説明

真空排気装置および真空排気方法、基板の加工装置および基板の加工方法

【課題】 プロセスの反応条件に拘わらず、真空ポンプの過負荷を起こすことなくプロセス容器の圧力を短時間で目標圧力に到達させることができる圧力制御を行う真空排気装置を提供する。
【解決手段】プロセスガスG1を導入しプロセス反応を行うプロセス容器21のガスG2を排出し、プロセス容器の圧力を真空にする真空ポンプ4、5と、真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセス反応時のプロセス容器の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段6とを備え、制御手段が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、真空ポンプの所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、真空ポンプを前記所定の回転速度にする第2の制御を行う真空排気装置2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス容器からガスを排気する真空ポンプの回転数を調整し、プロセス容器の圧力状態を制御する真空排気装置、および真空排気方法、当該真空排気装置を用いてプロセス容器の真空排気を行い、当該プロセス容器内で基板を加工する基板の加工装置、および当該真空排気方法を用いてプロセス容器の真空排気を行い、当該プロセス容器内で基板を加工する基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図21に示すように、従来の真空排気装置102は、流量調整器103によって流量が調整されてプロセスガスG1が導入されるプロセス容器121からガスG2を排気し、プロセス容器121を真空にするターボ分子ポンプ104と、ターボ分子ポンプ104の排気側のガスG2を排気するドライポンプ105と、ターボ分子ポンプ104の回転数を調整してプロセス容器121の圧力を制御する圧力制御コントローラ106とを備える。さらに、ターボ分子ポンプ104は、ターボ分子ポンプモータ104Mを内蔵し、ドライポンプ105はドライポンプモータ105Mを内蔵する。
【0003】
また、真空排気装置102は、プロセス容器121の圧力を測定する圧力計107と、ターボ分子ポンプ104の排気側の圧力を測定する圧力計108と、ターボ分子ポンプ104とドライポンプ105との間に設置された、ドライポンプ105の停止による大気圧力突入を防止するための電磁弁109と、外部電源E1を受けターボ分子ポンプモータ104Mにモータ電源E2を送るモータ制御盤110と、外部電源E1を受けドライポンプモータ105Mにモータ電源E3を送るモータ制御盤111とを備える。
【0004】
圧力計107、108は、測定した圧力を圧力信号として圧力制御コントローラ106に送る。圧力制御コントローラ106は、ターボ分子ポンプ104の回転数を指示する回転数指示信号i6をモータ制御盤110に送り、モータ制御盤110は指示された回転数にすべく調整された電源E2をターボ分子ポンプモータ104Mに送る。圧力制御コントローラ106は、プロセス容器121の圧力制御を開始する圧力制御開始信号i1をプロセス制御コントローラ(不図示)より受ける。
【0005】
次に、図22、図21を参照し、従来の、ターボ分子ポンプ104の回転数調整によるプロセス容器121の圧力制御を行う真空排気装置102の運転方法のステップについて述べる。ターボ分子ポンプ104およびドライポンプ105がともに定格回転数で運転されている(ステップS101)ときに、プロセス容器121にプロセスガスG1を導入し(ステップS102)、プロセス制御コントローラ(不図示)より圧力制御コントローラ106に圧力制御開始信号i1が送られる(ステップS103)。次に、ターボ分子ポンプ104の回転数を調整することによりプロセス容器121の圧力を制御する制御が開始され(ステップS104)、プロセス容器121の圧力が目標値に到達する(ステップS105)。その後、プロセス制御コントローラ(不図示)より圧力制御終了信号(不図示)が圧力制御コントローラ106に送られ(ステップS106)、プロセス容器121の圧力制御が終了する。
【0006】
次に、図23、図21を参照し、従来の圧力制御を時間の経過の観点から説明する。図において、横軸は時間、縦軸は圧力または回転数である。図中、線P102はプロセス容器121の圧力、線N104はターボ分子ポンプ104の回転数、線N105はドライポンプ105の回転数を表す。時間t101に、プロセス容器121へのプロセスガスG1の導入が開始されるが、時間t101以前は、ターボ分子ポンプ104とドライポンプ105は、定格回転数で駆動されており、プロセス容器121は、到達圧力(真空)下にある。
【0007】
時間t101に、プロセス容器121へのプロセスガスG1の導入が開始され、プロセス容器121の圧力が上昇し始める。時間t102に圧力制御開始信号i1が圧力制御コントローラ106に入力され、圧力制御が開始される。目標圧力は到達圧力より高いため、圧力制御コントローラ106はターボ分子ポンプ104の回転数を減少する回転数調整を行う。ドライポンプ105の回転数は調整されず、定格回転数に維持される。ターボ分子ポンプ104の回転数の減少により、プロセス容器121の圧力は、上昇を開始する。プロセス容器121の圧力は圧力計107から圧力制御コントローラ106にフィードバックされ、圧力制御コントローラ106はこの圧力をもとに回転数のフィードバック制御を行い、ターボ分子ポンプ104の回転数は昇減速される。時間t103にプロセス容器121の圧力は目標値に到達し、プロセス容器121の圧力は目標値に維持される。時間t104に圧力制御終了信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ106に送られプロセス容器121の圧力制御が終了する。
【0008】
【特許文献1】特開平5−231381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の真空排気装置では、プロセス容器の圧力制御を開始する圧力制御開始信号が圧力制御コントローラに入力された後、プロセス容器の圧力を目標圧力に制御すべくターボ分子ポンプの回転数を調整している。しかし、このプロセス容器の圧力制御時における圧力のオーバーシュートを避けるため、ポンプ回転数は、定格回転数より減速方向に変化するよう調整しており、ポンプ回転数の変化がプロセス容器の圧力変化に反映されるまでに、ポンプ回転数を大きく変える必要がある。
【0010】
また、プロセス容器の圧力の変化は、プロセス条件にも左右されるが、主としてターボ分子ポンプの回転数変化により支配され、プロセス容器の圧力が目標圧力に到達するまでに要する時間はターボ分子ポンプの回転数変化に要する時間にほぼ相当する。
【0011】
しかしながら、例えば非接触にて真空中で運転している磁気軸受を備えるターボ分子ポンプにおいては、ロータに作用する摩擦がないために減速に時間を要する。また、ターボ分子ポンプの回転数変化に対しプロセス容器の圧力変化がリニヤに現れず、回転数を大きく変える必要があるため、プロセス容器圧力が目標圧力に到達するまで制御時間の長期化を招いている。また、プロセス容器のクリーニング時等に、ターボ分子ポンプ等のポンプ排気性能を越えるプロセス条件が与えられた場合、過負荷運転によるモータ消費電力の増加・脱調を引き起こし、またロータの振れ回りを招いて保護ベアリング接触の恐れもあった。
【0012】
そこで、本発明は、プロセスの反応条件にかかわらず、真空ポンプの過負荷を起こすことなくプロセス容器の圧力を短時間で目標圧力に到達させることができる圧力制御を行う真空排気装置、および真空排気方法を提供すること、当該真空排気装置を備えた基板の加工装置、および当該真空排気方法を備えた基板の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る発明による真空排気装置2は、例えば図1に示すように、プロセスガスG1を導入しプロセス反応を行うプロセス容器21のガスG2を排出し、プロセス容器21の圧力を真空にする真空ポンプ4、5と;真空ポンプ4、5の回転速度を調整し、前記プロセス反応時のプロセス容器21の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段6とを備え;制御手段6が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、真空ポンプ4、5の所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、真空ポンプ4、5を前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;真空排気装置2。
【0014】
このように構成すると、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、真空ポンプの所定の回転速度を算出するので、真空ポンプを、第1の制御の前にプロセス反応に適した所定の回転速度にすることができ、プロセスの反応条件にかかわらず、第1の制御において真空ポンプの過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器の圧力状態をプロセス反応に適した圧力状態にすることができる。
【0015】
ここで「圧力状態にする」とは、例えばある圧力値にすること、ある圧力値にして当該圧力値に維持すること、一定の増圧率または一定の減圧率で圧力を変化させること、一定の増圧率または一定の減圧率で圧力を変化させる圧力状態を含むこと、圧力を時間的に規則的に変化させること、増圧率または減圧率を時間的に規則的に変化させること、をいう。
【0016】
典型的には、プロセス反応に適した圧力状態にするために、プロセス容器の圧力を上昇させる必要があるので、真空ポンプは所定の回転速度に減速される。
【0017】
上述の目的を達成するために、請求項2に係る発明による真空排気装置2は、例えば図1に示すように、プロセスガスG1を導入しプロセス反応を行うプロセス容器21のガスG2を排出し、プロセス容器21の圧力を真空にする第1の真空ポンプ4と;第1の真空ポンプ4の排気側に接続され、前記排気側のガスG2を排出し、プロセス容器21の圧力を真空にする第2の真空ポンプ5と;第1の真空ポンプ4と第2の真空ポンプ5のどちらか一方のポンプ4又は5の回転速度を調整し、前記プロセス反応時のプロセス容器21の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段6とを備え;制御手段6が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記どちらか一方のポンプ4又は5の所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、前記どちらか一方のポンプ4又は5を前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;真空排気装置2。
【0018】
このように構成すると、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、第1の真空ポンプと第2の真空ポンプのどちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出するので、どちらか一方のポンプを、第1の制御の前にプロセス反応に適した所定の回転速度にすることができ、プロセスの反応条件にかかわらず、第1の制御において真空ポンプの過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器の圧力状態がプロセス反応に適した圧力状態になるようにすることができる。
【0019】
上述の目的を達成するために、請求項3に係る発明による真空排気装置2は、例えば図1に示すように、プロセスガスG1を導入しプロセス反応を行うプロセス容器21のガスG2を排出し、プロセス容器21の圧力を真空にする第1の真空ポンプ4と;第1の真空ポンプ4の排気側に接続され、前記排気側のガスG2を排出し、プロセス容器21の圧力を真空にする第2の真空ポンプ5と;第1の真空ポンプ4の回転速度を調整し、前記プロセスガス反応時のプロセス容器21の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御し第2の真空ポンプ5の回転速度を調整し、前記プロセス反応時の前記排気側の圧力状態が所定の圧力状態になるように制御する第1の制御を行う制御手段6とを備え;制御手段6が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、第1の真空ポンプ4と前記第2の真空ポンプ5の少なくともどちらか一方のポンプ4又は5の所定の回転速度を算出し、第1の制御の前に、前記少なくともどちらか一方のポンプ4又は5を前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;真空排気装置2。
【0020】
このように構成すると、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、第1の真空ポンプと第2の真空ポンプの少なくともどちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出するので、前記少なくともどちらか一方のポンプを、第1の制御の前にプロセス反応に適した所定の回転速度にすることができ、プロセスの反応条件にかかわらず、第1の制御において真空ポンプの過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器の圧力状態がプロセス反応に適した圧力状態になるようにすることができる。制御手段が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、第1の真空ポンプと前記第2の真空ポンプとの所定の回転速度をそれぞれ算出し、第1の制御の前に、第1の真空ポンプと前記第2の真空ポンプとをそれぞれ前記所定の回転速度にする第2の制御を行ってもよい。このようにすると、より広い圧力範囲の制御、圧力変化率の高い圧力変化を含む制御に適切に対処することができる。
【0021】
上述の目的を達成するために、請求項4に係る発明による基板の加工装置1は、例えば図1、図19に示すように、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の真空排気装置2と;プロセスガスG1が導入されプロセス反応が行われるプロセス容器21とを備え;プロセス容器21が、基板Wを収納し、前記プロセス反応により基板Wの表面を加工し、基板を加工するよう構成される。
【0022】
このように構成すると、プロセスの反応条件にかかわらず、第1の制御において真空ポンプの過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器の圧力状態をプロセス反応に適した圧力状態にすることができ、基板を加工する加工時間を短縮することができる。
【0023】
上述の目的を達成するために、請求項5に係る発明による真空排気方法は、例えば図1に示すように、プロセス容器21にプロセスガスG1を導入してプロセス反応を行う反応工程と;真空ポンプ4、5によってプロセス容器21のガスを排気し、プロセス容器21を真空にする真空化工程と;真空ポンプ4、5の回転速度を調整し、プロセス容器21の圧力を前記プロセス反応に適した真空度になるよう制御する第1の制御工程と;前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、真空ポンプ4、5の所定の回転速度を算出する算出行程と;前記真空ポンプ4、5を、前記第1の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第2の制御工程とを備える。
【0024】
上述の目的を達成するために、請求項6に係る発明による真空排気方法は、例えば図1に示すように、プロセス容器21にプロセスガスG1を導入してプロセス反応を行う反応工程と;第1の真空ポンプ4によってプロセス容器21のガスG2を排気し、プロセス容器21を真空にする第1の真空化工程と;第2の真空ポンプ5によって第1の真空ポンプ4の排気側のガスG2を排気し、プロセス容器21を真空にする第2の真空化工程と;第1の真空ポンプ4と第2の真空ポンプ5のどちらか一方のポンプ4または5の回転速度を調整し、前記プロセス反応時のプロセス容器21の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御工程と;前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記どちらか一方のポンプ4または5の所定の回転速度を算出する算出行程と;前記どちらか一方のポンプ4または5を、前記第1の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第2の制御工程とを備える。
【0025】
上述の目的を達成するために、請求項7に係る発明による真空排気方法は、例えば図1に示すように、プロセス容器21にプロセスガスG1を導入してプロセス反応を行う反応工程と;第1の真空ポンプ4によってプロセス容器21のガスG2を排気し、プロセス容器21を真空にする第1の真空化工程と;第2の真空ポンプ5によって第1の真空ポンプ4の排気側のガスG2を排気し、プロセス容器21を真空にする第2の真空化工程と;第1の真空ポンプ4の回転速度を調整し、プロセスガスG1の導入後のプロセス容器21の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御工程と;第2の真空ポンプ5の回転速度を調整し、プロセスガスG1の導入後の前記排気側の圧力状態が所定の圧力状態になるよう制御する第2の制御工程と;前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、第1の真空ポンプ4と第2の真空ポンプ5の少なくともどちらか一方のポンプ4、5の所定の回転速度を算出する算出行程と;前記少なくともどちらか一方のポンプ4、5を、前記第1の制御工程および前記第2の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第3の制御工程とを備える。
【0026】
請求項8に係る真空排気方法は、請求項7に記載の真空排気方法において、例えば図1に示すように、前記第2の制御工程にて第1の真空ポンプ4の排気側の圧力状態が所定の圧力状態になった後に、前記第1の制御工程が行われる。
【0027】
上述の目的を達成するために、請求項9に係る発明による基板の加工方法は、例えば図1、図19に示すように、プロセス容器21に基板Wを収納する収納工程と;請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の真空排気方法によりプロセス容器21の排気を行う排気行程と;前記プロセス反応により基板Wの表面を加工する、基板の加工工程とを備える。
