説明

画像読み取り装置、画像形成装置、及び光電変換素子の組み付け方法

【課題】光軸のずれによる画像品質の劣化を生じにくくする。
【解決手段】原稿面に光を照射してその反射光をCCD14eに結像して画像の読み取りを行う画像読み取り装置において、CCD14eに入射する読み取り光の光軸を調整する機能を有し、前記CCD14eが固定される板状の固定部材21と、前記固定部材21挟んで前記CCD14eの端子14fに結合されたフラットケーブル22とを備え、前記CCD14eは前記固定部材21に対して例えば接着手段によって固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の読み取りに使用する光電変換素子部の取り付け構造に特徴のある画像読み取り装置、この画像読み取り装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能の少なくとも2つを備えたデジタル複合機などの画像形成装置、及び前記光電変換素子の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から原稿を副走査方向にライン走査し、原稿上の画像情報を読み取り手段としての光電変換手段(CCD)のセンサ面上に結像させ、当該光電変換手段から得られる出力信号を利用して、前記原稿上の画像情報を読み取るようにした画像読み取り装置が種々知られている。図1は、従来から現在至るまで使用されている代表的な画像読み取り装置の機械的構成の概略を示す図である。なお、この従来例として示した構成は、本願発明の実施形態においても同様なので関連する構成について少し触れておく。
【0003】
同図において、この画像読み取り装置の読み取り方式は、原稿5をコンタクトガラス1上に載置して画像を読み取るフラットベッド方式と原稿6を原稿搬送装置4によって移動させながら読み取るシートスルー方式の2つの方式が設定されている。
【0004】
前記フラットベッド方式では、照明光源となるランプ7及び第1ミラー8を搭載した第1キャリッジ9と、第2及び第3ミラー10,11を搭載した第2キャリッジ12をスキャナモータによって1対2の相対速度で副走査方向(図示、キャリッジ移動方向−右方向)に移動させ、コンタクトガラス1上に載置された原稿5を読み取る。また、シートスルー方式では、第1及び第2キャリッジ9,10は停止させた状態(図1の状態)で移動する原稿6の画像をシートスルー読み取り部2で読み取る。いずれの読み取り方式においても、ランプ7により照明された原稿5,6上の原稿画像情報を走査用の第1、第2、第3のミラー8,10,11を介して結像レンズ13に導き、結像レンズ13によって原稿画像をCCD回路基板14上に搭載されたCCD14c(光電変換手段)のセンサ面上に結像させて、原稿上の画像情報を読み取り、CCD14cの出力信号をADコンバータによりデジタルデータに変換し、原稿画像データをデジタル的に読み取っている。
【0005】
図19は図1に示した画像読み取り装置とプリンタPRの電気的構成の概略示すブロック図である。図19において、画像読み取り装置SCは、CCD回路基板14、スキャナ制御回路基板15、モータドライブ回路基板16、インバータ回路基板17の各回路基板を備えている。CCD回路基板14はスキャナ制御回路基板15に接続され、スキャナ制御回路基板15には、モータドライブ回路基板16、インバータ回路基板17、原稿検知センサ及びHPセンサ19が接続されている。モータドライブ回路基板16はスキャナモータや搬送モーラなどのモータ16aを駆動し、インバータ回路基板17はランプ7を点灯させる。ランプ7はこの例ではキセノンランプが使用されている。
【0006】
原稿検知センサはシートスルー方式で原稿6を読み取る際に原稿の有無を検知するセンサで、HPセンサは第1キャリッジ9のホームポジションを検出センサである。このホームポジションは、シートスルー方式で原稿6を読み取る際の第1キャリッジ9の位置設定の基準となる。また、プリンタPRには、プリンタPRを制御するとともに画像読み取り装置SCのスキャナ制御回路基板15から画像データを受け取り、画像読み取りに必要な情報や指示を画像読み取り装置SCに送信するコントローラ部CRが設けられている。
【0007】
図20はCCD回路基板14とスキャン制御回路基板15の詳細を示すブロック図である。CCD回路基板14には、CCD駆動タイミング生成部14a、CCDドライバ14b、CCD14c、及びアナログ信号処理、A/D変換部14dが搭載されている。CCD14cはCCD駆動タイミング生成部14aで生成されたタイミングでCCDドライバ14bにより駆動され、アナログ信号処理、A/D変換部14dで、アナログ信号処理とA/D変換処理を実行し、CCD14cのアナログ出力がデジタルデータに変換されてスキャナ制御基板15へ伝送される。
