発電機能付き電子時計
【課題】持続時間を正確に検出して表示することができる発電機能付き電子時計の提供。
【解決手段】発電機能付き電子時計1は、発電手段4と、発電電流を充電する二次電池7と、時刻表示制御手段14と、時刻表示制御手段14で制御されて時刻表示を行う時刻表示手段と、発電手段4の発電量を検出する電流検出手段6と、電流検出手段6から出力される検出結果信号に基づいて発電量を積算して持続時間を算出する積分手段8と、積分手段8で算出された持続時間を表示する持続時間表示手段とを備える。持続時間表示手段は、持続時間表示制御手段9と、モータ駆動手段10と、持続時間表示用モータ11と、表示針を備える。
【解決手段】発電機能付き電子時計1は、発電手段4と、発電電流を充電する二次電池7と、時刻表示制御手段14と、時刻表示制御手段14で制御されて時刻表示を行う時刻表示手段と、発電手段4の発電量を検出する電流検出手段6と、電流検出手段6から出力される検出結果信号に基づいて発電量を積算して持続時間を算出する積分手段8と、積分手段8で算出された持続時間を表示する持続時間表示手段とを備える。持続時間表示手段は、持続時間表示制御手段9と、モータ駆動手段10と、持続時間表示用モータ11と、表示針を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機能付き電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機能を備えた時計は、電池交換が不要な利点を備えるため、広く利用されるようになった。
このような発電機能付き電子時計においては、発電手段で発電された電力を蓄電手段に充電して利用している。この発電機能付き電子時計では、通常、利用者に対し、時計の持続時間の目安を示し、必要に応じて発電を促すために、蓄電手段の電圧を検出し、その残量を表示させる機能を備えているものもある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭61−61077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、蓄電手段としてリチウムイオン電池のように放電特性がフラットな電源を用いた場合には、時間経過に伴う電池電圧の変化量が小さいため、その電池電圧を検出しても持続時間を正確に表示できないおそれがあった。特に、温度特性や発電直後の一時的な電圧増加により電池電圧が変動した場合には、その電池電圧を検出しても正しい持続時間を検出することができず、持続時間表示の精度が低下するという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、持続時間を正確に検出して表示することができる発電機能付き電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発電機能付き電子時計は、発電手段と、前記発電手段で発電された電気エネルギを蓄積する蓄電手段と、前記蓄電手段に蓄積された前記電気エネルギで駆動される計時制御手段と、前記計時制御手段によって制御されて時刻表示を行う時刻表示手段と、前記発電手段で発電された発電量を検出する発電量検出手段と、前記発電量検出手段で検出された発電量を積算して持続時間を算出する持続時間算出手段と、前記持続時間算出手段で算出された持続時間を表示する持続時間表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、発電手段としては、回転錘やゼンマイ、あるいはりゅうず等を介して手動でロータを回転させ、その回転エネルギを電気エネルギに変換する発電機、光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池、温度差で発電して熱エネルギを電気エネルギに変換する熱発電機等の各種発電機が利用できる。
また、本発明において、持続時間とは、蓄電手段に蓄積された電気エネルギで電子時計を駆動し続ける時間を意味し、具体的には時刻表示手段が時刻表示を停止するまでの動作継続時間を意味する。すなわち、発電機能付きの電子時計においては、ICや水晶振動子等で構成される計時制御手段が停止してしまうと、ICの駆動開始電圧まで充電しなければならず、かつ、水晶振動子が安定駆動するまで所定の時間が必要となるため、計時制御手段の動作を再駆動させるのが大変である。このため、蓄電手段の電圧が低下すると、計時制御手段のICや水晶振動子のみを駆動し続け、指針およびモータや液晶ディスプレイ等からなる時刻表示手段の駆動を停止するスリープモードに移行する制御が行われる。従って、発電機能付き電子時計における持続時間とは、スリープモードに移行するまでの動作継続時間を意味する。
【0008】
本発明によれば、蓄電手段の電圧を検出するのではなく、発電量を積算しているので、蓄電手段に充電された電気エネルギを精度良く検出でき、蓄電手段として放電特性がフラットな二次電池を用いた場合でも、持続時間を正確に表示できる。
【0009】
なお、前記発電量検出手段としては、発電手段の種類などに応じて設定すればよく、発電手段における発電量をリアルタイムに検出できるものが好ましい。
例えば、発電手段として、ロータを回転させてコイルを鎖交する磁束を変化させることで発電する発電機を用いた場合には、発電機から出力される発電電流は交流電流であるため、全波整流回路等で整流された発電電流を検出する電流検出手段などが利用できる。
【0010】
ここで、前記持続時間算出手段は、電子時計の所定時間あたりの消費電流を予め求めておき、この所定時間分の消費電流に相当する発電量が前記発電量検出手段で検出される毎に前記所定時間分だけ持続時間を加算する持続時間カウンタを備え、前記持続時間表示手段は、この持続時間カウンタのカウンタ値に基づいて持続時間を表示することが好ましい。
【0011】
時刻表示を行っている電子時計の単位時間あたりの消費電流は、他の特殊な機能、例えばライト点灯やクロノグラフ機能による時間計測等を行っていなければ、ほぼ一定となるため、予め算出しておくことができる。従って、持続時間算出手段は、例えば、1分間の消費電流に相当する発電量があった場合に、持続時間カウンタを1分加算する。そして、持続時間表示手段は、持続時間カウンタのカウンタ値を参照し、持続時間を表示する。
【0012】
このような構成によれば、電子時計の所定時間あたりの消費電流に対応する発電量があった際に持続時間を所定時間加算しているので、持続時間を高精度に求めることができる。また、予め設定された所定時間分の消費電流に相当する発電量があった場合に、持続時間カウンタを所定時間分加算するという簡単なアルゴリズムで処理を実行できる。
【0013】
ここで、前記持続時間算出手段は、電子時計の運針が継続している状態では、所定時間経過する毎に、前記持続時間カウンタのカウンタ値を前記所定時間だけ減算し、前記計時制御手段は、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった際に、前記時刻表示手段の駆動を停止することが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、発電手段で発電が行われると、その発電量に応じて持続時間カウンタが加算され、電子時計の運針が行われていれば、その時間経過に応じて持続時間カウンタが減算されるため、持続時間カウンタのカウンタ値は、蓄電手段への充電およびその電力消費を考慮した値になり、蓄電手段に蓄積されている電気エネルギに対応した値にでき、持続時間を精度良く表示できる。
さらに、計時制御手段は、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった際に、時刻表示手段の駆動を停止して動作停止状態に移行するため、実際の持続時間(動作停止状態に移行するまでの動作継続時間)が表示された持続時間と完全に一致するため、使用者は運針が停止するまでの時間を正確に把握でき、利便性が向上する。
また、持続時間カウンタの加算は、発電量検出手段や、持続時間表示手段などが動作している状態、つまり蓄電手段の電圧が所定値以上となって電子時計が正常に動作している状態で行われるのであるから、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった場合も、蓄電手段は電子時計を正常に動作可能な電圧が維持されていることになる。従って、蓄電手段が完全に放電した状態ではIC等が動作可能な電圧に復帰させるのが困難であるが、本発明では蓄電手段の電圧が所定値以上に維持されるため、発電が行われれば、動作停止状態からすぐに安定した動作状態に復帰でき、使用者はすぐに時刻を確認でき、利便性を向上できる。
【0015】
なお、時刻表示手段の駆動を停止するとは、例えば、モータで指針を運針して時刻を表示するアナログ式時計や、液晶ディスプレイ等で時刻を表示するデジタル式時計において、時計内部での時刻のカウントは続行し、指針やディスプレイの駆動のみを停止する一部停止方式(スリープモード)でもよいし、発振手段等も停止して時計内部での時刻のカウンタも停止する完全停止方式でもよい。
スリープモードであれば、発電があった際に、現時刻に自動的にかつ容易に復帰できる利点がある。一方、完全停止方式では、再度運針する際に時刻修正操作を行う必要があるが、スリープモードに比べても消費電力を低減できるので、蓄電手段が完全に放電するまでの期間を延長できる利点がある。
【0016】
ここで、前記持続時間算出手段は、電子時計における所定時間の消費電流の整数倍または整数分の1を積算単位とし、前記発電量検出手段で検出された発電量を前記積算単位に換算し、積算単位に基づいて積算して持続時間を算出することが好ましい。
例えば、1分間の消費電力相当の電荷の1/256を積算単位(基本単位)とし、前記積算単位分の発電量がある毎に基本単位を1ずつ積算し、256単位の積算がある毎に持続時間を1分加算すればよい。
【0017】
このような構成によれば、積算単位の増減で持続時間を算出できるので、処理や回路を簡略化できる。
特に、積算単位を、所定時間の消費電流の2の累乗倍(2,4,8,…,2n)、または、2の累乗分の1(1/2,1/4,1/8,…,1/2n)とすれば、2進数で処理できてICにおける処理も簡単に行え、処理や回路をより一層簡略化できる。なお、nは1以上の整数である。
【0018】
ここで、前記発電量検出手段は、発電電流をサンプリングし、各サンプリング時のピーク値を検出し、予め求めておいた発電電流のピーク値と平均電流値との関係を示すテーブルから、前記ピーク値に対応する平均電流値を発電量として検出し、前記持続時間算出手段は、前記平均電流値を積算して持続時間を算出することが好ましい。
発電量検出手段として、ピーク値を検出する構成とすれば、コンデンサなどを不要にできてハードウェアの構成が簡易になり、かつ、実際の充電量に対応する平均電流値を積算することができるので正確な積算を実現することができる。
【0019】
また、前記持続時間算出手段は、積算値が上限値に達した場合には、発電があってもそれ以上積算しないことが好ましい。なお、前記上限値は、表示部で表示可能な最大値、または、この最大値に所定値を加算した値に設定すればよい。
【0020】
このような構成によれば、二次電池等からなる蓄電手段の使用領域を高電圧側にシフトでき、完全放電のリスクを軽減できる。すなわち、蓄電手段がある初期電圧値から発電を開始して発電量を積算した際に、前記積算値に上限を設けなかった場合、積算値に基づく持続時間も上限がないため、その持続時間が0になると、蓄電手段はほぼ元の初期電圧値に戻り、蓄電手段の使用領域の下端(低電圧側)はほぼ一定である。このため、初期電圧値が比較的低い状態で開始し、かつ、負荷の変動や、使用者が何らかの機能を実行したことで消費電流が通常の運針制御のみを行っていた場合に比べて増加した場合には、持続時間が0になるまでに、蓄電手段の電圧が前記初期電圧値以下に低下して完全放電になってしまう可能性がある。
これに対し、積算値つまり持続時間に上限を設けておけば、蓄電手段の使用領域が高電圧側にシフトされるため、消費電流が通常の運針制御のみを行っていた場合に比べて増加しても、完全放電までマージンがあるため、完全放電のリスクを低減できる。
【0021】
さらに、積算値に上限を設けなかった場合には、前記積算値が、表示部で表示可能な最大値に対応する値になった以降も使用者が発電を継続してしまうと、積算値つまり持続時間が表示最大値よりも大きくなる。このため、発電停止後に、運針によって持続時間が減算された場合でも、最大表示値になるまでは表示部の表示は変化せず、使用者は表示部が故障したと誤認する可能性もある。例えば、表示部における持続時間の最大値が10日になっている場合に、発電量が大きくなって15日分の発電が行われ、持続時間も15日に積算されてしまうと、発電を行わずに5日間経過して持続時間が10日に減少するまで、表示部は持続時間を10日で表示し続けてしまう。すると、使用者は、持続時間の表示が変化しないために故障したと誤認してしまう可能性がある。
これに対し、本発明では、積算値つまり持続時間が、表示部の最大値(例えば10日)や、最大値(例えば10日)に所定値(例えば1日)を加算した値(例えば11日)である上限値(例えば10日または11日)になると、積算を停止しているので、発電停止後に運針に伴い1日程度経過すれば、表示部の表示も変化するため、使用者は持続時間の変化を確実に把握でき、故障と誤認することも防止できる。
【0022】
なお、最大値に所定値を加算して上限値を設定する場合、その所定値は、表示部の最大値とその1目盛前の値間の持続時間(例えば、最大値が10日で、その1目盛前が8日であれば、その差の2日分)以内に設定することが好ましい。
このように設定しておけば、使用者は、1目盛分(上記例では2日間)は表示が変化しなくても通常の動作であると判断でき、2日間経過すれば表示を変化させることができるため、使用者が故障と誤認することを防止できる。
【0023】
また、前記持続時間算出手段は、前記発電量検出手段で検出された発電量に所定の係数を掛けたものを積算して持続時間を算出することが好ましい。
ここで、前記所定の係数は、蓄電手段の電圧値が所定電圧値以下の場合には、1未満の係数であることが好ましい。また、所定電圧値は、二次電池等からなる蓄電手段において通常の使用領域の上限電圧値よりも高い電圧値に設定すればよい。
【0024】
このような本発明では、発電量(充電量)に所定の係数を掛けて積算しているので、積算値に基づく持続時間に対し、実際に蓄電手段に充電された電気エネルギの関係を調整することができる。例えば、前記係数が1未満であれば、実際の充電量に対し、持続時間は前記係数の割合分少なくなる。例えば、係数が0.8であれば、実際の充電量が持続時間10日分であったとしても、積算部で積算される積算値は持続時間8日分になる。このため、積算値に基づく持続時間が0になったとしても、蓄電手段には少なくとも2日分の電気エネルギが残されており、蓄電手段の使用領域を高電圧側にシフトでき、持続時間表示が0になる前に時計の動作が停止してしまうことも防止できる。
さらに、発電量に所定の係数を掛けて積算すれば、蓄電池の充電効率を考慮して持続時間を補正することもでき、効率的な充電を行いつつ、持続時間を適切に算出することができる。
【0025】
前記持続時間算出手段は、前記計時制御手段が起動して持続時間が0にリセットされてからの発電量を積算した第1積算値と、所定操作時からの発電量を積算した第2積算値とをそれぞれ積算可能に構成され、前記持続時間表示手段は、前記第1積算値と第2積算値を切り替えて表示可能に構成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成であれば、第1積算値によって、持続時間を正確に把握できるとともに、第2積算値によって、所定操作後の発電量に基づく持続時間を正確に把握できる。
例えば、使用者が手動操作によって発電を行う場合に、その発電操作の開始時からの積算値を第2積算値として積算しておけば、今回の発電操作によって加算できた持続時間を把握でき、使用者は実際に発電操作した際の発電状態を正確に確認できる。
【0027】
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が、所定時間よりも大きい場合には、所定時間未満の場合に比べて、持続時間の表示単位を大きくすることが好ましい。
例えば、持続時間が1日以下の場合には、持続時間を1時間単位(1,2〜24時間)で表示し、1日より大きく7日以下の場合には、持続時間を1日単位で表示し、7日よりも大きい場合には、7日間隔単位(7日、14日、21日、…)で表示するように設定すればよい。
【0028】
持続時間は、時計の作動継続時間であるから、使用者にとっては残り時間が少なくなった際に、細かく持続時間を確認できれば、持続時間を正確に把握でき、利便性が向上する。
なお、上記持続時間表示手段が液晶ディスプレイ等の数値を表示可能な表示手段であれば、上記の各単位で持続時間を数値表示すればよい。
また、持続時間表示手段が、ステッピングモータなどで駆動される指針と、その指針が指示する目盛とで構成されている場合や、液晶ディスプレイ等に指針および目盛を表示することで構成されている場合のように、持続時間をアナログ的に表示する場合には、前記各目盛を指示する設定を、上記の各単位に基づいて設定すればよい。
ここで、アナログ式指示部は、モータで駆動される指針が一般的であるが、例えば、ディスプレイ上に指針表示を行うものや、指針表示の代わりに長さが変化するバー表示によるインジケータなどを用いてもよい。従って、前記駆動制御部は、通常、指針を駆動するモータおよびモータ駆動手段で構成されるが、ディスプレイ上に指針やバーを表示するタイプでは、その画面表示制御手段で構成される。
【0029】
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が0以下になった場合には、通常の持続時間表示とは異なる表示を行うことが好ましい。
例えば、表示部が指針を用いたアナログ表示方式であれば、持続時間指示用の目盛とは別の位置を指示するように設定すればよい。また、表示部が数字などを表示するデジタル表示方式であれば、数字以外のマークなどを表示するように設定すればよい。
【0030】
持続時間を表示する表示部は、使用者に対して持続時間が短くなった際に発電を促すため、例えば、持続時間が0以上でかつ最小表示単位(例えば3時間)の間である場合に、目盛0を指示したり、数字0を表示するように設定されていることが好ましい。この場合、例えば、表示部が目盛0を指示していると、持続時間が0〜3時間の間であるのか、実際に持続時間が0になっているのかが判断し難い。
これに対し、本発明では、持続時間が0〜3時間の間であれば、通常の持続時間表示において0を指示するようにでき、実際に持続時間が0以下になった場合には、例えば、目盛0とは別の位置に設けられた目盛を指針で指示したり、数字0とは異なるマークを表示するようにすることで、使用者は持続時間が0以下になって電子時計は停止状態にあることを容易に判断できる。
【0031】
前記計時制御手段は、持続時間が0以下になった場合には、時刻表示手段を停止し、かつ時刻のカウントは継続し、発電が行われて持続時間が0よりも大きくなったら、時刻表示手段を駆動して現時刻表示に復帰させることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、持続時間が0以下になった場合でも、計時制御手段は時刻カウントを継続しているので、発電が行われて動作が再開された際に、使用者が時刻合わせをする必要が無く、利便性が向上する。また、水晶振動子やICの駆動のみで済む計時制御手段は駆動を続行しているが、モータ駆動やディスプレイ駆動などのために消費電力が大きな時刻表示手段は停止しているので、省電力化を図れる。このため、時刻表示手段を駆動し続ける場合に比べて、蓄電手段が完全に放電するまでの時間も延長でき、発電によって正常動作に復帰できる可能性も高まる。
【0033】
前記時刻表示手段は、モータ駆動手段と、このモータ駆動手段で駆動されるモータと、モータによって移動される指針とを備え、前記モータ駆動手段は、モータに対して駆動パルスを入力後、モータの回転状態を検出し、非回転を検出した場合には、補正駆動パルスを入力してモータを回転させる補正駆動処理を実行可能に構成され、前記持続時間算出手段は、前記補正駆動処理が行われた回数に基づいて持続時間を補正することが好ましい。
【0034】
モータ駆動手段が補正駆動処理を行えるように設定されていれば、通常は、パルス幅の短い駆動パルスを利用することで低消費電力化を図り、負荷の変動などによって前記パルス幅の短い駆動パルスではモータを回転できなかった場合のみ、よりパルス幅の大きな補正駆動パルスを入力することで確実にモータを回転させることができる。このような駆動制御方式を採用している場合、補正駆動処理を行うと、その分、消費電流が増大する。
