説明

監視カメラ及び監視カメラシステム、並びに監視制御方法

【課題】 複数の監視カメラで監視システムを構成する場合に一部の機器の故障、破壊、通信状態の劣化などに対して高い信頼性を確保しかつ安価にシステムを実現する。
【解決手段】 監視カメラ100において、スレーブとしての機能を提供している各通信端末により収集される画像を含むデータに対して情報処理及び情報蓄積の少なくとも一方を行うマスタ処理部3と、撮像手段を含み前記撮像手段の撮影した画像を含むデータをサブネットにマスタとしての機能を提供している特定の通信端末に送信するスレーブ処理部2と、自端末が前記マスタ処理部を利用してマスタの機能を前記サブネット上の他の通信端末に提供するか、又は前記スレーブ処理部の機能を前記サブネット上にマスタとして接続された他の通信端末に提供するかを切り替える機能転換処理部1とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが撮像手段を備えた複数の通信端末が所定の通信回線を介して接続されるネットワークに前記通信端末の1つとして接続される監視カメラ及びそれを用いた監視カメラシステム、並びにその監視制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば防犯などの目的で監視カメラを用いて特定の場所の映像を撮影し、撮影された画像により監視を行おうとする場合、固定された1台の監視カメラを用いるだけでは監視可能な範囲が大きく制限される。従って、比較的広い範囲を監視するためには複数台の監視カメラを用いて監視カメラシステムを構成する必要がある。また、このようなシステムを構成する場合には、例えば集中的な監視制御を可能にするために、あるいは特定のハードウェアなどの資源を共有して構成を簡略化するために、無線LAN(Local Area Network)や有線LANのような通信ネットワークを介して複数の監視カメラを互いに接続するのが望ましい。
【0003】
通信が可能な複数の機器をネットワークに接続する従来技術としては、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1に開示された通信システムは、図17に示すように構成されている。
【0004】
この通信システムにおいては、サブネット201内にゲートウェイ203と、多数の非独立機器204(非独立#1〜#M)及び多数の独立機器205(独立#1〜#M)とが接続されている。ゲートウェイ203は、このサブネット201内の全ての非独立機器204及び独立機器205を管理するマスタとしての機能を備えている。また、非独立機器204及び独立機器205の各々は、マスタである固定されたゲートウェイ203との間で通信を行うための比較的単純な構成の通信インタフェースを備え、ゲートウェイ203からの指示に従うように、すなわちスレーブ機器として動作するように制御する。
【0005】
従って、例えば各スレーブ機器として監視カメラの端末を接続した場合を想定すると、全ての監視カメラで収集された画像や音声などの情報が、全て一旦、マスタ機器であるゲートウェイ203で集約された後、サブネット201の外部のネットワーク200に回線220を介して伝送される。
【0006】
この通信システムにおいては、マスタの役割を1つの機器(ゲートウェイ203)のみに固定しているため、その他の機器がマスタとしての役割を負う必要がない。つまり、各スレーブ機器はマスタ機器のようなインテリジェンス性を要求されないため、スレーブ機器は高価で複雑な機能を実現するための特別なハードウェア及びソフトウェアを搭載する必要がない。
【0007】
一方、公知のブルートゥース規格の通信システムを構成する場合には、ネットワーク(ピコネット)に接続される全ての機器のそれぞれがマスタとしての機能及びスレーブとしての機能を備える必要があるため、全ての機器が高価で複雑なハードウェア及びソフトウェアを搭載せざるを得ない。
【0008】
監視カメラシステムを構成するために、複数の監視カメラを特許文献1に示されたような通信システムを用いて接続する場合を想定すると、マスタの機能が予めマスタとして割り当てられた1つの機器のみに集中しているので、次に示すような不具合が生じる。
【0009】
マスタ機器1台に故障が発生すると、他の全ての機器の動作が正常であっても、各カメラで収集した情報をサブネット外に伝送することはできなくなり、監視システム全体の機能が停止することになる。
【0010】
また、故障まで至らなくとも、マスタ機器周辺のネットワークの通信品質が悪化したような場合には、同様に各カメラで収集した情報をサブネット外に伝送することはできなくなり、監視システム全体の機能が停止することになる。
【0011】
一般に、監視カメラシステムにおいては監視カメラで不審者を確実に捕らえるなどの撮影の信頼性が要求される。しかし、マスタを1つの機器に固定した場合には、他のスレーブ機器が全て完全に動作していたとしても、マスタ機器1台の不具合によって、サブネット内のカメラによる監視が外部から全くできなくなる可能性があり、監視カメラシステムとしての信頼性に乏しく危険性もある。
【0012】
特に、悪意をもった者が故意にマスタ機器を破壊したり、マスタ機器周辺のネットワークを切断するなどの意図的な行為を行った場合には、ネットワークを介して通信できなくなるため、監視システム全体が機能しなくなり大きなリスクが生じる。つまり、サブネット内の情報伝達のリスクを1つのマスタ機器のみが担うこととなる。
【0013】
一方、ブルートゥース規格に従って通信システムを構成する場合には、ネットワークに接続される全ての機器がマスタとしての機能を有することになるので、マスタとして動作していた1つの機器が破壊されたり故障しても他の機器が代わりにマスタの機能を果たすことになり、システム全体の機能が停止するような不具合は生じにくい。しかしながら、このような通信システムを構成する場合には、ネットワークに接続される全ての機器に、マスタとしての機能を実現するための高度なハードウェア及びソフトウェアを搭載する必要があり、各機器のコストが大幅に増大するのは避けられない。
【0014】
比較的広い範囲を監視するために規模の大きい監視カメラシステムを構成する場合には、多数の監視カメラをネットワークを介して接続しなければならないが、監視カメラ1台あたりの装置コストが高いと、システム全体のコストが監視カメラの接続台数に比例して増大することになるので、システム全体のコストを下げるために監視カメラの接続台数を減らさざるを得ず、システム全体の監視能力を上げることは困難になる。
【0015】
【特許文献1】特表2003−519943号公報(段落0026〜0028)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複数の監視カメラをネットワークを経由して接続し監視システムを構成する場合に、一部の機器の故障、破壊、通信状態の劣化などに対して高い信頼性を確保することが可能な監視カメラ及び監視カメラシステム、並びに監視制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の監視カメラは、ネットワーク上で互いに接続されるべき監視カメラにおいて、
映像信号を出力する撮影部を有するとともに、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備えたものである。
【0018】
これにより、監視カメラを用いて監視システムを構成する場合には、実際にマスタの機能を提供する監視カメラを複数の監視カメラの中から必要に応じて選択することができるので、例えばマスタの機能を提供している監視カメラに故障が発生したり、破壊されたり、通信状態が劣化したような場合には、他の監視カメラが代わりにマスタの機能を提供するように切り替えることができる。従って、システム全体として高い信頼性を確保することができる。
【0019】
また、本発明の監視カメラは、前記他の監視カメラに対して、前記ネットワークを介して通信を行い、前記他の監視カメラのマスタ処理部の動作を診断するマスタ診断部を備えたものである。
【0020】
これにより、ネットワークに接続された複数の監視カメラの間で通信を行い、スレーブの機能を提供している監視カメラがマスタの機能を提供している他の監視カメラの応答を確認することにより、その動作状態を診断することができる。
【0021】
また、本発明の監視カメラは、前記マスタ処理部および前記機能転換部の少なくとも一方に、監視カメラ本体に着脱自在に支持するコネクタを設けたものである。
【0022】
これにより、監視カメラを用いて監視システムを構成する場合には、各監視カメラに前記マスタ処理部及び機能転換処理部に相当するモジュールを必要に応じて後で追加することもできる。従って、例えば多数の監視カメラを接続した大規模な監視システムを構成する場合であっても、マスタ処理部及び機能転換処理部を備えた比較的高価な監視カメラは最小限1つあればシステム全体を管理することができ、システムの初期投資コストを最小限に抑えることができる。
【0023】
本発明の監視カメラシステムは、ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部と、前記他の監視カメラに対して前記ネットワークを介して通信を行い、前記他の監視カメラのマスタ処理部の動作を診断するマスタ診断部とを備え、スレーブ動作している前記監視カメラのマスタ診断部は、マスタ動作している前記監視カメラのマスタ処理部の動作を異常と診断した場合、スレーブ動作している監視カメラの機能転換部がマスタ動作に切り替える指示を与えるものである。
【0024】
これにより、ネットワークにマスタとしての機能を提供している監視カメラに不具合や通信異常が発生したような場合に、この異常をスレーブ動作している監視カメラが検出し、スレーブ動作している監視カメラがマスタ動作している監視カメラの代わりにマスタとしての機能を提供するように切り替えることができる。このため、異常が発生した場合でも、ネットワーク内の監視カメラ群の監視を継続できる。
