説明

画像形成装置

【課題】湿式画像形成装置において、感光体表面の酸化膜による画質低下を防ぐことのできる技術を提供する。
【解決手段】非画像形成時に、感光体ドラム10の表面のうち、帯電部11の直下に、現像剤を塗布することで、コロナ放電により生じたオゾンによって感光体ドラム10表面に生じる酸化膜の付着等を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、特に湿式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、感光体を帯電させ、さらに感光体に光を照射することで、静電潜像を描き、これを現像剤で現像する電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
このような画像形成装置においては、感光体を帯電させる帯電部からの放電により、オゾンが発生し、このオゾンによって、空気中の成分が分解されて、窒素酸化物等の種々の酸化物、及びアンモニウム塩等のイオン性物質が生じることが知られている。このイオン性物質は水溶性であるので、感光体表面に付着すると、大気中の水分を取り込み、感光体表面の電気抵抗を低下させる。この電気抵抗の低下は、像流れと呼ばれる画像不良の原因となる。
【0004】
このような画像不良を防止する方法として、感光体表面を研磨することで、イオン性物質を除去する方法が知られている。例えば、特許文献1では、感光体としてアモルファスシリコン感光体を備える画像形成装置において、非画像形成時に、研磨剤を含有したトナーを感光体に付着させ、このトナーを感光体から中間転写体に一旦転写し、次いで中間転写体から感光体に逆転写して、このトナーによって感光体表面を研磨することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−279902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、湿式現像を採用した画像形成装置においては、トナーに研磨剤を含めることが困難である。湿式現像とは、トナーと液体のキャリアとを含む現像剤によって画像を現像する画像形成方式である。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、研磨剤を用いなくても画像不良を防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の画像形成装置は、キャリア液及びトナーを含む現像剤にて上記静電潜像を現像する現像装置と、現像に用いられなかった現像剤を上記現像装置から回収装置と、上記回収装置が回収した現像剤を上記感光体上に塗布する塗布手段と、非画像形成時に上記感光体に現像剤を塗布するように、上記塗布手段を制御する塗布制御部と、を備える。
【0008】
この画像形成装置は、感光体保護処理によって、酸化物やイオン性物質等(「酸化膜」と称する)が感光体表面に付着するのを防ぎ、画質低下を防ぐことができる。
【0009】
また、請求項2に記載するように、請求項1の画像形成装置は、上記感光体を帯電させる帯電部をさらに備え、上記塗布手段は、上記感光体上で上記帯電部と対向する領域に、上記現像剤を塗布するようになっていることが好ましい。
【0010】
感光体において、帯電部と対向する領域は、特にオゾンの影響が大きいので、この画像形成装置によると、画質低下を防ぐ効果が高い。
【0011】
請求項3に記載するように、請求項1又は2の画像形成装置において、上記塗布手段は、表面に上記現像剤を付着させることのできる塗布部材と、上記塗布部材を上記感光体に接触させ、又は上記感光体から離間させる塗布部材駆動部と、を備えることが好ましい。
【0012】
請求項4に記載するように、請求項3の画像形成装置において、上記塗布制御部は、上記塗布部材駆動部を制御して、上記湿式画像形成装置の画像形成時には上記塗布部材を上記感光体から離間させ、非画像形成時には上記塗布部材を上記感光体に接触させるようになっていることが好ましい。
【0013】
請求項5に記載するように、請求項1〜4のいずれか1項の画像形成装置は、上記感光体を回転させる回転駆動部と、上記感光体に接触するように配置されるクリーニング部材と、をさらに備え、上記塗布手段は、上記感光体ドラムの回転方向において、上記クリーニング部材の下流かつ上記帯電部の上流に配置されていることが好ましい。
【0014】
請求項6に記載するように、請求項1〜5のいずれか1項の画像形成装置において、上記感光体表面はアモルファスシリコンからなっていることが好ましい。
【0015】
