説明

盛土用発泡樹脂ブロック体

【課題】上下方向および側方のいずれへも注排水が円滑にでき、しかも大きな空隙部を確保でき、圧縮強度が大きく、荷重を均一にでき、構造が簡単で成形し易い盛土用発泡樹脂ブロック体を提供すること。
【解決手段】互いを反転組み合わせて盛土用発泡樹脂ブロック20を構成する発泡樹脂ブロック体の発泡樹脂板21に一定の配列で複数の支柱部22を突出させ、この支柱部22が設けられない発泡樹脂板21部分に一定配列で複数の貫通部23を設け、さらに、貫通部23と連通する溝部24を発泡樹脂板21の支柱部22と反対側に外側端部で開口させて設ける。また、支柱部22に互いに嵌合連結可能な嵌合凸部と嵌合凹部とからなる嵌合連結部25を反転組み合わせ可能に配置して設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つを反転して組み合わせることで盛土用発泡樹脂ブロックを構成する盛土用発泡樹脂ブロック体に関し、特に、地下水の上昇や排水量の多い場所で使用しても浮力による影響を抑えることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、軟弱地盤、急傾斜地などの土木工事においては、土砂などにより盛土を形成するのに代えて、発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体を使用した盛土用発泡樹脂ブロックによって、盛土を構築する盛土代替え工法が行われている。
【0003】
このような盛土代替え工法では、盛土用発泡樹脂ブロックを用いることで、その軽量性、自立性、耐水性、断熱性、加工性などの優れた特性を活用することができる。
【0004】
しかしながら、この盛土用発泡樹脂ブロックの材料として用いられる発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体は、水より密度が低く軽量で、耐水性を有しているため、地下水の水位が上昇した場合や、季節的な降雨や洪水などで冠水した場合には、盛土用発泡樹脂ブロックに大きな浮力が生じて不安定になり、本来の自立性を保持できなくなる。
【0005】
そこで、このような浮力の影響を抑えるために種々の提案がなされている。
【0006】
例えば、盛土用発泡樹脂ブロックに貫通孔を設けて、その部分にパイプなどの部材やコンクリートなどの充填材を入れて、段積みを強固にすることが行われているが、施工面において複雑になったり、施工時間が増大するばかりか、重量の増加につながり、盛土用発泡樹脂ブロックを使用する効果が半減してしまう。
【0007】
一方、盛土用発泡樹脂ブロック自体の構造を工夫したものとして、例えば特許文献1には、図9(a)の底面図および(b)の断面図に示すように、発泡樹脂板1に複数の突起部2を空間部3をあけて設けるとともに、空間部3を外部に開放するようにしてあり、空間部3を導水路および排水路とし、空間部3内に水を導入することで浮力を小さくする一方、水位の低下により排水することで軽量性を回復させるようにしている。
【0008】
また、特許文献2には、図10の斜視図に示すように、上下面が正方形のブロック4の中央部に9つの円形の貫通孔5を、側面に3つの半円の側面貫通凹部6を、4隅に4分の1円の4隅貫通凹部7をそれぞれ形成するとともに、下面部に横溝8を、上面部に突起9を形成してあり、空隙部となるそれぞれの貫通部5、6、7を排水路として機能させることで効率よく排水し、地下水の上昇時にもブロックが浮き上がらず、水位が下がると本来の機能を回復できるようにしている。
【0009】
さらに、特許文献3には、図11(a)の上面斜視図および(b)の底面斜視図に示すように、下面が開放され上面が天板部10で略封止された箱状体に形成され、内部に多数の水溜室11を区画形成し、多数の水溜室11を箱状体の中心を通る仕切壁12で4つの群に分割し、仕切壁12および外側壁のスリット13で各群ごとに注排水可能とし、さらに、天板部10には溝14および開口部15が多数配置されており、外壁部および仕切壁のスリット13で盛土などの表面から浸透した水を各郡ごとに水溜室11に注水し、天板部10の開口部15で冠水あるいは水位低下の水位に倣って水を速やかに注水し、あるいは排水するようにし、浮力を十分に抑制し、排水能力に優れるようにしている。
【0010】
また、特許文献4や特許文献5にも同様の盛土用発泡樹脂ブロックが開示されている。
【特許文献1】実開平3−128730号公報
【特許文献2】特開2001−271353号公報
【特許文献3】特開2002−38486号公報
【特許文献4】実開平7−8434号公報
【特許文献5】特開平11−229379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献1の盛土材では、2つの盛土材を発泡樹脂板1,1が上下に配置されるように組み合わせて1つのユニットとして使用すると、突起部2,2間の空隙部3を介して水の流入や流出が起こるものの、上下面が塞がれていることから急激な水位上昇などの場合には、水の流入が円滑になされず、大きな浮力が作用するという問題がある。
【0012】
また、特許文献2の盛土用発泡樹脂ブロックでは、上下方向には、貫通孔5、側面貫通凹部6、4隅貫通凹部7が形成されていることから水の流入、流出が円滑に行われるものの、側方への水の流入、流出が行われにくく、しかも施工時に多数の貫通孔5などに足を取られるといった問題もある。
【0013】
さらに、特許文献3の発泡樹脂成形体では、水の流入、流出を仕切壁12などのスリット13と天板部10の開口部15で行うようにしているが、いずれも比較的小さく、急激な冠水や水位の上昇が起こった場合に注水や排水の抵抗となり、大きな浮力が作用したり、排水に時間がかかるという問題がある。
【0014】
一方、発泡樹脂ブロックの成形性についてみると、特許文献1〜3(5)のいずれの場合も、水が流入する空隙部の形状は比較的単純であってもブロックに残された荷重を支持する部分は複雑な形状とされ、金型製作に多大なコストを要するという問題がある。
【0015】
また、浮力の影響を抑えるため、貫通孔などを大きくすると、敷設の際ブロックを積み重ねた場合の支持部分の接触面積が小さくなり、圧縮強度が小さくなってしまうという問題もある。