【0025】
本発明の監視カメラシステムは、ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラおよびスレーブ動作に固定された監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、2台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、前記マスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、前記スレーブ動作に固定された監視カメラは、マスタ動作をしている前記監視カメラに対して前記ネットワークを介して通信を行い、マスタ動作をしている前記監視カメラのマスタ処理部の動作を診断するマスタ診断部を備え、前記マスタ診断部は、マスタ動作している前記監視カメラのマスタ処理部の動作を異常と診断した場合、スレーブ動作している監視カメラの機能転換部がマスタ動作に切り替える指示を与えるものである。
【0026】
これにより、マスタ動作をしている監視カメラの異常を検出した監視カメラがマスタ機能を搭載しない固定スレーブの監視カメラの場合であっても、前記マスタ処理部及び機能転換部を搭載している他のスレーブ動作をしている監視カメラに指示を与えることにより、マスタ動作する監視カメラを切り替えることができる。
【0027】
本発明の監視カメラシステムは、ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、前記2台の監視カメラのいずれかに、前記ネットワークに接続された監視カメラ毎に、応答の有無、応答遅延、エラーレート、ジッタ、SN比およびエラー再送率の少なくとも1つを検出することにより、前記ネットワークの通信状態を把握するネットワーク状態計測手段を備え、前記ネットワーク状態計測手段の計測結果に基づいて、前記監視カメラの中からマスタ動作をする監視カメラを決定するものである。
【0028】
これにより、各監視カメラの周囲のネットワークの状態を測定し、その結果を利用することにより、帯域不足や雑音重畳などで劣る特定の監視カメラにはマスタ機能を任せないような制御を行うことができる。このため、ネットワーク品質に基づく全体の最適化を事前に図ることができ、監視画像の遅延や処理、伝送の破綻を防止することができる。
【0029】
本発明の監視カメラシステムは、ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、前記2台の監視カメラのいずれかに、前記ネットワークに接続された監視カメラ毎に、処理の負荷を計測する負荷計測手段を備え、前記負荷計測手段の計測結果に基づいて、前記監視カメラの中からマスタ動作をする監視カメラを決定するものである。
【0030】
これにより、監視カメラ毎に負荷率を把握して、その結果を反映してマスタ動作をする監視カメラを決定することができる。例えば、不審者の撮影や追尾、画像の蓄積や伝送などの作業が発生し、機器の処理負荷が重くなっている監視カメラに対してはマスタ機能を任せないような制御を行うことにより、処理の全体最適化を図ることができ、監視画像の遅延や処理、伝送の破綻を防止することができる。
【0031】
本発明の監視カメラシステムは、ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、前記2台の監視カメラのいずれかに、前記ネットワークに接続された監視カメラ毎に、撮影された画像から検出される目標物の位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置検出手段の検出した複数の位置情報および撮影部の設置上のレイアウトに基づいて、前記監視カメラの中からマスタ動作をする監視カメラを決定するものである。
【0032】
これにより、不審者などの目標物の位置及び各監視カメラの位置を把握して、その結果を反映してマスタ動作をする監視カメラを決定することができる。例えば、不審者の追尾や認識により機器の処理負荷が重くなる、もしくは重くなりそうな監視カメラ、あるいは破壊される可能性の高い監視カメラにはできるマスタ機能を任せないような制御を行うことにより、全体最適化を事前に図り、監視画像の遅延や処理、伝送の破綻を防止することができる。
【0033】
本発明の監視カメラシステムの制御方法は、ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムの制御方法において、前記2台の監視カメラは、映像信号を出力し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理ステップと、前記スレーブ処理ステップにより得られた情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理ステップと、前記マスタ処理および前記スレーブ処理を切り替える機能転換ステップと、前記他の監視カメラに対して前記ネットワークを介して通信を行い、前記他の監視カメラのマスタ処理の動作を診断するマスタ診断ステップとを有し、マスタ動作している前記監視カメラのマスタ処理の動作を異常と診断した場合、スレーブ動作している監視カメラをマスタ動作に切り替えるものである。
【0034】
これにより、監視カメラを用いて監視システムを構成する場合には、実際にマスタの機能を提供する監視カメラを複数の監視カメラの中から必要に応じて選択することができるので、例えばマスタの機能を提供している監視カメラに故障が発生したり、破壊されたり、通信状態が劣化したような場合には、他の監視カメラが代わりにマスタの機能を提供するように切り替えることができる。従って、システム全体として高い信頼性を確保することができる。
【0035】
また、本発明は、コンピュータに、上記いずれかの監視カメラの各処理を実現させるためのプログラムを提供する。
【0036】
また、本発明は、コンピュータに、上記いずれかの監視カメラシステムの各処理を実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数の監視カメラをネットワークを経由して接続し監視システムを構成する場合に、一部の機器の故障、破壊、通信状態の劣化などに対して高い信頼性を確保することが可能な監視カメラ及び監視カメラシステム、並びに監視制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図である。図2は第1の実施形態の監視カメラシステムの構成例を示すブロック図である。図3は第1の実施形態における複数の監視カメラ間での通信を開始するために必要な通信手順を示す模式図である。図4及び図5は第1の実施形態における監視カメラシステムの利用環境の具体例を示すブロック図である。図6は第1の実施形態における監視カメラシステム内で複数の監視カメラがマスタとスレーブとを転換する場合に必要な通信手順を示す模式図である。
【0039】
第1の実施形態の監視カメラシステムは、図2に示すように複数の監視カメラ100A,100B,100C,100D,100E,・・・を有して構成されている。これらの複数の監視カメラ100は、無線通信回線を介して互いに接続され無線ネットワークを形成している。この無線ネットワークは、システム内部の通信に利用されるサブネット(すなわちローカルネットワーク)である。
【0040】
複数の監視カメラ100を集中的に管理するために、この監視カメラシステムには1台のマスタカメラが必要になる。図2に示す例では、監視カメラ100Aがマスタカメラとして接続されている状況を想定しており、他の監視カメラ100B,100C,100D,100E,・・・はスレーブカメラとして接続されている。
【0041】
この監視カメラシステムにおいては、マスタカメラ及びスレーブカメラの機能は固定されておらず、必要に応じて特定の監視カメラ100がスレーブカメラからマスタカメラに、又はマスタカメラからスレーブカメラに転換することができる。但し、各時点で1つのサブネットに対してマスタカメラの機能を提供している監視カメラ100は1台だけであり、他の監視カメラ100はスレーブカメラの機能を提供する。
【0042】
マスタカメラとして動作している監視カメラは、同じサブネットに接続された全てのスレーブカメラを管理したり、各スレーブカメラで収集された情報を処理したり、外部のネットワークとの間で通信を行うことができる。
【0043】
図2に示す例では、マスタカメラである監視カメラ100Aはアクセスポイント200との間でも通信を行うことができる。すなわち、アクセスポイント200を利用することにより、マスタカメラはアクセスポイント200及び広域ネットワーク201を経由して外部ネットワーク装置(例えばサーバ)202と接続することができる。
【0044】
図2の監視カメラシステムに接続する各監視カメラ100については、スレーブカメラの機能だけを備えたスレーブ専用カメラを接続することもできるが、接続する監視カメラ100の少なくとも1つ、好ましくは2台以上については、マスタカメラ及びスレーブカメラの機能を備えてマスタとスレーブとの機能を転換できる特別なカメラである必要がある。
【0045】
この特別なカメラの構成及び動作について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、この監視カメラ100は、機能転換部1、スレーブカメラ機能部2、マスタカメラ機能部3、マスタ診断部4、カメラ群情報格納メモリ23、インタフェース部24及びアンテナ25を備えている。
【0046】
