説明

硬化剤組成物、接着剤システム及び接着方法

本発明は、脂肪族のα−ヒドロキシ−モノカルボン酸又はα−ヒドロキシ−ジカルボン酸と、ポリビニルアルコールとを含む、アミノ樹脂系接着剤システムにおいて使用される硬化剤組成物に関する。本発明はまた、木製物を接着する接着剤システム及び方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製物を接着する硬化剤組成物、接着剤システム及び方法に関する。
【0002】
背景
積層化された角材を製造するとき、メラミンに基づく様々なアミノ樹脂が、通常的にはメラミン−ホルムアルデヒド(MF)樹脂及びメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド(MUF)樹脂であるが、一般に使用される。これらのアミノ樹脂は、フェノール系樹脂、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂又はフェノール−レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂などとは対照的に、薄い色の接合部を与える。UF樹脂は、その低い耐水性のために、積層化された角材を作製するときの使用には適していない。MF樹脂又はMUF樹脂のための硬化剤として、酸が使用される。積層化された角材を製造するときの最も一般に使用される酸が、ギ酸、又は、別の揮発性の酸(例えば、酢酸)である。ギ酸は良好な結合結果を与えるが、作業環境に対する負の副作用、及び、接着用機器に対する増大する腐食をもたらす。十分な硬化速度を与える不揮発性の酸(例えば、パラ−トルエンスルホン酸(PTSA)及びマレイン酸)は、木材表面に対する酸損傷の危険性を増大させ、かつ、ポリマー分散物もまた含有する硬化剤組成物の不良な安定性をもたらすかなり強い酸である。
【0003】
積層化された角材を空気中で低い温度及び低い湿度において接着するとき、十分な結合品質に関する問題が、ギ酸を硬化剤として使用する最先端の接着剤システムを使用するときに認められている。
【0004】
揮発性の酸がもたらすような、作業環境に対する様々な問題を生じさせない硬化剤組成物を提供することが望ましい。さらに、低温かつ低湿度の環境で使用されるとき、接着の品質に関して、改善された結果を与える硬化剤組成物及び接着剤システムを提供することが望ましい。
【0005】
国際公開第01/70898A1号は、エーテル化アミノ樹脂、カルボン酸、ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールを含む接着剤システムを開示する。
【0006】
米国特許第6,436,865号は、アミノ樹脂と架橋するための液体触媒を開示する。
【0007】
国際公開第2005/010119号は、アミノ樹脂と、pKaが6未満である酸とを含む接着剤組成物を開示する。
【0008】
木材を接着する方法において使用されるとき、好ましくは、積層化された角材を製造するとき、強い接着結合(これは、例えば、繊維引裂け及び層間剥離として測定される)を与え、かつ、木材表面における酸損傷及び長い組み立て時間の可能性が全くないか、又は、木材表面における酸損傷及び長い組み立て時間の可能性が低い接着剤システムを、アミノ樹脂との組合せにおいて、具体的には、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂との組合せにおいて提供する硬化剤組成物を提供することが本発明の目的の1つである。そのような硬化剤組成物はさらに、揮発性の酸がもたらすような、腐食に関する様々な問題及び作業環境に対する様々な問題を生じさせるべきではない。そのような硬化剤組成物はまた、好ましくは、貯蔵安定性があるべきである。
【0009】
本発明
本明細書中で使用される用語「接着剤システム」によって、硬化性樹脂と、この樹脂を硬化させるための硬化剤との組合せが意味される。
【0010】
「乾燥含有量」によって、本明細書中では、水を除いた全成分の含有量が意味される。
【0011】
本発明は、約1重量%〜約50重量%の脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸と、ポリビニルアルコールとを含む、アミノ樹脂系接着剤システムにおいて使用される硬化剤組成物を含む。
【0012】
本発明はさらに、アミノ樹脂である樹脂成分と、脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸及びポリビニルアルコールである硬化剤成分とを含む、接着剤システムを含む。
【0013】
本発明はさらに、アミノ樹脂を硬化させるための本発明による硬化剤組成物の使用を含む。
【0014】
本発明はさらに、木製物を接着するための本発明による接着剤システムの使用を含む。
【0015】
本発明はさらに、接着剤システムを2つの木製物のうちの少なくとも1つに塗布することと、これら2つの木製物を接触させ、それにより、2つの木製物の間にある接着剤システムがグルーラインを形成する組み立て物を形成することと、組み立て物を押圧し、その結果、これら2つの木製物が接合されることとを含む、木製物を接着する方法を含み、接着剤システムは、アミノ樹脂である樹脂成分と、脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸及びポリビニルアルコールである硬化剤成分とを含む。押圧することは、場合により、グルーライン内での高い温度において行われる。
【0016】
