説明

発光素子搭載用配線基板及び発光装置

【課題】基体表面における光の反射率が高く、長期にわたり高い光の反射率を維持する発光素子搭載用配線基板を提供すること。
【解決手段】発光素子(1)を駆動させるための配線導体(5a、5b)が基体(2)上に形成されている発光素子搭載用配線基板であって、少なくとも該発光素子(1)による光が照射される予定部位の該配線導体が銀系の配線導体(5a、5b)であり、該銀系の配線導体(5a、5b)の表面にガラス層(8)が形成されていることを特徴とする発光素子搭載用配線基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子搭載用配線基板に関し、更に詳しくは基板表面からの光の反射が良好な発光素子搭載用配線基板及び該発光素子搭載用配線基板に発光素子を搭載した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高輝度の発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)等の発光素子を発光素子搭載用配線基板(以下、単に配線基板ともいう)上に搭載した発光装置が、各種表示板、照明、バックライト等に用いられている。
【0003】
このような従来の発光装置は、一般に、例えば、図5に示すように、発光素子1を搭載する基体2と、貫通孔3を有する枠体4とから構成されたパッケージ構造となっており、基体2には、発光素子1に外部から通電して発光させるための複数の配線導体5a、5bが設けられている(特許文献1参照)。
上記パッケージ内に搭載された発光素子1は、配線導体5a、5b及びボンディングワイヤー6を介して外部から通電することにより発光する。
また、上記図5に示された枠体4を設けずに、単に発光素子1を基体2に搭載した構造の発光装置も多く使用されている。
【0004】
図5に示す構造の発光装置では、発光素子1により発生した光は外部に直接放出されると共に、枠体4の内周面4bや、配線導体5a、5bを含めた上記基体表面2aの該枠体4に囲まれた部分に反射して外部に放出される。上記基体表面2aの該枠体4に囲まれた部分において、配線導体5a、5bの配設面積割合が大きい場合は、該配線導体5a、5bの表面による光の反射率が全体の光の放出量に大きく影響する。
また、上記図5に示された枠体4を設けずに、単に発光素子1を基体2に搭載した構造の発光装置の場合は、枠体4を設けた図5に示す構造の発光装置に比して、配線導体5a、5bの表面からの反射割合が更に増加するため、配線導体5a、5bの表面による光の反射率が全体の光の放出量に更に大きく影響する。
【0005】
上記配線導体5a、5bに使用される金属としては、一般に、銀、銀系合金、金等の貴金属導体あるいは銅、W、Mo等の導体が使用されており、必要に応じて半田濡れ性等の付与を目的に導体の表面にNiメッキ、銀メッキ又は金メッキが施されている。上記配線導体5a、5bは、比較的大きい配設面積割合で使用されるため、光の放出量の観点から配線導体5a、5bの最表層は光の反射率の良い銀を使うのが望ましい。
しかしながら、銀系の配線導体は経時でその表面が化学変化で変色し、光の反射率が低化するため、長期の信頼性の必要な用途には反射率の低い金導体若しくは金メッキを施した導体を使用するのが一般的であった。そのため、従来の発光装置は、基体表面2aにおける光の反射率が低く、光の放出量が小さいという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−228531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上記従来の発光装置の問題点を解消すること、即ち、基体表面における光の反射率が高く、長期にわたり高い光の反射率を維持する発光素子搭載用配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、銀系の配線導体上にガラスコートすることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、発光素子を駆動させるための配線導体が基体上に形成されている発光素子搭載用配線基板であって、少なくとも該発光素子による光が照射される予定部位の該配線導体が銀系の配線導体であり、該銀系の配線導体の表面にガラス層が形成されていることを特徴とする発光素子搭載用配線基板を提供するものである。
また、本発明は、上記の本発明の発光素子搭載用配線基板に発光素子を搭載した発光装置を提供するものである。