従って、通常の駆動パルスのみでモータ駆動を行っている状態で消費電力を設定して持続時間を算出していると、持続時間表示が0になる前に、補正駆動処理分の電流消費で蓄電手段の電圧が低下し、時計動作が停止してしまう可能性がある。
これに対し、本発明では、積算部において、補正駆動処理回数に応じた補正を行っているので、補正駆動処理で消費された電流分を考慮して持続時間を補正でき、持続時間が0になる前に動作が停止することを確実に防止できる。
【0035】
前記持続時間算出手段は、前記発電量の積算値を補正可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、製品毎に単位時間あたりの消費電流にばらつきがあった場合に、各製品の実際の消費電流に応じて積算値を補正することで、各製品毎の固体ばらつきによる計測誤差、つまりは持続時間の誤差を低減することができる。
例えば、基準となる製品の所定時間(例えば1日)あたりの消費電流に比べて、1.2倍の消費電流の製品があった場合、持続時間を算出する基準の消費電流を前記基準製品の消費電流のままで算出すると、算出される持続時間は、その製品における実際の持続時間よりも長くなってしまう。例えば、基準製品の消費電流で持続時間10日と算出されても、実際の消費電流が1.2倍であれば、実際の持続時間は10日/1.2倍=8.3日であり、算出した持続時間のほうが長くなってしまう。
この場合、前記発電量の積算値を例えば、1/1.2倍=0.833倍にしておけば、発電量に基づいて算出される持続時間をその製品における実際の持続時間に一致させることができ、正確な持続時間を算出・表示することができる。
【0036】
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧に基づいて推定される持続時間が、前記持続時間算出手段で積算された積算値に基づく持続時間よりも短いと判断した場合には、前記積算値を前記電圧に基づく持続時間に対応する値に補正することが好ましい。
【0037】
このような構成によれば、発電量を積算して求められた持続時間を、蓄電手段の実際の電圧値に基づいて求めた持続時間で検証でき、積算による持続時間を電圧値に基づく持続時間を参照して補正しているので、持続時間の精度をより一層向上することができる。
【0038】
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧値が所定電圧値以上の場合には、発電量に基づいて積算する際の加算値を補正することが好ましい。
例えば、前記所定電圧値を、蓄電手段において放電特性がほぼフラットな使用領域よりも高電圧側の電圧値V1に設定し、蓄電手段の電圧が前記電圧値V1以上になった場合には、持続時間算出手段において発電量(電荷)を2倍にしたものを積算すればよい。
【0039】
自動巻き発電、手巻き発電、ソーラー発電などでは、二次電池等の蓄電手段の電圧が高くなると、発電効率が低下する。このため、発電があっても持続時間表示がアップし難くなる。
これに対し、本発明では、蓄電手段の電圧が所定電圧値V1以上と高くなると、発電量を2倍などにして補正したものを持続時間算出手段に加算しているので、発電量の増加割合が低くなっても持続時間は見かけ上、増加するので、持続時間表示の変化を維持できる。
さらに、蓄電手段の高電圧領域では、電圧増加に比べて持続時間増加の割合を大きくできるので、実際の電池の使用領域がそれ以上高電圧側にシフトすることを押さえることができる。
【0040】
前記発電量検出手段は、前記発電手段の発電パターンに応じて検出レベルを設定することが好ましい。
例えば、発電量(発電電流)が大きく異なる発電方式を併用している場合でも、発電パターンを検出することで、現在の発電方式に応じた検出レベルを設定することができ、簡単なシステムにできかつ正確に電荷を積算することができる。
【0041】
前記発電量検出手段は、所定の発電量を検出した場合に、検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、発電量(発電電流)が所定値になった段階で検出レベルを切り替えることができるので、その検出レベルの切替によって表示の切替もすばやく実行できる。特に、1種類の発電手段のみが設けられている場合には、発電量が所定値になったことは、その発電手段での発電状態が変化したことであるから、その発電状態に応じて検出レベルも切り替えることで、発電検出精度を向上できる。
【0042】
前記発電量検出手段は、一定時間内に所定の発電量の発電がある状態が所定時間以上継続した場合に、前記検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、ある程度継続して所定発電量で発電している場合に、検出レベルを切り替えるようにしているので、発電手段として、ソーラー発電機や、外部交流磁界を利用した発電機のように、一定の発電が長時間継続する場合に、その発電量に適した検出レベルに切り替えて、その発電量をより正確に検出することができる。
【0043】
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があることが所定時間以内に所定回数あった場合に、前記検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、所定の発電量が複数回あった場合に初めて検出レベルを切り替えているため、例えば、発電機のロータを回転錘によって回転させる自動巻き発電と、前記発電機のロータをりゅうず等を操作して回転させる手巻き発電を併用する場合において、時計を通常に携帯していて、散発的に発電されるような場合には、発電量もそれほど大きくないため、低い検出レベルのまま維持される。一方、使用者が意識して電子時計を装着している手を振って自動巻き発電による発電量を増加させたり、手巻き発電操作を行った場合には、前記条件に該当する可能性が高くなり、そのため、検出レベルも自動的に切り替えることができ、発電量を精度良く検出できる。
【0044】
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があり、その後、所定時間以内に所定量の発電を検出した場合に、前記検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、所定の発電量があった後、所定時間以内に所定量の発電を検出した場合に初めて検出レベルを切り替えているため、例えば、発電機のロータを回転錘によって回転させる自動巻き発電と、前記発電機のロータをりゅうず等を操作して回転させる手巻き発電を併用する場合、電子時計を単に携帯している場合には、検出レベルは切り替えられにくく、使用者が意識して発電している場合に検出レベルを切り替えることができ、発電量を精度良く検出できる。
【0045】
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記持続時間算出手段の積算値を、0よりも大きい所定の持続時間となる値に初期化することが好ましい。
例えば、積算値を持続時間が10分となる値に初期化すればよい。このような構成によれば、アフターサービスや、システムエラー時にシステムを初期化したときに、積算値が0つまり持続時間が0に初期化されると、時計は運針停止状態になってしまい、使用可能な状態に復帰しない。これに対し、0よりも大きい所定の持続時間、例えば持続時間10分に初期化すれば、直ちに運針状態に復帰でき、通常使用可能な状態に復帰でき、利便性を向上できる。
【0046】
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記蓄電手段の電圧を検出し、前記持続時間算出手段の積算値を、前記検出電圧に基づく値に初期化することが好ましい。
このような構成であれば、蓄電手段の電圧が所定値以上確保されている場合には、直ちに運針状態に復帰でき、通常使用可能な状態に復帰でき、利便性を向上できる。
また、所定操作時に予め設定された値に初期化してしまうと、蓄電手段の電圧が不十分である場合でも所定値に初期化してしまい、問題となるが、本発明では、電圧値に応じて積算値も0以下になるため、電圧値に応じた正しい持続時間を表示できる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の発電機能付き電子時計によれば、持続時間を正確に検出して表示することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[電子時計の全体構成]
電子時計1は、図1に示すように、回転錘2、りゅうず3、発電手段4、整流手段5、電流検出手段6、蓄電手段である二次電池7、積分手段8、持続時間表示制御手段9、持続時間表示用モータ駆動手段10、持続時間表示用モータ11、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14、時刻表示用モータ駆動手段15、時刻表示用モータ16を備えている。
【0049】
ここで、図2のハードウェア構成図にも示すように、電流検出手段(電流検出回路)6、分周手段(分周回路)13、各モータ駆動手段(モータ制御回路)10,15は、バス100を介してCPU(central processing unit)101、ROM(read only memory)102、RAM(random access memory)103に対してデータを入出力可能に接続されている。
従って、本実施形態では、積分手段8、持続時間表示制御手段9、時刻表示制御手段14は、CPU101、ROM102、RAM103を用い、所定のソフトウェアを実行させることによって実現されている。
【0050】
なお、図2に示すように、バス100には入力回路17も接続されている。この入力回路17には、スイッチSW1〜SW3が接続されている。スイッチSW1,SW2は、CPU101、ROM102、RAM103等を有するICが取り付けられた回路基板上に設けられ、電子時計1の工場等において各電子時計1の特性を検査した上で選択的に入力される。すなわち、スイッチSW1のみがオン、スイッチSW2のみがオンの2通りに設定可能とされている。
一方、スイッチSW3は、プッシュボタンなどの使用者が外部操作可能な外部操作部材によって入力されるスイッチである。
入力回路17は、各スイッチSW1〜SW3のオン・オフの状態を検出し、各スイッチSW1〜SW3の状態をRAM103に記憶可能に構成されている。
【0051】
電子時計1は、図3に示すように、時針21、分針22、秒針23からなる時刻表示用指針20を備えており、この時刻表示用指針20は前記時刻表示用モータ16によって駆動される。
また、電子時計1の文字板24の9時位置には、時刻表示用指針20とは別に設けられる持続時間表示用指針である表示針(副表示針)31および持続時間表示用目盛板32が設けられている。表示針31は、前記持続時間表示用モータ11によって駆動される。
なお、文字板24の3時位置には窓241が形成され、文字板24の裏面に配置された日車によって日付が表示可能とされている。この日車は、図示略の日車用モータで回転駆動される。
【0052】
このように構成される電子時計1においては、本発明の計時制御手段は、前記発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14を備えて構成され、時刻表示手段は、時刻表示用モータ駆動手段15、時刻表示用モータ16、時刻表示用指針20を備えて構成されている。
また、本発明の発電量検出手段は、電流検出手段6を備えて構成され、持続時間算出手段は積分手段8を備えて構成され、持続時間表示手段は、持続時間表示制御手段9、持続時間表示用モータ駆動手段10、持続時間表示用モータ11、表示針31、持続時間表示用目盛板32を備えて構成されている。なお、持続時間表示手段の指針は、表示針31で構成され、そのアクチュエータは、持続時間表示用モータ駆動手段10、持続時間表示用モータ11で構成されている。
【0053】
[発電手段]
発電手段4は、図4にも示すように、時計1のケース内部に配置された回転錘2を用いた自動巻き発電と、りゅうず3を用いた手巻き発電とを行えるように構成されている。
すなわち、発電手段4は、発電装置40と、発電装置40に回転錘2からの機械的エネルギを伝達する自動巻き発電用伝達手段46と、発電装置40にりゅうず3からの機械的エネルギを伝達する手巻き発電用伝達手段47とを備えている。
【0054】
発電装置40は、ロータ41が回転可能に配置されたステータ42と、コイル43が巻回されたコイルブロック44とを備えた一般的な交流発電機である。
【0055】
自動巻き発電用伝達手段46は、回転錘2と一体で回転する回転錘車461と、回転錘車461の回転が伝達される一対の切換車462,463とを備えている。そして、一方の切換車463はロータ41のかなに噛み合い、回転錘2が回転すると、その回転力は回転錘車461、切換車462,463を介してロータ41に伝達され、発電装置40において発電が行われる。
なお、一対の切換車462,463は、図示しないラチェット車を備えた構成であり、回転錘車461がいずれの方向に回転した場合でも、ロータ41を一方向に回転させることが可能に構成されている。
【0056】
手巻き発電用伝達手段47は、巻真471、きち車472、丸穴車473、揺動車474、第一手巻伝え車475、第二手巻伝え車476、第三手巻伝え車477、前記切換車463を備えている。
そして、巻真471の先端にはりゅうず3が取り付けられているため、使用者がりゅうず3を回すと、巻真471が回転する。巻真471の回転は、きち車472、丸穴車473を介して揺動車474に伝達され、揺動車474の回転が第一手巻伝え車475に伝達され、第一手巻伝え車475の回転は、第二手巻伝え車476および第三手巻伝え車477を介して切換車463に伝達される。
【0057】
この際、揺動車474は、巻真471の一方向への回転時にのみ第一手巻伝え車475のかな475Aと噛み合うようになっている。具体的には、揺動車474が取り付けられた受け478にはスリット478Aが設けられており、このスリット478A内に揺動車474の支持軸474Aが摺動自在に嵌め込まれている。従って、図4の場合でいえば、巻真操作により丸穴車473が時計方向に回転した場合には、揺動車474が反時計方向に回転しながら第一手巻伝え車475の中心側に移動し、かな475Aと噛み合う。一方、第一手巻伝え車475が切換車463側からの駆動により反時計方向に回転すると、揺動車474が時計方向に回転しながらかな475Aから離間し、第一手巻伝え車475との噛み合いが外れる。このような構成により、回転錘2の回転が巻真471に伝達されないようになっている。
【0058】
[整流手段]
整流手段5は、発電装置40から出力される交流電流を整流するものであり、全波整流回路、半波整流回路などの公知の整流回路が利用できる。
本実施形態では、図5に示すように、4つのダイオード51を用いたブリッジ整流回路(全波整流回路)によって整流手段5が構成されている。
【0059】
[電流検出手段]
電流検出手段6は、整流手段5で整流された電流の大きさを検出可能に構成されたものである。
具体的には、電流検出手段6は、図5に示すように、整流手段5および二次電池7間に配置された抵抗61と、この抵抗61を流れる電流を測定して発電電流のピーク値を検出するピーク検出回路62と、ピーク検出回路62で検出された値を閾値と比較する比較回路63とを備えている。
【0060】
電流検出手段6は、CPU101からの信号により、所定のサンプリングレート(サンプリング周期)で駆動され、二次電池7に充電される充電電流のサンプリングを行う。
ピーク検出回路62では、図6に示すように、整流手段5から出力された発電電流をサンプリングし、各サンプリングにおけるピーク値を検出する。比較回路63では、ピーク検出回路62で検出されたピーク値を、所定の閾値、例えば図6においては、閾値I1〜I4と比較し、その検出結果信号を積分手段8および持続時間表示制御手段9に出力可能に構成されている。
なお、図6において、整流回路出力の1群の波形(各山形の波形)が、りゅうず3の手巻き1回分の充電電流波形に相当する。
また、本実施形態の比較回路63は、積分手段8の積算値などに基づいて、CPU101からの信号によって前記閾値の大きさ、つまり検出レベルを切り替えることができるように構成されている。
【0061】
[蓄電手段]
蓄電手段は、発電電流を充電可能な二次電池7で構成されている。そして、発電装置40の出力は、整流手段5で整流され、電流検出手段6を介して二次電池7に充電されている。なお、蓄電手段としては、二次電池7に限らず、キャパシタを利用してもよい。
【0062】
[積分手段]
積分手段8は、電流検出手段6から出力される検出結果信号に基づいて平均電流値を算出し、その平均電流値を積算する。
すなわち、積分手段8は、予め各サンプリングにおける発電電流のピーク値の値と、そのピーク値の場合の平均電流値との関係を実験などで調べておき、その関係テーブルをROM102に保存している。そして、電流検出手段6から出力される検出結果信号(ピーク値)に対応する平均電流値を前記テーブルから求め、その平均電流値を積算している。
【0063】
本実施形態の積分手段8は、発電量カウンタ、第1持続時間カウンタ、第2持続時間カウンタを備えている。各カウンタは、RAM103の一部に構成されている。
発電量カウンタは、図6の「1回の発電の積算値」に示すように、1回の発電時毎に前記平均電流値を積算し、1回の発電の積算値(発電量)を記憶するカウンタである。本実施形態では、第2実施形態で説明するように、発電量検出レベルの切替条件の1つに、この発電量カウンタで積算している1回の発電毎の発電量がQ1以上になったか否かの条件があるため、このカウンタを設けている。
【0064】
第1持続時間カウンタは、前記計時制御手段が起動して持続時間が0にリセットされてからの発電量を積算した第1積算値をカウントしている。具体的には、図6の「充電量積算値」に示すように、第1持続カウンタは、電子時計1の作動継続時間をカウントしており、前記発電電流の積算値(発電量)が、予め設定された1日分の発電量に達する毎に、通常時に表示する持続時間を1日分、ステップアップしている。また、電子時計1の消費電流が1日分になると、持続時間カウンタの積算値を減算し、持続時間が1日分短くなる毎に持続時間の表示を1日分、ステップダウンしている。
なお、前記1日分の発電量や消費電流は、電子時計1の消費電流を測定して毎日の消費量を算出し、その測定した消費量に基づいて1日分の発電量を設定してもよいが、この場合、消費電流を測定する回路などを組み込まなければならず、腕時計のような小型の電子時計1においては実現が難しい。
このため、本実施形態では、電子時計1の標準的な1日の消費電流を予め工場において測定、算出しておき、その消費量に対応する1日の発電量を予め設定してROM102等に記憶している。そして、積算した発電量が前記ROM102に記憶された1日分の発電量になれば持続時間カウンタを1日分加算している。一方、電子時計1が通常運針で1日経過する毎に、1日分の消費電流が消費されたものとみなして、持続時間カウンタを1日分減算している。
なお、電子時計1を使用している場合に、通常の運針制御以外で消費電流が大きな機能を実行した場合には、各機能毎に単位時間あたりの消費電流値を設定しておき、その機能の実行時間を掛けて消費電流を補正してもよい。例えば、電子時計1に、電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計機能が組み込まれている場合には、電波受信処理時や、時刻修正処理時の消費電流を設定しておき、その消費量に基づいて持続時間を補正すればよい。
【0065】
一方、第2持続時間カウンタは、所定の操作が行われた後、例えば、りゅうず3を回して発電する手巻き発電操作が行われた後の発電量を積算した第2積算値をカウントしている。具体的な、カウント値のアップやダウンの処理は第1持続カウンタと同様であるため、説明を省略する。
【0066】
[持続時間表示制御手段]
持続時間表示制御手段9は、積分手段8の出力に基づいて持続時間表示用モータ駆動手段10を制御している。すなわち、持続時間表示制御手段9は、積分手段8の持続時間カウンタを参照し、カウンタ値つまり持続時間を表示針31で指示するように持続時間表示用モータ駆動手段10を制御する。なお、通常は、第1持続時間カウンタの持続時間を表示針31で指示するが、外部操作部材の所定操作が行われた際には、第2持続時間カウンタで積算されている所定操作後の持続時間を表示針31で表示してもよい。