1つの実施形態において、本発明の接着剤システムは、アミノ樹脂と、脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸と、ポリビニルアルコールとを含む接着剤組成物である。
【0017】
1つの実施形態において、本発明の接着剤システムは、アミノ樹脂である樹脂成分と、硬化剤組成物とを、例えば、それらを、接着されることになる表面への塗布の前に混合することによるか、又は、それらを、接着されることになる表面に別々に塗布することによるか、又は、それらを、一緒に接着されることになる異なる表面に別々に塗布することによる混合使用のために意図される別個の一部として含む。
【0018】
酸における脂肪族鎖は好ましくは、C〜Cの脂肪族鎖である。
【0019】
酸は、好適には、25℃における少なくとも5g/100g・水の水における溶解度を有し、好ましくは、25℃における少なくとも10g/100g・水の水における溶解度を有し、より好ましくは、25℃における少なくとも25g/100g・水の水における溶解度を有し、最も好ましくは、25℃における少なくとも50g/100g・水の水における溶解度を有する。
【0020】
酸は、好適には、分子量が約160g/mol未満であり、好ましくは、分子量が約140g/mol未満である。
【0021】
酸の蒸気圧は、好適には、25℃において10mmHg未満であり、好ましくは、25℃において5mmHg未満であり、最も好ましくは、25℃において1mmHg未満である。
【0022】
酸は、好適には、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群に属し、好ましくは、グリコール酸及びリンゴ酸からなる群に属し、最も好ましくは、酸はグリコール酸である。
【0023】
硬化剤組成物におけるそのような酸の含有量は、好適には約2重量%〜約30重量%であり、最も好ましくは約5重量%〜約15重量%である。
【0024】
接着剤組成物におけるそのような酸の含有量は、好適には約0.5重量%〜約15重量%であり、好ましくは約1重量%〜約10重量%であり、最も好ましくは約1.5重量%〜約5重量%である。
【0025】
接着剤システムにおける重量比の酸対アミノ樹脂は、好適には約0.01対約1であり、好ましくは約0.02対約0.75であり、より好ましくは約0.05対約0.5であり、最も好ましくは約0.1対約0.25である。
【0026】
硬化剤組成物のpHは、好適には約0〜約4であり、好ましくは約0.5〜約3であり、最も好ましくは約1〜約2である。
【0027】
接着剤組成物のpH、又は、アミノ樹脂及び硬化剤成分を組み合わせた後における接着剤システムのpHは、好適には約0〜約5であり、好ましくは約0.5〜約4であり、最も好ましくは約1〜約2である。
【0028】
ポリビニルアルコールは、好適には25%超の加水分解度を有し、好ましくは50%超の加水分解度を有し、最も好ましくは75%超の加水分解度を有する。
【0029】
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は好適には約1000g/mol〜約200000g/molであり、好ましくは約5000g/mol〜約150000g/molであり、最も好ましくは約10000g/mol〜約120000g/molである。
【0030】
硬化剤組成物におけるポリビニルアルコールの総含有量は好適には約0.5重量%〜約25重量%であり、好ましくは約1重量%〜約20重量%であり、より好ましくは約2重量%〜約15重量%であり、最も好ましくは約3重量%〜約10重量%である。
【0031】
接着剤組成物におけるポリビニルアルコールの総含有量は好適には約0.1重量%〜約15重量%であり、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%であり、最も好ましくは約1重量%〜約5重量%である。
【0032】
1つの実施形態において、硬化剤組成物及び接着剤組成物は好ましくはさらに、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーを含む。好適なエチレン性不飽和モノマーの例には、ビニル性モノマー、例えば、ビニルエステルなど、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、及び、例えば、エチレンとのそのコモノマー;アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステル、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートなど;ブタジエン−スチレン及びその誘導体、例えば、カルボキシル化されたブタジエン−スチレンなど;α,β−不飽和ジカルボン酸の置換又は非置換のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、例えば、置換及び非置換のモノブチルマレアートエステル、ジブチルマレアートエステル、モノエチルマレアートエステル及びジエチルマレアートエステル、並びに、対応するフマレート、イタコナート及びシトロネートなど;α,β−不飽和カルボン酸、例えば、クロトン酸、アクリル酸及びメタクリル酸並びにそれらの混合物などがある。ビニルアセテートに基づくポリマーが好ましい。好ましくは、ポリマーは、モノマーの総重量に基づいて少なくとも50重量%のビニルアセテートを含むモノマー混合物から調製される。
【0033】