アモルファスシリコン感光体は、特にオゾンによる画質の低下が顕著であるので、本発明が好適に用いられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置は、感光体保護処理によって、酸化膜が感光体表面に付着するのを防ぐことができる。よって、酸化膜による画質低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔1〕第1実施形態
以下、図面に基づいて、本発明の画像処理装置の実施の一形態について説明する。
【0018】
なお、説明の便宜上、図面では部材の位置及び大きさ等は適宜強調して描かれている。また、以下の実施形態は、本発明の画像処理装置の一例として、カラープリンタを挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の画像処理装置は画像形成部を備えていればよく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する所謂複合機(MFP、Multi Function Peripheral)やコピー機能のみを備えたものでもよい。以下に説明するこれらの部材の具体的な構成や、その他の部材等については、適宜変更可能である。
【0019】
<1.プリンタ1>
まず、図1を参照してプリンタ1全体の構成について説明する。図1はプリンタ1の要部構成を示す正面図である。
【0020】
プリンタ1は、カラー画像を形成する画像形成部2、用紙Pを収容する用紙収容部3、用紙P上に画像形成装置2が形成した画像を転写する転写部4、用紙P上に画像を定着させる定着部5、画像が定着した後の用紙Pを受け取る用紙排出トレイ6、及び、用紙収容部3から用紙排出トレイ6まで用紙Pを搬送する用紙搬送部7等を備える。
【0021】
画像形成部2は、無端状、すなわち環状であって一方向に回転可能な中間転写ベルト21を備え、さらに、中間転写ベルト2の回転方向に沿って、それぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色の現像剤によって画像を形成し、上記中間転写ベルト21に一次転写する画像形成ユニットFY,FM,FC,及びFB、中間転写ベルト21上の一次転写された画像から余剰のキャリアを除去するキャリア除去部22、並びに、上述の転写部4による転写後に中間転写ベルト21から現像剤を除去するベルトクリーニング部23等を備える。
【0022】
より具体的には、画像形成部2は、中間転写ベルト21の裏側(中間転写ベルト21の環形状の内側)に、中間転写ベルト21に接するよう、ベルト駆動ローラ211、第一従動ローラ212、第二従動ローラ213を、中間転写ベルト21の回転方向に沿ってこの順に備える。ベルト駆動ローラ211は回転することで転写ベルト21を時計回りに回転移動させ、第一及び第二従動ローラ212及び213はベルト駆動ローラ211の回転に従動して回転する。ベルト駆動ローラ211は、中間転写ベルト21を挟んで上述の転写部4の転写ローラ41と対向するように設けられており、転写ローラ41と共に転写部4を構成している。
【0023】
画像形成ユニットFY,FM,FC,及びFBは、第二従動ローラ213からベルト駆動ローラ211に向かってこの順に配される。画像形成ユニットの配置順序はこれに限定されるものではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。画像形成ユニットの詳細については後述する。
【0024】
キャリア除去部22は、中間転写ベルト21の移動方向において最下流の画像形成ユニットFBのさらに下流、かつベルト駆動ローラ211の上流に設けられる。キャリア除去部22は、中間転写ベルト21の表面に接触してキャリア液を除去するキャリア除去ローラ22a、キャリア除去ローラ22aに付着したキャリア液を回収するための回収装置22b、及び、中間転写ベルト21を挟んでキャリア除去ローラ22aに対向するように配された対向ローラ22cを備える。キャリア除去ローラ22aの表面は、中間転写ベルト21の表面よりも濡れ性が高いことが好ましい。
【0025】
ベルトクリーニング部23は、中間転写ベルト21の移動方向において転写部4の下流、かつ画像形成ユニットのうちで最上流の画像形成ユニットFYの上流に配される。より具体的には、ベルトクリーニング部23は、第二従動ローラ213の近傍で中間転写ベルト21に接触するブレード23aと、ブレード23aによって掻き取られた現像剤を収納する収納ケース23bとを備える。
【0026】
