説明

直方体照明装置及びホログラム用照明装置

【課題】複数の照明装置1を組み合わせて照明する際に、その組み立ての容易性及び安定性を向上し、さらに照射面における照射ムラを低減する。
【解決手段】一面に開口部2Aを有する概略直方体形状のケーシング2と、前記開口部2Aに設けられ、矩形形状をなす導光レンズ3と、前記ケーシング2内に設けられ、前記導光レンズ3に向かって光を射出する光源4と、前記ケーシング2の外部に把持部54が設けられ、前記把持部54が操作されることにより前記光源4の位置を調節する位置調節機構5と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の照明装置を組み立て容易にする照明装置及び当該照明装置を用いたホログラム用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置としては、例えば特許文献1に示すように、光源と、当該光源から射出される光を例えば略平行光に変換するコリメータレンズ等、(光軸方向から見て概略円形状を成す)導光レンズと、光源及び導光レンズを収容する概略円筒形状をなすケーシングとを備える照明装置がある。
【0003】
しかしながら、複数個の照明装置を組み合わせて照明を行う場合に、ケーシングが円筒形状をなしていることから、各照明装置間での固定が難しく安定性に欠け、また、固定するための器具も大がかりになってしまうという問題がある。
【0004】
また、各照明装置から射出される光は、照射面において概略円形状を成すことから、照射面において影部分を無くすためには、各照明装置からの光を重ね合わせる必要がある。そうすると、照射面において照明ムラを無くすことは極めて難しく、拡散板等を照明装置の前方に設ける必要がある。
【特許文献1】特開2003−065960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、複数の照明装置を組み合わせて照明する際に、その組み立ての容易性及び安定性を向上させること、及び照射面における照射ムラを低減することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る照明装置は、一面に開口部を有する概略直方体形状のケーシングと、前記開口部に設けられ、矩形形状をなす導光レンズと、前記ケーシング内に設けられ、前記導光レンズに向かって光を射出する光源と、前記ケーシングの外部に把持部が設けられ、前記把持部が操作されることにより前記光源の位置を調節する位置調節機構と、を具備することを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、ケーシングが概略直方体形状であるので、複数の照明装置を組み合わせて配列する場合に、当該ケーシングの上下左右に他の照明装置のケーシングを面同士で接触させて、各照明装置のケーシングを隙間無く配列することができるので、組み立てを容易にすることができ、また、組み立ての安定性を向上させることができる。さらに、導光レンズが矩形形状をなすものであり、照射面における照射領域が矩形形状をなすことから、複数の照明装置を組み合わせた場合に、位置調節機構により光源の位置を微調整することによって、各照明装置からの照射光を照射面にムラ無く照射することができるようになる。
【0008】
複数の照明装置を組み合わせた際に、照射面における照射ムラを可及的に低減するためには、前記導光レンズが、前記光源からの光を略平行光に変換するコリメータレンズであることが望ましい。
【0009】
複数の照明装置を組み合わせる場合に、各照明装置の向き(上下左右)を気にすること無く、どの向きであっても組み合わせることができるようにするためには、前記ケーシングの前記開口部を有する一面が、概略正方形状をなすものであるが望ましい。
【0010】
複数の照明装置を組み合わせる場合に、各照明装置間の固定を簡単に行うためには、前記ケーシングの外周面に他の照明装置のケーシングと連結するための連結部を備えていることが望ましい。
【0011】
位置調節機構の具体的な実施の態様としては、前記位置調節機構が、前記光源を前記ケーシング内で保持する光源保持部と、一端が前記光源保持部に接続され、他端に前記把持部が設けられ、前記ケーシングの側壁に設けられた貫通孔に挿通する操作連結部と、前記ケーシングと前記操作連結部との間に介在して設けられ、前記把持部が操作されたときに前記光源保持部が移動するように前記操作連結部を支える支持部と、を備えることが望ましい。
【0012】
組み立ての際に、各照明装置の照明光の色を容易に視覚的に把握して、組み立ての作業性を向上させるためには、前記把持部が、前記光源の光の色と同一の色に着色されていることが望ましい。
【0013】