【0067】
[持続時間表示用モータ駆動手段]
持続時間表示用モータ駆動手段10は、持続時間表示制御手段9から出力される駆動制御信号に基づいて、持続時間表示用モータ11のモータコイル111に駆動パルスを入力して持続時間表示用モータ11の駆動を制御している。
【0068】
[持続時間表示用モータおよび表示針31の駆動輪列]
持続時間表示用モータ11は、図4に示すように、モータコイル111が巻かれたコイルブロック112と、ロータ114が回転自在に配置されたステータ113とを備えている。
前記ロータ114のロータかなには、中間車34が噛み合い、この中間車34のかなには表示車33が噛み合っている。そして、この表示車33に前記表示針31が取り付けられている。そして、この表示針(副表示針)31により、発電量を積算した持続時間を表示している。
【0069】
なお、表示車33は、その外周の一部のみに歯が形成されており、前記モータ11によって一定角度範囲内のみで回動可能に設けられ、表示車33に取り付けられた表示針31も一体角度範囲で回動可能に設けられている。
このため、目盛板32は平面扇形に形成されており、前記表示針31の先端の移動軌跡に沿って円弧状に目盛321が形成されている。
【0070】
目盛321は、針位置0を示す第0目盛321Aから針位置10を示す第10目盛321Bまで10分割されている。すなわち、目盛321の目盛線は針位置0から針位置10まで11本設けられ、11の状態を表示可能にされている。
そして、図7にも示すように、持続時間カウンタでカウントされた持続時間が7日以下の場合には、1目盛りあたり1日相当の持続時間を示し、7日を超えるときには1目盛りあたり7日相当の持続時間を示すように設定され、最大21日分の持続を表示可能に構成されている。
すなわち、持続時間カウンタのカウンタ値が0になり、運針動作が停止すると、表示針31は第0目盛321Aつまり針位置0(表示値「動作停止」)を指す。
一方、表示値が「0日」つまり持続時間が0から1日の間であれば、表示針31は針位置1を指す。また、表示値が「1日」つまり持続時間が1日から2日の間であれば表示針31は針位置2を指す。以下、持続時間が1日増える毎に、表示針31は針位置3から針位置7を指示する。
また、表示値が「7日」つまり持続時間が7日から14日の間であれば表示針31は針位置8を指示し、表示値が「14日」つまり持続時間が14日から21日の間であれば表示針31は針位置9を指示する。
また、表示値が「21日」つまり持続時間が21日よりも大きい場合には、表示針31は針位置10を指示する。
【0071】
なお、本実施形態では、持続時間カウンタは、表示針31で表示可能な最大値の持続時間である21日に、所定値、具体的には1日大きい22日に持続時間がなった場合には、発電があっても、それ以上の積算を行わないように構成されている。すなわち、第1持続時間カウンタの最大値は22日であり、持続時間が21日または22日の時には、表示針31は針位置10を指示するように構成されている。
【0072】
そして、前述のように発電が行われて持続時間カウンタが1ステップアップすると、モータ駆動手段10は、表示針31を反時計回り方向に1目盛り分移動する。一方、電力が消費されて持続時間カウンタが1ステップダウンすると、モータ駆動手段10は、表示針31を時計回り方向に1目盛り分移動する。
【0073】
[計時制御手段および時刻表示手段]
一方、通常の時刻を表示するための計時制御手段および時刻表示手段は、従来からある一般的なアナログ式クオーツ時計の構成であるため、詳細な説明は省略する。
すなわち、発振手段12は、水晶振動子などで構成され、所定周波数の信号を出力する。分周手段13は、発振手段12からの信号を分周し、例えば1Hzの基準信号を出力する。
時刻表示制御手段14は、分周手段13の基準信号に基づいて時刻表示用モータ駆動手段15に駆動信号を出力する。通常、発振手段12から1Hzの基準信号が入力される毎に、駆動信号を出力する。時刻表示用モータ駆動手段15は、前記駆動信号に基づいて時刻表示用モータ16のモータコイルに入力し、時刻表示用モータ16は時刻表示用指針20をステップ運針する。
なお、時刻表示用モータ駆動手段15は、持続時間表示制御手段9からの制御信号により、持続時間が0になった際には、時刻表示用指針20の運針を停止するスリープモードに移行するように構成されている。
【0074】
[電子時計の動作説明]
次に、このような構成の電子時計1における動作に関し、図8,9のフローチャートも参照して説明する。
なお、これらのフローチャートによる制御は、図6に示すサンプリングタイミング毎に繰り返し実施される。
電子時計1の動作が開始すると、持続時間表示制御手段9は、持続時間カウンタに記憶されている持続時間が上限値、具体的には表示の最大値である21日よりも1日大きな22日以上であるかを確認する(ステップS1)。そして、持続時間が22日以上の場合には、それ以上の積算は行わず、後述するようにステップS10の処理に進む。
【0075】
一方、ステップS1で「No」と判定されれば、持続時間表示制御手段9は、電流検出手段6をサンプリング駆動して電流検出結果の取り込み処理を行う(ステップS2)。このため、回転錘2やりゅうず3によって発電手段4で発電が行われていると、整流手段5を介して二次電池7に発電電流(充電電流)が流れ、その電流が電流検出手段6で検出される。すると、電流検出手段6からは、各サンプリング毎の電流ピーク値に対応する検出結果信号、具体的には図6に示すように、閾値レベルI1〜I4との比較結果を示す信号が出力される。
【0076】
そして、積分手段8は、二次電池7の電圧(電池電圧)が所定電圧V1以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
ステップS3において、電池電圧がV1未満であれば、積分手段8は、電流検出手段6の検出結果信号を積算する(ステップS4)。積算は、1分間の消費電流相当の電荷の1/256を基本単位として行い、積分手段8は、256単位の積算がある毎に持続時間を1分加算する。
例えば、1秒間の消費電流が1μAの場合、1分間の消費電荷は、1μA×60=60μCである。従って、電荷積算の基本単位は、60μC/256=0.234μCとなる。
そして、検出結果信号に基づく検出電流が0.5mAであり、サンプリング間隔が1/32秒の場合、各サンプリング時に前記検出電流を検出した際の積算値は、1000×0.5mA×1/32秒×1/0.234μC=約67である。
【0077】
また、本実施形態において、積分手段8は、ステップS4で加算する際は、誤差により表示上の持続時間が実際の持続時間を下回らないように、実際の発電電荷に対して1より小さい所定の補正係数をかけた電荷を積算する。
例えば、充電電流の検出精度が±5%、二次電池7の充電効率がmin90%であった場合、前記補正係数は、(1−|±0.05|)×0.9=約0.86として求めればよい。
【0078】
一方、ステップS3において、電池電圧がV1以上であれば、積分手段8は、電流検出手段6の検出結果信号を2倍したものを積算する(ステップS5)。
なお、前記電圧V1は、二次電池7の使用領域の電圧よりも高い電圧値が設定されている。例えば、図10に示すように、二次電池7として放電特性がフラットなリチウムイオン電池等を用いた場合には、その電圧がほぼ一定となっているフラットな使用領域よりも高い電圧をV1に設定している。
【0079】
持続時間表示制御手段9は、電流検出結果の積算の結果、持続時間の日桁上げがあったか否かを確認する(ステップS6)。すなわち、積分手段8は、1分間の電荷が発電されると、持続時間を1分加算しており、この加算が24時間分つまり1日分になると、持続時間は1日分加算されて日桁上がりが行われる。
そして、ステップS6で「Yes」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、持続時間が7日以内であるかを確認する(ステップS7)。
【0080】
ステップS7で「No」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、持続時間が14日または21日であるかを確認する(ステップS8)。
そして、ステップS7で「Yes」と判定された場合、つまりステップS6で日桁上げがあり、かつ、持続時間が7日以下の場合は、持続時間表示制御手段9は、表示針31を1ステップ(1目盛分)正転駆動して表示を1段階アップする(ステップS9)。
また、ステップS7で持続時間が7日を越えているときは、ステップS8において、日桁上げにより持続時間が14日または21日になった場合のみ表示を1段階アップする(ステップS9)。
【0081】
なお、ステップS6で「No」と判定され、日桁上げが無かった場合や、ステップS8で「No」と判定され、持続時間が14日または21日になっていない場合には、表示の1段階アップは行われない。
【0082】
次に、持続時間表示制御手段9は、時刻表示制御手段14において分桁上げがあったか否かを確認する(ステップS10)。すなわち、この分桁上げは、時間経過に伴い1分間隔で発生するため、1分より短いサンプリングレートで処理されている図8,9の持続時間表示制御フローでは、複数回に1回の割合で分桁上げがあったことが検出される。
ステップS10で分桁上げがあったときは、運針1分間の電流消費があったことになるため、持続時間表示制御手段9は1分間の持続時間に相当する256単位を積算値から減算する(ステップS11)。すなわち、図6に示すように、第1持続時間カウンタの積算値は、分桁上げがあった時点で、256単位が減算される。
【0083】
積分手段8は、減算の結果、積算値(持続時間)が0になったかを確認する(ステップS12)。
そして、積算値が0になった場合には、積分手段8は、持続時間表示制御手段9を介して表示針31を逆転駆動し、針位置0(第0目盛321A)を指示させて動作停止状態であることを示す(ステップS13)。
【0084】
さらに、積分手段8は、運針つまり時計動作を停止し(ステップS14)、1回のサンプリングでの制御処理を終了する。なお、本実施形態では、時計動作の停止は、時刻表示用モータ駆動手段15は停止して指針20の運針を停止するが、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14による時刻のカウント処理(計時処理)は続行し、発電があった際に、速やかにかつ自動的に現時刻の表示に復帰できるようにしている。
なお、ステップS14において、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14も停止し、さらに電力消費を軽減させてもよい。
【0085】
一方、積算値が0にならなかった場合には、持続時間表示制御手段9は、前記ステップS11の減算の結果、持続時間の日桁下げがあったか否かを確認する(ステップS15)。例えば、発電が停止している場合には、1分経過する毎に持続時間が1分ぶん減算され、その減算が24時間分つまり1日分になると、持続時間は1日分減算されて日桁下げが行われる。発電が行われた場合も、その発電によって加算される持続時間と、運針に伴い減算される持続時間とを計算することで減算が1日分になれば、日桁下げが行われる。
そして、ステップS15で「Yes」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、日桁下げにより持続時間が7日以内になったかを確認する(ステップS16)。
【0086】
ステップS16で「No」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、日桁下げにより持続時間が14日または21日になったかを確認する(ステップS17)。
そして、ステップS16で「Yes」と判定された場合、つまり日桁下げがあり、かつ、持続時間が7日以下の場合は、持続時間表示制御手段9は、表示針31を1ステップ(1目盛分)逆転駆動して表示を1段階ダウンする(ステップS18)。
また、ステップS16で持続時間が7日を越えているときは、ステップS17において、日桁下げにより持続時間が14日または21日になった場合のみ表示を1段階ダウンし(ステップS18)、1回のサンプリングでの制御処理を終了する。
一方、ステップS10,S15,S17でそれぞれ「No」と判定された場合は、表示針31のダウン制御は行わず、1回のサンプリングでの制御処理を終了する。
【0087】
従って、二次電池7として22日分の消費電荷より容量が大きいものを使用することにより、二次電池7を使い切る前に、持続時間が「0」になり、動作を停止することができる。
また、ステップS4の積算時に、充電電荷に対して1より小さい係数をかけることにより、図10に示すように、二次電池7の使用領域が、使用領域1から使用領域2、さらには使用領域3に徐々に高電圧側にシフトさせることができる。
【0088】
例えば、発電によって充電電荷が1日分あった場合でも、1より小さい係数(例えば、0.8)を掛けることで、持続時間は0.8日分となり、1.25日分の充電電荷があった場合に、持続時間は1日となる。
そのため、例えば、二次電池7の電圧が、図10に示す使用領域1の下限にあった時点から発電が行われ、持続時間が1日分(充電電荷としては1.25日分)加算されて使用領域1の上限まで電圧が上昇したとする。この状態で発電が無く、運針が1日分行われて持続時間が1日分減算されたとしても、その際に使用される二次電池7の領域は使用領域1Aとなり、その下限は使用領域1の下限よりも高い電位となる。そして、再度発電が行われて持続時間が1日分加算されると、その時の電圧は前記使用領域1の上限の電圧よりも高くなる。従って、その後に運針で使用される領域1Bは前記使用領域1Aよりも全体として高圧側にシフトする。このように、積算時に小さい係数を掛けると二次電池7の使用領域が高圧側にシフトする。そして、前記係数が1に近いほどシフト量は小さくなり、0に近いほど大きくなるため、前記係数によってシフト量を設定することができる。
【0089】
一方、電池電圧がV1を超えると、ステップS5で積算値を2倍に補正するため、高電圧側へのシフトは停止する。すなわち、積算時の係数を1よりも大きくすると、実際の電圧上昇分よりも持続時間の上昇分が大きくなる。すなわち、実際には1日運針分の電荷が充電された場合でも、積算された持続時間は2倍の2日となる。このため、運針によって持続時間が減算される際に、持続時間1日分減算されると、実際の電圧は前記発電前の電圧に戻るが、さらに1日分の持続時間が残っているため、運針が停止することなく、そのまま継続される。従って、使用領域が低圧側にシフトし、前記高圧側へのシフトは停止する。
【0090】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)二次電池7への充電電流つまり発電量を検出する電流検出手段6と、その検出結果出力を積算して持続時間を算出する積分手段8とを備えているので、二次電池7の電圧を検出して持続時間を求める場合に比べて、持続時間を正確に検出して表示できる。
【0091】
(2)本実施形態では、第1持続時間カウンタにおいて、所定の持続時間分の発電量があればその時間分だけ持続時間を加算し、運針などによって所定の持続時間分の電力消費があればその時間分だけ持続時間を減算しているので、持続時間を常に正確にできるとともに、簡単なアルゴリズムで処理を実行できるため、処理の負荷も軽減できる。
【0092】
(3)本実施形態では、持続時間が「0」になると、時刻表示用モータ駆動手段15等の駆動を停止して運針停止状態に移行するため、実際の持続時間(運針停止状態に移行するまでの動作継続時間)を、表示された持続時間と完全に一致することができ、使用者は運針が停止するまでの時間を正確に把握でき、利便性が向上する。
【0093】
(4)また、持続時間が「0」になった場合も、二次電池7は電子時計1を正常に動作可能な電圧を維持できるように設定しておくことができるため、発電が行われれば、動作停止状態からすぐに安定した動作状態に復帰でき、使用者はすぐに時刻を確認でき、利便性を向上できる。
【0094】
(5)積分手段8では、1分間の消費電力相当の電荷の1/256を積算単位(基本単位)とし、前記積算単位分の発電量がある毎に基本単位を1ずつ積算し、256単位の積算がある毎に持続時間を1分加算しているので、処理や回路を簡略化できる。特に、2の8乗分の1を基本単位に設定し、2進数で処理できるので、ICにおける処理もより一層簡単に行うことができる。
【0095】
(6)電流検出手段6は、ピーク検出回路62を備えているので、コンデンサを不要にできてハードウェアの構成を簡単にでき、かつ、遅れがない検出を行うことができる。
【0096】
(7)積分手段8は、ステップS1において持続時間が22日以上には積算しないように制御しているので、二次電池7の使用領域を高電圧側にシフトでき、その分、完全放電のリスクを軽減できる。また、持続時間表示が長期間停止することを防止でき、使用者が故障と誤認することも防ぐことができる。
【0097】
(8)積分手段8は、発電量に1未満の係数を掛けて積算しているので、蓄電手段の使用領域を高電圧側にシフトでき、持続時間表示が0になる前に時計の動作が停止してしまうことも防止できる。
さらに、積分手段8は、二次電池7の電圧が所定電圧値V1以上の場合には、発電量に1より大きい係数(前記実施形態では2倍)を掛けて補正したものを加算しているので、二次電池7の電圧が高くなって発電量の増加割合が低くなっても持続時間は見かけ上、増加するので、持続時間表示の変化を維持できるとともに、二次電池7の高電圧領域では、電圧増加に比べて持続時間増加の割合を大きくできるので、実際の電池の使用領域がそれ以上高電圧側にシフトすることを防止することができる。
【0098】
(9)持続時間表示制御手段9は、持続時間が7日以下であれば1目盛を1日として指示し、7日以上であれば7日毎、つまり14日と21日でそれぞれ1目盛として指示しているので、21日という比較的長い持続時間を表示できるとともに、持続時間が短くなってきたときには短い間隔(1日間隔)で持続時間を表示でき、使用者に対して適切な表示を行えて利便性を向上できる。
【0099】
(10)図7に示すように、持続時間が「0日」の場合と、動作停止状態とをそれぞれ針位置1,0と異なる位置で表示しているので、使用者は、持続時間が「0日」つまり0日から1日の間であるのか、持続時間が0以下になって電子時計1は停止状態にあるのかを容易に判断できる。
【0100】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図11〜13を参照して説明する。
第2実施形態では、電流検出手段6において、自動巻きにより通常携帯で充電される場合と、手巻き発電等で急速充電する場合とで検出レベルを自動的に切換えている点と、各機器の個体差を考慮し、前記スイッチSW1、SW2を用いて積算量を微調整可能にしている点と、手動操作により前記スイッチSW3をオンにして初期化可能にしている点が前記第1実施形態に対して追加されている。但し、その他の構成は前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0101】
電流検出手段6は、初期設定は、図13に示すように、I1〜I4を検出用の閾値とした検出レベル1に設定され、この検出レベル1によって発電手段4から二次電池7に充電される電流の大きさを検出している。
そして、積分手段8は、電流検出手段6からの電流検出結果を取り込む(ステップS21)。次に、積分手段8は、SW1がオンされているかを確認し(ステップS22)、SW1がオンされていなかった場合にはSW2がオンされているかを確認する(ステップS23)。
【0102】
そして、積分手段8は、SW1がオンされている場合には、電流検出結果の1.2倍を積算し(ステップS24)、SW2がオンされている場合には、電流検出結果の0.8倍を積算する(ステップS25)。
一方、SW1およびSW2のいずれもがオンされていない場合には、積分手段8は、電流検出結果をそのまま積算する(ステップS26)。
なお、前記スイッチSW1、SW2は、各電子時計1の個体差に基づいて入力が設定されるものであるため、時計内部の回路基板上などに設けられ、工場において各電子時計1の個体差を測定後、その入力(オン・オフ)が設定される。
【0103】
次に、電流検出手段6における検出レベルとして、現在、検出レベル2を選択しているか否かを確認する(ステップS27)。