【0028】
基板とは、半導体基板、LCD基板等をいう。基板の表面の加工とは、成膜加工、エッチング加工、灰化加工等をいう。
【0029】
上述の目的を達成するために、請求項10に係る発明による真空排気装置2は、例えば図1に示すように、プロセス容器21のガスG2を排出し、プロセス容器21の圧力を真空にする真空ポンプ4、5と;真空ポンプ4、5の回転速度を調整し、プロセス容器21の圧力状態が所望の圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段6とを備え;制御手段6が、プロセス情報に基づいて、真空ポンプ4、5の所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、真空ポンプ4,5を前記所定の回転速度にする第2の制御を行う。
【0030】
このように構成すると、プロセス情報に基づいて、真空ポンプの所定の回転速度を算出するので、真空ポンプを、第1の制御の前に所定の回転速度にすることができ、第1の制御において真空ポンプ4、5の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の圧力状態を所望の圧力状態にすることができる。
【0031】
真空ポンプは、プロセス容器のガスを排出し、プロセス容器の圧力を真空にする第1の真空ポンプと、第1の真空ポンプの排気側に接続され、前記排気側のガスを排出し、プロセス容器の圧力を真空にする第2の真空ポンプとを含んで構成されるようにしてもよい。制御手段による真空ポンプの回転速度の調整は、第1の真空ポンプと第2の真空ポンプのどちらか一方のポンプの回転速度の調整であってもよい。制御手段は、プロセス情報に基づいて、前記どちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、前記どちらか一方のポンプを前記所定の回転速度にする第2の制御を行うようにしてもよい。
【0032】
また、制御手段は、第1の真空ポンプの回転速度を調整し、プロセス容器の圧力状態が所望の圧力状態になるよう制御し、第2の真空ポンプの回転速度を調整し、前記排気側の圧力状態が所定の圧力状態になるように制御する第1の制御を行うようにしてもよい。
【0033】
上述の目的を達成するために、請求項11に係る発明による真空排気方法は、例えば図1に示すように、真空ポンプ4、5によってプロセス容器21のガスG2を排気し、プロセス容器21を真空にする真空化工程と;真空ポンプ4、5の回転速度を調整し、プロセス容器21の圧力状態が所望の圧力状態になるよう制御する第1の制御工程と;プロセス情報に基づいて、真空ポンプ4、5の所定の回転速度を算出する算出行程と;真空ポンプ4、5を、前記第1の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第2の制御工程とを備える。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明によれば、制御手段を備え、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、真空ポンプの所定の回転速度を算出するので、真空ポンプを、第1の制御の前にプロセス反応に適した所定の回転速度にすることができ、プロセスの反応条件にかかわらず、第1の制御において真空ポンプの過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器の圧力状態をプロセス反応に適した圧力状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0036】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態にかかる基板の加工装置1は、真空排気装置2(図中破線で囲んだ部分)と、プロセス反応を行い気密性を有するプロセス容器21と、プロセス容器21に導入するプロセスガスG1の流量を調整する流量調整器3とを備える。プロセスガスG1は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、これらの混合ガスである不活性ガス、ClFガス等のクリーニングガスであるが、SiHClガス等の反応ガスであってもよい。
【0037】
真空排気装置2は、プロセス容器21に排気配管12を介して接続されプロセス容器21の内部からガスG2を排気し、プロセス容器21の内部の圧力P21を真空にする真空ポンプとしての、および第1の真空ポンプとしてのターボ分子ポンプ4(回転数N4)と、ターボ分子ポンプ4の排気側に排気配管13を介して直列に接続されターボ分子ポンプ4の排気側のガスG2を外部(例えば大気)に排気する真空ポンプとしての、および第2の真空ポンプとしてのドライポンプ5(回転数N5)と、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5の運転を調整(例えば起動停止、回転数N4、N5の調整等)して、プロセス容器21の圧力状態をプロセス反応に適した所望の圧力状態に制御する制御手段としての圧力制御コントローラ6とを備える。
【0038】
ターボ分子ポンプ4は、ケーシング4Cと、ケーシング4C内に収納されたポンプロータ4Rと、ポンプロータ4Rを駆動するターボ分子ポンプモータ4Mと、ポンプモータ4Mとポンプロータ4Rの回転を支持する軸受(不図示)とを有する。ドライポンプ5は、ケーシング5Cと、ケーシング5C内に収納されたポンプロータ5Rと、ポンプロータ5Rを駆動するドライポンプモータ5Mと、ポンプモータ5Mとポンプロータ5Rの回転を支持する軸受(不図示)とを有する。
【0039】
また、真空排気装置2は、プロセス容器21に設置され、プロセス容器21の内部の圧力P21を測定する圧力計7と、排気配管13に設置されターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13を測定する圧力計8と、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5との間にある排気配管13上に設置された電磁弁9とを備える。電磁弁9は、ドライポンプ5が停止した場合、排気配管13を閉とし、プロセス容器21の圧力P21、ターボ分子ポンプ4の圧力、排気配管12の圧力、排気配管13の圧力P13が急激に大気圧力に突入するのを防止する。
【0040】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力制御を開始する圧力制御開始信号i1、プロセス容器21におけるプロセス反応に関連するプロセス情報i2をプロセス制御コントローラ(不図示)より受ける。
【0041】
圧力計7は、測定したプロセス容器21の圧力P21を圧力信号i3として圧力制御コントローラ6に送る。圧力計8は、測定したターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13(排気配管13の圧力)を圧力信号i4として圧力制御コントローラ6に送る。真空排気装置2は、外部電源E1の入力を受け、モータ電源E2をターボ分子ポンプモータ4Mに出力するモータ制御盤10と、外部電源E1の入力を受け、モータ電源E3をドライポンプモータ5Mに出力するモータ制御盤11とを備える。
【0042】
圧力制御コントローラ6は、制御手段としてのモータ制御盤10に、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整するための回転数指示信号i6を送り、制御手段としてのモータ制御盤11に、ドライポンプ5の回転数N5を調整するための回転数指示信号i7を送る。モータ制御盤10は、回転数指示信号i6を受け、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が指示通りの回転数N4になるよう、ターボ分子ポンプ4に送られるモータ電源E2を調整する(例えば、電圧、周波数の調整)。モータ制御盤11は、回転数指示信号i7を受け、ドライポンプ5の回転数N5が指示通りの回転数N5になるよう、ドライポンプ5に送られるモータ電源E3を調整する。
【0043】
プロセス制御コントローラ(不図示)は、流量調整器3に、プロセス容器21に導入されるプロセスガス流量を調整する調整信号i8を送る。流量調整器3は、調整信号i8に基づいて、プロセス容器21に導入されるプロセスガスG1の流量を調整する。圧力制御コントローラ6は、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13が大気圧に突入する可能性がある場合、電磁弁9を閉とする開閉指示信号i9を電磁弁9に送る。
【0044】
次に、図2を参照し、適宜図1、後述の図3を参照して本実施の形態の真空排気装置2の第1の運転方法のステップについて説明する。下記運転は圧力制御コントローラ6の制御によって行われる(後述の第2〜第7の運転方法において同じ)。
プロセス容器21の圧力制御を実施する前には、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5は、それぞれ定格回転数N4r、N5rで運転され(ステップS1)、プロセス容器21は定格圧力P21r下にある。プロセス制御コントローラ(不図示)よりプロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS2)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、ターボ分子ポンプ4(一方のポンプ)の所定の回転数としての待機回転数N4w(定格回転数N4rより小)を演算(算出)する(ステップS3)。当該演算の終了後、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を待機回転数N4wとする、ターボ分子ポンプ4の減速が開始される(ステップS4)。なお、ドライポンプ5の回転数N5の調整は行われず定格回転数N5rに維持される。
【0045】
次に、プロセス容器21でプロセス反応を起こさせるためプロセス容器21にプロセスガスG1が導入される(ステップS5)。ターボ分子ポンプ4の減速を継続し(ステップS6)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達したか否かを判断する(ステップS7)。ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達しない場合(ステップS7がNO)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4の減速を続ける(ステップS6)。ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達した場合(ステップS7がYES)、ターボ分子ポンプ4を待機回転数N4wで待機させる(ステップS8)。
【0046】
その後、プロセス容器21の圧力制御を開始する圧力制御開始信号i1がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力される(ステップS9)。次に、プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21a(定格圧力P21rより高圧)(例えば、目標圧力(所望の圧力)P21xの90%)とする圧力上昇運転が行われる。プロセス容器21の圧力P21に所定の圧力P21aにするため、ターボ分子ポンプ4を減速する(ステップS11)。回転数N4を減少させるため、圧力制御コントローラ6から、モータ制御盤10に回転数調整信号i6が送られ、モータ制御盤10はターボ分子ポンプ4の回転数N4が減少するようモータ電源E2を調整する。よって、ターボ分子ポンプ4は減速する。
【0047】
圧力制御コントローラ6は、圧力計7から送られるプロセス容器21の圧力P21を表す圧力信号i3を基に、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達したか否かを判断し(ステップS12)、圧力P21が所定の圧力P21aに到達しない場合(ステップS12がNO)は、ターボ分子ポンプ4の回転数N4の調整すなわちターボ分子ポンプ4の減速(ステップS11)を続ける。プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達した場合(ステップS12がYES)は、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21x(定格圧力P21rより高圧)とする圧力制御が行われ(ステップS13)、圧力調整に付随してターボ分子ポンプ4の回転数N4は調整され(ステップS14)、ターボ分子ポンプ4は減速する。
【0048】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達したか否かを判断し(ステップS15)、圧力P21が目標圧力P21xに到達しない場合(ステップS15がNO)は、ターボ分子ポンプ4の回転数N4の調整(ステップS14)が続けられる。プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達した場合(ステップS15がYES)は、圧力制御コントローラ6は、さらにプロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに維持する(ステップS16)よう制御する。その後(プロセス容器21でのプロセス反応が終了した後)、プロセス容器21の圧力制御を終了する圧力制御終了信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS17)、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xとする圧力制御が終了する(ステップS18)。
【0049】
図3を参照し、真空排気装置2の第1の運転方法を時間の経過の観点から説明する。図において、横軸は時間、縦軸は圧力または回転数である。図中、P21はプロセス容器21の圧力、N4はターボ分子ポンプ4の回転数、N5はドライポンプ5の回転数、P13はターボ分子ポンプ4の排気側の圧力を表す。P2、N4、N5、P13は、値の割合の時間的変化を示すのが目的で、絶対値を正確に表すものではない(後述の図5、図7、図9において同様)。なお、適宜図1を参照する。
【0050】
時間t1より前には、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5はそれぞれ定格回転数N4r、N5rで回転しており、プロセス容器21の圧力P21、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13はそれぞれ定格圧力P21r、P13rである。時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス情報i2が入力される。その直後に、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を待機回転数N4wとするターボ分子ポンプ4の減速が始まる。ドライポンプ5の回転は定格回転数N5rに維持され、減速は行われない。よって、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13は、到達圧力P13rを維持し変化しない。したがって、図中、N5は、横軸に平行な直線であり、P13は、時間t1と時間t2の間は、横軸に平行な直線である。
【0051】
時間t2に、プロセス容器21へのプロセスガスG1の導入が開始される。プロセスガスG1の導入、およびターボ分子ポンプ4の回転数N4の減少により、プロセス容器21の圧力P21は徐々に上昇する。また、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13は、プロセスガスG1の導入により徐々に上昇し、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13は、時間t2’にP13bとなる。時間t3に、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達し、ターボ分子ポンプ4は待機回転数N4wで待機する。ターボ分子ポンプ4の回転数N4の減少が止まると、プロセス容器21の圧力P21は上昇の割合が緩やかになり、やがて圧力P21の上昇がほとんどなくなる。
【0052】
時間t4に、圧力制御開始信号i1が圧力制御コントローラ6に入力され、ターボ分子ポンプ4の回転数N4の減少が再開され、プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21aとするためにプロセス容器21の圧力P21の上昇が開始される。時間t5に、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21a(例えば目標値の90%)に到達し、次に圧力P21を目標圧力P21xとするプロセス容器21の圧力P21の圧力制御が開始される。当該圧力制御において、ターボ分子ポンプ4が、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xになるよう調整され、減速される。ターボ分子ポンプ4の減速により、プロセス容器21の圧力P21が再び上昇する。
【0053】
時間t6に、プロセス容器21の圧力P21が、目標圧力P21xに到達し、ターボ分子ポンプ4の減速が一応終了する。ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御は継続されている。時間t7に、圧力制御終了信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、プロセス容器21の圧力P21の制御が終了する。なお、プロセス容器21の圧力P21が時間t5から時間t6までハンチング等を起こさず単調に増加するよう圧力制御がなされる。圧力制御は、目標圧力P21xと測定したプロセス容器21の圧力P21との偏差を求め、偏差に応じてターボ分子ポンプモータ4Mへのモータ電源E2を調整(例えば、PI制御、PID制
御)し、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整することにより行うフィードバック制御である。
【0054】
本第1の運転方法のターボ分子ポンプ4の待機回転数N4wは、プロセス反応に適したプロセス条件をプロセス容器21に実現できる到達回転数に近い回転数であり、当該到達回転数より例えば20〜30%高い回転数とするとよい。ターボ分子ポンプ4の回転数N4を、定格回転数N4rからプロセス容器21の目標圧力P21xに対応する到達回転数まで、当該到達回転数を目標として連続して変化させることは行わず、まず最初に定格回転数N4rから待機回転数N4wまで変化させる。待機回転数N4wに到達したときに、待機回転数N4wにて待機させ、その後にプロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御を行うときに、当該圧力制御時に圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートの発生を防ぎつつ、圧力移行時間を短縮することができるように待機回転数N4wが決められる。なお、圧力制御がスムーズに行われ、圧力P21のオーバーシュートを回避できる場合は、待機回転数N4wにての待機を必ずしも行う必要はなく、待機回転数N4wに達した時点で即、圧力制御開始信号i1を入力し、圧力制御に移行することも可能である。
