説明

研削された被加工物の厚み計測方法および研削装置

【課題】研削された被加工物の厚みのバラツキに起因する品質の良否を判定する管理データを得ることができる研削された被加工物の厚み計測方法および研削装置を提供する。
【解決手段】被加工物を保持したチャックテーブルを回転しつつ研削手段によって研削された被加工物の厚みを、厚み計測手段によって計測する研削された被加工物の厚み計測方法であって、チャックテーブルを回転し、厚み計測手段に対してチャックテーブルに保持された被加工物を回転中心から外周または外周から回転中心に向けて移動順次相対移動しつつ被加工物の厚みを計測することにより、同心円状の領域の厚みデータを計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を研削する研削装置によって研削された被加工物の厚み検出方法および研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、IC、LSI等のデバイスが複数個形成された半導体ウエーハは、個々のデバイスに分割される前にその裏面を研削装置によって研削して所定の厚みに形成されている。半導体ウエーハの裏面を研削する研削装置は、被加工物としてのウエーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルの保持面に保持されたウエーハを研削する研削ホイールを備えた研削ユニットと、該研削ユニットをチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に研削送りする研削送り機構を具備している。
【0003】
このような研削装置においては、チャックテーブルの保持面に保持された被加工物としてのウエーハの厚みを計測する厚み計測手段を備え、研削中にウエーハの厚みを計測し、ウエーハの厚みが設定された所定の厚みに達した際に研削を終了するようにしている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−313883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した研削装置においては、厚み計測手段によってウエーハの複数箇所の厚みを計測し、複数の計測値の平均値を求めてウエーハの厚みが設定された所定の厚みに達したか否かを判定している。しかるに、研削されたウエーハの厚みにはバラツキがあり、ウエーハの厚みのバラツキに起因する品質の良否の管理ができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、研削された被加工物の厚みのバラツキに起因する品質の良否を判定する管理データを得ることができる研削された被加工物の厚み計測方法および研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持したチャックテーブルを回転しつつ研削手段によって研削された被加工物の厚みを、厚み計測手段によって計測する研削された被加工物の厚み計測方法であって、
該チャックテーブルを回転し、該厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物を回転中心から外周または外周から回転中心に向けて移動順次相対移動しつつ被加工物の厚みを計測することにより、同心円状の領域の厚みデータを計測する、
ことを特徴とする研削された被加工物の厚み計測方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルを回転する回転駆動手段と、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物を研削するための研削手段と、該研削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に研削送りする研削送り手段と、該研削手段が位置する研削域に配設され該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の厚みを計測する厚み計測手段と、制御手段と、を具備する研削装置において、
該研削域に位置付けられた該チャックテーブルと該厚み計測手段とを相対移動し、該厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物の回転中心から外周または外周から回転中心に向けて移動せしめる移動手段と、
該厚み計測手段によって計測された被加工物の厚みデータを記憶する記憶手段と、を具備し、
該制御手段は、該回転駆動手段を作動して該チャックテーブルを回転し、該移動手段を作動して該厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物を回転中心から外周または外周から回転中心に向けて順次相対移動しつつ該厚み計測手段を作動して被加工物の厚みを計測することにより、同心円状の領域の厚みデータを計測し、該厚みデータを該記憶手段に記憶せしめる、
