説明

石油燃焼器の安全装置

【課題】 この発明は石油燃焼器の芯にタールが付着したことを検出して、タールの付着がひどくなる前に対応できるようにする安全装置に関する。
【解決手段】 油タンク1の底板から立設した芯内筒2と、油タンク1の上面板に取付けた芯外筒3とで構成する芯収容筒4の上に石油燃焼器のバーナ5を配置し、芯収容筒4の間隙に芯6を上下動自在に取付け、芯6を上下動する芯上下装置7を設ける。芯内筒2の内部空間Aに配置した芯内筒2の上部の温度を検出する温度検出手段8と、芯上下装置7の芯上下操作によって開閉して石油燃焼器の運転・停止を出力する運転スイッチ9と、消火操作時の運転スイッチ9の運転停止信号によってカウント開始するタイマ手段10とを設け、消火操作から所定時間経過後に温度検出手段8によって芯内筒2の上部の温度を検出し、温度検出手段8の検出温度が所定温度以上のときは警報手段11を作動して使用者に異常を知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芯上下式石油燃焼器の消火時の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
芯上下式石油燃焼器は油タンクから立設した芯内筒と油タンクの上面板に取付けた芯外筒とで芯収容筒を構成し、芯収容筒の間隙に上下動自在に取付けた芯と、芯上下操作を行う芯上下軸とを設け、芯収容筒の上部に燃焼筒を配置している。
【0003】
芯上下軸を芯上げ方向に回動して芯の上端を芯収容筒の上部に突出させて燃焼筒の下部にのぞませ、点火ヒータなどの点火装置によって芯に着火すると、芯の下端で吸上げられた油タンクの燃料が芯の上端で気化して燃焼筒で空気の供給を受けて燃焼する。また、燃焼中は芯上下軸を操作して芯高さを変更することで燃焼量の調節を行い、芯上下軸を芯下げ方向に回動して芯を消火位置まで降下すると、芯の先端が芯収容筒内に移動して消火するものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平6−31317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
石油燃焼器は使用する灯油が正常な灯油であれば気化不良が起こることはなく、油タンクの灯油は芯に吸上げられてバーナの熱で全量が気化して燃焼するが、使用する灯油が1年間持越しなどして変質したり、水などが混入したりした不良灯油であると、気化しにくい高分子量成分が芯の上端でタール化して芯に付着して残るものであり、点火時には芯に付着したタールによって炎の広がりが阻害されて点火不良を起こし、消火時にはタールが付着した部分に炎が残ってしばらくの間は消えないことがあり、消火時間が長くなることがある。
【0005】
そして、不良灯油を使い続けるとタールの付着量が増加し、芯と芯収容筒の隙間が狭くなって芯上下の妨げとなり、消火時に芯が芯収容筒内に下がらなくなって消火不能となることがある。しかも、消火不能の状態となっても使用者が気付かないことがあり、石油燃焼器がそのまま燃焼を続けてしまい、不完全燃焼ガスの発生や火災などの重大なトラブルにつながる恐れがあった。
【0006】
また、燃焼量の調節ができるものには燃料量の調節範囲が表示されているものの、燃焼量の調節範囲における芯の移動距離はわずかであるため、手動による燃焼量調節は難しく、芯を下げすぎて使用してしまうことがあり、不完全燃焼を起こす恐れがある。
【0007】
更に、芯を下げた状態で燃焼を続けると芯内筒が高温となって灯油の気化が促進され、バーナの燃焼量に対して灯油の気化量が多くなり、気化した灯油蒸気の一部は燃焼に使用されずにバーナ内で結露して芯に戻ってしまう。この場合正常な灯油を使用していても、灯油は一度気化すると変質してしまうため、結露して芯に戻った灯油がタール化して芯に付着する原因となるものであり、このため最適使用範囲を知らせることがのぞましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記の課題を解決するもので、油タンク1の底板から立設した芯内筒2と、油タンク1の上面板に取付けた芯外筒3とを設け、芯内筒2と芯外筒3とで構成する芯収容筒4の上に石油燃焼器のバーナ5を配置し、芯収容筒4の間隙に芯6を上下動自在に取付け、該芯6を上下動する芯上下装置7を設けた石油燃焼器において、前記芯内筒2の上部の温度を検出する温度検出手段8と、芯上下装置7の芯上下操作によって開閉して石油燃焼器の運転・停止を出力する運転スイッチ9と、所定時間を計時するタイマ手段10とを設け、該タイマ手段10は消火操作時の運転スイッチ9の運転停止信号を受けてカウントを開始し、所定時間経過後に温度検出手段8によって芯内筒2の上部の温度を検出し、温度検出手段8が所定温度以上を検出したときに警報手段11を作動することを特徴とするものである。