【0055】
所定の圧力P21aは、プロセス容器21の目標圧力P21xに近く、目標圧力P21xよりわずかに低い圧力(例えば、目標圧力P21xの80〜95%)であって、ターボ分子ポンプ4を減速させて、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aになるようにした後に、圧力P21を目標圧力P21xとする圧力制御を行った場合、圧力P21が単調に上昇して目標圧力P21xに到達し、圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートの発生を回避できるように決められた圧力である。
【0056】
本運転方法では、プロセス容器21の圧力P21が定格圧力P21rから所定の圧力P21a(目標圧力の90%)になるまで、ターボ分子ポンプ4を減速させることにより、圧力P21を増加させ、圧力P21が所定の圧力P21aに達した時点でターボ分子ポンプ4の減速を停止している。したがって、この間、目標とする圧力P21xと測定される圧力P21を比較して偏差を求め、偏差に応じてターボ分子ポンプモータ4Mの電源E2を調整してターボ分子ポンプの回転数を調整して圧力制御を行っているわけではない。本運転方法における圧力の上昇方法は、単にターボ分子ポンプ4の回転数N4を下げているだけなので、所要時間(t5−t1)は、圧力P21を制御する方式に比べ格段に短い。
【0057】
一方、目標圧力P21xになるまでターボ分子ポンプ4の減速により圧力P21を上昇させるのでは、目標圧力P21xに到達した時点で減速を停止しても圧力上昇は止まらず、圧力P21は目標圧力P21xをオーバーシュートしてしまう。よって、所定の圧力p21a(目標圧力P21xの90%)まで減速による圧力上昇を行い、その後、回転数N4を調整し圧力制御を行うことで圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを防いでいる。回転数N4の減速運転と、その後の圧力制御を組み合わせることによって、圧力P21のオーバーシュートを防ぎ且つ目標圧力P21xに到達するのに要する時間(t6−t4)の短縮化を実現している。
【0058】
プロセスガスG1の導入のタイミングは、プロセスガスG1の種類、プロセスガスの導入流量、プロセス容器21の圧力P21の変化状況、ターボ分子ポンプ4の回転数N4等を総合的に勘案し、ターボ分子ポンプ4の過負荷運転が時間t1から時間t7において生じないように決められる。ターボ分子ポンプ4の運転範囲を超える大流量のプロセスガスG1が導入される場合は、ターボ分子ポンプ4が待機回転数N4wに到達した後にプロセスガスG1を導入するとよい。
【0059】
プロセス情報には、圧力制御が適切に行われるような、目標圧力、および目標圧力状態、導入ガス(プロセスガス)流量、導入ガス種、圧力制御時間(t7−t5)、が含まれる。
【0060】
回転数N4の変化の範囲(定格回転数N4rと目標圧P21xに対応する回転数の差)が狭い場合、プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21aに制御する圧力制御は省略してもよい。この場合、より簡略な制御とし、制御時間を短縮することができる
【0061】
本運転方法では、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに制御する圧力制御の前に、ターボ分子ポンプ4を待機回転数N4wまで減速させ待機回転数N4wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整することにより行う当該圧力制御において、ターボ分子ポンプ4の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の圧力P21がプロセス反応に適した所望の圧力になるようにすることができる。また、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4w、ターボ分子ポンプ4の回転数N4の減速のさせ方を、適切に決めることによりプロセス容器21の圧力P21がハンチングを起こさず、単調に上昇するようにし、短時間でプロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達し、到達過程において圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを起こさないようにすることができる。
【0062】
本運転方法では、ドライポンプ5の回転数N5の調整を行わず、ターボ分子ポンプ4の回転数N4のみを調整しているが、この方法は、プロセスガスの導入流量が比較的少なく(例えば、5.0SLM以下)(SLMは標準状態、リッタ/毎分を表す)、プロセス容器21の定格圧力P21rと、プロセス反応に適した目標圧力P21xとの差が比較的小さい場合、すなわち定格圧力P21rが高真空(0.1Torr以下)で、目標圧力P21xが比較的高真空(例えば、0.5Torr以下)であり、圧力制御範囲が比較的小さい場合に適している。
【0063】
さらに、本運転方法において、非接触で真空中で運転している磁気軸受(不図示)を有するターボ分子ポンプ4の場合では、摩擦がないために減速に時間を要し、また回転数N4の変化に対しリニヤにプロセス容器21の圧力P21の変化が現れず、回転数N4を大きく変化させる必要があるため、プロセス容器21の圧力制御時間の長期化を招くが、まず定格回転数N4rから待機回転数N4wまで減速させ、次に圧力P21が所定の圧力P21aになるまで回転数N4を減速させ、次に回転数N4を調整し圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御を行うので、定格回転数N4rから目標圧力P21xに対応する到達回転数に到達するまでの時間(t6−t1)を短くすることができる。
【0064】
次に、図4を参照し、適宜図1、後述の図5を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる真空排気装置2の第2の運転方法のステップについて説明する。
圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の圧力制御を実施する前には、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5は、それぞれ定格回転数N4r、N5rで運転されている(ステップS21)。プロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS22)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4w(定格回転数N4rより小)およびドライポンプ5の所定の回転速度としての待機回転数N5w(定格回転数より小)を演算する(ステップS23)。当該演算の終了後、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5の回転数N4、5を待機回転数N4w、N5wとするため、ターボ分子ポンプ4のおよびドライポンプ5の減速を開始する(ステップS24)。
【0065】
次に、ターボ分子ポンプ4の減速を継続し(ステップS25A)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達したか否かを判断する(ステップS26A)。ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達しない場合(ステップS26AがNO)、ターボ分子ポンプ4の減速を続け(ステップS25A)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達した場合(ステップS26AがYES)、ターボ分子ポンプ4を待機回転数N4wで待機させる(ステップS27A)。ターボ分子ポンプ4が待機回転数(例えば、モータ制御盤10がターボ分子ポンプ運転中と認識可能な回転数の下限以下の回転数)に到達したときに、モータ制御盤10には電源E2をターボ分子ポンプに送るのを止め、ターボ分子ポンプ4は、惰性とプロセス容器21から排気されるガスG2によって、ほぼ待機回転数に等しい回転数で回り続ける。
【0066】
また、ドライポンプ5の減速を継続し(ステップS25B)、ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達したか否かを判断する(ステップS26B)。ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達しない場合(ステップS26BがNO)、ドライポンプ5の減速を続け(ステップS25B)、ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達した場合(ステップS26BがYES)、ドライポンプ5を待機回転数N5wで待機させる(ステップS27B)。ステップS25AからステップS26A、およびステップS25BからステップS27Bまでは、ステップS24の後に、同時に並行して進行する。
【0067】
その後、ステップS27AおよびステップS27Bの後に、プロセス容器21にプロセスガスG1が導入される(ステップS28)。そして、プロセス容器21の圧力制御開始信号i1がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力される(ステップS29)。プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21a(定格圧力P21rより高圧)(例えば、目標圧力P21xの90%)とする圧力P21の上昇が行われる。
圧力P21を上昇させるため、ドライポンプ5の減速を行う(ステップS31)。このため、圧力制御コントローラ6から、モータ制御盤11に回転数調整信号i7が送られ、モータ制御盤11はドライポンプ5の回転数N5が減少するようモータ電源E3を調整するので、ドライポンプ5は減速する。
【0068】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達したか否かを判断し(ステップS32)、圧力P21が所定P21aの値に到達しない場合(ステップS32がNO)は、ドライポンプ5の減速(ステップS31)を続ける。プロセス容器21の圧力P21が所定の値P21aに到達した場合(ステップS32がYES)は、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力(所望の圧力)P21x(定格圧力P21rより高圧)とする圧力制御が行われ(ステップS33)、ドライポンプ5の回転数N5を調整する(ステップS34)ため、圧力制御コントローラ6からモータ制御盤11へ回転数調整信号i7が送られ、モータ制御盤11はドライポンプ5の回転数N5が減少するようモータ電源E3を調整し、ドライポンプ5はさらに減速する。
【0069】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が目標値P21xに到達したか否かを判断し(ステップS35)、圧力P21が目標圧力P21xに到達しない場合(ステップS35がNO)は、ドライポンプ5の回転数N5の調整すなわちドライポンプ5の減速(ステップS34)が続けられる。プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達した場合(ステップS35がYES)は、圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに維持するよう制御し、ドライポンプ5の回転数N5を調整する(ステップS36)。その後、プロセス容器21の圧力制御を終了する圧力制御終了信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS37)、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御が終了する(ステップS38)。
【0070】
図5を参照し、真空排気装置2の第2の運転方法を時間の経過の観点から説明する。なお、適宜図1を参照する。
【0071】
時間t1より前には、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5はそれぞれ定格回転数N4r、N5rで回転しており、プロセス容器21の圧力P21は定格圧力P21rである。時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス情報i2が入力される。その直後に、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を待機回転数N4wとする減速と、ドライポンプ5の回転数N5を待機回転数N5wとする減速とが始まる。
【0072】
時間t2に、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5のそれぞれの回転数N4、N5の減少により、プロセス容器21の圧力P21は徐々に上昇し始める。時間t3にドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達し、ドライポンプ5は待機回転数N5wで待機する。時間t4にターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達し、ターボ分子ポンプ4は待機回転数N4wで待機する。
【0073】
時間t5に、プロセス容器21へのプロセスガスG1の導入が開始される。時間t6に、圧力制御開始信号i1が圧力制御コントローラ6に入力され、ドライポンプ5(一方のポンプ)の回転数N5を減速することによる、圧力P21を所定の圧力P21a(例えば目標値P21xの90%)とする圧力上昇が開始される。時間t7に、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達し、圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の圧力P21の制御が開始される。すなわち、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xになるようドライポンプ5が減速される。ドライポンプ5の減速により、プロセス容器21の圧力P21の上昇の割合が増加する。時間t8に、プロセス容器21の圧力P21が、目標圧力P21xに到達する。引き続き、プロセス容器21の圧力P21は目標圧力P21xを維持するよう制御されるので、ドライポンプ5の回転数N5は目標圧力P21xに対応する回転数に調整される。これ(目標圧力P21xの維持)がプロセス反応に適したプロセス容器21の圧力状態である。時間t9に、圧力制御終了信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、プロセス容器21の圧力P21の制御が終了する。なお、時間t7から時間t8の間、圧力制御が行われているときに、プロセス容器21の圧力P21はハンチング等を起こすことなく単調に増加する。
【0074】
本第2の運転方法のドライポンプ5の待機回転数N5wについて、前述の第1の運転方法のターボ分子ポンプ4の待機回転数N4wについての説明を、ターボ分子ポンプ4をドライポンプ5と読み替え、回転数N4を回転数N5と読み替え、定格回転数N4rを定格回転数N5rと読み替え、待機回転数N4wを待機回転数N5wと読み替えて、適用する。
【0075】
本第2の運転方法のドライポンプ5の所定の圧力P21aについて、前述の第1の運転方法のターボ分子ポンプ4の所定の圧力P21aについての説明を、ターボ分子ポンプ4をドライポンプ5と読み替えて適用する。
【0076】
本第2の運転方法では、圧力P21が定格圧力P21rから所定の圧力P21a(目標圧力の90%)になるまで、ドライポンプ5を減速させることにより、圧力P21を増加させ、圧力P21が所定の圧力P21aに達した時点でドライポンプ5の減速を停止している。したがって、この間、ドライポンプ5の回転数N5を調整して圧力制御を行っているわけではない。本運転方法における圧力の上昇方法は、単にドライポンプ5の回転数N5を下げているだけなので、所要時間(t7−t1)は、圧力P21を制御する方式に比べ格段に短い。
【0077】
一方、目標圧力P21xになるまでドライポンプ5の減速により圧力P21を上昇させるのでは、目標圧力P21xに到達した時点で減速を停止しても圧力上昇は止まらず、圧力P21は目標圧力P21xをオーバーシュートしてしまう。よって、所定の圧力p21a(目標圧力P21xの90%)まで減速による圧力上昇を行い、その後、回転数N5を調整し圧力制御を行うことで圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを防いでいる。回転数N5の減速運転と、その後の圧力制御を組み合わせることによって、圧力P21のオーバーシュートを防ぎ且つ目標圧力P21xに到達するのに要する時間(t8−t6)の短縮化を実現している。
【0078】
プロセスガスG1の導入のタイミングは、プロセスガスG1の種類、プロセスガスの導入流量、プロセス容器21の圧力P21の変化状況、ターボ分子ポンプ4の回転数N4、ドライポンプ5の回転数N5等を総合的に勘案し、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5の過負荷運転が時間t1から時間t9において生じないように決められる。本運転方法では、ターボ分子ポンプ4の運転範囲を超える大流量のプロセスガスG1(例えば、10SLM以上)が導入される場合であるので、ターボ分子ポンプ4が待機回転数N4wに到達し、電源E2の供給が停止され、惰性で回転する状態になった後にプロセスガスG1が導入される。
【0079】
なお、本第2の運転方法において、目標圧力P21xを維持することが、プロセス反応に適したプロセス容器21の圧力状態である。
本運転方法では、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4w、ドライポンプ5の待機回転数N5wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに制御する圧力制御の前に、ドライポンプ5を待機回転数N5wまで減速させ待機回転数N5wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、ドライポンプ5の回転数N5を調整することにより行う当該圧力制御において、ドライポンプ5の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の圧力P21がプロセス反応に適した所望の圧力になるようにすることができる。プロセスガスG1を導入した時点で、ターボ分子ポンプ4は待機回転数で回転しているので、ターボ分子ポンプ4の過負荷が生じることがない。