【0008】
スキャナ制御回路基板15には、画像読み取り装置SCの各部及び全体の制御を司るCPU15aと、CPU15aが使用するデータを記憶するメモリ15bと、例えばASICからなる画像処理部15cが搭載されている。なお、CPU15aはROMに格納されたプログラムを、RAMをワークエリアとして使用しながら実行し、所定の制御を行う。なお、前記RAMとして前記メモリ15bを使用することもできる。
【0009】
デジタルデータに変換された原稿画像情報は、プリンタPRなどの出力装置に送られプリント出力として画像情報の出力が行われ、あるいは記憶装置に送られて入力画像情報の記憶が行われ、あるいはPCなどの情報処理装置に送られる、などのように種々の場合があり、各々の画像読み取り装置の情報として使用される。
【0010】
また、原稿の読み取りに先立って図1に示すシートスルー読み取り部2とコンタクトガラス1との間にあるシェーディング補正用基準白板3の読み取りデータを走査して、シェーディング補正用データを生成してメモリ15bに記憶しておき、そのシェーディング補正用データで原稿5または6の画像データ読み取りながら正規化することにより、前記画像読み取り装置における光量分布ムラ、CCD14cの感度ムラ、出力変動等を補正し、原稿5,6の画像情報を精度よく読み取るようになっている。
【0011】
このような画像読み取り装置の動作を行うにあたって、原稿面から光電変換手段であるCCD14cに至る光路の光軸が精度よく調整されている必要がある。図21ないし図23は従来例に係るCCDの構成を示す図である。図21は固定部材21の斜視図である。固定部材21はCCD回路基板14を取り付ける取り付け片21a’が調整側取り付け部21bから垂直方向に延設されている。CCD回路基板14には図22に示すように、CCD本体14cが搭載され、図23に示すように固定部材21の取り付け片21a’の取り付け孔21fにCCD回路基板14側の取り付け孔14gとを合わせて図24に示すようにネジ21hによって締結され、固定される。なお、符号21iは固定部材21を第2の調整部材25に固定するときのネジ孔である。図24はCCD回路基板14が固定部材21を介して第1及び第2の調整部材24,25に取り付けられたときの状態を示す図である。
【0012】
図24において、第1及び第2の調整部材24,25は結像レンズ13が取り付けられたレンズ支持基板26上に搭載されている。第1及び第2の調整部材24,25はそれぞれ断面L字状の板金からなり、第1の調整部材の24の水平部がレンズ支持基板26上に固定され、垂直部に第2の調整部材25の垂直部が固定される。また、固定部材21は第2の調整部材25の水平部に固定される。第1及び第2の調整部材24,25の垂直部では、レンズ13の光軸LがCCD本体14cのセンサ面の中央に位置し、かつ垂直になるように垂直方向Yの調整が行われた後、第1及び第2の調整部材24,25の垂直部が固定される。また、結像レンズ13で結像した像がセンサ面で像を結ぶように水平方向Xの調整が行われた後、固定部材21と第2の調整部材25の水平部が固定される。この調整の際には、専用の治具が使用され、特に図示はしていないがスライド調整機構を有し、調整が終了した時点で接着剤あるいはネジなどによってY方向及びX方向の相対的な位置がずれないように固定される。
【0013】
このように調整は、図24に示すようにレンズ13とCCD14cを搭載したPCB(CCD回路基板14)が一つの単位となった状態の光学モジュール20として光軸Lを調整し、あるいはスキャナユニットSCに実装された状態でレンズ13とPCB14に搭載されたCCD14cの光軸Lを調整する。この調整により、レジスト、スキュー、ピントなどが調整される。なお、前記CCD回路基板14は、スキャナ制御基板15に対してフラットケーブル(ハーネス)22を介して図24に示すように互いに直交する状態で接続される。
【0014】
なお、この種の光学読み取り素子の調整機構については、前述の例の他に特許文献1ないし3に記載された発明が公知である。このうち特許文献1には、結像光学系と撮像ユニットとを搭載するとともに、副走査方向に移動調整可能に設けられた基台と、撮像ユニットと信号処理基板とを電気的に接続する信号ケーブルとを備え、基台にはこれと一体構造で基板受け部を形成し、この基板受け部に信号処理基板を搭載することにより、基台と一体に信号処理基板が移動し得る構成とした発明が記載されている。
【0015】
また、特許文献2には、裏面側に読取基板が固定されたCCDイメージセンサと、原稿からの反射光を通過させるための開口部とCCDイメージセンサを嵌合させるための支持部とを有するセンサフレームとを具備してなり、センサフレームの支持部にCCDイメージセンサの読取面側が嵌合されて、CCDイメージセンサ反射光の光軸上に支持され、前記センサフレームの支持部は、CCDイメージセンサの幅方向、厚み方向、及び高さ方向の位置を夫々規制する少なくとも3方向の位置決め部と、各位置決め部にイメージセンサを夫々押圧して固定する付勢部材とを備えた発明が記載されている。