【0009】
また、石油燃焼器は通常消火の芯降下位置よりも緊急消火の芯降下位置を低く設定すると共に、前記温度検出手段8は芯内筒2の内部空間Aに取付け、かつ、通常消火の芯降下位置より低く、緊急消火の芯降下位置より高い位置に配置したことで、燃焼中はバーナ5の熱による加熱が抑えられると共に、消火時には芯内筒2の温度を正確に検出できるものである。
【0010】
また、温度検出手段8は芯内筒2の内部空間Aの中心位置に配置し、芯内筒2の内部空間Aの雰囲気温度を検出するので、消火時に部分的に炎が残って芯内筒2の内壁面の温度差が生じたときでも、芯内筒2の内部空間Aの雰囲気温度は芯6に残る炎の位置に関係なく上昇するので、消火時の温度を正確に検出できるものである。
【0011】
また、芯上下装置7には運転スイッチ9を駆動する作動板7aを取付け、該作動板7aは最大燃焼位置と最小燃焼位置との間で運転スイッチ9を閉路とし、最小燃焼位置と消火位置との間で開路とするものであり、燃焼量調節の際に芯6を下げすぎてしまったときは運転スイッチ9が運転停止信号を出してタイマ手段10が作動し、所定時間後に温度検出手段8が所定温度以上を検出して警報手段11を作動するので、使用者に燃焼量の調節範囲を知らせることができる。
【発明の効果】
【0012】
芯6にタールが付着すると、消火時にタールが付着した部分に炎が残り、消火時間が通常より長くなることがあり、消火時間が長くなればバーナ5や芯収容筒4の上部の温度が低下するまでの時間も長くなる。この発明は消火操作時に運転スイッチ9の運転停止信号を受けて作動するタイマ手段10と、芯収容筒4の上部の温度を検出する温度検出手段8とを備え、消火操作から所定時間経過後に温度検出手段8によって芯収容筒4の上部の温度を検出するものであり、消火時間が長くなったときは温度検出手段8が所定温度以上を検出するので、芯6のタールの付着が検出できるものとなった。
【0013】
そして、温度検出手段8が所定温度以上を検出したときは警報手段11が作動して使用者に知らせるので、使用者が芯6の空焼きを行うことで芯6に付着したタールが燃焼してタールが除去できるものであり、タールの付着量が多くなる前にタールを除去できるので、消火不能となるトラブルを未然に防ぐことができるものとなった。
【0014】
また、芯6へのタールの付着や消火時の操作ミスなどによって芯6が芯収容筒4内に下がりきらずに消火不能となったときも警報手段11が作動するので、使用者が異常に気付いて対応できるものとなり、不完全燃焼ガスの発生や火災などの重大なトラブルを防ぐことができるものとなった。
【0015】
上記構成において、芯内筒2の上面はバーナ5の熱によって加熱されて高温となるので温度検出手段8の耐熱性の問題があり、バーナ5から離れた芯内筒2の下部は芯6が吸上げた燃料によって温度が低く抑えられるため、消火時に芯6の先端に炎が残っても温度変化がほとんどなく、消火時に正確な温度検出ができない。この発明の温度検出手段8は、通常消火の芯降下位置より低く、緊急消火の芯降下位置よりも高い位置に配置したもので、燃焼中のバーナ5による温度上昇が抑えられるので、耐熱温度の低い安価な温度検出手段8が使用でき、石油燃焼器の価格の上昇を抑えることができると共に、消火時には芯6で吸上げた低温度の燃料の影響を受けることなく正確な温度が検出できるものとなり、タールの付着を確実に検出できるものとなった。
【0016】
また、温度検出手段8を芯内筒2の内部空間Aの中心位置に配置すれば、消火時に芯6に部分的に炎が残って芯内筒2の内壁面に温度差が生じても、温度検出手段8を配置した芯内筒2の内部空間Aの雰囲気温度は上昇するので、消火時に芯6に炎が残って消火時間が長くなったときに確実に温度検出ができるものとなり、タールの付着を確実に検出できるものとなった。
【0017】