【0080】
また、ドライポンプ5の待機回転数N5w、ドライポンプ5の回転数N5の減速のさせ方を、適切に決めることによりプロセス容器21の圧力P21がハンチングを起こさず、単調に上昇するようにし、短時間でプロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達し、到達過程において圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを起こさないようにすることができる。
【0081】
本第2の運転方法では、ターボ分子ポンプ4の回転数N4の調整を行わず、ドライポンプ5の回転数N5のみを調整しているが、この方法は、プロセスガスの導入流量が比較的多く(例えば、10SLM以上)、プロセス容器21の定格圧力P21rと、プロセス反応に適した目標圧力P21xとの差が比較的大きい場合、すなわち定格圧力P21rが高真空(例えば、0.1Torr以下)で、目標圧力P21xが比較的高真空(例えば、0.5Torr以上)であり、圧力制御範囲が比較的大きい場合に適している。
【0082】
次に、図6を参照し、適宜図1、後述の図7を参照し、本発明の第1の実施の形態にかかる真空排気装置2の第3の運転方法のステップについて説明する。
圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の減圧制御を実施する前には、プロセス容器21内に大気(空気)が導入され、プロセス容器21は大気圧である。すなわち、プロセス容器内が一度大気解放されて空気で満たされた後の状態である。また、ターボ分子ポンプ4は停止しており、ドライポンプ5は定格回転数N5rで定格運転している(ステップS41)。プロセス制御コントローラ(不図示)よりプロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS42)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、ドライポンプ5の待機回転数N5wを演算する(ステップS43)。当該演算の終了後、圧力制御コントローラ6による、ドライポンプ5の回転数N5を待機回転数N5wとする減速が行われる(ステップS44)。
【0083】
次に、ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達したか否かを判断する(ステップS45)。ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達しない場合(ステップ45がNO)、ドライポンプ5の減速を続け(ステップS44)、ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達した場合(ステップS45がYES)、ドライポンプ5を待機回転数N5wで待機させる(ステップS46)。
【0084】
その後プロセス容器21の圧力P21を目標の(所望の)減圧率PR21x(減圧の場合、正)で減圧する減圧制御開始信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS47)、プロセス容器21の圧力P21のドライポンプ5の回転数N5を調整することによる減圧制御が実施される(ステップS48)。圧力制御コントローラ6から、モータ制御盤11に回転数調整信号i7が送られ、モータ制御盤11はドライポンプ5の回転数N5が増加するようモータ電源E3を調整するので、ドライポンプ5は増速する(ステップS49)。
【0085】
ドライポンプ5の増速中、圧力制御コントローラ6はドライポンプ5の回転数N5が定格回転数N5rに到達したか否かを判断する(ステップS50)。ドライポンプ5の回転数N5が定格回転数N5rに到達していない場合(ステップS50がNOの場合)、プロセス容器21の圧力P21が所定の設定値P21bより高いか否か判断される(ステップS52)。プロセス容器21の圧力P21が所定の設定値P21bより高い場合(ステップS52がYES)、プロセス容器21の減圧率PR21(プロセス容器21の排気率)が目標の値PR21xより大きいか否か判断される(ステップS54)。減圧率(単位Torr/sec)の大小は、圧力の傾きの絶対値の大小にて判断する。プロセス容器21の減圧率PR21が目標の値PR21xより小さい場合(ステップS54がNO)、ドライポンプ5の回転数N5を増加させる(ステップS49)。プロセス容器21の減圧率PR21が目標の値PR21xより大きい場合(ステップS54がYES)、ドライポンプ5の回転数N5を減速させ(ステップS55)、ステップS50の前に戻る。
【0086】
プロセス容器21の圧力P21が設定値P21bより低い場合(ステップS52がNO)、ターボ分子ポンプ4の背圧側が起動可能圧力に到達したと判断し、ターボ分子ポンプ4を起動させる。
ドライポンプ5の回転数N5が定格回転数N5rに到達した場合(ステップS50がYES)、ドライポンプ5の回転数の調整は停止(ステップS51)し、ドライポンプ5は定格回転数N5rでの回転を維持し、プロセス容器21の圧力P21を目標の減圧率PR21xで減圧する減圧制御が終了する(ステップS56)。
【0087】
減圧率は、プロセス情報i2に含まれる。また、プロセス容器21の容積もプロセス情報i2に含まれる。
【0088】
図7を参照し、真空排気装置2の第3の運転方法を時間の経過の観点から説明する。なお、適宜図1を参照する。
【0089】
時間t1より前に、ターボ分子ポンプ4は停止状態にあり、ドライポンプ5は定格回転数N5rで回転しており、プロセス容器21の圧力P21は、大気圧にある。時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス容器21のスロー排気を行うべくプロセス情報i2が入力される。その直後に、ドライポンプ5の回転数N5を待機回転数N5wとするドライポンプ5の減速が始まる。時間t2にドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達し、ドライポンプ5は待機回転数N5wで待機する。この間、電磁弁9が閉であるので、プロセス容器21の圧力P21、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13は変化しない。
【0090】
時間t3に、減圧制御開始信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、電磁弁9が開となり、ドライポンプ5の回転数N5を調整することによるプロセス容器21の圧力P21の減圧率PR21(排気レート(単位Torr/sec))を目標のPR21xとする制御が開始される。すなわち、プロセス容器21の減圧率PR21が目標の一定の値PR21xとなるよう制御し、ドライポンプ5の回転数N5を増加させる調整が行われる。この間、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13もほぼ一定の減圧率PR13で減圧される。ドライポンプ5の回転数N5の上昇によりプロセス容器21の圧力P21が大気圧から減少し、真空度を増していく。
【0091】
時間t4にプロセス容器21の圧力P21が所定の設定圧力P21bに到達し、圧力制御コントローラ6から起動信号(不図示)がモータ制御盤10に出され、ターボ分子ポンプ4が起動する。時間t5にドライポンプ5の回転数N5が定格回転数N5rに到達し、プロセス容器21の減圧率PR21を一定に制御する制御が終了し、スロー排気運転が終了する。時間t6にプロセス容器21の圧力P21が定格値P21rに到達する。時間t7に、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が定格回転数N4rに到達し、真空排気装置2の定格運転に移行する。
【0092】
プロセス反応のプロセス情報に基づいて、ドライポンプ5の待機回転数N5wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標の減圧率PR21xで減圧する減圧制御の前に、ドライポンプ5を待機回転数N5wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、ドライポンプ5の回転数N5を調整することにより行う当該減圧制御において、ドライポンプ5の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の減圧率PR21がプロセス反応に適した所望の減圧率PR21xになるようにすることができる。また、ドライポンプ5の待機回転数N5w、ドライポンプ5の回転数N5の増速を、適切に決めることによりプロセス容器21の圧力がハンチングを起こさず、単調に減少するようにし、短時間でプロセス容器21の減圧率PR21が目標の(所望の)減圧率PR21xに到達するようにすることができる。
【0093】
設定された一定の減圧率PR21x(排気レート)で減圧(排気)するので、ドライポンプ5によるプロセス容器21の排気時に、プロセス容器21内に生成されたパーティクルが飛散することを抑制することができる。
【0094】
本運転方法では、プロセス容器21の圧力P21が大気圧下にあるときから減圧率が一定である運転が行われるので、吸い込み圧が高く、流量が大きいガスを扱うことができるドライポンプ5の回転数を調整する。プロセス容器21の圧力が大気圧の場合、大気圧に近い場合は、ターボ分子ポンプ4の運転条件範囲外であるため、本運転方法では、プロセス容器の圧力が所定の設定圧力に達するまでターボ分子ポンプ4は運転しない。
本運転方法において、目標減圧率PR21xで減圧することが、プロセス反応に適したプロセス容器21の圧力状態である。
【0095】
次に、図8を参照し、適宜図1、後述の図9を参照し、本発明の第1の実施の形態にかかる真空排気装置2の第4の運転方法のステップについて説明する。
圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の圧力制御を実施する前には、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5は、それぞれ定格回転数N4r、N5rで運転されている(ステップS61)。プロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS62)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4wおよびドライポンプ5の待機回転数N5wを演算する(ステップS63)。当該演算の終了後、圧力制御コントローラ6は、ターボ分子ポンプ4のおよびドライポンプ5の回転数N4、N5を待機回転数N4w、N5wとする減速を開始する(ステップS64)。
【0096】
次に、プロセス容器21にプロセスガスG1が導入される(ステップS65)。ターボ分子ポンプ4の減速が継続され(ステップS66A)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達したか否かを判断する(ステップS67A)。ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達しない場合(ステップS67AがNO)、ターボ分子ポンプ4の減速を続け(ステップS66A)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達した場合(ステップS67AがYES)、ターボ分子ポンプ4を待機回転数N4wで待機させる(ステップS68A)。
【0097】
また、ドライポンプ5の減速が継続され(ステップS66B)、ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達したか否かを判断する(ステップS67B)。ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達しない場合(ステップS67BがNO)、ドライポンプ5の減速を続け(ステップS66B)、ドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達した場合(ステップS67BがYES)、ドライポンプ5を待機回転数N5wで待機させる(ステップS68B)。ステップ66Aからステップ68A、およびステップ66Bからステップ68Bまでは、ステップ65の後に、同時に並行して進行する。
【0098】
その後、ステップS68AおよびステップS68Bの後に、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力(所望の圧力)P21xとする圧力制御開始信号i1がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力される(ステップS69)。ドライポンプ5の回転数N5を減少させることにより、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13を所定の圧力P13c(例えば、目標圧力P13xの80%)とする減圧を行うため、ドライポンプ5は減速される(ステップS70)。ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が所定の圧力P13cに到達したか否かが判断される(ステップS71)。ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が所定の圧力P13cに到達しない場合(ステップS71がNOの場合)は、ドライポンプ5の減速が継続される(ステップS70)。ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が所定の圧力P13cに到達した場合(ステップS71がYESの場合)は、ドライポンプ5の回転数N5の調整によるターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13を目標圧力P13xとする圧力制御を行う(ステップS72)。ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が目標圧力P13xに到達すると(ステップS73)、さらに、ドライポンプ5の回転数N5が調整され、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が目標圧力P13xを維持するよう制御される(ステップS74)。
【0099】
プロセス容器21の圧力制御開始信号i1がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力された(ステップS69)後、ターボ分子ポンプ4は減速され(ステップS75)、プロセス容器21の圧力P21が圧力制御開始前から所定の圧力ΔP21d(例えば、20mTorr)だけ増加したか否かが判断される(ステップS76)。プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力ΔP21dだけ増加しない場合(増加が所定の圧力ΔP21d未満の場合)(ステップS76がNO)、ターボ分子ポンプ4の減速が継続される(ステップS75)。プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力ΔP21dだけ増加した場合(増加が所定の圧力ΔP21d以上の場合)(ステップS76がYES)、ターボ分子ポンプ4はある回転数ΔN4d(例えば、定格回転数の20%)だけ増加され、その増加した回転数N4dに維持される(ステップS77)。
【0100】
次に、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力が所定の圧力P13c(例えば、目標圧力P13xの80%)に到達したか否か判断される(ステップS78)。所定の圧力P13cに到達しない場合(所定の圧力P13c未満の場合)(ステップS78がNO)、増加した回転数N4dに維持される(ステップS77)。所定の圧力P13cに到達した場合(所定の圧力P13c以上の場合)(ステップS78がYES)、プロセス容器2の圧力P21を所定の圧力P21a(例えば、目標圧力P21xの90%)とする減圧を行うため、ターボ分子ポンプ4が減速される(ステップS79)。
【0101】
プロセス容器21の圧力が所定の圧力P21aに到達したか否かが判断される(ステップS80)。所定の圧力P21aに到達しない場合(ステップS80がNO)、ターボ分子ポンプ4の減速が継続される(ステップS79)。所定の圧力P21aに到達した場合(ステップS80がYES)、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整することによるプロセス容器21の圧力P21を目標圧力とする圧力制御が行われる(ステップS81)。プロセス容器21の圧力P21が目標値P21xに到達し(ステップS82)、さらにターボ分子ポンプ4の回転数N4が調整され、プロセス容器21の圧力PC21を目標圧力P21xに維持するよう制御される(ステップS83)。ステップ74およびステップS83の後に、プロセス容器21の圧力制御を終了させる圧力制御終了信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS84)、プロセス容器21の圧力P21の圧力制御が終了する(ステップS85)。
ステップS69の後、ステップS70からステップS74、およびステップS75からステップS83は2系統の制御として同時並行的に行われる。
【0102】
図9を参照し、真空排気装置2の第4の運転方法を時間の経過の観点から説明する。なお、適宜図1を参照する。
時間t1より前には、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5はそれぞれ定格回転数N4r、N5rで回転しており、プロセス容器21の圧力P21は定格値P21rにある。時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス情報i2が入力される。その直後からターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5を待機回転数N4w、N5wとするターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5の減速が始まる。
【0103】
時間t2に、プロセス容器21へのプロセスガスG1の導入が開始される。プロセスガスG1の導入、およびその後のターボ分子ポンプ4とドライポンプ5のそれぞれの回転数N4、N5の減少により、プロセス容器21の圧力P21は徐々に上昇する。
時間t3にドライポンプ5の回転数N5が待機回転数N5wに到達し、その後ドライポンプ5は待機回転数N5wで待機する。時間t4にターボ分子ポンプ4の回転数N4が待機回転数N4wに到達し、その後ターボ分子ポンプ4は待機回転数N4wで待機する。
【0104】