1つの実施形態において、硬化剤組成物及び接着剤組成物は好ましくはさらに、二価アルコール又は三価アルコールを含む。好適なアルコールは、モノエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びグリセロールであり、好ましくはグリセロールである。そのようなアルコールの存在により、例えば、改善された組み立て時間が提供される。
【0034】
硬化剤組成物におけるそのようなアルコールの量は、好適には約1重量%〜約40重量%であり、好ましくは約5重量%〜約35重量%であり、最も好ましくは約10重量%〜約30重量%である。
【0035】
接着剤組成物におけるそのようなアルコールの量は、好適には約0.5重量%〜約25重量%であり、好ましくは約1重量%〜約20重量%であり、最も好ましくは約2重量%〜約15重量%である。
【0036】
本発明の1つの実施形態によれば、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーは後架橋基(post-crosslinking groups)を含む。後架橋基は、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーを、少なくとも1つの後架橋基を含む少なくとも1つのモノマーと共重合し、それにより、コポリマーを形成することによってポリマーに取り込むことができる。好適な後架橋基には、N−アルキロール基、N−アルコキシメチル基、カルボキシレート基及びグリシジル基が含まれる。
【0037】
後架橋性モノマーによって、本明細書中では、モノマーを、エチレン性不飽和コモノマー(1つ又はそれ以上)との共重合が可能であるようにする第1の反応性官能基と、共重合反応をポリマーの形成期間中には始めないが、その後、例えば、酸性条件下において、コポリマー及び/又はアミノ樹脂における別の反応性部位と反応して、コポリマー及び/又はアミノ樹脂を架橋することができるコポリマー上の反応性部位を提供する第2の官能基とを有するモノマーが意味される。
【0038】
好適な後架橋性モノマーには、N−アルキロールアクリルアミド、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エタノールメタクリルアミド、N−プロパノールメタクリルアミド、N−メチロールマレアミド、N−メチロールマレアミド酸、N−メチロールマレアミド酸エステル;ビニル芳香族酸のN−アルキロールアミド、例えば、N−メチロール−p−ビニルベンズアミドなど;同様に、N−(アルコキシメチル)アクリレート及びN−(アルコキシメチル)メタクリレート(アルキル基は1個〜8個の炭素原子を有する)、例えば、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アリルカルバメート及びN−(メトキシメチル)アリルカルバメートなど、並びに、アリルカルバメート、アリルアクリアミド又はアリルメタクリルアミドとのこれらのモノマーの混合物;同様にまた、トリアリルシアヌレートが含まれる。好ましくは、N−メチロールアクリルアミド又はN−(ブトキシメチル)アクリルアミドが使用される。
【0039】
1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーは、好適には、モノマーの総重量に基づいて約0.1重量%〜約10重量%(好ましくは、約0.2重量%〜約6重量%)の後架橋性モノマーから調製される。
【0040】
1つの実施形態において、コポリマーは、ビニルアセテート及びN−メチロールアクリルアミドに基づく。
【0041】
硬化剤組成物における、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーの量は、好適には約1重量%〜約30重量%であり、好ましくは約5重量%〜約25重量%であり、最も好ましくは約10重量%〜約20重量%である。
【0042】
接着剤組成物における、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーの量は、好適には約0.5重量%〜約20重量%であり、好ましくは約1重量%〜約15重量%であり、最も好ましくは約2重量%〜約10重量%である。
【0043】
後架橋基を含有する、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーと、後架橋基を有しない、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーとの混合物もまた、本発明に従って使用することができる。例えば、ポリマーは、後架橋基を有しないポリビニルアセテートと、後架橋基を含有するビニルアセテート系ポリマーとの両方を含むことができる。
【0044】
好ましくは、本発明による1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーは水性分散物の形態で使用される。
【0045】
ポリビニルアルコールが、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーの分散物のさらなる成分として存在するならば、この量は、硬化剤組成物及び接着剤組成物において既に存在するポリビニルアルコールの量に加えられることになり、従って、既に規定された用語「ポリビニルアルコールの含有量」に含まれる。
【0046】
硬化剤組成物の粘度(Brookfield、12rpm、スピンドル:3、20℃において)は好適には約500mPas〜約15000mPasであり、好ましくは約1000mPas〜約10000mPasであり、最も好ましくは約1500mPas〜約5000mPasである。