【0016】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、上下方向および側方のいずれへも注水および排水が円滑にでき、しかも大きな空隙部を確保できるとともに、圧縮強度が大きく、荷重を均一に掛けることができ、構造が簡単で成形し易い盛土用発泡樹脂ブロック体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、盛土用発泡樹脂ブロック体について鋭意検討を重ねた結果、浮力については、上下方向および側方のいずれにも円滑な水の流通性を確保する必要があり、空隙部は形状にかかわらず大きさが確保できれば良いのに対し、ブロックに残される支持部は、荷重を均一に支持でき、しかも圧縮強度をできるだけ小さな断面積で支持できる一定に配列される形状にすることが有効であることを見出し、この発明を完成したものである。
【0018】
すなわち、上記課題を解決するため、この発明の請求項1記載の盛土用発泡樹脂ブロック体は、互いを反転組み合わせて盛土用発泡樹脂ブロックを構成する発泡樹脂ブロック体であって、発泡樹脂板に一定の配列で複数の支柱部を突出させて設け、この支柱部が設けられない前記発泡樹脂板部分に一定配列で複数の貫通部を設けてなることを特徴とするものである。
【0019】
この盛土用発泡樹脂ブロック体によれば、発泡樹脂板に一定の配列で突出させて設けた複数の支柱部同士を突き合わせてブロックとすることで、荷重を均一に支持して圧縮強度を高めるようにし、浮力に対して発泡樹脂板の一方側では、支柱部の側方を水の注排水路とし、他方側では、発泡樹脂板に一定配列で複数設けた貫通部を水の注排水路とすることで、急激な水位上昇や冠水にも対応できるようにしている。
【0020】
また、この発明の請求項2記載の盛土用発泡樹脂ブロック体は、請求項1記載の構成に加え、前記発泡樹脂板の前記支柱部と反対側表面に、前記貫通部と連通する溝部を当該発泡樹脂板の外側端部で開口させて設けたことを特徴とするものである。
【0021】
この盛土用発泡樹脂ブロック体によれば、浮力に対して発泡樹脂板の他方側では、発泡樹脂板に一定配列で複数設けた貫通部と連通させて形成した溝部を水の注排水路とすることで、一層注排水が円滑となり、急激な水位上昇や冠水にも対応できるようにしている。
【0022】
さらに、この発明の請求項3記載の盛土用発泡樹脂ブロック体は、請求項1または2記載の構成に加え、前記支柱部に、互いに嵌合連結可能な嵌合凸部と嵌合凹部とを、前記反転組み合わせ可能に配置して設けたことを特徴とするものである。
【0023】
この盛土用発泡樹脂ブロック体によれば、前記支柱部に設けた互いに嵌合連結可能な嵌合凸部と嵌合凹部とを反転組み合わせ可能に配置することで、ずれを防止して安定性を向上できるとともに、一層強固なブロックにできるようにしている。
【発明の効果】
【0024】
この発明の請求項1記載の盛土用発泡樹脂ブロック体によれば、発泡樹脂板に一定の配列で突出させて設けた複数の支柱部同士を突き合わせてブロックとしたので、荷重を均一に支持して圧縮強度を高めることができる。
【0025】
また、浮力に対して発泡樹脂板の一方側では、支柱部の側方を水の注排水路とし、他方側では、発泡樹脂板に一定配列で複数設けた貫通部を水の注排水路としたので、急激な水位上昇や冠水にも対しても円滑に水を注排水することができ、浮力を極力抑えることができる。
【0026】
さらに、この発明の請求項2記載の盛土用発泡樹脂ブロック体によれば、浮力に対して発泡樹脂板の他方側では、発泡樹脂板に一定配列で複数設けた貫通部と連通させて形成した溝部を水の注排水路とすることができ、一層注排水が円滑となり、急激な水位上昇や冠水にも対応することができる。
【0027】
また、この発明の請求項3記載の盛土用発泡樹脂ブロック体によれば、前記支柱部に設けた互いに嵌合連結可能な嵌合凸部と嵌合凹部とを反転組み合わせ可能に配置することで、1つの形状のブロック体を組み合わせてブロックにでき、しかもずれを防止して安定性を向上することができるとともに、一層強固なブロックにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2は、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、図1(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図、図2(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【0029】
この盛土用発泡樹脂ブロック体は、軟弱地盤などで盛土を行う場合に、土や土砂などに代えて使用される発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体からなる盛土用ブロック体であって、同一形状のブロック体を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用ブロックとして使用するもので、例えば縦横の大きさが1mとされる。
【0030】
この盛土用発泡樹脂ブロック体20は、平面形状が矩形、例えば正方形の発泡樹脂板21に一定の配列で複数の支柱部22が突出させて一体に成形されて設けられ、例えば中央部に9個の円錐台形状の中央支柱部22aが一定の間隔をあけて設けられ、側面部に平断面が半分の側面支柱部22bがそれぞれ3個ずつ一定の間隔をあけて設けられ、四隅部に平断面が4分の一の隅部支柱部22cがそれぞれ1個ずつ設けられ、各支柱部22a,22b,22cの中心が正方形の外形線および正方形を4等分する線による格子の交差点に配置されて一定の配列となっている。
【0031】
なお、これら支柱部22の一定の配列は、盛土用発泡樹脂ブロック体20を左右・前後に並べた場合でも隣接する盛土用発泡樹脂ブロック体20同士を含めて一定の配列が維持できるようにしてある。
【0032】
