説明

破砕調理器

【課題】簡易な操作により、野菜のスープ分と固形分の両方を含む栄養価の高い野菜スープを自動的に調理できる破砕調理器を提供すること。
【解決手段】上部に開口102を有する有底筒状の本体容器100と、前記開口102を塞ぐように前記本体容器100に装着される本体ヘッド200と、前記本体ヘッド200から下方に延びるように備えられ、前記本体容器100内で回転し材料を破砕する回転羽根部302を備えた破砕部材300と、前記本体容器100の底面104に対向する底面側開口408を備え前記破砕部材300の側方を囲繞する筒状の部材400を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材に水等を加えてスイッチを入れるという簡単な操作だけで、自動的に加熱、破砕、及び混合を実行しスープ等の液状食物を調理することを可能とした破砕調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食材に水等を加えてスイッチを入れるという簡単な操作だけで、自動的に加熱、破砕、及び混合を実行しスープ等の液状食物を調理することを可能とした破砕調理器が存在する。例えば、〔特許文献1〕に記載の破砕調理器は、本体容器内に設置されたおから槽アセンブリ内に大豆を投入し加熱軟化した後、このおから槽アセンブリ内に備えられた回転羽根部を回転し大豆を破砕することにより、液状の豆乳を本体容器内に収集し、豆乳を抽出した残留物である固形状のおからをおから槽に分離して蓄積するものである。
【特許文献1】特許3129698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの破砕調理器は、おから槽アセンブリ内の大豆から豆乳を得ることができるものの、豆乳とおからは分離され、両者が混合されることはない。一方、今日の健康志向の増大に伴い、野菜を野菜スープとして調理し、野菜の栄養分を摂取することが広く行われおり、かかる場合、野菜から抽出される液状のスープ分のみならず、スープ分を抽出した残りの固形分をも同時に摂取することが、野菜の栄養素を無駄なく効率よく採る上で望ましく、仮に、上記した従来の破砕調理器を使用して野菜スープを調理したとしても、野菜のスープ分と固形分は分離されるので、両者を同時に含む野菜スープを得ることができなかった。
【0004】
そこで、本発明は、簡易な操作により、野菜のスープ分と固形分の両方を含む栄養価の高い野菜スープを自動的に調理できる破砕調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、上部に開口を有する有底筒状の本体容器と、前記開口を塞ぐように前記本体容器に装着される本体ヘッドと、前記本体ヘッドから下方に延びるように備えられ、前記本体容器内で回転し材料を破砕する回転羽根部を備えた破砕部材と、前記本体容器の底面に対向する底面側開口を有し前記破砕部材の側方を囲繞する筒状の部材を有する破砕調理器にある。
【0006】
この構成によれば、野菜や水等の材料を本体容器内に投入し、本体ヘッドを本体容器に装着し本体容器を略密閉状態として、本体容器内で回転羽根部を回転させて、底面側開口から筒状の部材の内側へ流入する流れを誘起し、筒状の部材の内側へ流入する材料を回転羽根部で破砕すると共に加熱・保温することにより、野菜のスープ分と固形分の両方を含む栄養価の高い野菜スープを自動的に調理することができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の破砕調理器において、前記筒状の部材は、前記破砕部材が破砕した材料をその内外に通過させる孔を有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、野菜等の材料のうち、孔よりも小さなサイズの材料は、孔を通過して筒状の部材の外側に移動し、孔よりも大きなサイズの材料は、孔を通過することなく筒状の部材の内側で滞留し、破砕部材により孔よりも小さなサイズとなるまで細かく破砕されるので、野菜スープに含まれる材料のサイズを所定のサイズに略均等化することができる。