説明

研磨剤を含浸する電鋳製薄型カッティングソー及びコアドリル

【解決手段】本発明は,ダイヤモンドの研磨剤が含浸したニッケル電鋳製の薄型カッティングソー,ブレード(20)又はコアドリルに関する。薄型のカッティングソーは,複数の凸部(22)と,凸部と等しい数の凹部(24)を有し,凸部と凹部のそれぞれは交互に位置し,凸部と凹部は実質的に平行であり,凸部と凹部は連結部(26)を介して連結される。ある実施の形態において,接続部の少なくとも1つには,中間ステップ,又は部分的な凸部及び部分的な凹部が形成されている。これらの中間ステップ,又は部分的な凸部及び部分的な凹部により,カッティングソーが回転する切断幅D1にわたる基材の分布がより均一となり,刃先が実質的に平坦となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は,2008年9月4日に出願した米国特許出願12/203,920号及び米国特許出願12/203,920号に基づく優先権を主張する。また,両出願について公開された内容は本願明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は,研磨剤を含浸する電鋳製薄型カッティングソー及びコアドリル(孔鋸)に関する。特に,本発明は,ダイヤモンド粒子が含浸した,ニッケル電鋳製の肉薄な波形のカッティングソーに関し,本発明によれば,高速かつ清潔な乾式切削が可能となる。本発明に係るカッティングソーは,最新の半導体やマイクロエレクトロニクス製品に使用されるダイジングソーとしても用いることができる。また,本発明は,大小の様々な対象物を,クーラント(冷却剤)を用いて,又はクーラントを用いずに切断する用途で使用できる。また,本発明に係るコアドリルは,より少ないバルク材で,かつ良好な仕上がりで,コアを切削することができる。さらに,本発明のコアドリルによれば,ひび割れ欠損の生じ易い貴重な素材にも,レーザーロッドの穿設(除芯)又は孔の掘削が可能となる。
【背景技術】
【0003】
従来から,半導体製品を切断するための鋸刃が知られている。このような鋸刃は,円盤形状,長鋸形状,又は帯鋸形状で形成されている。丸鋸は,(いわゆる固形レジノイド鋸刃を形成するために)結合剤の研磨接合により形成されるか,(いわゆる焼結鋸刃を形成するために)支持盤を研磨剤でコーティングすることにより形成される。スロットの形状において,外周縁の縁を不連続に形成する目的の1つは,工作物及び冷却剤から研磨剤の粒子を自由に流出させるためである。この冷却剤は,鋸刃を冷却し,鋸刃から粒子や破片を洗い流す手段として用いられる。
【0004】
これらの鋸刃は,半導体産業において,個々の製品を直線状や別々のチャネルに切り離し,個別の包装材に分類する用途で利用されている。一般的に,ダイヤモンドが結合された鋸刃は,例えば約25ミクロンから約500ミクロンまでの広範な厚みで形成されている。
【0005】
そして,それぞれ切り離された製品は基板上に接続される。基盤は多数の型を有しており,表面実装技術(Surface Mounted Technology:SMT)装置の分野で利用される。SMT製品装置は,銅製リードフレーム上に配置され,シリカ充填剤を有する高分子成形加工によってカプセル化された金型を含む。さらに,各SMT製品は,リードフレーム上又はリードフレームにより挟み込まれた回路を有し,この回路は,金属積層,試験回路,及びグランド層を有する。このように,各半導体製品は,それぞれ異なる硬度,延性,摩損性を有する材料を複合することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許番号3628292号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体製品を分離(ダイジング)する際,厚く広い負荷が必要とされる場合があるため,半導体製品のダイジングには,厚い鋸刃が用いられることがある。ただし,このような厚い鋸刃を用いた場合であっても,製品の中に埋没している金属によって,欠損が生じることがある。また,厚い鋸刃は,回路のプラスチックや金属によって急に目詰まりを起こすこともある。そして,鋸刃が目詰まりを起こすと,ダイヤモンドの切断能力が低下し,切断に際して強力な力が必要となり,切断の速度も遅くなる。さらには,新たに生じた切断の破片が除去される余地がほとんどなくなる。また,新たに生じた切断の破片は,過剰摩耗を引き起こすため,鋸刃の素材をも磨り減らす。
【0008】
固形型の鋸刃は,使用後において,弾丸形状の断面端部を形成する傾向にある。このような現象は,鋸刃の側面が磨耗し,鋸刃の底面が小さくなり,半導体製品がこの摩耗により直接切断される状態となるため,マイクロエレクトロニクス産業においては好ましくない。その結果,製品が幅広となり仕様の寸法から外れることとなる。これは,鋸刃が完全に摩耗する前の早期段階において,鋸刃を交換する必要があることを意味する。
【0009】