ステップS27において、検出レベル2を選択中ではないと判定された場合には、充電電流が検出レベル1のI3を超えたか否かを確認する(ステップS28)。ステップS28において「Yes」と判定されると、前回の発電終了から所定時間t1以内であるかを確認する(ステップS29)。さらに、ステップS29において「Yes」と判定されると、前回の発電積算値が所定の発電量Q1以上であるかを確認する(ステップS30)。
【0104】
ステップS30において「Yes」と判定されると、電流検出手段6は、検出レベル2を選択する(ステップS31)。
すなわち、図13に示すように、通常時は検出レベル1(閾値I1〜I4)が選択されているが、次の条件を満たすと検出レベル2(閾値I11〜I14)が選択される。つまり、充電電流がI3以上で、前回の1巻きの発電(電流検出結果がI1以上になってからI1以下になるまでの発電量)が所定値Q1以上で、前回の発電の終了(電流検出結果がI1以下になってから)所定時間t1以内であると、検出レベル2に切り替えている(ステップS31)。
このため、使用者がりゅうず3を一定以上の速さで回転させると、2回転目に表示が変化することになる。
【0105】
検出レベル2が選択されると、電流検出手段6は、図13に示すように、電流レベルI11,I12,I13,I14を閾値として設定する。
これにより、電流検出のレベルを、通常携帯時に自動巻き発電での発電電流の検出に適した検出レベルであるI1〜I4(検出レベル1)と、自動巻き発電による急速充電や手巻き発電に適した検出レベルであるI11〜I14(検出レベル2)に切換える。
一方、ステップS28〜S30で「No」と判定された場合には、ステップS31の検出レベル切替処理は行わず、検出レベル1のままに維持される。
【0106】
また、ステップS27で「Yes」と判定された場合には、充電電流がI11未満の状態が所定時間t2以上継続したかを確認する(ステップS32)。
そして、ステップS32で「Yes」と判定された場合には、自動巻き発電による急速充電や手巻き発電状態のように発電電流レベルが高い状態ではないと判断して、検出レベルを検出レベル1に戻す(ステップS33)。
一方、ステップS32で「No」と判定された場合には、ステップS33の検出レベル切替処理は行わず、検出レベル2のままに維持される。
【0107】
次に、持続時間表示制御手段9は、スイッチSW3がオンされたか否かを確認する(ステップS34)。
スイッチSW3がオンされると、電池電圧がV1以上であるかを確認する(ステップS35)。そして、ステップS35で「Yes」と判定された場合には、図10に示すように、二次電池7の電圧が十分に高く、十分な持続時間があるために持続時間を21日(最大値)に初期化する(ステップS36)。一方、ステップS35で「No」と判定された場合には、持続時間を最小限の時間、例えば10分に初期化する(ステップS37)。
なお、持続時間が10分であると、すぐに運針停止になってしまうが、スイッチSW3は使用者が外部操作部材を操作してオンされるため、持続時間が10分であることは使用者もすぐに確認する。その結果、使用者はりゅうず3を操作するなどの発電操作を行い、十分な発電量が確保されるため、持続時間も加算され、すぐに運針停止になることを防止できる。
【0108】
その後は、その他の処理として、前記第1実施形態と同様の持続時間の表示処理を実行する(ステップS38)。
【0109】
このような第2実施形態においては、前記実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次のような作用効果がある。
(11)ステップS22〜S25において、スイッチSW1,SW2の入力に応じて発電量の積算値を補正しているので、電子時計1の固体ばらつきを考慮した積算値に補正することができ、持続時間をその製品における実際の持続時間に一致させることができ、正確な持続時間を算出・表示することができる。
【0110】
(12)電流検出手段6における検出レベルを切替可能に構成したので、発電量(発電電流)が大きく異なる発電方式を併用している場合でも、現在の発電方式に応じた検出レベルを設定することができ、簡単なシステムにできて電荷を正確に積算できる。
特に、前記ステップS28〜S30の条件をすべて満たした場合に、検出レベル2に切り替えるため、自動巻き発電と手巻き発電とが可能な電子時計1において、発電頻度にばらつきがある通常携帯時の自動巻き発電では検出レベル1を維持でき、使用者が時計1を振って発電する自動巻き発電の急速発電時や、りゅうず3を操作する手巻き発電時には、その発電状態に適した検出レベル2に切り替えることができ、発電量をより正確に検出することができる。
そのうえ、充電電流がI11以下の状態がt2時間以上継続した場合、つまり上記手巻き発電や急速自動巻き発電が行われていない場合に、自動的に検出レベル1に復帰しているので、使用者が検出レベルの切替操作を行う必要が無く、利便性を向上できる。
【0111】
(13)外部操作部材でスイッチSW3をオンした際に、二次電池7の電圧がV1以上であれば持続時間を21日に初期化するので、直ちに運針状態に復帰でき、かつ、二次電池7が既に高電圧領域にある状態で使用者に対して発電を促すことがないため、無駄な発電操作を行うことを防止できる。
さらに、二次電池7の電圧がV1以下の場合には、持続時間を最小限の10分に初期化しているので、直ちに運針状態に復帰できるとともに、使用者に対して発電操作を促すことができる。
【0112】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、電流検出手段6としては、図14に示すように、抵抗61に並列に接続されたコンデンサ64を備え、充電電流の平均値を検出するものを利用してもよい。この場合、充電電流はコンデンサ64で積分されて平均化されるため、簡単な処理で、実際に単位時間に二次電池7に充電される充電量を検出することができる。
【0113】
また、電流検出手段6における検出レベルの変更条件としては、前記第2実施形態のものに限らず、発電装置40の特性などを考慮して適宜設定すればよい。
例えば、持続時間表示状態において、所定の充電電流(例えばI4)を検出した場合に、即座に検出レベル2に移行してもよい。この場合、前記第2実施形態に比べて、検出レベルの切替をすばやく実行できる。前記第2実施形態では、発電装置40が自動巻きおよび手巻きの両方で発電可能になっており、手巻き発電や急速自動巻き発電を検出するために、それらの発電の特性に基づいて条件を設定していたが、自動巻き発電装置のみが設けられている場合には、手巻き発電を考慮した移行条件を設定する必要がないため、単純に充電電流が所定の閾値(例えばI4)以上になったかのみで検出レベルを変更すればよい。
【0114】
また、一定時間内に所定の発電がある状態が所定時間以上継続したら、検出レベルを変更してもよい。例えば、I2以上の充電電流を1秒間に3回以上検出し、この検出状態が5秒以上継続した場合などに検出レベル2に移行すればよい。
このような移行条件は、ソーラー発電や外部交流磁界による発電等、一定の発電量が長時間継続する発電装置を用いている場合に有効である。
【0115】
さらに、1回の発電で所定の発電量(例えばQ1)があることが所定時間以内(例えば1秒以内)に所定回数(例えば2回)あったら場合に、検出レベルを変更してもよい。
このような移行条件であれば、手巻き発電のように、所定時間内に一定回数の発電が行われる場合に検出レベル2に移行しやすく、通常携帯時の自動巻き発電のように、不定期に発電が行われる場合には検出レベル2に移行せず、検出レベル1に維持できる。
【0116】
前記実施形態では、システムが起動してから停止するまでの持続時間(第1持続時間カウンタの積算値)のみを表示していたが、特定の操作があってから加算された持続時間(第2持続時間カウンタの積算値)を切り替えて表示可能に構成してもよい。
【0117】
また、表示針31による持続時間の表示方法としては、持続時間が短くなったときに、折り返し表示などにより、持続時間を時間単位や分単位等でより細かく表示してもよい。
例えば、持続時間が1日になった時点で、前記針位置0〜10をそれぞれ、0,1,2,3,4,5,6,7,14,19,24時間の指示等に切り替えて表示してもよいし、さらには、持続時間が1時間になった時点で、前記針位置0〜10をそれぞれ、0,3,6,12,15,20,25,30,45,60分の指示等に切り替えて表示してもよい。
本発明では、持続時間が0になった時点で運針を停止するため、持続時間は、運針動作が継続する残り時間を正確に表示することになる。従って、持続時間を時間単位や分単位で表示すれば、使用者は動作が継続する残り時間を正確に把握でき、運針停止前に発電操作を行うことができる。
【0118】
さらに、前記実施形態では、持続時間が0になったら、時刻表示用モータ駆動手段15および時刻表示用モータ16を停止して指針20による時刻表示のみ停止し、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14の駆動は継続し、内部的には時刻をカウントして、所定量の発電があった場合に時刻表示を現在時刻に復帰させるようにしていたが、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14の駆動も停止して時計動作を完全に停止してもよい。
また、持続時間が0になった時点での停止モードを、使用者が、前記実施形態のスリープモードと、時計動作を完全に停止するモードとから選択できるように設定してもよい。
【0119】
また、補正駆動方式で補正駆動パルスが出力された場合のように、消費電流が増加した場合には、その分持続時間から減算を行って補正しても良い。
すなわち、時刻表示用モータ駆動手段15は、モータ16に対して駆動パルスを入力後、モータ16の回転状態を検出し、非回転を検出した場合には、補正駆動パルスを入力してモータ16を回転させる補正駆動処理を実行可能に構成され、積分手段8は、前記補正駆動処理が行われた回数に基づいて持続時間を補正、具体的には消費電流が増加するために持続時間を減算してもよい。
このように構成すれば、補正駆動処理回数に応じた補正を行っているので、補正駆動処理で消費された電流分を考慮して持続時間を補正でき、持続時間が0になる前に動作が停止することを確実に防止できる。
【0120】
さらに、持続時間表示が0になる前に電池電圧が動作停止電圧以下になることを完全に防止するために、電池電圧が所定値以下になったら、持続時間を補正しても良い。
すなわち、二次電池7の電圧が、図10において使用領域1あたりの低い電圧値になった場合には、持続時間を短くして持続時間表示が「0」になるまでに電池電圧が動作停止電圧以下になることを防止すればよい。
【0121】
持続時間表示手段としては、表示針31が一定角度範囲のみで移動可能なものに限らず、表示針31が1回転(360度)回転可能に設けられたものを用いてもよい。
但し、前記実施形態の表示針31のように、一定角度範囲で移動するほうが、時計1の文字板部分に副針として組み込んだ際に、指針のサイズを大きくでき、視認性を向上できる。
【0122】
また、持続時間表示手段としては、表示針31を用いたものに限らず、液晶ディスプレイ等の表示手段において、数字や、インジケータなどを用いて表示してもよい。特に、本発明では、持続時間は、動作継続時間を正確に表示することになるため、その持続時間をデジタル表示することで、正確な持続時間を使用者に対して表示することができる。
【0123】
発電装置40としては、前記実施形態のような手巻き発電装置や自動巻き発電装置の他に、外部交流磁界による発電装置、ソーラー発電装置、温度差発電装置等の各種の発電装置が利用できる。また、電子時計1には、前記各種の発電装置を1種類組み込んでもよいし、前記実施形態のように、複数種類の発電装置を組み合わせてもよい。
また、本発明は、腕時計に限らず、発電機能を備えていれば、懐中時計、置時計、掛け時計などの他の時計にも適用できる。
要するに、本発明は、発電機能を有し、かつ、持続時間を表示する持続時間表示手段を有する電子時計に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第1実施形態における発電機能付き電子時計の構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における電子時計の回路ブロック図。
【図3】前記実施形態における電子時計の文字板部分を示す図。
【図4】前記実施形態における発電手段および持続時間表示手段の構成を示す図。
【図5】前記実施形態における整流手段および電流検出手段の構成を示す回路図。
【図6】前記実施形態における発電状態、1回の発電の積算値、充電量積算値を示すタイミングチャート。
【図7】前記実施形態における針位置と表示値との関係を示す図。
【図8】前記実施形態における持続時間表示処理を示すフローチャート。
【図9】図8の続きの処理を示すフローチャート。
【図10】二次電池の放電特性を示すグラフ。
【図11】第2実施形態における処理を示すフローチャート。
【図12】図11の続きの処理を示すフローチャート。
【図13】第2実施形態における発電状態、1回の発電の積算値、検出レベル切替タイミングを示すタイミングチャート。
【図14】変形例における整流手段および電流検出手段の構成を示す回路図。
【符号の説明】
【0125】
1…発電機能付き電子時計、2…回転錘、3…りゅうず、4…発電手段、5…整流手段、6…電流検出手段、7…二次電池、8…積分手段、9…持続時間表示制御手段、10…持続時間表示用モータ駆動手段、11…持続時間表示用モータ、14…時刻表示制御手段、15…時刻表示用モータ駆動手段、16…時刻表示用モータ、17…入力回路、20…時刻表示用指針、31…表示針、32…持続時間表示用目盛板、40…発電装置、62…ピーク検出回路、63…比較回路、64…コンデンサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機能付き電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機能を備えた時計は、電池交換が不要な利点を備えるため、広く利用されるようになった。
このような発電機能付き電子時計においては、発電手段で発電された電力を蓄電手段に充電して利用している。この発電機能付き電子時計では、通常、利用者に対し、時計の持続時間の目安を示し、必要に応じて発電を促すために、蓄電手段の電圧を検出し、その残量を表示させる機能を備えているものもある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭61−61077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、蓄電手段としてリチウムイオン電池のように放電特性がフラットな電源を用いた場合には、時間経過に伴う電池電圧の変化量が小さいため、その電池電圧を検出しても持続時間を正確に表示できないおそれがあった。特に、温度特性や発電直後の一時的な電圧増加により電池電圧が変動した場合には、その電池電圧を検出しても正しい持続時間を検出することができず、持続時間表示の精度が低下するという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、持続時間を正確に検出して表示することができる発電機能付き電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発電機能付き電子時計は、発電手段と、前記発電手段で発電された電気エネルギを蓄積する蓄電手段と、前記蓄電手段に蓄積された前記電気エネルギで駆動される計時制御手段と、前記計時制御手段によって制御されて時刻表示を行う時刻表示手段と、前記発電手段で発電された発電量を検出する発電量検出手段と、前記発電量検出手段で検出された発電量を積算して持続時間を算出する持続時間算出手段と、前記持続時間算出手段で算出された持続時間を表示する持続時間表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、発電手段としては、回転錘やゼンマイ、あるいはりゅうず等を介して手動でロータを回転させ、その回転エネルギを電気エネルギに変換する発電機、光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池、温度差で発電して熱エネルギを電気エネルギに変換する熱発電機等の各種発電機が利用できる。
また、本発明において、持続時間とは、蓄電手段に蓄積された電気エネルギで電子時計を駆動し続ける時間を意味し、具体的には時刻表示手段が時刻表示を停止するまでの動作継続時間を意味する。すなわち、発電機能付きの電子時計においては、ICや水晶振動子等で構成される計時制御手段が停止してしまうと、ICの駆動開始電圧まで充電しなければならず、かつ、水晶振動子が安定駆動するまで所定の時間が必要となるため、計時制御手段の動作を再駆動させるのが大変である。このため、蓄電手段の電圧が低下すると、計時制御手段のICや水晶振動子のみを駆動し続け、指針およびモータや液晶ディスプレイ等からなる時刻表示手段の駆動を停止するスリープモードに移行する制御が行われる。従って、発電機能付き電子時計における持続時間とは、スリープモードに移行するまでの動作継続時間を意味する。
【0008】
本発明によれば、蓄電手段の電圧を検出するのではなく、発電量を積算しているので、蓄電手段に充電された電気エネルギを精度良く検出でき、蓄電手段として放電特性がフラットな二次電池を用いた場合でも、持続時間を正確に表示できる。
【0009】
なお、前記発電量検出手段としては、発電手段の種類などに応じて設定すればよく、発電手段における発電量をリアルタイムに検出できるものが好ましい。
例えば、発電手段として、ロータを回転させてコイルを鎖交する磁束を変化させることで発電する発電機を用いた場合には、発電機から出力される発電電流は交流電流であるため、全波整流回路等で整流された発電電流を検出する電流検出手段などが利用できる。
【0010】
ここで、前記持続時間算出手段は、電子時計の所定時間あたりの消費電流を予め求めておき、この所定時間分の消費電流に相当する発電量が前記発電量検出手段で検出される毎に前記所定時間分だけ持続時間を加算する持続時間カウンタを備え、前記持続時間表示手段は、この持続時間カウンタのカウンタ値に基づいて持続時間を表示することが好ましい。
【0011】
時刻表示を行っている電子時計の単位時間あたりの消費電流は、他の特殊な機能、例えばライト点灯やクロノグラフ機能による時間計測等を行っていなければ、ほぼ一定となるため、予め算出しておくことができる。従って、持続時間算出手段は、例えば、1分間の消費電流に相当する発電量があった場合に、持続時間カウンタを1分加算する。そして、持続時間表示手段は、持続時間カウンタのカウンタ値を参照し、持続時間を表示する。
【0012】
このような構成によれば、電子時計の所定時間あたりの消費電流に対応する発電量があった際に持続時間を所定時間加算しているので、持続時間を高精度に求めることができる。また、予め設定された所定時間分の消費電流に相当する発電量があった場合に、持続時間カウンタを所定時間分加算するという簡単なアルゴリズムで処理を実行できる。
【0013】
ここで、前記持続時間算出手段は、電子時計の運針が継続している状態では、所定時間経過する毎に、前記持続時間カウンタのカウンタ値を前記所定時間だけ減算し、前記計時制御手段は、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった際に、前記時刻表示手段の駆動を停止することが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、発電手段で発電が行われると、その発電量に応じて持続時間カウンタが加算され、電子時計の運針が行われていれば、その時間経過に応じて持続時間カウンタが減算されるため、持続時間カウンタのカウンタ値は、蓄電手段への充電およびその電力消費を考慮した値になり、蓄電手段に蓄積されている電気エネルギに対応した値にでき、持続時間を精度良く表示できる。
さらに、計時制御手段は、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった際に、時刻表示手段の駆動を停止して動作停止状態に移行するため、実際の持続時間(動作停止状態に移行するまでの動作継続時間)が表示された持続時間と完全に一致するため、使用者は運針が停止するまでの時間を正確に把握でき、利便性が向上する。
