説明

画像読取装置、画像形成装置

【課題】高い照明効率を備えた画像読取装置を得ること。
【解決手段】複数LEDと照明レンズとを具備し、照明レンズで前記光源から発する光束を複数に分割し、分割された複数の光束を重畳して読取面に照射する照明装置10を備え、照明装置により照明された読取面からの反射光を結像レンズ21でラインセンサ撮像素子20に結像させ、読取面を主走査方向に直線状に読み取りつつ、主走査方向と直交する副走査方向に読み取り、平面的な画像を読み取る画像読取装置200において、照明装置10を前記原稿読取位置近傍に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルPPCなどに搭載されている、固体撮像素子、結像レンズ、及び、照明装置を搭載した縮小光学系の画像読取装置、画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置として、特許文献1には、光源として発光ダイオード(LED)を使用した照明装置を採用し、光量確保のため、主走査方向に複数のLEDを並べたものを使用し、照度ムラを防止するため、所定形状の導光板を使用し、導光板の、入射面にLEDを密接させ、原稿面において、直接光及び反射面からの反射光による照度分布の合成曲線Gの高照度部を最大読取幅内に読取領域を設定するものが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、光の利用率を向上させるため、光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、原稿の画像を1次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取装置において、少なくとも複数のレンズ を有する照明レンズと、複数の光束を重畳させる手段とを備えてなり、光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を原稿面上に重畳させ、光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、原稿の画像を1次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取るものが記載されている。
【特許文献1】特開2006−67551号公報
【特許文献2】特開2006−295914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の照明装置にあっては、複雑な形状の導光板を使用する必要がある他、導光板の取り付け調整に手間がかかりコストが嵩むという問題がある。
【0005】
また特許文献2に記載の照明装置にあっては、照明装置を撮像素子近傍に配置し、反射ミラーを介して、照明すると照明光路が長くなる傾向にある。その際、照明装置から照射される光は、理想的には平行光であるが、現実的には完全な平行光を作り出すことは困難であり、そのため、平行光以外の光はフレア光となって、読取画像を劣化させる可能性がある。また、読取位置に届かない光があることで照明効率を低下させるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、高い照明効率を得ることができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、光源と、複数の照明レンズとを備え、前記照明レンズで前記光源から発する光束を複数に分割し、該分割された複数の光束を重畳して読取面に照射する照明装置を備え、前記照明装置により照明された読取面からの反射光を結像レンズで撮像素子に結像させ、前記読取面を主走査方向に直線状に読み取りつつ、主走査方向と直交する副走査方向に読み取り、平面的な画像を読み取る画像読取装置において、前記照明装置を前記原稿読取位置近傍に配置することを特徴とする画像読取装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記読取面近傍を移動する第1走行体と、前記第1走行体と連動する第2走行体とを備え、前記照明装置は、前記第1走行体に搭載することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2記載の画像読取装置において、前記照明装置は、前記読取面を直接照明することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3記載の画像読取装置において、1台の照明装置を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4記載の画像読取装置において、照明装置を主走査方向の読取ラインの中心位置に配置することