説明

画像形成装置

【課題】特定の画像パターンを形成する必要がなく、トナー消費量を抑えることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】静電潜像を担持する像担持体と、トナーと磁性キャリアから成る現像剤と、現像剤を坦持する現像剤担持体と、前記像担持体上のキャリア付着と白地部へのトナー付着を検知する検知手段を備える画像形成装置において、前記検知手段は像担持体上のキャリア付着及び白地部へのトナー付着を常時監視し、前記キャリア付着又は前記トナー付着が規定量以上になったとき、前記像担持体と前記現像剤担持体間のカブリ取り電位を変化させてキャリア付着やカブリが発生し易い条件を形成し、カブリ取り電位ラチチュードを算出し、該カブリ取り電位ラチチュードの算出結果に基づいて該カブリ取り電位を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関り、詳しくは、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を用いて、電子写真法により静電潜像担持体上の静電潜像を可視化する、いわゆる2成分現像方式を利用した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機等の画像形成装置では、感光ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像をトナーを付着させて可視像化する。このような現像に使用される現像装置のうち、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いるものが一般的に知られている。
【0003】
この方法では、以下のように現像が行われている。
【0004】
即ち、トナーと磁性体から成るキャリアとを含む現像剤を現像器内において混合・攪拌し、現像剤担持体に供給する。現像剤担持体内には、N極、S極が交互に幾つか配置されたマグネットロールを固定して内蔵され、その磁力によって現像剤が現像剤担持体表面に穂立ちした状態になる。一方、静電潜像担持体は、帯電部材により一様にある電位に表面が帯電され、露光することにより帯電電位を下げ、その差により静電潜像が形成される。
【0005】
この静電潜像担持体表面に現像剤担持体表面上に担持されている現像剤を接触又は近接させ、現像剤担持体と静電潜像担持体との間に現像バイアスを印加することにより、トナーを静電潜像に付着させて現像が行われている。
【0006】
現像バイアスは、直流に交流を重畳して印加しているため、現像効率を高くでき、高品位な画像にすることが可能である。
【0007】
しかし、画像の非画像部(白地部)にトナーが付着してしまう「カブリ」という現象が発生し易くなるという可能性も生じる。このため、通常、現像剤担持体に印加する現像バイアスの直流分と像担持体上に形成される画像のトナーが載らない部分である非画像部(白地部)電位との間に適当な電位差を設けることによりカブリを防止している。この像担持体に形成された画像の白地部電位と現像バイアスの直流分との差がカブリ取り電位と呼び、静電潜像のトナーが載る部分(画像部)の電位と現像剤担持体に印加される現像バイアスの直流分との差の電位がコントラスト電位である。
【0008】
ところで、経時変化・環境変動により、現像剤中のトナーの負の帯電量が初期に比べて変化し、それに応じてキャリアの正の帯電量も初期に比べて変化することがある。そのため、初期のカブリ取り電位の状態では像担持体上の非画像部にキャリアやトナーが付着することがある。このように、像担持体上の非画像部にキャリア付着やトナー付着が発生すると、そのまま紙等に転写されてしまい、画像品質を劣化させてしまう。
【0009】
又、キャリア付着は像担持体をクリーニングするときに、像担持体に傷を付けたり、クリーニング部材の寿命が減る等の悪影響が発生する。
【0010】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、現像器の像担持体の回転方向下流側に電磁石を設けて、この電磁石がローラ状で回転して、像担持体上に付着したキャリアを回収する構成を提案している。
【0011】
又、特許文献2では、或る一定間隔毎にエッジ部を有する潜像パターンを形成し、現像後に潜像パターンのキャリア付着を光検知センサーで検知してカブリ取り電位を制御する方法を提案している。
【特許文献1】特開平5−066678号公報
【特許文献2】特開2000−292992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のように提案されている装置でも以下のような問題がある。