この支柱部22の大きさは、発泡樹脂板21の正方形と発泡樹脂板21および支柱部22の高さ(総高さ)で作られる立体に対して、空隙率が60〜65%程度となるように、円錐台形の大径部および小径部の大きさが定められ、例えば正方形の1辺を1m、総高さを250mm(発泡樹脂板の高さ45mm、支柱部の高さ205mm)とし、支柱部の円錐台形の大径部の直径を160mm、小径部の直径を150mmとする。
【0033】
空隙率が60%より低い場合、排水性が悪くなる傾向があり、また空隙率が65%より高い場合、冠水時においてブロックが所定位置から動いてしまう傾向にある。
【0034】
このような盛土用発泡樹脂ブロック体20を構成する発泡樹脂板21および一体に成形される支柱部22は、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等の合成樹脂の発泡体が用いられて成形されるが、成形性、加工性、コスト面で発泡ポリスチレンが優位となる。
【0035】
そして、このような合成樹脂発泡体の密度は、盛土用発泡樹脂ブロック体20の空隙率や必要な圧縮強度により適宜設定すれば良く、30〜60kg/m3、好ましくは40〜50kg/m3であり、30kg/m3より小さいと、圧縮強度が不足し、60kg/m3を越えると、樹脂の使用量が増加し、重量の増大を招くとともに、コストも増大する。
【0036】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体20では、発泡樹脂板21に表裏を貫通する複数の貫通部23が一定配列で支柱部22と重ならない部分に設けてある。
【0037】
これら貫通部23は、例えば円形の貫通孔23aで構成され、支柱部22(22a、22b、22c)の中心同士を結ぶ線の交差点の16ヶ所に形成することで支柱部22と重ならないようにしてあり、支柱部22の中心に対しては千鳥状に配置されて一定の配列となっている。
【0038】
なお、この貫通部23の一定の配列は、盛土用発泡樹脂ブロック体20を左右・前後に並べた場合でも隣接する盛土用発泡樹脂ブロック体20同士を含めて一定の配列が維持できるようにしてある。
【0039】
これら貫通孔23aの大きさは、全貫通孔23aで上下方向の注排水が円滑にできる流路断面積が確保できれば良く、例えば上記寸法の盛土用発泡樹脂ブロック体(1m×1m×250mm)の場合、1つの貫通孔の直径を70mmとして16個を互いに等間隔に形成する。
【0040】
また、貫通孔23aの大きさは、ブロック体20の上に作業員が載っても足を取られ難いものとし、上記の直径70mmとすることで、この条件を満たすものとなる。
【0041】
さらに、この盛土用発泡樹脂ブロック体20では、発泡樹脂板21の支柱部22と反対側の表面に、貫通部23と連通する溝部24が形成され、溝部24の端が発泡樹脂板21の外側端部で開口するように形成してあり、例えば矩形断面の溝24aで構成される。
【0042】
これにより、同一形状の盛土用発泡合成樹脂ブロック体20を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用発泡合成樹脂ブロック20Aとし、これを上下に積み重ねたり、通常の中実のブロックBを上に積み重ねる場合の重ね合わせ面の水の流通性をこの溝部24によって確保する。
【0043】
この溝部24は、例えば発泡樹脂板21の外形線と平行な格子状に配置され、縦横それぞれ4本の溝部24が格子状に形成され、貫通部23上に溝部24の溝24aの底面が位置するように形成することで、貫通部23と溝部24が連通するようにしてある。
【0044】
この溝部24の大きさは、貫通部23を介して発泡樹脂板21の上面に来る水を側方に流したり、逆に発泡樹脂板21の側方からの水を上面を介して貫通部23に流すことができれば良く、例えば上記寸法の盛土用発泡樹脂ブロック体(1m×1m×250mm)の場合、貫通孔23の直径と同一の幅70mmとされ、深さは10mmとして形成してある。
【0045】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体20では、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体20を反転して下側に配置してその上にこの盛土用発泡樹脂ブロック体20を重ねることで一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)20Aとして使用する場合のずれを防止するため、図2に示すように、中央部の中央支柱部22aの先端に嵌合連結部25が設けられ、嵌合凸部25aと嵌合凹部25bとで構成される。
【0046】
この嵌合連結部25は、例えば図2に示すように、中央部の9個の中央支柱部22aのうち対角位置の4つの一方の2つに嵌合凸部25aを形成し、他の方の2つに嵌合凹部25bを形成することで、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体20を反転して下側に配置して重ねることで、嵌合凹凸部25a、25bを互いに嵌合連結して一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)20Aとすることができる。
【0047】
そして、これらの嵌合連結部25の形状としては、例えば円柱状の嵌合凸部25aと円筒状の嵌合凹部25bとしたり、さらに、円柱状の側面あるいは、円筒状の側面に中心軸方向と平行に縦の突条を1〜複数本形成して強固に連結できるようにしたり、円周方向に沿う横の突条を1〜複数本形成して強固に連結できるようにしても良い。
【0048】
このような嵌合連結部25の大きさは、互いに連結してずれを防止できば良く、例えば上記寸法の盛土用発泡樹脂ブロック体(1m×1m×250mm)の場合、嵌合凹凸部25a、25bの大きさを直径80mm、高さあるいは深さを10mmとしてある。また、突条を形成する場合には、幅を1〜3mm、高さを0.5〜1mmとすれば良く、高すぎると、連結する時に入れづらくなる。
【0049】
なお、嵌合連結部25の配置および個数は、上記の場合に限らず、盛土用発泡樹脂ブロック体を反転して互いを嵌合連結できる配置や個数であれば良い。
【0050】
