説明

画像形成装置

【課題】 特別な機構部品を追加することなく高い生産性を維持しつつ、反転かぶり及びシャドーイングを抑制して高品位の画像形成を実行することができる。
【解決手段】 感光体ドラム1と、現像剤を担持するとともに感光体ドラム1に形成された潜像をトナー像に現像する現像剤担持体41a、41bと、トナー像をシートmに転写する二次転写ローラ52と、トナー像が転写されるシートmの平滑度FSが入力される操作装置91と、操作装置91に入力される平滑度FSが、トナー像が転写されるシートmが所定の平滑度以上である情報である場合に、所定の平滑度未満である場合よりも、感光体ドラム1の非画像部電位Vniと現像剤担持体41a、41bに印加されるバイアスの直流成分電位Vdevdcとのかぶり除去電位差Vbを低減するように制御するCPU11と、を有する画像形成装置100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーによってシート(トナー像が形成される紙や透明フィルム等)上に画像を形成するプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図21は、電子写真式の画像形成装置で使用されるトナーの帯電電荷の分布図である。図21に示されるように、例えば、トナー像を形成するためのトナーの帯電極性が負である場合には、トナーの中には負に帯電した正規帯電トナーが多い一方で、トナーの中には正に帯電した反転帯電トナーが存在するようになってしまう。
【0003】
図22は、現像器4の構成を示す断面図である。図22に示されるように、トナーは現像器4の現像剤担持体41と摩擦するときに帯電することが多い。正規帯電トナー及び反転帯電トナーは、現像剤担持体41の回転によってトナーが摺擦されると一定の確率で発生し、また、新しいトナーが供給されるとそのトナーの中で新たに発生する。
【0004】
なお、図22中で、現像器4は現像容器40を備え、現像容器40の開口には、現像剤量規制部材43が設けられる。現像容器40及び現像剤量規制部材43で囲まれる開口には現像剤担持体41が配置される。現像剤担持体41は、半分が現像容器40の内部に配置され、半分が現像容器40の外部に配置される。現像剤担持体41の内部には『磁界発生手段』であるマグネット42が配置される。現像剤担持体41には現像バイアス電源47が接続される。現像剤担持体41は感光体ドラム1に対向して配置される。
【0005】
図23は、シートmの表面に生じたシャドーイングを示す平面図である。図23に示されるように、シートmの進行方向Aへと移動すると、正に帯電した反転帯電トナーが現像器4の内部に蓄積され、シートmに形成された画像の前側に影のような模様ができるシャドーイングと呼ばれる画像不良が発生することがある。
【0006】
図24は、かぶり及びシートの平滑度の関係を示すグラフである。前述の反転帯電トナーは画像上の白地部の反転かぶりの原因となることがある。そして、反転かぶりが悪くなるとシャドーイングが悪化することがわかっている。こうした反転かぶりやシャドーイングの悪化は、共に、シートの平滑度が高いと悪化する。その理由は、平滑性の高いシート(特に平滑度の高いコート紙等)の場合、シートと感光体ドラムとの密着性が高まるために、同時にトナーがシートに押し付けられることを回避する隙間が存在しなくなってしまう。その状態で、シート及び像担持体の密着度の高まりによって、その圧力でトナーがシートに転写されると考えられる。
【0007】
図25は、かぶり及びかぶり除去電位差の関係を示すグラフである。感光体ドラムの非画像部電位Vniを計測すると共に、現像器の内部の現像剤担持体に印加されるバイアスの直流成分電位Vdevdcを計測する。かぶり除去電位差Vbは、感光体ドラムの非画像部電位Vni及び現像バイアスの直流成分電位Vdevdcの電位差の絶対値(図3参照)で表される。図25に示されるように、かぶり除去電位差Vbが150Vの場合にかぶりは最小値に設定される。かぶりには、正規かぶり及び反転かぶりがある。正規かぶりは、画像を形成することが期待されるトナーによるかぶりをいう。反転かぶりは、画像を形成するトナーの帯電極性と反対の帯電極性のトナーによるかぶりをいう。トナーを摩擦帯電させたときに大半のトナーが示す帯電極性が、正規かぶりの原因となったトナーの帯電極性である。反転かぶりは、かぶり除去電位差Vbが150Vよりも大きくなるにつれて悪化する。逆に、正規かぶりは、かぶり除去電位差Vbが150Vよりも小さくなるにつれて悪化する。一般的には、かぶり除去電位差Vbを変化させたときに、かぶりが極小となるようにかぶり除去電位差Vbが設定される。
【0008】
こうしたかぶりを抑制する発明として、例えば、特許文献1に記載の発明が提案される。この特許文献1には、葉書のように厚みがあるシートに関して、中間転写ベルト及び感光体ドラムの間の接触圧力が低減されることにより、感光体ドラム上のかぶりトナーがシートに転写し難くなる画像形成装置の発明が記載される。
【0009】
【特許文献1】特開2002−214943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置には、以下のような問題が残存する。すなわち、特許文献1に記載の画像形成装置では、接触圧力の切替には機構部品が介在するため、時間のロスつまり画像形成の生産性低下が引き起こされる。こうした画像形成の生産性の低下は、印刷業者にとって納期の遅延、売上の減少、利益の減少につながり、死活問題といっても過言ではない。