また、本発明は、上記の本発明の発光装置の製造方法として、少なくとも発光素子による光が照射される予定部位の配線導体が銀系の配線導体となるように、発光素子を駆動させるための配線導体を基体上に形成する工程、該銀系の配線導体の表面にガラス層を形成する工程、及び配線基板上に発光素子を搭載する工程を有することを特徴とする発光装置の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光素子搭載用配線基板は、少なくとも発光素子による光が照射される予定部位の配線導体が銀系の配線導体であり、且つ該銀系の配線導体の表面にガラス層が形成されているため、配線導体の表面における光の反射率が高く、長期にわたり高い光の反射率を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の発光素子搭載用基板の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
まず、図1に示す実施形態について説明する。図1(a)及び(b)は、それぞれ本発明の発光素子搭載用配線基板の好適な一実施形態を示す断面図及び平面図であり、図1(a)は、図1(b)のa−a線断面図である。
図1の通り、本実施形態の発光素子搭載用配線基板Aは、ガラス層8の位置が明確になるように、配線基板に発光素子1とボンディングワイヤー6が配設された状態で図示されている。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態の発光素子搭載用配線基板Aは、基体2に、発光素子1を駆動させるための銀系の配線導体5a、5bが基体2の上部表面2aから外縁部を覆い下部表面にまで形成されている。そして、基体2の上部表面2aに形成された銀系の配線導体5a、5bの表面であって、発光素子1の搭載部分及びボンディングワイヤー6の接合部分(光の反射に寄与しない部分)を除く全表面にガラス層8が形成されている。
基体2の上部表面2aに形成された一方の銀系の配線導体5a上に発光素子1が搭載されており、該発光素子1と他方の銀系の配線導体5bとがボンディングワイヤー6により電気的に接続されている。
【0011】
次に、図2に示す実施形態について説明する。図2(a)は、本発明の発光素子搭載用配線基板の別の好適な実施形態の図1(a)に相当する断面図で、図2(b)は、その図1(b)に相当する平面図であり、図2(a)は、図2(b)のb−b線断面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態の発光素子搭載用配線基板Bは、配線基板上に、貫通孔3を有する枠体4が設置されたパッケージ構造の配線基板であり、該枠体4が設置され、該枠体4の内周面4bで囲まれた部分の銀系の配線導体5a、5bの表面のみにガラス層8が形成されている以外は、図1に示す実施形態の発光素子搭載用配線基板Aと同様に構成されている。
本実施形態の発光素子搭載用配線基板Bは、枠体4を設置したパッケージ構造の配線基板に発光素子1とボンディングワイヤー6が配設された状態で示されている。
本実施形態の発光素子搭載用配線基板Bを用いた発光装置では、発光素子1により発生した光は外部に直接放出されると共に、枠体4の内周面4bや、配線導体5a、5bを含めた上記基体表面2aの該枠体4に囲まれた部分に反射して外部に放出される。尚、図2中、4aは枠体4の外周面である。
【0012】
次に、図3に示す実施形態について説明する。図3(a)は、本発明の発光素子搭載用配線基板の更に別の好適な実施形態の図1(a)に相当する断面図で、図3(b)は、その図1(b)に相当する平面図であり、図3(a)は、図3(b)のc−c線断面図である。
図3の通り、本実施形態の発光素子搭載用配線基板Cは、枠体4を設置したパッケージ構造の配線基板であり、該パッケージ内に発光素子1、サーミスター素子9及びボンディングワイヤー6が配設された状態で図示されている。
図3(a)及び(b)に示すように、本実施形態の発光素子搭載用配線基板Cは、基体2に、発光素子1及びサーミスター素子9を駆動させるための銀系の配線導体5a、5bが基体2の上部表面2aから外縁部を覆い下部表面にまで形成されている。そして、基体2の上部表面2aに形成された銀系の配線導体5a、5bの表面であって、発光素子1の搭載部分、サーミスター素子9の搭載部分及びボンディングワイヤー6の接合部分(光の反射に寄与しない部分)を除く全表面にガラス層8が形成されている。
本実施形態の発光素子搭載用配線基板Cでは、基体2の上部表面2aに形成された銀系の配線導体5a、5bの表面であって、ガラス層8が形成されていない配線導体5a、5bの表面に、該配線導体の経時による化学変化防止やワイヤーボンディング性付与の目的で、ニッケルメッキ層10が形成されている。
【0013】
本発明の発光素子搭載用配線基板を構成する上記の基体2、銀系の配線導体5a、5b及びガラス層8について以下に更に詳しく説明する。
