説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】少ない光源数で、小型の照明光学系を有する照度分布の良好な画像読取装置及び該画像読取装置を用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿面6aへの照明光となる光を出射する光源ユニット8と、複数の反射板2a〜2dから構成され集光作用を有する導光体2と、反射板3,4とを有し、光源ユニット8から出射された光を導光体2で集光し、該集光された光を反射板3,4で反射して原稿面6aにおける長さと幅を有する読取対象領域6a1を照明する照明光学系と、原稿面6aから反射された光を結像する結像光学系と、前記結像光学系の結像部に設けられ、前記原稿の画像を読み取るセンサと、を備える画像読取装置10であって、導光体2あるいは反射板3,4の反射面うち、少なくとも1面は入射光を散乱させながら反射する凹凸構造の反射面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機やイメージスキャナに使用される画像読取装置、並びに該画像読取装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、LED)の開発が活発に行われており、LED素子の明るさは急激に高まっている。LEDは、一般的に長寿命、高効率、高耐G性、単色発光などの利点を有しており、多くの照明分野への応用が期待されている。
【0003】
そのLEDの用途の一つとして、デジタル複写機やイメージスキャナのような画像読取装置の原稿照明装置がある。
画像読取装置に用いられるLEDの使用方法としては、様々な方式が提案されている。例えば、特許文献1、2、4では、原稿の主走査方向と平行にLEDを多数並べ、LEDの出射光を、主走査方向においては光学的な作用を与えないことで拡散させ、副走査方向においては反射面の集光作用によって、原稿面上の読取対象領域における照度を高めている。さらに、特許文献3では、原稿の主走査方向と平行にLEDを多数並べ、LEDの出射光を、主走査方向においては光学的な作用を与えないことで拡散させ、副走査方向においてはレンズの集光作用によって、原稿面上の読取対象領域における照度を高めている。
【0004】
ここで、原稿面上でどのような照度あるいは照度分布が求められているかを説明する。
図1に示すように、デジタル複写機やイメージスキャナに使用される画像読取装置は、原稿に記載されている情報を読取レンズを介してCCD等の撮像素子に入力する装置である。また図2は図1の原稿面を上から眺めた上面図である。画像読取装置は、光学系を固定した状態では図2に示す細長い読取対象領域の情報だけを撮像素子に入力可能な状態である。そこで図1の装置全体を動かす、あるいは照明光学系と折り返しミラーを連動して動かすことで、図2の矢印の方向に読取対象領域を移動させる。読取対象領域を移動させながら撮像素子に順次情報を入力することで、原稿全体を読み取ることが可能である。
【0005】
この時、原稿面上でどのような照度が求められるかというと、図2の読取対象領域を高速で移動させるには(原稿1枚あたりの読取時間を短くするには)、単位時間あたりに撮像素子に入力する光量を増やすことが求められるから、照度は高い方が望ましい。この観点から特許文献1〜4のように副走査方向に光を規制する方法は妥当である。
【0006】
ところで、照度分布はどうかというと、一般には一様な照度分布が望まれる。図3は、原稿面と撮像素子の共役な関係を示す図であり、なおかつ実線と点線にて原稿面の照度分布の一例を示している。図の実線はある時点での原稿面上の照度分布であり、点線はある瞬間に外部からの振動の影響などによって変動した照度分布である。図の実線あるいは点線にて示すように、原稿面上の照度分布にムラがあると、原稿面上で照度が高い位置は、撮像面上の対応する位置においても照度が高く、逆もまた然りである。図2の矢印の方向に読取対象領域を移動させて原稿全体を読み取る期間中、常に原稿と照明の関係が同じであればこのようなムラのある照度分布は画像処理によって補正可能である。しかし、この期間中に原稿と照明の関係が、実線の状態から瞬間的に点線の状態に移ることがあると、読み取った画像に濃度ムラが発生し、画像の品質が低下する。
【0007】
したがって、一般には図4に示すように、読取対象領域全体が一様な照度分布であることが望ましい。一様な照度分布であれば、例えば外部から振動を受けて原稿と照明の位置関係がずれても、撮像面上の照度分布に変化無い。
【0008】