ことを特徴とする研削装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明による研削された被加工物の厚み計測方法おいては、研削された被加工物を保持するチャックテーブルを回転し、厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物を回転中心から外周または外周から回転中心に向けて順次相対移動しつつ被加工物の厚みを計測することにより、同心円状の領域の厚みデータを計測するので、被加工物の全体の厚みのバラツキを把握することができる。このようにして計測された同心円状の領域の厚みデータは、被加工物の厚みのバラツキに起因するデバイス毎の品質の良否を判定するための管理データとして利用することができる。
また、本発明による研削装置においては、チャックテーブルに保持されたウエーハを所定の厚みに研削した後に、上記厚み計測手段によって被加工物における同心円状の領域の厚みデータを計測し、計測された厚みデータを記憶手段に記憶させるので、後に記憶手段に記憶された同心円状の領域の厚みデータを取り出して分析することにより、被加工物の厚みのバラツキに起因するデバイス毎の品質の良否を判定するための管理データとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従って構成された研削装置の斜視図。
【図2】図1に示す研削装置に装備される制御手段のブロック構成図。
【図3】図1に示す研削装置によって実施される被加工物の厚み計測方法における厚み計測工程の説明図。
【図4】図3に示す厚み計測工程によって計測された厚みデータの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による研削されたウエーハの厚み計測方法および研削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成された研削装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における研削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の図1において右上端には、静止支持板21が立設されている。この静止支持板21の内側面には、上下方向に延びる2対の案内レール22、22および23、23が設けられている。一方の案内レール22、22には粗研削手段としての粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール23、23には仕上げ研削手段としての仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に装着されている。
【0013】
粗研削ユニット3は、ユニットハウジング31と、該ユニットハウジング31の下端に回転自在に装着されたホイールマウント32に装着された粗研削ホイール33と、該ユニットハウジング31の上端に装着されホイールマウント32を矢印32aで示す方向に回転せしめるサーボモータ34と、ユニットハウジング31を装着した移動基台35とを具備している。粗研削ホイール33は、周知のように環状の砥石基台と、該砥石基台の下面に装着された複数の砥石セグメントからなる研削砥石とによって構成されており、砥石基台が上記ホイールマウント32に締結ボルトネジ331によって取付けられる。移動基台35には被案内レール351、351が設けられており、この被案内レール351、351を上記静止支持板21に設けられた案内レール22、22に移動可能に嵌合することにより、粗研削ユニット3が上下方向に移動可能に支持される。図示の実施形態における研削装置は、粗研削ユニット3の移動基台35を案内レール22、22に沿って移動する研削送りする研削送り手段36を具備している。研削送り手段36は、上記静止支持板21に案内レール22、22と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド361と、該雄ねじロッド361を回転駆動するためのパルスモータ362と、上記移動基台35に装着され雄ねじロッド361と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ362によって雄ねじロッド361を正転および逆転駆動することにより、粗研削ユニット3を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0014】