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、特別な機構部品を追加することなく高い生産性を維持しつつ、反転かぶり及びシャドーイングを抑制して高品位の画像形成を実行することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、像担持体と、現像剤を担持するとともに前記像担持体に形成された潜像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記トナー像を転写材に転写する転写装置と、前記トナー像が転写される転写材の平滑度に関する平滑度情報が入力される入力部と、前記入力部に入力される平滑度に関する情報が、前記トナー像が転写される転写材が所定の平滑度以上である情報である場合に、所定の平滑度未満である場合よりも、前記像担持体の非画像部電位と前記現像剤担持体に印加されるバイアスの直流成分電位との電位差を低減するように制御するコントローラと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、特別な機構部品が追加されることなく高い生産性が維持されつつ、反転かぶり及びシャドーイングが抑制されて高品位の画像形成が実行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置を図面に基づき詳しく説明する。但し、この実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、特に特定的な記載が無い限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものはない。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の構成図である。図1に示されるように、画像形成装置100は、『像担持体』である回転ドラム型の電子写真感光体ドラム(以下「感光体ドラム」という)1を備える。感光体ドラム1は例えば外径90mmで成形される。ここでは、非晶質シリコン感光体を使用している。感光体ドラム1は、回転方向R1の方向に、所定の周速度で回転駆動され、その表面にて後述の出力画像形成の画像形成プロセスが繰り返し行われる。
【0016】
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の回転方向R1に順に、一次帯電器2、露光器3、現像器4、二次転写ローラ52、トナー濃度センサ9、清掃器7が配置される。一次帯電器2は、感光体ドラム1を帯電する。露光器3は、感光体ドラム1を露光して静電像を形成する。現像器4は、現像剤を担持するとともに感光体ドラム1に形成された潜像をトナー像に現像する現像剤担持体41a、41bを有し、感光体ドラム1に形成された静電像をトナー像として可視化する。現像器4は感光体ドラム1の表面にトナーを転移可能である。現像器4は現像剤担持体41a、41bを有する。現像剤担持体41a、41bには、現像器4に現像バイアスを印加可能な現像バイアス電源47が接続される。二次転写ローラ52には転写バイアス電源57が接続される。感光体ドラム1及び二次転写ローラ52の間には転写部Ztrが確保され、『転写材』であるシートmの搬送方向の下流には定着器6が配置される。また、『トナー濃度検知手段』であるトナー濃度センサ9は、感光体ドラム1の表面から15mm離れ、かつ、清掃器7の外下底70bから10mm下方の位置に配置される。トナー濃度センサ9は、感光体ドラム1の表面に存在するトナーの濃度を検知可能である。また、現像バイアス電源47及び転写バイアス電源57は、『制御装置』である『コントローラ』としてのCPU(Central Processing Unit)11に接続されている。なお、二次転写ローラ52を含んで『転写装置』が構成される。
【0017】
CPU11は、出力すべき画像を形成する出力画像形成期間以外の期間に、出力画像形成期間内の現像バイアスから所定の値の現像バイアスに変更可能である。これにより、CPU11は、帯電極性が反転した帯電極性反転トナーを現像器4から感光体ドラム1の表面に転移するよう制御可能である。
【0018】
また、CPU11は、トナー濃度センサ9が検知したトナーの濃度に基づいて、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』、又は、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』を決定可能である。CPU11は、『帯電極性反転トナーを転移させるための期間』の変更を決定する場合には、現像バイアスの印加時間を変更する。CPU11は、『帯電極性反転トナーを転移させるべき量』の変更を決定する場合には、現像バイアスの直流成分の電圧を変更する。
【0019】
さらに、CPU11は、操作装置91に入力される『平滑度に関する情報』である平滑度FSに基づいて、非画像部電位Vni及び直流成分電位Vdevdcのかぶり除去電位差Vbの絶対値を制御する。すなわち、CPU11は、後述する『入力部』である操作装置91に入力される平滑度FSが、トナー像が転写されるシートmが所定の平滑度以上である情報であるか否かを判断する。CPU11は、平滑度FSが所定の平滑度以上の場合に、所定の平滑度未満の場合よりも感光体ドラム1の非画像部電位Vniと現像剤担持体41a、41bに印加されるバイアスの直流成分電位Vdevdcとのかぶり除去電位差Vbを低減するように制御する。
【0020】
このような画像形成装置100の画像形成工程について以下に簡単に説明する。感光体ドラム1は、コロナ放電方式等の一次帯電器2により、所定の極性、所定の表面電位に一様に帯電する。次いで、感光体ドラム1は、カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光光学系にて構成された露光器3による画像露光Limを受け取る。このことにより、感光体ドラム1の上には、目的の画像に対応した静電像が形成される。続いて、前述した現像器4により現像を行い、トナー像として可視化する。
【0021】
次いで、図示しないシート収納カセットからシート給送ローラによってシートmが、1枚毎に分離搬送されて、レジストローラ対、転写ガイドを経て、感光体ドラム1と転写器5の対向部である転写部Ztrへと所定のタイミングで給送される。転写バイアス電源57により、転写バイアスが転写器5に印加され、シートm上にトナー像が転写される。