時間t5に、圧力制御開始信号i1が圧力制御コントローラ6に入力される。その後にターボ分子ポンプ4の回転数N4の減少が再開され、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13を所定の圧力P13c(例えば、目標圧力P13xの80%)とする増圧運転が開始され、さらにドライポンプ5の回転数N5の減少が行われ、プロセス容器21の圧力P21が増圧に転じる。
【0105】
時間t6に、プロセス容器21の圧力P21が、圧力制御開始信号i1が入力されターボ分子ポンプ4の減速が開始されたときのプロセス容器21の圧力から所定の圧力ΔP21d(例えば、20mTorr)だけ上昇すると、ターボ分子ポンプ4はある回転数ΔN4d(例えば、定格回転数の20%)だけ増速させ、その増加した回転数N4d(例えば、現状回転数に定格回転数の20%を加えた回転数)に維持される。
【0106】
時間t7に、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が所定の圧力P13cに到達し、ドライポンプ5の回転数N5を調整することにより排気側圧力P13を目標値P13xとする圧力制御が行われる。また、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整することによりプロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21a(例えば、目標圧力P21xの90%)とする減圧運転が行われる。
【0107】
時間t8に、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が目標値P13xに到達する。その後、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13を目標値P13xに維持する圧力制御が続けて実施される。
【0108】
時間t9に、プロセス容器21の圧力が所定の圧力P21aに到達し、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整することによりプロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに制御する圧力制御が開始される。時間t10に、プロセス容器21の圧力P21は目標圧力P21xに到達し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xを維持する圧力制御が続けて実施される。
【0109】
時間t11に、圧力制御終了信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、プロセス容器21の圧力P21の圧力制御、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13の圧力制御が終了する。
【0110】
本運転方法において、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5の待機回転数N4w、N5wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに制御する圧力制御の前に、ターボ分子ポンプ4を待機回転数N4wで待機させ、ターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13を目標圧力P13xにする圧力制御の前に、ドライポンプ5を待機回転数N5wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、ターボ分子ポンプ4の回転数N4を調整することにより行う圧力制御およびドライポンプ5の回転数N5を調整することにより行う圧力制御において、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の圧力P21がプロセス反応に適した所望の圧力P21xになるようにすることができる。また、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5の待機回転数N4w、N5w、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5の回転数N4、N5の減速のさせ方を適切に決めることにより、プロセス容器21の圧力P21がハンチングを起こさず単調に減少するようにし、短時間でプロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達するようにすることができる。
【0111】
本運転方法は、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5の回転数N4、N5をともに調整することによりプロセス容器21の圧力P21とターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13を制御しているので、圧力範囲のより広い圧力制御(目標圧力と到達圧力との差が大きい制御)を適切に行うことができる。本運転方法は、ドライポンプ5のみでは排気できないけれども、ターボ分子ポンプ4を併用することにより実現できるプロセスガスG1の流量が多い領域に適している。
【0112】
本運転方法では、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5とを共に適切な待機回転数N4w、N5wで待機させた後に、ターボ分子ポンプ4の回転数調整によるプロセス容器21の圧力P21の圧力制御、ドライポンプ5の回転数N5の調整によるターボ分子ポンプ4の排気側の圧力P13の圧力制御を行い、圧力P21の圧力制御を、圧力P13の圧力制御において圧力P13が目標圧力P13xに到達した後に、開始する。したがって、圧力P21の圧力制御および圧力P13の圧力制御を同時に開始した場合には、圧力P13が目標圧力P13xに到達する前に、圧力21が先に目標圧力P21xに到達すると、ターボ分子ポンプ4の排気圧力である圧力P13の変動による、プロセス容器21の圧力P21のオーバーシュートが発生する場合があるが、本運転方法によりこの現象を回避できる。
【0113】
ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が目標圧力P13xに到達する前に、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達した場合、ターボ分子ポンプ4は目標圧力P21xに到達した時点の回転数N4を維持し微調整をする程度の回転数調整のみを行う。一方、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が目標圧力P13xに到達していない場合、ドライポンプ5は減速動作を行う。ドライポンプ5が減速するとターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13は上昇する。ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が上昇するとターボ分子ポンプ4はガス流量が一定であってもプロセス容器21の圧力P21を一定に保つために回転数を上昇させなければならない。これは排気側圧力P13が高くなると回転数が同じ場合でも排気性能が低下するためである。よって、ターボ分子ポンプ4がほぼ一定回転数で運転している際に、ドライポンプ5の減速によりターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13が上昇すると、ターボ分子ポンプ4は回転数N4を上昇させなければならないが、ガスが流れている場合、ターボ分子ポンプ4は無負荷の場合に比べ回転上昇に時間を要するため、ドライポンプ5の減速による排気側圧力P13の上昇に追従できるほどの回転上昇ができずにプロセス容器21の圧力P21が上昇してしまう。このプロセス容器21の圧力P21の上昇がオーバーシュートとなる。本運転方法では、排気側圧力P13が目標圧力P13xに達してから、圧力P21が目標圧力P21xに到達するので、P21のオーバーシュートを防止することができる。
【0114】
本運転方法において、ターボ分子ポンプ4とドライポンプ5を待機回転数N4w、N5wで待機させたのち後、プロセス容器21の圧力P21を増加させるためにターボ分子ポンプ4とドライポンプ5の回転数N4、N5を減少させたときに、プロセス容器2の圧力が所定の値ΔP21d(上記では20mTorr)以上、増加したときには、ターボ分子ポンプ4の回転数N4をある回転数ΔN4dだけ増加させている。これは、プロセス容器21の圧力P21が上昇したときには、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13も上昇しており、ターボ分子ポンプ4の排気側圧力P13の影響をプロセス容器21の圧力P21に与えないために、プロセス容器21の圧力P21が上昇し始めたら、ターボ分子ポンプ4の回転数を少し上昇させてプロセス容器21の圧力P21のオーバーシュートを防止するためである。
なお、本運転方法において、目標圧力P21xを維持することが、プロセス反応に適したプロセス容器21の所望の圧力状態である。また、目標圧力P13xを維持することが、ターボ分子ポンプ4の排気側の所定の圧力状態である。
【0115】
図10を参照し、適宜図1、図3、図5、図7、図9を参照して、図1の真空排気装置1のプロセス容器21の詳細な構成を説明する。図10は、プロセス容器21の詳細な構成を示すブロック断面図である。
【0116】
プロセス容器21は、縦型の熱処理を行う容器であり、被処理体例えば半導体ウエハwを収容して所定の処理例えばCVD処理を施すため熱処理炉を構成する処理容器例えば石英製の反応管21である。反応管21は、図示例では内管32aと外管32bの二重管構造とされているが、外管32bだけの単管構造(不図示)であってもよい。また、反応管21の下部には、反応管21内に処理ガスやパージ用の不活性ガスを導入するガス導入管部(ガス導入ポート)33と、反応管21内を排気する排気管部(排気ポート)34とを有する環状のマニホールド45)が気密に接続されている。
【0117】
ガス導入管部33には流量調節器3(図1)が設置されたプロセスガスG1を供給する配管37が接続され、排気管部34には反応管21内を減圧制御可能なターボ分子ポンプ4等に連通する排気配管12が接続されている。マニホールド45は、図示しないベースプレートに取付けられている。また、反応管21の周囲には、反応管21内を所定の温度例えば300〜1200℃に加熱制御可能な円筒状のヒータ46が設けられている。
【0118】
反応管21の下端のマニホールド45は、熱処理炉の炉口40を形成しており、熱処理炉の下方には炉口40を開閉する蓋体41が昇降機構42により昇降可能に設けられている。前記蓋体41は、マニホールド45の開口端に当接して炉口40を密閉するようになっている。
【0119】
この蓋体41上には、多数例えば25〜150枚程度のウエハwを水平状態で鉛直上下方向に間隔をおいて多段に支持する熱処理用ボート43が炉口断熱手段である保温筒44を介して載置されている。ボート43は、昇降機構42による蓋体41の上昇により反応管21内にロード(搬入)され、蓋体41の下降により反応管21内からアンロード(搬出)されるようになっている。
【0120】
次に以上の構成からなるプロセス容器21の作用ないし処理方法について述べる。先ず、反応管21内に流量調整器3を経てプロセスガスG1としての不活性ガス例えば窒素ガスを導入しながらウエハwを搭載した熱処理用ボート43を保温筒44と共に反応管21内に搬入する。
【0121】
次いで、流量調節器3の上流側に設置された遮断弁(不図示)を遮断した状態で、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5により排気配管12を介して反応管21内を排気及び真空引きして真空置換を行う(初期真空引き)。この時、パーティクルの巻上げを防止するために、前述の第3の運転方法により行うことができる。
【0122】
真空置換を終えたなら、流量調節器3を介してプロセスガスである処理ガスを反応管21内に導入して所定の処理、例えばウエハの成膜処理を開始する。この時の処理が圧力が変動する部分に常温で硬い物質例えば二酸化珪素(SiO)等からなる反応副生成物の付着を伴うTEOSプロセス等の成膜処理である場合もある。
【0123】
前記成膜処理が終了したなら、反応管21内の真空置換及び窒素ガスによる置換を行い、引き続き次工程の処理を連続的に行ってもよく、処理を終了する場合は、真空置換及び窒素ガスによる置換後、反応管内を常圧に戻し、反応管21内から熱処理用ボート43を搬出すればよい。
【0124】
前述の初期真空引きにおいて排気レート0.1〜20Torr/秒の連続的可変制御が可能であるため、最適化を行うことによりパーティクル等の巻き上げを防止しつつ、最短時間を実現することが可能で、所要時間の短縮が図れる。
【0125】
また、ターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5の回転数調整により例えば反応管21内を数百Torr程度の低真空(弱減圧)に減圧制御した状態で流量調整器3からクリーニングガスを反応管21内に導入して反応管21の内部を洗浄処理する等の低真空処理を行うことが可能であり、上述の第1、第2、第4も運転方法のいずれかによりガス種や処理圧力の異なる復数種類の処理を行うことが可能であり、しかも、これら複数種類の処理を連続して行うことも可能である。
【0126】
図11に、本発明の第3の運転方法におけるプロセス容器21の圧力の時間的経過を曲線Aにて示す。曲線B線は、ドライポンプの起動後ドライポンプの回転数の調整を行わず、流路途中に圧力調整バルブ(不図示)を設けて圧力調整バルブの開度を調整することにより減圧率を調整した場合を表す。縦軸は圧力(単位Torr)であり、横軸は時間である。図中、時間t1にドライポンプ5の減速運転が開始され、時間t2、t3にターボ分子ポンプ4およびドライポンプ5が定格回転数に到達し通常運転が開始される。曲線Aでは、時間
t1から時間t2まで1.1分を要し、曲線Bでは、時間t1から時間t3まで6.17分を要する。したがって、本第3の運転方法により5.07分短縮できる。
【0127】
以上、CVD処理を施すため熱処理炉を構成する処理容器例えば石英製の反応管21であるプロセス容器21を有する真空排気装置であるとして説明したが、酸素Oと水素Hを直接導入し基板上に酸化膜を形成するプロセス容器21を有する減圧酸化装置(一種の真空排気装置)であってもよい。
【0128】
以下、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0129】
図12に示すように、本発明の実施の形態にかかる基板の加工装置1は、真空排気装置2(図中破線で囲んだ部分)と、プロセス反応を行い気密性を有するプロセス容器21と、プロセス容器21に導入するプロセスガスG1の流量を調整する流量調整器3とを備える。プロセスガスG1は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、これらの混合ガスである不活性ガス、ClFガス等のクリーニングガスであるが、SiHClガスの反応ガスであってもよい。
【0130】
真空排気装置2は、プロセス容器21に排気配管12を介して接続されプロセス容器21の内部からガスG2を排気し、プロセス容器21の内部の圧力P21を真空にする第1の真空ポンプとしてのブースタドライポンプ24(回転数N24)(以下ブースタポンプ24)と、ブースタポンプ24の排気側に排気配管(不図示)を介して直列に接続されブースタポンプ24の排気側のガスG2を外部(例えば大気)に排気する第2の真空ポンプとしてのメインドライポンプ25(回転数N25)(以下メインポンプ25)の運転を調整(例えば起動停止、回転数N24、N25の調整等)して、プロセス容器21の圧力状態をプロセス反応に適した圧力状態に制御する制御手段としての圧力制御コントローラ6とを備える。なお、本実施の形態では、前述の通り第1の真空ポンプおよび第2の真空ポンプはともにドライポンプである。
【0131】
ブースタポンプ24はケーシング24Cと、ケーシング24C内に収納されたポンプロータ24Rと、ポンプロータ24Rを駆動するドライポンプモータ24Mと、ポンプモータ24Mとポンプロータ24Rの回転を支持する軸受(不図示)とを有する。メインポンプ25はケーシング25Cと、ケーシング25C内に収納されたポンプロータ25Rと、ポンプロータ25Rを駆動するドライポンプモータ25Mと、ポンプモータ25Mとポンプロータ25Rの回転を支持する軸受(不図示)とを有する。
【0132】
また、真空排気装置2は、プロセス容器21に設置され、プロセス容器21の内部の圧力P21を測定する圧力計7と、プロセス容器21とブースタポンプ24の間にある排気配管12上に設置された電磁弁9とを備える。電磁弁9は、メインポンプ25が停止した場合、排気配管12を閉とし、プロセス容器21の圧力P21が急激に大気圧力に突入するのを防止する。
【0133】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力制御を開始する圧力制御開始信号i1、プロセス容器21におけるプロセス反応に関連するプロセス情報i2をプロセス制御コントローラ(不図示)より受ける。
【0134】
圧力計7は、測定したプロセス容器21の圧力P21を圧力信号i3として圧力制御コントローラ6に送る。真空排気装置2は、外部電源E1の入力を受け、モータ電源E3をメインポンプモータ25Mに出力し、モータ電源E2をブースタポンプモータ24Mに出力するモータ制御盤31とを備える。モータ制御盤は、ブースタポンプ24とメインポンプ25にそれぞれ設けてもよい。
【0135】
圧力制御コントローラ6は、制御手段としてのモータ制御盤31に、メインポンプ25の回転数N25およびブースタポンプ24の回転数N24を調整するための回転数指示信号i10を送る。モータ制御盤31は、回転数指示信号i10を受け、メインポンプ25の回転数N25が指示通りの回転数N25になるよう、メインポンプ25に送られるモータ電源E3を調整する。 またモータ制御盤31は、回転数指示信号i10を受け、ブースタポンプ24の回転数N24が指示通りの回転数N24になるよう、ブースタポンプ24に送られるモータ電源E2を調整する。
【0136】
プロセス制御コントローラ(不図示)は、流量調整器3に、プロセス容器21に導入されるプロセスガス流量を調整する調整信号i8を送る。流量調整器3は、調整信号i8に基づいて、プロセス容器21に導入されるプロセスガスG1の流量を調整する。圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が大気圧に突入する可能性がある場合、電磁弁9を閉とする開閉指示信号i9を電磁弁9に送る。
【0137】
次に、図13を参照し、適宜図12、後述の図14を参照して本実施形態の真空排気装置2の第5の運転方法のステップについて説明する。下記運転は圧力制御コントローラ6の制御によって行われる。