また、孔を上下に多段で形成すれば、上方の孔ほど重量の軽い小さなサイズの材料が通過することになり、所定のサイズに略均等化された材料の中で更にサイズを選別し、種々のサイズの材料が混ざった食感の良い野菜スープを調理することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の破砕調理器において、前記回転羽根部は、回転により、材料を破砕しつつ上方に移動させ、前記回転羽根部により破砕された材料が、前記筒状の部材の内側を上昇し、前記孔から前記筒状の部材の外側に移動し、前記筒状の部材と前記本体容器の内面との間を通って落下する、材料の循環経路を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、材料が循環経路を繰り返し通過することにより所定のサイズまで略均等化される。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の破砕調理器において、前記筒状の部材は、前記回転羽根部に対向する部分に、前記回転羽根部との距離が狭くなる向きに凹設された凹部を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、回転羽根部の回転により、材料を破砕しつつ上方に移動させる際に、回転羽根部に向かう流れを促進し、回転羽根部により材料をより確実に破砕することができる。また、材料が、回転羽根部の回転により誘起される流れに基づく遠心力を受けて筒状の部材の外側に向かって移動し、回転羽根部を回避して破砕されないという状況を防ぐことができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の破砕調理器において、前記筒状の部材は、前記本体容器に着脱自在に備えられていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、筒状の部材を本体容器から取り外して洗浄することができ、洗浄及び取扱いが容易となり衛生的であるという利点を有する。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の破砕調理器において、前記本体容器は、外部電力を供給される受電部と、前記受電部から供給された電力を前記破砕部材を駆動するために前記本体ヘッドに供給する出力部とを有し、前記本体ヘッドは、前記本体容器に装着された状態で前記出力部に接続され同出力部から電力を供給される入力部とを有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、本体容器に本体ヘッドを装着して本体容器の略密閉状態を確保しなければ、破砕調理器は機能することはなく、誤動作により内容物が飛散することや、回転羽根部が回転することを防止することができ、安全性を向上することができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の破砕調理器において、前記本体容器は、材料を加熱する発熱部を内蔵していることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、発熱部を本体容器の底部に設置することにより、その重量によって破砕調理器の重心位置が底部付近となり、本体ヘッドに発熱部を設置した場合よりも破砕調理器全体の安定感を向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、野菜や水等の材料を本体容器内に投入し、本体ヘッドを本体容器に装着し本体容器を略密閉状態として、本体容器内で回転羽根部を回転させて、底面側開口から筒状の部材の内側へ流入する流れを誘起し、筒状の部材の内側へ流入する材料を回転羽根部で破砕することにより、野菜のスープ分と固形分の両方を含む栄養価の高い野菜スープを自動的に調理する破砕調理器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1、図2に本発明を適用した破砕調理器1の概略を示す。図1は、本発明の実施形態に係る破砕調理器1を示しており、破砕調理器1内部の説明を容易にするために、内部を透視し得るように図示されている。図2は、破砕調理器1の縦断面図を示している。
【0021】
図1、図2に示すように、破砕調理器1は、本体容器100と、本体容器100に装着される本体ヘッド200とを有している。本体容器100に本体ヘッド200を装着した状態では、本体容器100は、内部に略密閉空間を形成するようになっており、この略密閉空間に、野菜、水、及び調味料等の材料を投入・収容し、この材料を自動的に加熱、破砕、及び混合する動作を実行して野菜スープ等の液状食物を調理し得るようになっている。液状食物としては、野菜スープ等の他に、おかゆ等も調理し得るようになっている。
【0022】