用紙収納部3は、図1に示すように、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、プリンタ1の下部に配置されている。用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセット31、及び給紙カセット31内の一番上の用紙Pを用紙搬送部7へ供給する給紙部222等を備える。
【0027】
転写部4は、上述のベルト駆動ローラ211、及び中間転写ベルト21を挟んでベルト駆動ローラ211と対向する転写ローラ41等を備える。転写部4は、転写ローラ41にバイアスを印加するバイアス印加部(図示せず)を備えており、このバイアスによって中間転写ベルト21から用紙Pに画像が転写される。
【0028】
定着部5は、用紙Pにトナー像を定着させる部分であって、用紙搬送方向において転写部4の下流に配置されている。定着部5は、用紙に転写されたトナー像に接する加熱ローラ51、及び加熱ローラ52に対向して配置された加圧ローラ52等を備える。
【0029】
用紙搬送部7は、複数のローラ対等を備えている。
【0030】
<2.画像形成ユニット>
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは略同様の構成となっているので、以下では図2を参照してイエロー用の画像形成ユニットFYについて説明し、他の画像形成ユニットについては説明を省略する。図2は、画像形成ユニットFYの要部構成を示す正面図である。
【0031】
図2に示すように、画像形成ユニットFYは、回転可能な感光体ドラム10を備え、その回転方向に沿って、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電部11、帯電した感光体ドラム10表面に光を照射することによって静電潜像を描く露光部12、静電潜像を現像剤で現像する現像装置9、現像された画像を中間転写ベルト21に転写する一次転写ローラ13、転写後の感光体ドラム10上に残存する現像剤を除去するドラムクリーニング部14、感光体ドラム10上にキャリア液を塗布する現像剤塗布装置15、光源を備え、クリーニング後の感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電して次の画像形成に備える除電部16等を備える。
【0032】
感光体ドラム10は、その表面がアモルファスシリコン感光体で構成されたローラ状の部材である。画像形成ユニットFYは、モータ及びギア等を備える回転駆動部17(図6)を備え、回転駆動部17によって感光体ドラム10を回転させることができる。
【0033】
帯電部11は、コロナ放電によって、感光体ドラム10を帯電させることができる。
【0034】
クリーニング部14は、感光体ドラム10に接触するように配置されたクリーニングブレード141を備える。なお、上述のキャリア除去部22は、クリーニング部14に組み込まれていてもよい。
【0035】
現像剤塗布装置15は塗布ローラ151を備える。現像剤塗布装置15の詳細については後述する。
【0036】
(2-1)現像装置9
現像装置9は、現像ローラ(現像部の一例)91と、供給ローラ92と、支持ローラ93と、現像剤供給部94と、現像剤除去装置96と、現像剤帯電装置97と、以上の各部材を収容する現像容器99と、を備える。
【0037】
現像ローラ91は、感光体ドラム10に接触するように配置され、回転することで現像剤を感光体ドラム10に供給する。
【0038】
供給ローラ92は、現像ローラ91に現像剤を供給するためのものであって、現像ローラ91の下部に接触するよう配される。この供給ローラ92には、ドクターブレード921が接触させられている。このドクターブレード921によって現像ローラ91に供給するために供給ローラ92上に担持されている現像剤の層厚が所定値に規制される。
【0039】
支持ローラ93は、現像剤を供給ローラ92とともに支持するための部材であって、供給ローラ92に接触するように配される。
【0040】
現像剤供給部94は、供給ローラ92と支持ローラ93との接触部分付近の支持ローラ93に現像剤を供給するための部材である。
【0041】
図示しないが、現像装置9は、現像ローラ91、供給ローラ92、及び支持ローラ93を回転駆動するモータ及びギア等を備える。
【0042】
現像剤除去装置96は、感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ91上に残留した現像剤を除去するための装置であって、現像剤除去ブレード961を有している。現像剤除去装置96は、この現像剤除去ブレード961によって現像ローラ91上の現像剤を掻き取る。
【0043】