さらに、2つの盛土用発泡樹脂ブロック体20を反転して連結した盛土用発泡樹脂ブロック20Aには、その4側面を囲むように不織布が取り付けられ、水の流入排出は行われるが、土砂などの浸入を防止できるようにしても良く、特に土砂と接する位置に敷設される盛土用発泡樹脂ブロック20Aに取り付けることが有効となる。
【0051】
このように構成した盛土用発泡樹脂ブロック体20を用いて、盛土を施工する場合には、2つの盛土用発泡樹脂ブロック体20を反転し、必要に応じて接着剤などを用いて各支柱部22および嵌合連結部25を連結した盛土用発泡樹脂ブロック20Aを用意するとともに、必要に応じて盛土用発泡樹脂ブロック20Aの4側面を囲むように不織布を取り付けたものを用意しておく。
【0052】
そして、盛土を構築する地盤を掘削する等で基礎工事を行った後、2つの盛土用発泡樹脂ブロック体20を連結した盛土用発泡樹脂ブロック20Aを前後左右に並べるように敷設する。なお、敷設構築には、通常のEPS軽量盛土工法に使用される爪付きの連結金具などを使用すれば良い。
【0053】
これら盛土用発泡樹脂ブロック20Aを、地下水の水位の上昇や、季節的な降雨や洪水などで冠水が予想される高さまで積み重ねるようにし、例えば図3に示すように、盛土用発泡樹脂ブロック20Aを1段(盛土用発泡樹脂ブロック体20の2段分)だけ敷設したのち、その上には、通常の中実の発泡樹脂ブロックBを盛土の形状に合わせて必要段数積み重ねるように構築する。
【0054】
この構築の際には、盛土用発泡樹脂ブロック体20の平面形状が左右対称としてあるので、左右前後に敷設する場合に方向性に注意する必要がなく、簡単に敷設作業を行うことができる。
【0055】
このような盛土用発泡樹脂ブロック体20によれば、発泡樹脂板21に一定の配列で突出させて設けた複数の支柱部22同士を突き合わせて盛土用発泡樹脂ブロック20Aとしたので、円錐台形の支柱部22によって荷重を均一に支持することができるとともに、小さい横断面積で大きな圧縮強度を確保することができる。
【0056】
これにより、圧縮強度を高めると同時に、空隙率を高めることができ、60〜65%の空隙率にすることが可能となる。
【0057】
また、浮力に対して発泡樹脂板21の一方側では、支柱部22の側方を水の注排水路とし、他方側では、発泡樹脂板21に一定配列で複数設けた貫通部23およびこれら貫通部23と連通させて形成した溝部24を水の注排水路とすることができ、急激な水位上昇や冠水に対しても円滑に水を注排水することができ、浮力を極力抑えることができるとともに、水位が低下した場合の水の排出も円滑に行われ、軽量性の回復も早期に行うことができる。
【0058】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体20によれば、支柱部22に設けた互いに嵌合連結可能な嵌合凸部25aと嵌合凹部25bとを反転組み合わせ可能に配置してあるので、1つの形状の盛土用発泡樹脂ブロック体20を2つ組み合わせて盛土用発泡樹脂ブロック20Aにでき、しかもずれを防止して安定性を向上することができるとともに、一層強固な盛土用発泡樹脂ブロック20Aにすることができる。
【0059】
さらに、支柱部22が発泡樹脂板21と一体の円錐台形としてあるので、形状がシンプルであり、成形が容易にできるとともに、成形に必要な金型も製作が容易で安価に製作することができる。
【0060】
次に、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態について、図4に基づき詳細に説明するが、すでに説明した上記実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0061】
図4は、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【0062】
この盛土用発泡樹脂ブロック体は、軟弱地盤などで盛土を行う場合に、土や土砂などに代えて使用される発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体からなる盛土用ブロック体であって、同一形状のブロック体を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用ブロックとして使用するもので、例えば縦横の大きさが1mとされる。
【0063】
この盛土用発泡樹脂ブロック体30では、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の発泡樹脂板21に形成した貫通孔23に連通する溝部24を取り除いたものであり、発泡樹脂板21の支柱部22と反対側の表面は平坦面とされ、貫通部23として貫通孔23が開口している。
【0064】
これにより、盛土用発泡樹脂ブロック体30の形状を簡素化し、成形性を高めるとともに、コスト低減を図るようにしている。
【0065】
なお、この盛土用発泡樹脂ブロック体30のこれ以外の他の構成は、盛土用発泡樹脂ブロック体20と同一である。
【0066】
このように構成した盛土用発泡樹脂ブロック体30を用いて、盛土を施工する場合には、2つの盛土用発泡樹脂ブロック体30を反転して連結した盛土用発泡樹脂ブロック30A(30Aについては、図3および図4に記載はないが、図3における20Aと読み替えたものに相当する、以下同じ)を用意するとともに、必要に応じて盛土用発泡樹脂ブロック30Aの4側面を囲むように不織布を取り付けたものを用意しておく。
【0067】
そして、盛土を構築する地盤を掘削する等で基礎工事を行った後、2つの盛土用発泡樹脂ブロック体30を連結した盛土用発泡樹脂ブロック30Aを前後左右に並べるように敷設する。
【0068】
これら盛土用発泡樹脂ブロック30Aを、地下水の水位の上昇や、季節的な降雨や洪水などで冠水が予想される高さまで積み重ねるようにし、例えば図3のように、盛土用発泡樹脂ブロック30Aを1段(盛土用発泡樹脂ブロック体30の2段分)だけ敷設したのち、その上には、通常の中実の発泡樹脂ブロックBを盛土の形状に合わせて必要段数積み重ねるようにし、通常のEPS軽量盛土工法に使用される爪付きの連結金具などを使用して盛土を構築する。
【0069】
この構築の際には、盛土用発泡樹脂ブロック体30も平面形状が左右対称としてあるので、左右前後に敷設する場合に方向性に注意する必要がなく、簡単に敷設作業を行うことができる。