特許文献1〜4いずれの場合においても、主走査方向の照度分布を一様にする方法は、LEDという点光源からの光に何ら光学的作用を与えないで、そのまま拡散させる方法であった。しかし、このような方法を採ると、光源数が少ない場合には、光源から原稿面までに長い距離が必要となり、光源から原稿面までの照明光学系が大型化しがちであった。照明光学系を小型化するために光源数を増加すると、照度が向上し、さらに小型化できるメリットがあるものの、高コスト・高消費電力というデメリットがあった。
【0009】
【特許文献1】特開2006−67551号公報
【特許文献2】特開2006−42016号公報
【特許文献3】特開2005−311662号公報
【特許文献4】特開2005−241681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、少ない光源数で、小型の照明光学系を有する照度分布の良好な画像読取装置及び該画像読取装置を用いた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために提供する本発明は、点光源から出射された拡散光の進行方向を、反射面上に設けた凹凸構造によって、無規則に(ランダムに)するものである。これより、照度分布の一様性を上げることが可能となる。具体的には、以下の通りである。
(1) 原稿面への照明光となる光を出射する光源と、複数の反射面から構成され集光作用を有する光学部材と、反射部材とを有し、前記光源から出射された光を前記光学部材で集光し、該集光された光を前記反射部材で反射して前記原稿面における長さと幅を有する読取対象領域を照明する照明光学系と、前記原稿面から反射された光を結像する結像光学系と、前記結像光学系の結像部に設けられ、前記原稿の画像を読み取るセンサと、を備える画像読取装置であって、前記光学部材あるいは反射部材の反射面うち、少なくとも1面は入射光を散乱させながら反射する凹凸構造の反射面であることを特徴とする画像読取装置。
(2) 前記凹凸構造は、基板上に複数の溝が平行に形成された一次元格子をなしていることを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(3) 前記凹凸構造は、回折格子をなしていることを特徴とする前記(2)に記載の画像読取装置。
(4) 前記凹凸構造の溝は、その長手方向が前記読取対象領域の長さ方向に直交して配置されていることを特徴とする前記(2)に記載の画像読取装置。
(5) 前記凹凸構造の凸部の高さBと凹部の幅Aとの比(B/A)が0.692以上であることを特徴とする前記(2)に記載の画像読取装置。
(6) 前記凹凸構造の凸部の断面形状が矩形、三角形、台形のいずれかであることを特徴とする前記(2)に記載の画像読取装置。
(7) 前記凹凸構造は、ランダムな砂目状の凹凸構造であることを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(8) 前記照明光学系は、複数の反射部材を有し、該複数の反射部材はそれぞれ前記光学部材からの光を反射して前記読取対象領域を照明することを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(9) 前記複数の反射部材の設置領域であって、前記読取対象領域から反射され画像の結像に利用される光が通過する面で区切られてなる2つの領域それぞれに、前記複数の反射部材のうちから少なくとも1つずつが設置されていることを特徴とする前記(8)に記載の画像読取装置。
(10) 前記反射部材の反射面が曲面となっていることを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(11) 前記光学部材あるいは反射部材の反射面は、アルミコートがされてなることを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(12) 前記光学部材あるいは反射部材の反射面は、反射シートが貼り付けられてなることを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(13) 前記光源は、1または複数の発光ダイオードであることを特徴とする前記(1)に記載の画像読取装置。
(14) 前記発光ダイオードは、蛍光体を用いた1チップ型白色発光ダイオードであることを特徴とする前記(13)に記載の画像読取装置。
(15) 前記発光ダイオードは、それぞれの発光する色が異なる2種以上の発光ダイオードのチップからなり、混色により白色発光させる白色発光ダイオードであることを特徴とする前記(13)に記載の画像読取装置。
