説明

研削盤のための独立測定装置

【課題】研削盤のための独立測定装置を提供する。
【解決手段】本発明は、幾何学的及び寸法形状的特性(例えば、真円度、形状、直径、等)及び又は構造的特性(例えば、亀裂及び加工硬化の存在、硬度の測定、等)及び又は表面特性(例えば、粗さ、表面張力の状態、等)の検出装置を備えた、研削作動中測定されるべきシリンダ、ロール及び同様な部品のための測定装置に関する。幾何学的特性の測定は、4つの検出点で行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削盤のための独立測定装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、幾何学及び寸法形状特性(例えば、真円度、形状、直径、等)及び又は構造上の特性(例えば、亀裂及び加工硬化の存在、硬度の測定、等)及び又は表面特性(例えば、粗さ、表面張力の状態、等)の検出装置を備えた、研削作業中測定されるべきシリンダ、ロール及び同様な要素のための測定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
金属材料のストリップの生産のための、圧延機のシリンダの研削盤は、得られる幾何学形状を明らかにするに当り、精度に加えて、行なわれる測定の反復性及び正確さに関して高性能を保証しなければならない、大きな寸法形状機械である。
【0004】
広範囲の寸法形状(直径2mまで乃至それ以上、及び長さ10mまで乃至それ以上)について保証されるべき精度、表面品質及び反復性に関するこれらの特性は、平らな金属及び非金属製品の圧延に加えて、紙及び印刷紙産業エンジンの構造、及び大きな寸法形状の油圧装置、例えば、船舶用機関用のピストン、伝動軸及びエルボシャフトのような、全範囲のセクタに要求される。
【0005】
これらの機械の使用は、一般的には、要素の大きい寸法形状が複雑且つ制限的な幾何学及び表面特性並びに構造的完全性と関連される場合にはいつでも不可欠である。
【0006】
鉄鋼産業では、例えば、圧延装置からのシリンダの再状態調整操作が、圧延装置自体に隣接する“シリンダシェーパー”と呼ばれる領域又はいろいろな圧延装置のサービスに専用の作業場で行なわれることが普通である。これらの空間では、摩滅及び又は損傷したシリンダが圧延加工に必要な理想的な状態を回復するのに適当な研削段階を受けるべく、集まる。
【0007】
圧延シリンダの理論的輪郭及び真円度の小さい変化でさえも、ストリップの波打ち、表面きず及び痕跡を引き起し、これらは、大量のスチールの商品価値を減じ、スチールを生産して商品化する工場の損害は明らかである。更に、要求される粗さの偏差は、ストリップの引き続く表面保護段階で問題を引き起す。最後に、(例えば、亀裂、加工硬化、等のような)小さい表面欠陥は、シリンダの構造的完全性を危うくして事故の危険(例えば、壊滅的な破損)を増し、当然のこととして、また作業員の安全に結びつく最も重要な側面に加えて、生産の妨害及び莫大な修理費を引き起す。
【0008】
シリンダの再状態調整手順を最適にするために、研削加工中その幾何学形状を測定し、引き続いて修正することが必要である。同時に、欠陥を取り除くのに適当な研削作用を行なうために欠陥の存在及び位置を確認することが必要である。
【0009】
当該技術の現在の状態は、これらのシリンダを測定するための二つの選択的な解決策を構成する:
紙産業では、シリンダの真円度特性の決定に関して優れた質的応答を与えることのできる4点に基づく装置が開発された。しかしながら、この解決策は、ホィールホルダートロリーに組立てられ、その結果、ホィールホルダートロリーと同期して作動することの制限を有する。これは、検出の質に関して、幾何学的測定及び寸法形状は、満足であるが、研削サイクル中に行なうことができず、構造及び表面欠陥がサンプリングを受けることを暗示する。砥石車及びセンサのいろいろな寸法形状は、測定コイルが砥石車によって生するよりも小さい幅のものであるべきであり、センサが分析されるべき領域全体を網羅することを不可能にすると考えられる。その結果これが網羅的でない測定であるから、全ての欠陥の確認が保証されない;
一方、鉄鋼産業では、同期的“伝統的”測定方法(ホィールホルダートロリーに載せて組立てられたゲージ)と並んで、しかし上述した同じ制限を有する二つのセンサで幾何学形状及び寸法形状の分析が行なわれるので、解決策は、幾何学及び寸法形状測定(形状、輪郭、直径、等)を行なうために2点で操作する非同期検出方法(独立ゲージ)に基づき開発された。
【0010】
規則(例えば、ISO4292)は、真円度の完全及び徹底的な測定が3点での二回の測定及び2点での一回の測定で行なわれなければならないことを確立し且つこれらの決定が互いに独立に行なわれなければならないことを確立する。従って、現在市場に出回っている手順及び機器が徹底的な測定を行なうことができないことは、明らかである。これらの装置は、他方では、非同期装置がコイルのピッチをセンサの寸法形状に適合させるので、構造及び表面特性を決定するのに完全に適している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
“伝統的”サイクル(同期)では、加工領域全体の徹底的な分析を得るために3つの段階が必要である:
砥石車の通過、
幾何学的及び寸法形状的、並びに、任意で、構造的制御、
新しい加工パラメータの定義。
【0012】
これらの操作は、順次行なわなければならず、必要なサイクル時間を増す。
【0013】