本体容器100の構成について説明する。本体容器100は、底部に形成されたベース部110と、ベース部110の上方に載置、固定され、上部に開口102を有する有底筒状のカップ部120と、カップ部120の側面に設置され、本体容器100を把持するための把持部130とを有する。
【0023】
ベース部110は、カップ部120と反対側に向けて拡開する台形筒状を形成しており、ベース部110の内部の空間には、材料を加熱するための発熱部112が備えられている。
発熱部112は、電熱線等で構成され、カップ部120の底面104側からカップ部120内部の材料を加熱し得るようになっている。また、発熱部112は、カップ部120内部で調理されたスープを保温し得るようになっている。
【0024】
発熱部112が、本体容器100の底部に形成されたベース部110に設置されているのは、その重量によって破砕調理器1の重心位置が底部付近となり、本体ヘッド200に発熱部112を設置した場合よりも破砕調理器1全体の安定感を向上することができるからである。
【0025】
カップ部120は、ステンレス等の耐熱・保温性のある材質から成っている。カップ部120の開口102の周縁における、把持部130と反対側の部分には、カップ部120内で調理されたスープ等を外部に注出するための注口122が口ばし状に突設されている。開口102は、本体ヘッド200を本体容器100に装着した状態で、注口122の外部と連通する孔以外の部分が本体ヘッド200により塞がれるようになっている。また、カップ部120の内側には、底面104から所定の距離だけ離れた箇所に図示しない目盛りを配設しており、この目盛りは、カップ部120内に材料と共に投入するべき適切な水の量を示している。
【0026】
把持部130は、中央位置に、人手大の穴部130aを穿設しており、この穴部130aに指を入れて把持部130を把持するようになっている。把持部130は、外部電力が供給される電源コネクタ等から成る受電部106と、受電部106から供給された電力を、後述する破砕部材300を駆動する等各種機能を実行するために本体ヘッド200に供給する出力部108とを有している。受電部106は、把持部130の下部に配設されており、図示しない電源アダプタが接続され外部電力を破砕調理器1に供給し得るようになっている。出力部108は、把持部130の上部に配設され、本体ヘッド200に向かって突出している。
【0027】
次に、本体ヘッド200の構成について説明する。本体ヘッド200は、外観視で半球形状の上部カバー202と、上部カバー202から下方に延びる下部カバー204とを組み合わせて中空状に形成されている。下部カバー204は、本体容器100の開口102を塞ぐ蓋体として機能する。
【0028】
下部カバー204の内部には、駆動モータ210と、駆動モータ210の駆動の開始及び停止を制御する制御部212が載置・固定されている。駆動モータ210は、下方に延びる下部カバー204の外部に突出した回転軸304を有している。回転軸304は、下部カバー204の中央に穿設された図示しない貫通孔を貫通し、下部カバー204の外部に突出した状態で、回転自在となっており、駆動モータ210の駆動により、一方向に回転駆動されるようになっている。
【0029】
回転軸304の先端部には、スクリュー状の回転羽根部302が軸支されており、この回転羽根部302は、鋭利な刃を形成し、回転軸304の回転により野菜等の材料を破砕しつつ上方に移動させるようになっている。回転羽根部302及び回転軸304は、本体ヘッド200から下方に延びるように備えられ、本体容器100内で回転し材料を破砕する破砕部材300を構成している。
【0030】
下部カバー204の、注口122に対向する位置には、吹き零れ防止センサ214が突設されている。この吹き零れ防止センサ214は、本体容器100内で回転羽根部302を回転して野菜等の材料を破砕する際に、破砕された材料を含むスープが、開口102の外部と連通する孔から吹き零れることを防止するためのセンサである。
【0031】
吹き零れ防止センサ214が、下部カバー204の、カップ部120の注口122に対向する位置に突設しているのは、本体ヘッド200を本体容器100に装着した状態であっても、本体容器100は、注口122を介して外部と挿通しているので、この注口122からの吹き零れを優先的に防止する必要があるためである。
【0032】
吹き零れ防止センサ214は、制御部212に接続されており、破砕された材料を含むスープが所定の水位に達して吹き零れ防止センサ214に接触した場合には、その旨の検知信号を制御部212に送信するようになっている。制御部212は、この検知信号を受信すると、駆動モータ210及び発熱部112の全機能を停止する。これにより、上記した吹き零れを未然に防止し、安全性を向上することができる。
