説明

真空弁ユニット

【課題】埋設深さを浅くしつつも地上に突出することのない真空弁ユニットを提供する。
【解決手段】排水を貯留する貯留部10と、貯留された排水を真空圧により吸い込む吸込管14を開閉する真空弁20と、を備える真空弁ユニットUである。
そして、貯留部10を有する貯留槽1と、真空弁20を収容する弁収容槽2と、を別々に備える。
さらに、貯留槽1と弁収容槽2を接続するバイパス管3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空弁ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然流下式の下水道システムに代えて、排水を真空圧によって収集する真空式下水道システムの採用が増加している。
【0003】
この真空式下水道システムでは、住居や工場などから排出される排水は、真空弁ユニットに溜められ、所定量だけ溜められると真空圧によって空気とともに気液混送流として真空下水管に取り込まれて搬送される。
【0004】
ところで、この真空弁ユニットは、真空弁が水没しにくくするため、真空弁のメンテナンスを容易にするために、真空弁ユニットの下部に貯留部を配置するとともに上部に真空弁を配置することが一般的である。
【0005】
また、真空式下水道システムは、真空下水管にリフト部を設けた鋸刃状配管とすることで、管路の埋設深さを浅くすることを1つの特徴としており、強固な地盤でも埋設深さが浅いことで施工性を向上させている。
【0006】
このように、埋設深さを浅くする技術として、例えば、特許文献1には、真空弁の収納ケースの一部が地上に突出して設置され、突出した部分に空気取入部を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−25240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記した特許文献1の構成は、埋設深さを浅くできるものの、地上に突出した部分が障害となるため、真空弁ユニットの上部の空間を有効に利用することはできなかった。
【0009】
そこで、本発明は、埋設深さを浅くしつつも地上に突出することのない真空弁ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の真空弁ユニットは、排水を貯留する貯留部と、貯留された排水を真空圧により吸い込む吸込管を開閉する真空弁と、を備える真空弁ユニットであって、前記貯留部を有する貯留槽と、前記真空弁を収容する弁収容槽と、を別々に備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記貯留槽と前記弁収容槽を接続するバイパス管を備える構成とすることができる。
【0012】
さらに、前記弁収容槽には前記貯留部の水位を検知して前記真空弁を開閉する制御装置が収容され、前記貯留部の水位を検知する水位検知管は前記バイパス管を通じて前記制御装置に接続されるとともに、前記吸込管は前記バイパス管を通じて前記真空弁に接続される構成とすることができる。
【0013】
そして、前記弁収容槽には流出側が下がるように前記吸込管が傾斜して取り付けられている構成とすることができる。
【0014】
また、前記吸込管を途中で分岐させて形成され前記弁収容槽内に配置される補助吸込管をさらに備える構成とすることができる。
【0015】
さらに、前記貯留槽とは別の予備貯留槽と、前記貯留槽又は前記弁収容槽と前記予備貯留槽とを接続する予備バイパス管と、をさらに備える構成とすることができる。
【0016】
そして、前記予備貯留槽には、前記真空弁と真空圧を発生する真空ポンプの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁が収容される構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明の真空弁ユニットは、排水を貯留する貯留部と、貯留された排水を真空圧により吸い込む吸込管を開閉する真空弁と、を備える真空弁ユニットであって、貯留部を有する貯留槽と、真空弁を収容する弁収容槽と、を別々に備えることを特徴とする。
【0018】
したがって、貯留槽と弁収容槽のそれぞれの高さを低く形成することができるため、地上に突出することなく真空弁ユニットを全体として浅い位置に埋設することができる。
【0019】
また、貯留槽と弁収容槽を接続するバイパス管を備えることで、真空弁が故障した際などには、このバイパス管を通じて排水を弁収容槽内に溢れさせることができる。
【0020】
さらに、弁収容槽には真空弁を開閉する制御装置が収容され、貯留部の水位を検知する水位検知管はバイパス管を通じて制御装置に接続されるとともに、吸込管はバイパス管を通じて真空弁に接続されることで、制御装置のメンテナンスが容易になるうえ、バイパス管を利用して構成を簡易なものにできる。
【0021】
そして、弁収容槽には流出側が下がるように吸込管が傾斜して取り付けられていることで、流出側で一定以上の土被りを得ることができる。
【0022】