【0022】
これらの一連の画像形成プロセスを繰り返すことにより、トナー像は、転写部Ztrに次々と送られてくる後続のシートmに転写されていく。感光体ドラム1上のトナー像が転写されたシートmは、搬送ガイドを経て定着器6へ搬送され、所定値に加熱温調された定着ローラ6aと加圧ローラ6bとの接触部に搬送される。これにより、加熱及び加圧されることによりトナー像の定着処理を受け、最終的な画像形成物として出力される。一方、トナー像転写後の感光体ドラム1上の残トナー等は、清掃器7によって清掃される。
【0023】
なお、出力画像の形成時においては、先ず感光体ドラム1の表面を、コロナ帯電方式の一次帯電器2により一様に帯電する。次いで、半導体レーザの露光器3によりPWMによる画像露光を行う。
【0024】
図2は、感光体ドラム1の層を示す断面図である。図2に示されるように、感光体ドラム1の感光層には非晶質シリコンを使用している中心部のアルミニウム合金等の導電性支持体1a(厚さ3mm)が設けられる。導電性支持体1aの上層には、導電性支持体1aからの反射を防止する為の長波長光吸収層1b(厚さ1μm)が設けられる。長波長光吸収層1bの上層には、導電性支持体1aと同様の導電性支持層1c(厚さ25μm)が設けられる。導電性支持層1cの上層には、電荷注入阻止層1d(厚さ3μm)が設けられる。電荷注入阻止層1dは、導電性支持層体からの電荷の注入を阻止するために設けられ、少なくとも非晶質シリコン系の材料で構成され、光導電性を示す光導電層である。電荷注入阻止層1dの上層には、電荷注入阻止層1dを保護する為の表面保護層1e(厚さ0.5μm)が設けられ、この表面保護層1eが最外周になる。感光体ドラム1は、非晶質シリコンを含む。そのために、感光体ドラム1の耐磨耗性が高いため感光体ドラム1の交換頻度が長く、保守時間が低減できるため高い生産性を維持できる。
【0025】
この感光体ドラム1は、回転方向R1方向に500mm/sの速度で回転駆動され、その表面にて後述の出力画像形成の画像形成プロセスが繰り返し行われる。その定期交換間隔は、JISA4サイズのシート横送りでの連続出力ページ数換算で3000万ページと極めて長いのが、非晶質シリコンを感光層として使用する感光体ドラム1の特徴である。JISA4サイズのシート横送りでの連続出力速度は、100ページ/分である。
【0026】
画像形成にあたって、感光体ドラム1の表面の移動速度は500mm/s以上に設定される。そのために、感光体ドラム1の表面の移動速度が遅くならないことから、高い生産性を維持できる。また、感光体ドラム1の表面のトナーを清掃する清掃器7を独立して備える。そのために、感光体ドラム1の表面の清掃能力が高く、感光体ドラム1の表面移動速度を高めることができるため、高い生産性とさらにかぶりの少ない高画質の画像出力ができる。さらに、感光体ドラム1の画像形成中の移動速度は、シートmの種類に無関係に一定速度に設定される。そのために、感光体ドラム1の表面速度切替に伴う画像形成不能時間が発生しないため、高い生産性を維持できる。
【0027】
図3は、感光体ドラム1の電位及び現像バイアスの直流成分電位の関係を示すグラフである。CPU11が画像形成の制御を開始すると、感光体ドラム1が回転を開始する。図3に示されるように、感光体ドラム1の表面は、コロナ放電方式の一次帯電器2により一様に電位Vi=+500Vに帯電される。次いで、カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力するレーザスキャナによる走査露光光学系にて構成された露光器3による画像露光Limを受ける。このことにより出力すべき画像に対応した静電像(非画像部電位Vni=+150V)が形成される。
【0028】
本実施の形態における露光方式は、背景部露光方式である。すなわち、トナー像を形成すべき部位の感光体ドラム1の電位Viの絶対値が、トナー像を形成すべきでない部位の感光体ドラム1の非画像部電位Vniの絶対値よりも高い。
【0029】
画像露光Limを受けない部分の電位はViのままである。なお、本実施形態では、露光方式として背景部露光方式を用いて説明しているが、これに限らない。例えば、トナー像を形成すべき部位を露光する方式であっても、本発明を適用することができる。
【0030】
図4は、現像器4の断面を示す断面図である。図4を参照し、静電像を現像するために固定的に配置された現像器4に関して以下に説明する。現像容器40は、現像剤dを収容し、感光体ドラム1の長手方向(図4の紙面に直角方向)に延在する開口部を有し、その開口部に現像剤担持体41a、現像剤担持体41bが設置される。現像剤担持体41a、41bは、例えばアルミニウム、SUS等の材料にてともに外径25mmの円筒状に形成される。現像剤担持体41a、41bは、図4を見ると左略半周面を現像容器40の内部に突入し、右略半周面を現像容器40の外部へ露出し、感光体ドラム1と対向するようにして回転自在に横設されている。複数の現像剤担持体41a、41bは、現像剤dを担持しつつ回転して感光体ドラム1に最も近い位置に向かって搬送する。そのために、現像時間が長く複数の現像剤担持体41a、41bのそれぞれに異なった機能を分担させることができるので、尾引きのない高画質の画像出力が可能である。
【0031】
現像剤担持体41a、41b及び感光体ドラム1の間には、間隙Gsda=200μm、間隙Gsdb=300μmが設定される。現像剤担持体41a、41bは、感光体ドラム1の回転方向R1に対し、対向部において同方向である回転方向R2に共に600mm/sの速度で回転駆動される。
【0032】
現像剤担持体41a、41bの内部には、『磁界発生手段』としての永久磁石42a、42bが各々に固定設置されている。
【0033】
現像剤担持体41aの近傍には、『現像剤規制部材』である現像容器40の開口部に固定端を支持され対向する自由端を現像剤担持体41aに近接させた板状の現像剤量規制部材43が設けられる。この現像剤量規制部材43に永久磁石42aの磁極の一が略対向するように配置されている。