【0013】
即ち、特許文献1に提案されている装置では、キャリア劣化或は現像条件により更にキャリア付着が多くなった場合、回収能力に限度がある。
【0014】
又、特許文献2に提案されている方法では、キャリア付着を検知するために、一定間隔毎に像担持体上にエッジ部を有する潜像パターンを形成し、現像動作を行う必要があるため、ダウンタイムが長くなり勝ちであり、その都度エッジ部を有する潜像パターンを現像するためにトナー消費量が多くなり勝ちであった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、特定の画像パターンを形成する必要がなく、トナー消費量を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【0016】
又、像担持体上のキャリア付着及びトナー付着量が規定値以内に抑えられないときや、カブリ取り電位ラチチュードが規定値以下となったとき、ネットワークを通じてサービスマンコールするとともに、標準画像形成モードより広い階調性や高解像度を有する画像形成モードを縮退動作させることにより、画像品位は低下するが生産効率の低下を抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、静電潜像を担持する像担持体と、トナーと磁性キャリアから成る現像剤と、現像剤を坦持する現像剤担持体と、前記像担持体上のキャリア付着と白地部へのトナー付着を検知する検知手段を備える画像形成装置において、前記検知手段は像担持体上のキャリア付着及び白地部へのトナー付着を常時監視し、前記キャリア付着又は前記トナー付着が規定量以上になったとき、前記像担持体と前記現像剤担持体間のカブリ取り電位を変化させてキャリア付着やカブリが発生し易い条件を形成し、カブリ取り電位ラチチュードを算出し、該カブリ取り電位ラチチュードの算出結果に基づいて該カブリ取り電位を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カブリ取り電位ラチチュードが規定値以下、及びキャリア付着量又はカブリ量が規定値以内に抑えられない時、所定の通信媒体を介してサービスマンコールを行う制御手段を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、カブリ取り電位ラチチュードが規定値以下、及びキャリア付着量又はカブリ量が規定値以内に抑えられない時、標準画像形成モードより広い階調性や高解像度を有する画像形成モードを縮退動作させることを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、キャリア付着及び白地部へのトナー付着を検知する前記検知手段は、像担持体上からの高さを測定することによりキャリア付着及びトナー付着を検知することを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、カブリ取り電位を変化させるために像担持体の帯電電位を変更させることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、カブリ取り電位を変化させるために現像剤坦持体に印加する現像バイアスを変更させることを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記像担持体としてアモルファスシリコン材料を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、カブリ取り電位をフィードバック制御で決定するため、長期的に安定して、像担持体上のキャリア付着やカブリの発生を抑えることができる。
【0025】
又、カブリ取り電位ラチチュードが規定値以下となった時、ネットワークを通じてサービスマンコールすることにより、各ユーザが画像形成装置の管理会社に通報する必要がない。
【0026】
そして、カブリ取り電位ラチチュードが規定値以上でない時、標準画像形成モードより広い階調性や高解像度を有する画像形成モードを縮退動作させることにより、現像剤の交換をするまでの間の生産性の低下を落とすことなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して詳しく説明する。本実施の形態では、潜像が負極性であり、トナーも負極性に帯電していて静電潜像を反転現像する場合について述べる。
【0028】
尚、本発明の特徴をなす現像装置は、以下に述べるような画像形成装置の中で使用されるが、必ずしもこの形態に限られるものではない。