【0014】
本発明の発光素子搭載用配線基板を構成する基体2は、図1、2及び3に示す発光素子搭載用配線基板A、B及びCでは長方形又は正方形の形状のものを用いたが、円形、楕円形又は多角形の形状のものでもよく、板状の形状であれば特に制限されるものではない。
基体2としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミックスや、アルミニウム又はステンレス等に絶縁材を塗布した金属基板等を使用することができる。
【0015】
基体2の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、セラミックスを使用する場合には、該セラミックス原材料の粉末に適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してグリーンシートを得、しかる後、高温(約1600℃)で焼成することによって製作されるグリーンシート法、原料粉体を成型機に充填して成型した後焼成する粉体成型法等を使用することができるが、板状である関係からグリーンシート法で製造することが好ましい。グリーンシート法による製造は公知のグリーンシート法を使用することができる。
【0016】
上記基体2に形成される配線導体5a、5bは、基体2に搭載された発光素子1が外部からの通電により発光できる形態であれば基体2のいずれの部分に形成されてもよく、少なくとも、発光素子1に直接又はボンディングワイヤー6を介して電気的接続のため、発光素子1の搭載される予定の上記基体2の上部表面2aと、外部と通電するための部位に形成される。
配線導体5a、5bの配設例として、例えば、図1、2及び3に示す如く、基体2の上部表面2aから外縁部を覆い下部表面にまで配線導体5a、5bが形成された配設形態としてもよく、また、図4に示す如く、基体2の下部表面に形成された配線導体5a、5bと基体2の上部表面2aに形成された配線導体5a、5bとがスルーホール7で接続された配設形態等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
基体2の上部表面2aに形成される配線導体5a、5bの配設形態は、搭載される発光素子1、その他の電子素子、ボンディングワイヤー6、その他の補助部材の配設設計によって自由に選択することができる。
【0017】
配線導体5a、5bの厚みはその製造方法により最適値が決定されるが、厚膜印刷による銀系の配線導体の場合は3〜20μmが好ましく、5〜12μmが更に好ましい。配線導体5a、5bが薄すぎると、かすれやピンホール等、印刷性の問題が発生することがあり、また厚すぎると、精細な回路が形成しにくくかつコストアップとなる。
【0018】
配線基板における発光素子1による光の反射率を高めるために、基体2に形成される配線導体5a、5bのうち、少なくとも該発光素子1による光が照射される予定部位の該配線導体5a、5bは、銀系の配線導体とする必要がある。
銀系の配線導体を形成する金属としては、銀の他、銀/白金、銀/パラジウム等の銀系合金を挙げることができ、銀の含有率は80%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。
発光素子1による光が照射される予定部位以外の部位の配線導体5a、5bは、必ずしも銀系の配線導体である必要はなく、これらの部位の配線導体を形成する金属としては、タングステン、モリブデン、銅、パラジウム、白金等の金属を使用することができる。
尚、「発光素子1による光が照射される予定部位」とは、例えば、図2に示されたパッケージ構造の配線基板においては、基体2の上部表面2aであって、枠体4の内周面4bで囲まれた部分であり、図1に示された枠体4を使わず、単に発光素子1を基体2に搭載した構造の配線基板においては、基体2の上部表面2aの全体である。
【0019】
配線導体5a、5bの形成方法としては、特に制限はなく、例えば、メッキによる方法、上記金属の粉末を有機溶剤中に分散させた導体ペーストを塗布、乾燥、焼成して得る方法等を挙げることができる。
上記導体ペーストを使用する場合には、例えば、スクリーン印刷等により導体ペーストを基体2上に塗布し、80〜150℃の温度で10〜60分間乾燥した後、ピーク温度500〜900℃で3〜15分間焼成することにより、配線導体5a、5bを得ることができる。
【0020】
発光素子1による光が照射される予定部位の銀系の配線導体5a、5bの表面に形成されるガラス層8は、高光反射率を有する銀系の配線導体5a、5bの表面を長期にわたり保護するため、本発明の発光素子搭載用配線基板では長期にわたり高光反射率が維持される。