現像剤帯電装置97は、現像ローラ91の近傍に配される。現像剤帯電装置97は、現像ローラ91に担持された現像剤に、現像剤中のトナーの帯電極性と同極性の電界を与える。こうすることで、現像ローラ91に担持された液体現像剤層中のトナーが現像ローラの表面側に移動し、現像効率が向上する。
【0044】
以上のように感光体ドラム10上に現像剤を供給する、現像装置9の各部の一連の動作を、現像動作と称する。
【0045】
(2-2)現像剤塗布装置15
現像剤塗布装置15の詳細について、図3及び図4を参照して説明する。図3は現像剤塗布装置15の要部構成を示す正面図であり、図4は塗布ローラ151の断面図である。
【0046】
図3に示すように、現像剤塗布装置15は、クリーニング部14の下方、つまり感光体ドラム10の回転方向において、クリーニング部14より下流に配置される。現像剤塗布装置15は、クリーニング部14と筐体142を共有している。つまり、クリーニングブレード141及び塗布ローラ151は、筐体142内に、塗布ローラ151がクリーニングブレード141の下方に位置するように配される。そして、筐体142内、塗布ローラ151とクリーニングブレード141との間には、仕切り板143が設けられている。
【0047】
現像剤塗布装置15はさらに、ソレノイド152、第1アーム153、第2アーム154を備える。第1アーム153の一端は、第1支点155aを介してソレノイド152に接続され、他端は第2支点155bを介して第2アーム154の一端に接続される。第2アーム154の他端には、塗布ローラ151の回転軸が固定されている。第1アーム153は、第1支点155aを中心に回転可能であり、第2アーム154は第2支点155bを中心に回転可能である。また、現像剤塗布装置15は引張りバネ156を備え、引張りバネ156の一端は塗布ローラ151に、他端は筐体142に固定されている。
【0048】
塗布ローラ151には、現像剤供給口1511が設けられており、現像剤供給口1511には現像剤の供給管157の一端が接続されている。供給管157には、ポンプP11が設けられる。ポンプP11はさらに現像剤貯留容器88に接続される。現像剤貯留容器88はポンプP1に接続されているので、後述するようにポンプP1の稼動によって現像装置9から回収された現像剤は、現像剤貯留容器88に貯留される。そして、ポンプP11が稼動することで、現像剤が、キャリア供給口1511を介して、塗布ローラ151に送られる。
【0049】
また、筐体142の底面には排出管158の一端が接続されている。排出管158には、ポンプP12が設けられる。排出管158は、現像剤貯留容器88に接続されている。現像剤貯留容器88内の液面の上限(基準液面)には排出口が設けられ、この排出口には、他のパイプが接続される。この他のパイプは、ポンプP5が設けられると共に、後述の第2回収容器83に接続される。この構成によって、筐体142内に溜まった現像剤はポンプP12の稼動によって現像剤貯留容器88へ送られ、現像剤貯留容器88内の余剰の現像剤はポンプP5の稼動によって第2回収容器83へ送られる。
【0050】
次に、現像剤塗布装置15の動作について説明する。
【0051】
図3に示すように、ソレノイド152が稼動すると、各部材が点線矢印方向に移動する。すなわち、現像剤塗布装置15は、ソレノイド152が第1支点155aを介して第1アーム153を引き上げると、第2支点を中心として第2アーム154が回転することで、塗布ローラ151が感光体ドラム10に接触するようになっている。このとき、引張りバネ156は引き伸ばされた状態となる。
【0052】
一方、ソレノイド152が停止すると、引張りバネ156の力によって、点線矢印とは逆の実線矢印方向に各部が移動し、塗布ローラ151は感光体ドラム10と離間する。
【0053】
図4に示すように、塗布ローラ151は、アルミ管151aと、アルミ管151aの周囲に巻きつけられたフェルト151cとを備える。アルミ管151aは、その内部から外部にまで通じる複数の孔151bを備える。上述のキャリア供給口1511を介して供給された現像剤は、孔151bからフェルト151cへと移動する。塗布ローラ151が感光体ドラム10に接触すると、フェルト151cから感光体ドラム10に液体現像剤が移動し、感光体ドラム10に液体現像剤が塗布される。
【0054】
なお、アルミ管151aに代えて、他の素材からなる中空の部材を適宜用いることができる。このような部材としては、塗布ローラ151の形状を保持可能な程度の強度を有するものを用いることができ、例えばステンレス等の金属、又は、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。また、フェルト151cに代えて、他の不識布、スポンジ等の多孔質素材を用いることができる。