【0034】
現像剤攪拌搬送部材44により現像剤担持体41b上に搬送され担持された現像剤dは、その後の現像剤担持体41bの回転に伴い、現像剤担持体41bと現像剤担持体41aの対向部に搬送される。そして、現像剤担持体41bと現像剤担持体41aの間隙Gssに形成された磁界の作用で現像剤担持体41b上に薄層に形成された後、感光体ドラム1との間隙Gsdbへと搬送され、現像が行われる。
【0035】
現像剤担持体41a、41bに現像バイアス電源47より現像バイアスを印加することにより、現像剤担持体41a、41b上に担持された現像剤d中のトナーが感光体ドラム1上の静電像に対向して転移、付着して、静電像をトナー像として可視化する。
【0036】
現像剤dは、キャリア粒子を含まず、磁性トナーのみからなるものであっても良い。そうすると、トナー飛散が少なくキャリア交換が不要であるため、メンテナンス時間が少なく高い生産性を維持できる。
【0037】
図5は、現像バイアスの波形を示すグラフである。図5に示されるように、現像バイアスは、交流成分に直流成分を重畳した矩形波であり、周波数は3kHz、現像バイアス振幅Vpp=0.75kV、現像バイアス波高Vp2=1.5kVである。『平均電位』すなわち直流成分電位は、270Vである。
【0038】
ここで、図3に戻りながら、現像器4による現像以後の作用に関して説明する。現像容器40に収容されている現像剤dは、磁性トナー等から構成され、現像剤量規制部材43と現像剤担持体41の表面との間で摩擦帯電される。
【0039】
次いで、不図示の給紙装置からシートmが1枚毎に、感光体ドラム1と転写器5の対向部へと所定のタイミングで給送される。転写バイアス電源57により、転写バイアスが転写器5に印加され、電界の作用により、感光体ドラム1の表面のトナー像がシートm上に転写される。前述の一連の画像形成プロセスを繰り返すことにより、トナー像は、前記対向部に次々と送られてくる後続のシートmに転写されていく。
【0040】
感光体ドラム1上のトナー像が転写されたシートmは、定着器6へ搬送される。所定温度に調節された定着器6の定着ローラ6aと加圧ローラ6bとの接触部で加熱及び加圧されることによりトナー像の定着処理を受け、最終的な画像形成物として出力される。
【0041】
一方、トナー像転写後に感光体ドラム1上に残留するトナー等は、清掃器7によって清掃される。清掃器7は、感光体ドラム1に接触するゴム等の弾性板状部材(不図示)と感光体ドラム1に非接触の永久磁石ローラ(不図示)等から構成される。
【0042】
図6は、CPU11の制御工程を示すフローチャートである。このCPU11の制御工程は、本実施形態の特徴部分である。図6に示されるように、『制御装置』である『コントローラ』としてのCPU11は、画像形成条件を受信する。すなわち、CPU11は、画像形成されるシートの情報が入力される『入力部』である操作装置91から画像形成に使用するシートmの種類、枚数、後処理等の画像形成条件を受信する(ステップ1、以下ステップを単に『S』と記載する。S1)。
【0043】
次に、CPU11は、入力されたシート情報に基づき、画像形成装置100の内部又は外部に記憶されたシートデータベースを検索して、シート情報を認識する。すなわち、CPU11は、シートmの種類がコート紙であるか否かを判断する(S2)。
【0044】
CPU11は、「YES」の場合(すなわち、入力された画像形成条件に基づいて、シートmの種類が「コート紙」であると判断する場合)には、かぶり除去電位差Vbが+120Vになるように露光器駆動部37及び現像バイアス電源47を制御する(S3)。すなわち、CPU11は、かぶり除去電位差Vbを低減させる。こうした作用によって、反転かぶりは低減する。かぶり除去電位差Vbは、現像器4を構成する現像剤担持体に印加される現像バイアスの直流成分電位Vdevdc及び感光体ドラム1の非画像部電位Vniの差として定義される。
【0045】
CPU11は、「NO」の場合(すなわち、入力された画像形成条件に基づいて、シートの種類が「コート紙」でないと判断する場合)には、かぶり除去電位差Vbの低減を行わないことを決定する(S4)。
【0046】
CPU11は、コピー開始ボタンが押されると(S5)、画像形成を行い(S6)、画像形成が完了した旨を表示し(S7)、完了したら新たな画像形成が可能な旨を操作装置91に表示する。
【0047】
図7は、操作装置91、現像器4及び露光器3の配線関係を示すブロック図である。操作装置91には、トナー像が転写されるシートの平滑度に関する平滑度情報が入力される。図7に示されるように、操作装置91にはCPU11が接続される。CPU11には、現像バイアス電源47及び露光器駆動部37が接続される。現像バイアス電源47には現像器4が接続され、露光器駆動部37には露光器3が接続される。図7に示される『入力部』である操作装置91は、画像形成装置100に設けられ、この操作装置91に後述の図8に示されたようなシートの情報が入力される。
【0048】
図8は、印刷ソフトの設定画面を示す正面図である。シートmの情報の入力にあたっては、パーソナルコンピュータ等の情報端末から情報が入力可能な情報端末装置が利用される。シートmの種類としては、寸法(例えば、A3)、坪量(例えば、105g/m)、表面性(例えば、コート紙)等がある。シートの種類としては、シートmの名称(例えば、オフィスプランナー(商標))又はJANコード番号等を入力してもよい。
【0049】
図9は、操作装置91の表示画面を示す概略図である。図9に示されるように、操作装置91の表示画面には、シートmの種類例えば紙種が複数表示される。
【0050】
図10及び図26は、反転帯電トナーによって反転かぶり及びシャドーイングが発生する原理を説明する概略図である。かぶり除去電位差Vbを低減すると、正規かぶりは増加する(図25に関する前述の説明参照)が、シャドーイングは改善する。