また、スレーブカメラ機能部2は、撮像ユニット11、マイク12、スピーカ13、画像信号処理部14、音声信号処理部15、符号化部16、復号化部17及びスレーブカメラコントローラ18を内蔵しており、マスタカメラ機能部3は、認識部20、情報サーバ21及びマスタカメラコントローラ22を内蔵している。また、認識部20は、画像認識処理部20a及び音声認識処理部20bを備え、情報サーバ21は、ハードディスク21a及びメモリ21bを備えている。
【0047】
スレーブカメラ機能部2は、撮影や集音など監視情報の収集と情報の送受信のためのセンサ機能に特化した機能要素を組み合わせた電気回路のモジュールである。
【0048】
スレーブカメラ機能部2に設けられた撮像ユニット11は、例えば2次元CCDイメージセンサやレンズなどを組み合わせたユニットであり、監視対象の領域の映像を連続的にあるいは周期的に撮影する。撮像ユニット11が撮影した各画像の映像信号は、画像信号処理部14でアナログ/ディジタル変換された後、符号化部16に入力されて符号化される。
【0049】
音声信号処理部15は、マイク12を用いて収集した監視領域周辺の音声(音響)の信号をアナログ/ディジタル変換して符号化部16に出力すると共に、復号化部17から入力される音声データをディジタル/アナログ変換してスピーカ13に出力する。
【0050】
スレーブカメラコントローラ18は、インタフェース部24が接続されたサブネットが使用している通信方式のプロトコルに従って、他の監視カメラ100との間の通信に関する制御を行い、サブネットを介して他の監視カメラ100との間で情報を交換したり、符号化部16から送出されるAV多重データ(音声及び画像を多重化したデータ)を他の監視カメラ100に送信したり、他の監視カメラ100から入力される音声符号化データを受信して復号化部17に出力する。
【0051】
なお、スレーブカメラコントローラ18については、電子回路やリレー回路などを用いて構成すればよく、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータを用いればよい。
【0052】
サブネットが使用する通信の方式については、有線方式でも無線方式でも良いが、ネットワーク接続の柔軟性や設置工事の平易さから、無線ネットワークであるのが好ましい。無線ネットワークとしては、無線LAN、Bluetoothなどのローカルエリアの無線規格や、PDC、PHS(登録商標)、W−CDMAなどの公衆無線回線規格によるものが使用可能である。無線LAN規格としてはIEEE802.11aやIEEE802.11b, IEEE802.11gなど標準化された規格や独自規格が使用可能である。また最近ではビル内や集合住宅内にLAN配線が敷設されている所謂「LAN対応」のオフィスビルや集合住宅も増加していることから、有線LANによる接続も可能である。インタフェース部24については、前記サブネットが利用する通信方式に合致した接続形態にて、他機器との信号伝送ができるものであればよい。アンテナ25はインタフェース部24が無線通信を行う場合に使用される。
【0053】
一方、マスタカメラ機能部3は、マスタカメラとしての機能を実現するために構成された電気回路のモジュールである。マスタカメラ機能部3に設けられたマスタカメラコントローラ22は次のような制御を行う。すなわち、インタフェース部24が接続されたサブネットが使用する通信方式のプロトコルに基づいて、サブネット内のスレーブカメラやアクセスポイント、あるいは他のサブネットに属するマスタカメラとの間の通信に関する制御を行う。そして、マスタカメラコントローラ22はスレーブカメラから送られるAVデータなどの情報をとりまとめて、必要に応じて、認識部20で情報の解析を行ったり、情報サーバ21に情報の蓄積を行い、インタフェース部24を介して、外部ネットワーク装置202にサブネットのカメラからの情報を伝送する。無線方式の場合、ホッピングする周波数やタイミングもマスタカメラコントローラ22が決定する。
【0054】
なお、マスタカメラコントローラ22としては、電子回路、リレー回路などを用いればよく、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いればよい。
【0055】
マスタカメラ機能部3の認識部20に設けられた画像認識処理部20aは各監視カメラの撮影により得られた画像情報の認識処理を行う。また、音声認識処理部20bは各監視カメラで収集された音声情報に関する音声認識処理を行う。
【0056】
認識部20についても、電子回路、リレー回路などが用いて構成することができ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路を用いるのが好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0057】
情報サーバ21については、各監視カメラが収集した大量の情報を蓄積するための装置であり、図1に示すようにハードディスク21a、メモリ21bを組み合わせて構成しても良いし、メモリだけで構成しても良い。メモリとしては、書き換え可能な記録読み出し媒体を用いる必要がある。
【0058】
書き換え可能な記録読み出し媒体としては、例えば半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブなどが使用可能である。特に、ハードディスクドライブは容量が大きく多くの情報を蓄積できることから好ましい。また、高速に読み出しが可能で小型であることから半導体メモリが好ましい。またメモリとしてカード型やリムーバブルメディアのようなデバイスを利用し、これを監視カメラ100に対して着脱可能に構成してもよい。
【0059】
図1に示す例では、スレーブカメラ機能部2とマスタカメラ機能部3とをそれぞれ独立したモジュールとして構成してあるが、これらを一体に構成しても良い。また、マスタカメラ機能部3のモジュールを所定のコネクタなどを介して着脱可能に構成しておけば、マスタカメラ機能部3の搭載を省略し、これを後で追加することも可能になる。マスタカメラ機能部3の搭載を省略した場合には、スレーブカメラ専用の監視カメラ100を低コストで実現できる。これにより、監視カメラの接続台数が多い場合に、監視システム全体の初期投資コストを下げることが可能になる。
【0060】
カメラ群情報格納メモリ23は、自端末(1つの監視カメラ100)及びサブネット内に接続された他の監視カメラ100のそれぞれについて、次のような情報を各監視カメラに関連付けて保持し管理するために利用される。
【0061】
(1)各監視カメラに割り当てられたアドレス
(2)各監視カメラのデバイスの種類などを表す属性情報
(3)各監視カメラの個体識別情報
(4)各監視カメラのステイタス情報(現在の状態を表す情報)
(5)各監視カメラの保有している機能を表す情報
(6)各監視カメラの設置位置を表す情報
【0062】
個体識別情報については、例えばIPアドレスやカメラ個体番号など、各カメラが各々識別可能なID情報であり、PIN(Personal Identification Number)コードを用いるのが望ましい。ステイタス情報については、各カメラが現在マスタカメラとして動作しているか、スレーブカメラとして動作しているかを表すマスタ/スレーブ情報を含む。また、保有機能の情報としては、各カメラがマスタ機能を有しているか、スレーブ機能のみを有しているかという識別情報を含む。
【0063】
カメラ群情報格納メモリ23はメモリにより構成される。メモリとしては、書き換え可能な記録読み出し媒体が用いられる。書き換え可能な記録読み出し媒体としては、例えば半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブなどが使用可能である。特に、高速に読み出しが可能で小型であることから半導体メモリが好ましい。またメモリは、カード型やリムーバブルメディアのように監視カメラ100から着脱可能に構成されていてもよい。
【0064】
マスタ診断部4は、カメラ群情報格納メモリ23に保持されている情報に基づいて、サブネット内で現在のマスタとして機能しているマスタカメラ(1つの監視カメラ100)を特定し、マスタカメラのIDを持つ監視カメラ100に対して状態確認信号を送信し、マスタカメラの応答を調べてマスタカメラの状態を検査する。そしてこの検査の結果に問題があった場合には機能転換部1に対して切り替え指示を出す。
【0065】
マスタ診断部4としては、演算装置が用いられる。演算装置としては、電子回路、リレー回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、コンパレータなどのアナログ部品による比較器、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0066】
機能転換部1は、自局の端末もしくは他の監視カメラ100上に設けられたマスタ診断部4が出力する指示に従って、自端末(監視カメラ100)がサブネットに接続されたシステム上でスレーブカメラとして機能するかマスタカメラとして機能するかの切り替え動作を行う。なお、機能転換部1としては電子回路による切り替え回路、リレー回路、機械的リレー回路やスイッチ回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路による構成が好ましい。電子回路としては、電子式スイッチや切り替え器のほか、論理回路による切り替え回路や、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0067】
マスタ診断部4は、サブネットに接続され現在マスタカメラとして機能している特定の監視カメラ100の状態をその端末からの応答に基づいて診断し、応答がない場合のようにマスタカメラに異常があることを検出した場合には、現在のマスタカメラ以外の他の監視カメラ100の中で、マスタカメラ機能部3を備えている1つの監視カメラ(現在はスレーブカメラとして機能している)100を選択し、この監視カメラ100内の機能転換部1に対して、このスレーブカメラが新たにマスタカメラとしての機能をサブネットに提供するように指示を与える。