(16) 前記(1)乃至(15)のいずれか1項に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型で光源数が少なく、照度ムラの少ない照明光学系を有する画像読取装置を構成することが可能となる。また、該画像読取装置を用いることにより、小型ながら良好な画像形成が可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明に係る画像読取装置の構成について説明する。
〔第1の実施の形態〕
図5は、本発明に係る画像読取装置の第1の実施の形態における要部(照明部)の構成を示す断面図である。図5(a)は画像読取装置の断面図、図5(b)は上面図である。
図5に示すように、画像読取装置10の照明部は、原稿面への照明光となる光を出射する光源である発光素子であるLED1(点光源)を1または複数個列設した光源ユニット8と、複数の反射板2a,2b2c,2dから構成され集光作用を有する光学部材である導光体2と、反射部材である反射板3,4とから構成される照明光学系と、原稿面6aを有するコンタクトガラス6と、前記原稿面6aの読取対象領域6a1から反射された光を結像する結像光学系(不図示)と、前記結像光学系の結像部に設けられ、前記原稿の画像を読み取るセンサ(不図示)と、を備える。また、コンタクトガラス6が備える2面のXY平面のうち光源ユニット8や照明光学系と対向していない面が長さと幅を有し面上に原稿が配置される原稿面6a(被照明面)である。このとき、光源ユニット8−導光体2−反射板3(または反射板4)を経由した光(光源ユニット8から出射された光を導光体2で集光し、該集光された光を反射板3、反射板4それぞれで反射した光)が、コンタクトガラス6を透過して原稿面6a上の原稿、詳しくは原稿面6aにおける長さと幅を有する読取対象領域6a1に照射される仕組みとなっている。
【0014】
また、コンタクトガラス6の下方の照明光学系が設置される空間は、仮想平面7で光源ユニット8が存在する区画である第1の領域と光源ユニット8が存在しない第2の領域の2つの区画に区分される。ここで、仮想平面とは、原稿面6aを垂直に区切る平面であって、かつ読取対象領域6a1を通過する面、即ち原稿(読取対象領域6a1)から反射され画像の結像に利用される光が通過する面である。この第1の領域には、光源ユニット8、導光体2、反射板3が配置され、第2の領域には反射板4が配置されている。したがって、光源ユニット8から出射された光は反射板3、反射板4それぞれで反射して、原稿面6aの読取対象領域6a1に入射することから、仮想平面7を挟んで、その両側から照明光が照射されるようになり、副走査方向の照度分布を均一なものとすることができる。
【0015】
なお、図5において、読取対象領域6a1の長さ方向(主走査方向、図5(b)の上下方向)をX方向、幅方向(副走査方向、図5(b)の左右方向)をY方向とし、読取対象領域6a1からの反射光のうち画像の結像に利用される光が通過する方向(図5(a)の上下方向)をZ方向とする。また、仮想平面7と第1の領域、第2の領域の関係は、以下の実施の形態において、本実施の形態と同様の定義で用いられる。さらに具体的には、仮想平面7と第1の領域、第2の領域の配置構成において、光学部材の種類等が変更される以外は本実施の形態と同様とする。
【0016】
また、LED1は、白色光を出射する点光源である。例えば、蛍光体を用いた1チップ型白色発光ダイオード、またはそれぞれの発光する色が異なる2種以上の発光ダイオードのチップからなり、混色により白色発光させる白色発光ダイオードであることが好ましい。
【0017】
導光体2は、複数の反射板2a,2b2c,2dが一体化されたものである。この反射板2a,2b2c,2dの反射面は、平面であればよいが、曲面であってもよい。また、反射効率を向上させるために、その反射面には、アルミコートを施すとよく、あるいは反射シートを貼り付けてもよい。
【0018】
また、反射板2a,2bは光源ユニット8から出射される光をZ方向から挟むように配置されており、導光体2の入側から出側にかけて反射板2a,2bの間隔が広がるように角度をもって配置されている(図5(a))。これにより、光源ユニット8(LED1)から出射された光のうち光源ユニット8(LED1)の正面方向からZ方向外側に拡散していく光を、反射板2a,2bが反射して光源ユニット8の正面方向に集光させることができる。また、反射板2c、2dは光源ユニット8から出射される光をX方向から挟むように平行に配置されている。これにより、光源ユニット8(LED1)から出射された光のうち光源ユニット8(LED1)の正面方向からX方向外側に拡散していく光を、反射板2c2dが反射して、原稿の照明に有効に利用されるようにすることができる。このように、光源ユニット8から出射された光は、導光体2により集光されつつ、反射板3,4に入射する。