また、本発明に係るホログラム用照明装置は、上記照明装置と、前記照明装置を保持する枠体と、前記枠体に保持された照明装置からの光が照射されるようにホログラムを保持するホログラム保持部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、複数の照明装置を組み合わせて照明する際に、その組み立ての容易性及び安定性を向上させること、及び照射面における照射ムラを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
なお、図1は本実施形態に係る複数の照明装置1を用いた照明システム100を示す斜視図であり、図2は照明装置1の斜視図であり、図3は照明装置1の構成を示す模式的断面図であり、図4は位置調節機構5により光源を進退移動させた状態を示す図であり、図5は位置調節機構5により光源を上下移動させた状態を示す図であり、図6は連結機構7を示す図であり、図7及び図8は電力供給方法を示す図である。
【0017】
<装置構成>
【0018】
本実施形態に係る照明装置1は、図1に示すように、複数組み合わされて任意形状の照明システム100を構成することができるものであり、図2に示すように、ケーシング2と、導光レンズ3と、光源4と、位置調節機構5と、を具備するものである。
【0019】
以下、各部2〜5について説明する。
【0020】
ケーシング2は、一面に開口部2Aを有する概略直方体形状の箱形状をなすものであり、具体的には、一面全体が開口した立方体形状の中空箱形状をなすものである。また、ケーシング2の内側周面は、光の反射を防ぐための遮光処理(例えば、黒色表面処理など)が施されている。さらに、ケーシング2の開口部2Aには、導光レンズ3及び当該導光レンズ3を保護するための保護部材6が、前方に向かってこの順番で設けられている。保護部材6は、アクリル樹脂からなる透明薄板であり、導光レンズ3と密着して設けられている。
【0021】
導光レンズ3は、ケーシング2の開口部2Aに設けられ、光源4からの光を略平行光に変換するコリメータレンズである。この導光レンズ3は、ケーシング2の開口部2A(ケーシング2の前面全体)に設けられており、光軸方向から見て矩形形状をなすものである。本実施形態では、ケーシング2が立方体形状をなすものであり、導光レンズ3は、光軸方向から見て正方形状をなすものである。つまり、本実施形態の照明装置1は、立方体の一面全体から光を射出するものである。導光レンズ3としては、照明装置1全体を軽量化するために、軽量薄型の樹脂製レンズであることが好ましい。
【0022】
光源4は、ケーシング2内に設けられ、導光レンズ3に向かって光を射出するものであり、具体的には、コリメータレンズ3の焦点位置近傍に位置するように設けられている。本実施形態の光源4は、単色又は白色のLEDである。なお、複数のLED4を設けるようにしても良いし、単一のLED4のみを設けるようにしても良い。
【0023】
位置調節機構5は、ケーシング2の外部に把持部54が設けられ、当該把持部54が操作されることによりLED4の位置を調節するものである。その構成は、光源保持部51と、操作連結部52と、支持部53と、を備える。
【0024】
光源保持部51は、LED4を保持して、ケーシング2内に配置されるものであり、本実施形態では更にLED4により発生する熱を放熱する放熱部としての機能を果たす。光源保持部51は、放熱部としての機能を発揮するために、例えばアルミニウム等の高熱伝導性材料により形成しても良いし、放熱フィンが設けられても良い。
【0025】
操作連結部52は、一端が光源保持部51に接続され、他端に把持部54が設けられ、ケーシング2の側壁に設けられた貫通孔21に挿通するロッド形状をなすものである。なお、この操作連結部52に放熱フィン等の放熱機構を設けるようにしても良い。
【0026】
把持部54は、操作連結部52のケーシング2外側端部に設けられた概略球形状をなすものである。また、把持部54は、LED4の発光の色と同一の色に着色されている。これにより、組み立ての際に、各照明装置1の照明光の色を容易に視覚的に把握して、組み立ての作業性を向上させることができる。
【0027】
支持部53は、ケーシング2と操作連結部52との間に介在して設けられ、把持部54が操作されたときに光源保持部51が移動するように操作連結部52を支えるものである。本実施形態の支持部53は、ケーシング2の後壁に設けられた貫通孔21の周囲近傍に設けられ、ケーシング2の後壁に操作連結部52を固定させつつ、把持部54の操作により、操作連結部52を摺動可能、及び支持部53を回転中心として回転可能に支持するものである。この支持部53は、球面滑り軸受(例えばピロボール)により構成することが考えられる。また、支持部53は、操作連結部52を周方向から押圧固定する止めねじにより構成しても良いし、弾性部材により構成しても良い。