【0068】
図2に示す監視カメラシステムにおいては、このシステムに含まれる各監視カメラ100が取得した画像や音声などの情報は、現在マスタカメラとしての機能を提供している特定の監視カメラ100にサブネットを介して送信される。
【0069】
マスタカメラは、この例では次に示すようなインテリジェンス性を有する機能を備えている。
(1)サブネット内に接続された各スレーブカメラを管理し、ネットワークのトラフィックや状態を管理する。
(2)各スレーブカメラから送られた情報を必要に応じて蓄積する。
(3)各スレーブカメラから送られた情報に対して画像処理や音声認識の処理を行う。
(4)各スレーブカメラから収集した情報もしくはそれを処理した後に得られる情報を広域ネットワーク201を介してサブネット外の外部ネットワーク装置202に伝送する。
【0070】
マスタカメラはサブネット内のスレーブカメラを管理する役目であり、スレーブカメラはマスタカメラに管理される役目であるといえる。マスタカメラについては、図1に示す監視カメラ100のようにスレーブカメラが持つセンサ機能(スレーブカメラ機能部2)を併せ持っていてもよい。スレーブカメラはセンサ機能に特化することができるため、マスタカメラに比べて、安価に構成することが可能である。マスタカメラはサブネット外との情報送受信のため、アクセスポイント200を使用するよう構成してもよい。
【0071】
次に、図2に示した本実施形態の監視カメラシステムの動作について図3〜図6を参照しながら説明する。なお、図3〜図6において、各監視カメラ100は図1と同様の機能を有しているものとみなして説明するが、一部のスレーブカメラについてはマスタカメラ機能部3、機能転換部1及びマスタ診断部4を省略することもできる。
【0072】
[サブネット内でのカメラ通信開始手順]
各監視カメラ100がサブネット内で通信する場合には、最初に図3に示すような通信手順に従って動作を行い、マスタカメラとの間でコネクションを確立する必要がある。この例では、サブネット内で監視カメラ100Aがマスタカメラとして、他の監視カメラ100B,100C,100Dとの間でコネクションを確立させる場合を想定している。
【0073】
(a)マスタ機能(マスタカメラ機能部3)を有する監視カメラ100の中で一番最初に通信を開始するカメラがマスタカメラとなる。図3の例では、監視カメラ100Aがマスタカメラとなり、監視カメラ100A内のマスタカメラコントローラ22が周囲にある他の監視カメラ100B,100C,100Dに対して問い合わせのメッセージを送信する。
【0074】
(b)スレーブカメラとなる監視カメラ100B,100C,100Dにおいては、マスタカメラからの問い合わせに応じて、自端末のアドレスやデバイスの種類などの属性情報を自端末内のカメラ群情報格納メモリ23から読み出し、読み出した情報をそれぞれのスレーブカメラコントローラ18の制御によりマスタカメラである監視カメラ100Aに返信する。
【0075】
(c)マスタカメラである監視カメラ100Aは、スレーブカメラである特定の監視カメラ100Bを呼び出す。具体的には、監視カメラ100A内のマスタカメラコントローラ22が監視カメラ100Bのアドレスを送信し、応答を要求する。
【0076】
(d)マスタカメラから呼び出しを受けた監視カメラ100B内のスレーブカメラコントローラ18は、マスタカメラから自端末のアドレスを受け取ったことを表す応答をマスタカメラである監視カメラ100Aに返送する。
【0077】
(e)マスタカメラである監視カメラ100Aは、スレーブカメラである監視カメラ100Bに対して、通信チャネルや通信開始時刻を送信する。これに対してスレーブカメラである監視カメラ100B内のスレーブカメラコントローラ18が応答することで、マスタカメラである監視カメラ100Aとスレーブカメラである監視カメラ100Bとの間のコネクションが確立する。この通信においては、PIN(Personal Identification Number)コードを使用して、マスタカメラである監視カメラ100Aとスレーブカメラである監視カメラ100Bとが相互を認証する。同様の手順を用いて、マスタカメラである監視カメラ100Aは、スレーブカメラである他の監視カメラ100C,100Dとの間でも相互認証を行う。
【0078】
(f)以上の処理によりコネクションが確立したら、マスタカメラである監視カメラ100Aのホッピング手順などの情報(デバイスアドレスとクロック)を、各スレーブカメラのカメラ群情報格納メモリ23にバックアップ格納しておく。
【0079】
[マスタ診断部4の動作]
次にマスタ診断部4について説明する。ここでは、上記の手順に従ってマスタカメラである監視カメラ100Aとスレーブカメラである監視カメラ100B〜100Dとの間でコネクションが確立され、更にもう1つのスレーブカメラ100Eとの間でもコネクションが確立されている場合を想定している。また、スレーブカメラとして機能している監視カメラ100Eは、マスタカメラ機能部3、マスタ診断部4及び機能転換部1も備えている。
【0080】
(a)スレーブカメラとして機能している監視カメラ100E内のマスタ診断部4は、所定の通信プロトコルに基づき、マスタカメラである監視カメラ100Aのアドレスに状態確認要求信号を送出する。
【0081】
(b)マスタカメラである監視カメラ100A内のマスタカメラコントローラ22は、自端末のアドレス宛の状態確認要求信号を受信したとき、送出元アドレスの監視カメラに対して所定のプロトコルに基づき応答を返信する。
【0082】
(c)スレーブカメラとして機能している監視カメラ100E内のマスタ診断部4は、マスタカメラである監視カメラ100A内のマスタカメラコントローラ22から発信された応答を受信すると次のように動作する。すなわち、マスタ診断部4は所定のプロトコルに基づく応答受信の有無や受信応答内容により、マスタカメラである監視カメラ100Aもしくはマスタカメラ周辺のネットワークに異常があるか否かを判断する。マスタ診断部4が利用する通信プロトコルとして、ICMP(Internet Control Message Protocol)を用いる場合には次のような動作を行うことになる。同プロトコルの「Ping」コマンドを用い、マスタ診断部4が、「ICMP Echo」パケットを指定したアドレスのマスタカメラに送り、マスタカメラのマスタカメラコントローラ22が「Echo Reply」パケットを返信し、マスタ診断部4は「Echo Reply」パケットを受信する。マスタ診断部4は、「Echo Reply」パケットが戻ってくるかどうか、またはその応答時間が規定した時間を超過していないかによって、マスタカメラやその周辺のネットワークの機能性能、異常、不具合を判断する。勿論、通信プロトコルとしてはICMP以外のプロトコルも採用できる。
【0083】
[機能転換部1の動作:現在のマスタカメラが動作不可能と判断された場合]
上記手順により、マスタ診断部4が現在のサブネットのマスタカメラである監視カメラ100Aもしくはその周辺のネットワークにおいて異常、不具合を検知した場合、つまりマスタカメラからの応答が全く返ってこなかった場合、もしくはデータ化けなどの場合で、マスタカメラが動作不可能な状態と判断された場合には、マスタカメラ機能部3を搭載しているスレーブカメラである監視カメラ100E内のマスタ診断部4は、自端末が現在のマスタカメラである監視カメラ100Aに代わってこのサブネットの専用マスタカメラとなるように自端末内の機能転換部1に対して指示を出す。
【0084】
この場合、マスタ診断部4からの指示を受けた監視カメラ100E内の機能転換部1は、自端末内のマスタカメラ機能部3を起動する。これにより、監視カメラ100Eがスレーブカメラから新たなマスタカメラに転換する。そして、前述の[サブネット内でのカメラ通信開始手順]と同様の手順を再び実行し、新たにマスタカメラに転換した監視カメラ100Eと他のスレーブカメラとの間でコネクションの確立を最初からやり直す。従って、監視カメラ100Aはマスタカメラからスレーブカメラに転換する。
【0085】
実際の動作環境における監視カメラシステムの動作例について説明する。図4に示す例では、マスタカメラとして機能している監視カメラ100Aが侵入者によって破壊された場合を想定している。
【0086】
この例では、破壊される前の監視カメラ100Aは、サブネット上のマスタカメラとしてスレーブカメラである他の監視カメラ100B,100C,100D,100Eを管理していたが、悪意を持った者の破壊工作あるいは故障によって、マスタカメラとしての機能は失われる。
【0087】
マスタカメラはシステム全体の監視カメラを管理すると共に、外部のネットワークとの中継機能を備えているので、遠隔地の外部ネットワーク装置202からこの監視カメラシステムをモニタしようとしても、マスタカメラが機能しない状態では全ての監視カメラ100の情報を全く監視できない状態になってしまう。
【0088】
しかし、第1の実施形態の監視カメラシステムにおいては、前述のようにマスタカメラ以外の監視カメラ100に搭載されたマスタ診断部4がマスタカメラである監視カメラ100Aの異常を検出し、機能転換部1の動作によってマスタカメラとスレーブカメラとの転換が自動的に実施される。すなわち、図4に示すようにマスタカメラである監視カメラ100Aが破壊された場合には、図5に示すようにそれまでスレーブカメラであった他の監視カメラ100Eが新たなマスタカメラに切り替わる。従って、以前のマスタカメラが動作不可能になっても、システム全体の機能は維持することができ、監視を継続することができる。
【0089】
[機能転換部1の動作:現在のマスタカメラの性能が低下していると判断された場合]