また,目詰まりが発生すると,鋸刃による切断が荒くなり,露出した回路パターンを欠損又は破損させる。特に,導電性パッドに欠損が生じたり基板上に隆起が発生し,基板間の漏電を引き起こす。さらに,荒く切断された縁は,バリとなる傾向にある。
【0010】
図1Aは,公知の切断砥石10を示している。切断砥石10は,米国特許番号3,628,292号に開示されたものである。切断砥石10は,片面に突出部11を有し,各突出部11は,反対面の溝部12と正反対の位置に形成されている。切断突出部11の領域は,溝部12の領域と等しくなっており,切断砥石10の実質的な厚さは,一定に維持されている。切断砥石10には,メッシュの層に用いられる成分と硬質な炭化物の粒が混合されたレジノイド(合成樹脂)結合剤を採用している。同様に,図1Bは,公知のコアドリル10a(穿孔機)を示している。コアドリル10aは,環状の結合剤と砥粒から形成されている。
【0011】
マイクロエレクトロニクス処理を増加させ,経済的な処理能力を維持するために,マイクロエレクトロニクスの分離(ダイジング)の処理速度を向上させることが求められてきたが,公知のパッケージ装置では,切り口が美麗なものではなかった。切り口や表面は,微小なひび,内層のひび,金属バリ,及び金属欠損を有している。研磨剤が含浸した薄型の鋸刃の研究開発は行われているが,さらに高性能の新しい鋸刃が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下,本発明の基本概念の概要について説明する。この概要は,本発明の要旨を広く説明したものではなく,また,本発明の主要な特徴を特定するものでもない。正しくは,以下に説明する本発明の詳細な説明の前置きとして,本発明一般の進歩的な発明概念を説明するためのものである。
【0013】
ある実施形態において,本発明は,研磨剤が含浸した電鋳製の薄型カッティングソーに関する。本発明に係るカッティングソーは,環状となった刃先を有するコアドリルを含む。本発明に係る電鋳製カッティングソーは,複数の凸部と,凸部と等しい数の凹部を有し,凸部と凹部のそれぞれは交互に配置され,凸部と凹部は実質的に平行であり,凸部と凹部が連結部を介して連結されることで,凸部の上面と,凹部における凸部の上面とは反対側の底面により,切断幅D1,基材厚さT,及び起伏深さD2を有する連続した刃先が規定されたニッケル電鋳製波形基盤と;ニッケル電鋳製波形基盤に含浸した研磨粒子と;を有する研磨剤が含浸したカッティングソーであって;カッティングソーは,取付領域又は駆動領域を有し,取付領域又は駆動領域は,少なくとも凸部を繋ぐ切り欠きを有する。
【0014】
他の実施形態において,研磨剤が含浸したカッティングソーにおいて,隣接する凸部と凹部を連結する連結部のいくつかには,凸部と凹部に平行な中間ステップ又は部分的な凸部/凹部が形成され,底面と中間ステップ又は部分的な凸部/凹部の表面の間の距離D3は,切断幅D1より短い。カッティングソーは,円形,環状,又は直線的な刃先で形成されていてもよい。
【0015】
他の実施形態において,研磨剤が含浸したカッティングソーは,環状の取付部を有する。この取付部おける凹部には切り欠きが形成され,この切り欠きは,凸部と高さ(レベル)が等しくなっており,一又は複数の円形又は直線の列をなすように規定されているか,二以上の同心円又は平行線の列を形成するために切り欠きが互い違い(交互:ジグザグ状)となっている。
【0016】
ある実施形態において,環状のカッティングソーはコアドリルである。そして,凸部及び凹部は円形であり,凸部は,外側に円形の刃先を形成し,凹部は内側に同心の刃先を形成する。チャック/取付領域における切り欠きは,円形を形成するか,二以上の同心円又は螺旋円を形成するように互い違いとなっている。
【0017】
以下,図面を用いて本発明の実施形態について説明する。ただし,本発明は,図面に示された実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1Aは,公知の切断砥石を示している。図1Bは,公知のコアドリルを示している。
【図2】図2は,本発明の実施形態に係るカッティングブレードの例を示している。
【図3】図3は,図2に示されたカッティングブレードの波形パターンの例を示している。
【図4】図4Aは,図3に示された波形パターンにおける中間ステップの例を示している。図4Bは,図3に示された波形パターンにおける部分的な凸部と部分的な凹部の例を示している。図4Cは,同心である切り欠きの列と,これに関連する部分的な凸部/凹部又は中間ステップの例を示している。
【図5】図5Aは,本発明の他の実施形態に係る環状のソーブレードの例を示している。図5Bは,環状のソーブレードと支持盤の間を接続する波形の接続部の断面図である。
【図6】図6Aは,保持用及び取付用のハブと公知のカッティングブレードの分解図である。図6Bは,本発明に係るカッティングブレードを保持し取付けるためのハブの断面図である。