【0055】
<3.液体現像剤循環装置8>
(3-1)液体現像剤循環装置8の構成
図5に基づいて液体現像剤循環装置8の構成を説明する。なお、液体現像剤循環装置8はそれぞれの画像形成ユニットに対応して設けられている。図5は液体現像剤循環装置8の要部構成を示す図面である。液体現像剤循環装置8は、画像形成に使用されない液体現像剤を再び利用するための装置であって、図5に示すように、第1回収容器81と、分離抽出装置40と、第2回収容器83と、調整容器84と、リザーブタンク87と、トナータンク217と、キャリアタンク218と、を備えている。
【0056】
第1回収容器81は、クリーニングブレード141により回収された現像剤を回収するための容器である。クリーニングブレード141により回収された現像剤は、図示しない搬送スクリューによって第1回収容器81に搬送される。
【0057】
分離抽出装置40は、第1回収容器81の液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離するための装置である。本実施形態では、キャリア液のみ再利用に供され、トナーは廃棄される。分離抽出装置40は、ポンプP9が取り付けられたパイプによって、第1回収容器81に接続されている。ポンプP9は、第1回収容器81から分離抽出装置40へ液体現像剤を送る。
【0058】
現像容器99に接続されたパイプは、現像剤除去装置96に接続されたパイプに接続される。さらに、現像剤の流れる方向においてこの接続箇所よりも下流に、ポンプP1、現像剤塗布装置15、ポンプP5、及び第2回収容器83が、この順に設けられている。つまり、上述の供給管157は現像剤除去装置96に、排出管158は第2回収容器83に、それぞれ接続されている。
【0059】
ポンプP1が稼動することで、現像剤供給部材94から排出されたものの、現像に寄与しなかった(つまり、感光体ドラム10上に移動しなかった)現像剤が、現像装置9から現像剤塗布装置15に移動する。そして、現像剤塗布装置15により感光体ドラム10に塗布されなかった現像剤は、ポンプP5が稼動することで、第2回収容器83に回収される。つまり、現像剤除去装置96及び現像容器99は、それぞれ現像剤を回収する回収装置として機能するといえる。
【0060】
第2回収容器83は、このようにして送られてきた液体現像剤を貯留する。また、第2回収容器83は、ポンプP2が取り付けられたパイプによって、調整容器84に接続される。ポンプP2は、第2回収容器83から調整容器84へ、液体現像剤を送る。
【0061】
トナータンク217は、現像装置9で用いられる液体現像剤よりもトナー濃度の高い高濃度液体現像剤が収納する。トナータンク217は、ポンプP8が取り付けられたパイプによって調整容器84に接続される。ポンプP8は、トナータンク217から調整容器84へ高濃度液体現像剤を送る。
【0062】
キャリアタンク218はキャリア液を収納する。キャリアタンク218は、ポンプP3が取り付けられたパイプによって調整容器84に接続されると共に、ポンプP10が取り付けられたパイプによって分離抽出装置40に接続されている。ポンプ3は、キャリアタンク218から調整容器84へキャリア液を送る。ポンプ10は、分離抽出装置40からキャリアタンク218へキャリア液を送る。
【0063】
調整容器84は、液体現像剤のトナー濃度を規定範囲内に調整するための容器である。調整容器84には、循環パイプ840が接続されている。循環パイプ840は、その両端が調整容器84の別の箇所に接続された環状のパイプであり、ポンプP4及びトナー濃度センサ841が取り付けられている。この構成により、液体現像剤は、調整容器84から循環パイプ840内を流れて再び調整容器84へと循環するようになっている。
【0064】
トナー濃度センサ841は、循環パイプ840内を流れる液体現像剤のトナー濃度を検出するためのセンサである。
【0065】
リザーブタンク87は、調整容器84から現像装置9に供給される液体現像剤を貯留するタンクである。リザーブタンク87は、ポンプP6が取り付けられたパイプによって調整容器84に接続されると共に、ポンプP7が取り付けられたパイプによって現像剤供給部材94に接続される。ポンプP6は、調整容器84からリザーブタンク87へ液体現像剤を送る。また、ポンプP7は、リザーブタンク87から現像剤供給装置94へ液体現像剤を送る。
【0066】