【0029】
図1は本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図、図2は画像形成装置に使用される現像装置をより詳細に示す図である。
【0030】
先ず、図1を参照して画像形成装置全体の動作を説明する。
【0031】
画像形成装置には像担持体である直径40〜150mmのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム10が回転自在に設けられており、その感光ドラム10を一次帯電器21で一様に帯電し、例えばレーザーのような発光素子を備えた露光装置22によって情報信号に応じて変調された光で露光して静電潜像を形成する。
【0032】
感光ドラム10上の静電潜像は、現像装置1により現像され、現像剤像(トナー像)として可視像化される。
【0033】
次に、上記感光ドラム10上のトナー像は、転写手段としての転写帯電器23によって、転写紙搬送シート24によって搬送されてきた記録材である転写紙27に転写し、更に、定着装置25によって定着して永久画像を得る。
【0034】
又、感光ドラム10上の転写残トナーは、クリーニング装置26により除去され、画像形成で消費されたトナーは、ここでは現像装置1の上部に設けられたトナー補給槽20から補給される。
【0035】
ところで、感光ドラム10上のキャリア付着量や白地部へのトナー付着量を検知するためのセンサー15は、現像装置1と転写帯電器23の間に設置してある。このセンサー15は、レーザを感光ドラムに照射させ、レーザを放ってから戻ってくるまでの時間により高さを検知するものである(いわゆる光波測量法である)。感光ドラム10上に何も無い場合、感光ドラム10上の白地部にトナーが存在する場合、感光ドラム10上にキャリア付着がある場合で、レーザを放ってから戻ってくるまでの時間が異なるためトナー付着及びキャリア付着を判断できる。感光ドラム10の駆動中に、感光ドラム10長手方向に亘って検知するためには、センサー15を長手方向に複数個を並べて使用する必要がある。
【0036】
尚、本実施の形態では、センサー15にはレーザを使用して高さを検知する方法を行ったが、超音波センサー等を使用しても同様の測定が可能であると考えられる。
【0037】
次に、図2を参照して現像装置1の動作を説明する。
【0038】
本実施の形態に係る現像装置1は、現像剤Tとして非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が収容された現像容器2内に、第1の現像剤担持体として直径15mm以上の現像スリーブ8と、現像スリーブ8上に担持された現像剤の穂を規制する現像剤規制部材としての現像剤規制ブレード9とを有している。又、現像容器2は、隔壁7により現像室3と攪拌室4に区画されており、それぞれに現像剤搬送スクリュー5,6がそれぞれ配置されている。第1の搬送スクリュー5は、現像室3の底部に現像スリーブ8の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されており、回転して現像室3内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。又、第2の搬送スクリュー6は、攪拌室4内の底部に第1の搬送スクリュー5とほぼ平行に配置され、攪拌室4内の現像剤を第1の搬送スクリュー5と反対方向に搬送する。このようにして、現像剤Tは、上記の搬送スクリュー5,6の回転による搬送によって現像室3及び攪拌室4内を循環している。
【0039】
更に、現像容器2の感光ドラム10に対向した現像領域に相当する位置は開口されており、この開口部に前記現像スリーブ8が、感光ドラム10に対して一部露出するように回転可能に配置されており、現像スリーブ8は、感光ドラム10との対向部である現像領域を鉛直方向上から下に通過する方向に回転している。
【0040】
尚、現像スリーブ8は、非磁性材料で構成された筒体であり、その内部には磁界発生手段であるマグネットローラ8aが非回転状態で設置されている。このマグネットローラ8aは、現像極N1と現像剤を搬送する磁極N2,S1,S2,S3を有している。このうち同極である磁極S2極と磁極S3極は隣り合い、その間には反発磁界が形成され、現像剤に対してバリアが形成されており、現像領域を通過した現像剤Tは、現像スリーブ8に連れ回ることなく現像室3に戻される。
【0041】
現像剤規制ブレード9は、アルミニウム等の非磁性部材で構成され、感光ドラム10よりも現像スリーブ8の回転方向上流側に配置されている。そして、この現像剤規制ブレード9の先端部と現像スリーブ8との間を現像剤の非磁性トナーと磁性キャリアの両方が通過して現像領域へと送られる。