上記の手順により、マスタ診断部4が現在のサブネットのマスタカメラもしくはその周辺のネットワークにおいて、マスタカメラは動作しており応答は正常に確認できるものの、エラー発生による再送が多かったり、応答遅延が大きく、現在のマスタカメラにマスタとしての機能を任せるのは適当でないと判断される場合には、現在はスレーブカメラであるがマスタ機能も有している監視カメラ100E内のマスタ診断部4は、自端末(監視カメラ100E)のスレーブ機能とマスタカメラである監視カメラ100Aのマスタ機能とを転換させるように機能転換部1に対して指示を出す。この場合、図6に示すようなマスタ/スレーブ転換手順が実行される。このマスタ/スレーブ転換手順について以下に説明する。
【0090】
(a)マスタ機能を有しているスレーブカメラである監視カメラ100E内のスレーブカメラコントローラ18は、マスタ診断部4の診断結果を受けて、自端末(監視カメラ100E)のスレーブ機能と監視カメラ100Aのマスタ機能とを転換したいという合図を、現在のマスタカメラである監視カメラ100Aのマスタカメラコントローラ22に送る。そして、監視カメラ100Aのマスタカメラコントローラ22は「交換OK」の合図をスレーブカメラである監視カメラ100E内のスレーブカメラコントローラ18に送る。
【0091】
(b)タイミング転換
サブネット上での機能を交代することになった監視カメラ100Aと監視カメラ100Eとは、上記の双方合意の後で、現在のスレーブカメラ(監視カメラ100E)がマスタカメラ(監視カメラ100A)との間でTX(送信)とRX(受信)のタイミングを反転させる。また、以前のマスタカメラ(監視カメラ100A)が有していた元々のホッピング手順などの情報(監視カメラ100Aのデバイスアドレスとクロック)は、監視カメラ100E内のカメラ群情報格納メモリ23に格納され保存される。以上の動作により、監視カメラ100Eが新しいマスタカメラとなり、それまでマスタカメラであった監視カメラ100Aはスレーブカメラに転換する。
【0092】
(c)ピコネット転換
新たなマスタカメラに転換した監視カメラ100Eは、以前のマスタカメラであった監視カメラ100Aとのクロックのずれを、新しくスレーブカメラになった監視カメラ100Aに通知する。
【0093】
(d)新たなマスタカメラに転換した監視カメラ100Eは、新たなホッピングパターン等の情報を新しくスレーブカメラになった監視カメラ100Aに通知する。
【0094】
(e)新しくスレーブカメラになった監視カメラ100Aは、受信応答として自端末のIDを返信する。以降、マスタカメラである監視カメラ100Eとスレーブカメラである監視カメラ100Aとは、マスタカメラである監視カメラ100Eのチャネルパラメータによってコネクションを確立する。
【0095】
(f)新たなマスタカメラに転換した監視カメラ100Eは、コネクションが確立したかどうかを新しくスレーブカメラになった監視カメラ100Aに通知する。同様に、新たなマスタカメラに転換した監視カメラ100Eは、サブネット内の他のスレーブカメラとの間でも、順次に上記手順にて、コネクションを確立してゆき、監視カメラ100Eがこのサブネットでの新しいマスタカメラとなる。
【0096】
なお、上記の例ではマスタカメラ機能部3を備えるスレーブカメラがマスタ診断部4も備えている場合を想定しているが、マスタ診断部4についてはシステム上に最低1つ接続されていれば上記の動作を実現することができる。その場合には、マスタ診断部4は異常を検出した場合に、マスタカメラに異常がある旨をサブネット内の他のカメラに伝達する機能を備えるだけであってもよい。
【0097】
上述のように、第1の実施形態の監視カメラシステムにおいては、マスタ診断部4がサブネットのマスタカメラとして機能している監視カメラの状態を診断して、その結果に問題がある場合に、現在のマスタカメラに代わって、サブネットのスレーブカメラとして機能している他の監視カメラがサブネットのマスタ機能を持つようにスレーブカメラの機能の切り替えを行うよう、機能転換部1に指示を出すように構成してある。これにより、マスタカメラに不具合や通信異常がある場合であっても、代替のカメラがマスタとなり、サブネット内の監視カメラ群の監視を継続できるため、信頼性が高い監視カメラ及び監視カメラシステムを提供できる。
【0098】
なお、前述の機能転換部1、マスタカメラ機能部3、マスタ診断部4の各機能については、専用のハードウェアで構成することもできるし、予め用意した特定のプログラムを制御用のマイクロプロセッサすなわちコンピュータで実行して実現することもできる。
【0099】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る監視カメラシステムの構成例を示すブロック図、図8は第2の実施形態におけるカメラ群情報格納メモリが保持している情報内容を示す図である。第2の実施形態は第1の実施形態の変形例である。図7において第1の実施形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。以下では第1の実施形態と異なる構成及び動作のみについて説明する。
【0100】
第2の実施形態では、図7に示すように前述のマスタカメラ機能部3は備えずスレーブカメラとしてのみ機能する監視カメラ100Fの内部に、マスタ診断部5が設けてある。また、マスタカメラ機能部3を備えている監視カメラ100Eには前述のマスタ診断部4が備わっていない。
【0101】
第2の実施形態のマスタ診断部5は、前述のマスタ診断部4に相当する機能を果たすが、これを備えた監視カメラ100F自体がマスタカメラ機能部3を備えていないため、第1の実施形態とは少し異なる制御を行う。
【0102】
すなわち、図7に示す例では、監視カメラ100Fのマスタ診断部5は、サブネットのマスタカメラとして機能している監視カメラ100Aについて状態の診断を実施し、動作状態に問題があることを検出した場合には、マスタカメラ機能部3を備えている他のスレーブカメラの機能転換部1に対してサブネットの専用マスタカメラとなるよう指示する。
【0103】
第2の実施形態の構成例では、同じサブネット上に監視カメラ100A,100B,100C,100D,100E及び100Fが接続されており、これらの中で監視カメラ100A,100Eはスレーブカメラ機能部2及びマスタカメラ機能部3を備えているが、監視カメラ100B,100C,100D,100Fはスレーブカメラ機能部2のみを備えている。
【0104】
従って、監視カメラ100Fのマスタ診断部5は、マスタカメラとして機能している監視カメラ100Aについて応答を確認することにより診断を実施する。そして、侵入者による破壊などの影響によって監視カメラ100Aの動作に問題が生じていることを検出した場合には、監視カメラ100Fのマスタ診断部5は、マスタカメラ機能部3を搭載し、かつ現在はスレーブカメラとして機能している監視カメラ100Eを、図8に示すカメラ群情報格納メモリ23が保持している情報に基づいて特定する。そして、監視カメラ100E内の機能転換部1に対してサブネットの新たなマスタカメラとなるように指示をする。
【0105】
なお、マスタ診断部5については演算装置が用いられる。演算装置としては、電子回路、リレー回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、コンパレータなどのアナログ部品による比較器、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0106】
次に、第2の実施形態の監視カメラシステムについて詳細な動作を説明する。
【0107】
(1)コネクションが確立された監視カメラ100A,100B,100C,100D,100E及び100Fの中で、マスタ機能を持たずマスタ診断部5を搭載しているスレーブカメラ、すなわち監視カメラ100Fにおいては、マスタ診断部5が所定の通信プロトコルに基づき、現在のマスタカメラである監視カメラ100Aに割り当てられたアドレス(A)に対して状態確認要求信号を送出する。一方、マスタカメラである監視カメラ100Aに搭載されたマスタカメラコントローラ22は、自端末のアドレス宛の状態確認要求信号を受信すると、送出元アドレスの監視カメラ100に対して所定の通信プロトコルに基づき応答を返信する。従って、通常は監視カメラ100Fのマスタ診断部5はマスタカメラである監視カメラ100Aのマスタカメラコントローラ22から発信された応答を受信する。スレーブカメラである監視カメラ100Fのマスタ診断部5は、所定のプロトコルに基づく応答受信の有無や受信応答内容により、現在のマスタカメラである監視カメラ100Aもしくはマスタカメラ周辺のネットワークに異常があるか否かを判断する。マスタ診断部5が利用する通信プロトコルや、その他の動作については、前述のマスタ診断部4の場合と同様である。
【0108】
(2)ここで、図7に示すようにマスタカメラである監視カメラ100Aが悪意を持った者に破壊され動作不可能な状態になった場合を想定すると、上記の手順によりスレーブカメラである監視カメラ100Fのマスタ診断部5がマスタカメラである監視カメラ100Aからの応答受信が無いことを検出し、異常が発生しているものとみなす。
【0109】
(3)しかし、このマスタ診断部5を搭載している監視カメラ100F自身はマスタカメラ機能部3を備えていないため、マスタカメラに転換することができない。そこで、監視カメラ100F内のマスタ診断部5は、自端末のカメラ群情報格納メモリ23の内容を参照し、ここに保持されているテーブルの情報に基づいてマスタカメラの機能を代行可能な監視カメラを探す。
【0110】