また、芯上下装置7には運転スイッチ9の入・切を行う作動板7aを設け、燃焼量調節の際に芯6を下げすぎて燃焼量調節範囲を外れたときは、作動板7aが運転スイッチ9から離開し、運転スイッチ9の運転停止信号を受けてタイマ手段10が作動し、所定時間経過後には温度検出手段8が所定温度以上を検出して警報手段11が作動するので、使用者が芯6の下げすぎに気付くことができ、芯6を下げた状態のまま使用を続けることがなくなって芯6へのタールの付着が防止できると共に、不完全燃焼防止の安全装置として利用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は石油燃焼器の油タンク、2は油タンク1の底板から立設した芯内筒、3は油タンク1の上面板に取付けた芯外筒、4は芯内筒2と芯外筒3とで構成する芯収容筒、6は芯収容筒4の間隙に装着した芯であり、油タンク1内の燃料は芯6の下端で吸上げられて芯6の上端に供給される。
【0019】
7は芯収容筒4に取付けた芯上下装置、7bは芯収容筒4の外側方から挿通して取付けた芯上下装置7を構成する芯上下軸、7cは芯上下軸7bの外方端に取付けた芯上下つまみであり、芯上下つまみ7cを操作して芯上下軸7bを回動すると芯収容筒4の間隙内を芯6が上下動する。
【0020】
5は芯内筒2と芯外筒3の上部に配置した燃焼筒で構成するバーナであり、芯上下軸7bを芯上げ方向に回動して芯6の上端を芯収容筒4の上部に突出させ、図示しない点火装置によって芯6に着火すると、芯6の下端で吸上げられた油タンク1の燃料が芯6の上端で燃焼を開始し、発生する燃焼炎と燃焼ガスはバーナ5で空気の供給を受けて燃焼を完了する。
【0021】
12は芯上下軸7bに遊嵌して芯上下軸7bを中心に回動する歯車で構成した回動板、13は芯上下軸7bに設けた係止片、14は回動板12に設けた突部であり、芯上下軸7bを芯上げ方向に回動すると係止片13が突部14を押すので、芯上下軸7bと一緒に回動板12が回動する。
【0022】
15は芯収容筒4壁と回動板12との間に取付けた戻しバネ、16は芯上げ位置の回動板12と係合するストッパーであり、回動板12は芯上げ動作時に戻しバネ15を巻き上げ、芯上げ位置で回動板12がストッパー16と係合すると回動板12には戻しバネ15による芯下げ方向への回転力が保持される。
【0023】
17は回動板12に係合したストッパー16を可動する感震器であり、感震器17が振動を検出するとストッパー16を可動して回動板12とストッパー16との係合を外し、ストッパー16が外れた回動板12は戻しバネ15の力で芯下げ方向に回動し、突部14が係止片13を押すから回動板12と一緒に芯上下軸7bが芯下げ方向に回動し、芯6が芯収容筒4内に急速に降下して消火する。
【0024】
また、芯上下軸7bは回動板12とストッパー16とが係合した状態で係止片13が突部14から離れて独立して回動可能に設けてあり、芯上下軸7bの操作によって任意に芯6の高さを変更できるようになっており、燃焼中は最大燃焼位置と最小燃焼位置の間で芯高さを変更することで燃焼量の調節を行うことができ、芯上下軸7bを消火位置まで回動すれば芯6が芯収容筒4内に降下して消火する。
【0025】
感震器17が作動する緊急消火時は、芯6が芯収容筒4内に急速に降下して短時間で消火するため、多量の未燃ガスが放出されて悪臭を発生させるものである。このため、通常消火の芯降下位置を緊急消火の芯降下位置より高い位置に設定し、手動で芯上下軸7bを回動して消火操作する通常消火時は、未燃ガスを燃焼しながらゆっくりと消火することで悪臭のない消火を行っている。
【0026】
また最近は室内の異常を検出して石油燃焼器を消火する安全装置を備えたものがあり、9は芯上下操作と連動して開閉して石油燃焼器の運転・停止を出力する運転スイッチ、18は石油燃焼器を使用する室内の温度を検出する温度センサやサーミスタなどで構成した室温検出手段、19はストッパー16の可動端の下部に配置したソレノイドであり、芯上下装置7によって芯6を燃焼位置に上昇すると運転スイッチ9が閉路となり、室温検出手段18が通電され、燃焼中に室温検出手段18が異常温度上昇を検出すると、ソレノイド19に起動信号を送り、ソレノイド19がストッパー16を可動するので、芯6が芯収容筒4内に降下して消火する。
【0027】
上記構成において、変質灯油や水の混入した灯油を使用すると、灯油に含まれるタール成分が燃焼できず、タール化して芯6の先端に残る。また、正常な灯油を使用していても燃焼量の調節範囲を外れた状態で燃焼させると、芯6の先端の炎が芯内筒2に近づいて芯内筒2が高温となり、灯油の気化が促進されて芯6からの灯油の気化量が多くなるが、灯油の気化量に対してバーナ5の燃焼量が小さいため、バーナ5で燃焼できない灯油蒸気が結露して芯6に戻り、芯6に戻された燃料はタール化して芯6の先端に残るものであった。
【0028】