【図7】図7Aは,本発明の他の実施形態に係る帯鋸の一部の例を示している。図7Bは,本発明に係る他の帯鋸の一部の例を示している。図7Cは,本発明に係る他の帯鋸の一部の例を示している。
【図8】図8Aは,本発明の他の実施形態に係るコアドリルの例を示している。図8Bは,コアドリルの端面図の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明の一又は複数の特定又は代替的な実施形態について,図面を参照して説明する。ただし,本発明は,当業者が自明な範囲で適宜修正することができる。詳細な点については本発明が不明瞭になることを避けるために割愛することがある。また,本明細書を参照することを容易にするために,本明細書においては,図面に示された構成と同様の要素については同じ符号を用いて説明している。
【0020】
図2は,本発明の実施形態に係る電鋳製の研磨剤が含浸したカッティングブレード20を示している。図2に示されるように,カッティングブレード20は,ダイヤモンド粒子が浮遊した浴中において,ニッケルを母材とした電鋳により,マンドレル上で形成されている。このマンドレルの表面は波形となっているため,カッティングブレード20は,凸部22と凹部24が交互に形成される。切断領域は,カッティングブレード20の外周縁に沿って形成される。一方,取付/駆動領域は,内周と外周の間の環状の領域に形成される。カッティングブレード20の連結部26は,隔離した凸部22と凹部24を連結する。このため,凸部22と凹部24は,深度方向と平面方向に離間する。凸部22と凹部24は実質的に平坦であり,凸部22と凹部24は,その面において実質的に平行となっている。波形の形状を採用することにより,カッティングブレード20は,その平面切断方向に強く硬くなる。また,波形の形状は,カッティングブレード20の周囲に気流を生むため,切断作業中において廃棄物が除去されやすくなる。さらに,カッティングブレード20の周囲に気流が発生することで,切断作業中においてもカッティングブレード20が冷却される。
【0021】
カッティングブレード20において,連結部26のそれぞれは,凸部22及び凹部24に対して,約45度の傾斜角を有する。連結部26の傾斜角は,カッティングブレード20の使用目的や,切断する材料に応じて異なるものであってもよい。連結部26の傾斜角は,ブレードの所望の用途に応じて,90度未満,又は60度未満となり,特に,約30度から約60度であることが好ましい。例えば,マイクロエレクトロニクスのダイジングの産業においては,連結部26の傾斜角は,約45度±15度であることが好ましい。
【0022】
また,連結部26の傾斜角は,ダイジング装置の軸上において固定具又はハブにより取り付けられた際,ブレード20に柔軟性及び自己整合をもたせるために重要となる。連結部26の傾斜角は,取付領域内では異なることとしてもよい。凸部22及び凹部24の数を変化させることにより,例えば柔軟性などのブレード20の他の特性を変化させることができる。
【0023】
カッティングブレード20の他の形態において,取付領域は内周付近に形成される。
【0024】
図3は,図2に示された波形のブレード20のエッジの形状を示している。図3に示されるように,凸部の上面と凹部24の底面の間の距離は,切断幅D1として定義される。切断幅D1は,ブレード20により加工対象物が切断される幅である。凸部22と凹部24の高さの差は,波形又は起伏深さD2を定義し,D1は,カッティングブレード20の基盤の基材厚みTにD2を加えた値に等しい。
【0025】
例えば,マイクロエレクトロニクスのダイジングの産業において,切断幅D1は,約25ミクロンから約500ミクロンである。ブレードの基盤の厚みT,すなわち凸部22,凹部24,及び連結部26の厚みTは,通常,D1の約10%から約60%であり,特にD1の1/3であることが好ましい。例えば,凸部22,凹部24,及び連結部26がそれぞれ50ミクロンの厚みを有している場合,ブレード20は,200ミクロンの切断幅D1を有している。約50ミクロンの厚みを有するブレード20は,120の凸部22と120の凹部を有する波形表面として形成される。このようなブレード20は,加工対象物を美麗に切断でき,ハブ又は固定具に取り付けられた場合でも強固であり自己平坦化できる。
【0026】
図4Aは,本発明の他の実施形態に係るカッティングブレード20のエッジの形状を示している。図4Aと図3を比較すると,図4Aに示された端部の形状は,いくつかの連結部26において中間ステップ27を有し,中間ステップ27は,凸部22及び凹部24と平行になっている。
【0027】
図4Bは,本発明の他の実施形態に係るカッティングブレード20のエッジの形状を示している。図4Bに示されたエッジの形状は,部分的な凸部22aと,部分的な凹部24aを有しており,部分的な凸部22aと部分的な凹部24aにより,D1より小さい値の波形深さD3が定義される。ある実施形態においては,部分的な凸部22aと部分的な凹部24aは互いに隣接し,他の実施形態においては,部分的な凸部22aと部分的な凹部24aは互いに平面方向に離間する。