【0019】
なお、反射板2a,2b2c,2dの一体化の方法は,例えば接着剤で接着してもよいし、一体的に成形したり,二対成形を組み合わせてもよい。
【0020】
反射板3,4は、それぞれで導光体2で集光された光を反射して、原稿面6aの読取対象領域6a1に導くためのものである。すなわち、導光体2からの光は、第1の領域において反射板3により反射されて原稿面6aの読取対象領域6a1に導かれ、第2の領域において反射板4により反射されて原稿面6aの読取対象領域6a1に導かれる。
【0021】
この反射板3,4の反射面は平面であり、反射効率を向上させるために、アルミコートを施したり、あるいは反射シートが貼り付けられたりしている。
【0022】
また、反射板3,4の反射面には、入射光を散乱させながら反射するための微細な凹凸構造が形成されている。図6に、反射板3,4の反射面に形成された凹凸構造の拡大断面を示す。図6(a)は、反射板3(または4)を主走査方向(X方向)で切断した断面図、図6(b)は、副走査方向(Y方向)で切断した断面図である。以下、反射板3における凹凸構造について説明するが、その内容は反射板4においても同じである。
【0023】
反射板3の凹凸構造は、基板a上に複数の矩形の溝(凹部ともいう)cが平行に形成された一次元格子(グレーチング構造)をなしている。このとき、溝(凹部)cは、その長手方向が読取対象領域6a1の長さ方向であるX方向に直交して配置されていることから、X方向における断面は矩形の凸部bが一定の間隔(溝(凹部)cの幅)で並んだ構造を示す。(図6(a))。一方、副走査方向(Y方向)における断面は凸部bからなる高さBの平面が基板a上に連続して形成された構造を示す(図6(b))。このような凹凸構造は、回折格子をなしていることが好ましいが、特定の波長の光だけを反射することのないように、凹凸の寸法、光の入射角、反射角等に留意する必要がある。なお、このような凹凸構造はフォトレジストによるパターンエッチング等の公知の方法で形成する。
【0024】
図7に、図6の凹凸構造を有する反射板3への光の入射及び反射の様子を示す。図の矢印を含む線は光線(入射光Lin、反射光Lout)である。
まず、凸部bの頂上の面に入射した光Linは、図の断面の垂線に線対称な方向に反射(鏡面反射)され反射光Loutとして進んでいく。一方、凹部cに入り込んだ光は、図のように凹部cの中で複数回反射し、凸部bの頂上の面で反射された光とは角度の異なるランダムな方向に出射する。このように反射面からの反射光の一部が図の断面上でランダムな方向に進むことで、LED1の間隔が一定であっても読取対称領域6a1の長さ方向(主走査方向)の照度分布を一様化できる。なお、凹凸構造が回折格子であれば、反射による拡散度合いがさらに高まり望ましいが、ここではスネルの法則で表現できる反射による拡散効果にのみ記載する。
【0025】
ところで凹部cにおける反射回数は、あまり少ないと凹凸構造を設ける意味が無いので、反射回数は多い方が望ましい。しかし一方で、反射の前後でエネルギーが減衰するという問題がある。反射回数があまり多くなるような構造であると、読取対象領域6a1上の照度が著しく低下する。例えば反射板3,4の反射面はアルミニウム薄膜で形成されているとすると、アルミニウムの反射率はいずれの光入射角においてもほぼ90%であるから、1回反射で90%,2回反射で81%,3回反射で73%・・・・・・7回反射でついに50%を切り48%となる。
【0026】
そこで、凹凸構造の凸部bの高さBと凹部cの幅Aとの比(B/A)を0.692以上とすると好適である。これにより、光の反射回数が7回未満になり、著しい照度低下及びランダムな方向から読取対象領域6a1に入射する光の照明への寄与低減を回避できる。なお、ここではLED1から出射する光で出射角がLEDの正面方向から半値角以内に出射する前提で前記比を設定している。
【0027】
ここで、半値角について説明する。