【0016】
更に、特許文献3には、光線が透過する透過面の周囲に側面を有するレンズと、側面に対向する第1の取り付け面と第1の取り付け面とは異なる角度を有する第2の取り付け面とを有する中間保持部材と、第2の取り付け面に対向する取り付け面を有する筐体とを備え、筐体と筐体に対して位置調整されたレンズとが中間保持部材を介して接着固定され、光学エレメントの接着固定前に光学エレメントの軸調整を簡単に行えるようにして、軸調整後の光学エレメントの取り付けを高精度に行うことができるようにした発明が記載されている。
【特許文献1】特開2000−217991号公報
【特許文献2】特開2004−287039号公報
【特許文献3】特開2002−006188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記各図を参照して説明した従来例、及び前記各特許文献記載の発明では、スキャナ制御基板15と接続されるフラットケーブル(ハーネス)22が弾性を有することから、CCD回路基板14に負荷が掛かっていた。そのため、この負荷によって図25に示すようにCCD回路基板14の位置がずれることがあり、このずれZが光軸をずらす結果となり、画像品質に影響をもたらす場合があった。
【0018】
また、CCD回路基板14上のCCD14cや駆動回路(ドライバ14b)などの発熱によりCCD回路基板14に反りや変形が発生することがあり、この変形によって同じく光軸のずれを生じ、画像品質に影響をもたらす場合があった。
【0019】
更に、CCD(光電変換素子)に何らかの不具合が生じた場合、CCD(光電変換素子)の交換を行うには、CCD回路基板単位の交換となってしまい、修復のためのコストが高くならざるを得なかった。
【0020】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、光軸のずれによる画像品質の劣化を生じにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するため、第1の手段は、原稿面に光を照射してその反射光を光電変換素子に結像して画像の読み取りを行う画像読み取り装置において、前記光電変換素子に入射する前記反射光の光軸を調整する光軸調整機能を有し、前記光電変換素子が固定される板状の固定部材と、前記固定部材を挟んで前記光電変換素子の端子に結合されたフラットケーブルとを備えていることを特徴とする。
【0022】
第2の手段は、第1の手段において、前記光電変換素子は前記固定部材に対して接着手段によって固定されることを特徴とする。
【0023】
第3の手段は、第1または第2の手段において、前記光電変換素子は前記固定部材に対して押さえ部材を介して固定されることを特徴とする。
【0024】
第4の手段は、第1の手段において、前記光電変換素子は前記固定部材に対して接合部材を介して固定されることを特徴とする。
【0025】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記光電変換素子の端子に結合されるフラットケーブルと、前記光電変換素子の端子と前記フラットケーブルとの結合部に設けられ、フラットケーブルを前記結合部で補強する補強部材とを備えていることを特徴とする。
【0026】
第6の手段は、第5の手段において、前記補強部材が、前記固定部材に対して締結手段によって固定されることを特徴とする。
【0027】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記光電変換素子の駆動回路及び前記光電変換素子の出力信号の処理回路が、前記装置全体の制御機能を有する制御基板に搭載されていることを特徴とする。
【0028】
第8の手段は、第1ないし第7のいずれかの手段に係る画像読み取り装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0029】
第9の手段は、原稿面に光を照射してその反射光を光電変換素子に結像して画像の読み取りを行う画像読み取り装置における前記光電変換素子の組み付け方法において、前記光電変換素子に入射する前記反射光の光軸を調整する光軸調整機能を有し、前記光電変換素子が固定される固定部材と、前記固定部材を挟んで前記光電変換素子の端子に結合されるフラットケーブルとを備え、前記光電変換素子は、光軸調整を行った後、前記固定部材に対して固定されることを特徴とする。
【0030】
