該画像の出力画像が展開されると、CPU21は当該画像の出力画像を展開したVRAM24aをアクティブに切り替えてVRAM24aに展開された出力画像に対応する画像を液晶表示部7に表示させる(ステップS6)。
【0053】
その後、CPU21は、VRAM24aに展開された出力画像の表示用画像データを非アクティブとなっている保存用のVRAM24cにコピーし、当該表示用画像データを雛型として保存する(ステップS7)。
【0054】
他方、表示が要求されている画像が保存必要画像ではないと判断した場合(ステップS2;NO)には、CPU21は、VRAM24aがアクティブであるか否かを判断する(ステップS8)。VRAM24aがアクティブである場合(ステップS8;YES)には、非アクティブとなっているVRAM24bに表示が要求されている画像の表示用画像データに基づいて出力画像を展開する(ステップS9)。そして当該画像の出力画像が展開されると、CPU21は当該画像の出力画像を展開したVRAM24bをアクティブに切り替えてVRAM24bに展開された出力画像に対応する画像を液晶表示部7に表示させる(ステップS10)。VRAM24aがアクティブでない場合(ステップS8;NO)には、非アクティブとなっているVRAM24aに表示が要求されている画像の表示用画像データに基づいて出力画像を展開する(ステップS11)。そして当該画像の出力画像が展開されると、CPU21は当該画像の出力画像を展開したVRAM24aをアクティブに切り替えてVRAM24aに展開された出力画像に対応する画像を液晶表示部7に表示させる(ステップS12)。
【0055】
なお、ここでは、VRAM24a,24bを通常の表示画像切り替え用のVRAM24として使用し、VRAM24cを保存必要画像の雛型を保存するためのVRAM24cとして使用する場合を例として説明したが、VRAM24の使用例はこれに限定されない。通常の表示画像切り替え用のVRAM24と保存必要画像の雛型を保存するためのVRAM24とを区別せず、その都度、CPU21が非アクティブなVRAM24を判断して要求画像の出力画像の展開や保存必要画像の保存等を行うようにしてもよい。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、複数のVRAM24のうち、VRAM24cに表示用画像データが雛形として保存されており、ユーザが所望の画像を選択すると、まずこの雛形としての表示用画像データに基づく出力画像を液晶表示部7に表示させるので、液晶表示部7の画像表示がすぐに所望の画像に切り替わり、ユーザにストレスを感じさせることなく液晶表示部7の画像表示を切り替えることができる。
【0057】
また、出力画像の展開に時間を要する表示部品点数の多い画像やユーザの使用頻度の高い画像を保存すべき保存必要画像とし、この保存必要画像とされた画像の表示用画像データのみを雛形として保存するので、表示用画像データを保存するVRAM24の数を必要最小限に留めることができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、保存必要画像が表示要求画像として要求されると、当該画像の表示用画像データに基づいて出力画像をVRAM24の上に展開した後、当該最新の画像の表示用画像データを保存用のVRAM24cに保存するようにしたが、保存必要画像の表示用画像データは、画像形成装置1の電源投入後に一旦雛型としてVRAM24cに保存されると、その後は更新せずに、当該画像が表示要求される度に繰返し同じ画像を表示するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態においては、CPU21が保存必要画像と判断した画像についてのみVRAM24に雛型として保存するようにしたが、要求される表示画像の数に比べてVRAM24が十分な数設けられている場合には、表示要求された画像が保存必要画像か否化を判断せずに全ての表示画像について表示用画像データを雛型としてVRAMに保存するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、CPU21が表示要求された画像と閾値データとを比較対照することにより保存必要画像か否かを判断するものとしたが、保存必要画像か否かを判断する手法はここに例示したものに限定されない。例えば、保存必要画像とされる画像の種類を予め設定しておき、これに該当する場合には保存必要画像と判断するようにしてもよい。
【0061】
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態の外観構成を示す模式図である。
【図2】図1の画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における液晶表示部とVRAMとの関係を表す図である。
【図4】本実施形態における液晶表示部とVRAMとの関係を表す図である。
【図5】本実施形態における液晶表示部とVRAMとの関係を表す図である。
【図6】本実施形態における液晶表示部とVRAMとの関係を表す図である。
【図7】保存必要画像の例としてのコピー基本画面を例示した図である。
【図8】保存必要画像の例としての機械状態表示画面を例示した図である。
【図9】保存必要画像でない例としての言語切り替え画面を例示した図である。
【図10】本実施形態に係る画像形成装置により実行される画像表示切り替え処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 給紙ユニット
4 後処理装置
7 液晶表示部
21 CPU
22 記憶部
24 VRAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用画像データを出力画像として展開する複数のビデオメモリと、
前記ビデオメモリに展開された出力画像を表示可能な表示部と、
前記表示部に出力画像を出力する前記ビデオメモリを選択的に切り替えて前記表示部の表示を制御する制御手段と、
前記表示部に表示させる表示画像を選択設定する選択設定手段と、
を備え、
少なくとも1つの前記ビデオメモリは、前記表示部に表示された表示画像の表示用画像データを雛形として保存可能であり、
前記制御手段は、前記選択設定手段により選択された表示画像の表示用画像データが前記ビデオメモリに雛形として保存されているときは、まず前記表示部に前記雛形の表示用画像データに基づいて展開された出力画像を表示させるとともに、前記雛形の表示用画像データを保存する前記ビデオメモリ以外のビデオメモリに前記選択設定手段により選択された表示画像の表示用画像データを展開し、当該ビデオメモリに前記表示用画像データに基づく出力画像の展開が完了されると当該展開された出力画像を表示させるように前記表示部の画像表示を切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ビデオメモリを少なくとも3つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
表示部と、
表示用画像データを前記表示部に出力される出力画像として展開する第1のビデオメモリ、第2のビデオメモリ及び第3のビデオメモリと、
前記表示部に出力画像を出力するビデオメモリを選択的に切り替えて前記表示部の表示を制御する制御手段と、
前記表示部に表示させる表示画像を選択設定する選択設定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記表示部が前記第1のビデオメモリに展開されている出力画像を表示中に、前記選択設定手段により現在前記表示部に表示されている表示画像とは異なる他の表示画像が選択されたときは、前記第1のビデオメモリに展開されている出力画像の雛型の表示用画像データを前記第2のビデオメモリに保存し、前記選択設定手段により選択設定された表示画像の表示用画像データを前記第3のビデオメモリに展開し、前記表示部に出力画像を出力するビデオメモリを前記第3のビデオメモリに切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記表示部に表示された表示画像が前記雛形の表示用画像データとして前記ビデオメモリに保存すべき保存必要画像か否かを判断し、
前記ビデオメモリは、前記制御手段により前記保存必要画像と判断された画像の表示用画像データを雛形として保存することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、表示部品点数の多い画像又は使用頻度の高い画像を前記保存必要画像と判断することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ビデオメモリは、前記各保存必要画像について電源投入後に初めて保存された表示用画像データを前記雛形の表示用画像データとして保存するものであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像データに基づき画像を形成する画像形成手段を有し、
前記表示部は、前記画像形成手段による画像形成条件を設定するための画面を前記出力画像として表示することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−206209(P2007−206209A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22843(P2006−22843)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】