通常、発光素子(チップ)にレンズなどの屈折部材が取り付けられていないタイプのLED(ベアチップタイプLED)から、光出射角度60度で出射された光の光強度は、正面方向に出射される光の光強度に比べて50%のエネルギーである。このように、LEDの正面方向に出射される光に対して、50%のエネルギーの光が出射される角度を半値角と呼ぶ。例えば、図5(b)で言うと、LED1から太線で示した、反射板3に60度の角度で入射する光線の光強度は、この光を出射するLED1が正面方向(紙面の右方向)に出射する光強度の50%であるので、60度が半値角である。本発明では、このような一般的なベアチップタイプLEDから半値角で出射された光エネルギーが反射によって50%以下にならないような規制を与えている。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施形態は、LED1,導光体2の構成、及び反射板3,4の配置は第1の実施の形態と同じであり(図5と同じ構成)、反射板3,4の反射面における凹凸構造を図8に示すように、三角状に設定したものである。すなわち、反射板3の凹凸構造は、基板a上に複数の逆三角形の溝(凹部)c1が平行に形成された一次元格子(グレーチング構造)をなしている。このとき、溝(凹部)c1は、その長手方向が読取対象領域6a1の長さ方向であるX方向に直交して配置されていることから、X方向における断面は三角形の凸部b1が並んだ構造を示す(図8)。一方、副走査方向(Y方向)における断面は凸部b1からなる高さBの平面が基板a上に連続して形成された構造を示す。
また、本実施の形態においても、凹凸構造の凸部b1の高さBと凹部c1の幅Aとの比(B/A)を0.692以上とすると、半値角60度で出射された光線の反射回数が7回を越えることは無く、照度分布が均一でありかつ所定の照度が得られる。
【0029】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施形態は、LED1,導光体2の構成、及び反射板3,4の配置は第1の実施の形態と同じであり(図5と同じ構成)、反射板3,4の反射面における凹凸構造を図9に示すように、台形状に設定したものである。すなわち、反射板3の凹凸構造は、基板a上に複数の逆台形の溝(凹部)c2が平行に形成された一次元格子(グレーチング構造)をなしている。このとき、溝(凹部)c2は、その長手方向が読取対象領域6a1の長さ方向であるX方向に直交して配置されていることから、X方向における断面は台形の凸部b2が一定の間隔で並んだ構造を示す(図9)。一方、副走査方向(Y方向)における断面は凸部b2からなる高さBの平面が基板a上に連続して形成された構造を示す。
また、本実施の形態においても、凹凸構造の凸部b2の高さBと凹部c2の幅Aとの比(B/A)を0.692以上とすると、半値角60度で出射された光線の反射回数が7回を越えることは無く、照度分布が均一でありかつ所定の照度が得られる。
【0030】
〔第4の実施の形態〕
第4の実施形態は、LED1,導光体2の構成、及び反射板の配置は第1の実施の形態と同じであり(図5と同じ構成)、反射板3,4の反射面を曲面状(凹面状)とした反射板5a,5bとして光利用効率を高めたものである。その構成を図10に示す。図10では曲面の反射板を2枚使用しているが、これが1枚であっても読取対象領域6a1の照度向上(光利用効率向上)を達成することが可能となる。
【0031】
また、反射板5a,5bに、第1の実施の形態の反射板3,4と同様の矩形形状の凹凸構造を設ける。ただし、第1の実施の形態の場合と異なり、図11に示すように、矩形の凹凸のピッチを非一様とする。具体的には、凹部cの幅A(隣接する凸部bの間隔)を、反射板5a,5bの主走査方向(X方向)の中央にいくほど小さくし、端にいくにつれて大きくする。これは、LED1の配列間隔を、例えば中心から周辺にかけて密にし、読取対象領域6a1の周辺よりも中心の方が照度の一様化が必要となった場合などに有効である。
【0032】
〔第5の実施の形態〕
第5の実施形態は、LED1,導光体2,反射板3,4の構成は第4の実施の形態と同じであり(図10と同じ構成)、導光体2の反射板2a,2b,2c,2dの反射面に、図6と同様の矩形形状の凹凸構造を設けたものである。導光体2の反射板2a,2b,2c,2dの反射面に凹凸構造あるいは砂目状の荒しを与えることで、さらに照明光の照度むらを改善でき望ましい。
【0033】
なお、以上の実施の形態では、反射板3,4の反射面に凹凸構造を設けた例を示したが、これに代えて(反射板3,4の反射面には凹凸構造なしで)、導光体2の反射板2a,2b,2c,2dの反射面に前述した凹凸構造を設けたものとしてもよい。
【0034】
次に、本発明に係る画像形成装置の構成について説明する。
図11は、本発明の画像読取装置を有する画像形成装置の模式図である。
同図において符号100は画像形成装置、200は画像読取装置をそれぞれ示す。
その他の符号は説明中で直接引用する。
【0035】