【0042】
尚、現像剤規制ブレード9と現像スリーブ8の表面との間隔を調整することによって、現像スリーブ8上に担持した現像剤磁気ブラシの量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。
【0043】
第1の搬送スクリュー5は、現像室3内の底部に現像スリーブ8の軸方向(現像幅方向)に沿ってほぼ平行に配置されており、本実施の形態では、強磁性体で構成される回転軸周りに非磁性材料で構成された羽根部材をスパイラル状に設けたスクリュー構造とされ、回転して現像室3内の現像剤Tを現像室3の底部にて現像スリーブ8の軸線方向に沿って搬送する。
【0044】
又、第2の搬送スクリュー6も第1の搬送スクリュー5と同様に回転軸の周りに羽根部材を第1の搬送スクリュー5とは逆向きにしてスパイラル状に設けたスクリュー構造とされ、攪拌室4内の底部に第1の搬送スクリュー5とほぼ平行に配置され、第1の搬送スクリュー5と同方向に回転して攪拌室4内の現像剤Tを第1の搬送スクリュー5と反対方向に搬送する。
【0045】
このような第1及び第2の搬送スクリュー5,6の回転によって、現像剤Tが現像室3と攪拌室4との間で循環する。
【0046】
そして、現像スリーブ8での現像効率(つまり、感光ドラム10上に形成された潜像へのトナーの付与率)を向上させるために、現像スリーブ8には図示しないHV電源から直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアスが印加され、感光ドラム10上の静電潜像に現像する。
【0047】
感光ドラム10の静電潜像は、現像装置1により現像された後、転写帯電器23により転写され、感光ドラム上10表面上に残留したトナーは、クリーニング装置26により清掃される。
【0048】
図3に、カブリ取り電位に対する感光ドラム10上の静電画像非画像部におけるトナー付着量(カブリ量)とキャリア付着量の関係を示す。
【0049】
前記カブリ量が多くなると、非画像部にトナーが存在することになり、紙の白地部が汚染された画像となる。又、前記キャリア付着量が多くなると、先に述べたように画像品質の低下や感光ドラム及びクリーニングブレードへの損傷が生じる。
【0050】
上記にも説明したが、カブリ取り電位とは、感光ドラム10の暗部電位Vd(非画像部電位)と現像スリーブ11に印加する直流電位Vdcの差の電位であり、感光ドラム10上のトナーが現像スリーブ11に戻される方向に力を与える電位のことである。
【0051】
次に、カブリ取り電位の変更の仕方を以下に述べる。
【0052】
カブリ取り電位の変更の仕方は2種類あり、第1番目は現像スリーブ8に印加する現像バイアスを固定して感光ドラム10表面上の帯電電位を変更する方法と、第2番目は感光ドラム10表面上の帯電電位を固定にして、現像スリーブ8に印加する現像バイアスを変更する方法があり、本発明はどの方法でカブリ取り電位を変更しても良い。
【0053】
図3に示したように、前記カブリ量と前記キャリア付着量の関係は対称関係にあり、カブリ量とキャリア付着量の値を最小にする最適なカブリ取り電位(Vbackと示す)が存在し、カブリ取り電位(Vback)は、前記カブリ量の上限がN値以下、前記キャリア付着量の上限がM値以下になるように設計されている。カブリ量がN値になるカブリ取り電位:V1、キャリア付着量がM値になるカブリ取り電位V2とした時、V1からV2の範囲のカブリ取り電位をカブリ取り電位ラチチュードと呼び、図3に示した例では、Vback=150[V]、V1=100[V]、V2=200[V]であるため、カブリ取り電位ラチチュードは100[V]である。
【0054】
ここで、カブリ量の検知方法は、感光ドラム10上の白地部におけるトナー層高さ;約10[μm]を連続して5[mm]幅を検知したとき、カブリが発生していると判断している。
【0055】
上記の状態がカブリ量の上限値Nであり、カブリ量をN値以下にする必要がある。
【0056】
又、キャリア付着量の検知方法は、感光ドラム10上においてキャリア高さ;40[μm]を10[mm]幅の間に5個を検知したとき、キャリア付着が発生していると判断している。上記の状態がキャリア付着量の上限値Mであり、キャリア付着量をM値以下にする必要がある。
【0057】
図4に感光ドラム10の長手方向中心部において、周方向に亘ってセンサー15で検知した感光ドラム10上のトナー高さ及びキャリア高さを時間に対して示したものである。本発明の画像形成装置のプロセススピードは200[mm/s]であるため、カブリトナー検知は、トナー高さ約10[μm]を25[ms]間に連続して検知した時に、カブリトナーを検知する。カブリが発生しているとき図4に示した領域Aの信号を検知する。
