説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成で感光体ドラムのベンディングに起因する画像の歪みを補正することができ、色ずれの目立たない高品質の画像を得ることのできる画像形成装置を得る。
【解決手段】比較的外径の小さい感光体ドラム10y,10m,10cと、比較的外径の大きい感光体ドラム10kを並置した画像形成装置。光ビーム走査装置30にて各感光体ドラムの外周面に光ビームを走査して画像を描画する。光ビーム走査装置30の制御部に入力された画像データを、補正回路にて感光体ドラム10y,10m,10cのベンディングによる画像歪みに基づいて、転写部Bにおいて直線状となるように補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、複数の感光体ドラムを並置したタンデム方式のカラープリンタや複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タンデム方式の画像形成装置においては、図5に示すように、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の画像を形成するための感光体ドラム10y,10m,10c,10kを並置し、光ビームBy,Bm,Bc、Bkによる主走査方向への走査によって各感光体ドラムの外周面に静電潜像を形成し、現像器12でトナー画像とした後、各転写ローラ15から付与される電界にてトナー画像を中間転写ベルト20上に1次転写/合成していた。中間転写ベルト20上で合成されたトナー画像は図示しない転写材上に2次転写される。
【0003】
ところで、タンデム方式の画像形成装置では、装置の小型化の要請から感光体ドラムは小径化の傾向にある。しかし、ブラック画像を形成するための感光体ドラム10kに関しては、使用頻度が高いことから耐久性を保障するために他のドラム10y,10m,10cよりも大径化している。
【0004】
感光体ドラムが小径化すると、慣性モーメントが小さくなるので、圧接されている残留トナーのクリーニングブレード13からの圧接力によりドラム自体に撓み(ベンディング)が発生する。図6(A)に示すように、ベンディングに起因して、露光部Aでは直線状に走査されたラインL1がほぼ180度回転して転写部Bに至ると歪みが生じたラインL1’となる。一方、大径の感光体ドラム10kに関しては慣性モーメントが大きいのでベンディングが生じることはなく、図6(B)に示すように転写部Bにおいても直線状のラインL1を維持する。従って、合成された画像は図6(C)に示すように色ずれを生じることになる。
【0005】
かかる色ずれという不具合を解決するため、従来、特許文献1,2などに記載の画像形成装置が提案されている。特許文献1では、感光体ドラムのベンディングに起因する色ずれを三つのセンサで検出し、画像データを修正している。特許文献2では、中間転写ベルト上の色ずれパターンから回転むらを測定し、周期的な回転変動を打ち消すように各感光体ドラムの回転速度を制御している。しかし、いずれも検出手段、測定手段を配置する必要があり、装置の複雑化を招いていた。
【特許文献1】特開2000−103121号公報
【特許文献2】特開2006−047920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で感光体ドラムのベンディングに起因する画像の歪みを補正することができ、色ずれの目立たない高品質の画像を得ることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一形態である画像形成装置は、
他の感光体ドラムよりも外径が大きい少なくとも一つの感光体ドラムを含む複数の感光体ドラムと、
所定の周速度で回転駆動される前記各感光体ドラムの外周面上に光ビームで主走査方向に画像を描画し、静電潜像を形成する光ビーム走査手段と、
前記各感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー像とする現像手段と、
前記トナー像を各感光体ドラム上から転写部材に転写して合成する転写手段と、
を備え、
前記光ビーム走査手段の制御部に入力された画像データを、前記感光体ドラムのベンディングによる画像歪みに基づいて、転写部において直線状となるように補正し、補正された画像データによって前記感光体ドラムを走査すること、
を特徴とする。
【0008】
前記画像形成装置においては、光ビーム走査手段の制御部に入力された画像データを、感光体ドラムのベンディングによる画像歪みに基づいて、転写部において直線状となるように補正し、補正された画像データによって感光体ドラムを走査する。補正された画像データは、露光部において逆方向の歪みを与えられたものである。
【0009】
即ち、本発明においては、画像歪みの検出センサや回転むらの測定手段を設けることなく、光ビーム走査手段の制御部に画像データの補正回路を設けるという簡単な構成で、転写部における画像歪みを補正することができ、色ずれを目立たなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本発明の一実施例である画像形成装置は、タンデム方式によってカラー画像を形成するもので、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の画像を形成するための比較的小径の感光体ドラム10y,10m,10cと、K(ブラック)の画像を形成するための比較的大径の感光体ドラム10kとが並置されている。各感光体ドラムの周囲には、帯電チャージャ11、現像器12、転写ローラ15、残留トナーのクリーニングブレード13などが配置されている。
【0012】
感光体ドラム10y,10m,10c,10kの直上には中間転写ベルト20が駆動ローラ21、支持ローラ22及びテンションローラ23に無端状に張り設けられ、反時計回り方向に回転可能に設置されている。
【0013】
画像は光ビーム走査装置30によって露光部Aにおいて各感光体ドラムの外周面に主走査方向(感光体ドラムの軸方向と平行な方向)に描画される。光ビーム走査装置30は、図示しない光源ユニットと、単一のポリゴンミラー31と、第1及び第2走査レンズ32,33と、複数の折返しミラー35y,35m,35c,35k,36y,36m,36c,37cと、第3走査レンズ34y,34m,34c,34kとで構成されている。
【0014】