また、持続時間カウンタの加算は、発電量検出手段や、持続時間表示手段などが動作している状態、つまり蓄電手段の電圧が所定値以上となって電子時計が正常に動作している状態で行われるのであるから、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった場合も、蓄電手段は電子時計を正常に動作可能な電圧が維持されていることになる。従って、蓄電手段が完全に放電した状態ではIC等が動作可能な電圧に復帰させるのが困難であるが、本発明では蓄電手段の電圧が所定値以上に維持されるため、発電が行われれば、動作停止状態からすぐに安定した動作状態に復帰でき、使用者はすぐに時刻を確認でき、利便性を向上できる。
【0015】
なお、時刻表示手段の駆動を停止するとは、例えば、モータで指針を運針して時刻を表示するアナログ式時計や、液晶ディスプレイ等で時刻を表示するデジタル式時計において、時計内部での時刻のカウントは続行し、指針やディスプレイの駆動のみを停止する一部停止方式(スリープモード)でもよいし、発振手段等も停止して時計内部での時刻のカウンタも停止する完全停止方式でもよい。
スリープモードであれば、発電があった際に、現時刻に自動的にかつ容易に復帰できる利点がある。一方、完全停止方式では、再度運針する際に時刻修正操作を行う必要があるが、スリープモードに比べても消費電力を低減できるので、蓄電手段が完全に放電するまでの期間を延長できる利点がある。
【0016】
ここで、前記持続時間算出手段は、電子時計における所定時間の消費電流の整数倍または整数分の1を積算単位とし、前記発電量検出手段で検出された発電量を前記積算単位に換算し、積算単位に基づいて積算して持続時間を算出することが好ましい。
例えば、1分間の消費電力相当の電荷の1/256を積算単位(基本単位)とし、前記積算単位分の発電量がある毎に基本単位を1ずつ積算し、256単位の積算がある毎に持続時間を1分加算すればよい。
【0017】
このような構成によれば、積算単位の増減で持続時間を算出できるので、処理や回路を簡略化できる。
特に、積算単位を、所定時間の消費電流の2の累乗倍(2,4,8,…,2n)、または、2の累乗分の1(1/2,1/4,1/8,…,1/2n)とすれば、2進数で処理できてICにおける処理も簡単に行え、処理や回路をより一層簡略化できる。なお、nは1以上の整数である。
【0018】
ここで、前記発電量検出手段は、発電電流をサンプリングし、各サンプリング時のピーク値を検出し、予め求めておいた発電電流のピーク値と平均電流値との関係を示すテーブルから、前記ピーク値に対応する平均電流値を発電量として検出し、前記持続時間算出手段は、前記平均電流値を積算して持続時間を算出することが好ましい。
発電量検出手段として、ピーク値を検出する構成とすれば、コンデンサなどを不要にできてハードウェアの構成が簡易になり、かつ、実際の充電量に対応する平均電流値を積算することができるので正確な積算を実現することができる。
【0019】
また、前記持続時間算出手段は、積算値が上限値に達した場合には、発電があってもそれ以上積算しないことが好ましい。なお、前記上限値は、表示部で表示可能な最大値、または、この最大値に所定値を加算した値に設定すればよい。
【0020】
このような構成によれば、二次電池等からなる蓄電手段の使用領域を高電圧側にシフトでき、完全放電のリスクを軽減できる。すなわち、蓄電手段がある初期電圧値から発電を開始して発電量を積算した際に、前記積算値に上限を設けなかった場合、積算値に基づく持続時間も上限がないため、その持続時間が0になると、蓄電手段はほぼ元の初期電圧値に戻り、蓄電手段の使用領域の下端(低電圧側)はほぼ一定である。このため、初期電圧値が比較的低い状態で開始し、かつ、負荷の変動や、使用者が何らかの機能を実行したことで消費電流が通常の運針制御のみを行っていた場合に比べて増加した場合には、持続時間が0になるまでに、蓄電手段の電圧が前記初期電圧値以下に低下して完全放電になってしまう可能性がある。
これに対し、積算値つまり持続時間に上限を設けておけば、蓄電手段の使用領域が高電圧側にシフトされるため、消費電流が通常の運針制御のみを行っていた場合に比べて増加しても、完全放電までマージンがあるため、完全放電のリスクを低減できる。
【0021】
さらに、積算値に上限を設けなかった場合には、前記積算値が、表示部で表示可能な最大値に対応する値になった以降も使用者が発電を継続してしまうと、積算値つまり持続時間が表示最大値よりも大きくなる。このため、発電停止後に、運針によって持続時間が減算された場合でも、最大表示値になるまでは表示部の表示は変化せず、使用者は表示部が故障したと誤認する可能性もある。例えば、表示部における持続時間の最大値が10日になっている場合に、発電量が大きくなって15日分の発電が行われ、持続時間も15日に積算されてしまうと、発電を行わずに5日間経過して持続時間が10日に減少するまで、表示部は持続時間を10日で表示し続けてしまう。すると、使用者は、持続時間の表示が変化しないために故障したと誤認してしまう可能性がある。
これに対し、本発明では、積算値つまり持続時間が、表示部の最大値(例えば10日)や、最大値(例えば10日)に所定値(例えば1日)を加算した値(例えば11日)である上限値(例えば10日または11日)になると、積算を停止しているので、発電停止後に運針に伴い1日程度経過すれば、表示部の表示も変化するため、使用者は持続時間の変化を確実に把握でき、故障と誤認することも防止できる。
【0022】
なお、最大値に所定値を加算して上限値を設定する場合、その所定値は、表示部の最大値とその1目盛前の値間の持続時間(例えば、最大値が10日で、その1目盛前が8日であれば、その差の2日分)以内に設定することが好ましい。
このように設定しておけば、使用者は、1目盛分(上記例では2日間)は表示が変化しなくても通常の動作であると判断でき、2日間経過すれば表示を変化させることができるため、使用者が故障と誤認することを防止できる。
【0023】
また、前記持続時間算出手段は、前記発電量検出手段で検出された発電量に所定の係数を掛けたものを積算して持続時間を算出することが好ましい。
ここで、前記所定の係数は、蓄電手段の電圧値が所定電圧値以下の場合には、1未満の係数であることが好ましい。また、所定電圧値は、二次電池等からなる蓄電手段において通常の使用領域の上限電圧値よりも高い電圧値に設定すればよい。
【0024】
このような本発明では、発電量(充電量)に所定の係数を掛けて積算しているので、積算値に基づく持続時間に対し、実際に蓄電手段に充電された電気エネルギの関係を調整することができる。例えば、前記係数が1未満であれば、実際の充電量に対し、持続時間は前記係数の割合分少なくなる。例えば、係数が0.8であれば、実際の充電量が持続時間10日分であったとしても、積算部で積算される積算値は持続時間8日分になる。このため、積算値に基づく持続時間が0になったとしても、蓄電手段には少なくとも2日分の電気エネルギが残されており、蓄電手段の使用領域を高電圧側にシフトでき、持続時間表示が0になる前に時計の動作が停止してしまうことも防止できる。
さらに、発電量に所定の係数を掛けて積算すれば、蓄電池の充電効率を考慮して持続時間を補正することもでき、効率的な充電を行いつつ、持続時間を適切に算出することができる。
【0025】
前記持続時間算出手段は、前記計時制御手段が起動して持続時間が0にリセットされてからの発電量を積算した第1積算値と、所定操作時からの発電量を積算した第2積算値とをそれぞれ積算可能に構成され、前記持続時間表示手段は、前記第1積算値と第2積算値を切り替えて表示可能に構成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成であれば、第1積算値によって、持続時間を正確に把握できるとともに、第2積算値によって、所定操作後の発電量に基づく持続時間を正確に把握できる。
例えば、使用者が手動操作によって発電を行う場合に、その発電操作の開始時からの積算値を第2積算値として積算しておけば、今回の発電操作によって加算できた持続時間を把握でき、使用者は実際に発電操作した際の発電状態を正確に確認できる。
【0027】
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が、所定時間よりも大きい場合には、所定時間未満の場合に比べて、持続時間の表示単位を大きくすることが好ましい。
例えば、持続時間が1日以下の場合には、持続時間を1時間単位(1,2〜24時間)で表示し、1日より大きく7日以下の場合には、持続時間を1日単位で表示し、7日よりも大きい場合には、7日間隔単位(7日、14日、21日、…)で表示するように設定すればよい。
【0028】
持続時間は、時計の作動継続時間であるから、使用者にとっては残り時間が少なくなった際に、細かく持続時間を確認できれば、持続時間を正確に把握でき、利便性が向上する。
なお、上記持続時間表示手段が液晶ディスプレイ等の数値を表示可能な表示手段であれば、上記の各単位で持続時間を数値表示すればよい。
また、持続時間表示手段が、ステッピングモータなどで駆動される指針と、その指針が指示する目盛とで構成されている場合や、液晶ディスプレイ等に指針および目盛を表示することで構成されている場合のように、持続時間をアナログ的に表示する場合には、前記各目盛を指示する設定を、上記の各単位に基づいて設定すればよい。
ここで、アナログ式指示部は、モータで駆動される指針が一般的であるが、例えば、ディスプレイ上に指針表示を行うものや、指針表示の代わりに長さが変化するバー表示によるインジケータなどを用いてもよい。従って、前記駆動制御部は、通常、指針を駆動するモータおよびモータ駆動手段で構成されるが、ディスプレイ上に指針やバーを表示するタイプでは、その画面表示制御手段で構成される。
【0029】
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が0以下になった場合には、通常の持続時間表示とは異なる表示を行うことが好ましい。
例えば、表示部が指針を用いたアナログ表示方式であれば、持続時間指示用の目盛とは別の位置を指示するように設定すればよい。また、表示部が数字などを表示するデジタル表示方式であれば、数字以外のマークなどを表示するように設定すればよい。
【0030】
持続時間を表示する表示部は、使用者に対して持続時間が短くなった際に発電を促すため、例えば、持続時間が0以上でかつ最小表示単位(例えば3時間)の間である場合に、目盛0を指示したり、数字0を表示するように設定されていることが好ましい。この場合、例えば、表示部が目盛0を指示していると、持続時間が0〜3時間の間であるのか、実際に持続時間が0になっているのかが判断し難い。
これに対し、本発明では、持続時間が0〜3時間の間であれば、通常の持続時間表示において0を指示するようにでき、実際に持続時間が0以下になった場合には、例えば、目盛0とは別の位置に設けられた目盛を指針で指示したり、数字0とは異なるマークを表示するようにすることで、使用者は持続時間が0以下になって電子時計は停止状態にあることを容易に判断できる。
【0031】
前記計時制御手段は、持続時間が0以下になった場合には、時刻表示手段を停止し、かつ時刻のカウントは継続し、発電が行われて持続時間が0よりも大きくなったら、時刻表示手段を駆動して現時刻表示に復帰させることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、持続時間が0以下になった場合でも、計時制御手段は時刻カウントを継続しているので、発電が行われて動作が再開された際に、使用者が時刻合わせをする必要が無く、利便性が向上する。また、水晶振動子やICの駆動のみで済む計時制御手段は駆動を続行しているが、モータ駆動やディスプレイ駆動などのために消費電力が大きな時刻表示手段は停止しているので、省電力化を図れる。このため、時刻表示手段を駆動し続ける場合に比べて、蓄電手段が完全に放電するまでの時間も延長でき、発電によって正常動作に復帰できる可能性も高まる。
【0033】
前記時刻表示手段は、モータ駆動手段と、このモータ駆動手段で駆動されるモータと、モータによって移動される指針とを備え、前記モータ駆動手段は、モータに対して駆動パルスを入力後、モータの回転状態を検出し、非回転を検出した場合には、補正駆動パルスを入力してモータを回転させる補正駆動処理を実行可能に構成され、前記持続時間算出手段は、前記補正駆動処理が行われた回数に基づいて持続時間を補正することが好ましい。
【0034】
モータ駆動手段が補正駆動処理を行えるように設定されていれば、通常は、パルス幅の短い駆動パルスを利用することで低消費電力化を図り、負荷の変動などによって前記パルス幅の短い駆動パルスではモータを回転できなかった場合のみ、よりパルス幅の大きな補正駆動パルスを入力することで確実にモータを回転させることができる。このような駆動制御方式を採用している場合、補正駆動処理を行うと、その分、消費電流が増大する。
従って、通常の駆動パルスのみでモータ駆動を行っている状態で消費電力を設定して持続時間を算出していると、持続時間表示が0になる前に、補正駆動処理分の電流消費で蓄電手段の電圧が低下し、時計動作が停止してしまう可能性がある。
これに対し、本発明では、積算部において、補正駆動処理回数に応じた補正を行っているので、補正駆動処理で消費された電流分を考慮して持続時間を補正でき、持続時間が0になる前に動作が停止することを確実に防止できる。
【0035】
前記持続時間算出手段は、前記発電量の積算値を補正可能に構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、製品毎に単位時間あたりの消費電流にばらつきがあった場合に、各製品の実際の消費電流に応じて積算値を補正することで、各製品毎の固体ばらつきによる計測誤差、つまりは持続時間の誤差を低減することができる。
例えば、基準となる製品の所定時間(例えば1日)あたりの消費電流に比べて、1.2倍の消費電流の製品があった場合、持続時間を算出する基準の消費電流を前記基準製品の消費電流のままで算出すると、算出される持続時間は、その製品における実際の持続時間よりも長くなってしまう。例えば、基準製品の消費電流で持続時間10日と算出されても、実際の消費電流が1.2倍であれば、実際の持続時間は10日/1.2倍=8.3日であり、算出した持続時間のほうが長くなってしまう。
この場合、前記発電量の積算値を例えば、1/1.2倍=0.833倍にしておけば、発電量に基づいて算出される持続時間をその製品における実際の持続時間に一致させることができ、正確な持続時間を算出・表示することができる。
【0036】
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧に基づいて推定される持続時間が、前記持続時間算出手段で積算された積算値に基づく持続時間よりも短いと判断した場合には、前記積算値を前記電圧に基づく持続時間に対応する値に補正することが好ましい。
【0037】
このような構成によれば、発電量を積算して求められた持続時間を、蓄電手段の実際の電圧値に基づいて求めた持続時間で検証でき、積算による持続時間を電圧値に基づく持続時間を参照して補正しているので、持続時間の精度をより一層向上することができる。
【0038】
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧値が所定電圧値以上の場合には、発電量に基づいて積算する際の加算値を補正することが好ましい。
例えば、前記所定電圧値を、蓄電手段において放電特性がほぼフラットな使用領域よりも高電圧側の電圧値V1に設定し、蓄電手段の電圧が前記電圧値V1以上になった場合には、持続時間算出手段において発電量(電荷)を2倍にしたものを積算すればよい。
【0039】
自動巻き発電、手巻き発電、ソーラー発電などでは、二次電池等の蓄電手段の電圧が高くなると、発電効率が低下する。このため、発電があっても持続時間表示がアップし難くなる。
これに対し、本発明では、蓄電手段の電圧が所定電圧値V1以上と高くなると、発電量を2倍などにして補正したものを持続時間算出手段に加算しているので、発電量の増加割合が低くなっても持続時間は見かけ上、増加するので、持続時間表示の変化を維持できる。
さらに、蓄電手段の高電圧領域では、電圧増加に比べて持続時間増加の割合を大きくできるので、実際の電池の使用領域がそれ以上高電圧側にシフトすることを押さえることができる。
【0040】
前記発電量検出手段は、前記発電手段の発電パターンに応じて検出レベルを設定することが好ましい。
例えば、発電量(発電電流)が大きく異なる発電方式を併用している場合でも、発電パターンを検出することで、現在の発電方式に応じた検出レベルを設定することができ、簡単なシステムにできかつ正確に電荷を積算することができる。
【0041】
前記発電量検出手段は、所定の発電量を検出した場合に、検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、発電量(発電電流)が所定値になった段階で検出レベルを切り替えることができるので、その検出レベルの切替によって表示の切替もすばやく実行できる。特に、1種類の発電手段のみが設けられている場合には、発電量が所定値になったことは、その発電手段での発電状態が変化したことであるから、その発電状態に応じて検出レベルも切り替えることで、発電検出精度を向上できる。
【0042】
前記発電量検出手段は、一定時間内に所定の発電量の発電がある状態が所定時間以上継続した場合に、前記検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、ある程度継続して所定発電量で発電している場合に、検出レベルを切り替えるようにしているので、発電手段として、ソーラー発電機や、外部交流磁界を利用した発電機のように、一定の発電が長時間継続する場合に、その発電量に適した検出レベルに切り替えて、その発電量をより正確に検出することができる。
【0043】
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があることが所定時間以内に所定回数あった場合に、前記検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、所定の発電量が複数回あった場合に初めて検出レベルを切り替えているため、例えば、発電機のロータを回転錘によって回転させる自動巻き発電と、前記発電機のロータをりゅうず等を操作して回転させる手巻き発電を併用する場合において、時計を通常に携帯していて、散発的に発電されるような場合には、発電量もそれほど大きくないため、低い検出レベルのまま維持される。一方、使用者が意識して電子時計を装着している手を振って自動巻き発電による発電量を増加させたり、手巻き発電操作を行った場合には、前記条件に該当する可能性が高くなり、そのため、検出レベルも自動的に切り替えることができ、発電量を精度良く検出できる。
【0044】
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があり、その後、所定時間以内に所定量の発電を検出した場合に、前記検出レベルを切り替えることが好ましい。
このような構成によれば、所定の発電量があった後、所定時間以内に所定量の発電を検出した場合に初めて検出レベルを切り替えているため、例えば、発電機のロータを回転錘によって回転させる自動巻き発電と、前記発電機のロータをりゅうず等を操作して回転させる手巻き発電を併用する場合、電子時計を単に携帯している場合には、検出レベルは切り替えられにくく、使用者が意識して発電している場合に検出レベルを切り替えることができ、発電量を精度良く検出できる。
【0045】
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記持続時間算出手段の積算値を、0よりも大きい所定の持続時間となる値に初期化することが好ましい。
例えば、積算値を持続時間が10分となる値に初期化すればよい。このような構成によれば、アフターサービスや、システムエラー時にシステムを初期化したときに、積算値が0つまり持続時間が0に初期化されると、時計は運針停止状態になってしまい、使用可能な状態に復帰しない。これに対し、0よりも大きい所定の持続時間、例えば持続時間10分に初期化すれば、直ちに運針状態に復帰でき、通常使用可能な状態に復帰でき、利便性を向上できる。
【0046】
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記蓄電手段の電圧を検出し、前記持続時間算出手段の積算値を、前記検出電圧に基づく値に初期化することが好ましい。
このような構成であれば、蓄電手段の電圧が所定値以上確保されている場合には、直ちに運針状態に復帰でき、通常使用可能な状態に復帰でき、利便性を向上できる。