【0070】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体30によっても、発泡樹脂板21に一定の配列で突出させて設けた複数の支柱部22同士を突き合わせて盛土用発泡樹脂ブロック30Aとするので、円錐台形の支柱部22によって荷重を均一に支持することができるとともに、小さい横断面積で大きな圧縮強度を確保することができる。
【0071】
これにより、圧縮強度を高めると同時に、空隙率を高めることができ、60〜65%の空隙率にすることが可能となり、万一、冠水する場合にも浮力を抑えることができる。
【0072】
また、浮力に対して発泡樹脂板21に突設した支柱部22の側方を水の注排水路とするとともに、発泡樹脂板21に一定配列で複数設けた貫通部23としての貫通孔23aを水の注排水路とすることができ、急激な水位上昇や冠水に対しても円滑に水を注排水することができ、浮力を極力抑えることができるとともに、水位が低下した場合の水の排出も円滑に行われ、軽量性の回復も早期に行うことができる。
【0073】
したがって、予想される地下水などの水位を、2つ組み合わせる上側の盛土用発泡樹脂ブロック体30の発泡樹脂板21の下方にしておけば、発泡樹脂板21の表面に溝がなくても横方向への排水性を大きく損ねることがなく、形状を単純化して成形を容易にでき、コスト低減を図ることもできる。
【0074】
さらに、この盛土用発泡樹脂ブロック体30でも、支柱部22に設けた互いに嵌合連結可能な嵌合凸部25aと嵌合凹部25bとを反転組み合わせ可能に配置してあるので、1つの形状の盛土用発泡樹脂ブロック体30を2つ組み合わせて盛土用発泡樹脂ブロック30Aにでき、しかもずれを防止して安定性を向上することができるとともに、一層強固な盛土用発泡樹脂ブロック30Aにすることができる。
【0075】
また、支柱部22が発泡樹脂板21と一体の円錐台形としてあるので、形状がシンプルであり、成形が容易にできるとともに、成形に必要な金型も製作が容易で安価に製作することができる。
【0076】
次に、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態について、図5に基づき詳細に説明するが、すでに説明した上記2つの実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0077】
図5は、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【0078】
この盛土用発泡樹脂ブロック体は、軟弱地盤などで盛土を行う場合に、土や土砂などに代えて使用される発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体からなる盛土用ブロック体であって、同一形状のブロック体を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用ブロックとして使用するもので、例えば縦横の大きさが1mとされる。
【0079】
この盛土用発泡樹脂ブロック体40では、発泡樹脂板41の厚さを厚くしてあり、例えばすでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20、30の発泡樹脂板21に比べて2倍程度としてある。
【0080】
これにより、この盛土用発泡樹脂ブロック体40の強度を高めるようにしている。
【0081】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体40では、支柱部の形状を円錐台形の支柱部22と角錐台形の支柱部42とを混在させ、それぞれの方向や中央部、側面部、隅部で一定の配列となるように配置してある。
【0082】
すなわち、隅部に4分の1の円錐台形の隅部支柱部22cをそれぞれ形成するとともに、各側面に隅部支柱部22cから円錐台形と角錐台形とが交互になるように、側面中央部に1つの半円錐台形の側面支柱部22bが、その両側に2つの半角錐台形の側面支柱部42bが形成され、中央部には、9個のうち対角位置の4つが角錐台形の中央支柱部42aとして形成され、中心を含む5個が円錐台形の中央支柱部22aとして形成してある。
【0083】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体40では、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体40を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)40A(40Aについては、図3および図5に記載はないが、図3における20Aと読み替えたものに相当する、以下同じ)として使用する場合のずれを防止するため、図5に示すように、中央部の中央支柱部42aの先端に嵌合連結部45が設けられ、嵌合凸部45aと嵌合凹部45bとで構成される。
【0084】
この嵌合連結部45は、例えば図5に示すように、中央部の4個の中央支柱部42aのうち一方の対角位置の2つに四角柱状の嵌合凸部45aを形成し、他の方の2つに四角筒状の嵌合凹部45bを形成することで、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体40を反転して下側に配置して重ねることで、嵌合凹凸部45a、45bを互いに嵌合連結して一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)40Aとすることができるようにしてある。
【0085】
そして、これらの嵌合連結部45の場合も同様に、嵌合凹突部45a,45bの側面に中心軸方向と平行に縦の突条を1〜複数本形成して強固に連結できるようにしたり、周囲に沿って横の突条を1〜複数本形成して強固に連結できるようにしても良い。
【0086】
なお、他の貫通部23および溝部24などの構成はすでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20と同一であるので説明は省略する。
【0087】