プロセス容器21の圧力制御を実施する前には、メインポンプ25およびブースタポンプ24は、それぞれ定格回転数N25r、N24rで運転され(ステップS201)、プロセス容器21は定格圧力P21r下にある。プロセス制御コントローラ(不図示)よりプロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS202)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、ブースタポンプ24(上段のポンプ)の所定の回転数としての待機回転数N24w(定格回転数N24rより小)を演算(算出)する(ステップS203)。当該演算の終了後、ブースタポンプ24の回転数N24を待機回転数N24wとする、ブースタポンプ24の減速が開始される(ステップS204)。なお、メインポンプ25(下段のポンプ)の回転数N25の調整は行われず定格回転数N25rに維持される。
【0138】
次に、プロセス容器21でプロセス反応を起こさせるためプロセス容器21にプロセスガスG1が導入される(ステップS205)。ブースタポンプ24の減速を継続し(ステップS206)、ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達したか否かを判断する(ステップS207)。ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達しない場合(ステップS207がNO)、ブースタポンプ24の回転数N24の減速を続ける(ステップS206)。ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達した場合(ステップS207がYES)、ブースタポンプ24を待機回転数N24wで待機させる(ステップS208)。
【0139】
その後、プロセス容器21の圧力制御を開始する圧力制御開始信号i1がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力される(ステップS209)。次に、プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21a(定格圧力P21rより高圧)(例えば、目標圧力P21xの90%)とする圧力上昇運転が行われる。プロセス容器21の圧力P21に所定の圧力P21aにするため、ブースタポンプ24を減速する(ステップS211)。回転数N24を減少させるため、圧力制御コントローラ6から、モータ制御盤31に回転数調整信号i10が送られ、モータ制御盤31はブースタポンプ24の回転数N24が減少するようモータ電源E2を調整する。よって、ブースタポンプ24は減速する。
【0140】
圧力制御コントローラ6は、圧力計7から送られるプロセス容器21の圧力P21を表す圧力信号i3を基に、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達したか否かを判断し(ステップS212)、圧力P21が所定の圧力P21aに到達しない場合(ステップS212がNO)は、ブースタポンプ24の回転数N24の調整すなわちブースタポンプ24の減速(ステップS211)を続ける。プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達した場合(ステップS212がYES)は、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21x(定格圧力P21rより高圧)とする圧力制御が行われ(ステップS213)、圧力調整に付随してブースタポンプ24の回転数N24は調整され(ステップS214)、ブースタポンプ24は減速する。
【0141】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達したか否かを判断し(ステップS215)、圧力P21が目標圧力P21xに到達しない場合(ステップS215がNO)は、ブースタポンプ24の回転数N24の調整(ステップS214)が続けられる。プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達した場合(ステップS215がYES)は、圧力制御コントローラ6は、さらにプロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに維持する(ステップS216)よう制御する。その後(プロセス容器21でのプロセス反応が終了した後)、プロセス容器21の圧力制御を終了する圧力制御終了信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS217)、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xとする圧力制御が終了する(ステップS218)。
【0142】
図14を参照し、真空排気装置2の第5の運転方法を時間の経過の観点から説明する。図14において、横軸は時間、縦軸は圧力または回転数である。図中、P21はプロセス容器21の圧力、N24はブースタポンプ24の回転数、N25はメインポンプ25の回転数を表す。P21、N25、N24は、値の割合の時間的変化を示すのが目的で、絶対値を正確に表すものではない(後述の図16、図18において同様)。なお、適宜図12を参照する。
【0143】
時間t1より前には、ブースタポンプ24およびメインポンプ25はそれぞれ定格回転数N24r、N25rで回転しており、プロセス容器21の圧力P21は、定格圧力P21rである。時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス情報i2が入力される。その直後に、ブースタポンプ24の回転数N24を待機回転数N24wとするブースタポンプ24の減速が始まる。メインポンプ25の回転は定格回転数N25rに維持され、減速は行われない。したがって、図14中、N25は、横軸に平行な直線である。
【0144】
時間t2に、プロセス容器21へのプロセスガスG1の導入が開始される。プロセスガスG1の導入、およびブースタポンプ24の回転数N24の減少により、プロセス容器21の圧力P21は徐々に上昇する。時間t3に、ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達し、ブースタポンプ24は待機回転数N24wで待機する。ブースタポンプ24の回転数N24の減少が止まると、プロセス容器21の圧力P21は上昇の割合が緩やかになり、やがて圧力P21の上昇がほとんどなくなる。
【0145】
時間t4に、圧力制御開始信号i1が圧力制御コントローラ6に入力され、ブースタポンプ24の回転数N24の減少が再開され、プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21aとするためにプロセス容器21の圧力P21の上昇が開始される。時間t5に、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21a(例えば目標値の90%)に到達し、次に圧力P21を目標圧力P21xとするプロセス容器21の圧力P21の圧力制御が開始される。当該圧力制御において、ブースタポンプ24が、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xになるよう調整され、減速される。ブースタポンプ24の減速により、プロセス容器21の圧力P21が再び上昇する。
【0146】
時間t6に、プロセス容器21の圧力P21が、目標圧力P21xに到達し、ブースタポンプ24の減速が一応終了する。ブースタポンプ24の回転数N24を調整し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御は継続されている。時間t7に、圧力制御終了信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、プロセス容器21の圧力P21の制御が終了する。なお、プロセス容器21の圧力P21が時間t5から時間t6までハンチング等を起こさず単調に増加するよう圧力制御がなされる。圧力制御は、目標圧力P21xと測定したプロセス容器21の圧力P21との偏差を求め、偏差に応じてブースタポンプモータ24Mへのモータ電源E2を調整(例えば、PI制御、PID制御)し、ブースタポンプ24の回転数N24を調整することにより行うフィードバック制御である。
【0147】
本第5の運転方法のブースタポンプ24の待機回転数N24wは、プロセス反応に適したプロセス条件をプロセス容器21に実現できる到達回転数に近い回転数であり、当該到達回転数より例えば20〜30%高い回転数とするとよい。ブースタポンプ24の回転数N24を、定格回転数N24rからプロセス容器21の目標圧力P21xに対応する到達回転数まで、当該到達回転数を目標として連続して変化させることは行わず、まず最初に定格回転数N24rから待機回転数N24wまで変化させる。待機回転数N24wに到達したときに、待機回転数N24wにて待機させ、その後にプロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御を行うときに、当該圧力制御時に圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートの発生を防ぎつつ、圧力移行時間を短縮することができるように待機回転数N24wが決められる。なお、圧力制御がスムーズに行われ、圧力P21のオーバーシュートを回避できる場合は、待機回転数N24wにての待機を必ずしも行う必要はなく、待機回転数N24wに達した時点で即、圧力制御開始信号i1を入力し、圧力制御に移行することも可能である。
【0148】
所定の圧力P21aは、プロセス容器21の目標圧力P21xに近く、目標圧力P21xよりわずかに低い圧力(例えば、目標圧力P21xの80〜95%)であって、ブースタポンプ24を減速させて、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aになるようにした後に、圧力P21を目標圧力P21xとする圧力制御を行った場合、圧力P21が単調に上昇して目標圧力P21xに到達し、圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートの発生を回避できるように決められた圧力である。
【0149】
本運転方法では、プロセス容器21の圧力P21が定格圧力P21rから所定の圧力P21a(目標圧力の90%)になるまで、ブースタポンプ24を減速させることにより、圧力P21を増加させ、圧力P21が所定の圧力P21aに達した時点でブースタポンプ24の減速を停止している。したがって、この間、目標とする圧力P21xと測定される圧力P21を比較して偏差を求め、偏差に応じてブースタポンプモータ24Mの電源E2を調整してブースタポンプの回転数を調整して圧力制御を行っているわけではない。本運転方法における圧力の上昇方法は、単にブースタポンプ24の回転数N24を下げているだけなので、所要時間(t5−t1)は、圧力P21を制御する方式に比べ格段に短い。
【0150】
一方、目標圧力P21xになるまでブースタポンプ24の減速により圧力P21を上昇させるのでは、目標圧力P21xに到達した時点で減速を停止しても圧力上昇は止まらず、圧力P21は目標圧力P21xをオーバーシュートしてしまう。よって、所定の圧力p21a(目標圧力P21xの90%)まで減速による圧力上昇を行い、その後、回転数N24を調整し圧力制御を行うことで圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを防いでいる。回転数N24の減速運転と、その後の圧力制御を組み合わせることによって、圧力P21のオーバーシュートを防ぎ且つ目標圧力P21xに到達するのに要する時間(t6−t4)の短縮化を実現している。
【0151】
プロセスガスG1の導入のタイミングは、プロセスガスG1の種類、プロセスガスの導入流量、プロセス容器21の圧力P21の変化状況、ブースタポンプ24の回転数N24等を総合的に勘案し、ブースタポンプ24の過負荷運転が時間t1から時間t7において生じないように決められる。ブースタポンプ24の運転範囲を超える大流量のプロセスガスG1が導入される場合は、ブースタポンプ24が待機回転数N24wに到達した後にプロセスガスG1を導入するとよい。
【0152】
プロセス情報には、圧力制御が適切に行われるような、目標圧力、および目標圧力状態、導入ガス(プロセスガス)流量、導入ガス種、圧力制御時間(t7−t5)、が含まれる。
【0153】
回転数N24の変化の範囲(定格回転数N24rと目標圧P21xに対応する回転数の差)が狭い場合、プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21aに制御する圧力制御は省略してもよい。この場合、より簡略な制御とし、制御時間を短縮することができる。
【0154】
本運転方法では、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、ブースタポンプ24の待機回転数N24wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに制御する圧力制御の前に、ブースタポンプ24を待機回転数N24wまで減速させ待機回転数N24wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、ブースタポンプ24の回転数N24を調整することにより行う当該圧力制御において、ブースタポンプ24の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の圧力P21がプロセス反応に適した圧力になるようにすることができる。また、ブースタポンプ24の待機回転数N24w、ブースタポンプ24の回転数N24の減速のさせ方を、適切に決めることによりプロセス容器21の圧力P21がハンチングを起こさず、単調に上昇するようにし、短時間でプロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達し、到達過程において圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを起こさないようにすることができる。
【0155】
本運転方法では、メインポンプ25の回転数N25の調整を行わず、ブースタポンプ24の回転数N24のみを調整しているが、この方法は、プロセスガスの導入流量が比較的少なく(例えば、5.0SLM以下)(SLMは標準状態、リッタ/毎分を表す)、プロセス容器21の定格圧力P21rと、プロセス反応に適した目標圧力P21xとの差が比較的小さい場合、すなわち定格圧力P21rが高真空(0.1Torr以下)で、目標圧力P21xが比較的高真空(例えば、1Torr以下)であり、圧力制御範囲が比較的小さい場合に適している。
【0156】
さらに、本運転方法において、まず定格回転数N24rから待機回転数N24wまで減速させ、次に圧力P21が所定の圧力P21aになるまで回転数N24を減速させ、次に回転数N24を調整し圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御を行うので、定格回転数N24rから目標圧力P21xに対応する到達回転数に到達するまでの時間(t6−t1)を短くすることができる。
【0157】
次に、図15を参照し、適宜図12、後述の図16を参照して、本発明の実施の形態にかかる真空排気装置2の第6の運転方法のステップについて説明する。
圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の圧力制御を実施する前には、ブースタポンプ24およびメインポンプ25は、それぞれ定格回転数N24r、N25rで運転されている(ステップS221)。プロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS222)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、ブースタポンプ24の待機回転数N24w(定格回転数N24rより小)およびメインポンプ25の所定の回転速度としての待機回転数N25w(定格回転数N25rより小)を演算する(ステップS223)。当該演算の終了後、ブースタポンプ24とメインポンプ25の回転数N24、25を待機回転数N24w、N25wとするため、ブースタポンプ24のおよびメインポンプ25の減速を開始する(ステップS224)。
【0158】
次に、ブースタポンプ24の減速を継続し(ステップS225A)、ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達したか否かを判断する(ステップS226A)。ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達しない場合(ステップS226AがNO)、ブースタポンプ24の減速を続け(ステップS225A)、ブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達した場合(ステップS226AがYES)、ブースタポンプ24を待機回転数N24wで待機させる(ステップS227A)。ブースタポンプ24が待機回転数(例えば、モータ制御盤31がブースタポンプ24運転中と認識可能な回転数の下限以下の回転数)に到達したときに、モータ制御盤31には電源E2をブースタポンプ24に送るのを止め、ブースタポンプ24は、惰性とプロセス容器21から排気されるガスG2によって、ほぼ待機回転数に等しい回転数で回り続ける。
【0159】
また、メインポンプ25の減速を継続し(ステップS225B)、メインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達したか否かを判断する(ステップS226B)。メインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達しない場合(ステップS226BがNO)、メインポンプ25の減速を続け(ステップS225B)、メインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達した場合(ステップS226BがYES)、メインポンプ25を待機回転数N25wで待機させる(ステップS227B)。ステップS225AからステップS226A、およびステップS225BからステップS227Bまでは、ステップS224の後に、同時に並行して進行する。
【0160】
その後、ステップS227AおよびステップS227Bの後に、プロセス容器21にプロセスガスG1が導入される(ステップS228)。そして、プロセス容器21の圧力制御開始信号i1がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力される(ステップS229)。プロセス容器21の圧力P21を所定の圧力P21a(定格圧力P21rより高圧)(例えば、目標圧力P21xの90%)とする圧力P21の上昇が行われる。圧力P21を上昇させるため、メインポンプ25の減速を行う(ステップS231)。このため、圧力制御コントローラ6から、モータ制御盤31に回転数調整信号i10が送られ、モータ制御盤31はメインポンプ25の回転数N25が減少するようモータ電源E3を調整するので、メインポンプ25は減速する。