上記仕上げ研削ユニット4も上記粗研削ユニット3と同様に構成されており、ユニットハウジング41と、該ユニットハウジング41の下端に回転自在に装着されたホイールマウント42に装着された仕上げ研削ホイール43と、該ユニットハウジング41の上端に装着されホイールマウント42を矢印42aで示す方向に回転せしめるサーボモータ44と、ユニットハウジング41を装着した移動基台45とを具備している。仕上げ研削ホイール43は、周知のように環状の砥石基台と、該砥石基台の下面に装着された複数の砥石セグメントからなる研削砥石とによって構成されており、砥石基台が上記ホイールマウント42に締結ボルトネジ431によって取付けられる。移動基台45には被案内レール451、451が設けられており、この被案内レール451、451を上記静止支持板21に設けられた案内レール23、23に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に支持される。図示の実施形態における研削装置は、仕上げ研削ユニット4の移動基台45を案内レール23、23に沿って移動する研削送り手段46を具備している。研削送り手段46は、上記静止支持板21に案内レール23、23と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド461と、該雄ねじロッド461を回転駆動するためのパルスモータ462と、上記移動基台45に装着され雄ねじロッド461と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ462によって雄ねじロッド461を正転および逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット4を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
【0015】
図示の実施形態における研削装置は、上記静止支持板21の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル5を具備している。このターンテーブル5は、比較的大径の円盤状に形成されており、回動機構50によって矢印5aで示す方向に適宜回動せしめられる。ターンテーブル5には、図示の実施形態の場合それぞれ120度の位相角をもって3個のチャックテーブル6が水平面内で回動可能に配置されている。このチャックテーブル6は、チャックテーブル本体61と、該チャックテーブル本体61の上面に配設された吸着保持チャック62とからなっている。吸着保持チャック62は、ポーラスセラミック材によって円盤状に形成されており、図示しない吸引手段に接続されている。従って、吸着保持チャック62の上面である保持面に被加工物を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより、保持部61を構成する吸着保持チャックの上面(保持面)に被加工物を吸引保持することができる。このように構成されたチャックテーブル6は、回転駆動手段としてのサーボモータ60によって矢印6aで示す方向に回転せしめられるようになっている。
【0016】
上記ターンテーブル5に配設された3個のチャックテーブル6は、ターンテーブル5が適宜回動することにより被加工物搬入・搬出域A、粗研削域B、および仕上げ研削域Cおよび被加工物搬入・搬出域Aに順次移動せしめられる。従って、ターンテーブル5および該ターンテーブル5を回動せしめる回動機構50は、チャックテーブル6を研削域と被加工物の搬入・搬出域に位置付けるチャックテーブル位置付け手段として機能する。
【0017】
図示の研削装置は、被加工物搬入・搬出域Aに対して一方側に配設され研削加工前の被加工物である半導体ウエーハをストックする第1のカセット7と、被加工物搬入・搬出域Aに対して他方側に配設され研削加工後の被加工物である半導体ウエーハをストックする第2のカセット8と、第1のカセット7と被加工物搬入・搬出域Aとの間に配設され被加工物の中心合わせを行う中心合わせ手段9と、被加工物搬入・搬出域Aと第2のカセット8との間に配設されたスピンナー洗浄手段11と、第1のカセット7内に収納された被加工物である半導体ウエーハを中心合わせ手段9に搬送するとともにスピンナー洗浄手段11で洗浄された半導体ウエーハを第2のカセット8に搬送する被加工物搬送手段12と、中心合わせ手段9上に載置され中心合わせされた半導体ウエーハを被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に搬送する被加工物搬入手段13と、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置されている研削加工後の半導体ウエーハをスピンナー洗浄手段11に搬送する被加工物搬出手段14を具備している。なお、上記第1のカセット7には、被加工物としての半導体ウエーハWが表面に保護テープTが貼着された状態で複数枚収容される。このとき、半導体ウエーハWは、裏面を上側にして収容される。
【0018】
図示の研削装置は、仕上げ研削域Cに配設され被加工物の厚みを計測するための厚み計測手段15を備えている。この厚み計測手段15としては、市販されている反射分光式の厚み計測器等の非接触式厚み計測器を用いることが望ましい。即ち、反射分光式の厚み計測器は、被加工物に対して透過性を有するレーザー光線を照射し、被加工物の上面および下面で反射した反射光に基づいて被加工物の厚みを求める。この厚み計測手段15は、計測信号を後述する制御手段に送る。
【0019】