第10の手段は、第9の手段において、前記フラットケーブルの前記光電変換素子の端子との結合部に補強部材を備えていることを特徴とする。
【0031】
第11の手段は、第9の手段において、前記固定は接合部材を介して行われることを特徴とする。
【0032】
なお、後述の実施形態において、光電変換素子はCCD本体14eに、光軸調整機能は第1及び第2の調整部材と固定部材21に設けられた調整孔に、固定部材は符号21に、端子は符号14fに、フラットケーブルは符号22に、接着手段は両面テープ21cに、押さえ部材は符号21eに、接合部材は符号27に、補強部材は符号23に、締結手段はネジ21hに、駆動回路はCCD駆動タイミング生成部14a及びCCDドライバ14bに、処理回路はアナログ信号処理部、A/D変換部14dに、制御基板はスキャナ制御回路基板15に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、光軸調整機能を有し、前記光電変換素子が固定される板状の固定部材と、前記固定部材を挟んで前記光電変換素子の端子に結合されたフラットケーブルとを備えているので、光軸のずれによる画像品質の劣化を生じにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
本発明の機械的構成は、前述の従来例で説明した図1に示したものと同一なので、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
図2は、本実施形態に係る画像読み取り装置の電気的構成を示すブロック図である。基本的に光学モジュール20側に実装される電気部品はCCD14cとフラットケーブル22のみである。すなわち、従来、図20に示したように、CCD回路基板14とスキャナ制御回路基板15に各制御回路要素を分けて搭載し、その間をフラットケーブル22で接続していたが、本実施形態では、スキャナ制御回路基板15上に、前記CCD回路基板14に搭載されていたCCD14c以外の各回路要素を搭載した。そのため、本実施形態では、スキャナ制御回路基板15上に、従来から搭載されていたCPU15a、メモリ15b、及び画像処理部(ASIC)15cに加えて、CCD駆動タイミング生成部14a、CCDドライバ14b、及びアナログ信号処理、A/D変換部14dを搭載し、スキャナ制御基板15とCCD14c間をフラットケーブル22で接続した。その他の各部は前述の従来例と同等に構成され、同等に機能する。
【0037】
図4は本実施形態に係るCCD本体14eを示す斜視図で、このCCD本体14eは図3に示す光軸調整機構を備えた板金からなる固定部材21に固定される。固定部材21は断面L字(鉤)状のアングル材からなり、アングルの垂直関係にある2つの板部にそれぞれCCD固定部21aと調整側取り付け部21bとが設定されている。CCD固定部21aにはCCD本体14eの端子14fが挿通される長孔21dが一対形成され、その間の桟の部分に、図5に示すように固定手段として例えば両面テープ21cが貼付される。CCD本体14eは、図6に示すように両側の端子14fを前記長孔21dに挿通した上で、CCD本体14eの底面が前記両面テープ21cによってCCD固定部21aに固定される。なお、両面テープ21cに代えて接着剤も使用できることは言うまでもない。
【0038】
なお、図7に示すように両面テープ21cに代えて押さえ部材21eを用いて固定することもできる。押さえ部材21eは、板金をCCD本体14eの端部の形状に成形し、更に固定片を設けたもので、CCD本体14eの両端部を押さえ、前記固定片を介してCCD固定部21aに固定するようにしたものである。そのため、図3に示すように長孔21dの長手方向の外側に押さえ部材21eを取り付けるための取り付け孔21fが設けられている。なお、図8は両面テープ21cで固定したときの光学モジュール20の側面図、図9は押さえ部材21eで固定したときの側面図である。前述のように調整し、固定部材21の背面(反レンズ側の面)のCCD本体14eの端子部14fに延びるフラットケーブル22がスキャナ制御基板15と接続されている。
【0039】
また、より強固に固定するためには図14に示すような補強部材23を用いる。この補強部材23は予めフラットケーブル22のCCD本体14eに対向する側に例えば接着剤あるいは両面テープによって取り付けられ、固定部材21のCCD固定部21aの裏面側に前記補強部材23側が位置するようにして前記CCD固定部21aの裏面に例えばネジ21hによって固定される。そのため、図10に示すように補強部材23とフラットケーブル22を取り付けるための取り付け孔21gが穿孔されている。すなわち、CCD本体14eが固定された固定部材21と補強部材23が固定されたフラットケーブル22はネジによって接合され、その後、CCD本体14eの端子14fとFPC(フラットケーブル)22の電極をはんだ付けすることによって、図15に示すように強固に固定部材21とCCD14eが一体化された状態となる。