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2記載の画像読取装置において、照明装置を2台備え、前記照明装置は読取軸中心に対し主走査方向において左右対称に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6記載の画像読取装置において、前記左右対称に配置された照明装置は、それぞれ読取軸を挟む読取面の反対側を照明することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項2記載の画像読取装置において、照明装置を主走査方向に3個以上並べて配置することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記複数配置した照明装置の主走査方向における照明範囲を、それぞれ異なるものとしたことを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9記載の画像読取装置において、前記照明装置を奇数個配置し、中央に配置された照明装置が照明する照明装置が照明する範囲をその他の照明装置に比べて広くすることを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項9記載の画像読取装置において、前記照明装置に供給する電流をそれぞれ独立制御可能とし、それぞれの電流量を制御することで主走査方向の照度分布を調整可能とすることを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記複数の照明装置は、各照明装置の色バランスを独立して調整できることを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記複数の照明装置は、各照明装置の照明範囲を隣り合う照明装置からの照明範囲と重合させたことを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項1乃至13記載のいずれかの画像読取装置を具備することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る画像読取装置によれば、照明光軸が短いため、フレア光による影響が少ない。また、照明光を効率よく原稿面に照射できるため、光量の低下を招くことなく良好な効率の照明を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
以下本発明の実施例に係る画像読取装置について説明する。図1は本発明に係る電子写真方式の複写機やプリンタ装置等の画像形成装置を概念的に示す断面図である。本例の画像形成装置は、その主な構成としては、原稿を読み取る画像読取装置200、画像を形成する画像形成部112、自動原稿搬送装置(ADF)113、ADF113から送り出される原稿をスタックする原稿排紙トレイ114、給紙カセット115乃至118を備える給紙部119、記録用紙をスタックする排紙部(排紙トレイ120)により構成してある。
【0024】
そして、ADF113の原稿台121上に原稿Dをセットして図示せぬ操作部での操作、例えばプリントキーの押下操作をすると、最上位の原稿Dがピックアップローラ122の回転により矢印B1方向へ送り出され、原稿搬送ベルト123の回転により、画像読取装置200に固定されたコンタクトガラス124上へ給送され、そこで停止する。コンタクトガラス124上に載置された原稿Dの画像は、画像形成部112とコンタクトガラス124の間に位置する画像読取装置200によって読み取られる。画像読取装置200は、コンタクトガラス124上の原稿Dを照明する照明装置10、原稿画像を結像する結像レンズ21、原稿画像を結像させるCCD等からなるラインセンサ撮像素子20等を有している。画像読み取り終了後、原稿Dを原稿搬送ベルトの回転により矢印B2方向へ搬送して原稿排紙トレイ114上へ排出する。このように、原稿Dを1枚ずつコンタクトガラス124上へ給送して原稿画像を画像読取装置200によって読み取る。
【0025】
一方、画像形成部112の内部には、像担持体である感光体130が配置してある。感光体130は、図において時計方向に回転駆動し、帯電装置131によって表面を所定の電位に帯電させる。また、書き込みユニット132からは、読取装置125によって読み取った画像情報に応じて光変調したレーザ光Lを照射し、帯電させた感光体130の表面をこのレーザ光Lで露光し、これによって感光体130の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置133を通るとき、対向する転写装置134によって感光体130と転写装置134の間に給送された記録媒体Pに転写する。トナー像転写後の感光体130の表面は、クリーニング装置135によって清掃する。