更に、異なる時間で操作することの事実は、二つの通過間の事故的事象の結果として、装置の構成の変化により、在り得る誤りを誘発する。
【0014】
従って、本発明の一般的な目的は、とりわけ、ISO規則及び運営で定められた必要条件に対応する、4つの検出点による幾何学特性の測定を導入し、且つ非同期運動装置で、“構造”及び又は“表面”センサと一緒に、操作することによって、上述した既知の技術の上記欠点を克服するのに適当な研削盤のための測定装置を提供することである。
【0015】
従って、この装置は、また、シリンダの研削と同時発生的に操作することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的に照して、本発明によれば、独立測定装置は、研削盤、特に、特許請求の範囲に記載の特徴を有する幾何学及び又は寸法形状及び又は構造及び又は表面制御機構を備えた、研削にかけられるシリンダ、ロール、等のための測定装置のために考え出された。
【0017】
また、従来技術に関して本発明の利点として本発明の構造及び機能特性は、本発明の非限定例を提供し且つ本発明自体の画期的な原理によりもたらされた研削盤のための独立測定装置を概略的に図示する添付した図面を参照して、以下の詳細な説明からより明きからになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照すると、シリンダ11、ロール及び同様な要素のための研削盤10は、少なくとも一つのベース12を含み、砥石車22を備えた研削ユニット21を担持する研削トロリー20と、測定装置50を担持する独立ゲージの支持トロリー40と、をベース12に沿って移動可能に支持する。
【0019】
シリンダ11の幾何学形状の測定及び検出装置50は、金属材料で作られたストリップを得るために、圧延機のシリンダに用いられるばかりでなく、紙産業のシリンダ、ロール及び他の同様な要素の研削加工、もっと一般的には、例えば、船舶用機関及び又は大きい寸法形状の油圧装置の構造のような、平らな非鉄圧延部分及び又は領域の研削加工を含む他のセクタに用いられる。
【0020】
従って、測定及び検出装置50は、独立装置、即ち、測定トロリー40に組立てられ、そして、第1の特定の特性として、上部センサ54を担持する少なくとも一つの上部アーム52及び少なくとも一つの下部センサ55を担持する下部アーム53を備えた、トングに類似した構造体51で作られる。
【0021】
このトング状構造体51は、矢印Fで示した方向における、アーム52,53の少なくとも一つの並進及び又は回転によって開閉されるように設計され、測定段階中シリンダ11と接触し、同時に、加工の終りにシリンダ11を取り付けたり取り外したりすることができる。
【0022】
測定装置50は、また、研削ユニット21の部分にいかなる妨害もすることなしに、少なくとも4つの点で同時測定をなし遂げるように位置決めされたセンサ54、55を有する。
【0023】
特に、上部センサ54は、適当な支持体56に沿って配列され且つ加工されるシリンダ11の軸に関して垂直平面上に半径方向に位置決めされる。
【0024】
また、径方向の、残りのセンサの一つ或いは下部検出点55の一つを、支持体56の上部センサ54の位置の一つと直径方向に向い合った位置に、その結果、また、シリンダ11の直径の直接的な読みを保証するために、加工されるシリンダの軸に関して垂直平面上に、配置することができる。
【0025】
換言すれば、自律移動で、即ち、砥石車或いは他の部分の並進移動と独立の移動で、シリンダの研削のための機械に作動する本発明による測定装置は、シリンダ(11)或いはロールに直交する平面に配置された少なくとも4つのセンサ(54,55)を含み、センサの二つは、互いに直径方向に向い合った位置に配置することができる。
【0026】
従って、センサは、自動移動手段を備えた少なくとも二つのアーム52,53に配置され、前記アームにより、センサ54、55を接近させ、シリンダ11の表面上にほぼ配置させる。
【0027】
次いで、微調整は、センサからの信号を直接使用することによって管理される。
【0028】
上示したセンサ54,55に加えて、また、寄生電流及び又は超音波及び又は、デュロメータ及び又はルゴシメータのような、構造欠陥の検出装置及び表面特性を決定するための同様な装置を追加することも可能である。
【0029】
この構造及び又は表面分析装置は、独立ゲージ51の構造体に、或いは独立ゲージに搭載して再び位置している他の専用構造体に設置されるものと想定される。
【0030】
また、スキッド61を担持する適当な台支持構造体60が、加工されるシリンダを支持するためにベース12上に想定される。
【0031】
装置は、台のいかなる支援なしに、シリンダが研削点(中心)間に支持されるとしても、明らかに機能する。
【0032】
センサ54,55の存在は、有利には、研削盤10の自動管理装置で実施される特定のアルゴリズム及び適当な測定戦略によって助力されるならば、真円度の完全な特徴付けを可能にする。
【0033】
これは、シリンダ11の完全な幾何製図を可能にして、引き続く研削作業を、研削されたシリンダの真円度、輪郭、直径及び円錐を調整する、砥石車の加工パラメータについて、適当な情報処理及び帰還システムによって最適にすることができるベースを作る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による研削盤を示す概略図である。
【符号の説明】
【0035】
10 研削盤
11 シリンダ
12 ベース
20 研削トロリー
21 研削ユニット
22 砥石車