このように構成した盛土用発泡樹脂ブロック体40を用いて行う盛土の構築の工程は、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
この盛土用発泡樹脂ブロック体40によれば、発泡樹脂板41が厚くしてあるので、剛性や圧縮強度を一層高くすることができる。
【0089】
さらに、この盛土用発泡樹脂ブロック体40によっても、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様の作用効果を奏するが、その説明を省略する。
【0090】
次に、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態について、図6に基づき詳細に説明するが、すでに説明した上記各実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0091】
図6は、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【0092】
この盛土用発泡樹脂ブロック体は、軟弱地盤などで盛土を行う場合に、土や土砂などに代えて使用される発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体からなる盛土用ブロック体であって、同一形状のブロック体を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用ブロックとして使用するもので、例えば縦横の大きさが1mとされる。
【0093】
この盛土用発泡樹脂ブロック体50では、発泡樹脂板51の厚さを厚くしてあり、例えばすでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20、30の発泡樹脂板21に比べて2倍程度としてあり、盛土用発泡樹脂ブロック体40と同一の厚さとしてある。
【0094】
これにより、盛土用発泡樹脂ブロック体50の剛性や圧縮強度を一層高くするようにしている。
【0095】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体50では、支柱部の形状を円錐台形の支柱部22と角錐台形の支柱部42とを混在させるとともに、個数を減少し、それぞれの方向や、中央部、側面部、隅部で一定の配列となるように配置してある。
【0096】
すなわち、隅部に4分の1の円錐台形の隅部支柱部22cをそれぞれ形成するとともに、各側面の側面中央部に1つの半角錐台形の側面支柱部42bが形成され、中央部には、5個の角錐台形の中央支柱部42aが十字状に配置されて形成してある。
【0097】
したがって、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20,30,40に比べて支柱部22,42の個数が少なくなっており、その分だけ空隙率が大きくなり、冠水時などの浮力の低減を図ることができるようになっている。
【0098】
また、発泡樹脂板51を貫通して設けられる貫通部53は貫通部23としての貫通孔23aに比べて大きな円筒状の貫通孔53aで構成されて等間隔に正方形の頂点に4個形成してある。
【0099】
そして、この大きな貫通孔53aの直径と同一幅の溝部54としての溝54aが格子状に発泡樹脂板51の支柱部22、42と反対側に設けてあり、溝部54の端は発泡樹脂板51の側面に開口し、溝54aの底面が貫通孔53a上に位置して連通している。
【0100】
さらに、この盛土用発泡樹脂ブロック体50の嵌合連結部55は、図6に示すように、中央部の周囲に位置する4個の中央支柱部42aのうち一方の対角位置の2つに円柱状の嵌合凸部55aを形成し、他の方の2つに円筒状の嵌合凹部55bを形成してあり、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体50を反転して下側に配置して重ねることで、嵌合凹凸部55a、55bを互いに嵌合連結して一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)50Aとすることができるようにしてある。
【0101】
なお、これらの嵌合連結部55の場合も同様に、嵌合凹凸部55a,55bの側面に中心軸方向と平行に縦の突条を1〜複数本形成して強固に連結できるようにしたり、周囲に沿って横の突条を1〜複数本形成して強固に連結できるようにしても良い。
【0102】
このように構成した盛土用発泡樹脂ブロック体50を用いて行う盛土の構築の工程は、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0103】
この盛土用発泡樹脂ブロック体50によれば、発泡樹脂板51が厚くしてあるので、剛性や圧縮強度を一層高くすることができるとともに、支柱部22,42の個数が少ない分だけ空隙率が大きく、冠水時の浮力を一層抑制することができる。
【0104】
なお、この盛土用発泡樹脂ブロック体50によっても、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様の作用効果を奏するが、その説明は省略する。
【0105】
次に、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態について、図7に基づき詳細に説明するが、すでに説明した上記各実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0106】
図7は、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【0107】
この盛土用発泡樹脂ブロック体は、軟弱地盤などで盛土を行う場合に、土や土砂などに代えて使用される発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体からなる盛土用ブロック体であって、同一形状のブロック体を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用ブロックとして使用するもので、例えば縦横の大きさが1mとされる。
【0108】