【0040】
また、前記取り付け孔21fは図13及び図14に示すように、両面テープ21cによってCCD本体14eを固定部材21に固定したときにフラットケーブル22を取り付けるための孔である。
【0041】
図16ないし図18はCCD14cを固定部材21の裏面側に接合部材27で直接固定した例を示す図である。図16に示すようにCCD本体14eは基板14hに取り付けられ、図17に示すように基板14hの裏面(反CCD本体取り付け側の面)にフラットケーブル22を取り付け、CCD本体14の端子14fとフラットケーブル22の電極をはんだ付けにより接続する。このようにして接続されたCCD14eを図18に示すように支持部材24を介して直接支持金具21に接着し、光学モジュール20を構成することもできる。
【0042】
この場合、光軸調整を行う調整機能がCCD本体14eを直接保持し、調整を行うことができる構造であれば、補強材の有無は問わない。なお、光学モジュール20へのCCD本体14eの固定はUV硬化剤等の高速に硬化可能な接着剤を使用する。
【0043】
このような構成とすることにより、CCD回路基板の熱変形によるCCD面での光軸のずれやハーネスの負荷によるCCD回路基板の変形に伴う光軸のずれを低減することが可能となり画像品質の向上をもたらすことが可能となる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、
1)光電変換素子(CCD)をPCBに実装することなく直接、光軸調整用の板金部材に固定するので、熱の影響やPCBに加わるハーネスを介しての負荷の影響を低減することが可能となり、その結果、画像品質の向上を図ることができる。
2)光電変換素子(CCD)に何らかの不具合が生じた場合、光電変換素子(CCD)の交換が容易に行える。その結果、修復のための時間とコストを低減することができる。
3)光電変換素子(CCD)を接着剤で板金部材に固定するので、組み付け性の向上を図ることができる。
4)光電変換素子(CCD)の固定を板金部材で行うことで、放熱性が向上し、また、より確実に固定することができる。
【0045】
5)光電変換素子(CCD)の端子に結合されるフラットケーブル部分に補強部材を設けたので、強度が向上し作業性が改善される。
6)補強部材を板金部材に固定するので、より強固にCCDを固定することが可能となり、画像品質の向上を図ることができる。
7)光電変換素子(CCD)を光軸調整後、直接接着部材で固定するので、シンプルな構造となり、調整から接着後の固定に至る工程での位置ずれを低減することが可能となり、画像品質の向上を図ることができる。
8)光電変換素子(CCD)の端子に結合されるフラットケーブル部分に補強部材を設けることで、強度が向上し作業性の改善につながる。
9)光電変換素子の駆動回路及び光電変換素子の出力信号の処理回路は画像読み取り装置の制御機能を有する制御基板に集約されるので、PCBの数量を低減することができる。
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態及び従来例に係る画像読み取り装置の機械的な概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像読み取り装置の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る板金部材の斜視図である。
【図4】本実施形態に係るCCD本体の斜視図である。
【図5】本実施形態に係る板金部材に接着剤を塗布した状態を示す図である。
【図6】図5の板金部材にCCD本体を固定した状態を示す図である。
【図7】図3の板金部材はCCD本体を固定用の板金部材によって固定した状態を示す図である。
【図8】接着剤でCCD本体を固定したときの光学モジュールの側面図である。
【図9】固定用板金部材でCCD本体を固定したとき光学モジュールの側面図である。
【図10】図7に対して補強部材を設けるときの板金部材の構造を示す斜視図である。
【図11】補強部材で補強され、接着剤でCCD本体を固定したときの光学モジュールの側面図である。
【図12】補強部材で補強され、固定用板金部材でCCD本体を固定したとき光学モジュールの側面図である。
【図13】接着剤でCCD本体を板金部材に固定したときのフラットケーブルの接続状態を示す図である。
【図14】補強部材をいれてCCD本体を板金部材に固定するときのフラットケーブルの接続状態を示す分解斜視図である。
【図15】補強部材をいれてCCD本体を板金部材に固定したときのフラットケーブルの接続状態を示す図である。
【図16】取り付け基板にCCD本体を直接搭載した状態を示す図である。