【0033】
上部カバー202の上部にはスイッチ部216が設けられている。このスイッチ部216は、タッチ式でスープを調理するスープモード、及び本体容器100内の保温状態を解除するOFFモード等の多種のモードを切り替えるためのものである。スイッチ部216は、制御部212に接続されており、使用者がこのスイッチ部216を操作して各モードを選択すると、各モードを実行する旨の信号を制御部212に送信するようになっている。制御部212は、受信した各モードを実行する旨の信号に基づき、各モードを実行し得るようになっている。
【0034】
また、本体ヘッド200は、本体容器100に装着された状態で出力部108に接続され、出力部108から電力を供給される入力部206を有している。入力部206は、本体ヘッド200の、出力部108に対向する部分に凹設されており、複数の接続端子206aを有している。出力部108が、入力部206に嵌合されることにより、本体ヘッド200は、本体容器100に装着された状態となると共に、出力部108は、受電部106に供給された外部電力を、接続端子206aを介して制御部212に供給し得るようになっている。
【0035】
このように、本体ヘッド200を本体容器100に装着して、本体容器100の略密閉状態を確保しなければ、制御部212に外部電力が供給されず、駆動モータ210が駆動して回転羽根部302が回転したり、発熱部112が発熱したりすることはなくなるので、安全性が向上している。
【0036】
また、本体ヘッド200は、下部カバー204の下端面204aから下方に延びる円柱状の接続部208と、接続部208に螺合により着脱自在に装着された筒状の部材400を有している。この筒状の部材400は、破砕部材300の側方を囲繞するように構成されている。
【0037】
筒状の部材400について、図3〜図5を用いて具体的に説明する。図3は、筒状の部材400の縦断面図であり、図4は、本体ヘッド200を斜め上方から見た分解斜視図であり、図5は、本体ヘッド200を斜め下方から見た分解斜視図である。
【0038】
図3〜図5に示すように、筒状の部材400は、外観視略円筒状を形成しており、その上部周面に、筒状の部材400の内側に向かって突出する複数の突起部402を有している。一方、接続部208は、外周面に螺刻されたネジ山208aを有している。
【0039】
筒状の部材400は、突起部402とネジ山208aとを螺接して、筒状の部材400の上端面410aが下部カバー204の下端面204aに当接するまで、本体ヘッド200の下方から見て反時計方向に回転されることにより、接続部208に装着されるようになっている。
【0040】
一方、筒状の部材400は、本体ヘッド200の下方から見て時計方向に回転されることにより、接続部208から離脱するようになっている。筒状の部材400を離脱すれば、洗浄及び取扱いが容易となり衛生的な状態を維持することができる。
【0041】
また、筒状の部材400は、本体容器100の底面104に対向する底面側開口408と、底面側開口408の上方であり、回転羽根部302に対向する部分に、回転羽根部302との距離が狭くなる向きに凹設された凹部406と、凹部406と突起部402との間の部分に穿設された貫通孔404を有している。
【0042】
底面側開口408は、図3に示すように、筒状の部材400を接続部208に装着した状態で、底面104から所定の距離だけ上方に位置しており、この所定の距離の間に形成される空間を介して、野菜等の材料Pを筒状の部材400の内側へ通過させ得るようになっている。つまり、材料Pは、回転羽根部302の回転により、底面側開口408を通過して回転羽根部302へ向かって上方に移動すると共に、破砕されることとなる。なお、材料Qは、材料Pが回転羽根部302により破砕されてより小さいサイズとなったものである。
【0043】
凹部406は、筒状の部材400を接続部208に装着した状態で、回転羽根部302
に対して近づく向きに傾斜するテーパ面406aを有している。テーパ面406aが回転羽根部302に対して近づく向きに傾斜するのは、回転羽根部302の回転により、材料Pを破砕しつつ上方に移動させる際に、回転羽根部302に向かう流れを促進し、回転羽根部302により材料Pをより確実に破砕するためである。回転羽根部302に向かう流れを促進する必要があるのは、材料Pが、回転羽根部302の回転により誘起される流れに基づく遠心力を受けて筒状の部材400の内面側に向かって移動し、回転羽根部302を回避して破砕されないという状況を防ぐためである。