この盛土用発泡樹脂ブロック体60では、平面形状が矩形、例えば正方形の発泡樹脂板61に一定の配列で複数突出させて一体に成形される支柱部62の断面形状および個数が異なるとともに、貫通部63の形状および個数が変えてある。
【0109】
支柱部62は、例えば中央部に16個の四角錐台形状の中央支柱部62aが一定の間隔をあけて設けられ、側面部に平断面が半分の側面支柱部62bがそれぞれ4個ずつ一定の間隔をあけて設けられ、四隅部に平断面が4分の一の隅部支柱部62cがそれぞれ1個ずつ設けられ、各支柱部62a,62b,62cの中心が正方形の外形線および正方形を5等分する線による格子の交差点に配置されて一定の配列となっている。
【0110】
なお、これら支柱部62の一定の配列も、盛土用発泡樹脂ブロック体60を左右・前後に並べた場合でも隣接する盛土用発泡樹脂ブロック体60同士を含めて一定の配列が維持できるようにしてある。
【0111】
この支柱部62の大きさは、発泡樹脂板61の正方形と発泡樹脂板61および支柱部62の高さ(総高さ)で作られる立体に対して、空隙率が60〜65%程度となるように、四角錐台形の基端部および先端部の大きさが定められる。
【0112】
このように支柱部62の個数を増大することで、盛土用発泡樹脂ブロック体60にかかる荷重を一層均一に分散させることができる。
【0113】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体60の発泡樹脂板61の表裏を貫通する複数の貫通部63が一定配列で支柱部62と重ならない部分に設けてあり、四角筒形の貫通孔63aで構成され、支柱部62(62a、62b、62c)の中心同士を結ぶ線の交差点の25ヶ所に形成することで支柱部62と重ならないようにしてあり、支柱部62の中心に対しては千鳥状に配置されて一定の配列となっている。
【0114】
なお、この貫通部63の一定の配列も、盛土用発泡樹脂ブロック体60を左右・前後に並べた場合でも隣接する盛土用発泡樹脂ブロック体60同士を含めて一定の配列が維持できるようにしてある。
【0115】
さらに、この盛土用発泡樹脂ブロック体60の発泡樹脂板61の支柱部62と反対側の表面に形成される貫通部63と連通する溝部64は、矩形断面の溝64aで構成され、溝64aの底面が貫通孔63a上に位置するとともに、溝64aの端が発泡樹脂板61の外側端部で開口している。
【0116】
そして、このような溝部64を発泡樹脂板61の外形線と平行な格子状に配置して縦横にそれぞれ5本格子状に形成してある。
【0117】
これにより、盛土用発泡合成樹脂ブロック体60の発泡樹脂板61上の水の流通性を一層高めることができる。
【0118】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体60でも、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体60を反転して下側に配置してその上にこの盛土用発泡樹脂ブロック体60を重ねることで一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)とする場合のずれを防止する嵌合連結部25が同様に設けられ、中央支柱部62aの対角位置の2つにそれぞれ円柱状の嵌合凸部25aと円筒状の嵌合凹部25bとして形成してある。
【0119】
このように構成した盛土用発泡樹脂ブロック体60を用いて行う盛土の構築の工程は、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0120】
この盛土用発泡樹脂ブロック体60によれば、支柱部62の個数を増大することで、盛土用発泡樹脂ブロック体60にかかる荷重を一層均一に分散させることができるとともに、貫通孔63aおよび溝64aにより、発泡樹脂板61上の水の流通性を一層高めることができる。
【0121】
なお、この盛土用発泡樹脂ブロック体60によっても、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様の作用効果を奏するが、その説明は省略する。
【0122】
次に、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態について、図8に基づき詳細に説明するが、すでに説明した上記各実施の形態と同一部分には、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0123】
図8は、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【0124】
この盛土用発泡樹脂ブロック体は、軟弱地盤などで盛土を行う場合に、土や土砂などに代えて使用される発泡ポリスチレンなどの合成樹脂発泡体からなる盛土用ブロック体であって、同一形状のブロック体を反転して下側に配置して重ねることで一つの盛土用ブロックとして使用するもので、例えば縦横の大きさが1mとされる。
【0125】
この盛土用発泡樹脂ブロック体70では、平面形状が矩形、例えば正方形の発泡樹脂板71の厚さが厚くしてあり、さらに一定の配列で複数突出させて一体に成形される支柱部72の断面形状および個数が異なるとともに、貫通部73の形状および個数が変えてある。
【0126】
支柱部72は、例えば中央部に4個の円錐台形状の中央支柱部72aが一定の間隔をあけて設けられ、側面部に平断面が半分の側面支柱部72bがそれぞれ2個ずつ一定の間隔をあけて設けられ、四隅部に平断面が4分の一の隅部支柱部72cがそれぞれ1個ずつ設けられ、各支柱部72a,72b,72cの中心が正方形の外形線および正方形を3等分する線による格子の交差点に配置されて一定の配列となっている。
【0127】
なお、これら支柱部72の一定の配列も、盛土用発泡樹脂ブロック体70を左右・前後に並べた場合でも隣接する盛土用発泡樹脂ブロック体70同士を含めて一定の配列が維持できるようにしてある。
【0128】
この支柱部72の大きさも、発泡樹脂板71の正方形と発泡樹脂板71および支柱部72の高さ(総高さ)で作られる立体に対して、空隙率が60〜65%程度となるように、円錐台形の基端大径部および先端小径部の大きさが定められる。
【0129】