40 測定トロリー
50 検出装置
51 独立ゲージ
52、53 アーム
54、55 センサ
56 支持体
60 台支持構造体
61 スキッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動、即ち砥石車又は他の部分の並進移動から独立した移動でシリンダの研削のための機械で作動する平板製品の圧延に用いられる、シリンダ、ロール及び同様な部品(11)の幾何学的パラメータの測定装置(50)であって、
シリンダ(11)又はロールと直交する表面に配置された、少なくとも4つのセンサ(54,55)を含み且つ該センサの少なくとも二つは、向い合った位置に配置されることを特徴とする上記測定装置。
【請求項2】
上記センサの少なくとも二つは、直径方向に互いに向い合った位置に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
少なくとも一つのセンサ(54)を担持するアーム(52)と、少なくとも一つのセンサ(55)を担持するアーム(53)とを備え、センサが、加工されるシリンダ、ロール又は同様な部品(11)の軸に関して垂直な平面で半径方向に位置決めされて、全ての加工可能な形及び寸法形状についてシリンダ、ロール及び同様な部品の表面に関して直交位置決めを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
少なくとも3つの上部センサ(54)を担持する上部アーム(52)と、少なくとも一つの下部センサ(55)を担持する下部アーム(53)とを備え、センサは、加工されるシリンダ、ロール又は同様な部品(11)の軸に関して垂直な平面に半径方向に位置決めされ、全ての加工可能な形及び寸法形状についてシリンダ、ロール及び同様な部品の表面に関してその直交位置決めを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
少なくとも一つの下部センサ(55)は、上部センサ(54)の少なくとも一つと直径方向に反対に向い合って位置決めされることを特徴とする請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
上記装置は、測定段階中シリンダ、ロール或いは同様な部品に接触するように、アーム(52,53)の少なくとも一つの並進によって、位置決めされると想定される構造体(51)に組立てられることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
上記構造体(51)は、シリンダ、ロール及び同様な部品の取付け及び又は取外しを可能にするためにアーム(52、53)の少なくとも一つの並進及び又は回転により、開閉されると想定される、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
構造及び又は表面欠陥の検出システムは、また、いかなる場合でも独立ゲージシステムの支持及び又は並進システムと常に一体になって構造体(51)に位置決めされたシリンダ、ロール及び又は同様な部品(の寄生電流及び又は超音波及び又はルゴシメータ及び又はデュロメータ、等)を想定することもできることを特徴とする請求項1ないし7の少なくともいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
研削盤(10)の自動管理システムは、また、シリンダ、ロール、及び又は同様な部品(11)の完全な幾何学的製図について測定手順を行うと想定され、自動及び又は製図システムは、研削パラメータを更新するために及び又は報告目的でフィードバック加工を行うために用いられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の測定装置。
【請求項10】
紙産業についてシリンダ、ロール及び同様の部品、より一般的には、船舶用機関の構造及び又は大きな寸法形状の油圧装置のような、フラットな鉄及び非鉄圧延部分及び又は領域のために作動することを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の測定装置を含むことを特徴とする、シリンダ、ロール及び同様な部品のための研削盤(10)。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の測定装置を含むことを特徴とし、且つ一つ或いはそれ以上のベースからなることを特徴とする、シリンダ、ロール及び同様な部品のための研削盤(10)。
【請求項13】
3つ或いはそれ以上のセンサの支持アームに配置された請求項1ないし12のいずれかに記載の測定装置を含むことを特徴とする、シリンダ、ロール及び同様な部品のための研削盤(10)。

【図1】
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【公表番号】特表2009−502523(P2009−502523A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523239(P2008−523239)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007398
【国際公開番号】WO2007/017120
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(501332415)テキント コンパニア テクニカ インテルナツィオナレ ソシエタ ペル アチオニ (7)
【Fターム(参考)】