【0044】
貫通孔404は、上段の孔404aと、下段の孔404bとを備えている。孔404a、404bは、筒状の部材400の周方向において互い違いとなる千鳥状に配設されており、破砕部材300が破砕した材料Qを、筒状の部材400の内側から外側に通過させるようになっている。よって、材料Qのうち、孔404a、404bよりも小さなサイズの材料は、孔404a,404bを通過して筒状の部材の外側に移動する。一方、孔404a,404bよりも大きなサイズの材料は、孔404a,404bを通過することなく筒状の部材400の内側で滞留する。筒状の部材400の内側で滞留する材料Qは、後述するように、駆動モータ210の駆動を停止することにより、底面104へ向かって沈降し、駆動モータ210の駆動を再開することにより、破砕部材300により孔404a,404bより小さなサイズとなるまで破砕される。
【0045】
また、貫通孔404は、孔404a、404bの上下二段で形成されているので、上段の孔404aの方が下段の孔404bよりも、重量の軽い小さなサイズの材料が通過することになり、所定のサイズに略均等化された材料の中で更にサイズを選別し、種々のサイズの材料が混ざった食感の良い野菜スープを調理することができる。
【0046】
また、貫通孔404は、千鳥状に配置されているため、材料Qが筒状の部材400の内外に通過するために必要な孔数を確保すると共に、貫通孔404を、筒状の部材400の周方向において並列に配置した場合よりも高い強度を維持できる。
【0047】
このような構成の下で、回転羽根部302は、回転により、材料Pを上方に移動させる流れを誘起する。具体的には、回転羽根部302の回転により、筒状の部材400内で、回転軸304を囲繞するように上向きかつ螺旋状の流れが形成される(以下、螺旋流という。)。材料Pは、螺旋流により、底面側開口408を通過して、筒状の部材400の内側を回転羽根部302へ向かって上方に移動すると共に、回転羽根部302により破砕される。回転羽根部302により破砕された材料Qは、筒状の部材400の内側を螺旋状に上昇し、貫通孔404から筒状の部材400の外側に移動し、筒状の部材400とカップ部120の内面との間を通って落下する。
【0048】
落下した材料Qは、再び底面側開口408を介して筒状の部材400の内側へ移動し、回転羽根部302は、回転により、材料Qを破砕しつつ上方に移動させる。このとき、底面側開口408、筒状の部材400の内側、回転羽根部302、貫通孔404、筒状の部材400とカップ部120の内面との間には、材料の循環経路Kが構成される。
【0049】
この発明の実施の形態は、以上のように構成されており、実際に使用する場合の手順及び動作を説明する。
【0050】
まず、材料を用意する。具体的には、野菜等の材料を適当なサイズにカットした材料Pを本体容器100に投入すると共に、調味料、水を投入して、その水位が、本体容器100の図示しない目盛りのある位置まで到達するようにする。このとき、水位が目盛りよりも低い位置にある場合には、回転羽根部302の回転により螺旋流を生ずることはない。一方、水位が目盛りよりも高い位置にある場合には、回転羽根部302の回転により、吹き零れ防止センサ214の作動する位置まで水位が上昇する。
【0051】
次に、筒状の部材400を、本体ヘッド200の接続部208に装着した後、本体ヘッド200を本体容器100に装着する。このとき、本体容器100の出力部108が、本体ヘッド200の入力部206に嵌合され、本体容器100及び本体ヘッド200は電気的に導通した状態である破砕調理器1の組立状態となる。この状態で、図示しない電源コードを受電部106に接続する。
【0052】
次に、スイッチ部216を操作して、スープモードを選択しスイッチオンとすれば、破砕調理器1の電源が投入されて、発熱部112による材料Pの加熱が開始する。発熱部112による材料Pの加熱により、本体容器100内の材料Pが軟化するまで所定の時間煮込まれる。
【0053】
材料Pが所定の時間煮込まれて軟化した後に、破砕調理器1は、駆動モータ210の駆動を開始し、回転羽根部302の回転により、材料Pを破砕しつつ上方に移動させる。回転羽根部302の回転によって形成される螺旋流により、材料Pは、底面側開口408を通過して、筒状の部材400の内側を回転羽根部302へ向かって上方に移動する。
【0054】