また、吸込管を途中で分岐させて形成され弁収容槽内に配置される補助吸込管をさらに備えることで、弁収容槽内に溢れた排水や結露水などが貯留されても排水できる。
【0023】
さらに、貯留槽とは別の予備貯留槽と、貯留槽又は弁収容槽と予備貯留槽とを接続する予備バイパス管と、を備えることで、貯留槽から排水が溢れた際の貯留容量を大きくできる。
【0024】
そして、予備貯留槽には、真空弁と真空圧を発生する真空ポンプの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁が収容されることで、仕切弁カバーを別に設けることなく仕切弁を収容できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の真空弁ユニットの構成を説明する断面図である。
【図2】真空式下水道システムの全体構成を説明する説明図である。
【図3】真空弁と制御装置の接続関係を拡大して説明する断面図である。
【図4】実施例2の真空弁ユニットの構成を説明する断面図である。
【図5】実施例3の真空弁ユニットの構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0027】
まず、図2を用いて本発明の真空弁ユニットUを備える真空式下水道システムSの全体構成を説明する。
【0028】
本実施例の真空式下水道システムSでは、図2に示すように、家庭91や工場(不図示)などから排出された排水は自然流下管路92を通じて真空弁ユニットUに流入する。
【0029】
つづいて、この真空弁ユニットUに流入した排水は、真空ステーション96で発生された真空圧(大気圧よりも低くなった圧力)によって、真空下水管路としての流下部93やリフト部94を逐次通過するように気液混送流となって搬送される。
【0030】
この真空ポンプ方式の真空ステーション96は、真空ポンプ96aにより密閉したタンク96b内の空気を吸引することで真空圧を発生させるもので、真空下水管内部を0.4気圧程度の真空状態に保持することで、各家庭などから排水を吸引して集めている。
【0031】
その後、排水は圧送ポンプ96cによって下水処理場などに送られる。なお、真空ステーション96としては、小規模な施設などでは、上記した真空ポンプ方式ではなく、エジェクタ方式を用いることもできる。
【0032】
また、この真空式下水道システムSは、真空と大気圧との差圧によって排水を強制的に収集・搬送するシステムであり、真空下水管路の埋設深度が浅い、埋設物の回避が容易、真空弁ユニットに電源が不要、排水の漏れがない、管路の清掃が不要、スカムが発生しにくい、などの特徴を備えている。
【0033】
そして、本実施例の真空弁ユニットUは、図1に示すように、排水を貯留する貯留部10を有する貯留槽1と、貯留された排水を真空圧により吸い込む吸込管を開閉する真空弁20を収容する弁収容槽2と、を別々に備える分離型の真空弁ユニットUであり、貯留槽1と弁収容槽2を接続するバイパス管3と、真空弁と真空圧を発生する真空ポンプの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁40を覆う仕切弁カバー4と、をさらに備えている。
【0034】
また、別体に形成された貯留槽1及び弁収容槽2は、従来の一体型の真空弁ユニットの略半分の高さに形成されており、横方向(水平方向)に離して並べられて設置されているため、地面から底面までの深さが従来の略半分になっている。
【0035】
この貯留槽1は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって有底円筒状に形成されるもので、貯留部10と、地面と同一高さに設置されて上部を塞ぐ蓋11と、貯留された排水に下端を挿入されて貯留部10内の水位の変動を検知する水位検知管12と、を備えている。
【0036】
さらに、貯留槽1は、全体として従来の一体型の真空弁ユニットの略半分の高さに形成されているものの、貯留部10の容積は従来と略同様に形成されている。
【0037】
加えて、この貯留槽1には、貯留部10の上方に繋がり排水を流入させる流入管13と、排水を取り込むために貯留部10に貯留された排水内に先端が挿入される吸込管14と、真空弁20の故障時に排水を吸い込む緊急排出管15と、真空圧によって真空下水管路に吸引された排水の後に空気を補う通気管16と、が接続されている。
【0038】
また、弁収容槽2は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって貯留槽1と同一径かつ同一高さの有底円筒状に形成されるもので、真空弁20と、地面と同一高さに設置されて上部を塞ぐ蓋21と、水位検知管12によって水位を検知して真空弁20を開閉する制御装置22と、吸込管14を途中で分岐させて形成される補助吸込管23と、を備えている。
【0039】
この真空弁20は、制御装置22によって制御されることで、水位が上昇すると開弁して吸込管14に真空圧を導入して貯留部10内の排水などを吸い込み、水位が下降すると一定量の空気を通気管16から吸い込んだうえで真空弁20が閉弁するため、排水を取り込まずに貯留部10内に排水を貯留する。