図8に示すように、この例ではカメラ群情報格納メモリ23上のテーブルには、このサブネットに接続されている監視カメラ毎に、カメラID、アドレス、マスタ機能有無、現在のステイタス、デバイスの種類などの情報が互いに関連付けて格納されている。従って、このテーブルを参照することにより監視カメラ100E(IDがE、アドレスが(E))は、現在はスレーブカメラとして動作しているが、マスタ機能も有している(マスタにも転換可能である)ことが分かる。そこで、監視カメラ100F内のマスタ診断部5は、監視カメラ100E内の機能転換部1に対してマスタカメラに機能転換するように指示を出す。これに応答して、監視カメラ100E内の機能転換部1は、自端末のスレーブカメラ機能部2とマスタカメラ機能部3とを転換し、サブネット内で自端末がマスタカメラとして動作するように切り替える。マスタカメラへ転換するための手順については前述の手順と同様である。
【0111】
第2の実施形態の監視カメラシステムにおいては、マスタ診断部5がサブネットのマスタカメラとして機能している監視カメラ100Aの状態を診断した結果に応じて、マスタカメラの機能を搭載した他のスレーブカメラ内の機能転換部1に対してマスタカメラに転換するように指示するので、マスタカメラの異常を発見したカメラ自身がマスタ機能の代替ができない場合であっても、マスタ機能の代替を立てられるため、さらに信頼性が高い監視カメラ及び監視カメラシステムを提供できる。
【0112】
(第3の実施形態)
図9は本発明の第3の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図、図10は第3の実施形態におけるカメラ群情報格納メモリが保持している情報内容を示す図である。図11は第3の実施形態の監視カメラシステムの構成例を示すブロック図である。第3の実施形態は第1の実施形態の変形例である。図9及び図11において第1の実施形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。以下では第1の実施形態と異なる構成及び動作のみについて説明する。
【0113】
第3の実施形態においては、図11に示すシステムと同じサブネットに接続された監視カメラ100Fが、ネットワーク状態計測部6を備えている。このネットワーク状態計測部6は、サブネット内の各カメラ間のネットワーク状態を計測し、その計測結果に応じて機能転換するカメラを決定し、前述の場合と同様にマスタカメラ機能部3を備えたスレーブカメラに対して機能転換に関する指示を与える。
【0114】
次に、第3の実施形態の監視カメラシステムの動作について詳細に説明する。
【0115】
(1)監視カメラ100F内のネットワーク状態計測部6は、サブネット内の各監視カメラ100に対してネットワーク状態を計測する確認信号をそれぞれ送出する。プロトコルとしては、例えば、前述したICMP(Internet Control Message Protocol)などが用いられる。この確認信号を受信した各監視カメラ100内のマスタカメラコントローラ22もしくはスレーブカメラコントローラ18は、送出元の監視カメラ100Fに対して応答を返信する。監視カメラ100F内のネットワーク状態計測部6は、監視カメラ100毎に、応答受信の有無や受信応答内容、応答遅延やエラーレート、ジッタ、S/N比、エラー再送率などを調べて、各カメラとの間のネットワーク状態を計測し、ネットワーク状態の良否を判断する。
【0116】
(2)図11の例ではマスタカメラである監視カメラ100A付近のネットワーク環境が悪い状態を想定している。例えば、電子レンジなどの使用によりノイズの影響を受け、マスタカメラである監視カメラ100A付近でノイズが増大して、エラーレートが増大している場合が考えられる。
【0117】
(3)この場合、監視カメラ100F内のネットワーク状態計測部6による計測結果は、図10に示すようにカメラ群情報格納メモリ23内のテーブルに、カメラID、アドレス、マスタ機能有無、現在のステイタス、デバイスの種類などの情報とともに関連付けて格納される。ネットワーク状態計測部6は、自端末のカメラ群情報格納メモリ23内のテーブルに保持されている情報に基づいて、同じサブネットに接続され、かつマスタカメラになることが可能な監視カメラ100の中で、最も望ましいネットワーク状態の監視カメラ100を探し、その最適な監視カメラ100の機能転換部1に対して転換指示を出す。
【0118】
第3の実施形態の構成例では、監視カメラ100E(IDがE、アドレスが(E))が、現在はスレーブ動作であるが、マスタ機能も有しており(マスタにも転換可能である)、かつ現在マスタカメラとして動作している監視カメラ100Aよりもネットワーク状態が良好であるということが分かる。従って、ネットワーク状態計測部6は監視カメラ100Eの機能転換部1に対して、マスタカメラに機能転換するよう指示を出す。
【0119】
この場合、監視カメラ100Eの機能転換部1は、自端末のスレーブ機能と、現在のマスタカメラである監視カメラ100Aのマスタ機能とを転換し、監視カメラ100Eがサブネット内のマスタカメラとして動作し、監視カメラ100Aがそのスレーブカメラとして動作するように切り替える。マスタとスレーブの転換手順については前述の手順と同様である。
【0120】
第3の実施形態では、ネットワーク状態計測部6がサブネット内の各カメラ間のネットワーク状態を計測し、その結果に応じて、マスタカメラ機能を有する他のスレーブカメラのうち最適なネットワーク状態にあるカメラをサブネットの専用マスタカメラに切り替えるように制御する。従って、例えば周囲のネットワークの品質が帯域不足や雑音重畳などで劣るカメラに対してはマスタ機能を任せないようなネットワーク品質に基づく全体最適化を事前に図ることができる。これにより、監視画像の遅延や処理、伝送の破綻を防止することができ、いっそう信頼性が高い監視カメラ及び監視カメラシステムを提供できる。
【0121】
(第4の実施形態)
図12は本発明の第4の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図、図13は第4の実施形態におけるカメラ群情報格納メモリが保持している情報内容を示す図である。第4の実施形態は第1の実施形態の変形例である。図12において第1の実施形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。以下では第1の実施形態と異なる構成及び動作のみについて説明する。
【0122】
第4の実施形態では、監視カメラシステムのサブネットに接続された1つの監視カメラ100F上に、図12に示すように処理負荷計測部7が設けてある。この処理負荷計測部7は、同じサブネットに接続されている全ての監視カメラ100について、カメラ毎に処理負荷を計測し、その結果に応じて、マスタカメラ機能を有するスレーブカメラの中からマスタカメラとして最適な監視カメラ100を決定し、その監視カメラ100の機能転換部1に対してサブネットの専用マスタカメラとなるように指示する。
【0123】
次に、第4の実施形態の監視カメラを使用する場合の監視カメラシステムの動作の詳細について説明する。
【0124】
(1)処理負荷計測部7は、サブネット内の各カメラの処理負荷を計測する。具体的な処理負荷としては、例えば各監視カメラ100内部のマスタカメラコントローラ22やスレーブカメラコントローラ18を制御しているCPUなどの負荷率が考えられる。従って、監視カメラ100F内の処理負荷計測部7が送出する測定指示に対して、各監視カメラ100内部のマスタカメラコントローラ22もしくはスレーブカメラコントローラ18は、自分自身の現在の処理負荷を計測し、その結果を応答として監視カメラ100Fに返す。この結果を用いて、監視カメラ100F内の処理負荷計測部7は監視カメラ100毎に処理負荷であるCPU負荷率の大小などを比較して、各カメラでの処理負荷を判断する。
【0125】
(2)処理負荷計測部7が取得した計測結果は、カメラ群情報格納メモリ23上のテーブルにカメラID、アドレス、マスタ機能有無、現在のステイタス、デバイスの種類などとともに、監視カメラ毎に関連付けて格納される。
【0126】
(3)処理負荷計測部7は、カメラ群情報格納メモリ23上のテーブルに保持されているカメラ毎の情報に基づいて、マスタカメラとなることができる監視カメラ100中から、最も負荷率が小さいカメラを探し、その監視カメラ100の機能転換部1に対して転換指示を与える。
【0127】
第4の実施形態の構成例では、図13に示すようにカメラ群情報格納メモリ23内のテーブルにおいて、監視カメラ100E(IDがE、アドレスが(E))が、現在はスレーブ動作であるが、マスタ機能も有しており(マスタにも転換可能である)、しかも現在のマスタカメラである監視カメラ100AよりもCPU負荷率が低く処理能力に余裕があることが分かる。
【0128】
従って、処理負荷計測部7は現在はスレーブカメラとして動作している監視カメラ100Eの機能転換部1に対して、マスタカメラに機能転換するように指示を出す。この場合、監視カメラ100Eの機能転換部1は、自端末のスレーブ機能と、監視カメラ100Aのマスタ機能とを転換し、監視カメラ100Eがサブネット内のマスタカメラとして、監視カメラ100Aがそのスレーブカメラとして動作するように切り替える。マスタとスレーブとの転換手順については前述の手順と同様である。
【0129】
マスタカメラとして動作する監視カメラ100は、サブネット内の情報を集約して処理し、しかもサブネット外部とのインタフェースも行う必要があるため、処理に十分な余裕がない時には、処理に遅延が生じたり、最悪の場合は処理が破綻して、正常な監視動作が継続できなくなる場合がある。
【0130】
これに対し、第4の実施形態では少なくとも1つの監視カメラに処理負荷計測部7を設けてサブネット内の各カメラの処理負荷を計測し、その結果を反映して次のマスタカメラを決定するので、負荷の小さい監視カメラ100に動的にマスタカメラの機能を割り当てることができる。例えば、不審者の撮影や追尾、画像の蓄積や伝送などの作業で機器の処理負荷が重くなっているカメラにはマスタ機能を任せないようにすれば、処理の全体最適化を図ることができ、監視画像の遅延や処理、伝送の破綻を防止することができる。
【0131】
(第5の実施形態)