図示の研削装置は、図2に示す制御手段10を具備している。制御手段10は、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラム等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)102と、演算結果等を記憶する記憶手段としての読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103と、入力インターフェース104および出力インターフェース105を備えている。このように構成された制御手段10の入力インターフェース104には上記厚み計測手段15等からの検出信号が入力され、出力インターフェース105から上記粗研削ユニット3のサーボモータ34および仕上げ研削ユニット4のサーボモータ44、上記研削送り手段36のパルスモータ362および研削送り手段46のパルスモータ462、ターンテーブル5を回動する回転機構50、チャックテーブル6を回転駆動するサーボモータ60等に制御信号を出力する。
【0020】
図示の実施形態における研削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
カセット7に収容された研削加工前の被加工物である半導体ウエーハWは被加工物搬送手段12によって中心合わせ手段9に搬送され、ここで中心合わせされる。中心合わせ手段9で中心合わせされた半導体ウエーハWは、被加工物搬入手段13の旋回動作によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6の吸着保持チャック62上に載置される。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハWを保護テープTを介して吸着保持チャック62上に吸引保持する。次に、回転機構50を作動してターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、半導体ウエーハWを載置したチャックテーブル6を粗研削域Bに位置付ける。
【0021】
次に、制御手段10は、上記サーボモータ60を駆動してチャックテーブル6を図1において矢印6aで示す方向に例えば300rpmの回転速度で回転せしめる。一方、上記制御手段10は、粗研削ユニット3のサーボモータ34を駆動し粗研削ホイール33を図1において矢印32aで示す方向に例えば6000rpmの回転速度で回転せしめるとともに、研削送り手段36のパルスモータ362を正転駆動して粗研削ユニット3を例えば3μm/秒の粗研削送り速度で下降(前進)し所定量研削送りする。この結果、チャックテーブル6の保持面に保持されている半導体ウエーハWの裏面(上面)に粗研削ホイール33の研削砥石が押圧されて粗研削加工が施され、半導体ウエーハWは所定の厚みに形成される。このようにして粗研削加工を実施したならば、研削送り手段36のパルスモータ362の駆動を停止して所定時間(例えば15秒)研削送り速度を零(0)にして研削する所謂スパークアウト研削を実行した後、研削送り手段36のパルスモータ362を逆転駆動して粗研削ユニット3を例えば10mm/秒の退避速度で上昇(後退)せしめる。
【0022】
なお、上記粗研削加工を実施している間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6の吸着保持チャック62の上面(保持面)には、上述したように研削加工前の半導体ウエーハWが載置される。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハWをチャックテーブル6の吸着保持チャック62の上面(保持面)に吸引保持する。次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、粗研削加工された半導体ウエーハWを保持しているチャックテーブル6を仕上げ研削加工域Cに位置付け、研削加工前の半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル6を粗研削域Bに位置付ける。
【0023】
このようにして、粗研削域Bに位置付けられたチャックテーブル6の保持部61を構成する吸着保持チャックの上面(保持面)に保持された粗研削加工前の半導体ウエーハWの裏面には、粗研削ユニット3によって上記粗研削加工が実行される。一方、仕上げ研削域Cに位置付けられたチャックテーブル6の保持部61を構成する吸着保持チャックの上面(保持面)に保持され粗研削加工された半導体ウエーハWの裏面(上面)には、仕上げ研削ユニット4によって仕上げ研削加工が施される。即ち、上記サーボモータ60を駆動してチャックテーブル6が矢印6aで示す方向に例えば300rpmの回転速度で回転せしめられる。一方、制御手段10は、仕上げ研削ユニット4のサーボモータ44を駆動し仕上げ研削ホイール43を図1において矢印42aで示す方向に例えば6000rpmの回転速度で回転せしめるとともに、研削送り手段46のパルスモータ462を正転駆動して仕上げ研削ユニット4を例えば1μm/秒の仕上げ研削送り速度で下降(前進)せしめる。この結果、チャックテーブル6の保持部61を構成する吸着保持チャックの上面(保持面)に保持されている半導体ウエーハWの裏面(上面)に仕上げ研削ホイール43の研削砥石が押圧されて仕上げ研削加工が施される。
【0024】
