移植機の予備苗収容装置
【課題】上下複数段の予備苗台を、苗載せ姿勢と格納姿勢とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱に支持した移植機の予備苗収容装置において、各予備苗台の格納を容易に行えるようにする。
【解決手段】予備苗台支柱３３と、予備苗台支柱３３に揺動可能支持した各予備苗台３４，・・と、各予備苗台３４，・・の遊端側を上下に連結する連結部材４０とからなる平行リンクＬを形成すると共に、該平行リンクＬを形成する部材３３，３４，４０のうち、２つの部材３４，４０の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持することができる格納姿勢保持機構を設けた。
【解決手段】予備苗台支柱３３と、予備苗台支柱３３に揺動可能支持した各予備苗台３４，・・と、各予備苗台３４，・・の遊端側を上下に連結する連結部材４０とからなる平行リンクＬを形成すると共に、該平行リンクＬを形成する部材３３，３４，４０のうち、２つの部材３４，４０の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持することができる格納姿勢保持機構を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、乗用型田植機等の移植機に備える予備苗収容装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、乗用型田植機等の移植機においては、機体前部のボンネットの両横側に上下複数段の予備苗載せ台を備える予備苗収容装置を設けている。そして、各予備苗載せ台は、使用姿勢（苗載せ姿勢）と上昇格納姿勢とに揺動切り換え可能に支柱に取り付けられている。更に、上段側の予備苗載せ台に係合部を設けると共に、この係合部に係脱自在な係止部を下段側の予備苗載せ台の遊端側に形成し、上段側の予備苗載せ台と下段側の予備苗載せ台とを上昇格納姿勢とした状態で、それらの係合部と係止部とを係合させることによって、下段側の予備苗載せ台の支柱との連結点（揺動支点）を反力点として上段側の予備苗載せ台を突っ張り支持させ、それによって両予備苗載せ台とも上昇格納姿勢に保持できるように構成したものが知られている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特許第３４２６９９８号公報（第３−4頁、図３、図５）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ところが、上述した予備苗収容装置では、移植機を移動走行させる場合や車庫等に格納する際は、当該予備苗収容装置の機体からの突出を少なくするために、ボンネットの両横側に備える上下複数段の予備苗載せ台の全てを、使用姿勢から上昇格納姿勢まで一台ずつ揺動させなければならない場合があり、作業性の面で欠点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、上下複数段の予備苗台を、苗載せ姿勢と格納姿勢とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱に支持した移植機の予備苗収容装置において、前記予備苗台支柱と、各予備苗台と、各予備苗台の遊端側を上下に連結する連結部材とからなる平行リンクを形成すると共に、該平行リンクを形成する部材のうち、２つの部材の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台の格納姿勢を保持することができる格納姿勢保持機構を設けたことを第１の特徴としている。
【０００５】
そして、前記格納姿勢保持機構を、平行リンクを形成する部材に夫々設けた係合部材同士の係合により構成したことを第２の特徴としている。
【０００６】
また、前記格納姿勢保持機構が、一つの予備苗台の揺動支点に対して支点越えすることにより、各予備苗台の格納姿勢を保持可能な弾機であることを第３の特徴としている。
【発明の効果】
【０００７】
請求項１の発明によれば、上下複数段の予備苗台を、苗載せ姿勢と格納姿勢とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱に支持した移植機の予備苗収容装置において、前記予備苗台支柱と、各予備苗台と、各予備苗台の遊端側を上下に連結する連結部材とからなる平行リンクを形成すると共に、該平行リンクを形成する部材のうち、２つの部材の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台の格納姿勢を保持する格納姿勢保持機構を設けたことによって、各予備苗台を一度に苗載せ姿勢から格納姿勢に揺動切り換えさせることが可能になり、更に格納姿勢保持機構を介して各予備苗台の格納姿勢を容易に保持することができるので作業性が向上する。
【０００８】
そして、請求項２の発明によれば、前記格納姿勢保持機構を、平行リンクを形成する部材に夫々設けた係合部材同士の係合により構成したことによって、各予備苗台を一度に苗載せ姿勢から格納姿勢に揺動切り換えした後、その格納姿勢を保持する作業が簡単に行えるようになると共に、安価でコンパクトな予備苗収容装置を提供することができる。
【０００９】
また、請求項３の発明によれば、前記格納姿勢保持機構が、一つの予備苗台の揺動支点に対して支点越えすることにより、各予備苗台の格納姿勢を保持可能な弾機であることによって、各予備苗台の格納姿勢を保持するための特別な操作を行わなくても、各予備苗台を一度に苗載せ姿勢から格納姿勢に揺動切り換えするだけで、当該格納姿勢を保持することができるので作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図１及び図２は、乗用移植機である乗用型田植機１１の側面図及び平面図であって、この乗用型田植機１１の機体フレーム１２の後端部には、油圧シリンダ１３を備える昇降リンク機構１４が設けてあり、この昇降リンク機構１４を介して植付作業機１５を昇降可能に連結すると共に、機体フレーム１２の下部には、左右一対の前輪１６と後輪１７とを備えている。