材料Pは、循環経路Kに沿って回転羽根部302の位置まで到達すると、回転羽根部302の回転により破砕されて、材料Pよりもサイズの小さい材料Qとなる。
【0055】
このとき、材料Pは、螺旋流に基づく遠心力を受けて筒状の部材400の内面側に向かって移動、すなわち、回転羽根部302を回避する方向に移動しようとするが、凹部406により回転羽根部302に向かう流れが促進されて、強制的に回転羽根部302のある位置へと引き戻される。よって、回転羽根部302により材料Pをより確実に破砕することができる。
【0056】
回転羽根部302により破砕された材料Qは、循環経路Kに沿って筒状の部材400の内側を螺旋状に上昇し、貫通孔404から筒状の部材400の外側に移動し、筒状の部材400とカップ部120の内面との間を通って落下する。
【0057】
落下した材料Qは、再び底面側開口408を介して筒状の部材400の内側へ移動した後に、循環経路Kを繰り返し通過する。
【0058】
このように、破砕調理器1は、駆動モータ210の駆動により、回転羽根部302を20秒間回転させて、18秒間停止する手順を5回繰り返す。駆動モータ210の駆動を停止するのは、回転羽根部302により破砕された材料Qのうち、貫通孔404よりもサイズが大きく筒状の部材400の内側で滞留する材料を底面104に沈降させるためである。
【0059】
底面104に沈降した材料は、駆動モータ210の駆動を再開することにより、回転羽根部302によって貫通孔404より小さなサイズとなるまで破砕される。この駆動モータ210の駆動・停止を繰り返す間に、材料Qは、循環経路Kを繰り返し通過し、材料全体として所定のサイズまで略均等化される。
【0060】
破砕調理器1は、駆動モータ210が5回目の動作を終了し、回転羽根部302が停止したのと同時に、発熱部112により材料を8分間再加熱して、更に煮込む。
【0061】
発熱部112による再加熱が終了すると、破砕調理器1は、再び駆動モータ210を駆動して材料を再破砕する。具体的には、破砕調理器1は、駆動モータ210の駆動により、回転羽根部302を10秒間回転させて、5秒間停止する手順を2回繰り返す。これにより、材料Qは、循環経路Kを繰り返し通過して、更に小さいサイズまで再破砕される。
【0062】
材料の再破砕が終了すると、破砕調理器1は、例えば、調理終了を知らせるブザー等を鳴らし、野菜スープ等の調理を完成すると共に、発熱部112を動作して、本体容器100の内部で調理された野菜スープ等を保温する保温モードに移行する。保温の必要がない場合には、スイッチ部216を操作して、OFFモードを選択すれば、発熱部112を停止して保温モードを終了することもできる。
【0063】
したがって、野菜や水等の材料を本体容器100内に投入し、本体ヘッド200を本体容器100に装着し本体容器100を略密閉状態として、本体容器100内で回転羽根部302を回転させて、底面側開口408から筒状の部材400の内側へ流入する流れを誘起し、筒状の部材400の内側へ流入する材料を回転羽根部302で破砕すると共に発熱部112で加熱・保温することにより、野菜のスープ分と固形分の両方を含む栄養価の高い野菜スープを自動的に調理する破砕調理器1を提供することができる
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0064】
例えば、本体ヘッド200の接続部208には、筒状の部材400を着脱自在に装着しているが、筒状の部材400の代わりに、〔特許文献1〕に記載されているおから層アセンブリに相当する豆乳用フィルタを着脱自在に装着できるようにしても良い。
【0065】
この場合、スイッチ部216を、豆乳モードを選択し得るように構成する。かかる構成の下で、本体容器100内に設置された豆乳用フィルタ内に大豆を投入して、この豆乳用フィルタを本体ヘッド200の接続部208に設置して、適量の水を加えた後に、豆乳モードを選択してスイッチオンする。
【0066】
これにより、破砕調理器1は、上述した実施の形態と同様の動作を実行して豆乳を調理する。具体的には、発熱部112により大豆を加熱軟化した後、このおから槽アセンブリ内に備えられた回転羽根部302を回転し大豆を破砕することにより、液状の豆乳を本体容器100内に収集し、豆乳を抽出した残留物である固形状のおからをおから槽に分離して蓄積する。
【0067】
このように、破砕調理器1は、調理対象に応じて、筒状の部材400と豆乳用フィルタを交換するだけで、野菜スープ及び豆乳の両方を自動的に調理することができる。
【0068】