上記仕上げ研削加工時においては、仕上げ研削域Cに隣接して配設された被加工物の厚み計測手段15によって仕上げ研削中の半導体ウエーハWの厚みが計測され、計測された厚みデータが制御手段10に入力されている。そして、制御手段10は、厚み計測手段15からの計測データに基づいて、半導体ウエーハWの厚みが設定された所定厚み(半導体ウエーハの仕上がり厚み)に達したら、研削送り手段46のパルスモータ462の駆動を停止して、所定時間(例えば15秒)研削送り速度を零(0)にして研削する所謂スパークアウト研削を実行した後、研削送り手段46のパルスモータ462を逆転駆動して仕上げ研削ユニット4を例えば10mm/秒の退避速度で上昇(後退)せしめる。
【0025】
上述した仕上げ研削加工において厚み計測手段15によって計測された半導体ウエーハWの厚みは、厚み計測手段15を通過する環状の領域における厚みの平均値である。しかるに、仕上げ研削加工された半導体ウエーハWの厚みは、場所によってバラツキがある。そこで、仕上げ研削加工された半導体ウエーハWの厚みのバラツキに起因する品質の良否を判定するための管理データを得る厚み計測工程を実施する。この厚み計測工程を実施するには、制御手段10は回転機構50を作動してターンテーブル5を回動し、図3に示すように仕上げ研削加工された半導体ウエーハWを保持しているチャックテーブル6の回転中心即ち半導体ウエーハWの回転中心Pを厚み計測手段15の直下に位置付ける。そして、制御手段10は回転機構50を作動してターンテーブル5を図1において矢印5aで示す方向に所定角度回動する。この結果、ターンテーブル5に配設されたチャックテーブル6が図3において矢印6bで示す方向に所定量移動して、チャックテーブル6に保持されている半導体ウエーハWの回転中心Pから半径r1の位置が厚み計測手段15の直下に位置付けられる。従って、ターンテーブル5および該ターンテーブル5を回動する回転機構50からなるチャックテーブル位置付け手段は、研削域に位置付けられたチャックテーブル6と厚み計測手段15とを相対移動し、厚み計測手段15に対してチャックテーブル6に保持された被加工物の回転中心から外周または外周から回転中心に向けて移動せしめる移動手段として機能する。次に、制御手段10は、厚み計測手段15を作動するとともにサーボモータ60を駆動してチャックテーブル6を矢印6aで示す方向に1回転する。この結果、厚み計測手段15はチャックテーブル6に保持された半導体ウエーハWの回転中心Pからr1の位置における環状領域の厚みを計測し、この計測データを制御手段10に送る。このようにして、半導体ウエーハWの回転中心Pから半径r1の位置における環状領域の厚みデータを入力した制御手段10は、入力した厚みデータをランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納する。次に、制御手段10は、回転機構50を作動してターンテーブル5を図1において矢印5aで示す方向に所定角度回動する。この結果、ターンテーブル5に配設されたチャックテーブル6が図3において矢印6bで示す方向に所定量移動して、チャックテーブル6に保持されている半導体ウエーハWの回転中心Pから半径r2の位置が厚み計測手段15の直下に位置付けられる。次に、制御手段10は、厚み計測手段15を作動するとともにサーボモータ60を駆動してチャックテーブル6を矢印6aで示す方向に1回転し、半導体ウエーハWの回転中心Pから半径r2の位置における環状領域の厚みを計測する。そして、制御手段10は、順次半導体ウエーハWの回転中心Pから半径r3〜r6の位置を厚み計測手段15の直下に位置付け、それぞれr3〜r6の位置における同心円状の領域の厚みを計測する。このようにして、厚み計測手段15から送られる半導体ウエーハW の回転中心Pから半径r1〜r6の位置における同心円状の領域の厚みは図4に示す厚みデータとなり、制御手段10はこの厚みデータをランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納する。
【0026】
以上のようにしてランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納された図4に示す厚みデータは、半導体ウエーハW の回転中心Pから半径r1〜r6の位置における同心円状の領域の厚みデータであるため、半導体ウエーハWの全体の厚みのバラツキを把握することができる。従って、後にランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納された図4に示す厚みデータを取り出して分析することにより、半導体ウエーハWの厚みのバラツキに起因するデバイス毎の品質の良否を判定するための管理データとして利用することができる。
【0027】
なお、上述した厚み計測工程においては、半導体ウエーハW の回転中心側から外周に向けて順次回転中心Pおよび半径r1〜r6の位置における同心円状の領域の厚みを計測する例を示したが、半導体ウエーハWの外周から回転中心に向けて順次半径r6〜r1および回転中心Pの位置における同心円状の領域の厚みを計測してもよい。
【0028】