【0051】
第1の理由は、かぶり除去電位差Vbを低減すると、反転かぶり及びシャドーイングを主に構成する反転帯電トナーに対する現像電界強度が低下するからである。第2の理由は、正規かぶりの原因である正規低帯電トナーt1は、反転帯電トナーt2よりも粒径が小さいため、転写時にシートmとの間隙が大きく転写圧が低いからシャドーイングとしてシートm上に転写されない。また、正規かぶりの原因である正規低帯電トナーt1は、反転帯電トナーt2よりも粒径が小さいため、シートm上に同じ個数存在した場合でも目立ちにくいこともある。なお、正規低帯電トナーt1と反転帯電トナーt2は、適正帯電トナーよりも粒径が大きい。
【0052】
逆に、かぶり除去電位差Vbを増加させると、反転かぶり及びシャドーイングを構成する反転帯電トナーに対する現像電界強度が増加し、反転かぶり及びシャドーイングは悪化する。
【0053】
シャドーイングが発生するメカニズム、及びシャドーイングの原因が反転帯電トナーt2であることの理由については、詳しいことはわかっていないが、以下のように考えられる。即ち、反転帯電トナーt2がシャドーイングとなる部位においては感光体ドラム1の非画像部電位Vniと現像剤担持体の直流成分電位Vdevdcの差が大きい(ΔVt1)。そのため、画像部に含まれる反転帯電トナーt2を非画像部に移動させる電界(回り込み電界)の力を受けるからである。
【0054】
逆に正規低帯電トナーt1がシャドーイングとならない理由は、この部位においては、正規低帯電トナーt1は、画像部方向の電界による力を受けるからだと考えられる。(図26)。
【0055】
シートの種類が「コート紙」でない場合、CPU11は、かぶり除去電位差Vbが+150Vになるように露光器駆動部37を制御する。
【0056】
図11は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成、条件、設定等を示す。図12は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の各構成、条件、設定毎の性能等を示す。これらによれば、本発明の実施形態に係る画像形成装置の優位性が理解できる。なお、図12中の*1は、A4サイズのコート紙を表紙及び裏表紙とし、両面に印刷されたA4サイズ、画像面積比率が5%の非コート紙で100ページを内容とする冊子の出力に関するデータである。図12中で、○は、その現象が生じなかったことを意味し、×は、その現象が生じたことを意味する。
【0057】
なお、本実施形態では、シート情報は、操作装置91(図9参照)から取得していたが、これに限らない。例えば、シートmの表面を検知する検知手段を設け、この検知手段の検知結果をCPU11が取得し、かぶり除去電位差Vbを制御してもよい。
【0058】
図13は、平滑度の測定原理の説明図である。平滑度の測定にあたっては、例えば、ベック式の測定方法が採られる。これは、空気を用いてシートmの平滑度を測定する方法である。図13に示されるように、標準板Eの上には、平滑度を測定したい面を下向きにしてシートmが載せられる。このシートmの上には、錘Fが載せられる。接続管Cの空気が減圧されると、蒸留水Dが高さRから高さSまで上昇する。この蒸留水Dが高さSまで上昇したときに、減圧作業を停止すると、標準板E及びシートmの間から空気が流入し、蒸留水は高さSから高さRへと下降する。この高さSから高さRへと下降するにあたって空気の流入量は10mlに設定され、その10mlの空気が流入する時間が、ベック式の平滑度の値となる。シートmの表面が粗い場合には、標準板E及びシートmの間から空気が流入し易いことから、時間が短縮されて、平滑度は低い値となる。シートmの表面が細かい場合には、標準板及びシートmの間から空気が流入し難いことから、時間が延びて、平滑度は高い値となる。例えば『所定の平滑度』は、ベック式平滑度計で測定される2500秒に相当するように設定される。
【0059】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置100と同一の構成であり、同一の符号を付して説明を適宜省略する。本発明の第2実施形態に係る画像形成装置には次の点に特徴がある。すなわち、第2実施形態では、CPU11は、操作装置91に入力される『平滑度に関する情報』である平滑度FSが、トナー像が転写されるシートmが所定の平滑度以上である情報であるか否かを判断する。そして、CPU11は、平滑度FSが所定の平滑度以上である場合に、所定の平滑度未満である場合よりも、『現像バイアスの振幅』である現像バイアス振幅Vppを低減する点である。すなわち、第2実施形態の画像形成装置では、CPU11は、平滑度FSが所定の平滑度以上であると判断すると、かぶり除去電位差Vbの絶対値を低減すると同時に、現像バイアス振幅Vppを低減する。この理由は、かぶり除去電位差Vbの絶対値を低減すると線幅が大きくなるため、これを抑制するために現像バイアス振幅Vppを低減する。
【0060】
ここで、図3を参照し、かぶり除去電位差Vbが小さく設定された場合に、線幅WLが増加する原理を説明する。図3に示されるように、かぶり除去電位差Vbが大きく設定されると、線Lの端部LEと背景部間の電界が強まり、現像されるトナーの中の反転帯電トナーが端部LEに付着し難くなるため、線幅WLが低下する。逆に、かぶり除去電位差Vbが小さく設定されると、線Lの端部LEと背景部間の電界が弱まり、現像されるトナーの中の反転帯電トナーが端部LEに付着し易くなるため、線幅WLが増加する。
【0061】
次に、図7を参照し、第2実施形態に係る画像形成装置の作用を説明する。入力された画像形成条件のうちでシートmの種類が「コート紙」である場合、図7に示されるCPU11は、かぶり除去電位差Vbが120Vになるように露光器駆動部37及び現像バイアス電源47を制御する。
【0062】