【図17】図16の取り付け基板の背面側にフラットケーブルを接続するときの分解斜視図である。
【図18】図17のCCDを使用した光学モジュールの側面図である。
【図19】従来例に係る画像読み取り装置の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図20】従来例における回路基板の関係を示す図である。
【図21】従来例における調整基板の斜視図である。
【図22】従来例における取り付け基板とCCD本体との関係を示す図である。
【図23】従来例におけるCCDの取り付け状態を示す図である。
【図24】従来例における光学モジュールの側面図である。
【図25】従来例における光学モジュールの光軸のずれを説明するための図である。
【符号の説明】
【0047】
1 コンタクトガラス
2 シートスルー読み取り部
5,6 原稿
7 ランプ
9,10,11 ミラー
13 結像レンズ
14 CCD回路基板
14c CCD
14e CCD本体
15 スキャナ制御回路基板
20 光学モジュール
21 22 フラットケーブル
21a 板金部材
21c 接着剤
21e 固定用板金部材
23 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿面に光を照射してその反射光を光電変換素子に結像して画像の読み取りを行う画像読み取り装置において、
前記光電変換素子に入射する前記反射光の光軸を調整する光軸調整機能を有し、前記光電変換素子が固定される板状の固定部材と、
前記固定部材を挟んで前記光電変換素子の端子に結合されたフラットケーブルと、
を備えていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像読み取り装置において、
前記光電変換素子は前記固定部材に対して接着手段によって固定されることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像読み取り装置において、
前記光電変換素子は前記固定部材に対して押さえ部材を介して固定されることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像読み取り装置において、
前記光電変換素子は前記固定部材に対して接合部材を介して固定されることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記光電変換素子の端子に結合されるフラットケーブルと、
前記光電変換素子の端子と前記フラットケーブルとの結合部に設けられ、フラットケーブルを前記結合部で補強する補強部材と、
を備えていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像読み取り装置において、
前記補強部材は、前記固定部材に対して締結手段によって固定されることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像読み取り装置において、
前記光電変換素子の駆動回路及び前記光電変換素子の出力信号の処理回路が、前記装置全体の制御機能を有する制御基板に搭載されていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像読み取り装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
原稿面に光を照射してその反射光を光電変換素子に結像して画像の読み取りを行う画像読み取り装置における前記光電変換素子の組み付け方法において、
前記光電変換素子に入射する前記反射光の光軸を調整する光軸調整機能を有し、前記光電変換素子が固定される固定部材と、
前記固定部材を挟んで前記光電変換素子の端子に結合されるフラットケーブルと、
を備え、
前記光電変換素子は、光軸調整を行った後、前記固定部材に対して固定されることを特徴とする光電変換素子の組み付け方法。
【請求項10】
請求項9記載の光電変換素子の組み付け方法において、
前記フラットケーブルの前記光電変換素子の端子との結合部に補強部材を備えていることを特徴とする光電変換素子の組み付け方法。
【請求項11】
請求項9記載の光電変換素子の組み付け方法において、
前記固定は接合部材を介して行われることを特徴とする光電変換素子の組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−253345(P2009−253345A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94898(P2008−94898)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】