画像読取装置200は、原稿202がコンタクトガラス201(図5におけるコンタクトガラス5)の上(原稿面)に配置され、コンタクトガラス201の下部に配置された第1走行体203に搭載された、不図示の照明部(第1〜5の実施の形態の構成)により原稿202が照明される。原稿202からの反射光は、第1走行体203の第1ミラー203aにより反射され、その後、第2走行体204の第1ミラー204aと第2ミラー204bで反射され、縮小結像レンズ205へ導かれ、ラインセンサー206上に結像される。また、カラー画像読み取り装置の場合は、該ラインセンサー206をRGB各色ごとに設けることで同様の構成のまま本発明を適用することができる。
【0036】
原稿の長手方向を読み取る場合は、長尺レンズ及びLEDを搭載した第1走行体203がVの速度で図の右方向へ移動し、それと同時に第2走行体204が第1走行体203の半分の速度1/2Vで右方向へ移動することで、原稿202からラインセンサー206までの光路長が一定に保たれ、原稿全体を一定の倍率で読み取ることができる。
通常、画像読取装置に用いられる原稿照明装置としてのLEDの使用方法としては、LED素子を多数個並べ、アレイ状にして用いる。
【0037】
画像形成装置100は、ドラム状の潜像担持体111を有し、その周囲に帯電手段としての帯電ローラ112、現像装置113、転写ローラ114、クリーニング装置115が配備されている。帯電手段としては「コロナチャージャ」を用いることもできる。更に、画像読み取り部等、外部からの原稿情報を受けてレーザビームLBにより光走査を行う光走査装置117が設けられ、帯電ローラ112と現像装置113との間で「光書込による露光」を行うようになっている。
【0038】
画像形成を行うときは、光導電性の感光体である潜像担持体111が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ112により均一帯電され、光走査装置117のレーザビームLBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像には画像部が露光された所謂ネガ潜像と、非画像部が露光された所謂ポジ潜像とがある。上記何れの静電潜像も現像装置113において静電潜像現像用トナーを用いて可視化される。このとき、現像装置113をYMCK4色に対して各々、計4個設けることでカラー画像形成が可能な画像形成装置となる。
【0039】
転写紙Pを収納したカセット118は、画像形成装置100本体に脱着可能であり、図のごとく装着された状態において、収納された転写紙Pの最上位の1枚が給紙コロ120により給紙され、給紙された転写紙Pは、その先端部をレジストローラ対119に捕らえられる。レジストローラ対119は、潜像担持体111上のトナー画像が転写位置へ移動するのにタイミングを合わせて、転写紙Pを転写部へ送り込む。送りこまれた転写紙Pは、転写部においてトナー画像と重ね合わせられ転写ローラ114の作用によりトナー画像を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙Pは定着装置116へ送られ、定着装置116においてトナー画像を定着され、搬送路121を通り、排紙ローラ対122によりトレイ123上に排出される。トナー画像が転写された後の潜像担持体111の表面は、クリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
【0040】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図2】原稿面における読取対象領域の説明図である。
【図3】照度分布が不均一な場合のCCDにおける読取状態の説明図である。
【図4】照度分布が均一な場合のCCDにおける読取状態の説明図である。
【図5】本発明に係る画像読取装置の第1の実施の形態における構成を示す概略図である。
【図6】図5で用いる反射板の反射面の凹凸構造を示す断面図である。
【図7】図6の反射面における反射メカニズムを示す断面図である。
【図8】本発明に係る画像読取装置の第2の実施の形態における反射板の反射面の凹凸構造を示す断面図である。
【図9】本発明に係る画像読取装置の第3の実施の形態における反射板の反射面の凹凸構造を示す断面図である。
【図10】本発明に係る画像読取装置の第4の実施の形態における構成を示す概略図である。
【図11】図10で用いる反射板の反射面の凹凸構造を示す断面図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1 LED
2 導光体
2a,2b,2c,2d,3,4,5a,5b 反射板
6,201 コンタクトガラス
6a 原稿面
6a1 読取対象領域
7 仮想平面
8 光源ユニット
10,200 画像読取装置
100 画像形成装置
111 潜像坦持体
112 帯電ローラ
113 現像装置
114 転写ローラ
115 クリーニング装置
116 定着装置
117 光走査装置