図14は、かぶり及びかぶり除去電位差Vbの関係を示すグラフである。図14の線図Xは、通常のシートの場合に設定するかぶり除去電位差Vbのグラフ、及び、図14の線図Yは、特定のシートの場合に設定するかぶり除去電位差Vbのグラフである。CPU11が露光器駆動部37及び現像バイアス電源47を制御して、かぶり除去電位差Vbが+120Vになるように低減すると、反転かぶりは低減するが、正規かぶりは増加する。この場合に、線幅WLが増加してしまうので、CPU11は、現像バイアス電源47を制御して、現像バイアス振幅Vpp=0.5kV、現像バイアス波高Vp2=1kVとなるように設定する。これにより、正規かぶりは低減され、線幅WLは適正になる。
【0063】
図15は、CPU11の制御工程を示すフローチャートである。S1、S2のフローに関しては図6と同様であるので、図15の説明に図6の説明を援用する。CPU11がシートmの種類がコート紙であるか否かを判断した結果(S2)、YESの場合には、前述のように、かぶり除去電位差Vb及び現像バイアス振幅Vppが低減される(S3)。NOの場合には、かぶり除去電位差Vb及び現像バイアス振幅Vppが低減されない(S4)。そして、CPU11は、コピー開始ボタンが押下されると(S5)、画像形成を行い(S6)、画像形成が完了した旨を表示し(S7)、完了したら新たな画像形成が可能な旨を操作装置に表示する。
【0064】
ここで、現像バイアス振幅Vppを小さくするとかぶり及び線幅WLが低下する理由は、次の通りである。現像バイアス振幅Vppを小さくする。そうすると、現像バイアスの一周期で現像剤担持体41a、41bの直流成分電位Vdevdcが小さくなる期間(図5中で時間0−0.5の期間)に、現像剤担持体の直流成分電位Vdevdcと感光体ドラム1の画像部の電位Viとの差Vcが小さくなる。その結果、感光体ドラム1の画像部へのトナーの付着量が減るからである。
【0065】
また、現像バイアス振幅Vppを小さくする。そうすると、現像バイアスの一周期で現像剤担持体41a、41bの直流成分電位Vdevdcが高くなる期間(図5中で時間0.5−1の期間)に、現像剤担持体の直流成分電位Vdevdcと感光体ドラム1の画像部の非画像部電位Vniとの差Vcが小さくなる。その結果、感光体ドラム1の非画像部へのトナーの付着量が減るからである。
【0066】
シートmの種類が「コート紙」でない場合、CPU11は、かぶり除去電位差Vbが150Vになるように露光器駆動部37を制御し、現像バイアス振幅Vppが0.75kV、現像バイアス波高Vp2=1.5kVとなるように現像バイアス電源47を制御する。
【0067】
図11及び図12によれば、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の優位性が理解できる。
【0068】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置100と同一の構成であり、同一の符号を付して説明を適宜省略する。第3実施形態に係る画像形成装置が画像形成装置100と以下の点で異なる。すなわち、第3実施形態に係る画像形成装置には以下の点に特徴がある。CPU11は、『平滑度に関する情報』である平滑度FSが所定の平滑度以上と判断すると、かぶり除去電位差Vb及び現像バイアス振幅Vppの絶対値を低減すると同時に、露光器3による静電像の主走査方向に連続する凹凸の少なくとも一部を除去する点である。第3実施形態の画像形成装置では、CPU11は、感光体ドラム1に対して光ビームを主走査方向及び副走査方向の少なくとも何れか一方に走査する。そして、CPU11は、操作装置91に入力される平滑度FSが、シートmが所定の平滑度以上との情報の場合は、感光体ドラム1の軸方向に所定幅連続する画像を形成する際に、所定幅連続する画像の少なくとも一部を間引くように画像形成データを変更する。別の表現をすると、CPU11は、平滑度FSが所定の平滑度以上であると判断すると、かぶり除去電位差Vbを低減すると同時に、露光器3による静電像の主走査方向に連続する凹凸の少なくとも一部を除去するということである。なお、主走査方向は、図1中の紙面と直交する方向であり、副走査方向は、図1中の感光体ドラム1より外側の円周方向である。
【0069】
本実施の形態において複写の際を例に説明すると、入力された画像形成条件のうち、シートmの種類が「コート紙」である場合、CPU11は、かぶり除去電位差Vbが120Vになるように露光器駆動部37を制御する(図7)。これにより、反転かぶりは低減するが、正規かぶりは増加し(図14)、線幅WLが増加してしまうので、現像バイアス振幅Vppが1kVとなるように現像バイアス電源47を制御する。
【0070】
図16は、CPU11の制御工程を示すフローチャートである。かぶり除去電位差Vb及び現像バイアス振幅Vppの制御により、「線幅WL」は適正になるが、若干の「尾引き」や「爆発」が発生することがある。そのために、図16に示されるように、CPU11は、線画像の間引き処理を行う(S2、S33)ように制御する。NOの場合には、CPU11は、線画像の間引き処理を行わない(S2、S34)ように制御する。コピー開始ボタンが押下げられて画像形成の開始が指示されると(S5)、画像形成を行い(S6)、画像形成が完了したら新たな画像形成が可能な旨を操作装置に表示する(S7)。
【0071】
ここで、「爆発」とは、本来の線画像の進行方向の上下流にトナーが分布する画像不良である。出力すべき画像を構成するトナー量が多いほど悪く、出力すべき画像と一体である点でシャドーイングと異なる。
【0072】
図17は、爆発の状態を示すシートmの平面図である。画像の爆発とは、図17に示されるように、シートmの進行方向Aにおいて、線画像の後側に影のような模様が付くことである。図18は、尾引きの状態を示すシートmの平面図である。画像の尾引きとは、図18に示されるように、シートmの進行方向Aにおいて、線画像の後側に氷柱(つらら)のような模様が付くことである。
【0073】