【0058】
又、キャリア付着検知は、50[ms]の間にキャリア高さ約40[μm]を5回検知したときにキャリア付着検知となる。キャリア付着が発生している時、図4に示した領域Bの信号を検知する。
【0059】
図5は図4でカブリトナーやキャリア付着を検知した時の制御方法をフローチャートでである。
【0060】
先ず、常時、前記センサー15で感光ドラム10表面上のキャリア付着及びカブリトナー付着を監視する。監視の結果、図4に示したような、カブリトナー又はキャリア付着を検知し、カブリ及びキャリア付着の発生が確認されると、現在のカブリ取り電位(Vback=150[V])を50[V]増加させて、キャリア付着量の上限値になるカブリ取り電位を算出する。ここで、Vbackを50[V]増加させて、キャリア付着量が上限を超えた場合は、Vbackを10[V]ずつ減少させて、キャリア付着量が上限となるカブリ取り電位を算出する。又、カブリ取り電位を50[V]増加させても、キャリア付着量が上限を超えない場合は、それ以上カブリ取り電位を増加させない。
【0061】
又、上記の制御を10回行ってもキャリア付着量が上限値以内することができない合は、サービスマンコールを行い、現像剤交換を促すよう通知し、広い階調性や高解像度を有する画像モードに縮退を設けて、カブリ取り電位は変更せずに終了する。
【0062】
以上説明したように、キャリア付着量を検知して、カブリ取り電位の上限値を検出する。尚、本実施の形態では、カブリ取り電位の上限値は190[V]であった。
【0063】
次に、センサー15がカブリ量を検知すると、現在のカブリ取り電位を(Vback=150[V])を50[V]減少させて、カブリ付着量の上限値になるカブリ取り電位を算出する。ここで、Vbackを50[V]減少させて、カブリ量が上限を超えた場合は、Vbackを10[V]ずつ増加させて、カブリ量が上限となるカブリ取り電位を算出する。又、カブリ取り電位を50[V]減少させても、カブリ量が上限を超えない場合は、それ以上カブリ取り電位を減少させない。
【0064】
又、上記の制御を10回行ってもカブリ量が上限値以内することができない場合は、サービスマンコールを行い、現像剤交換を促すよう通知し、広い階調性や高解像度を有する画像モードに縮退を設けて、カブリ取り電位は変更せずに終了する。
【0065】
以上説明したように、カブリトナー量を検知して、カブリ取り電位の下限値を検出する。尚、本実施の形態では、カブリ取り電位の下限値は110[V]である。
【0066】
上記で説明したように、カブリ取り電位の上限値及び下限値を算出して、カブリ取り電位ラチチュードを算出する。その後、カブリ取り電位ラチチュードの中心値をカブリ取り電位に設定する制御を行う。尚、本実施の形態では、カブリ取り電位ラチチュードは80[V]であり、カブリ取り電位は150[V]に設定する。
【0067】
前記サービスマンコールとは、画像形成装置本体の異常及び故障を通信手段を介して、画像形成装置の管理会社に通報し、サービスマンに画像形成装置本体に異常及び故障が発生していることを通知して、異常・故障個所を修理してもらうことである。以下に図6を用いて具体的に説明する。
【0068】
図6に示したように本発明の画像形成装置100,200,300は、通信回線又はLAN(LAN Local Area Network)600を介して、管理会社のサーバにアクセスできる通信用サーバ400に接続されている。又、通信用サーバ400は、電話回線を利用したものや、光ファイバー通信回線を利用したネットワーク回線を介して管理会社の管理用サーバ500に接続されている。
【0069】
本発明の画像形成装置100,200,300は、カブリ取り電位ラチチュードが規定値以上、本実施の形態では、25[V]以上取れないときは、LAN600を介して現像剤の交換が必要であることを通報する情報を自動的に通信用サーバ400に送信され、管理会社のサーバ500に到達する。そして、上記の情報を送信した画像形成装置は、サービスマンに現像剤を交換する必要があることを通報し、通報した画像形成装置が設置されている場所に出向き、現像剤の交換作業を行う。
【0070】
そして、管理会社のサーバ500に現像剤の交換が必要であることを送信した画像形成装置は、感光ドラム10上にカブリやキャリア付着が発生する可能性がある。そこで、図7に示すように、画像形成装置の操作パネルに現像剤交換を促す表示と標準画像形成モードより、広い階調性や高解像度を有する画像形成モードを縮退させることを表示し、OKボタン90を押すことによりユーザに確認させる。そして、高解像度や広い階調性を有する画像形成モードを縮退させて、現像剤交換を行わなくてもコピー動作を行えるようにして、生産効率の低下を抑えている。