【0161】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達したか否かを判断し(ステップS232)、圧力P21が所定P21aの値に到達しない場合(ステップS232がNO)は、メインポンプ25の減速(ステップS231)を続ける。プロセス容器21の圧力P21が所定の値P21aに到達した場合(ステップS232がYES)は、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21x(定格圧力P21rより高圧)とする圧力制御が行われ(ステップS233)、メインポンプ25の回転数N25を調整する(ステップS234)ため、圧力制御コントローラ6からモータ制御盤31へ回転数調整信号i10が送られ、モータ制御盤31はメインポンプ25の回転数N25が減少するようモータ電源E3を調整し、メインポンプ25はさらに減速する。
【0162】
圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21が目標値P21xに到達したか否かを判断し(ステップS235)、圧力P21が目標圧力P21xに到達しない場合(ステップS235がNO)は、メインポンプ25の回転数N25の調整すなわちメインポンプ25の減速(ステップS234)が続けられる。プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達した場合(ステップS235がYES)は、圧力制御コントローラ6は、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに維持するよう制御し、メインポンプ25の回転数N25を調整する(ステップS236)。その後、プロセス容器21の圧力制御を終了する圧力制御終了信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS237)、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xにする圧力制御が終了する(ステップS238)。
【0163】
図16を参照し、真空排気装置2の第6の運転方法を時間の経過の観点から説明する。なお、適宜図12を参照する。
【0164】
時間t1より前には、ブースタポンプ24およびメインポンプ25はそれぞれ定格回転数N24r、N25rで回転しており、プロセス容器21の圧力P21は定格圧力P21rである。時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス情報i2が入力される。その直後に、ブースタポンプ24の回転数N24を待機回転数N24wとする減速と、メインポンプ25の回転数N24を待機回転数N25wとする減速とが始まる。
【0165】
時間t2に、ブースタポンプ24とメインポンプ25のそれぞれの回転数N24、N25の減少により、プロセス容器21の圧力P21は徐々に上昇し始める。時間t3にメインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達し、メインポンプ25は待機回転数N25wで待機する。時間t4にブースタポンプ24の回転数N24が待機回転数N24wに到達し、ブースタポンプ24は待機回転数N24wで待機する。
【0166】
時間t5に、プロセス容器21へのプロセスガスG1の導入が開始される。時間t6に、圧力制御開始信号i1が圧力制御コントローラ6に入力され、メインポンプ25(一方のポンプ)の回転数N25を減速することによる、圧力P21を所定の圧力P21a(例えば目標値P21xの90%)とする圧力上昇が開始される。時間t7に、プロセス容器21の圧力P21が所定の圧力P21aに到達し、圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の圧力P21の制御が開始される。すなわち、プロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xになるようメインポンプ25が減速される。メインポンプ25の減速により、プロセス容器21の圧力P21の上昇の割合が増加する。時間t8に、プロセス容器21の圧力P21が、目標圧力P21xに到達する。引き続き、プロセス容器21の圧力P21は目標圧力P21xを維持するよう制御されるので、メインポンプ25の回転数N25は目標圧力P21xに対応する回転数に調整される。これ(目標圧力P21xの維持)がプロセス反応に適したプロセス容器21の圧力状態である。時間t9に、圧力制御終了信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、プロセス容器21の圧力P21の制御が終了する。なお、時間t7から時間t8の間、圧力制御が行われているときに、プロセス容器21の圧力P21はハンチング等を起こすことなく単調に増加する。
【0167】
本第6の運転方法のメインポンプ25の待機回転数N25wについて、前述の第5の運転方法のブースタポンプ24の待機回転数N24wについての説明を、ブースタポンプ24をメインポンプ25と読み替え、回転数N24を回転数N25と読み替え、定格回転数N24rを定格回転数N25rと読み替え、待機回転数N24wを待機回転数N25wと読み替えて、適用する。
【0168】
本第6の運転方法のメインポンプ25の所定の圧力P21aについて、前述の第5の運転方法のブースタポンプ24の所定の圧力P21aについての説明を、ブースタポンプ24をメインポンプ25と読み替えて適用する。
【0169】
本第6の運転方法では、圧力P21が定格圧力P21rから所定の圧力P21a(目標圧力の90%)になるまで、メインポンプ25を減速させることにより、圧力P21を増加させ、圧力P21が所定の圧力P21aに達した時点でメインポンプ25の減速を停止している。したがって、この間、メインポンプ25の回転数N25を調整して圧力制御を行っているわけではない。本運転方法における圧力の上昇方法は、単にメインポンプ25の回転数N25を下げているだけなので、所要時間(t7−t1)は、圧力P21を制御する方式に比べ格段に短い。
【0170】
一方、目標圧力P21xになるまでメインポンプ25の減速により圧力P21を上昇させるのでは、目標圧力P21xに到達した時点で減速を停止しても圧力上昇は止まらず、圧力P21は目標圧力P21xをオーバーシュートしてしまう。よって、所定の圧力p21a(目標圧力P21xの90%)まで減速による圧力上昇を行い、その後、回転数N25を調整し圧力制御を行うことで圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを防いでいる。回転数N25の減速運転と、その後の圧力制御を組み合わせることによって、圧力P21のオーバーシュートを防ぎ且つ目標圧力P21xに到達するのに要する時間(t8−t6)の短縮化を実現している。
【0171】
プロセスガスG1の導入のタイミングは、プロセスガスG1の種類、プロセスガスの導入流量、プロセス容器21の圧力P21の変化状況、ブースタポンプ24の回転数N24、メインポンプ25の回転数N25等を総合的に勘案し、ブースタポンプ24とメインポンプ25の過負荷運転が時間t1から時間t9において生じないように決められる。本運転方法では、ブースタポンプ24の運転範囲を超える大流量のプロセスガスG1(例えば、10SLM以上)が導入される場合であるので、ブースタポンプ24が待機回転数N24wに到達し、電源E2の供給が停止され、惰性で回転する状態になった後にプロセスガスG1が導入される。
【0172】
なお、本第6の運転方法において、目標圧力P21xを維持することが、プロセス反応に適したプロセス容器21の圧力状態である。
本運転方法では、プロセス反応のプロセス情報に基づいて、ブースタポンプ24の待機回転数N24w、メインポンプ25の待機回転数N25wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標圧力P21xに制御する圧力制御の前に、メインポンプ25を待機回転数N25wまで減速させ待機回転数N25wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、メインポンプ25の回転数N25を調整することにより行う当該圧力制御において、メインポンプ25の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の圧力P21がプロセス反応に適した圧力になるようにすることができる。プロセスガスG1を導入した時点で、ブースタポンプ24は待機回転数N24Wで回転しているので、ブースタポンプ24の過負荷が生じることがない。
【0173】
また、メインポンプ25の待機回転数N25w、メインポンプ25の回転数N25の減速のさせ方を、適切に決めることによりプロセス容器21の圧力P21がハンチングを起こさず、単調に上昇するようにし、短時間でプロセス容器21の圧力P21が目標圧力P21xに到達し、到達過程において圧力P21が目標圧力P21xを超えるオーバーシュートを起こさないようにすることができる。
【0174】
本第6の運転方法では、ブースタポンプ24の回転数N24の調整を行わず、メインポンプ25の回転数N25のみを調整しているが、この方法は、プロセスガスの導入流量が比較的多く(例えば、10SLM以上)、プロセス容器21の定格圧力P21rと、プロセス反応に適した目標圧力P21xとの差が比較的大きい場合、すなわち定格圧力P21rが高真空(例えば、0.1Torr以下)で、目標圧力P21xが比較的高真空(例えば、1Torr以上)であり、圧力制御範囲が比較的大きい場合に適している。
【0175】
次に、図17を参照し、適宜図12、後述の図18を参照し、本発明の実施の形態にかかる真空排気装置2の第7の運転方法のステップについて説明する。
圧力制御コントローラ6によるプロセス容器21の減圧制御を実施する前には、プロセス容器21内に大気(空気)が導入され、プロセス容器21は大気圧である。すなわち、プロセス容器21内が一度大気開放されて空気で満たされた後の状態である。また、ブースタポンプ24は停止しており、メインポンプ25は定格回転数N25rで定格運転している(ステップS241)。プロセス制御コントローラ(不図示)よりプロセス情報i2が圧力制御コントローラ6へ入力される(ステップS242)と、圧力制御コントローラ6は、入力されたプロセス情報i2に基づいて、メインポンプ25の待機回転数N25wを演算する(ステップS243)。当該演算の終了後、圧力制御コントローラ6による、メインポンプ25の回転数N25を待機回転数N25wとする減速が行われる(ステップS244)。
【0176】
次に、メインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達したか否かを判断する(ステップS245)。メインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達しない場合(ステップS245がNO)、メインポンプ25の減速を続け(ステップS244)、メインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達した場合(ステップS245がYES)、メインポンプ25を待機回転数N25wで待機させる(ステップS246)。
【0177】
その後プロセス容器21の圧力P21を目標の減圧率PR21xで減圧する減圧制御開始信号(不図示)がプロセス制御コントローラ(不図示)から圧力制御コントローラ6に入力され(ステップS247)、プロセス容器21の圧力P21を制御するメインポンプ25の回転数N25を調整することによる減圧制御が実施される(ステップS248)。圧力制御コントローラ6から、モータ制御盤31に回転数調整信号i10が送られ、モータ制御盤31はメインポンプ25の回転数N25が増加するようモータ電源E3を調整するので、メインポンプ25は増速する(ステップS249)。
【0178】
メインポンプ25の増速中、圧力制御コントローラ6はメインポンプ25の回転数N25が定格回転数N25rに到達したか否かを判断する(ステップS250)。メインポンプ25の回転数N25が定格回転数N25rに到達していない場合(ステップS250がNOの場合)、減圧率PR21で減圧されるプロセス容器21の圧力P21が目標の減圧率PR21xより大きいか否かで判断される(ステップS251)。減圧率の大小は[Torr/sec]の負の傾きの絶対値の大小にて判断する。プロセス容器21の減圧率PR21が目標の値PR21xより小さい場合(ステップS251がNO)、メインポンプ25の回転数N25が増加させるためにステップS249へ戻る。プロセス容器21の減圧率PR21が目標の値PR21xより大きい場合(ステップS251がYES)、メインポンプ25の回転数N25は減少(ステップS252)させるために、ステップS250の前に戻る。
【0179】
メインポンプ25の回転数N25が定格回転数N25rに到達した場合(ステップS250がYES)、メインポンプ25の回転数の調整は停止(ステップS253)し、メインポンプ25は定格回転数N25rでの回転を維持し、プロセス容器21の圧力P21を目標の減圧率PR21xで減圧する減圧制御が終了する(ステップS254)。プロセス容器21の圧力P21内を定格圧力P21rにするため減圧制御終了後ブースタポンプ24が起動する(ステップS255)。
【0180】
減圧率は、プロセス情報i2に含まれる。
【0181】
図18を参照し、真空排気装置2の第7の運転方法を時間の経過の観点から説明する。なお、適宜図12を参照する。
【0182】
時間t1より前に、ブースタポンプ24は停止状態にあり、メインポンプ25は定格回転数N25rで回転している。また、プロセス容器21とブースタポンプ24の間にある排気管12上に設置された電磁弁9を閉とし、プロセス容器21に取り付けた大気開放弁(不図示)を開としているため、プロセス容器21の圧力P21は、大気圧にある。圧力P21が大気圧になった後に、大気開放弁を閉とする。そして、時間t1に、圧力制御コントローラ6にプロセス容器21のスロー排気を行うべくプロセス情報i2が入力される。その直後に、メインポンプ25の回転数N25を待機回転数N25wとするメインポンプ25の減速が始まる。時間t2にメインポンプ25の回転数N25が待機回転数N25wに到達し、メインポンプ25は待機回転数N25wで待機する。この間、電磁弁9が閉であるので、プロセス容器21の圧力P21、プロセス容器21と電磁弁9間の配管圧力P12は変化しない。
【0183】
時間t3に、減圧制御開始信号(不図示)が圧力制御コントローラ6に入力され、電磁弁9が開となり、メインポンプ25の回転数N25を調整することによるプロセス容器21の圧力P21の減圧率PR21(排気レート(単位Torr/sec))を目標のPR21xとする制御が開始される。すなわち、プロセス容器21の減圧率PR21が目標の一定の値PR21xとなるよう制御し、メインポンプ25の回転数N25を増加させる調整が行われる。この間、ブースタポンプ24の排気側の圧力もほぼ一定の減圧率で減圧される。メインポンプ25の回転数N25の上昇によりプロセス容器21の圧力P21が大気圧から減少し、真空度を増していく。
【0184】
時間t4にメインポンプ25の回転数N25が定格回転数N25rに到達し、プロセス容器21の減圧率PR21を一定に制御する制御が終了し、スロー排気運転が終了する。メインポンプ25の回転数N25が定格回転数N25rに到達しスロー排気運転が終了した後の時間t5に、圧力制御コントローラ6から起動信号(不図示)がモータ制御盤31に出され、ブースタポンプ24が起動する。時間t6にプロセス容器21の圧力P21が定格圧力P21rに到達する。時間t7に、ブースタポンプ24の回転数N24が定格回転数N24rに到達し、真空排気装置2の定格運転に移行する。
【0185】
プロセス反応のプロセス情報に基づいて、メインポンプ25の待機回転数N25wを圧力制御コントローラ6によって演算し、プロセス容器21の圧力P21を目標の減圧率PR21xで減圧する減圧制御の前に、メインポンプ25を待機回転数N25wで待機させるので、プロセスの反応条件にかかわらず、メインポンプ25の回転数N25を調整することにより行う当該減圧制御において、メインポンプ25の過負荷を起こすことなく、短時間でプロセス容器21の減圧率PR21がプロセス反応に適した減圧率PR21xになるようにすることができる。また、メインポンプ25の待機回転数N25w、メインポンプ25の回転数N25の増速を、適切に決めることによりプロセス容器21の圧力がハンチングを起こさず、単調に減少するようにし、短時間でプロセス容器21の減圧率PR21が目標の減圧率PR21xに到達するようにすることができる。
【0186】
設定された一定の減圧率PR21x(排気レート)で減圧(排気)するので、メインポンプ25によるプロセス容器21の排気時に、プロセス容器21内に生成されたパーティクルが飛散することを抑制することができる。
【0187】
本運転方法では、プロセス容器21の圧力P21が大気圧下にあるときから減圧率が一定である運転が行われるので、吸い込み圧が高く、流量が大きいガスを扱うことができるメインポンプ25の回転数を調整する。プロセス容器21の圧力が大気圧の場合、大気圧に近い場合は、ブースタポンプ24の運転条件範囲外であるため、本運転方法では、プロセス容器の圧力が所定の設定圧力に達するまでブースタポンプ24は運転しない。
本運転方法において、目標減圧率PR21xで減圧することが、プロセス容器21内に生成されたパーティクルが飛散することを抑制することができるプロセス容器21の圧力状態である。
【0188】
本実施の形態は、プロセス容器21の目標圧力が0.5Torrより高く、プロセス条件により、第1の真空ポンプとしてターボ分子ポンプ(図1)を必要としない場合である。本実施の形態では、ブースタポンプ24は、ターボ分子ポンプ4と比較し、定格回転までの起動時間が短く、定格回転から停止までの減速時間も格段に早く、プロセス容器21の調圧時間の短縮が可能となり、プロセス容器21内のプロセス反応により製作される製品のスループットが向上する。また、本実施の形態では、ブースタポンプ24の背圧を測定する圧力計が不要となり真空排気装置2を簡易な構造とすることができる。
【0189】
図19を参照し、待機回転数をプロセス情報から演算(算出)する方法について説明する。図は、プロセス容器21(図1)に導入されるプロセスガスG1のあるガス種(例えば、窒素ガス)のチャートである。縦軸は、プロセス圧力(プロセス容器21(図1)の目標圧力P21x)であり、横軸はガス流量(プロセス容器21に導入されるプロセスガスG1のガス流量)である。チャートは導入されるガス種ごとに作成されており、前述のように圧力制御コントローラ6(図1)にプロセス情報i2(図1)として送られる。
【0190】
図において、ガス流量がQ〜Qまでの6つの領域に分けられ、圧力がP〜Pまでの7つの領域に分けられ、42のブロックに分割されている。