図14は本発明の第5の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図である。図15は監視カメラシステムの利用環境の具体例を示す平面図である。図16は監視カメラシステムの利用環境の具体例を示す模式図である。第5の実施形態は第1の実施形態の変形例である。図14〜図16において第1の実施形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。以下では第1の実施形態と異なる構成及び動作のみについて説明する。
【0132】
第5の実施形態では、監視カメラシステムのサブネットに接続された1つの監視カメラ100F上に、図14に示すように位置検出部8が設けてある。この位置検出部8は、システムの監視領域内における不審者の滞在位置を把握し、検出された不審者の滞在位置から最適な位置にある監視カメラ100がマスタカメラとして動作するようにマスタカメラを自動的に切り替える。
【0133】
次に、第5の実施形態の監視カメラシステムの動作について詳細に説明する。
【0134】
(1)監視カメラ100Fの位置検出部8は、画像の認識、音声の認識、あるいは赤外線や超音波などのセンサー技術を利用して、この監視システムの監視領域内における不審者の滞在位置を把握する。位置検出部8が利用する各認識装置やセンサについては、サブネット内に接続された各監視カメラ100に内蔵してもよいし、各監視カメラ100の機能を使用してもよいし、カメラ外に新たに付加したセンサを用いてもよい。
【0135】
監視カメラ100Fの位置検出部8は、同じサブネットに接続されている各監視カメラ100に対して例えば定期的にステイタスを要求する。この要求に対して、各監視カメラ100のマスタカメラコントローラ22もしくはスレーブカメラコントローラ18は、自端末が不審者を捕らえているか否かを表す情報を応答として送信元の監視カメラ100Fに返信する。
【0136】
監視カメラ100Fの位置検出部8は、各監視カメラ100からの返信内容に基づいて、次の事項を判断する。すなわち、このサブネットに接続された監視カメラシステムが監視している領域の中で、現在の不審者の位置が、いずれの監視カメラ100の位置であるのか、並びにこの不審者が今後いずれの監視カメラ100の位置に向かって移動していくのかを識別する。
【0137】
(2)図15に示す具体例においては、システムの監視領域は玄関を真ん中にして、中央廊下と西廊下、東廊下のU字型の廊下を中心に構成されており、その廊下の各ポイントに、それぞれ監視カメラ100A〜100Gが設置されている。
【0138】
この例では、最初に監視カメラ100Aがマスタカメラとして動作しており、他はスレーブカメラとして動作している場合を想定している。また、この例では監視カメラ100Eはマスタカメラにもなることができる機能を有している。
【0139】
図15に示す例では、玄関から直接つながる通過経路は中央廊下であり、また西廊下側から東廊下側へ行くためには、物理的に中央廊下を通過する必要があることが判る。
【0140】
この例では、図16に示すような平面内のレイアウトに関する位置情報が監視カメラ100F内のカメラ群情報格納メモリ23で管理されている。具体的には、カメラ設置見取り図に適応したカメラのエリア配置が、エリアの物理的経路によるノード情報と関連付けられて格納されている。
【0141】
例えば、西廊下に設置されている監視カメラ100A側から東廊下に設置されている監視カメラ100E側に不審者が移動する際には、中央廊下に設置されている監視カメラ100D付近を通過する必要があるというノード情報が格納されている。また、各々の監視カメラ100が設置された位置に関する絶対位置の座標や、カメラ間の距離などの相対距離などの情報もカメラ群情報格納メモリ23に格納されている。また各カメラのアドレスなどが関連付けられて格納されている。
【0142】
(3)位置検出部8は、把握した現在の不審者の位置と今後の移動方向、そしてカメラ群情報格納メモリ23に格納されたカメラ群の情報に基づいて、マスタカメラとなることができる監視カメラ100の中から最もふさわしい位置にある特定の監視カメラ100を探し、その監視カメラ100の機能転換部1に転換指示を出す。
【0143】
例えば、図15に示すように不審者が監視カメラ100Aと監視カメラ100Bとでそれぞれ検出され、不審者が監視カメラ100Aの方向に向かって移動している場合を想定すると、監視カメラ100E(IDがE、アドレスが(E))がマスタカメラに転換するのが望ましい。
【0144】
すなわち、図16の内容から分かるように、監視カメラ100Eは現在はスレーブカメラとして動作しているが、マスタ機能も有しており(マスタにも転換可能である)、かつ今後も不審者接近に伴い自らが撮影動作を継続しなければならなくなりそうな監視カメラ100Aと比べて、エリアの構造や距離から判断すると、すぐには監視カメラ100Eに不審者が接近しそうになく、監視カメラ100Eには動作に余裕があることが分かる。
【0145】
従って、位置検出部8は監視カメラ100E内の機能転換部1に対して、マスタカメラに機能転換するよう指示を出す。この場合、監視カメラ100E内の機能転換部1は、自端末のスレーブ機能と、監視カメラ100Aのマスタ機能とを転換し、監視カメラ100Eがサブネット内のマスタカメラとして、監視カメラ100Aがそのスレーブカメラとして動作するように切り替える。マスタとスレーブとの転換手順やマスタカメラのシステムとしての重要性については前述の通りである。
【0146】
第5の実施形態の監視カメラを用いてシステムを構成する場合には、位置検出部8が監視領域内の不審者の滞在位置を把握し、不審者の滞在位置に応じて、マスタカメラ機能を有するスレーブカメラうち最適な位置にある監視カメラ100の機能転換部1に対してサブネットの専用マスタカメラとなるよう指示することになる。従って、不審者の追尾や認識により機器の処理負荷が重くなる、もしくは重くなりそうなカメラにはできるマスタ機能を任せないような、処理負荷に基づく全体最適化を事前に図ることができ、監視画像の遅延や処理、伝送の破綻を防止することができる。
【0147】
なお、本発明の監視カメラシステムの構成については、前述した実施形態以外に、次に説明するような様々な変形が考えられる。
【0148】
(第1変形例)
監視カメラシステムを構成する複数の監視カメラ100の中で、マスタカメラ機能を有する監視カメラ100はサブネット内に2台以上接続され、且つ、そのカメラの台数はスレーブカメラ機能のみを有する監視カメラ100の接続台数より少なくなるように複数種類のカメラを組み合わせてシステムを構成する。
【0149】
サブネット内の全監視カメラが、スレーブカメラであると同時にマスタカメラになることができる構成にすることも可能であるが、マスタカメラは前述したように、サブネット内のスレーブカメラ群を管理し、ネットワークのトラフィックや状態を管理するほか、スレーブカメラ群から送られた情報を、必要に応じて蓄積、画像処理、認識を行って、広域ネットワーク201を介してサブネット外の外部ネットワーク装置202に伝送する機能を搭載する必要があり、機能や性能面でもスレーブカメラにはないインテリジェンス性が求められるため、マスタカメラは専用のスレーブカメラと比べてコストが高くなるのは避けられず、サブネット内の全カメラをマスタカメラ機能を搭載したカメラのみで構成すると、システム全体のコストが非常に高くなってしまう。反面、マスタカメラになりうるカメラがサブネット内で1台だけだと、万が一の故障や故意の破壊工作によって、監視が継続できなくなるリスクがある。
【0150】
そこで、マスタカメラ機能を有するカメラがサブネット内に2台以上存在し、且つ、そのカメラの台数がスレーブカメラ機能を有するカメラの台数より少なければ、その2つの課題に対して、バランスのとれた監視カメラシステムを提供することができる。このような監視カメラシステムを構成することにより、各カメラがマスタ機能を有するよりも安価に構成でき、且つ、1台のカメラのみがマスタ機能を有するよりも監視の信頼性を向上させることができる。
【0151】
(第2変形例)
監視カメラシステムを構成する各監視カメラ100において、マスタカメラ機能部3を構成するモジュールをコネクタなどを介して着脱自在に構成し、各監視カメラ100にマスタカメラ機能部3を後で追加できるように構成する。
【0152】
着脱可能にするための具体的な方式としては、回路基板の追加や、ユニットの増設、機能カードの挿入や増設など、ハードウェア的に必要な機能を物理的に後付けできる方式が望ましい。またソフトウェアやファームウェアの変更が行われるよう構成してもよい。
【0153】
前述のように、マスタカメラ機能を有するカメラがサブネット内に複数存在することによりシステムの信頼性が向上するが、マスタカメラの数が増えるとシステム構築の初期投資が大幅に増加する。システムを構成する各監視カメラ100に対してマスタカメラ機能部3を後付できるように構成する場合には、まず最初はマスタカメラ機能部3を備えた監視カメラ100の接続台数を必要最小限に抑えてシステムの運用を開始し、状況の変化や予算の都合を見ながら、必要になった監視カメラ100に対してのみマスタ機能を後付で増設することができる。従って、監視カメラ100の接続台数が多い場合であっても、システムの初期投資を低減することができる。
【0154】
以上のように、本実施形態の監視カメラ及び監視カメラシステムでは、システム上の複数の監視カメラを管理するマスタカメラを必要に応じて切り替えることができるので、マスタカメラにおいて故障、破壊、通信品質の劣化など、不具合や通信異常が発生した場合に、代替の他の監視カメラがマスタカメラに切り替わるため、サブネット内の監視カメラ群の監視を継続できる。したがって、マスタカメラに不具合が生じてもシステム全体の機能を正常に維持することができ、高い信頼性を実現できる。