【0028】
再び図2を参照すると,カッティングブレード20は,取付領域又は駆動領域に位置した切り欠き28を有する。切り欠き28は,外周及び内周と同心の円を形成する。切り欠き28のそれぞれは,各凹部の背面から形成されており,切り欠き28は凸部22と高さが等しく(同じレベルに)なっている。従って,切り欠き28は凸部22を繋ぐため,図6Bに示されたフランジが取り付けられた場合や,カッティングブレード20が例えば15000−30000RPMの速度で回転し遠心力がかかった場合でも,取付領域における波形の変形を最小限に抑える。カッティングブレードの他の実施形態において,切り欠き28は,図2及び図4Cに示されるように,2つの互い違いの切り欠き28の列を形成する。
【0029】
図4Cは,本発明の係るさらに他の実施形態のカッティングブレード20のエッジの形状を示している。図4Cに示されるように,いくつかの中間ステップ27は,ブレード20の切断領域において,部分的な凸部22a又は部分的な凹部24aとして形成されている。これは,切り欠き28が存在によってもたらされたものである。また,図4Cに示されるように,いくつかの中間ステップ22bは,凸部22又は凹部24の領域より大きい領域として形成されている。
【0030】
使用中又は使用後において,連結部26の摩耗は刃先の部分的な凹凸部に現れる。これは,従来の鋭利な弾丸系の波形状とは対照的である。本発明に係るカッティングブレードの刃先の凹凸形状(波形状)と従来の波形状は,カッティングブレード20が回転した際に,切断幅D1に渡って工作物と接する基盤の厚みの点において異なる。中間ステップ27,部分的な凸部22a,22b,又は部分的な凹部24aを形成することにより,切断幅D1に渡る基盤の厚みがより均一化されるため,カッティングブレード20の刃先の形状が,実質的に平坦となる。
【0031】
図5Aは,本発明によって形成された比較的大きい丸鋸30の例を示す平面図である。丸鋸30は,環状に形成されたブレード32を取付けるための薄い金属の支持部又は地金板34を含む。ブレード32は,図3又は図4A〜Cに示されるように,波形に形成されている。このようなブレード32は,直径1m又は1m以上で容易に製造することができ,目詰まりせずスムーズに材料を切断することができる。
【0032】
図5Bは,図5Aに示されたX−Xの線分で切断した状態を示す断面図である。円形の支持部34には,波形に形成された円形状の肩部(接続部)が形成されている。肩部の表面35は,ブレード32の取付フランジ36のパターンと一致する波形のパターンで形成されている。肩部表面と取付フランジ36の波形は,ブレード32と同一のピッチ(間隔幅:周期)を有するが,波形の深さは異なっている。取付フランジ36と肩部35は,公知の技術で接着することとしてもよい。
【0033】
図6Aは,従来のカッティングブレード10を取り付けて保持するためのハブ60の分解図を示している。ハブ60は,フランジハブ62,支持ハブ63,及び挿入部64の3つのパーツによって形成されている。図6Bは,本発明に係るカッティングブレード20,30を取り付けて保持するためのハブ60aの例を示している。また,図6Bに示されるように,ハブ60aは,フランジハブ62a及び支持ハブ63aで形成されている。フランジハブ62aと支持ハブ63aは,ダイジング装置の軸に取り付けられる。フランジハブ62aと支持ハブ63aは,カッティングブレード20,30を挟み込み,軸の組成物内に,一方の面側から取付ナット68により,他方の面側からスペーサー又はカラーによって保持される。各ブレード20,30には取付領域に切り欠き28が形成されているため,既存のダイジング装置においてブレード20,30を取り付けて保持するに際し,挿入部が不要となる。
【0034】
図7Aは,本発明の他の実施形態に係る帯鋸70aの一部を示している。図7Aに示されるように,帯鋸70は,電鋳法により,本発明に係る波形の刃先72aと全体延伸片74(integral elongate strip)が形成されている。
【0035】
図7Bは,本発明の他の実施形態に係る帯鋸70bの一部を示している。図7Bに示されるように,帯鋸70bは,電鋳性の波形の刃先72bと,全体に形成された波形の片74aを有している。他の実施形態においては,図7Cに示されるように,波形の接続部によって,波形の刃先72bが延伸片74bに接続されている。さらに他の実施形態(図示しない)においては,波形の刃先72´,72a,72bは,図4Cに示されるように,部分的な凸部と部分的な凹部を有していてもよい。
【0036】