圧力がP〜Pの領域、さらに圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域は、図に示すようにブロックA1〜ブロックA12であり、第2の運転方法が採用されるブロックである。これらのブロックに属する場合は、ドライポンプ5(図1)のみプロセス容器21の圧力P21を制御するために回転数N5の調整が行われ、ターボ分子ポンプ4(図1)は停止もしくは、ターボ分子ポンプ4が待機回転数(例えば、モータ制御盤10がターボ分子ポンプ4運転中と認識可能な回転数の下限以下の回転数)に到達したときに、モータ制御盤10には電源E2をターボ分子ポンプ4に送るのを止め、ターボ分子ポンプ4は、惰性とプロセス容器21から排気されるガスG2によって、ほぼ待機回転数に等しい回転数で回り続ける状態に維持される。ブロックA1〜A12のそれぞれに対応させて、ドライポンプ5の待機回転数N5wが記憶されている。
【0191】
また、圧力がP〜Pの領域、さらに圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域は、図に示すようにブロックA1〜ブロックA12であり、第6の運転方法が採用されるブロックでもある。これらのブロックに属する場合は、ドライポンプ25(図12)のみプロセス容器21の圧力P21を制御するために回転数N25の調整が行われ、ブースタポンプ24(図12)は停止もしくは、ブースタポンプ24が待機回転数(例えば、モータ制御盤11がブースタポンプ24運転中と認識可能な回転数の下限以下の回転数)に到達したときに、モータ制御盤11には電源E2をブースタポンプ24に送るのを止め、ブースタポンプ24は、惰性とプロセス容器21から排気されるガスG2によって、ほぼ待機回転数に等しい回転数で回り続ける状態に維持される。ブロックA1〜A12のそれぞれに対応させて、メインポンプ25の待機回転数N25wが記憶されている。
【0192】
圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域、圧力がP〜Pの領域、圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域は、図に示すようにブロックB1〜B20であり、第4の運転方法が採用されるブロックである。これらのブロックに属する場合は、ターボ分子ポンプ4の回転数N4がプロセス容器21の圧力P21を制御するため調整され、ドライポンプ5の回転数N5がターボ分子ポンプの排気側圧力P13を制御するため調整される。ブロックB1〜B20のそれぞれに対応させて、ドライポンプ5の待機回転数N5wと、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4wが記憶されている。
【0193】
また、圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域、圧力がP〜Pの領域、圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域は、図に示すようにブロックB1〜B20であり、第5の運転方法が採用されるブロックである。これらのブロックに属する場合は、ブースタポンプ24の回転数N24がプロセス容器21の圧力P21を制御するため調整され、メインポンプ25の回転数N25は定格回転数N25rを維持される。ブロックB1〜B20のそれぞれに対応させて、ブースタポンプ24の待機回転数N24wが記憶されている。
【0194】
圧力がP〜Pの領域で流量がQ〜Qの領域、圧力がP〜Pの領域は、図に示すようにブロックC1〜C10の領域であり、第1の運転方法が採用され、ターボ分子ポンプ4の回転数N4のみがプロセス容器21の圧力P21を制御するため調整され、ドライポンプ5の回転数N5は定格回転数N5rに維持される。ブロックC1〜C10のそれぞれに対応させて、ターボ分子ポンプ4の待機回転数N4wが記憶されている。
【0195】
プロセス情報i2に含まれる目標圧力P21xの値とガス流量の値から、この組み合わせが、図中、どのブロックA1〜A12、B1〜B20、C1〜C10に属するかが圧力制御コントローラ6による演算によって求められ、属するブロックに対応して、記憶されている待機回転数が採用される。
【0196】
目標圧力P21xの値とガス流量の値から適切な待機回転数がチャートに基づいて演算されるので、第1、第2、第4、第5、第6の運転方法において、ターボ分子ポンプ4(図1)、ドライポンプ5(図1)、ブースタポンプ24(図12)、メインポンプ25(図12)に過負荷運転が生じないようにすることができ、プロセス容器21(図1、図12)の圧力P21を短時間で目標圧力P21xに制御することができる。
【0197】
図20を参照し、第3および第7の運転方法におけるドライポンプ5(図1)、メインポンプ25(図12)の待機回転数N5w、N25wをプロセス情報から演算(算出)する方法について説明する。図はプロセス容器21(図1、図12)に導入される空気のチャートである。縦軸は、減圧率であり、横軸はプロセス容器21の容積である。チャートは、前述のように圧力制御コントローラ6(図1、図12)にプロセス情報i2(図1、図12)として送られる。
【0198】
図において、プロセス容器容積が、V1〜V6までの5つの領域に分けられ、減圧率がPR1〜PR6までの5つの領域に分けられ、25のブロックD1〜D25に分割されている。ブロックD1〜D25のそれぞれに対応させて、ドライポンプ5、メインポンプ25の待機回転数N5W、N25Wが記憶されている。
【0199】
プロセス情報i2に含まれる減圧率の値とプロセス容器21の容積の値から、この組み合わせが、図中、どのブロックD1〜D25に属するかが圧力制御コントローラ6による演算が求められ、属するブロックに対応して、記録されている待機回転数N5W、N25Wが採用される。
【0200】
減圧率の値とプロセス容器21(図1、図12)の容積の値から、適切なドライポンプ5(図1)、メインポンプ25(図12)の待機回転数N5W、N25Wがチャートに基づいて演算されるので、第3および第7の運転方法では、ドライポンプ5、メインポンプ25に過負荷運転が生じないようにすることができ、さらにプロセス容器21内の急激な圧力変動を避け、パーティクルの飛散を抑制することができ、プロセス容器21の減圧率の短時間で目標の減圧率PR21xに制御することができる。
【0201】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。例えば、処理装置としては、縦型に限定されず、横型であってもよく、また、多数枚の被処理体を一度に処理するバッチ式に限定されず、被処理体を一枚ずつ処理する枚葉式であってもよい。被処理体としては、半導体ウエハ以外に、例えばLCD基板等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る真空排気装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の真空排気装置の第1の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図3】図1の真空排気装置の第1の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図4】図1の真空排気装置の第2の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図5】図1の真空排気装置の第2の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図6】図1の真空排気装置の第3の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図7】図1の真空排気装置の第3の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図8】図1の真空排気装置の第4の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図9】図1の真空排気装置の第4の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図10】図1の真空排気装置のプロセス容器の部分の詳細ブロック断面図である。
【図11】図1の真空排気装置の第3の運転方法の圧力の時間的経過を表すグラフである。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る真空排気装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の真空排気装置の第5の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図14】図12の真空排気装置の第5の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図15】図12の真空排気装置の第6の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図16】図12の真空排気装置の第6の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図17】図12の真空排気装置の第7の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図18】図12の真空排気装置の第7の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【図19】プロセス圧力とガス流量から待機回転数を演算するためのチャートである。
【図20】減圧率とプロセス容器容積から待機回転数を演算するためのチャートである。
【図21】従来の真空排気装置の構成を示すブロック図である。
【図22】図21の真空排気装置の運転方法のステップを示すフロー図である。
【図23】図21の真空排気装置の運転方法の時間的経過を示すグラフである。
【符号の説明】
【0203】
1 半導体製造装置
2 真空排気装置
3 流量調整器
4 ターボ分子ポンプ(真空ポンプ、第1の真空ポンプ)
5 ドライポンプ(真空ポンプ、第2の真空ポンプ)
6 圧力制御コントローラ6(制御手段)
7、8 圧力計
9 電磁弁
10、11、31 モータ制御盤(制御手段)
12、13 排気配管
21 プロセス容器
24 ドライブースタポンプ(真空ポンプ、第1の真空ポンプ)
25 ドライメインポンプ(真空ポンプ、第2の真空ポンプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスガスを導入しプロセス反応を行うプロセス容器のガスを排出し、前記プロセス容器の圧力を真空にする真空ポンプと;
前記真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセス反応時の前記プロセス容器の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段とを備え;
前記制御手段が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記真空ポンプの所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、前記真空ポンプを前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;
真空排気装置。
【請求項2】
プロセスガスを導入しプロセス反応を行うプロセス容器のガスを排出し、前記プロセス容器の圧力を真空にする第1の真空ポンプと;
前記第1の真空ポンプの排気側に接続され、前記排気側のガスを排出し、前記プロセス容器の圧力を真空にする第2の真空ポンプと;
前記第1の真空ポンプと前記第2の真空ポンプのどちらか一方のポンプの回転速度を調整し、前記プロセス反応時の前記プロセス容器の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段とを備え;
前記制御手段が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記どちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、前記どちらか一方のポンプを前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;
真空排気装置。
【請求項3】
プロセスガスを導入しプロセス反応を行うプロセス容器のガスを排出し、前記プロセス容器の圧力を真空にする第1の真空ポンプと;
前記第1の真空ポンプの排気側に接続され、前記排気側のガスを排出し、前記プロセス容器の圧力を真空にする第2の真空ポンプと;
前記第1の真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセスガス反応時の前記プロセス容器の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御し、前記第2の真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセス反応時の前記排気側の圧力状態が所定の圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段とを備え;
前記制御手段が、前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記第1の真空ポンプと前記第2の真空ポンプの少なくともどちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、前記少なくともどちらか一方のポンプを前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;
真空排気装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の真空排気装置と;
前記プロセスガスが導入されプロセス反応が行われるプロセス容器とを備え;
前記プロセス容器が、基板を収納し、前記プロセス反応により前記基板の表面を加工するよう構成された;
基板の加工装置。
【請求項5】
プロセス容器にプロセスガスを導入してプロセス反応を行う反応工程と;
真空ポンプによってプロセス容器のガスを排気し、前記プロセス容器を真空にする真空化工程と;
前記真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセス容器の圧力を前記プロセス反応に適した真空度になるよう制御する第1の制御工程と;
前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記真空ポンプの所定の回転速度を算出する算出行程と;
前記真空ポンプを、前記第1の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第2の制御工程とを備える;
真空排気方法。
【請求項6】
プロセス容器にプロセスガスを導入してプロセス反応を行う反応工程と;
第1の真空ポンプによってプロセス容器のガスを排気し、前記プロセス容器を真空にする第1の真空化工程と;
第2の真空ポンプによって前記第1の真空ポンプの排気側のガスを排気し、前記プロセス容器を真空にする第2の真空化工程と;
前記第1の真空ポンプと前記第2の真空ポンプのどちらか一方のポンプの回転速度を調整し、前記プロセス反応時の前記プロセス容器の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御工程と;
前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記どちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出する算出行程と;
前記どちらか一方のポンプを、前記第1の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第2の制御工程とを備える;
真空排気方法。
【請求項7】
プロセス容器にプロセスガスを導入してプロセス反応を行う反応工程と;
第1の真空ポンプによってプロセス容器のガスを排気し、前記プロセス容器を真空にする第1の真空化工程と;
第2の真空ポンプによって前記第1の真空ポンプの排気側のガスを排気し、前記プロセス容器を真空にする第2の真空化工程と;
前記第1の真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセスガスの導入後の前記プロセス容器の圧力状態が前記プロセス反応に適した圧力状態になるよう制御する第1の制御工程と;
前記第2の真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセスガスの導入後の前記排気側の圧力状態が所定の圧力状態になるよう制御する第2の制御工程と;
前記プロセス反応のプロセス情報に基づいて、前記第1の真空ポンプと前記第2の真空ポンプの少なくともどちらか一方のポンプの所定の回転速度を算出する算出行程と;
前記少なくともどちらか一方のポンプを、前記第1の制御工程および前記第2の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第3の制御工程とを備える;
真空排気方法。
【請求項8】
前記第2の制御工程にて前記第1の真空ポンプの排気側の圧力状態が所定の圧力状態になった後に、前記第1の制御工程が行われる;
請求項7に記載の真空排気方法。
【請求項9】
プロセス容器に基板を収納する収納工程と;
請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の真空排気方法により前記プロセス容器の排気を行う排気行程と;
前記プロセス反応により前記基板の表面を加工する、基板の加工工程とを備える;
基板の加工方法。
【請求項10】
プロセス容器のガスを排出し、前記プロセス容器の圧力を真空にする真空ポンプと;
前記真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセス容器の圧力状態が所望の圧力状態になるよう制御する第1の制御を行う制御手段とを備え;
前記制御手段が、プロセス情報に基づいて、前記真空ポンプの所定の回転速度を算出し、前記第1の制御の前に、前記真空ポンプを前記所定の回転速度にする第2の制御を行う;
真空排気装置。
【請求項11】
真空ポンプによってプロセス容器のガスを排気し、前記プロセス容器を真空にする真空化工程と;
前記真空ポンプの回転速度を調整し、前記プロセス容器の圧力状態が所望の圧力状態になるよう制御する第1の制御工程と;
プロセス情報に基づいて、前記真空ポンプの所定の回転速度を算出する算出行程と;
前記真空ポンプを、前記第1の制御工程の前に、前記所定の回転速度にする第2の制御工程とを備える;
真空排気方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−71200(P2007−71200A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201030(P2006−201030)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】