【0071】
又、感光ドラム10としてアモルファスシリコン材料を用いると、現像バイアスが静電潜像に注入して潜像を乱すため、低磁性キャリアを用いる必要がある。そのため、現像スリーブ8とキャリア間の磁気作用力が弱くなり、感光ドラムにキャリアが付着し易くなり、本発明の画像形成装置はより効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置に使用する現像装置を示す概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置におけるカブリ取り電位に対する像担持体上のカブリ量及びキャリア付着量の関係を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置における像担持体上のカブリ量及びキャリア付着量をレーザで検知した結果を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置におけるカブリ取り電位の制御方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の画像形成装置と管理会社とのネットワークの関係を示す概念図である。
【図7】本発明の画像形成装置の画像形成モードを縮退させた時に出る操作パネル表示を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 現像装置
2 現像容器
3 現像室
4 撹拌室
5,6 現像剤搬送スクリュー
8 現像スリーブ
9 現像剤規制ブレード
10 感光ドラム
15 センサー
20 トナー補給槽
22 露光装置
23 転写帯電器
24 転写紙搬送シート
25 定着装置
26 クリーニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、トナーと磁性キャリアから成る現像剤と、現像剤を坦持する現像剤担持体と、前記像担持体上のキャリア付着と白地部へのトナー付着を検知する検知手段を備える画像形成装置において、
前記検知手段は像担持体上のキャリア付着及び白地部へのトナー付着を常時監視し、前記キャリア付着又は前記トナー付着が規定量以上になったとき、前記像担持体と前記現像剤担持体間のカブリ取り電位を変化させてキャリア付着やカブリが発生し易い条件を形成し、カブリ取り電位ラチチュードを算出し、該カブリ取り電位ラチチュードの算出結果に基づいて該カブリ取り電位を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カブリ取り電位ラチチュードが規定値以下、及びキャリア付着量又はカブリ量が規定値以内に抑えられない時、所定の通信媒体を介してサービスマンコールを行う制御手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
カブリ取り電位ラチチュードが規定値以下、及びキャリア付着量又はカブリ量が規定値以内に抑えられない時、標準画像形成モードより広い階調性や高解像度を有する画像形成モードを縮退動作させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
キャリア付着及び白地部へのトナー付着を検知する前記検知手段は、像担持体上からの高さを測定することによりキャリア付着及びトナー付着を検知することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
カブリ取り電位を変化させるために像担持体の帯電電位を変更させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
カブリ取り電位を変化させるために現像剤坦持体に印加する現像バイアスを変更させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体としてアモルファスシリコン材料を用いることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−33987(P2007−33987A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218571(P2005−218571)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】