後述のCPU100は、液体現像剤循環装置8の各部を制御して、現像剤のトナー濃度を一定に保つと共に、適量の現像剤を現像装置9に提供する。具体的には、CPU100は、トナー濃度センサ841の検出結果に基づいて、P3及びP8を制御し、調整容器84内の現像剤を所定の濃度に調整する。そして、CPU100は、ポンプP6によって調整容器84からリザーブタンク87に液体現像剤を移動させ、リザーブタンク87から供給部材94へ、ポンプP7によって液体現像剤を供給する。
【0067】
<4.制御系>
図6を参照して、プリンタ1の制御系について説明する。図6は、プリンタ1の要部構成を示すブロック図であり、特に、感光体保護動作の説明に要する機能部を示す図面である。図6に示すように、プリンタ1はさらに、CPU(Central Processing Unit)100、RAM(Random Access Memory)101、ROM(Read Only Memory)102を備える。ROM102には、感光体保護プログラム102a等のプログラムが格納される。CPU100は、ROM102内のプログラムを読み出して実行することにより、プリンタ1内の各部の動作を制御する。つまり、CPU100は、プリンタ1の制御装置として機能する。RAM101はCPU100の作業領域として機能したり、情報を一時的に記憶したりする。CPU100は特に、感光体保護プログラム102aに基づいてプリンタ1内の各部を制御することで感光体保護動作(下記<5.>欄の動作)を実行する。
【0068】
<5.感光体保護動作>
図7〜図8を参照して、プリンタ1における感光体保護動作について説明する。図7は画像形成時の画像形成ユニットの一部を、図8は非画像形成時の画像形成ユニットの一部を示す正面図である。
【0069】
なお、「画像形成時」とは、プリンタ1において、感光体ドラム10表面に静電潜像が形成され、この静電潜像がトナー像として現像され、さらにそのトナー像が中間転写ベルト21に転写されるまでをいう。また、連続して複数の画像の画像形成が行われるときは、「画像形成時」とは、一連の画像のうち、最初の画像の静電潜像が形成されてから、最後のトナー像が中間転写ベルト21に転写されるまでをいう。
【0070】
図7に示すように、画像形成時には、CPU100の制御の下、回転駆動部17が稼動することで感光体ドラム10が回転する。そして、帯電部11が稼動して感光体ドラム110の表面を所定極性及び所定電位に帯電する。露光部12は、PC(Personal computer)等の上位装置から送信された画像データに基づいて、静電潜像Iを描く。現像装置9は、現像動作により静電潜像Iを現像し、トナー像Iが形成される。1次転写後に感光体ドラム10上に残存するトナーIは、クリーニングブレード141によって除去される。このとき、キャリア塗布装置15は停止しているので、塗布ローラ151は、感光体ドラム10表面から離間している。
【0071】
図8に示すように、非画像形成時には、現像剤塗布装置15及び回転体駆動部17が稼動する。具体的には、上記(2-2)欄で述べたように、ソレノイド152が稼動して塗布ローラ151を感光体ドラム10上に接触させ、ポンプP1によって、現像剤が塗布ローラ151に供給される。そして、感光体ドラム10の回転に伴って塗布ローラ151が回転することによって、感光体ドラム10表面に現像剤が塗布される。こうして現像剤が塗布された領域に符号“C”を付す。
【0072】
本実施形態のプリンタ1によると、感光体ドラム10の表面に現像剤を塗布することで、キャリア液によって、感光体ドラム10の表面を保護することができる。具体的には、帯電部11からのコロナ放電によりプリンタ1内に生じたオゾンへの感光体ドラム10の暴露を防ぐと共に、酸化膜が感光体ドラム10表面に付着するのを防ぐことができる。また、キャリア液によって、感光体ドラム10表面が大気に接触するのを防ぐことができるので、感光体ドラム10表面に付着した酸化膜による水分の吸着(酸化膜と水分との結着)を防ぐことができる。その結果、画質を良好に保つことができる。
【0073】
領域Cの最終的な幅及び位置は、帯電部11周囲のオゾンによる感光体ドラム10表面への影響を低減できるように、適宜設定される。具体的には、オゾンの影響を特に受けやすい帯電部11との対向領域が、領域Cに含まれていることが好ましい。例えば、図9に示すように、領域Cは、塗布ローラ151の直下から、現像ローラ91直下まで連続して設けられてもよい。また、領域Cは感光体ドラム10を一周するように配置されてもよい。
【0074】
画像形成が再開されるときには、CPU100の制御の下、現像剤塗布装置15がオフされた状態、つまり、塗布ローラ151が感光体ドラム10から離間された状態で、回転駆動部17が感光体ドラム10を1周以上回転させる。露光部12はその後に描画を開始するので、感光体ドラム10上のキャリア液は、描画開始時には除かれる。