【0028】
具体的には、図4に示すように、把持部54を後方に引っ張ることにより、操作連結部52が支持部53において摺動して、LED4を導光レンズ3から離すことができる。これにより、導光レンズ3から射出される光は、略平行光よりも若干拡開する光となる。また、図5に示すように、把持部54を上下方向に移動させることにより、操作連結部52が支持部53を中心として回転して、LED4を上下方向に移動させることができる。これにより、導光レンズ3から射出される光の照射方向を変更することができる。なお、本実施形態の支持部53は、貫通孔21からLED4からの光が漏れないようにする機能も有する。
【0029】
しかして本実施形態の照明装置1は、図6に示すように、各照明装置1同士の連結を可能にするための連結機構7を備えている。
【0030】
この連結機構7は、1つの照明装置1のケーシング2の側壁の外面に設けられた第1の連結部71と、別の照明装置1のケーシング2の側壁に外面に設けられ、前記第1の連結部71に連結される第2の連結部72と、からなる。
【0031】
各照明装置1において、そのケーシング2には、左右側壁の一方に第1の連結部71、他方に第2の連結部72が設けられている、また、同様にして、上下側壁の一方に第1の連結部71、他方に第2の連結部72が設けられている。
【0032】
第1の連結部71及び第2の連結部72の具体例としては、例えば、図7の(A)に示すように、第1の連結部71がケーシング2の側壁(例えば左側壁、上側壁)の外面に設けた凸条部であり、第2の連結部72がケーシング2の側壁(例えば右側壁、下側壁)の外面に設けられた凹溝である。凸条部は、突出方向に行くに従って幅が拡開する形状をなすものであり、凹溝は、凸条部の形状に対応して、深さ方向に行くに従って溝幅が拡開する形状をなす。そして、凸条部を凹溝に延伸方向に沿ってスライドさせて嵌め込むことにより、照明装置1を連結することができる。
【0033】
また、図7の(B)に示すように、第1の連結部71が、ケーシング2の側壁(例えば左側壁、上側壁)の外面に設けた例えばピン形状をなす突起部であり、第2の連結部72がケーシング2の側壁(例えば右側壁、下側壁)の外面に設けられた凹部である。このとき、凹部の内周面には、突起部が嵌合した際に突起部に密着して固定するための弾性体(図6において図示しない)を設けておくことが好ましい。
【0034】
このように構成した連結機構7により、各照明装置1を連結する際に、照明装置1同士の第1の連結部71及び第2の連結部72が嵌合するように連結することにより、照明装置1を上下左右に連結して組み合わせることができる。なお、照明装置1を一列に連結するだけの場合には、ケーシング2のうち1組の対向面(例えば左右側壁)にのみ第1の連結部71及び第2の連結部72を設ければ良い。また、2つだけの照明装置1を連結する場合には、各照明装置1のケーシング2の一面にのみ第1の連結部71及び第2の連結部72を設けるようにすればよい。
【0035】
最後に、複数の照明装置1を連結して照明システム100を構成した場合の、各照明装置1中のLED4への電力の供給方法について簡単に説明する。
【0036】
各LED4への電力の供給方法としては、図7に示すように、各照明装置1間を電力供給線8により電気的に接続して、電源9に対して各照明装置1のLED4を直列に接続して、各LED4に電力を供給するようにしても良い。また、図8に示すように、各照明装置1間を電気的に接続すること無く、電源9から電力供給線8により各照明装置1のLED4に電力を供給するようにしても良い。
【0037】
<本実施形態の効果>
【0038】
このように構成した本実施形態に係る照明装置1によれば、ケーシング2が概略立方体形状であるので、複数の照明装置1を組み合わせて配列する場合に、当該ケーシング2の上下左右に他の照明装置1のケーシング2を面同士で接触させて、各照明装置1のケーシング2を隙間無く配列することができるので、組み立てを容易にすることができ、また、組み立ての安定性を向上させることができる。さらに、導光レンズ3が矩形形状をなすものであり、照射面における照射領域が矩形形状をなすことから、複数の照明装置1を組み合わせた場合に、位置調節機構5によりLED4の位置を微調整することによって、照射面における各照明装置1の照射領域の繋ぎ目を目立たないようにすることができるとともに、各照明装置1からの照射光を照射面にムラ無く照射することができるようになる。
【0039】
さらに、各照明装置1から射出される光が平行光でありので、複数組み合わせることにより、平行光の照射領域を任意に調節することができる。複数の照明装置1から射出される平行光を、位置調節機構5により調節することにより、高輝度な照射を可能にすることができる。