118 カセット
119 レジストローラ対
120 給紙コロ
121 搬送経路
122 排紙ローラ対
123 トレイ
202 原稿
203 第1走行体
203a,204a,204b ミラー
204 第2走行体
205 縮小結像レンズ
206 ラインセンサ
a ベース
b,b1,b2 凸部
c,c1,c2 凹部(溝)
Lin 入射光
Lout 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿面への照明光となる光を出射する光源と、
複数の反射面から構成され集光作用を有する光学部材と、反射部材とを有し、前記光源から出射された光を前記光学部材で集光し、該集光された光を前記反射部材で反射して前記原稿面における長さと幅を有する読取対象領域を照明する照明光学系と、
前記原稿面から反射された光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系の結像部に設けられ、前記原稿の画像を読み取るセンサと、を備える画像読取装置であって、
前記光学部材あるいは反射部材の反射面うち、少なくとも1面は入射光を散乱させながら反射する凹凸構造の反射面であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記凹凸構造は、基板上に複数の溝が平行に形成された一次元格子をなしていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記凹凸構造は、回折格子をなしていることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記凹凸構造の溝は、その長手方向が前記読取対象領域の長さ方向に直交して配置されていることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記凹凸構造の凸部の高さBと凹部の幅Aとの比(B/A)が0.692以上であることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記凹凸構造の凸部の断面形状が矩形、三角形、台形のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記凹凸構造は、ランダムな砂目状の凹凸構造であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記照明光学系は、複数の反射部材を有し、該複数の反射部材はそれぞれ前記光学部材からの光を反射して前記読取対象領域を照明することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記複数の反射部材の設置領域であって、前記読取対象領域から反射され画像の結像に利用される光が通過する面で区切られてなる2つの領域それぞれに、前記複数の反射部材のうちから少なくとも1つずつが設置されていることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記反射部材の反射面が曲面となっていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記光学部材あるいは反射部材の反射面は、アルミコートがされてなることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記光学部材あるいは反射部材の反射面は、反射シートが貼り付けられてなることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記光源は、1または複数の発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記発光ダイオードは、蛍光体を用いた1チップ型白色発光ダイオードであることを特徴とする請求項13に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記発光ダイオードは、それぞれの発光する色が異なる2種以上の発光ダイオードのチップからなり、混色により白色発光させる白色発光ダイオードであることを特徴とする請求項13に記載の画像読取装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−63613(P2009−63613A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228756(P2007−228756)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】