【0047】
別個の成分としての接着剤システムの一部であるアミノ樹脂、及び/又は、別個の塗布方法において使用されるためのアミノ樹脂を含む成分は、好適には、約20重量%〜約80重量%であるアミノ樹脂の含有量を有し、好ましくは、約35重量%〜約75重量%であるアミノ樹脂の含有量を有し、最も好ましくは、約50重量%〜約70重量%であるアミノ樹脂の含有量を有する。
【0048】
アミノ樹脂は好ましくは、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0049】
木材系材料を接着する方法の1つの実施形態において、接着剤システムが、接着剤組成物として木材表面に塗布される。
【0050】
1つの実施形態において、接着剤システムは、アミノ樹脂と、硬化剤組成物とを、木製物を接着する方法における混合使用のために意図される別個の成分として含む。
【0051】
1つの実施形態において、本発明の方法は、アミノ樹脂を含む1つの成分と、硬化剤組成物である別の成分とを木材表面に別々に塗布することを含む。これら2つの成分の塗布は任意の順序で行うことができ、又は、同時に行うことができる。さらに、アミノ樹脂を含む成分は木製物の第1の表面に塗布することができ、また、硬化剤組成物である成分は木製物の第2の表面に塗布することができ、その後、塗布された成分を有するこれら2つの表面が接合される。
【0052】
アミノ樹脂を含む塗布された成分と、硬化剤組成物との比率は、好適には約50:1〜約1:6であり、好ましくは約20:1〜約1:4であり、より好ましく約10:1〜約1:3であり、最も好ましくは約5:1〜1:2である。
【0053】
本発明の方法の1つの実施形態において、接着剤システムは、1つの成分がアミノ樹脂であり、さらに1つの成分が酸であり、さらに1つの成分がポリビニルアルコールである別個の成分として木材表面に塗布される。1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーの可能なポリマーが使用され、及び/或いは、ポリオールが、酸と一緒に、又は、1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーと一緒にそのどちらかで加えられる。
【0054】
別々に塗布されるとき、成分は任意の形態で塗布することができ、例えば、ストランド、噴霧、はけ塗り又はロール塗りの形態で塗布することができる。
【0055】
木製物は、どのようなタイプの木製物でも可能であり、例えば、すき間のない木材複合材又は木製複合材(例えば、パーティクルボード材など)などが可能である。
【0056】
本発明の方法は、好ましくは、木製の薄板を接着し、それにより、積層化された角材を形成することを含む。試験EN 391 Bに合格する積層化された角材を本発明による方法によって製造することができる。
【0057】
木製表面(好ましくは、木製の薄板)における接着剤システムの塗布量は好適には約100g/m〜約1000g/mであり、好ましくは約200g/m〜約600g/mである。
【0058】
本発明はさらに、本発明の方法によって得ることができる接着された製造物に関する。接着された製造物は好ましくは、積層化された角材である。
【0059】
次に、本発明はさらに、下記の実施例に関連して記載される。しかしながら、下記の実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。
【実施例】
【0060】
実施例1(種々の酸の試験)
下記の酸を硬化剤成分として試験した:
グリコール酸(脂肪族のα−ヒドロキシ−モノカルボン酸)
リンゴ酸(脂肪族のα−ヒドロキシ−ジカルボン酸)
乳酸(脂肪族のα−ヒドロキシ−モノカルボン酸)
酒石酸(脂肪族のα−ヒドロキシ−モノカルボン酸)
クエン酸(脂肪族のα−ヒドロキシ−トリカルボン酸)
マンデル酸(芳香族のα−ヒドロキシ−モノカルボン酸)
ギ酸
マレイン酸
パラ−トルエンスルホン酸
【0061】
10.7重量%の酸、16重量%のPvAc、6重量%のポリビニルアルコール及び67.3重量%の水を含む硬化剤組成物(No.1〜No.9)を作製した。PvAcを、50重量%のポリマーを含む分散物として加えた。ポリビニルアルコールは、加水分解度が98.5%であり、分子量が75000g/molであった。パラ−トルエンスルホン酸(PTSA)及びマレイン酸を使用して作製された硬化剤組成物は、他の酸を使用する硬化剤組成物よりもはるかに貯蔵安定性が低く、さらには評価されなかった。
【0062】
それぞれの硬化剤組成物を、63重量%の乾燥含有量を有するメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂と組み合わせた。メラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂と、硬化剤組成物とを1:1の混合比で、90cm×15.5cmのトウヒ(spruce)片に250g/mの量で別々に塗布した。その後、積層物をこのトウヒ片から作製した。組み立て時間は15分であった。積層物を、20℃の温度、0.7MPa〜0.8MPaの圧力で2時間押圧した。硬化時間後の36時間後に、積層物を、かなり過酷な試験であるEN 391 B標準試験に従って層間剥離について試験した。
【0063】
「良好」についての限界が、
繊維引裂け:70%以上
層間剥離:10%以下(10%を越えるすべての層間剥離結果が等しく不良である)
として定義される。
【0064】