このように発泡樹脂板71を厚くし、支柱部72の個数を減少することで、盛土用発泡樹脂ブロック体60の合成を高め、圧縮強度を増大することができる。
【0130】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体70の発泡樹脂板71の表裏を貫通する複数の貫通部73が一定配列で支柱部72と重ならない部分に設けてあり、四角筒形の貫通孔73aで構成され、支柱部72(72a、72b、72c)の中心同士を結ぶ線の交差点の9ヶ所に形成することで支柱部72と重ならず、支柱部72の中心に対しては千鳥状に配置されて一定の配列となっている。
【0131】
なお、この貫通部73の一定の配列も、盛土用発泡樹脂ブロック体70を左右・前後に並べた場合でも隣接する盛土用発泡樹脂ブロック体70同士を含めて一定の配列が維持できるようにしてある。
【0132】
さらに、この盛土用発泡樹脂ブロック体70の発泡樹脂板71の支柱部72と反対側の表面に形成される貫通部73と連通する溝部74は、矩形断面の溝74aで構成され、溝74aの底面が貫通孔73a上に位置するとともに、溝74aの端が発泡樹脂板71の外側端部で開口している。
【0133】
そして、このような溝部74を発泡樹脂板71の外形線と平行な格子状に配置して縦横にそれぞれ3本形成してある。
【0134】
また、この盛土用発泡樹脂ブロック体70でも、同一形状の盛土用発泡樹脂ブロック体70を反転して下側に配置してその上にこの盛土用発泡樹脂ブロック体70を重ねることで一つの盛土用発泡樹脂ブロック(盛土用ブロック)とする場合のずれを防止する嵌合連結部25が同様に設けられ、中央支柱部72aの対角位置の2つにそれぞれ円柱状の嵌合凸部25aと円筒状の嵌合凹部25bとして形成してある。
【0135】
このように構成した盛土用発泡樹脂ブロック体70を用いて行う盛土の構築の工程は、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0136】
この盛土用発泡樹脂ブロック体70によれば、発泡樹脂板71を厚くし、支柱部72の個数を減少することで、盛土用発泡樹脂ブロック体70の剛性を高め、圧縮強度を増大することができる。
【0137】
なお、この盛土用発泡樹脂ブロック体70によっても、すでに説明した盛土用発泡樹脂ブロック体20の場合と同様の作用効果を奏するが、その説明は省略する。
【0138】
以上、各実施の形態とともに、具体的に説明したように、この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体は、発泡樹脂板の形状や厚さ、支柱部の断面形状や個数、貫通部の形状や個数、溝部の本数や深さなどは、上記実施の形態で説明したものをそれぞれ単独で用いたり、組み合わせて用いることができるとともに、これらに限定するものでなく、他の形状や個数などとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
【図2】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図3】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、盛土用発泡樹脂ブロック体を用いて盛土を施工する場合の説明図である。
【図4】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図5】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図6】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図7】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図8】この発明の盛土用発泡樹脂ブロック体の他の一実施の形態にかかり、(a)は背面および左右側面と同一の正面図、(b)は平面図、(c)は底面図である。
【図9】従来の盛土材の底面図および断面図である。
【図10】従来の盛土用発泡樹脂ブロックの斜視図である。
【図11】従来の発泡樹脂成形体の上面斜視図および底面斜視図である。
【符号の説明】
【0140】
20,30,40,50,60,70 盛土用発泡樹脂ブロック体
21,41,51,61,71 発泡樹脂板
22,42,62,72 支柱部
22a,42a,62a,72a 中央支柱部
22b,42b,62b,72b 側面支柱部
22c,42c,62c,72c 隅部支柱部
23,53,63,73 貫通部
23a,53a,63a,73a 貫通孔
24,54,64,74 溝部
24a,54a,64a,74a 溝
25,45,55 嵌合連結部
25a,45a,55a 嵌合凸部
25b,45b,55b 嵌合凹部
20A、(30A,40A,50A) 盛土用発泡樹脂ブロック
B 中実の発泡樹脂ブロック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いを反転組み合わせて盛土用発泡樹脂ブロックを構成する発泡樹脂ブロック体であって、
発泡樹脂板に一定の配列で複数の支柱部を突出させて設け、この支柱部が設けられない前記発泡樹脂板部分に一定配列で複数の貫通部を設けてなることを特徴とする盛土用発泡樹脂ブロック体。
【請求項2】
前記発泡樹脂板の前記支柱部と反対側表面に、前記貫通部と連通する溝部を当該発泡樹脂板の外側端部で開口させて設けたことを特徴とする請求項1記載の盛土用発泡樹脂ブロック体。
【請求項3】
前記支柱部に、互いに嵌合連結可能な嵌合凸部と嵌合凹部とを、前記反転組み合わせ可能に配置して設けたことを特徴とする請求項1または2記載の盛土用発泡樹脂ブロック体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−183287(P2006−183287A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376454(P2004−376454)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】