ここで、尾引き又は爆発が発生する理由は、次の通りである。すなわち、前述のとおり、本実施の形態においては、シートの種類が「コート紙」でない場合に比べて、かぶり除去電位差Vb及び現像バイアス振幅Vppを低下させている。かぶり除去電位差Vbの低下による線幅WLの増加は、現像バイアス振幅Vppの低下により補正しているのである。このように現像バイアス振幅Vppを低下させると、いわゆるエッジ効果(画像縁辺部のトナー量が、中央部比べ多くなる)が悪化するため、端部に過剰に付着したトナー量が増えるためである。
【0074】
図19は、間引きを説明する概略図である。図19(a)は、間引き前の線画像を示す概略図である。図19(b)は、間引き後の線画像を示す概略図である。間引き処理は、図19(a)に示されるような主走査方向に連続する部分を有する画像を、画像露光の時点で、図19(b)に示されるように除去することである。図19(b)はあくまで、画像露光の時点での状態を示すものであり、定着時にはトナーが押しつぶされて間引き部分も覆うため、出力画像では間引きされた画素は顕在化しない。間引き処理としては、特開平09−323448等で開示されている公知の方法が使用可能である。
【0075】
シートの種類が「コート紙」でない場合、CPU11は、かぶり除去電位差Vbが150Vになるように露光器駆動部37を制御し、現像バイアス振幅Vpp=0.65kV、現像バイアス波高Vp2=1.3kVとなるように現像バイアス電源47を制御する。画像の間引き処理は行わない(図16のS33、S34)点も、シートmの種類が「コート紙」である場合と異なる。
【0076】
図11及び図12によれば、本発明の実施形態に係る画像形成装置の優位性が理解できる。
【0077】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置100と同一の構成であり、同一の符号を付して説明を適宜省略する。本発明の第4実施形態に係る画像形成装置が第1実施形態に係る画像形成装置100と異なる点は、CPU11は、シートmの種類を自動的に認識する点である。
【0078】
図20は、シート種類判別センサ99の構成を示す断面図である。図20に示されるように、シートmの種類の認識をシート種類判別センサ99で行う。シート種類判別センサ99は、『第1照射手段』であるLED991、『第1読取手段』であるフォトトランジスタ993、『第2読取手段』であるフォトトランジスタ992等を有している。
【0079】
LED991を光源とする光は、スリット995を介してシート搬送ガイド59上のシートmの表面に対し照射される。また、シート搬送ガイド59は、この例ではシートmの裏面側から光を照射するための窓を設けてある。シートmからの反射光は、スリット996、997を介し集光されてフォトトランジスタ992、993に受光される。これによってシートmの光沢度を検出する。光沢度と平滑度はほぼ正の相関があることがわかっていることから、所定の光沢度を超えた場合は、そのシートmはコート紙であると判断する。
【0080】
こうした第4実施形態の画像形成装置によれば、シートmの種類の設定を行う必要がないため、画像形成開始までの時間が短縮される。
【0081】
前述したように、第1〜第4実施形態の画像形成装置によれば、特別な機構部品が追加されることなく高い生産性が維持されつつ、反転かぶり及びシャドーイングが抑制されて高品位の画像形成が実行される。平滑度の高いシートmへの画像形成の際に画像形成中の感光体ドラム1の表面の移動速度を維持したままかぶり除去電位差Vbを低減する。平滑度の高いシートmを使用する場合においても高画質の画像出力が可能である。
【0082】
第2〜第3実施形態の画像形成装置によれば、平滑度FSが所定の平滑度以上である場合に、現像バイアス振幅Vppが低減されることから、正規かぶり及び線幅の変化が抑制され、高画質の画像出力が可能である。
【0083】
第3実施形態の画像形成装置によれば、露光器3による静電像の主走査方向である感光体ドラム1の軸方向に所定幅で連続する画像の少なくとも一部が除去(間引き)されることから、尾引き及び爆発が抑制され、高画質の画像出力が可能である。
【0084】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではない。感光体ドラム1はドラム状のものに限定されるものではなく、ベルト状或いはシート状であっても良い。また、感光層としては、負帯電性のものであってもよいし、有機感光体から形成されていてもよい。
【0085】
また、画像露光は、画像部に対して行ってもよい(画像部露光方式)。この場合、画像露光部にトナーが付着することとなり、非画像部には画像露光を行わない。
【0086】
さらに、一次帯電方式としては、弾性ローラ、弾性ブレード、帯電粒子により構成されたブラシを感光体ドラム1に接触させても良い。
【0087】
また、転写方式として、ベルト上に担持されたシートmに感光体ドラム1からトナー像を転写した後、このベルトからシートmを分離するベルト転写方式を用いてもよい。感光体ドラム1に形成されたトナー像を一旦中間転写体に一次転写した後、この中間転写体からシートmにトナー像を二次転写する中間転写方式を採用した画像形成装置においても本発明は等しく適用することができる。
【0088】
感光体ドラム1の数も、1つに限定するものではなく、カラー画像を形成する場合等においては、2つ以上であってもよい。
【0089】
一の感光体ドラム1に対応する現像装置の数も、一に限定するものではなく、カラー画像を形成する場合等においては、二以上であってもよい。一の現像装置が備える現像剤担持体の数も、一又は二に限定するものではなく、さらに高速の画像形成を行う場合等においては、三以上であってもよい。なお、実施形態では、現像剤担持体の数は二である。
【0090】
定着装置としても、シートを狭持する部材としては、ローラの代わりに、ベルト状の部材であってもよい。定着装置の数も、1つに限定するものではなく、さらに高速の画像形成を行う場合等においては、2つ以上であってもよい。
【0091】