ガラス層8は、少なくとも、基体2の上部表面2aに形成された銀系の配線導体5a、5bの表面であって、発光素子1の搭載部分、サーミスター素子9等のその他の電子素子の搭載部分、ボンディングワイヤー6の接合部分、その他の補助部材の接合部分、枠体4の外側部分等、発光素子1による光の反射に寄与しない部分及び電気接続部を除く全表面に形成される。
【0021】
ガラス層8の厚みは、5〜40μmが好ましく、10〜30μmが更に好ましい。ガラス層8の厚みが薄いと、ガラス層8にピンホール等が発生しやすく配線導体の保護効果が低下する。ガラス層8の厚みが厚いと、光の反射率が低下する。
【0022】
ガラス層8は、透明無色であることが好ましい。ガラス層8を形成するガラス材料としては、SiO 、B 、PbO、Al 、RO(Rはアルカリ土類金属)等を主成分とする粉末ガラス等を使用することができる。
【0023】
ガラス層8の形成方法としては、有機溶剤中に上記ガラス材料の粉体を分散させたガラスペーストを塗布乾燥して、焼成する方法、予め所定の形状に成型したガラス箔を所定の配線基板の表面に重ねて加熱溶融する方法等を挙げることができるが、効率的観点からガラスペーストを利用する方法が好ましい。
ガラスペーストを利用する方法の場合、例えば、スクリーン印刷等によりガラスペーストを配線導体5a、5bの所定表面上に塗布し、80〜150℃の温度で10〜60分間乾燥した後、ピーク温度500〜900℃で3〜15分間焼成することにより、ガラス層8を得ることができる。
【0024】
本発明の発光素子搭載用配線基板は、図2及び図3に示すように、必要に応じて枠体4を設置したパッケージ構造の配線基板とすることができる。
上記枠体4の材料としては、前述した基体2の形成材と同様な材料を使用することができる。
枠体4の製造方法は、特に制限はなく、前記のグリーンシート法、粉体成型法により製造することができるが、正確な形状の枠体4が製造でき、発光装置の発光効率が高くなる観点から粉体成型法が好ましい。粉体成型法は公知の方法あるいは国際公開第2007/058361号(WO 2007/058361 A1) パンフレットに記載の粉体製造法を用いることができる。
【0025】
枠体4は、一般には、配線導体5a、5b又は基体2と接着剤を使用して接着することにより設置される。例えば、基体2の所定箇所に接着剤を塗布し、枠体4を重ね合せて接着される。
上記接着剤としては、ガラスペースト、熱硬化性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の各種樹脂接着剤等を使用することができる。
熱硬化性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の各種樹脂接着剤を使用して基体2と枠体4とを接着する場合には、接着剤を基体2に塗布後、基体2と枠体4とを重ね合せ所定の硬化条件で接着剤を硬化させる。
ガラスペーストで基体2と枠体4とを接着する場合には、ガラスペーストは、ガラス粉末、有機バインダー、溶媒、更に必要に応じて酸化ケイ素、アルミナ等の充填剤を含有したペースト状の組成物であるため、溶媒の乾燥及びガラスの焼結を行う必要がある。
接着剤を塗布する場合は、スクリーン印刷、ディスペンサー等の装置を使用して塗布することができる。
接着剤の塗布厚みは、一般に、樹脂系の接着剤の場合0.01〜0.1mmが好ましく、0.01〜0.05mmが更に好ましく、ガラスペーストの場合0.01〜0.3mmが好ましく、0.02〜0.15mmが更に好ましい。接着剤の塗布厚みが上記下限値未満であると、接着剤層と枠体4との間に隙間が生じ、接着不足となり、また上記上限値を超えると、接着剤層がキャビティ側に流れ出て、反射効率が低下する傾向になる。
塗布された各種接着剤は、それぞれの接着剤が推奨される乾燥、焼成条件で乾燥、焼成等されて基体2と枠体4とが接着される。
尚、接着剤層は、図面には図示していない。
【0026】
本発明の発光素子搭載用配線基板は、図3に示すように、ガラス層8が形成されていない配線導体5a、5bの表面に、該配線導体の経時による化学変化防止やワイヤーボンディング性付与等の目的で、メッキ層10を形成してもよい。該メッキ層10としては、ニッケルメッキ、金メッキが好ましい。メッキ層10の厚みは、1〜20μmが好ましく、2〜10μmが更に好ましい。
【0027】
本発明の発光素子搭載用配線基板の工業的製造法は、製造効率を上げるために一般的に、基板シートに多数の配線基板単位を作成し、発光素子1、ボンディングワイヤー6等を設置した後、あるいは適当な段階で、そのシートを分割する方法を採用することが好ましい。
本発明の発光素子搭載用配線基板に発光素子1及び必要に応じてその他の各種電子素子を搭載して、配線を施し、封止剤をキャビティに充填して、発光装置とすることができる。