また、所定操作時に予め設定された値に初期化してしまうと、蓄電手段の電圧が不十分である場合でも所定値に初期化してしまい、問題となるが、本発明では、電圧値に応じて積算値も0以下になるため、電圧値に応じた正しい持続時間を表示できる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の発電機能付き電子時計によれば、持続時間を正確に検出して表示することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[電子時計の全体構成]
電子時計1は、図1に示すように、回転錘2、りゅうず3、発電手段4、整流手段5、電流検出手段6、蓄電手段である二次電池7、積分手段8、持続時間表示制御手段9、持続時間表示用モータ駆動手段10、持続時間表示用モータ11、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14、時刻表示用モータ駆動手段15、時刻表示用モータ16を備えている。
【0049】
ここで、図2のハードウェア構成図にも示すように、電流検出手段(電流検出回路)6、分周手段(分周回路)13、各モータ駆動手段(モータ制御回路)10,15は、バス100を介してCPU(central processing unit)101、ROM(read only memory)102、RAM(random access memory)103に対してデータを入出力可能に接続されている。
従って、本実施形態では、積分手段8、持続時間表示制御手段9、時刻表示制御手段14は、CPU101、ROM102、RAM103を用い、所定のソフトウェアを実行させることによって実現されている。
【0050】
なお、図2に示すように、バス100には入力回路17も接続されている。この入力回路17には、スイッチSW1〜SW3が接続されている。スイッチSW1,SW2は、CPU101、ROM102、RAM103等を有するICが取り付けられた回路基板上に設けられ、電子時計1の工場等において各電子時計1の特性を検査した上で選択的に入力される。すなわち、スイッチSW1のみがオン、スイッチSW2のみがオンの2通りに設定可能とされている。
一方、スイッチSW3は、プッシュボタンなどの使用者が外部操作可能な外部操作部材によって入力されるスイッチである。
入力回路17は、各スイッチSW1〜SW3のオン・オフの状態を検出し、各スイッチSW1〜SW3の状態をRAM103に記憶可能に構成されている。
【0051】
電子時計1は、図3に示すように、時針21、分針22、秒針23からなる時刻表示用指針20を備えており、この時刻表示用指針20は前記時刻表示用モータ16によって駆動される。
また、電子時計1の文字板24の9時位置には、時刻表示用指針20とは別に設けられる持続時間表示用指針である表示針(副表示針)31および持続時間表示用目盛板32が設けられている。表示針31は、前記持続時間表示用モータ11によって駆動される。
なお、文字板24の3時位置には窓241が形成され、文字板24の裏面に配置された日車によって日付が表示可能とされている。この日車は、図示略の日車用モータで回転駆動される。
【0052】
このように構成される電子時計1においては、本発明の計時制御手段は、前記発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14を備えて構成され、時刻表示手段は、時刻表示用モータ駆動手段15、時刻表示用モータ16、時刻表示用指針20を備えて構成されている。
また、本発明の発電量検出手段は、電流検出手段6を備えて構成され、持続時間算出手段は積分手段8を備えて構成され、持続時間表示手段は、持続時間表示制御手段9、持続時間表示用モータ駆動手段10、持続時間表示用モータ11、表示針31、持続時間表示用目盛板32を備えて構成されている。なお、持続時間表示手段の指針は、表示針31で構成され、そのアクチュエータは、持続時間表示用モータ駆動手段10、持続時間表示用モータ11で構成されている。
【0053】
[発電手段]
発電手段4は、図4にも示すように、時計1のケース内部に配置された回転錘2を用いた自動巻き発電と、りゅうず3を用いた手巻き発電とを行えるように構成されている。
すなわち、発電手段4は、発電装置40と、発電装置40に回転錘2からの機械的エネルギを伝達する自動巻き発電用伝達手段46と、発電装置40にりゅうず3からの機械的エネルギを伝達する手巻き発電用伝達手段47とを備えている。
【0054】
発電装置40は、ロータ41が回転可能に配置されたステータ42と、コイル43が巻回されたコイルブロック44とを備えた一般的な交流発電機である。
【0055】
自動巻き発電用伝達手段46は、回転錘2と一体で回転する回転錘車461と、回転錘車461の回転が伝達される一対の切換車462,463とを備えている。そして、一方の切換車463はロータ41のかなに噛み合い、回転錘2が回転すると、その回転力は回転錘車461、切換車462,463を介してロータ41に伝達され、発電装置40において発電が行われる。
なお、一対の切換車462,463は、図示しないラチェット車を備えた構成であり、回転錘車461がいずれの方向に回転した場合でも、ロータ41を一方向に回転させることが可能に構成されている。
【0056】
手巻き発電用伝達手段47は、巻真471、きち車472、丸穴車473、揺動車474、第一手巻伝え車475、第二手巻伝え車476、第三手巻伝え車477、前記切換車463を備えている。
そして、巻真471の先端にはりゅうず3が取り付けられているため、使用者がりゅうず3を回すと、巻真471が回転する。巻真471の回転は、きち車472、丸穴車473を介して揺動車474に伝達され、揺動車474の回転が第一手巻伝え車475に伝達され、第一手巻伝え車475の回転は、第二手巻伝え車476および第三手巻伝え車477を介して切換車463に伝達される。
【0057】
この際、揺動車474は、巻真471の一方向への回転時にのみ第一手巻伝え車475のかな475Aと噛み合うようになっている。具体的には、揺動車474が取り付けられた受け478にはスリット478Aが設けられており、このスリット478A内に揺動車474の支持軸474Aが摺動自在に嵌め込まれている。従って、図4の場合でいえば、巻真操作により丸穴車473が時計方向に回転した場合には、揺動車474が反時計方向に回転しながら第一手巻伝え車475の中心側に移動し、かな475Aと噛み合う。一方、第一手巻伝え車475が切換車463側からの駆動により反時計方向に回転すると、揺動車474が時計方向に回転しながらかな475Aから離間し、第一手巻伝え車475との噛み合いが外れる。このような構成により、回転錘2の回転が巻真471に伝達されないようになっている。
【0058】
[整流手段]
整流手段5は、発電装置40から出力される交流電流を整流するものであり、全波整流回路、半波整流回路などの公知の整流回路が利用できる。
本実施形態では、図5に示すように、4つのダイオード51を用いたブリッジ整流回路(全波整流回路)によって整流手段5が構成されている。
【0059】
[電流検出手段]
電流検出手段6は、整流手段5で整流された電流の大きさを検出可能に構成されたものである。
具体的には、電流検出手段6は、図5に示すように、整流手段5および二次電池7間に配置された抵抗61と、この抵抗61を流れる電流を測定して発電電流のピーク値を検出するピーク検出回路62と、ピーク検出回路62で検出された値を閾値と比較する比較回路63とを備えている。
【0060】
電流検出手段6は、CPU101からの信号により、所定のサンプリングレート(サンプリング周期)で駆動され、二次電池7に充電される充電電流のサンプリングを行う。
ピーク検出回路62では、図6に示すように、整流手段5から出力された発電電流をサンプリングし、各サンプリングにおけるピーク値を検出する。比較回路63では、ピーク検出回路62で検出されたピーク値を、所定の閾値、例えば図6においては、閾値I1〜I4と比較し、その検出結果信号を積分手段8および持続時間表示制御手段9に出力可能に構成されている。
なお、図6において、整流回路出力の1群の波形(各山形の波形)が、りゅうず3の手巻き1回分の充電電流波形に相当する。
また、本実施形態の比較回路63は、積分手段8の積算値などに基づいて、CPU101からの信号によって前記閾値の大きさ、つまり検出レベルを切り替えることができるように構成されている。
【0061】
[蓄電手段]
蓄電手段は、発電電流を充電可能な二次電池7で構成されている。そして、発電装置40の出力は、整流手段5で整流され、電流検出手段6を介して二次電池7に充電されている。なお、蓄電手段としては、二次電池7に限らず、キャパシタを利用してもよい。
【0062】
[積分手段]
積分手段8は、電流検出手段6から出力される検出結果信号に基づいて平均電流値を算出し、その平均電流値を積算する。
すなわち、積分手段8は、予め各サンプリングにおける発電電流のピーク値の値と、そのピーク値の場合の平均電流値との関係を実験などで調べておき、その関係テーブルをROM102に保存している。そして、電流検出手段6から出力される検出結果信号(ピーク値)に対応する平均電流値を前記テーブルから求め、その平均電流値を積算している。
【0063】
本実施形態の積分手段8は、発電量カウンタ、第1持続時間カウンタ、第2持続時間カウンタを備えている。各カウンタは、RAM103の一部に構成されている。
発電量カウンタは、図6の「1回の発電の積算値」に示すように、1回の発電時毎に前記平均電流値を積算し、1回の発電の積算値(発電量)を記憶するカウンタである。本実施形態では、第2実施形態で説明するように、発電量検出レベルの切替条件の1つに、この発電量カウンタで積算している1回の発電毎の発電量がQ1以上になったか否かの条件があるため、このカウンタを設けている。
【0064】
第1持続時間カウンタは、前記計時制御手段が起動して持続時間が0にリセットされてからの発電量を積算した第1積算値をカウントしている。具体的には、図6の「充電量積算値」に示すように、第1持続カウンタは、電子時計1の作動継続時間をカウントしており、前記発電電流の積算値(発電量)が、予め設定された1日分の発電量に達する毎に、通常時に表示する持続時間を1日分、ステップアップしている。また、電子時計1の消費電流が1日分になると、持続時間カウンタの積算値を減算し、持続時間が1日分短くなる毎に持続時間の表示を1日分、ステップダウンしている。
なお、前記1日分の発電量や消費電流は、電子時計1の消費電流を測定して毎日の消費量を算出し、その測定した消費量に基づいて1日分の発電量を設定してもよいが、この場合、消費電流を測定する回路などを組み込まなければならず、腕時計のような小型の電子時計1においては実現が難しい。
このため、本実施形態では、電子時計1の標準的な1日の消費電流を予め工場において測定、算出しておき、その消費量に対応する1日の発電量を予め設定してROM102等に記憶している。そして、積算した発電量が前記ROM102に記憶された1日分の発電量になれば持続時間カウンタを1日分加算している。一方、電子時計1が通常運針で1日経過する毎に、1日分の消費電流が消費されたものとみなして、持続時間カウンタを1日分減算している。
なお、電子時計1を使用している場合に、通常の運針制御以外で消費電流が大きな機能を実行した場合には、各機能毎に単位時間あたりの消費電流値を設定しておき、その機能の実行時間を掛けて消費電流を補正してもよい。例えば、電子時計1に、電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計機能が組み込まれている場合には、電波受信処理時や、時刻修正処理時の消費電流を設定しておき、その消費量に基づいて持続時間を補正すればよい。
【0065】
一方、第2持続時間カウンタは、所定の操作が行われた後、例えば、りゅうず3を回して発電する手巻き発電操作が行われた後の発電量を積算した第2積算値をカウントしている。具体的な、カウント値のアップやダウンの処理は第1持続カウンタと同様であるため、説明を省略する。
【0066】
[持続時間表示制御手段]
持続時間表示制御手段9は、積分手段8の出力に基づいて持続時間表示用モータ駆動手段10を制御している。すなわち、持続時間表示制御手段9は、積分手段8の持続時間カウンタを参照し、カウンタ値つまり持続時間を表示針31で指示するように持続時間表示用モータ駆動手段10を制御する。なお、通常は、第1持続時間カウンタの持続時間を表示針31で指示するが、外部操作部材の所定操作が行われた際には、第2持続時間カウンタで積算されている所定操作後の持続時間を表示針31で表示してもよい。
【0067】
[持続時間表示用モータ駆動手段]
持続時間表示用モータ駆動手段10は、持続時間表示制御手段9から出力される駆動制御信号に基づいて、持続時間表示用モータ11のモータコイル111に駆動パルスを入力して持続時間表示用モータ11の駆動を制御している。
【0068】
[持続時間表示用モータおよび表示針31の駆動輪列]
持続時間表示用モータ11は、図4に示すように、モータコイル111が巻かれたコイルブロック112と、ロータ114が回転自在に配置されたステータ113とを備えている。
前記ロータ114のロータかなには、中間車34が噛み合い、この中間車34のかなには表示車33が噛み合っている。そして、この表示車33に前記表示針31が取り付けられている。そして、この表示針(副表示針)31により、発電量を積算した持続時間を表示している。
【0069】
なお、表示車33は、その外周の一部のみに歯が形成されており、前記モータ11によって一定角度範囲内のみで回動可能に設けられ、表示車33に取り付けられた表示針31も一体角度範囲で回動可能に設けられている。
このため、目盛板32は平面扇形に形成されており、前記表示針31の先端の移動軌跡に沿って円弧状に目盛321が形成されている。
【0070】
目盛321は、針位置0を示す第0目盛321Aから針位置10を示す第10目盛321Bまで10分割されている。すなわち、目盛321の目盛線は針位置0から針位置10まで11本設けられ、11の状態を表示可能にされている。
そして、図7にも示すように、持続時間カウンタでカウントされた持続時間が7日以下の場合には、1目盛りあたり1日相当の持続時間を示し、7日を超えるときには1目盛りあたり7日相当の持続時間を示すように設定され、最大21日分の持続を表示可能に構成されている。
すなわち、持続時間カウンタのカウンタ値が0になり、運針動作が停止すると、表示針31は第0目盛321Aつまり針位置0(表示値「動作停止」)を指す。
一方、表示値が「0日」つまり持続時間が0から1日の間であれば、表示針31は針位置1を指す。また、表示値が「1日」つまり持続時間が1日から2日の間であれば表示針31は針位置2を指す。以下、持続時間が1日増える毎に、表示針31は針位置3から針位置7を指示する。
また、表示値が「7日」つまり持続時間が7日から14日の間であれば表示針31は針位置8を指示し、表示値が「14日」つまり持続時間が14日から21日の間であれば表示針31は針位置9を指示する。
また、表示値が「21日」つまり持続時間が21日よりも大きい場合には、表示針31は針位置10を指示する。
【0071】
なお、本実施形態では、持続時間カウンタは、表示針31で表示可能な最大値の持続時間である21日に、所定値、具体的には1日大きい22日に持続時間がなった場合には、発電があっても、それ以上の積算を行わないように構成されている。すなわち、第1持続時間カウンタの最大値は22日であり、持続時間が21日または22日の時には、表示針31は針位置10を指示するように構成されている。
【0072】
そして、前述のように発電が行われて持続時間カウンタが1ステップアップすると、モータ駆動手段10は、表示針31を反時計回り方向に1目盛り分移動する。一方、電力が消費されて持続時間カウンタが1ステップダウンすると、モータ駆動手段10は、表示針31を時計回り方向に1目盛り分移動する。
【0073】
[計時制御手段および時刻表示手段]
一方、通常の時刻を表示するための計時制御手段および時刻表示手段は、従来からある一般的なアナログ式クオーツ時計の構成であるため、詳細な説明は省略する。
すなわち、発振手段12は、水晶振動子などで構成され、所定周波数の信号を出力する。分周手段13は、発振手段12からの信号を分周し、例えば1Hzの基準信号を出力する。
時刻表示制御手段14は、分周手段13の基準信号に基づいて時刻表示用モータ駆動手段15に駆動信号を出力する。通常、発振手段12から1Hzの基準信号が入力される毎に、駆動信号を出力する。時刻表示用モータ駆動手段15は、前記駆動信号に基づいて時刻表示用モータ16のモータコイルに入力し、時刻表示用モータ16は時刻表示用指針20をステップ運針する。
なお、時刻表示用モータ駆動手段15は、持続時間表示制御手段9からの制御信号により、持続時間が0になった際には、時刻表示用指針20の運針を停止するスリープモードに移行するように構成されている。
【0074】
[電子時計の動作説明]
次に、このような構成の電子時計1における動作に関し、図8,9のフローチャートも参照して説明する。
なお、これらのフローチャートによる制御は、図6に示すサンプリングタイミング毎に繰り返し実施される。
電子時計1の動作が開始すると、持続時間表示制御手段9は、持続時間カウンタに記憶されている持続時間が上限値、具体的には表示の最大値である21日よりも1日大きな22日以上であるかを確認する(ステップS1)。そして、持続時間が22日以上の場合には、それ以上の積算は行わず、後述するようにステップS10の処理に進む。
【0075】
一方、ステップS1で「No」と判定されれば、持続時間表示制御手段9は、電流検出手段6をサンプリング駆動して電流検出結果の取り込み処理を行う(ステップS2)。このため、回転錘2やりゅうず3によって発電手段4で発電が行われていると、整流手段5を介して二次電池7に発電電流(充電電流)が流れ、その電流が電流検出手段6で検出される。すると、電流検出手段6からは、各サンプリング毎の電流ピーク値に対応する検出結果信号、具体的には図6に示すように、閾値レベルI1〜I4との比較結果を示す信号が出力される。
【0076】
そして、積分手段8は、二次電池7の電圧(電池電圧)が所定電圧V1以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
ステップS3において、電池電圧がV1未満であれば、積分手段8は、電流検出手段6の検出結果信号を積算する(ステップS4)。積算は、1分間の消費電流相当の電荷の1/256を基本単位として行い、積分手段8は、256単位の積算がある毎に持続時間を1分加算する。
例えば、1秒間の消費電流が1μAの場合、1分間の消費電荷は、1μA×60=60μCである。従って、電荷積算の基本単位は、60μC/256=0.234μCとなる。
そして、検出結果信号に基づく検出電流が0.5mAであり、サンプリング間隔が1/32秒の場合、各サンプリング時に前記検出電流を検出した際の積算値は、1000×0.5mA×1/32秒×1/0.234μC=約67である。
【0077】
また、本実施形態において、積分手段8は、ステップS4で加算する際は、誤差により表示上の持続時間が実際の持続時間を下回らないように、実際の発電電荷に対して1より小さい所定の補正係数をかけた電荷を積算する。
例えば、充電電流の検出精度が±5%、二次電池7の充電効率がmin90%であった場合、前記補正係数は、(1−|±0.05|)×0.9=約0.86として求めればよい。
【0078】
一方、ステップS3において、電池電圧がV1以上であれば、積分手段8は、電流検出手段6の検出結果信号を2倍したものを積算する(ステップS5)。
なお、前記電圧V1は、二次電池7の使用領域の電圧よりも高い電圧値が設定されている。例えば、図10に示すように、二次電池7として放電特性がフラットなリチウムイオン電池等を用いた場合には、その電圧がほぼ一定となっているフラットな使用領域よりも高い電圧をV1に設定している。
【0079】
持続時間表示制御手段9は、電流検出結果の積算の結果、持続時間の日桁上げがあったか否かを確認する(ステップS6)。すなわち、積分手段8は、1分間の電荷が発電されると、持続時間を1分加算しており、この加算が24時間分つまり1日分になると、持続時間は1日分加算されて日桁上がりが行われる。
そして、ステップS6で「Yes」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、持続時間が7日以内であるかを確認する(ステップS7)。
【0080】