現像バイアス振幅Vpp、周波数f、平均電位、感光体ドラム1の表面電位等の詳細な設定を記載した項目についても、画像形成装置の用途・使用環境等に応じて最適のものにすべきことはいうまでもない。
【0092】
以後、本発明によらない画像形成装置について簡単に説明する。
【0093】
(第1比較例)
本比較例においては、平滑度の高いシートmにおいても、かぶり除去電位差Vbを変更しない点のみ第1実施形態と異なる。図11及び図12に示す通り、シャドーイング、反転かぶり、正規かぶりいずれも許容できないレベルであることがわかる。
【0094】
(第2比較例)
本比較例においては、シートmの種類の認識は行わないので、平滑度の高いシートmにおいても画像形成条件は一切変更しない点のみ第1実施形態と異なる。図11及び図12に示す通り、シャドーイング、反転かぶり、正規かぶりいずれも許容できないレベルであることがわかる。
【0095】
(第3比較例)
本比較例においては、感光体ドラム1の表面に対して接触する転写部材の接触圧力を切替える接触圧力切替手段を有している点のみ第1実施形態と異なる。接触圧力切替に約10秒要するので、この間の画像形成は不能となる。図11及び図12に示す通り、画質は問題ないが、画像形成の生産性は、接触圧力切替を行わない場合に比べ大幅に劣ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】感光体ドラムの層を示す断面図である。
【図3】感光体ドラムの電位及び現像バイアスの直流成分電位の関係を示すグラフである。
【図4】現像器の断面を示す断面図である。
【図5】現像バイアスの波形を示すグラフである。
【図6】コントローラの制御工程を示すフローチャートである。
【図7】操作装置、現像装置及び露光装置の配線関係を示すブロック図である。
【図8】印刷ソフトの設定画面を示す正面図である。
【図9】操作装置の表示画面を示す概略図である。
【図10】正規帯電トナーによってシャドーイングが発生する原理を説明する原理を示す概略図である。
【図11】画像形成装置の構成、条件、設定等を示す。
【図12】画像形成装置の各構成、条件、設定毎の性能等を示す。
【図13】平滑度の測定原理の説明図である。
【図14】この発明の第2実施形態に係る画像形成装置に関し、かぶり及びかぶり除去電位差の関係を示すグラフである。
【図15】CPUの制御工程を示すフローチャートである。
【図16】この発明の第3実施形態に係る画像形成装置に関し、CPUの制御工程を示すフローチャートである。
【図17】爆発の状態を示すシートの平面図である。
【図18】尾引きの状態を示すシートの平面図である。
【図19】間引きを説明する概略図である。
【図20】この発明の第4実施形態に係る画像形成装置に関し、シート種類判別センサの構成を示す断面図である。
【図21】電子写真式の画像形成装置で使用されるトナーの帯電電荷の分布図である
【図22】現像器の構成を示す断面図である。
【図23】シートの表面に生じたシャドーイングを示す平面図である。
【図24】かぶり及びシートの平滑度の関係を示すグラフである。
【図25】かぶり及びかぶり除去電位差の関係を示すグラフである。
【図26】画像の先後端部で電界からトナーが受ける力を説明する図。
【符号の説明】
【0097】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 一次帯電器
3 露光器
4 現像器
11 CPU(コントローラ)(制御装置)
52 二次転写ローラ(転写装置)
91 操作装置(入力部)
100 画像形成装置
Vb かぶり除去電位差
Vni 非画像部電位
Vdevdc・・・バイアスの直流成分電位
Vpp 現像バイアス振幅
d 現像剤
m シート(転写材)
FS 平滑度(平滑度に関する情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
現像剤を担持するとともに前記像担持体に形成された潜像をトナー像に現像する現像剤担持体と、
前記トナー像を転写材に転写する転写装置と、
前記トナー像が転写される転写材の平滑度に関する平滑度情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力される平滑度に関する情報が、前記トナー像が転写される転写材が所定の平滑度以上である情報である場合に、所定の平滑度未満である場合よりも、前記像担持体の非画像部電位と前記現像剤担持体に印加されるバイアスの直流成分電位との電位差を低減するように制御するコントローラと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記入力部に入力される平滑度に関する情報が、前記トナー像が転写される転写材が所定の平滑度以上である情報である場合に、所定の平滑度未満である場合よりも、現像バイアスの振幅を低減することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記入力部に入力される平滑度に関する情報が、前記トナー像が転写される転写材が所定の平滑度以上である情報である場合は、前記像担持体の軸方向に所定幅連続する画像を形成する際には、前記所定幅連続する画像の少なくとも一部を間引くように画像形成データを変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図4】
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【図17】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−169864(P2010−169864A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11892(P2009−11892)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】