図8は,本発明の他の実施形態に係るコアドリル又は孔鋸80の例を示している。図8Bは,コアドリルの端面図を示している。コアドリル80は,円筒形に形成された波形のコアリング部82で構成されており,コアリング82は,管部84と一体となっている。ある実施形態において,ブレードの厚さTは,切断幅D1のおよそ半分となっている。コアドリル80により削り取られる材料が少なくなるため,少ないエネルギーで孔又はコアロッドを穿設することができる。コアドリル80について,インゴットから完成品に近い寸法までロッドを切断する試験が行われた。テストの結果によると,表面の仕上げが優れ,ロッドが精密に形成されおり,最終的なサイジング工程の時間も短縮された。従来の工程では,規格外寸法のロッドは芯が取り除かれ,微細なひびを含む余分なロッドの材料は磨く前に最終寸法となっていた。ロッドの端部は,レーザを扱う部分的な鏡面と完全な鏡面を形成するために,研磨され光沢剤が塗布される。本発明に係るコアドリル80とともに,インゴットからロッドを形成する4日間の従来の工程においても,切断に約10分要した。その上,廃棄物を最小とするに際し,原材料の中に多く貯蔵された。さらに,切断面にわたる薄い凹面の刃先によると,製造者は,ドリルによって,穿設孔の入口及び出口に欠損がなく,全体の芯材を最終的な寸法まで切断することができる。さらに,コアドリル80は,冷却材がない状態でのドリルの送り速度が約10mm/分であり,固く脆い素材の上に冷却材がある状態での送り速度が130mm/分であった。これによりレーザーロッドの製造者は,年間で1000万ドル節約することができると見積もられる。
【0037】
図8Aにおいて,管部又はチャック部/取付部84が示されている。84は円筒面を有している。他の実施形態において,チャック部/取付部84は,コアリング部82と同一の波形パターンを有しており,外部掘削機のスピンドル(心棒)のスプラインに係止する。さらに他の実施形態においては,チャック部/取付部84は,コアリング部82と同一の波形パターンを有しており,切り欠き28a(図8Aには図示されていない)が外面及び/又は内面に形成されている。切り欠き28aは,2又は2以上の列を形成するように互い違い(ジグザグ)に形成されていることが好ましい。切り欠き28aの列は,同心円状又は螺旋状となることとしてもよい。切り欠き28aを有しているので,本発明のコアドリルでは,公知の掘削機の一般的なチャックを使用することができる。
【0038】
本発明に係るソーブレード20,30,及びコアドリル80について試験を行った。試験は,毎秒350mmの直線切削速度で行われた。これらの試験において,カッターの寿命は25kmから50kmの間であった。500mの寿命と毎秒50mmの性能を有する従来のカッターと比較すると,本発明のソーブレード20,30及びコアドリル80は,従来のブレード/ドリルより約50倍〜約100倍も長く持続するものであった。
【0039】
本願においては,具体的な実施形態が記載及び図示されているが,本発明の範囲から逸脱しない範囲において,本発明の構成を変更,修正,変化,又は組み合わせることができる。例えば,接続部には,円形状又は環状の鋸刃において説明されたがコアドリルについては説明されなかった中間ステップ又は部分的な凸部/凹部を形成することとしてもよい。さらに,硬い工作物を切断するに際し,ダイヤモンドに代わり,炭化物,立方晶窒化ホウ素,又はコランダム等,その他の研磨粒子を使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸部と,前記凸部と等しい数の凹部を有し,
前記凸部と前記凹部のそれぞれは,交互に位置し,
前記凸部と前記凹部は,実質的に平行であり,
前記凸部と前記凹部が,連結部を介して連結されることで,前記凸部の上面と,前記凹部における前記凸部の上面とは反対側の底面により,切断幅D1,基材厚さT,及び起伏深さD2が規定されたニッケル電鋳製波形基盤と;
前記ニッケル電鋳製波形基盤に含浸した研磨粒子と;
を有する研磨剤が含浸したカッティングソーにおいて,
前記カッティングソーは,取付領域又は駆動領域を有し,
前記取付領域又は駆動領域は,少なくとも前記凸部を繋ぐ切り欠きを有する
研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項2】
隣接する前記凸部と前記凹部を連結する前記連結部の少なくとも1つには,前記凸部と前記凹部に平行な一又は複数の中間ステップが形成されている
請求項1に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項3】
前記凸部及び前記凹部の少なくとも1つには,前記凸部及び前記凹部と平行な中間ステップ又は部分的な凸部/凹部が形成され,
前記底面と前記中間ステップ又は部分的な凸部/凹部の表面の間の距離D3は,前記切断幅D1より短い
請求項1に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項4】
前記カッティングソーは,円形状,環状,又は直線状のいずれかの形状の刃先によって形成されている。
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項5】
円形状又は直線状のカッティングソーは,平坦な凸部及び凹部を有する