また、筒状の部材400の貫通孔404は、孔404a、404bの上下二段で形成しているが、上下三段以上で形成しても良い。この場合、所定のサイズに略均等化された材料の中で更にサイズを選別することが一層容易となり、更に食感の優れた野菜スープを調理することができる。
【0069】
また、筒状の部材400は、凹部406を凹設することにより、回転羽根部302に向かう流れを促進し、回転羽根部302により材料をより確実に破砕する構成としたが、凹部406を凹設する代わりに、回転羽根部302に対向する部分に整流板を設置しても良い。整流板により回転羽根部302に向かう流れを促進することにより凹部406と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、材料の破砕を促進するために、破砕部材300に回転羽根部302を2個以上設置しても良い。
【0071】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明を適用した破砕調理器の外観斜視図である。
【図2】図1に示した破砕調理器の縦断面図である。
【図3】図1に示した破砕調理器に備えられた筒状の部材の縦断面図である。
【図4】本体ヘッドの斜め上方から見た分解斜視図である。
【図5】本体ヘッドの斜め下方からみた分解斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1 破砕調理器
100 本体容器
102 開口
104 底面
106 受電部
108 出力部
112 発熱部
200 本体ヘッド
206 入力部
300 破砕部材
302 回転羽根部
400 筒状の部材
404 貫通孔(孔)
404a 上段の孔
404b 下段の孔
406 凹部
408 底面側開口
K 循環経路
P、Q 材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する有底筒状の本体容器と、
前記開口を塞ぐように前記本体容器に装着される本体ヘッドと、
前記本体ヘッドから下方に延びるように備えられ、前記本体容器内で回転し材料を破砕する回転羽根部を備えた破砕部材と、
前記本体容器の底面に対向する底面側開口を備え前記破砕部材の側方を囲繞する筒状の部材を有することを特徴とする破砕調理器。
【請求項2】
前記筒状の部材は、前記破砕部材が破砕した材料をその内外に通過させる孔を有することを特徴とする請求項1記載の破砕調理器。
【請求項3】
前記回転羽根部は、回転により、材料を破砕しつつ上方に移動させ、
前記回転羽根部により粉砕された材料が、前記筒状の部材の内側を上昇し、前記孔から前記筒状の部材の外側に移動し、前記筒状の部材と前記本体容器の内面との間を通って落下する、材料の循環経路を有することを特徴とする請求項2記載の破砕調理器。
【請求項4】
前記筒状の部材は、前記回転羽根部に対向する部分に、前記回転羽根部との距離が狭くなる向きに凹設された凹部を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1つに記載の破砕調理器。
【請求項5】
前記筒状の部材は、前記本体ヘッドに着脱自在に備えられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1つに記載の破砕調理器。
【請求項6】
前記本体容器は、外部電力を供給される受電部と、前記受電部から供給された電力を前記破砕部材を駆動するために前記本体ヘッドに供給する出力部とを有し、
前記本体ヘッドは、前記本体容器に装着された状態で前記出力部に接続され同出力部から電力を供給される入力部とを有することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1つに記載の破砕調理器。
【請求項7】
前記本体容器は、材料を加熱する発熱部を内蔵していることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1つに記載の破砕調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−43502(P2008−43502A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221329(P2006−221329)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【出願人】(595116186)株式会社メディア・プライス (3)
【Fターム(参考)】