上記発光素子1としては、特に限定されるものではなく、LD(半導体レーザ)、LED(発光ダイオード)等の光半導体素子を使用することができる。
上記封止剤としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、イミド樹脂等の樹脂系の封止剤、ガラス系の封止剤を挙げることができるが、ガスラ系の封止剤は高温で処理する必要があるため既に設置した発光素子1等の電子素子、その他の部品に悪い影響を与えるため、樹脂系の封止剤の方が好ましい。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0029】
実施例1
図1に示す本発明の発光素子搭載用配線基板Aを次のようにして製造した。
基体2となるセラミック板の所定位置(図1において配線導体5a、5bが形成されている位置)に導体ペーストを塗布し、乾燥した後焼成して、配線導体5a、5bを形成した。具体的には、北陸セラミック社製のアルミナ純度96%の厚み0.3mm、大きさ8.0mm×8.0mmのアルミナ基板を準備し、これに導体ペースト(京都エレックス社製、グレード名「DD1130」)を上記の所定位置に塗布し、150℃の温度で10分間乾燥させた後、昇温して最高温度850℃で10分間保持することにより焼成して、厚み12μmの銀系の配線導体5a、5bを図1に示す配設形態に形成した。
次いで、基体2上に形成された銀系の配線導体5a、5bの表面のガラス層8が形成される位置にガラスペーストを塗布し、乾燥した後焼成して、ガラス層8が形成された発光素子搭載用配線基板を得た。具体的には、ガラスペースト(旭硝子株式会社製、グレード名「AP5700」)を上記の位置に塗布し、150℃の温度で20分間乾燥させた後、昇温して最高温度850℃で10分間保持することにより焼成して、厚み20μmのガラス層8が形成された図1に示す本発明の発光素子搭載用配線基板A(但し、発光素子1とボンディングワイヤー6は未配設の状態)を得た。
【0030】
実施例2
図2に示す本発明の発光素子搭載用配線基板Bを次のようにして製造した。
基体2となるセラミック板に厚み12μmの銀系の配線導体5a、5bを実施例1と同様にして形成した。
次いで、図2のガラス層8が形成される位置にガラスペーストを塗布した以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのガラス層8が形成された配線基板を得た。
一方、アルミナ純度96%のアルミナ粉体をPVA(バインダー)を用いて水分散し、噴霧乾燥して粒状物を得た後、粉体成型し、成型物を1600℃で焼成して、円筒状の枠体4を製作した。この枠体4の厚み、即ち外周面4aの高さは1.5mm、外周面4aの平面図における円の直径は6.5mm、内周面4bの平面図における円の直径は3.7mmであった。
上記配線基板の表面における枠体4が設置予定される部分に、ガラスペースト(旭硝子株式会社製、グレード名「AP5700」)を塗布厚み30μmで塗布した。塗布形状は、図2(b)における外周面4aを示す点線と内周面4bを示す点線とに挟まれた部分に相当する形状である。
上記ガラスペーストを塗布した配線基板を150℃で20分間加熱してガラスペースト部分を乾燥し、上記枠体4を重ねて固定器具で固定した後、850℃で10分間焼成してパッケージ構造の本発明の発光素子搭載用配線基板B(但し、発光素子1とボンディングワイヤー6は未配設の状態)を得た。
【0031】
実施例3
図3に示す本発明の発光素子搭載用配線基板Cを次のようにして製造した。
基体2となるセラミック板の所定位置(図3において配線導体5a、5bが形成されている位置)に導体ペーストを塗布し、乾燥した後焼成して、配線導体5a、5bを形成した。具体的には、北陸セラミック社製のアルミナ純度96%の厚み0.5mm、大きさ15.0mm×15.0mmのアルミナ基板を準備し、これに導体ペースト(京都エレックス社製、グレード名「DD1130」)を上記の所定位置に塗布し、以下実施例1と同様にして、厚み12μmの銀系の配線導体5a、5bを図3に示す配設形態に形成した。
次いで、図3のガラス層8が形成される位置にガラスペーストを塗布した以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのガラス層8が形成された配線基板を得た。
一方、アルミナ純度96%のアルミナ粉体をPVA(バインダー)を用いて水分散し、噴霧乾燥して粒状物を得た後、粉体成型し、成型物を1600℃で焼成して、図3に示す形状の枠体4を製作した。この枠体4の厚み、即ち外周面4aの高さは2.5mm、外周面4aの平面図における一辺の長さは15.0mm、内周面4bの平面図における円の直径は10.5mmであった。