【0026】
画像形成部12の下部に配置した複数の給紙カセット115乃至118には、紙等の記録媒体Pを収容してあり、いずれかの給紙カセット115乃至118から記録媒体Pを矢印B3方向へ送り出し、その記録媒体Pの表面に、上述のように感光体130の表面に形成したトナー像を転写する。次に、記録媒体Pを矢印B4で示すように画像形成部112内の定着装置140を通し、熱と圧力の作用によって記録媒体Pの表面に転写されたトナー像を定着させる。136を通った記録媒体Pを排出ローラ対137によって搬送し、矢印B5で示すように排紙トレイ120へ排出し、スタックする。
【0027】
次に本発明が適用される画像読取装置200について説明する。図2は画像読取装置の全体構成を示す概略断面図である。
【0028】
画像読取装置200は、光源を備えた照明装置10、ラインセンサ撮像素子20、複数の変向ミラー211,221,222、ラインセンサ撮像素子20、結像レンズ21を備え、照明装置10で照明された原稿の画像を主走査方向に直線状(2次元的)に読み取り、これを副走査方向に走査することによって平面状(2次元的)の画像を読み取る。
【0029】
このため、本例に係る画像読取装置200には、照明装置10、変向ミラー211を搭載した第1走行体210と、変向ミラー221,222を搭載した第2走行体220を備え、これらの第1走行体210と、第2走行体220とを互いに異なる速度で移動させている。
【0030】
原稿は原稿面が密着されるコンタクトガラス124上に設置されており、照明装置10で照明される。原稿からの反射光は、変向ミラー211、変向ミラー221,222を経て結像レンズ21により、結像レンズ21でラインセンサ撮像素子20に結像され、ラインセンサ撮像素子20は撮像領域における画像を1次元的に取得する。
【0031】
この例では、第1走行体210と第2走行体220とはモータ及び伝達手段で駆動され、第1走行体210は第2走行体220の2倍の速度で走行させられる。その結果、コンタクトガラス124面におけるライン状の撮像領域は、結像レンズ21で、ラインセンサ撮像素子20の読取り面に結像された状態を保ちながら走行することとなる。そして、コンタクトガラス124上にある原稿の原稿面の画像をラインセンサ撮像素子20で順次読み出して2次元的に取得する。この第1走行体210が移動方向を副走査方向と称し、ラインセンサ撮像素子20が読み取る方向を主走査方向と称する。
【0032】
通常、ラインセンサ撮像素子20としては、1次元CCDが用いられ、結像レンズ21はコンタクトガラス124の原稿像を縮小した像としてラインセンサ撮像素子20上に結像している。また、前記第1走行体210と第2走行体220の走行速度比は2:1に設定しているので第2走行体220の移動距離は、第1走行体210の移動距離の半分となり、撮像領域23から結像レンズ21及びラインセンサ撮像素子20までの距離は第1走行体210、第2走行体220の位置によらず一定となる。
【0033】
以下、上述した画像読取装置に使用される照明装置について説明する。照明装置として以下に説明する第1乃至第5の例に係る構成のものを使用することができる。
【0034】
図3は照明装置の第1乃至第3の例を示す図であり、(a)は第1乃至3例に共通する平面図、(b)は第1の例の拡大正面図、(c)は第2の例の拡大正面図、(d)は第3の例の拡大正面図である。
【0035】
まず第1の例について説明する。図3(a)に示すように、照明装置400は、LEDアレイ410と、LEDアレイ410の後方に配置される回転放物面鏡列420(PR)、LEDアレイ410の前方に配置される主集光レンズ430(CA1)、主集光レンズ430の前方に配置される主照明レンズ440(CA2)、主照明レンズ440の前方に配置される主統合レンズ450(L)を備える。
【0036】
LEDアレイ410は、複数の発光ダイオード411を1列に並べて構成されている。白色光を得るため、発光ダイオード411として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のものを用いる。図3(a)では4個のみを記載しているが、最低限各色1個ずつの計3個あればよく、その整数倍でも、カラーバランスを考慮して発光光量の少ない色の発光ダイオード411を増加させるようにしてもよい。
【0037】
回転放物面鏡列420は、複数の回転放物面鏡421を1列に配置して構成される。各回転放物面鏡421は、その焦点位置に発光ダイオード411を置き、発光ダイオード411で発光する光束を反射させて平行光にする。尚、LEDの発光面は完全に点ではなくある面積を持っているので焦点位置以外から発光する光束は平行光からずれて発散し、焦点からずれるほど平行光から外れる。その配光特性の代表例を図4に示す。