【0075】
なお、塗布ローラ151は、次回の画像形成前のクリーニング動作時に感光体ドラム10から離間していればよく、離間のタイミングは特に限定されない。塗布ローラ151を離間させるタイミングは、例えば、所定領域へのキャリア液の塗布の完了直後であってもよい。
【0076】
このようなキャリア液の塗布を行うタイミングは、非画像形成時であればよく、特に限定されるものではなく、例えば、画像形成が終了してから次の画像形成が行われるまでの間、画像形成が開始される前のエージング時、画像形成が終了してプリンタ1が停止するまでの間等とすることができる。
【0077】
保護効果を高めるためには、キャリア液として、シリコンオイル、パラフィンオイル等の不揮発性溶剤が好適に用いられる。
【0078】
〔2〕その他の実施形態
(1)第1実施形態の現像剤塗布装置15は、感光体ドラムにキャリア液を塗布するための構成の一例に過ぎず、ソレノイド以外にモータを用いる等、種々の変更が可能である。
【0079】
(2)現像剤塗布装置15は、クリーニング装置14と別体に設けられてもよい。また、この場合、現像剤塗布装置15の設けられる位置は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の一形態に係るプリンタ1の要部構成を示す正面図である。
【図2】プリンタ1における画像形成ユニットの要部構成を示す正面図である。
【図3】現像剤塗布装置の要部構成を示す正面図である。
【図4】塗布ローラの構成を示す断面図である。
【図5】液体現像剤循環装置8の要部構成を示す図面である。
【図6】プリンタ1の要部構成を示すブロック図である。
【図7】画像形成ユニットにおける画像形成動作を示す図面である。
【図8】画像形成ユニットにおける感光体保護動作を示す図面である。
【図9】キャリア液の塗布される領域の他の例を示す図面である。
【符号の説明】
【0081】
1 プリンタ
9 現像装置
91 現像ローラ
10 感光体ドラム
11 帯電部
14 ドラムクリーニング部
141 クリーニングブレード
15 キャリア液塗布装置
100 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
上記感光体を帯電させる帯電部と、
帯電した上記感光体に光を照射して静電潜像を描く露光部と、
キャリア液及びトナーを含む現像剤にて上記静電潜像を現像する現像装置と、
現像に用いられなかった現像剤を上記現像装置から回収する回収装置と、
上記回収装置が回収した現像剤を上記感光体上に塗布する塗布手段と、
非画像形成時に上記感光体に現像剤を塗布するように、上記塗布手段を制御する塗布制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
上記塗布手段は、上記感光体上で上記帯電部と対向する領域に、上記現像剤を塗布するようになっている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記塗布手段は、
表面に上記現像剤を付着させることのできる塗布部材と、
上記塗布部材を上記感光体に接触させ、又は上記感光体から離間させる塗布部材駆動部と、を備える、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記塗布制御部は、上記塗布部材駆動部を制御して、上記湿式画像形成装置の画像形成時には上記塗布部材を上記感光体から離間させ、非画像形成時には上記塗布部材を上記感光体に接触させるようになっている、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記感光体を回転させる回転駆動部と、
上記感光体に接触するように配置されるクリーニング部材と、をさらに備え、
上記塗布手段は、上記感光体ドラムの回転方向において、上記クリーニング部材の下流かつ上記帯電部の上流に配置される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記感光体表面はアモルファスシリコンからなる、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−223124(P2009−223124A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69122(P2008−69122)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】