説明

画像記録装置

【課題】わかり易く方位を表示することができる画像記録装置を提供する。
【解決手段】被写体を撮影する撮影部16と、方位を計測する方位計測部8と、前記撮影部における撮影方向の水平面に対する傾斜角度を計測する傾斜角度計測部10と、前記方位計測部により計測した前記方位を示す画像を表示する表示部12と、前記傾斜角度計測部により計測した前記傾斜角度に基づいて前記表示部の表示を変更する表示制御部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部において撮影方位を表示するデジタルカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−94870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このデジタルカメラにおいては、撮影レンズを天空や地面の方向に向けた場合において、適切に撮影方位を表示することができないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、わかり易く方位を表示することができる画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像記録装置は、被写体を撮影する撮影部と、方位を計測する方位計測部と、前記撮影部における撮影方向の水平面に対する傾斜角度を計測する傾斜角度計測部と、前記方位計測部により計測した前記方位を示す画像を表示する表示部と、前記傾斜角度計測部により計測した前記傾斜角度に基づいて前記表示部の表示を変更する表示制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像記録装置によれば、わかり易く方位を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係る電子カメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る電子カメラの傾斜角度を示す側面図、及び電子カメラを傾斜させることにより変化するLCD表示部の表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る画像記録装置について電子カメラを例に説明する。図1は、実施の形態に係る電子カメラ2の構成を示すブロック図である。電子カメラ2は、CPU4を備え、CPU4には、GPS衛星から受信した信号に基づいて自己位置を測位するGPS6、方位を計測する電子コンパス8、重力加速度を検出することにより水平面に対する電子カメラ2の撮影方向の傾斜角度を計測する加速度センサ10が接続されている。
【0010】
また、CPU4には、被写体を撮影する撮影モードを設定するモードボタン(不図示)、レリーズ指示を行うレリーズボタン34(図2(a)参照)等を含む操作部11、スルー画像や方位を示す画像等を表示するLCD表示部12の表示制御を行う表示制御部14、撮影レンズ28(図2(a)参照)を介した被写体光を撮像して撮像信号を生成する撮像素子16、撮像素子16から出力された撮像信号により生成された画像データを一時的に記憶する画像記憶部18、電子コンパス8及び加速度センサ10により計測して得られた情報を一時的に記憶する情報記憶部20、LCD表示部12において表示する方位を示す画像の画像データを記憶する画像データ記憶部22、Exif等の所定のファイル形式で画像データを記憶するメモリカード24、LCD表示部12において方位を示す画像の表示等を行うためのプログラム等を格納するプログラムメモリ26が接続されている。
【0011】
ここで、画像データ記憶部22には、複数の方位を示す画像、即ち、方位を文字で示す画像(以下、文字画像と略す。)、及びコンパスの針で方位を示す画像(以下、コンパス画像と略す。)の画像データが記憶されている。
【0012】
次に、図面を参照して実施の形態に係る電子カメラ2の処理について説明する。まず、モードボタンが操作されて撮影モードが設定されると、CPU4は、撮像素子16によりスルー画像の撮影を開始し、LCD表示部12においてスルー画像を表示する。
【0013】
次に、CPU4は、電子コンパス8により方位を計測することにより現在の方位に関する情報(以下、現在の方位情報という。)を取得する。また、加速度センサ10により撮影方向の水平面に対する傾斜角度を計測することにより現在の傾斜角度に関する情報(以下、現在の傾斜角度情報という。)を取得する。ここで、現在の方位情報の取得及び現在の傾斜角度情報の取得は一定時間間隔で行われ、取得された現在の方位情報及び現在の傾斜角度情報は情報記憶部20に記憶される。
【0014】
次に、CPU4は、情報記憶部20から現在の傾斜角度情報を読み出し、現在の傾斜角度情報に基づいて画像データ記憶部22から読み出す画像データを決定する。例えば、図2(a)に示すように、撮影レンズ28が水平方向に向けられ、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として±60°の範囲内にある場合、CPU4は、画像データ記憶部22から文字画像の画像データを読み出す。
【0015】
次に、CPU4は、情報記憶部20から現在の方位情報を読み出し、また、画像データ記憶部22から文字画像の画像データを読み出し、図2(b)に示すように、現在の方位情報に基づいて、文字で方位を示す文字画像30をLCD表示部12において表示されているスルー画像上に重ねて表示する。
【0016】
次に、CPU4は、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として+側(−側)に60°を超えたか否かを判定する。現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として+側(−側)に60°を超えていない場合、即ち、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として±60°の範囲内にある場合、CPU4は、LCD表示部12において継続して文字画像30を表示する。
【0017】
一方、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として+側(−側)に60°を超えた場合(図2(a)参照)、CPU4は、LCD表示部12に表示されている文字画像30の表示を判定結果に基づいて他の表示に変更する。例えば、撮影レンズ28が地面の方向を向くように電子カメラ2が傾けられ、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として+側に60°を超えたとする。この場合、CPU4は、情報記憶部20から現在の方位情報を読み出し、また、画像データ記憶部22からコンパス画像の画像データを読み出し、図2(c)に示すように、現在の方位情報に基づいて、コンパスの針の指向する方位を示すコンパス画像32をLCD表示部12において表示されているスルー画像上に重ねて表示する。
【0018】
なお、撮影レンズ28が天空の方向を向くように電子カメラ2が傾けられ、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として−側に60°を超えた場合(図2(a)参照)、CPU4は、画像データの読み出しを行わず、図2(d)に示すように、LCD表示部12において方位を示す画像を表示しない。