【0038】
主照明レンズ440は、回転放物面鏡列420で平行光になった光束を拡張して照射対象面(読取領域)を照明するシリンダレンズアレイである。その構成は図3(a)に示すようにシリンダ(レンズ)を並べたものである。また、その焦点距離はf2=1/((1/a)+(1/c))とするのがよい(図3(c)参照)。
【0039】
主集光レンズ430は、発散光を含む平行光を効率よく主照明レンズ440に入射するものであり、シリンダレンズアレイで構成される。その構成は、主照明レンズ440と同型であり、焦点距離はf1=cとするのがよいが、主照明レンズ440と同じf2としてもほとんど効率は落ちない。尚、主集光レンズ430と主照明レンズ440とを同じ構成とすれば製造・販売・サービス時など管理負担が軽減される。
【0040】
主統合レンズ450は、凸レンズであり、主集光レンズ430、主照明レンズ440で分割された光束の副光軸を照明対象面の中央に一致させ主照明レンズ440の各シリンダが照明する光束を照明対象面で重畳させる。焦点距離はF=aとする(図3(b))参照。主統合レンズ450は一般の円形凸レンズにおいて副走査方向の不要な部分をカットした形状をなす。
【0041】
このような照明装置の構成により、シリンダレンズアレイである主集光レンズ430、主照明レンズ440の各要素であるシリンダ(レンズ)の幅mの幅を通過する光束は全て照明対象面の読取領域460の幅M内を照射する(図3(b)参照)。
【0042】
この場合、発光ダイオード411の数と主集光レンズ430、主照明レンズ440のシリンダアレイ中のシリンダの数を一致させないほうが発光ダイオード411と回転放物面鏡列420で形成されるプロファイルの影響をなくし照明対象面を均一にできる。ただし、発光ダイオード411の数の2倍を超えるシリンダ数にする場合は整数倍でも構わない。
【0043】
次に第1の例における副走査方向の照明状態を図3(b)に基づいて説明する。発光ダイオード411からの光束が回転放物面鏡列420から射出されるまでは図3(a)と同じである。ここで、主集光レンズ430と主照明レンズ440とは図示した方向からみると光学的パワーがなく、平行平板と同様に振る舞うので、回転放物面鏡列420からの射出光は平行光のまま通過する。そして平行光の光束は主統合レンズ450で集束されて照明対象面の読取領域460で焦点を結ぶ。
【0044】
この場合、発散光束は焦点位置から外れて照明対象面を照射することになる。その照度分布は図5に示した配光分布を反映している。配光分布半値幅を考慮すると例えばM’のような幅を照射するとしてよい(図3(b)参照)。
【0045】
この例は、面積を持った発光ダイオード411の発光面のサイズが回転放物面鏡421のF値f(PR)と主統合レンズ450の焦点距離f(L)の比f(L)/f(PR)倍に拡大されて照明対象面上に像を結ぶと言える。その比が数十倍から百倍になるので零点数ミリメートル角の発光ダイオード411における発光面の像が数センチメートルの大きさに投影されていることになり、この方向(副走査方向)だけで数十分の1から百分の1程度の効率しか得られないことが分かる。
【0046】
次に第2の例について説明する。この例は、本例に係る照明装置400は、LEDアレイ410、回転放物面鏡列420、主集光レンズ430、主照明レンズ440を備える他、主統合レンズ470を凸レンズに換えシリンダレンズとしている。主統合レンズ470は、図3(c)に示すように、主走査方向は前記主統合レンズ450(L)の焦点距離を備えるように、主統合レンズ450と同じ曲率を持たせて副走査方向は光学的パワーを持たないものとしている。
【0047】
そして、本例では、主統合レンズ470と読取領域460との間に、集束レンズ480(CL2)を配置している。この集束レンズ480はシリンダレンズであり、副走査方向の集光機能をLから分離して読取領域460の近くに配置したものと解釈できる。この集束レンズ480の焦点距離はf(CL2)=a’とする(図3(b))参照。
【0048】
この例によれば、回転放物面鏡列420から出た光束は主照明レンズ440まで平行光束(発散光束も含まれるが)のままで到達し、発光ダイオード411の発光面の拡大率はa’/F(PR)となり、数倍程度になる。これを言い換えると、第1の例より1桁効率が向上することになる。
【0049】
次に第3の例について説明する。本例に係る照明装置400は、図3(d)に示すように、LEDアレイ410、回転放物面鏡列420、主集光レンズ430、主照明レンズ440、主統合レンズ470、集束レンズ480を備える他、副照明レンズ490(CL3)を配置している。この副照明レンズ490は、シリンダレンズであり、発光ダイオード411の発光面の像が集束レンズ480の位置に結像するものであり、その焦点距離をf(CL3)=1/(1/a”)+(1/b”)としている(b”は発光ダイオード411から副照明レンズ490までの距離:図3(d)参照)。この例によれば、集束レンズ480の焦点距離はf(CL2)=1/(1/a’)+(1/a”)とするのが効果的である。ただし、f=a”のままでも少し効率が悪いが第2の例よりも効率はよくなる。実験の結果、第2の例は、第3の例より、50%程度の効率向上が認められた。