ステップS7で「No」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、持続時間が14日または21日であるかを確認する(ステップS8)。
そして、ステップS7で「Yes」と判定された場合、つまりステップS6で日桁上げがあり、かつ、持続時間が7日以下の場合は、持続時間表示制御手段9は、表示針31を1ステップ(1目盛分)正転駆動して表示を1段階アップする(ステップS9)。
また、ステップS7で持続時間が7日を越えているときは、ステップS8において、日桁上げにより持続時間が14日または21日になった場合のみ表示を1段階アップする(ステップS9)。
【0081】
なお、ステップS6で「No」と判定され、日桁上げが無かった場合や、ステップS8で「No」と判定され、持続時間が14日または21日になっていない場合には、表示の1段階アップは行われない。
【0082】
次に、持続時間表示制御手段9は、時刻表示制御手段14において分桁上げがあったか否かを確認する(ステップS10)。すなわち、この分桁上げは、時間経過に伴い1分間隔で発生するため、1分より短いサンプリングレートで処理されている図8,9の持続時間表示制御フローでは、複数回に1回の割合で分桁上げがあったことが検出される。
ステップS10で分桁上げがあったときは、運針1分間の電流消費があったことになるため、持続時間表示制御手段9は1分間の持続時間に相当する256単位を積算値から減算する(ステップS11)。すなわち、図6に示すように、第1持続時間カウンタの積算値は、分桁上げがあった時点で、256単位が減算される。
【0083】
積分手段8は、減算の結果、積算値(持続時間)が0になったかを確認する(ステップS12)。
そして、積算値が0になった場合には、積分手段8は、持続時間表示制御手段9を介して表示針31を逆転駆動し、針位置0(第0目盛321A)を指示させて動作停止状態であることを示す(ステップS13)。
【0084】
さらに、積分手段8は、運針つまり時計動作を停止し(ステップS14)、1回のサンプリングでの制御処理を終了する。なお、本実施形態では、時計動作の停止は、時刻表示用モータ駆動手段15は停止して指針20の運針を停止するが、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14による時刻のカウント処理(計時処理)は続行し、発電があった際に、速やかにかつ自動的に現時刻の表示に復帰できるようにしている。
なお、ステップS14において、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14も停止し、さらに電力消費を軽減させてもよい。
【0085】
一方、積算値が0にならなかった場合には、持続時間表示制御手段9は、前記ステップS11の減算の結果、持続時間の日桁下げがあったか否かを確認する(ステップS15)。例えば、発電が停止している場合には、1分経過する毎に持続時間が1分ぶん減算され、その減算が24時間分つまり1日分になると、持続時間は1日分減算されて日桁下げが行われる。発電が行われた場合も、その発電によって加算される持続時間と、運針に伴い減算される持続時間とを計算することで減算が1日分になれば、日桁下げが行われる。
そして、ステップS15で「Yes」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、日桁下げにより持続時間が7日以内になったかを確認する(ステップS16)。
【0086】
ステップS16で「No」と判定されると、持続時間表示制御手段9は、日桁下げにより持続時間が14日または21日になったかを確認する(ステップS17)。
そして、ステップS16で「Yes」と判定された場合、つまり日桁下げがあり、かつ、持続時間が7日以下の場合は、持続時間表示制御手段9は、表示針31を1ステップ(1目盛分)逆転駆動して表示を1段階ダウンする(ステップS18)。
また、ステップS16で持続時間が7日を越えているときは、ステップS17において、日桁下げにより持続時間が14日または21日になった場合のみ表示を1段階ダウンし(ステップS18)、1回のサンプリングでの制御処理を終了する。
一方、ステップS10,S15,S17でそれぞれ「No」と判定された場合は、表示針31のダウン制御は行わず、1回のサンプリングでの制御処理を終了する。
【0087】
従って、二次電池7として22日分の消費電荷より容量が大きいものを使用することにより、二次電池7を使い切る前に、持続時間が「0」になり、動作を停止することができる。
また、ステップS4の積算時に、充電電荷に対して1より小さい係数をかけることにより、図10に示すように、二次電池7の使用領域が、使用領域1から使用領域2、さらには使用領域3に徐々に高電圧側にシフトさせることができる。
【0088】
例えば、発電によって充電電荷が1日分あった場合でも、1より小さい係数(例えば、0.8)を掛けることで、持続時間は0.8日分となり、1.25日分の充電電荷があった場合に、持続時間は1日となる。
そのため、例えば、二次電池7の電圧が、図10に示す使用領域1の下限にあった時点から発電が行われ、持続時間が1日分(充電電荷としては1.25日分)加算されて使用領域1の上限まで電圧が上昇したとする。この状態で発電が無く、運針が1日分行われて持続時間が1日分減算されたとしても、その際に使用される二次電池7の領域は使用領域1Aとなり、その下限は使用領域1の下限よりも高い電位となる。そして、再度発電が行われて持続時間が1日分加算されると、その時の電圧は前記使用領域1の上限の電圧よりも高くなる。従って、その後に運針で使用される領域1Bは前記使用領域1Aよりも全体として高圧側にシフトする。このように、積算時に小さい係数を掛けると二次電池7の使用領域が高圧側にシフトする。そして、前記係数が1に近いほどシフト量は小さくなり、0に近いほど大きくなるため、前記係数によってシフト量を設定することができる。
【0089】
一方、電池電圧がV1を超えると、ステップS5で積算値を2倍に補正するため、高電圧側へのシフトは停止する。すなわち、積算時の係数を1よりも大きくすると、実際の電圧上昇分よりも持続時間の上昇分が大きくなる。すなわち、実際には1日運針分の電荷が充電された場合でも、積算された持続時間は2倍の2日となる。このため、運針によって持続時間が減算される際に、持続時間1日分減算されると、実際の電圧は前記発電前の電圧に戻るが、さらに1日分の持続時間が残っているため、運針が停止することなく、そのまま継続される。従って、使用領域が低圧側にシフトし、前記高圧側へのシフトは停止する。
【0090】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)二次電池7への充電電流つまり発電量を検出する電流検出手段6と、その検出結果出力を積算して持続時間を算出する積分手段8とを備えているので、二次電池7の電圧を検出して持続時間を求める場合に比べて、持続時間を正確に検出して表示できる。
【0091】
(2)本実施形態では、第1持続時間カウンタにおいて、所定の持続時間分の発電量があればその時間分だけ持続時間を加算し、運針などによって所定の持続時間分の電力消費があればその時間分だけ持続時間を減算しているので、持続時間を常に正確にできるとともに、簡単なアルゴリズムで処理を実行できるため、処理の負荷も軽減できる。
【0092】
(3)本実施形態では、持続時間が「0」になると、時刻表示用モータ駆動手段15等の駆動を停止して運針停止状態に移行するため、実際の持続時間(運針停止状態に移行するまでの動作継続時間)を、表示された持続時間と完全に一致することができ、使用者は運針が停止するまでの時間を正確に把握でき、利便性が向上する。
【0093】
(4)また、持続時間が「0」になった場合も、二次電池7は電子時計1を正常に動作可能な電圧を維持できるように設定しておくことができるため、発電が行われれば、動作停止状態からすぐに安定した動作状態に復帰でき、使用者はすぐに時刻を確認でき、利便性を向上できる。
【0094】
(5)積分手段8では、1分間の消費電力相当の電荷の1/256を積算単位(基本単位)とし、前記積算単位分の発電量がある毎に基本単位を1ずつ積算し、256単位の積算がある毎に持続時間を1分加算しているので、処理や回路を簡略化できる。特に、2の8乗分の1を基本単位に設定し、2進数で処理できるので、ICにおける処理もより一層簡単に行うことができる。
【0095】
(6)電流検出手段6は、ピーク検出回路62を備えているので、コンデンサを不要にできてハードウェアの構成を簡単にでき、かつ、遅れがない検出を行うことができる。
【0096】
(7)積分手段8は、ステップS1において持続時間が22日以上には積算しないように制御しているので、二次電池7の使用領域を高電圧側にシフトでき、その分、完全放電のリスクを軽減できる。また、持続時間表示が長期間停止することを防止でき、使用者が故障と誤認することも防ぐことができる。
【0097】
(8)積分手段8は、発電量に1未満の係数を掛けて積算しているので、蓄電手段の使用領域を高電圧側にシフトでき、持続時間表示が0になる前に時計の動作が停止してしまうことも防止できる。
さらに、積分手段8は、二次電池7の電圧が所定電圧値V1以上の場合には、発電量に1より大きい係数(前記実施形態では2倍)を掛けて補正したものを加算しているので、二次電池7の電圧が高くなって発電量の増加割合が低くなっても持続時間は見かけ上、増加するので、持続時間表示の変化を維持できるとともに、二次電池7の高電圧領域では、電圧増加に比べて持続時間増加の割合を大きくできるので、実際の電池の使用領域がそれ以上高電圧側にシフトすることを防止することができる。
【0098】
(9)持続時間表示制御手段9は、持続時間が7日以下であれば1目盛を1日として指示し、7日以上であれば7日毎、つまり14日と21日でそれぞれ1目盛として指示しているので、21日という比較的長い持続時間を表示できるとともに、持続時間が短くなってきたときには短い間隔(1日間隔)で持続時間を表示でき、使用者に対して適切な表示を行えて利便性を向上できる。
【0099】
(10)図7に示すように、持続時間が「0日」の場合と、動作停止状態とをそれぞれ針位置1,0と異なる位置で表示しているので、使用者は、持続時間が「0日」つまり0日から1日の間であるのか、持続時間が0以下になって電子時計1は停止状態にあるのかを容易に判断できる。
【0100】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図11〜13を参照して説明する。
第2実施形態では、電流検出手段6において、自動巻きにより通常携帯で充電される場合と、手巻き発電等で急速充電する場合とで検出レベルを自動的に切換えている点と、各機器の個体差を考慮し、前記スイッチSW1、SW2を用いて積算量を微調整可能にしている点と、手動操作により前記スイッチSW3をオンにして初期化可能にしている点が前記第1実施形態に対して追加されている。但し、その他の構成は前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0101】
電流検出手段6は、初期設定は、図13に示すように、I1〜I4を検出用の閾値とした検出レベル1に設定され、この検出レベル1によって発電手段4から二次電池7に充電される電流の大きさを検出している。
そして、積分手段8は、電流検出手段6からの電流検出結果を取り込む(ステップS21)。次に、積分手段8は、SW1がオンされているかを確認し(ステップS22)、SW1がオンされていなかった場合にはSW2がオンされているかを確認する(ステップS23)。
【0102】
そして、積分手段8は、SW1がオンされている場合には、電流検出結果の1.2倍を積算し(ステップS24)、SW2がオンされている場合には、電流検出結果の0.8倍を積算する(ステップS25)。
一方、SW1およびSW2のいずれもがオンされていない場合には、積分手段8は、電流検出結果をそのまま積算する(ステップS26)。
なお、前記スイッチSW1、SW2は、各電子時計1の個体差に基づいて入力が設定されるものであるため、時計内部の回路基板上などに設けられ、工場において各電子時計1の個体差を測定後、その入力(オン・オフ)が設定される。
【0103】
次に、電流検出手段6における検出レベルとして、現在、検出レベル2を選択しているか否かを確認する(ステップS27)。
ステップS27において、検出レベル2を選択中ではないと判定された場合には、充電電流が検出レベル1のI3を超えたか否かを確認する(ステップS28)。ステップS28において「Yes」と判定されると、前回の発電終了から所定時間t1以内であるかを確認する(ステップS29)。さらに、ステップS29において「Yes」と判定されると、前回の発電積算値が所定の発電量Q1以上であるかを確認する(ステップS30)。
【0104】
ステップS30において「Yes」と判定されると、電流検出手段6は、検出レベル2を選択する(ステップS31)。
すなわち、図13に示すように、通常時は検出レベル1(閾値I1〜I4)が選択されているが、次の条件を満たすと検出レベル2(閾値I11〜I14)が選択される。つまり、充電電流がI3以上で、前回の1巻きの発電(電流検出結果がI1以上になってからI1以下になるまでの発電量)が所定値Q1以上で、前回の発電の終了(電流検出結果がI1以下になってから)所定時間t1以内であると、検出レベル2に切り替えている(ステップS31)。
このため、使用者がりゅうず3を一定以上の速さで回転させると、2回転目に表示が変化することになる。
【0105】
検出レベル2が選択されると、電流検出手段6は、図13に示すように、電流レベルI11,I12,I13,I14を閾値として設定する。
これにより、電流検出のレベルを、通常携帯時に自動巻き発電での発電電流の検出に適した検出レベルであるI1〜I4(検出レベル1)と、自動巻き発電による急速充電や手巻き発電に適した検出レベルであるI11〜I14(検出レベル2)に切換える。
一方、ステップS28〜S30で「No」と判定された場合には、ステップS31の検出レベル切替処理は行わず、検出レベル1のままに維持される。
【0106】
また、ステップS27で「Yes」と判定された場合には、充電電流がI11未満の状態が所定時間t2以上継続したかを確認する(ステップS32)。
そして、ステップS32で「Yes」と判定された場合には、自動巻き発電による急速充電や手巻き発電状態のように発電電流レベルが高い状態ではないと判断して、検出レベルを検出レベル1に戻す(ステップS33)。
一方、ステップS32で「No」と判定された場合には、ステップS33の検出レベル切替処理は行わず、検出レベル2のままに維持される。
【0107】
次に、持続時間表示制御手段9は、スイッチSW3がオンされたか否かを確認する(ステップS34)。
スイッチSW3がオンされると、電池電圧がV1以上であるかを確認する(ステップS35)。そして、ステップS35で「Yes」と判定された場合には、図10に示すように、二次電池7の電圧が十分に高く、十分な持続時間があるために持続時間を21日(最大値)に初期化する(ステップS36)。一方、ステップS35で「No」と判定された場合には、持続時間を最小限の時間、例えば10分に初期化する(ステップS37)。
なお、持続時間が10分であると、すぐに運針停止になってしまうが、スイッチSW3は使用者が外部操作部材を操作してオンされるため、持続時間が10分であることは使用者もすぐに確認する。その結果、使用者はりゅうず3を操作するなどの発電操作を行い、十分な発電量が確保されるため、持続時間も加算され、すぐに運針停止になることを防止できる。
【0108】
その後は、その他の処理として、前記第1実施形態と同様の持続時間の表示処理を実行する(ステップS38)。
【0109】
このような第2実施形態においては、前記実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次のような作用効果がある。
(11)ステップS22〜S25において、スイッチSW1,SW2の入力に応じて発電量の積算値を補正しているので、電子時計1の固体ばらつきを考慮した積算値に補正することができ、持続時間をその製品における実際の持続時間に一致させることができ、正確な持続時間を算出・表示することができる。
【0110】
(12)電流検出手段6における検出レベルを切替可能に構成したので、発電量(発電電流)が大きく異なる発電方式を併用している場合でも、現在の発電方式に応じた検出レベルを設定することができ、簡単なシステムにできて電荷を正確に積算できる。
特に、前記ステップS28〜S30の条件をすべて満たした場合に、検出レベル2に切り替えるため、自動巻き発電と手巻き発電とが可能な電子時計1において、発電頻度にばらつきがある通常携帯時の自動巻き発電では検出レベル1を維持でき、使用者が時計1を振って発電する自動巻き発電の急速発電時や、りゅうず3を操作する手巻き発電時には、その発電状態に適した検出レベル2に切り替えることができ、発電量をより正確に検出することができる。
そのうえ、充電電流がI11以下の状態がt2時間以上継続した場合、つまり上記手巻き発電や急速自動巻き発電が行われていない場合に、自動的に検出レベル1に復帰しているので、使用者が検出レベルの切替操作を行う必要が無く、利便性を向上できる。
【0111】
(13)外部操作部材でスイッチSW3をオンした際に、二次電池7の電圧がV1以上であれば持続時間を21日に初期化するので、直ちに運針状態に復帰でき、かつ、二次電池7が既に高電圧領域にある状態で使用者に対して発電を促すことがないため、無駄な発電操作を行うことを防止できる。
さらに、二次電池7の電圧がV1以下の場合には、持続時間を最小限の10分に初期化しているので、直ちに運針状態に復帰できるとともに、使用者に対して発電操作を促すことができる。
【0112】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、電流検出手段6としては、図14に示すように、抵抗61に並列に接続されたコンデンサ64を備え、充電電流の平均値を検出するものを利用してもよい。この場合、充電電流はコンデンサ64で積分されて平均化されるため、簡単な処理で、実際に単位時間に二次電池7に充電される充電量を検出することができる。
【0113】
また、電流検出手段6における検出レベルの変更条件としては、前記第2実施形態のものに限らず、発電装置40の特性などを考慮して適宜設定すればよい。
例えば、持続時間表示状態において、所定の充電電流(例えばI4)を検出した場合に、即座に検出レベル2に移行してもよい。この場合、前記第2実施形態に比べて、検出レベルの切替をすばやく実行できる。前記第2実施形態では、発電装置40が自動巻きおよび手巻きの両方で発電可能になっており、手巻き発電や急速自動巻き発電を検出するために、それらの発電の特性に基づいて条件を設定していたが、自動巻き発電装置のみが設けられている場合には、手巻き発電を考慮した移行条件を設定する必要がないため、単純に充電電流が所定の閾値(例えばI4)以上になったかのみで検出レベルを変更すればよい。
【0114】
また、一定時間内に所定の発電がある状態が所定時間以上継続したら、検出レベルを変更してもよい。例えば、I2以上の充電電流を1秒間に3回以上検出し、この検出状態が5秒以上継続した場合などに検出レベル2に移行すればよい。
このような移行条件は、ソーラー発電や外部交流磁界による発電等、一定の発電量が長時間継続する発電装置を用いている場合に有効である。
【0115】
さらに、1回の発電で所定の発電量(例えばQ1)があることが所定時間以内(例えば1秒以内)に所定回数(例えば2回)あったら場合に、検出レベルを変更してもよい。
このような移行条件であれば、手巻き発電のように、所定時間内に一定回数の発電が行われる場合に検出レベル2に移行しやすく、通常携帯時の自動巻き発電のように、不定期に発電が行われる場合には検出レベル2に移行せず、検出レベル1に維持できる。
【0116】
前記実施形態では、システムが起動してから停止するまでの持続時間(第1持続時間カウンタの積算値)のみを表示していたが、特定の操作があってから加算された持続時間(第2持続時間カウンタの積算値)を切り替えて表示可能に構成してもよい。
【0117】
また、表示針31による持続時間の表示方法としては、持続時間が短くなったときに、折り返し表示などにより、持続時間を時間単位や分単位等でより細かく表示してもよい。
例えば、持続時間が1日になった時点で、前記針位置0〜10をそれぞれ、0,1,2,3,4,5,6,7,14,19,24時間の指示等に切り替えて表示してもよいし、さらには、持続時間が1時間になった時点で、前記針位置0〜10をそれぞれ、0,3,6,12,15,20,25,30,45,60分の指示等に切り替えて表示してもよい。