【0040】
また、制御装置22は、貯留部10内の排水に挿入された水位検知管12内の水位上昇を検知することで、水位が上昇すると真空弁20を開き、水位が下降すると真空弁20を閉じるように作用する。
【0041】
加えて、この弁収容槽2には、流出側が下がるように傾斜して吸込管14が取り付けられおり、この傾斜した吸込管14に真空弁20が傾斜して取り付けられている。したがって、吸込管14は、弁収容槽2に流入する側よりも流出する側(真空ポンプ96aに近い側)の高さが低くなっている。
【0042】
さらに、バイパス管3は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって緊急排出管15より断面積の大きい円筒状に形成されるもので、貯留槽1の側面上部と、弁収容槽2の側面上部と、を接続している。
【0043】
加えて、このバイパス管3には、貯留槽1から弁収容槽2へ接続される緊急排出管15と、水位検知管12と制御装置22を接続するシリコンチューブ51と、ブリーザ管17(制御装置22に大気圧を供給する)と真空弁20を接続するシリコンチューブ52と、ブリーザ管17と制御装置22を接続するシリコンチューブ53と、が挿通されており、さや管となっている(図3参照)。一方、吸込管14はこのバイパス管3には挿通されておらず、貯留槽1と弁収容槽2の間では地盤中に直接埋設されている。
【0044】
そして、仕切弁カバー4は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって筒状に形成されるもので、地面と同一高さに設置されて上部を塞ぐ蓋41を備えており、吸込管14の途中に設置した仕切弁40の上部を覆っている。
【0045】
また、制御装置22には、図3の拡大図に示すように、上面に水位検知管12と繋がれたシリコンチューブ51、一方の側面にブリーザ管17と繋がれて大気圧を導入するシリコンチューブ53、他方の側面に緊急排出管15(又は吸込管14)と繋がれて真空圧を導入するシリコンチューブ55、底面に真空弁20の上面と繋がれて真空圧又は大気圧を選択的に導入させるシリコンチューブ54、が接続されている。
【0046】
さらに、真空弁20には、上面に制御装置22の底面と繋がれたシリコンチューブ54、側面にブリーザ管17と繋がれて大気圧を導入するシリコンチューブ52、が接続されている。
【0047】
次に、本実施例の真空弁ユニットUの動作について簡単に説明すると、まず、貯留部10内の排水の水位が上昇し、水位検知管12内の空気圧が増加して所定の圧力になると、制御装置22によって真空弁20が開かれて、真空圧が吸込管14に伝達される。
【0048】
そうすると、貯留部10内に貯留された排水は、大気圧と真空圧との差圧によって押し出されるようにして吸込管14に吸い込まれる。
【0049】
つづいて、排水が排出されることで貯留部10内の水位が低下すると、通気管16から吸込管14を通じて空気が吸い込まれるようになり、一定時間経過後に真空弁20がばねの力によって閉じられる。
【0050】
このように、貯留部10内の水位上昇と排水吸い込みによる水位低下という上記の動作を繰り返すことによって、排水を逐次処理的に気液混送流として真空ステーション96まで搬送する。
【0051】
次に、本実施例の真空弁ユニットUの有する効果を列挙して説明する。
【0052】
(1)本実施例の真空弁ユニットUは、排水を貯留する貯留部10と、貯留された排水を真空圧により吸い込む吸込管14を開閉する真空弁20と、を備える真空弁ユニットUであって、貯留部10を有する貯留槽1と、真空弁20を収容する弁収容槽2と、を別々に備えている。
【0053】
したがって、貯留槽1と弁収容槽2のそれぞれの高さを低く形成することができるため、地上に突出することなく真空弁ユニットUを全体として浅い位置に埋設することができる。
【0054】
そして、このように地上に突出することがなければ、真空弁ユニットUの上部の空間を有効に活用できる。さらに、浅い位置に埋設できれば、従来は埋設できなかったような強固な支持地盤であっても、真空弁ユニットUをきわめて浅い場所に設置できるため施工性がよい。
【0055】
さらに、別々に分割された貯留槽1と弁収容槽2を横方向に並べて配置することで、浅埋設に対応できるだけでなく、平面的な設置スペースの自由度も格段に向上する。
【0056】
加えて、このように真空弁ユニットUを浅く埋設することで、真空弁ユニットU内における排水の揚程を短くすることができるため、真空圧を圧送のために有効に活用できる。
【0057】
(2)また、貯留槽1と弁収容槽2を接続するバイパス管3を備えることで、真空弁20が故障して開弁しない際などには、このバイパス管3を通じて排水を弁収容槽2内に溢れさせることができる。
【0058】
つまり、バイパス管3によって貯留槽1と弁収容槽2が繋がっていれば、貯留槽1の水位が上昇して溢れた排水を、弁収容槽2内に流入させて貯留することができる。
【0059】