【0050】
上記各例では、読取領域の副走査方向の照度分布は図4に示した発光ダイオードの配光特性を反映しているので白黒の画像を得る場合はそのピークに1ラインのCCDラインセンサの中心を合わせればよいが、カラー画像を得るために3ラインのCCDを用いた場合、図5(a)のように1色をピークに合わせると他の2色は光量が落ちたところに配置されることになる。この光量の違いはCCDで読み取った後に電気的に増幅率を変えて補正することができるが、図5(b)に示すように、光学的に光量の違いを補完するほうが効果的であり、照明効率も向上する。
【0051】
次に、照明装置の第4の例について説明する。図6は第4の例に係る照明装置を示すものであり、(a)は照明装置の平面図、(b)は照明装置の正面図である。この照明装置500は、発光ダイオードを1列に配置したものを副走査方向に3列並べたLEDアレイ510を採用している。また、本例では、主走査方向での光軸を読取系の光軸とずらせるようにし、その方向で結像レンズとの競合を避けるように構成している。照明装置500は、上記第3の例と同様に、LEDアレイ510、回転放物面鏡列520、主集光レンズ430、主照明レンズ540、主統合レンズ550、副照明レンズ560、副統合レンズ570、集束レンズ580を備えて照明領域590を照明している。
【0052】
また、この例では、原稿30の画像をR・G・Bの色毎に読み取って電気信号に変更するラインセンサ撮像素子20は副走査方向にCCDセンサをR・G・Bの各色に対応して3列に並べてある。
【0053】
副照明レンズ560(CA4)は、焦点距離f(CA4)=b”のシリンダを3つ並べたシリンダレンズアレイである。また、副統合レンズ(CL4)は、副照明レンズ560の各シリンダの光軸を主照明レンズ540上で一致させ、その焦点距離はf(CL4)=a”である。
【0054】
この副照明レンズ560と集束レンズ580の合成焦点距離は前述の図3(d)の副照明レンズ490(CL3)と同じ焦点距離f(CL3)=1/(1/a”)+(1/b”)と同じ(b’は無視できるほど小さい)となる。
【0055】
こうすることにより、読取領域の副走査方向の照度分布はR・G・B各色の照度分布のピークを図5(b)に示すようにずらすことができ、そのピーク位置を3ラインCCDの位置と相対的に合致させると効率が一番良好なものとできる。
【0056】
図7は主要な光学部品を立体的に示したものである。(a)は主集光レンズ(CA1)、主統合レンズ(CA2)の斜視図、(b)は副照明レンズ(CL3)の斜視図。(c)は図3(c)に示した主統合レンズ(CL1)の斜視図。(d)は集束レンズ(CL2)の斜視図。(e)は集束レンズ(CL2)の機能をレンズから反射鏡に換えた場合における集束ミラーの斜視図。(f)は主統合レンズ(CL1)をフレネルレンズとした場合の斜視図である。尚、図10(c)に示したシリンダレンズをフレネルレンズ化する場合は図中※で示した範囲を用いるものとする。
【0057】
次に照明装置の第5の例について説明する。図8は第5の例に係る照明装置を示す図であり、(a)は照明装置の不具合を示す平面図、(b)は第5の例に係る照明装置の平面図である。本例は、直接反射光を回避するものである。図8(a)に示す照明装置では、ラインセンサ撮像素子20への結像レンズ21を挟んで、2台の照明ユニット610,620を配置し、副走査方向共に主光軸を一致させている。このような照明装置では、図8(a)に示すように、2台の照明ユニット610,620の照明光がコンタクトガラス124の表面で正反射して結像レンズ21に直接入射してしまい、ラインセンサ撮像素子20で読み取った画像上に白筋が重畳されてしまうことがある。この場合はLEDの数だけ白筋が現れることとなる。
【0058】
そこで第5の例では、図8(b)に示すように、副走査方向を一致させたままで回避するようにしている。即ち、本例に係る照明装置700では照明ユニット710,720の主光軸(主統合レンズの中心)を読取系の主光軸を挟んで反対側の読取領域の1/4の位置に合わせるようにしている。この場合、1つの照明ユニットで照明する領域は全体の半分とし、照明ユニットを2つ用いる必要がある。本例ではいずれのLEDからの光線も結像レンズ21に直接入射することがなく、上述した白筋の発生を防止することができる。
【0059】