芯6にタールが付着すると、通常消火時に芯6に付着したタールが燃焼を続けて消火時間が長くなり、規定の消火時間を越えてしまうことがある。また、芯6の先端に付着するタールの量が多くなると、芯6と芯収容筒4との隙間が狭くなって芯上下操作の妨げとなり、消火時に芯6が芯下げ途中で止まって消火位置まで下がらなくなり、緊急時に消火できなくなって重大な事故につながる恐れがあった。
【0029】
この発明は上記の課題を解決するもので、7aは芯上下装置7の芯上下軸7bに取付けられて芯上下軸7bと一緒に回動する作動板であり、該作動板7aは芯上下軸7bを回動して芯5を燃焼位置まで上昇したときに運転スイッチ9と接触して運転スイッチ9を閉路とし、燃焼中に芯上下軸7bを芯下げ方向に回動して消火操作を行うと運転スイッチ9から離開して運転スイッチ7が開路となるように配置されている。
【0030】
8は芯内筒2の内部空間Aに配置して芯内筒2の上部の温度を検出する温度センサやサーミスタなどで構成する温度検出手段、10は運転スイッチ9の運転停止信号を受けて作動するタイマ手段、20は温度検出手段8で検出される温度データを入力する判定手段であり、石油燃焼器の燃焼中に芯上下軸7bを消火位置まで回動して運転スイッチ9が開路となると、この信号を受けてタイマ手段10がカウントを開始し、タイマ手段10が所定時間カウントすると判定手段20に起動信号を出力し、判定手段20が温度検出手段8の信号を入力する。
【0031】
判定手段20には判定基準となる所定温度が設定されており、判定手段20は設定された所定温度と温度検出手段8の温度データに基づいて判定動作を行い、温度検出手段8が所定温度以下を検出したときは、芯6のタールの付着がなく規定の消火時間で消火が行われていると判断し、判定動作を終了して石油燃焼器の運転を停止する。
【0032】
11は警報ブザーや警報ランプ等で構成した警報手段であり、温度検出手段8が所定温度以上を検出したときは、芯6に付着したタールによって消火時間が長くなったものと判断し、警報手段11は温度検出手段8が所定温度以上を検出したときに作動するものであり、使用者は警報手段11の作動によって芯6へのタールの付着を知ることができる。
【0033】
芯6にタールが付着しても、タールの付着量が少ないときに芯6の空焼きを行えば、芯6の先端の温度が高くなりタールが燃焼して芯6に付着したタールを除去できるものであり、この発明では芯6に多量のタールが付着する前に芯6の空焼きの時期を知らせることができるので、警報手段11の作動を受けて使用者が芯6の空焼きを行うことで、消火不能や芯上下装置7の破損などのトラブルを未然に防ぐことができるものとなった。
【0034】
また、使用者が芯6の空焼きを行わずに使用を続けてしまい、タールの付着量が増加したときや、使用者が操作ミスをしたときは、消火時に芯6が芯収容筒4内に降下できずに消火不能となるが、このときも消火操作から所定時間経過後に所定温度以上を検出して警報手段11が作動するので、使用者が異常に気付くことができ、消火不能のトラブルを防ぐことができるものとなった。
【0035】
ところで、芯内筒2の天板付近はバーナ5の熱によって高温となるため、温度検出手段8を上記範囲より高くすると耐熱温度の高い温度検出手段8が必要となり、このような温度検出手段8は高価であるためコストアップの要因となる。一方、芯内筒2の下部はバーナ5の熱の影響を受けにくくなるが、芯内筒2に接する芯6が温度の低い燃料を吸上げているため、上記範囲より低くすると消火操作後に芯6に炎が残ったときでも芯内筒2の下部では温度が低いままとなり、正確な温度が検出できないことがある。
【0036】
この発明の実施例において、温度検出手段8は通常消火の芯降下位置よりも低く、緊急消火の芯降下位置よりも高い位置に配置したものであり、図に示す実施例の温度検出手段8は緊急消火の芯降下位置と通常消火の芯降下位置との中間に位置するように配置している。
【0037】
このように温度検出手段8の取付け位置を特定することにより、温度検出手段8がバーナ5の熱で直接加熱されることはなく、また、芯内筒2の内部空間Aにはバーナ5のドラフトによる上昇気流によって芯内筒2の下部から上方に向かう空気流が形成されており、この空気流によって温度検出手段8の温度上昇が抑えられるので、耐熱温度の低い温度検出手段8を使用できるものであり、温度検出手段8は安価で耐熱温度の低い室温検出手段18との共通化ができ、ストーブの価格の上昇をおさえることができた。
【0038】