【0155】
しかも、マスタ処理部及び機能転換処理部を全ての監視カメラに設ける必要はないため、多数の監視カメラを接続する場合であっても監視システム全体の装置コストを下げることができる。このため、安価に構成可能で、信頼性が高い監視カメラシステムを構築できる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は、複数の監視カメラをネットワークを経由して接続し監視システムを構成する場合に、一部の機器の故障、破壊、通信状態の劣化などに対して高い信頼性を確保することが可能となる効果を有し、それぞれが撮像手段を備えた複数の通信端末が所定の通信回線を介して接続されるネットワークに前記通信端末の1つとして接続される監視カメラ及びそれを用いた監視カメラシステム、並びにその監視制御方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図2】第1の実施形態の監視カメラシステムの構成例を示すブロック図
【図3】第1の実施形態における複数の監視カメラ間での通信を開始するために必要な通信手順を示す模式図
【図4】第1の実施形態における監視カメラシステムの利用環境の具体例を示すブロック図
【図5】第1の実施形態における監視カメラシステムの利用環境の具体例を示すブロック図
【図6】第1の実施形態における監視カメラシステム内で複数の監視カメラがマスタとスレーブとを転換する場合に必要な通信手順を示す模式図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る監視カメラシステムの構成例を示すブロック図
【図8】第2の実施形態におけるカメラ群情報格納メモリが保持している情報内容を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図10】第3の実施形態におけるカメラ群情報格納メモリが保持している情報内容を示す図
【図11】第3の実施形態の監視カメラシステムの構成例を示すブロック図
【図12】本発明の第4の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図13】第4の実施形態におけるカメラ群情報格納メモリが保持している情報内容を示す図
【図14】本発明の第5の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図15】第5の実施形態における監視カメラシステムの利用環境の具体例を示す平面図
【図16】第5の実施形態における監視カメラシステムの利用環境の具体例を示す模式図
【図17】従来例の通信ネットワークの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0158】
1 機能転換部
2 スレーブカメラ機能部
3 マスタカメラ機能部
4、5 マスタ診断部
6 ネットワーク状態計測部
7 処理負荷計測部
8 位置検出部
11 撮像ユニット
12 マイク
13 スピーカ
14 画像信号処理部
15 音声信号処理部
16 符号化部
17 復号化部
18 スレーブカメラコントローラ
20 認識部
20a 画像認識処理部
20b 音声認識処理部
21 情報サーバ
21a ハードディスク
21b メモリ
22 マスタカメラコントローラ
23 カメラ群情報格納メモリ
24 インタフェース部
25 アンテナ
100 監視カメラ
200 アクセスポイント
201 広域ネットワーク
202 外部ネットワーク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上で互いに接続されるべき監視カメラにおいて、
映像信号を出力する撮影部を有するとともに、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備えた監視カメラ。
【請求項2】
前記他の監視カメラに対して、前記ネットワークを介して通信を行い、前記他の監視カメラのマスタ処理部の動作を診断するマスタ診断部を備えた請求項1記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記マスタ処理部および前記機能転換部の少なくとも一方に、監視カメラ本体に着脱自在に支持するコネクタを設けた請求項1記載の監視カメラ。
【請求項4】
ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、
前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部と、前記他の監視カメラに対して前記ネットワークを介して通信を行い、前記他の監視カメラのマスタ処理部の動作を診断するマスタ診断部とを備え、
スレーブ動作している前記監視カメラのマスタ診断部は、マスタ動作している前記監視カメラのマスタ処理部の動作を異常と診断した場合、スレーブ動作している監視カメラの機能転換部がマスタ動作に切り替える指示を与える監視カメラシステム。
【請求項5】
ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラおよびスレーブ動作に固定された監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、2台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、
前記マスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、
前記スレーブ動作に固定された監視カメラは、マスタ動作をしている前記監視カメラに対して前記ネットワークを介して通信を行い、マスタ動作をしている前記監視カメラのマスタ処理部の動作を診断するマスタ診断部を備え、前記マスタ診断部は、マスタ動作している前記監視カメラのマスタ処理部の動作を異常と診断した場合、スレーブ動作している監視カメラの機能転換部がマスタ動作に切り替える指示を与える監視カメラシステム。
【請求項6】
ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、
前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、
前記2台の監視カメラのいずれかに、前記ネットワークに接続された監視カメラ毎に、応答の有無、応答遅延、エラーレート、ジッタ、SN比およびエラー再送率の少なくとも1つを検出することにより、前記ネットワークの通信状態を把握するネットワーク状態計測手段を備え、前記ネットワーク状態計測手段の計測結果に基づいて、前記監視カメラの中からマスタ動作をする監視カメラを決定する監視カメラシステム。
【請求項7】
ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、
前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、
前記2台の監視カメラのいずれかに、前記ネットワークに接続された監視カメラ毎に、処理の負荷を計測する負荷計測手段を備え、前記負荷計測手段の計測結果に基づいて、前記監視カメラの中からマスタ動作をする監視カメラを決定する監視カメラシステム。
【請求項8】
ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムにおいて、
前記2台の監視カメラは、映像信号を出力する撮像部を有し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理部と、前記スレーブ処理部からの情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理部と、前記マスタ処理部および前記スレーブ処理部を切り替える機能転換部とを備え、
前記2台の監視カメラのいずれかに、前記ネットワークに接続された監視カメラ毎に、撮影された画像から検出される目標物の位置を検出する位置検出手段を備え、前記位置検出手段の検出した複数の位置情報および撮影部の設置上のレイアウトに基づいて、前記監視カメラの中からマスタ動作をする監視カメラを決定する監視カメラシステム。
【請求項9】
ネットワーク上に少なくともマスタ動作とスレーブ動作が切換可能な2台の監視カメラが接続され、1台がマスタ動作をし、1台がスレーブ動作をしている監視カメラシステムの制御方法において、
前記2台の監視カメラは、映像信号を出力し、前記ネットワークを介して他の監視カメラとの間で情報を交換するスレーブ処理ステップと、前記スレーブ処理ステップにより得られた情報に基づき、前記他の監視カメラの情報を管理するマスタ処理ステップと、前記マスタ処理および前記スレーブ処理を切り替える機能転換ステップと、前記他の監視カメラに対して前記ネットワークを介して通信を行い、前記他の監視カメラのマスタ処理の動作を診断するマスタ診断ステップとを有し、マスタ動作している前記監視カメラのマスタ処理の動作を異常と診断した場合、スレーブ動作している監視カメラをマスタ動作に切り替える監視カメラシステムの制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項1または2に記載の監視カメラの各処理を実現させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータに、請求項4から8のいずれかに記載の監視カメラシステムの各処理を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−295396(P2006−295396A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−111158(P2005−111158)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】