ここで、変向ミラーの必要範囲について説明する。原稿面から読取ユニットまで、あるいは照明ユニットから原稿面までの距離は数十センチメートルの距離があるのでコンパクトにするには複数のミラーで光路を折り返す必要がある。その場合、ミラーに必要とされる幅寸法はミラーの配置位置によって定まる。
【0060】
図9はミラーの配置状態を示す図であり、(a)は読取系を示す模式図、(b)は照明系を示す模式図である。図9(a)で示す例では、読取系で副走査方向の読取領域の大きさは数10ミクロンなのでこの場合無視して結像レンズの開口を底辺とする三角形の相似形としてみれば簡単である。原稿面に近いほうが狭くてよいが、結像レンズに近づくに従って幅を必要とする。一方、図9(b)に示す例は、照明系で図3(b)示した例に対応するが、照明ユニットの開口に発散角θLで発散する部分をプラスする。これは読取系と反対で照明ユニットに近いほうが狭くてよいが、集約レンズまでは原稿面に近づくに従って幅を必要とする。尚、光束を効率よく使おうとしなければその限りではない。
【0061】
尚、発光ダイオードを主走査方向に数多く並べていくと主統合レンズが大きくなる。現実に光学的には装置の幅まで広げても問題ないが、幅を広げるにつれて厚み(主光軸方向)が増して重量が増大してしまう。そこで図7(f)に示すようにフレネルレンズ化する。そうすることにより、重量の増加を押えられるので、後述の走行体に搭載して移動させる際に慣性を押えることができ、高速化を阻害しないですむ。
【0062】
本発明は以上のような照明装置の画像読取装置に適用される。次に、実施例に係る画像読取装置の光学系の構成について説明する。
【0063】
まず第1の実施例に係る画像読取装置について説明する。図10は第1の実施例に係る画像読取装置の光学系を示す拡大断面図、図11は第1の実施例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【0064】
本例では、画像形成装置は、結像レンズ21、ラインセンサ撮像素子20、変向ミラー211を搭載した第1走行体210、2台の変向ミラー221,222を搭載した第2走行体220、コンタクトガラス124を備える他、第1走行体210に照明装置10を配置している。
【0065】
照明装置10は、原稿30の読取位置の近傍に配置されるように、第1走行体210に傾斜して搭載されている。そして、照明装置10は、読取焦点位置611と照明焦点位置612とが一致するように原稿30の原稿面31を照明する。
【0066】
また、照明装置10は、第1走行体210に搭載され、照明装置10は、その中央を読取軸613に一致させるように配置されコンタクトガラス124上の読取ライン630を左右対称に照明している。そして、照明装置10の照明光は、コンタクトガラス124上における原稿の読取ライン630の全幅を照明する。
【0067】
尚、照明装置10は、読取軸613がケラない位置であれば、第1走行体210上の変向ミラー211の結像レンズ21側にあっても差し支えない。
【0068】
本実施例によれば、照明装置10と原稿30との間隔寸法を小さくしたので、フレア光による影響を少ないものとできる。また、照明光を効率よく原稿面に照射でき、効率の良い照明ができる。また、照明装置を第1走行体に搭載するようにしたので、別途照明用走行体を設ける必要がなく画像読取装置のコンパクト化、重量増低減を図ることができ、第1走行体を駆動するモータの負荷を最小限にすることができる。また、照明光の折返しを行わないので、照明光の反射時のロスがなく効率よい照明が可能となる他、折返し部材の位置精度による照明光の迷光がなくなる。また本例では照明装置を1台としたので、主走査方向で照明光のリップルが発生することがなくなる。
【0069】
次に第2の実施例に係る画像読取装置について説明する。図12は第2の実施例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【0070】
上述した第1の実施例に係る画像読取装置では、照明装置から原稿までの光路長を短いものとすることができるが、1台の照明装置で、読取ライン全幅を照明しようとすると、照明系の統合レンズの設計が困難となり、照射範囲は限られたものになることがある。
【0071】
そこで、本実施例は、短い光路長で狭い照明幅しか照明できない照明装置でも、現在一般的に製品化されている、A4、A3の大きさの原稿の読取幅に対応できるよう照明装置個数を増やしたものである。
【0072】
本例では、図12に示すように、第1走行体210に、読取軸613を中心として左右対称の位置に2台の照明装置10−1,10−2を配置し、それぞれ読取ライン630上の左右の領域を重複しないように照明する。図12に示した例では、読取軸613に対して照明装置10の配置側を照明しているが、照明装置の配置位置と反対側を照明するようにすることができる。
【0073】