本発明の意味における貯蔵安定な硬化剤組成物は、ポリマー分散物が、25℃での4ヶ月間の貯蔵の後で著しく加水分解されることなく存在することができる硬化剤組成物である。
【0065】
結果が表1にまとめられる。
【表1】

【0066】
pKaに対する相関は何ら認めることができなかった。
【0067】
硬化剤としてのギ酸の結果に等しい結合結果を達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1重量%〜約50重量%の脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸と、ポリビニルアルコールとを含む、アミノ樹脂系接着剤システムにおいて使用される硬化剤組成物。
【請求項2】
アミノ樹脂である樹脂成分と、脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸及びポリビニルアルコールである硬化剤成分とを含む、接着剤システム。
【請求項3】
1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーをさらに含む、請求項1に記載の硬化剤組成物、又は、請求項2に記載の接着剤システム。
【請求項4】
1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーの前記ポリマーの量が約5重量%〜約25重量%である、請求項3に記載の硬化剤組成物。
【請求項5】
前記酸が、グリコール酸及びリンゴ酸からなる群に属する、請求項1又は3から4のいずれか一項に記載の硬化剤組成物、或いは、請求項2から3のいずれか一項に記載の接着剤システム。
【請求項6】
前記アミノ樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂である、請求項1又は3から5のいずれか一項に記載の硬化剤組成物、或いは、請求項2から3又は5のいずれか一項に記載の接着剤システム。
【請求項7】
アミノ樹脂と、脂肪族α−ヒドロキシ−モノカルボン酸又は脂肪族α−ヒドロキシ−ジカルボン酸と、ポリビニルアルコールとを含む接着剤組成物である、請求項2から3又は5から6のいずれか一項に記載の接着剤システム。
【請求項8】
前記接着剤組成物における1つ又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーの量が約1重量%〜約15重量%である、請求項7に記載の接着剤システム。
【請求項9】
前記アミノ樹脂と、前記硬化剤成分組成物とを、木製物を接着する方法における混合使用のために意図される別個の成分として含む、請求項2から3又は5から6のいずれか一項に記載の接着剤システム。
【請求項10】
硬化剤組成物における前記酸の含有量が約2重量%〜約20重量%である、請求項1又は3から6のいずれか一項に記載の硬化剤組成物。
【請求項11】
硬化剤組成物におけるポリビニルアルコールの総含有量が約2重量%〜約12重量%である、請求項1、3から6又は10のいずれか一項に記載の硬化剤組成物。
【請求項12】
二価アルコール又は三価アルコールをさらに含む、請求項1、3から6又は10から11のいずれか一項に記載の硬化剤組成物。
【請求項13】
硬化剤組成物における前記二価アルコール又は三価アルコールの含有量が約1重量%〜約40重量%である、請求項12に記載の硬化剤組成物。
【請求項14】
二価アルコール又は三価アルコールをさらに含む、請求項7から8のいずれか一項に記載の接着剤システム。
【請求項15】
前記接着剤組成物における前記二価アルコール又は三価アルコールの含有量が約0.5重量%〜約25重量%である、請求項14に記載の接着剤システム。
【請求項16】
請求項7から8又は9に記載される接着剤システムを2つの木製物のうちの少なくとも1つに塗布することと、
前記2つの木製物を接触させ、それにより、前記2つの木製物の間にある前記接着剤システムがグルーラインを形成する組み立て物を形成することと、
前記組み立て物を押圧し、その結果、前記2つの木製物が接合されることと
を含む、木製物を接着する方法。
【請求項17】
アミノ樹脂を含む1つの成分と、請求項1、3から6又は10から11のいずれか一項に記載される硬化剤組成物である別の成分とを木材表面に別々に塗布することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
木製の薄板を接着し、それにより、積層化された角材を形成することを含む、請求項16又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
アミノ樹脂を硬化させるための、請求項1、3から6又は10から11のいずれか一項に記載される硬化剤組成物の使用。
【請求項20】
木製物を接着するための、請求項2又は5から9のいずれか一項に記載される接着剤システムの使用。
【請求項21】
請求項16から18のいずれか一項に記載される方法によって得ることができる接着された製造物。

【公表番号】特表2010−532408(P2010−532408A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514697(P2010−514697)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050791
【国際公開番号】WO2009/005461
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】