本発明では、持続時間が0になった時点で運針を停止するため、持続時間は、運針動作が継続する残り時間を正確に表示することになる。従って、持続時間を時間単位や分単位で表示すれば、使用者は動作が継続する残り時間を正確に把握でき、運針停止前に発電操作を行うことができる。
【0118】
さらに、前記実施形態では、持続時間が0になったら、時刻表示用モータ駆動手段15および時刻表示用モータ16を停止して指針20による時刻表示のみ停止し、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14の駆動は継続し、内部的には時刻をカウントして、所定量の発電があった場合に時刻表示を現在時刻に復帰させるようにしていたが、発振手段12、分周手段13、時刻表示制御手段14の駆動も停止して時計動作を完全に停止してもよい。
また、持続時間が0になった時点での停止モードを、使用者が、前記実施形態のスリープモードと、時計動作を完全に停止するモードとから選択できるように設定してもよい。
【0119】
また、補正駆動方式で補正駆動パルスが出力された場合のように、消費電流が増加した場合には、その分持続時間から減算を行って補正しても良い。
すなわち、時刻表示用モータ駆動手段15は、モータ16に対して駆動パルスを入力後、モータ16の回転状態を検出し、非回転を検出した場合には、補正駆動パルスを入力してモータ16を回転させる補正駆動処理を実行可能に構成され、積分手段8は、前記補正駆動処理が行われた回数に基づいて持続時間を補正、具体的には消費電流が増加するために持続時間を減算してもよい。
このように構成すれば、補正駆動処理回数に応じた補正を行っているので、補正駆動処理で消費された電流分を考慮して持続時間を補正でき、持続時間が0になる前に動作が停止することを確実に防止できる。
【0120】
さらに、持続時間表示が0になる前に電池電圧が動作停止電圧以下になることを完全に防止するために、電池電圧が所定値以下になったら、持続時間を補正しても良い。
すなわち、二次電池7の電圧が、図10において使用領域1あたりの低い電圧値になった場合には、持続時間を短くして持続時間表示が「0」になるまでに電池電圧が動作停止電圧以下になることを防止すればよい。
【0121】
持続時間表示手段としては、表示針31が一定角度範囲のみで移動可能なものに限らず、表示針31が1回転(360度)回転可能に設けられたものを用いてもよい。
但し、前記実施形態の表示針31のように、一定角度範囲で移動するほうが、時計1の文字板部分に副針として組み込んだ際に、指針のサイズを大きくでき、視認性を向上できる。
【0122】
また、持続時間表示手段としては、表示針31を用いたものに限らず、液晶ディスプレイ等の表示手段において、数字や、インジケータなどを用いて表示してもよい。特に、本発明では、持続時間は、動作継続時間を正確に表示することになるため、その持続時間をデジタル表示することで、正確な持続時間を使用者に対して表示することができる。
【0123】
発電装置40としては、前記実施形態のような手巻き発電装置や自動巻き発電装置の他に、外部交流磁界による発電装置、ソーラー発電装置、温度差発電装置等の各種の発電装置が利用できる。また、電子時計1には、前記各種の発電装置を1種類組み込んでもよいし、前記実施形態のように、複数種類の発電装置を組み合わせてもよい。
また、本発明は、腕時計に限らず、発電機能を備えていれば、懐中時計、置時計、掛け時計などの他の時計にも適用できる。
要するに、本発明は、発電機能を有し、かつ、持続時間を表示する持続時間表示手段を有する電子時計に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第1実施形態における発電機能付き電子時計の構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における電子時計の回路ブロック図。
【図3】前記実施形態における電子時計の文字板部分を示す図。
【図4】前記実施形態における発電手段および持続時間表示手段の構成を示す図。
【図5】前記実施形態における整流手段および電流検出手段の構成を示す回路図。
【図6】前記実施形態における発電状態、1回の発電の積算値、充電量積算値を示すタイミングチャート。
【図7】前記実施形態における針位置と表示値との関係を示す図。
【図8】前記実施形態における持続時間表示処理を示すフローチャート。
【図9】図8の続きの処理を示すフローチャート。
【図10】二次電池の放電特性を示すグラフ。
【図11】第2実施形態における処理を示すフローチャート。
【図12】図11の続きの処理を示すフローチャート。
【図13】第2実施形態における発電状態、1回の発電の積算値、検出レベル切替タイミングを示すタイミングチャート。
【図14】変形例における整流手段および電流検出手段の構成を示す回路図。
【符号の説明】
【0125】
1…発電機能付き電子時計、2…回転錘、3…りゅうず、4…発電手段、5…整流手段、6…電流検出手段、7…二次電池、8…積分手段、9…持続時間表示制御手段、10…持続時間表示用モータ駆動手段、11…持続時間表示用モータ、14…時刻表示制御手段、15…時刻表示用モータ駆動手段、16…時刻表示用モータ、17…入力回路、20…時刻表示用指針、31…表示針、32…持続時間表示用目盛板、40…発電装置、62…ピーク検出回路、63…比較回路、64…コンデンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電手段と、
前記発電手段で発電された電気エネルギを蓄積する蓄電手段と、
前記蓄電手段に蓄積された前記電気エネルギで駆動される計時制御手段と、
前記計時制御手段によって制御されて時刻表示を行う時刻表示手段と、
前記発電手段で発電された発電量を検出する発電量検出手段と、
前記発電量検出手段で検出された発電量を積算して持続時間を算出する持続時間算出手段と、
前記持続時間算出手段で算出された持続時間を表示する持続時間表示手段と、
を備えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、電子時計の所定時間あたりの消費電流を予め求めておき、この所定時間分の消費電流に相当する発電量が前記発電量検出手段で検出される毎に前記所定時間分だけ持続時間を加算する持続時間カウンタを備え、
前記持続時間表示手段は、この持続時間カウンタのカウンタ値に基づいて持続時間を表示することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項3】
請求項2に記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、電子時計の運針が継続している状態では、所定時間経過する毎に、前記持続時間カウンタのカウンタ値を前記所定時間だけ減算し、
前記計時制御手段は、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった際に、前記時刻表示手段の駆動を停止することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、電子時計における所定時間の消費電流の整数倍または整数分の1を積算単位とし、前記発電量検出手段で検出された発電量を前記積算単位に換算し、積算単位に基づいて積算して持続時間を算出することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、発電電流をサンプリングし、各サンプリング時のピーク値を検出し、予め求めておいた発電電流のピーク値と平均電流値との関係を示すテーブルから、前記ピーク値に対応する平均電流値を発電量として検出し、
前記持続時間算出手段は、前記平均電流値を積算して持続時間を算出することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、積算値が上限値に達した場合には、発電があってもそれ以上積算しないことを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記発電量検出手段で検出された発電量に所定の係数を掛けたものを積算して持続時間を算出することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記計時制御手段が起動して持続時間が0にリセットされてからの発電量を積算した第1積算値と、所定操作時からの発電量を積算した第2積算値とをそれぞれ積算可能に構成され、
前記持続時間表示手段は、前記第1積算値と第2積算値を切り替えて表示可能に構成されていることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が、所定時間よりも大きい場合には、所定時間未満の場合に比べて、持続時間の表示単位を大きくすることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が0以下になった場合には、通常の持続時間表示とは異なる表示を行うことを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記計時制御手段は、持続時間が0以下になった場合には、時刻表示手段を停止し、かつ時刻のカウントは継続し、発電が行われて持続時間が0よりも大きくなったら、時刻表示手段を駆動して現時刻表示に復帰させることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記時刻表示手段は、モータ駆動手段と、このモータ駆動手段で駆動されるモータと、モータによって移動される指針とを備え、
前記モータ駆動手段は、モータに対して駆動パルスを入力後、モータの回転状態を検出し、非回転を検出した場合には、補正駆動パルスを入力してモータを回転させる補正駆動処理を実行可能に構成され、
前記持続時間算出手段は、前記補正駆動処理が行われた回数に基づいて持続時間を補正することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記発電量の積算値を補正可能に構成されていることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧に基づいて推定される持続時間が、前記持続時間算出手段で積算された積算値に基づく持続時間よりも短いと判断した場合には、前記積算値を前記電圧に基づく持続時間に対応する値に補正することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧値が所定電圧値以上の場合には、発電量に基づいて積算する際の加算値を補正することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、前記発電手段の発電パターンに応じて検出レベルを設定することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項17】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、所定の発電量を検出した場合に、検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項18】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、一定時間内に所定の発電量の発電がある状態が所定時間以上継続した場合に、前記検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項19】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があることが所定時間以内に所定回数あった場合に、前記検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項20】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があり、その後、所定時間以内に所定量の発電を検出した場合に、前記検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記持続時間算出手段の積算値を、0よりも大きい所定の持続時間となる値に初期化することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記蓄電手段の電圧を検出し、前記持続時間算出手段の積算値を、前記検出電圧に基づく値に初期化することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項1】
発電手段と、
前記発電手段で発電された電気エネルギを蓄積する蓄電手段と、
前記蓄電手段に蓄積された前記電気エネルギで駆動される計時制御手段と、
前記計時制御手段によって制御されて時刻表示を行う時刻表示手段と、
前記発電手段で発電された発電量を検出する発電量検出手段と、
前記発電量検出手段で検出された発電量を積算して持続時間を算出する持続時間算出手段と、
前記持続時間算出手段で算出された持続時間を表示する持続時間表示手段と、
を備えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、電子時計の所定時間あたりの消費電流を予め求めておき、この所定時間分の消費電流に相当する発電量が前記発電量検出手段で検出される毎に前記所定時間分だけ持続時間を加算する持続時間カウンタを備え、
前記持続時間表示手段は、この持続時間カウンタのカウンタ値に基づいて持続時間を表示することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項3】
請求項2に記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、電子時計の運針が継続している状態では、所定時間経過する毎に、前記持続時間カウンタのカウンタ値を前記所定時間だけ減算し、
前記計時制御手段は、持続時間カウンタのカウンタ値が0になった際に、前記時刻表示手段の駆動を停止することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、電子時計における所定時間の消費電流の整数倍または整数分の1を積算単位とし、前記発電量検出手段で検出された発電量を前記積算単位に換算し、積算単位に基づいて積算して持続時間を算出することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、発電電流をサンプリングし、各サンプリング時のピーク値を検出し、予め求めておいた発電電流のピーク値と平均電流値との関係を示すテーブルから、前記ピーク値に対応する平均電流値を発電量として検出し、
前記持続時間算出手段は、前記平均電流値を積算して持続時間を算出することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、積算値が上限値に達した場合には、発電があってもそれ以上積算しないことを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記発電量検出手段で検出された発電量に所定の係数を掛けたものを積算して持続時間を算出することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記計時制御手段が起動して持続時間が0にリセットされてからの発電量を積算した第1積算値と、所定操作時からの発電量を積算した第2積算値とをそれぞれ積算可能に構成され、
前記持続時間表示手段は、前記第1積算値と第2積算値を切り替えて表示可能に構成されていることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が、所定時間よりも大きい場合には、所定時間未満の場合に比べて、持続時間の表示単位を大きくすることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間表示手段は、前記持続時間算出手段で算出された持続時間が0以下になった場合には、通常の持続時間表示とは異なる表示を行うことを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記計時制御手段は、持続時間が0以下になった場合には、時刻表示手段を停止し、かつ時刻のカウントは継続し、発電が行われて持続時間が0よりも大きくなったら、時刻表示手段を駆動して現時刻表示に復帰させることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記時刻表示手段は、モータ駆動手段と、このモータ駆動手段で駆動されるモータと、モータによって移動される指針とを備え、
前記モータ駆動手段は、モータに対して駆動パルスを入力後、モータの回転状態を検出し、非回転を検出した場合には、補正駆動パルスを入力してモータを回転させる補正駆動処理を実行可能に構成され、
前記持続時間算出手段は、前記補正駆動処理が行われた回数に基づいて持続時間を補正することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記発電量の積算値を補正可能に構成されていることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧に基づいて推定される持続時間が、前記持続時間算出手段で積算された積算値に基づく持続時間よりも短いと判断した場合には、前記積算値を前記電圧に基づく持続時間に対応する値に補正することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記持続時間算出手段は、前記蓄電手段の電圧を検出し、その電圧値が所定電圧値以上の場合には、発電量に基づいて積算する際の加算値を補正することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、前記発電手段の発電パターンに応じて検出レベルを設定することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項17】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、所定の発電量を検出した場合に、検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項18】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、一定時間内に所定の発電量の発電がある状態が所定時間以上継続した場合に、前記検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項19】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があることが所定時間以内に所定回数あった場合に、前記検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項20】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記発電量検出手段は、1回の発電で所定の発電量があり、その後、所定時間以内に所定量の発電を検出した場合に、前記検出レベルを切り替えることを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記持続時間算出手段の積算値を、0よりも大きい所定の持続時間となる値に初期化することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれかに記載の発電機能付き電子時計において、
前記電子時計は外部操作部材を備え、この外部操作部材によって所定の操作を行うと、前記蓄電手段の電圧を検出し、前記持続時間算出手段の積算値を、前記検出電圧に基づく値に初期化することを特徴とする発電機能付き電子時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−224545(P2008−224545A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65647(P2007−65647)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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