上述したように粗研削域Bに位置付けられたチャックテーブル6に保持された粗研削加工前の半導体ウエーハWに粗研削加工を実行し、仕上げ研削域Cに位置付けられたチャックテーブル6に保持された半導体ウエーハWに仕上げ研削加工を実施した後に、厚み計測工程を実施したならば、ターンテーブル5を図1において矢印5aで示す方向に回動せしめて、仕上げ研削加工および厚み計測工程が実施された半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル6を被加工物搬入・搬出域Aに位置付ける。なお、粗研削域Bにおいて粗研削加工された半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル6は仕上げ研削域Cに、被加工物搬入・搬出域Aにおいて研削加工前の半導体ウエーハWを保持したチャックテーブル6は粗研削域Bにそれぞれ移動せしめられる。
【0029】
なお、粗研削域Bおよび仕上げ研削域Cを経由して被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル6は、ここで仕上げ研削加工された半導体ウエーハWの吸着保持を解除する。そして、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上の仕上げ研削加工された半導体ウエーハWは、被加工物搬出手段14によってスピンナー洗浄手段11に搬出される。スピンナー洗浄手段11に搬送された半導体ウエーハWは、ここで裏面(被研削面)および側面に付着している研削屑が洗浄除去されるとともに、スピン乾燥される。このようにして洗浄およびスピン乾燥された半導体ウエーハWは、被加工物搬送手段12によって第2のカセット8に搬送され収納される。
【0030】
以上、本発明を図示の実施形態に基いて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、図示の実施形態においては、粗研削ユニットと仕上げ研削ユニットを備えた研削装置に本発明を実施した例を示したが、研削手段としての研削ユニットが1個の研削装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
2:装置ハウジング
3:粗研削ユニット
33:粗研削ホイール
36:研削送り手段
4:仕上げ研削ユニット
43:仕上げ研削ホイール
46:研削送り手段
5:ターンテーブル
6:チャックテーブル
7:第1のカセット
8:第2のカセット
9:中心合わせ手段
10:制御手段
11:スピンナー洗浄手段
12:被加工物搬送手段
13:被加工物搬入手段
14:被加工物搬出手段
15:厚み計測手段
W:半導体ウエーハ
T:保護テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持したチャックテーブルを回転しつつ研削手段によって研削された被加工物の厚みを、厚み計測手段によって計測する研削された被加工物の厚み計測方法であって、
該チャックテーブルを回転し、該厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物を回転中心から外周または外周から回転中心に向けて移動順次相対移動しつつ被加工物の厚みを計測することにより、同心円状の領域の厚みデータを計測する、
ことを特徴とする研削された被加工物の厚み計測方法。
【請求項2】
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルを回転する回転駆動手段と、該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物を研削するための研削手段と、該研削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に研削送りする研削送り手段と、該研削手段が位置する研削域に配設され該チャックテーブルの保持面に保持された被加工物の厚みを計測する厚み計測手段と、制御手段と、を具備する研削装置において、
該研削域に位置付けられた該チャックテーブルと該厚み計測手段とを相対移動し、該厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物の回転中心から外周または外周から回転中心に向けて移動せしめる移動手段と、
該厚み計測手段によって計測された被加工物の厚みデータを記憶する記憶手段と、を具備し、
該制御手段は、該回転駆動手段を作動して該チャックテーブルを回転し、該移動手段を作動して該厚み計測手段に対して該チャックテーブルに保持された被加工物を回転中心から外周または外周から回転中心に向けて順次相対移動しつつ該厚み計測手段を作動して被加工物の厚みを計測することにより、同心円状の領域の厚みデータを計測し、該厚みデータを該記憶手段に記憶せしめる、
ことを特徴とする研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−235388(P2011−235388A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108489(P2010−108489)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】