請求項4に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項6】
円形状又は直線状のカッティングソーは,マイクロエレクトロニクス製品のダイジングが可能であり,
波形状に対応した約5〜80ミクロンの厚さの金属板で,切断幅D1を25〜300ミクロンとする
請求項4又は請求項5に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項7】
前記研磨粒子は,ダイヤモンドであり,
前記カッティングソーは,乾式直線切削速度を毎秒約350mmとした切断が可能である
請求項6に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項8】
前記カッティングソーの切断寿命は25km以上である
請求項1から請求項7のいずれかに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項9】
前記取付領域又は駆動領域の前記凹部における切り欠きは,前記凸部と高さが等しくなっており,
前記切り欠きは,円形又は直線の列をなしている
請求項5に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項10】
隣接する切り欠きは,2以上の同心円又は二以上の平行線の列をなすように互い違いに形成されている
請求項9に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項11】
直線状カッティングソーは,帯鋸を形成する
請求項4から請求項10のいずれかに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項12】
環状のカッティングソーは,地金板上に支持されている
請求項4から請求項10のいずれかに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項13】
環状のカッティングソーは,コアドリル又は孔鋸であり,
前記凸部及び前記凹部は,円形の一部である
請求項4に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項14】
前記凸部は,外側に円形の刃先を形成し,
前記凹部は,内側に同心の刃先を形成する
請求項13に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項15】
前記コアドリルは,レイジングロッドの穿設が可能であり,
波形状に対応した約50〜130ミクロンの厚さの金属板で,切断幅D1を100〜250ミクロンとする
請求項13又は請求項14に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項16】
前記研磨粒子は,ダイヤモンドであり,
毎秒約10mmから約130mmの掘削速度での切断が可能である
請求項13から請求項15のいずれかに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項17】
前記取付領域又は駆動領域の前記凹部における切り欠きは,前記凸部と高さが等しくなっており,
前記切り欠きは,円形の列をなしている
請求項13から請求項16のいずれかに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項18】
隣接する切り欠きは,2以上の同心円状の列をなすように互い違いに形成されている
請求項17に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項19】
隣接する切り欠きは,2以上の螺旋状の列をなすように互い違いに形成されている
請求項17に記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。

【請求項20】
前記切断幅にわたる前記刃先は凹面となっており,
これにより,穿設孔の入口及び出口の欠損が減少する
請求項13から請求項19のいずれかに記載の研磨剤が含浸したカッティングソー。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−501862(P2012−501862A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526013(P2011−526013)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/SG2009/000310
【国際公開番号】WO2010/027333
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511058224)キム アンド エドプテ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Kim & Ed Pte Ltd
【Fターム(参考)】