【0019】
LCD表示部12においてコンパス画像32が表示された場合(図2(c)参照)、または、方位を示す画像の表示されない場合(図2(d)参照)、CPU4は、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として、±60°の範囲よりも狭い±50°の範囲内(図2(a)参照)に戻ったか否かを判定する。
【0020】
例えば、再び撮影レンズ28が水平方向を向くように電子カメラ2が傾けられ、撮影方向の傾斜角度が地面方向90°(天空方向90°)を基準として40°を超えた場合、即ち、現在の傾斜角度が水平面(0°)を基準として±50°の範囲内に戻った場合、CPU4は、再び画像データ記憶部22から文字画像30の画像データを読み出し、文字画像30をLCD表示部12において表示する(図2(b)参照)。
【0021】
この状態で、レリーズボタン34が操作されて被写体の撮影が行われると、CPU4は、撮影された画像の画像データを画像記憶部18に一旦記憶する。次に、CPU4は、情報記憶部20から現在の方位情報を読み出し、画像記憶部18から読み出した画像データに現在の方位情報をタグ情報として付加し、Exif等の所定のファイル形式の画像データとしてメモリカード24に記憶する。
【0022】
この実施の形態に係る電子カメラ2によれば、撮影方向の水平面に対する傾斜角度が所定の傾斜角度を超えた場合にLCD表示部12の表示を切換えるため、わかり易く方位を表示することができる。また、一度LCD表示部12に表示されている画像を切換えた場合、画像を切換えた時の傾斜角度を超えるまで電子カメラ2の傾斜角度を元に戻さないと元の画像に戻らないようにヒステリシスが設定されているため(図2(a)参照)、LCD表示部12のちらつきを防止することができる。また、撮影レンズ28を地面の方向に向けてLCD表示部12が水平面と略平行になるようにした場合、コンパス画像32で方位を表示するため、操作者は電子カメラ2をコンパスとして用いることができる。
【0023】
なお、上述の実施の形態において、撮影レンズ28が天空の方向を向くように電子カメラ2が傾けた場合においても、LCD表示部12においてコンパス画像32を表示するようにしてもよい。例えば、6軸加速度センサを備え、6軸加速度センサの出力を利用することにより東西の方位を正確に測定し、東西の方位が反転しないようにコンパス画像32をLCD表示部12において表示するようにしてもよい。これにより、天体を撮影する場合等においても操作者に正確に方位を認識させることができる。
【0024】
また、上述の実施の形態において、撮影レンズ28が地面の方向を向くように電子カメラ2を傾けた状態でレリーズ指示が行われた場合において、画像データに現在の方位情報をタグ情報として付加するようにしてもよい。これにより、画像データに基づく画像を再生した場合において、画像の上側の方向を基準とした場合の方位を操作者に認識させることができる。なお、撮影レンズ28が天空の方向を向くように電子カメラ2が傾けた状態でレリーズ指示が行われた場合は、LCD表示部12に方位を示す画像が表示されないため(図2(d)参照)、画像データに現在の方位情報を付加しないようにする。
【0025】
また、上述の実施の形態において、GPS6により現在の自己位置に関する情報を取得し、レリーズ指示が行われた場合、画像データに現在の自己位置に関する情報をタグ情報として付加するようにしてもよい。これにより、操作者は、画像の撮影位置を認識ことができる。
【0026】
また、上述の実施の形態においては、初めに撮影レンズ28が水平方向に向けられる場合を例に説明しているが、初めに撮影レンズ28が地面方向(天空方向)に向けられるように設定してもよい。そして、その後撮影レンズ28が水平方向を向くように電子カメラ2が傾けられ、撮影方向の傾斜角度が地面方向90°(天空方向90°)を基準として、30°(図2(a)参照)を超えた場合、LCD表示部12において文字画像30を表示するようにしてもよい。
【0027】
また、上述の実施の形態において、LCD表示部12の表示を変更するか否かを判定する際の閾値となる傾斜角度については、図2(a)を用いて説明した傾斜角度に限定されず、操作者が任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0028】
2…デジタルカメラ、4…CPU、6…GPS、8…電子コンパス、10…加速度センサ、11…操作部、12…LCD表示部、14…表示制御部、16…撮像素子、18…画像記憶部、20…情報記憶部、22…画像データ記憶部、24…メモリカード、26…プログラムメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影部と、
方位を計測する方位計測部と、
前記撮影部における撮影方向の水平面に対する傾斜角度を計測する傾斜角度計測部と、
前記方位計測部により計測した前記方位を示す画像を表示する表示部と、
前記傾斜角度計測部により計測した前記傾斜角度に基づいて前記表示部の表示を変更する表示制御部と
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記傾斜角度が前記水平面を基準とする所定の範囲内の角度である場合において、撮影方向の方位を文字で示す画像を前記表示部において表示することを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記傾斜角度が前記所定の範囲を地面方向に超えた場合において、コンパスで方位を表示する画像を前記表示部において表示することを特徴とする請求項1または2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記傾斜角度が前記所定の範囲を天空方向に超えた場合において、方位を示す画像を前記表示部において表示しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記傾斜角度が前記所定の範囲を超えた後、前記水平面を基準として前記所定の範囲よりも狭い範囲内の角度に戻った場合、前記表示部の表示を元の表示に戻すことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記撮影部により撮影された画像データに対して、前記撮影時における方位に関する情報を関連付ける記憶制御部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
自己位置を測位する測位部を備え、
前記記憶制御部は、前記撮影部により撮影された画像データに対して、前記撮影時における自己位置に関する情報を関連付けることを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記所定の範囲は、前記傾斜角度が前記水平面を基準として±60°の角度となる範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−38734(P2013−38734A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175528(P2011−175528)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】