光ビームBy,Bm,Bc,Bkは単一のポリゴンミラー31で偏向された後、第1及び第2走査レンズ32,33を透過する。その後、光ビームByは折返しミラー35y、第3走査レンズ34y、折返しミラー36yを経て感光体ドラム10yを露光する。光ビームBmは折返しミラー35m、第3走査レンズ34m、折返しミラー36mを経て感光体ドラム10mを露光する。光ビームBcは折返しミラー35c,36c、第3走査レンズ34c、折返しミラー37cを経て感光体ドラム10cを露光する。光ビームBkは第3走査レンズ34k、折返しミラー35kを経て感光体ドラム10kを露光する。第1、第2及び第3走査レンズ32,33,34は、それぞれ、光学系におけるfθ特性や像面湾曲、走査ラインの傾き、ボウ(像面での弓状湾曲)などを補正する機能を有している。
【0015】
以上の構成において、露光部Aでは光ビームによる主走査方向への露光によって所定の周速度で回転駆動されている各感光体ドラムの外周面に静電潜像が形成され、現像器12でトナー画像とした後、転写部Bにおいて各転写ローラ15から付与される電界にてトナー画像を中間転写ベルト20上に1次転写/合成する。中間転写ベルト20上で合成されたトナー画像は2次転写部Cにおいて図示しない転写材上に2次転写される。
【0016】
ところで、図6に示したように、小径の感光体ドラム10y,10m,10cにあってはクリーニングブレード13の圧接力によってベンディングを生じ、露光部Aで直線状に描画された画像が転写部Bにおいて歪みが発生し、色ずれになる。前記光ビーム走査装置30では画像の歪みが生じないように各光学素子を補正している。しかし、感光体ドラム10y,10m,10cのベンディングによる歪みは、光ビーム走査装置30に内蔵されている光学素子とは別の原因で独自に発生している。
【0017】
そこで、本実施例では、図2(B)に示すように、光ビーム走査装置30の制御部に入力された画像データを、感光体ドラム10y,10m,10cのベンディングによる画像歪みに基づいて、転写部Bにおいて直線状となるように補正し、補正された画像データによって感光体ドラム10y,10m,10cを走査する。元の画像データは図2(A)に示すように直線状であり、この画像データを図2(B)に示すように露光部Aにおいて逆方向の歪みを与えるように補正する。
【0018】
具体的には、予め、感光体ドラム10y,10m,10cのベンディングを算出し、算出されたベンディング量に基づいて画像データのビットマップデータを補正する。なお、ベンディング量は、感光体ドラムの外径、肉厚などとクリーニングブレードの圧接力に基づいて算出される。
【0019】
画像データをこのように補正することで、図3(A)に示すように、露光部Aにおいて感光体ドラム自体が有する撓みと逆方向の歪みを与えらた走査ラインL1’として描画され、ほぼ180度回転した転写部Bにおいて直線状の走査ラインL1となり、画像歪みが補正される。大径の感光体ドラム10kは慣性モーメントが大きいのでクリーニングブレード13の圧接によるベンディングが生じることはなく(生じても極めて小さく)、転写部Bにおいて走査ラインL1が歪むことはない(図3(B)参照)。それゆえ、合成された画像は各走査ラインL1が一致し(図3(C)参照)、色ずれのない高品質な画像を得ることができる。
【0020】
図4に、光ビーム走査装置30の制御部40の概略構成を示す。Y,M,C,Kの各画像データは画像処理回路45で必要なシェーディング処理などの必要な処理を施される。Y,M,Cの画像データは、画像処理回路45から補正回路41y,41m,41cに入力されて前述の歪み補正を施され、光源であるレーザダイオードLDy,LDm,LDcを駆動する駆動回路42y,42m,42cに入力される。一方、Kの画像データは画像処理回路45からレーザダイオードLDkを駆動する駆動回路42kに直接入力される。
【0021】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成装置は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0022】
例えば、図4において、制御部40は簡略化して図示されており、補正回路41y,41m,41cは制御部40の任意の箇所に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】画像データを示す説明図である。
【図3】画像の歪み及びその補正状態を示す説明図である。
【図4】制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】従来の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図6】画像の歪み及び色ずれを示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10y,10m,10c,10k…感光体ドラム
12…現像器
13…クリーニングブレード
20…中間転写ベルト
30…光ビーム走査装置
40…制御部
41y,41m,41c…補正回路
By,Bm,Bc,Bk…光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の感光体ドラムよりも外径が大きい少なくとも一つの感光体ドラムを含む複数の感光体ドラムと、
所定の周速度で回転駆動される前記各感光体ドラムの外周面上に光ビームで主走査方向に画像を描画し、静電潜像を形成する光ビーム走査手段と、
前記各感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー像とする現像手段と、
前記トナー像を各感光体ドラム上から転写部材に転写して合成する転写手段と、
を備え、
前記光ビーム走査手段の制御部に入力された画像データを、前記感光体ドラムのベンディングによる画像歪みに基づいて、転写部において直線状となるように補正し、補正された画像データによって前記感光体ドラムを走査すること、
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−44132(P2010−44132A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206593(P2008−206593)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】