本実施例によれば、照明装置を複数とするので、照明光路が短い場合あっても、主走査方向に対して必要とされる広い範囲を照明することができる。また、照明装置の配置位置と反対側を照明する場合には、照明光路を長くすることができ、照明装置の統合レンズの設計に無理が生じにくくなる。
【0074】
次に第3の実施例に係る画像読取装置について説明する。図13は第3の実施例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【0075】
本例では、第1走行体210に3台の照明装置10−1,10−2,10−3を配置し、照明装置10−1,10−2,10−3は、読取ライン630を3分割した3つの照明領域630−1,630−2,630−3をそれぞれ重複することなく照明するようにしている。尚、本例では、照明装置は3台設けているが、4台以上配置するようにしてもよい。
【0076】
また、上記例において、各照明装置の照明領域を重複しないようにしたが、図14に示すように、複数の照明装置10−1,10−2,10−3を用いて、1ラインの読取ライン630を照明する場合、各照明装置10−1,10−2,10−3の照射領域630−1。630−2,630−3に重複領域631を設けるようにすることができる。
【0077】
これは照明装置10においては、その端部は、光学設計上照度の低下が避けられず、読取ライン上では、図15に示すように、照明光の継ぎ目で照度低下640が発生することになる。そこで、図14に示すように、各照明範囲の適度に重複することにより、端部の照度低下を防ぎ、照度低下を防止することができる。
【0078】
尚、本発明では、複数の照明装置を使用した場合、照明装置毎に照度調整装置を配置することができる。各照明装置に照度のばらつきが発生すると、読取ライン内で照度分布の不均一性が発生する。照度調整装置を設けることにより、各照明装置の光量を調整することができ、平坦な照度分布を得ることができる。
【0079】
同様に本発明では、各照明装置に色調整装置を配置することができる。カラーの画像読取装置の場合、各照明装置からはRGBの波長を持った光を照射することになる。この場合において複数配置した照明装置毎に、色のバランスが異なることがあり、この場合には、読取ラインで均一な、色バランスをとることができない。そこで、照明装置毎に色調整をすることにより均一な色バランスを備えた照明光を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る電子写真方式の複写機やプリンタ装置等の画像形成装置を概念的に示す断面図である。
【図2】画像読取装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図3】照明装置の第1乃至第3の例を示す図であり、(a)は第1乃至3例に共通する平面図、(b)は第1の例の拡大正面図、(c)は第2の例の拡大正面図、(d)は第3の例の拡大正面図である。
【図4】LEDの配光特性の代表例を示すグラフである。
【図5】照明装置の副走査方向の照度分布状態のモデルを示すグラフである。
【図6】第4の例に係る照明装置を示すものであり、(a)は照明装置の平面図、(b)は照明装置の正面図である。
【図7】主要な光学部品を立体的に示したものである。
【図8】第5の例に係る照明装置を示す図であり、(a)は照明装置の不具合を示す平面図、(b)は第5の例に係る照明装置の平面図である。本例は、直接反射光を回避するものである。
【図9】ミラーの配置状態を示す図であり、(a)は読取系を示す模式図、(b)は照明系を示す模式図である。
【図10】第1の実施例に係る画像読取装置の光学系を示す拡大断面図である。
【図11】第1の実施例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【図12】第2の実施例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【図13】第3の実施例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【図14】第3の実施例の変形例に係る画像読取装置の照明装置の配置状態を示す斜視図である。
【図15】照明装置の配光特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
10 照明装置
12 画像形成部
20 ラインセンサ撮像素子
21 結像レンズ
23 撮像領域
30 原稿
31 原稿面
112 画像形成部
113 自動原稿搬送装置(ADF)
114 原稿排紙トレイ
115〜118 給紙カセット
119 給紙部
120 排紙トレイ
121 原稿台
122 ピックアップローラ
123 原稿搬送ベルト
124 コンタクトガラス
125 読取装置