【0040】
<その他の変形実施形態>
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。
【0042】
例えば、前記実施形態の照明装置1を用いてホログラム用照明装置Zを構成することにより、前記実施形態の効果を有効に活用することができる。具体的な構成としては、図9に示すように、前記実施形態の照明装置1と、照明装置1を保持する枠体Z1と、枠体Z1に保持された照明装置1からの光が照射されるようにホログラムHを保持するホログラム保持部Z2と、を具備する。枠体Z1は、複数の照明装置1を上下左右方向に複数個並列して保持するものである。また、照明装置1をホログラム用照明装置Zに用いる場合には、光源4として紫外光又は赤外光を射出するものを用いることが好ましい。
【0043】
また、植物育成用照明装置、表面検査用照明装置に用いても良い。
【0044】
さらに、道路の路面やボーリングのレーンなどに光の道を形成するように照射する装飾用照明装置としても良い。この場合、複数色の照明装置を組み合わせて、複数色の光の道を形成することが考えられる。
【0045】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置を用いた照明システムを示す斜視図。
【図2】同実施形態における照明装置の斜視図。
【図3】同実施形態における照明装置の模式的断面図。
【図4】位置調節機構の作用を示す図。
【図5】位置調節機構の作用を示す図。
【図6】連結機構を示す図。
【図7】電力供給方法を示す図。
【図8】電力供給方法を示す図。
【図9】変形実施形態に係るホログラム用照明装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1・・・・・照明装置
2・・・・・ケーシング
2A・・・・開口部
3・・・・・導光レンズ
4・・・・・光源
5・・・・・位置調節機構
51・・・・光源保持部
21・・・・貫通孔
52・・・・操作連結部
53・・・・支持部
54・・・・把持部
71、72・・・連結部
Z・・・・・ホログラム用照明装置
Z1・・・・枠体
Z2・・・・ホログラム保持部
H・・・・・ホログラム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口部を有する概略直方体形状のケーシングと、
前記開口部に設けられ、矩形形状をなす導光レンズと、
前記ケーシング内に設けられ、前記導光レンズに向かって光を射出する光源と、
前記ケーシングの外部に把持部が設けられ、前記把持部が操作されることにより前記光源の位置を調節する位置調節機構と、を具備する照明装置。
【請求項2】
前記導光レンズが、前記光源からの光を略平行光に変換するコリメータレンズである請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記ケーシングの前記開口部を有する一面が、概略正方形状をなすものである請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記ケーシングの外周面に他の照明装置のケーシングと連結するための連結部を備えている請求項1、2又は3記載の照明装置。
【請求項5】
前記位置調節機構が、前記光源を前記ケーシング内で保持する光源保持部と、
一端が前記光源保持部に接続され、他端に前記把持部が設けられ、前記ケーシングの側壁に設けられた貫通孔に挿通する操作連結部と、
前記ケーシングと前記操作連結部との間に介在して設けられ、前記把持部が操作されたときに前記光源保持部が移動するように前記操作連結部を支える支持部と、を備える請求項1、2、3又は4記載の照明装置。
【請求項6】
前記把持部が、前記光源の光の色と同一の色に着色されている請求項1、2、3、4又は5記載の照明装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の照明装置と、
前記照明装置を保持する枠体と、
前記枠体に保持された照明装置からの光が照射されるようにホログラムを保持するホログラム保持部と、を具備するホログラム用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−245803(P2009−245803A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92106(P2008−92106)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(508035355)パイフォトニクス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】