上記配線基板と上記枠体4とを実施例2と同一の方法で接着した後、基体2上に形成された銀系の配線導体5a、5bの表面のメッキ層10が形成される位置に電解ニッケルメッキ、電解金メッキを施してパッケージ構造の本発明の発光素子搭載用配線基板C(但し、発光素子1とボンディングワイヤー6は未配設の状態)を得た。メッキの具体的な方法は、枠体4が接着され、且つ配線導体5a、5b及びガラス層8が形成された基体2を脱脂液や酸性液によって前処理を行った後、セラミック上の電極を利用して上記配線導体に通電し、電解ニッケルメッキ、電解金メッキを行い、厚み4μmのニッケル層と厚み0.5μmの金層からなるメッキ層10を図3に示す配設形態に形成した。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の発光素子搭載用配線基板は、少なくとも該発光素子による光が照射される予定部位に銀系の配線導体が形成されており、且つ該銀系の配線導体の表面にガラス層が形成されているため、配線導体の表面における光の反射率が高く、また配線導体が経時により黒化することがないため、長期にわたり高い光の反射率を維持することができるので、LD(半導体レーザ)、LED(発光ダイオード)等の光半導体素子を搭載する発光素子搭載用配線基板として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1(a)及び(b)は、それぞれ本発明の発光素子搭載用配線基板の好適な一実施形態を、ガラス層の位置が明確になるように、配線基板に発光素子とボンディングワイヤーを配設した状態で示す断面図及び平面図であり、図1(a)は、図1(b)のa−a線断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、それぞれ本発明の発光素子搭載用配線基板の別の好適な実施形態を、ガラス層の位置が明確になるように、配線基板に発光素子とボンディングワイヤーを配設した状態で示す断面図及び平面図であり、図2(a)は、図2(b)のb−b線断面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、それぞれ本発明の発光素子搭載用配線基板の更に別の好適な実施形態を、ガラス層の位置が明確になるように、発光素子、サーミスター素子及びボンディングワイヤーを配設した状態で示す断面図及び平面図であり、図3(a)は、図3(b)のc−c線断面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、それぞれ本発明の発光素子搭載用配線基板における配線導体の好ましい配設状態の一例を示す断面図及び平面図であり、図4(a)は、図4(b)のd−d線断面図である。
【図5】従来の発光素子搭載用配線基板に発光素子1が搭載された発光装置の構造を説明する模式図であり、(a)はその断面図、(b)はその平面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 発光素子
2 基体
2a 基体2の上部表面
3 貫通孔
4 枠体
4a 枠体4の外周面
4b 枠体4の内周面
5a、5b 配線導体
6 ボンディングワイヤー
7 スルーホール
8 ガラス層
9 サーミスター素子
10 メッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を駆動させるための配線導体が基体上に形成されている発光素子搭載用配線基板であって、少なくとも該発光素子による光が照射される予定部位の該配線導体が銀系の配線導体であり、該銀系の配線導体の表面にガラス層が形成されていることを特徴とする発光素子搭載用配線基板。
【請求項2】
配線基板上に、発光素子を囲む枠体が設置されている請求項1に記載の発光素子搭載用配線基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光素子搭載用配線基板に発光素子を搭載した発光装置。
【請求項4】
少なくとも発光素子による光が照射される予定部位の配線導体が銀系の配線導体となるように、発光素子を駆動させるための配線導体を基体上に形成する工程、該銀系の配線導体の表面にガラス層を形成する工程、及び配線基板上に発光素子を搭載する工程を有することを特徴とする発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−231440(P2009−231440A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73380(P2008−73380)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【出願人】(000195029)星和電機株式会社 (143)
【Fターム(参考)】