また、消火時には芯6で吸上げた低温度の燃料の影響を受けることがなく、芯6のタールが付着した部分に炎が残って芯内筒2の上部の温度が上昇したときには確実に温度変化が検出でき、芯6のタールの付着を確実に検出することができるものとなった。
【0039】
また、芯6に付着して残るタールの量は付着する位置によってばらつきがあり、タールが付着した部分には炎が残るが、タールの付着していない部分には炎が残らないものであり、炎が残る部分と炎がない部分とで芯内筒2の内壁面の温度差が生じるものである。この発明では温度検出手段8を芯内筒2の内部空間Aの中心位置に配置し、芯内筒2の内部空間Aの雰囲気温度を検出する構成としたものであり、芯内筒2の内部空間Aの雰囲気温度は芯6の先端に残る炎の位置に関係なく変化するので、温度検出手段8は正確な温度検出ができ、芯6のタールの付着を確実に検出できる。
【0040】
また、この発明の他の実施例では、芯上下軸7bに設けた作動板7aの形状を最大燃焼位置と最小燃焼位置との間で運転スイッチ9を閉路とし、最小燃焼位置と消火位置との間で開路となるようにしたものであり、燃焼中に最小燃焼位置で使用するために芯高さを変更したときに、芯6を下げすぎて燃焼量の調節範囲を外れると作動板7aが運転スイッチ9から離開するので、タイマ手段11がカウントを開始し、所定時間経過後に判定手段18が作動して温度検出手段8の検出温度を入力するものであり、芯収容筒4の上部は高温であるから、所定温度以上が検出されて警報手段11が作動するものである。
【0041】
したがって、使用者が芯6の下げすぎに気付いて芯6を燃焼位置まで戻すので、燃焼量の調節範囲を外れた状態のまま使用を続けることはなくなり、芯6の下げすぎによる不完全燃焼ガスの発生や芯6へのタールの付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施例を示す石油燃焼器の側断面図である。
【図2】この発明の実施例を示す石油燃焼器の要部の正面図である。
【図3】この発明の実施例を示す石油燃焼器の安全装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 油タンク
2 芯内筒
3 芯外筒
4 芯収容筒
5 バーナ
6 芯
7 芯上下装置
7a 作動板
8 温度検出手段
9 運転スイッチ
10 タイマ手段
11 警報手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油タンク1の底板から立設した芯内筒2と、油タンク1の上面板に取付けた芯外筒3とを設け、
芯内筒2と芯外筒3とで構成する芯収容筒4の上に石油燃焼器のバーナ5を配置し、
芯収容筒4の間隙に芯6を上下動自在に取付け、
該芯6を上下動する芯上下装置7を設けた石油燃焼器において、
前記芯内筒2の上部の温度を検出する温度検出手段8と、
芯上下装置7の芯上下操作によって開閉して石油燃焼器の運転・停止を出力する運転スイッチ9と、
所定時間を計時するタイマ手段10とを設け、
該タイマ手段10は消火操作時の運転スイッチ9の運転停止信号を受けてカウントを開始し、
所定時間経過後に温度検出手段8によって芯内筒2の上部の温度を検出し、
温度検出手段8が所定温度以上を検出したときに警報手段11を作動することを特徴とする石油燃焼器の安全装置。
【請求項2】
石油燃焼器は通常消火の芯降下位置よりも緊急消火の芯降下位置を低く設定すると共に、
前記温度検出手段8は芯内筒2の内部空間Aに取付け、かつ、通常消火の芯降下位置より低く、緊急消火の芯降下位置より高い位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の安全装置。
【請求項3】
前記温度検出手段8は芯内筒2の内部空間Aの中心位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の安全装置。
【請求項4】
前記芯上下装置7には運転スイッチ9を駆動する作動板7aを取付け、
該作動板7aは最大燃焼位置と最小燃焼位置との間で運転スイッチ9を閉路とし、
最小燃焼位置と消火位置との間で開路とすることを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器の安全装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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