加えて、弁収容槽2には貯留部10の水位を検知して真空弁20を開閉する制御装置22が収容され、貯留部10の水位を検知する水位検知管12はバイパス管3を通じて制御装置22に接続されることで、制御装置22のメンテナンスが容易になるうえ、バイパス管3を利用して構成を簡易なものにできる。
【0060】
(3)そして、弁収容槽2には流出側が下がるように傾斜して吸込管14が取り付けられていることで、流出側で一定以上の土被りを得ることができる。
【0061】
そうすると、土被りが深くなることで、車両重量などによって管路に作用する荷重を低減できる。
【0062】
さらに、流出側で一定以上の土被りを得ることができれば、高さ方向寸法の大きい仕切弁40であっても地下に埋設することができる。
【0063】
加えて、さらに吸込管14に真空弁20を傾斜して取り付ければ、真空弁20が鉛直方向に近い角度に立つように設置されるため、メンテナンス時などに真空弁20を容易に着脱できるようになる。
【0064】
(4)また、吸込管14を途中で分岐させて形成され、弁収容槽2内に配置される補助吸込管23をさらに備えることで、弁収容槽2内に溢れた排水や結露水などが貯留されても排水できる。
【0065】
なお、この補助吸込管23は、真空弁20よりも貯留部10に近い側に接続されることで、真空弁20が開いた状態でのみ弁収容槽2内の排水や結露水などを吸い込むようになる。
【実施例2】
【0066】
以下、図4を用いて、前記実施例とは別の形態のバイパス管3Aを備える真空弁ユニットU1について説明する。なお、前記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0067】
まず、構成について説明すると、本実施例の真空弁ユニットU1は、図4に示すように、貯留部10を有する貯留槽1と、真空弁20を収容する弁収容槽2と、を別々に備える分離型の真空弁ユニットU1である。
【0068】
この弁収容槽2には、真空弁20、蓋21、水位検知管12によって水位を検知して真空弁20を開閉する制御装置22、補助吸込管23、が収容されている。
【0069】
加えて、本実施例の真空弁ユニットU1は、貯留槽1と弁収容槽2を接続するバイパス管3Aと、真空弁と真空圧を発生する真空ポンプの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁40を覆う仕切弁カバー4と、をさらに備えている。
【0070】
そして、本実施例のバイパス管3Aは、塩化ビニルなどの合成樹脂によって吸込管14と緊急排出管15の合計断面積より断面積の大きい円筒状に形成されるもので、貯留槽1の側面上部と、弁収容槽2の側面上部と、を接続している。
【0071】
また、このバイパス管3Aには、緊急排出管15と、水位検知管12と制御装置22を接続するシリコンチューブ51と、ブリーザ管17と真空弁20を接続するシリコンチューブ52と、ブリーザ管17と制御装置22を接続するシリコンチューブ53と、に加えて、貯留部10に貯留された排水を吸い込む吸込管14も挿通されている。
【0072】
次に、作用効果について説明する。
【0073】
(1)本実施例の真空弁ユニットU1は、貯留槽1と弁収容槽2を接続するバイパス管3Aを備えることで、真空弁20が故障して開弁しない際などには、このバイパス管3Aを通じて排水を弁収容槽2内に溢れさせることができる。
【0074】
(2)さらに、弁収容槽2には真空弁20を開閉する制御装置22が収容され、貯留部10の水位を検知する水位検知管12はバイパス管3Aを通じて制御装置22に接続されるとともに、吸込管14もバイパス管3Aを通じて真空弁20に接続されることで、制御装置22及び吸込管14のメンテナンスが容易になるうえ、バイパス管3Aを利用して構成を簡易なものにできる。
【0075】
加えて、本実施例のように、バイパス管3Aは吸込管14と緊急排出管15の断面積に対して余裕面積を十分に有しているため、余裕面積を通じて貯留槽1内の排水をスムーズに弁収容槽2内に溢れさせることができる。
【0076】
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施例と略同様であるため説明を省略する。
【実施例3】
【0077】
以下、図5を用いて、前記実施例とは別の形態の真空弁ユニットU2について説明する。なお、前記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0078】
まず、構成について説明すると、本実施例の真空弁ユニットU2は、図5に示すように、貯留部10を有する貯留槽1と、真空弁20を収容する弁収容槽2と、を別々に備える分離型の真空弁ユニットU2である。
【0079】
さらに、本実施例の真空弁ユニットU2は、貯留槽1と弁収容槽2を接続するバイパス管3と、貯留槽1とは別の予備貯留槽4Aと、弁収容槽2とこの予備貯留槽4Aとを接続する予備バイパス管3Bと、を備えている。
【0080】
この予備貯留槽4Aは、塩化ビニルなどの合成樹脂によって貯留槽1と同一径かつ同一高さの有底円筒状に形成されるもので、上部には蓋41が設置され、内部には真空弁20と真空圧を発生する真空ポンプ96aとの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁40が収容されている。