130 感光体
131 帯電装置
132 書き込みユニット
133 現像装置
134 転写装置
135 クリーニング装置
137 排出ローラ対
140 定着装置
200 画像読取装置
210 第1走行体
211,221,222 変向ミラー
220 第2走行体
221,222 変向ミラー
400 照明装置
410 LEDアレイ
411 発光ダイオード
420 回転放物面鏡列
421 回転放物面鏡
430 主集光レンズ
440 主照明レンズ
450 主統合レンズ
460 読取領域
470 主統合レンズ
480 集束レンズ
490 副照明レンズ
500 照明装置
510 LEDアレイ
520 回転放物面鏡列
540 主照明レンズ
550 主統合レンズ
560 副照明レンズ
570 副統合レンズ
580 集束レンズ
590 照明領域
610,620 照明ユニット
611 読取焦点位置
612 照明焦点位置
613 読取軸
630 読取ライン
631 重複領域
640 照度低下
700 照明装置
710,720 照明ユニット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、複数の照明レンズとを備え、前記照明レンズで前記光源から発する光束を複数に分割し、該分割された複数の光束を重畳して読取面に照射する照明装置を備え、
前記照明装置により照明された読取面からの反射光を結像レンズで撮像素子に結像させ、前記読取面を主走査方向に直線状に読み取りつつ、主走査方向と直交する副走査方向に読み取り、平面的な画像を読み取る画像読取装置において、
前記照明装置を前記原稿読取位置近傍に配置したことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取面近傍を移動する第1走行体と、前記第1走行体と連動する第2走行体とを備え、前記照明装置は、前記第1走行体に搭載することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記照明装置は、前記読取面を直接照明することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
1台の照明装置を備えることを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
照明装置を主走査方向の読取ラインの中心位置に配置することを特徴とする請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
照明装置を2台備え、前記照明装置は読取軸中心に対し主走査方向において左右対称に配置されることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記左右対称に配置された照明装置は、それぞれ読取軸を挟む読取面の反対側を照明することを特徴とする請求項6記載の画像読取装置。
【請求項8】
照明装置を主走査方向に3個以上並べて配置することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記複数配置した照明装置の主走査方向における照明範囲を、それぞれ異なるものとしたことを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記照明装置を奇数個配置し、中央に配置された照明装置が照明する照明装置が照明する範囲をその他の照明装置に比べて広くすることを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記照明装置に供給する電流をそれぞれ独立制御可能とし、それぞれの電流量を制御することで主走査方向の照度分布を調整可能とすることを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記複数の照明装置は、各照明装置の色バランスを独立して調整できることを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記複数の照明装置は、各照明装置の照明範囲を隣り合う照明装置からの照明範囲と重合させたことを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項14】
請求項1乃至13記載のいずれかの画像読取装置を具備したことを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−182454(P2008−182454A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13997(P2007−13997)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】