【0081】
また、予備バイパス管3Bは、塩化ビニルなどの合成樹脂によって円筒状に形成されるもので、弁収容槽2の側面下部と、予備貯留槽4Aの側面下部と、を接続している。なお、この予備バイパス管3Bは、弁収容槽2に接続されるものに限定されず、貯留槽1に直接に接続されるものであってもよい。
【0082】
次に、作用効果について説明する。
【0083】
(1)本実施例の真空弁ユニットU2は、貯留槽1とは別の予備貯留槽4Aと、弁収容槽2又は貯留槽1とこの予備貯留槽4Aとを接続する予備バイパス管3Bと、をさらに備えていることで、貯留槽1から排水が溢れた際の貯留容量を大きくできる。
【0084】
加えて、このように予備貯留槽4Aを設けることで、通常の貯留部10の容積は変えないで真空弁20の開閉頻度を維持しつつも、溢れた際の予備の貯留容量を大きくできる。
【0085】
(2)また予備貯留槽4Aには、真空弁20と真空圧を発生する真空ポンプ96aの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁40が収容されることで、仕切弁カバー4(実施例1,2参照)を別に設けることなく仕切弁40を収容できる。
【0086】
なお、この他の構成および作用効果については、前記実施例と略同様であるため説明を省略する。
【0087】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0088】
例えば、前記実施例では、バイパス管3,3Aに、種々の配管を挿通する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、バイパス管には配管を挿通せずにオーバーフロー用に独立して設けてもよい。
【0089】
また、前記実施例3では、予備貯留槽4A内に仕切弁40を配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、予備貯留槽4A内に仕切弁40を設置しなくてもよい。
【0090】
さらに、前記実施例では、貯留槽1と弁収容槽2の径と高さが略同一の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、貯留槽1と弁収容槽2の径や高さは異なってもよい。
【符号の説明】
【0091】
S 真空式下水道システム
U,U1,U2 真空弁ユニット
1 貯留槽
10 貯留部
12 水位検知管
14 吸込管
2 弁収容槽
20 真空弁
22 制御装置
23 補助吸込管
3,3A,3B バイパス管
4 仕切弁カバー
4A 予備貯留槽
40 仕切弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水を貯留する貯留部と、貯留された排水を真空圧により吸い込む吸込管を開閉する真空弁と、を備える真空弁ユニットであって、
前記貯留部を有する貯留槽と、前記真空弁を収容する弁収容槽と、を別々に備えることを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項2】
前記貯留槽と前記弁収容槽を接続するバイパス管を備えることを特徴とする請求項1に記載の真空弁ユニット。
【請求項3】
前記弁収容槽には前記貯留部の水位を検知して前記真空弁を開閉する制御装置が収容され、前記貯留部の水位を検知する水位検知管は前記バイパス管を通じて前記制御装置に接続されるとともに、前記吸込管は前記バイパス管を通じて前記真空弁に接続されることを特徴とする請求項2に記載の真空弁ユニット。
【請求項4】
前記弁収容槽には流出側が下がるように前記吸込管が傾斜して取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の真空弁ユニット。
【請求項5】
前記吸込管を途中で分岐させて形成され前記弁収容槽内に配置される補助吸込管をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の真空弁ユニット。
【請求項6】
前記貯留槽とは別の予備貯留槽と、前記貯留槽又は前記弁収容槽と前記予備貯留槽とを接続する予備バイパス管と、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の真空弁ユニット。
【請求項7】
前記予備貯留槽には、前記真空弁と真空圧を発生する真空ポンプとの間に配置されて真空圧を遮断する仕切弁が収容されることを特徴とする請求項6に記載の真空弁ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−202461(P2011−202461A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72618(P2010−72618)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】