【００１１】
そして、機体フレーム１２の前部には、エンジン１８を被包するボンネット１９を備えており、このエンジン１８から出力される動力を、図示しない油圧式無段変速装置（ＨＳＴ）とトランスミッションケース内の動力伝達装置を介して走行動力と植付動力とに分配し、上述した左右一対の前輪１６と後輪１７と植付作業機１５に伝達できるように構成している。
【００１２】
また、機体フレーム１２の後部上方には、オペレータが着座する座席２１を備え、この座席２１の前方に各種モニタを表示する操作パネル２２を装備すると共に、該操作パネル２２の上部にステアリングホイール２３、該運転ステアリングホイール２３の下方には操縦部２４の床面を形成するステップ２５を設けている。
【００１３】
そして、植付作業機１５は、前方に傾斜して設けられた苗載せ台２７と、この苗載せ台２７から苗を掻取って植え付ける複数の植付杆２８を備えた移植装置２９と、この移植装置２９の下方に、植付け田面を整地するフロート３１等を設けているが、これらの基本的な構成は何れも従来通りであり詳細な説明を省略する。
【００１４】
また、ボンネット１９の左右両側に形成したフロントステップ３２の側方には、機体フレーム１２から外側方に延出させて側面視で門型状に立ち上げた予備苗台支柱３３を備えている。そして、この予備苗台支柱３３には、上下複数段（本実施例では、３段）の予備苗載せ台３４からなる予備苗収容装置３５を設けている。
【００１５】
更に詳しくは、予備苗台支柱３３の下部には、図３及び図４に示すようなフラットバー３６を横設してあり、該フラットバー３６の中間部から予備苗台支柱３３の上部に向けて支持部材３７を立ち上げ、該支持部材３７を両者３６，３３に固設すると共に、この支持部材３７に、所定の上下間隔で各予備苗載せ台３４，・・を苗載せ姿勢（使用姿勢）Ａと（上昇）格納姿勢Ｂとに揺動切り換え可能に支承するパイプ体３８を固設してある。
【００１６】
そして、各予備苗載せ台３４，・・は、本体に一体成形された樹脂製の支持部３４ａを備え、この支持部３４ａとパイプ体３８に貫装するピン３９、及びこのピン３９の図示しない抜け止め手段によって、各予備苗載せ台３４，・・を苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとに揺動切り換え可能に支承する揺動支点Ｐを構成している。
【００１７】
また、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側（先端側）を上下に連結するフラットバーからなる連結部材４０を設けてあり、この連結部材４０によって、各予備苗載せ台３４，・・全体は、正面視において予備苗台支柱３３と、各予備苗台３４，・・と、連結部材４０とからなる平行リンクＬを形成している。更に詳しくは、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側に連結する連結部材４１には、上述した支持部材３７に固設したパイプ体３８と同様な上下間隔を有する連結パイプ４１が固設してあり、この連結パイプ４１と予備苗載せ台３４の遊端部に貫装するピン４２、及びこのピン４２の図示しない抜け止め手段によって、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側の連結部Ｊを構成している。
【００１８】
即ち、上述のごとく各予備苗載せ台３４，・・全体を平行リンクＬで形成することによって、各予備苗台３４，・・を苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとに一度に揺動切り換えさせることが可能になり作業性が大きく向上する。更に、予備苗台支柱３３と予備苗台４１の基部Ｅとの当接により各予備苗台３４，・・の苗載せ姿勢Ａを保持することができるようになっており、予備苗台の苗載せ姿勢Ａを保持するための特別な操作を行わなくて済む。尚、予備苗台支柱３３に当接する予備苗台４１の基部Ｅの当接面は、当該予備苗台支柱３３の外形（外径）に略一致するように形成されている。
【００１９】
そして、最上段の予備苗載せ台３４の下面側略中央には、連結部材４０に設けた係合孔４０ａに係止する係合爪４３が固設してあり、各予備苗載せ台３４，・・を苗載せ姿勢Ａから上方に揺動させて格納姿勢Ｂに切り換える時、前記係合爪４３を連結部材４０の係合孔４０ａに係止することによって、各予備苗載せ台３４，・・の格納姿勢Ｂを容易に保持することができるようになっている。
【００２０】
即ち、上述した平行リンクＬを形成する部材である予備苗台支柱３３と、各予備苗台３４，・・と、連結部材４０のうち２つの部材、具体的には、予備苗載せ台３４と連結部材４０との係合爪４３と係合孔４０ａを介しての一箇所の係合により、両部材３４，４０の相対姿勢を保持することによって、各予備苗載せ台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持することができる格納姿勢保持機構を設けている。この格納姿勢保持機構は、前記平行リンクＬを形成する両部材３４，４０に夫々設けた係合部材４３，４０ａ同士の係合により構成され、それによって各予備苗台３４，・・を一度に苗載せ姿勢Ａから格納姿勢Ｂに揺動切り換えした後、当該格納姿勢保持機構を介して各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持する作業が簡単に行えるようになると共に、安価でコンパクトな予備苗収容装置３５を提供することができる。
【００２１】
尚、連結部材４０の外側には、苗スクレーパＳ（図６参照）を収容できる籠状の収納具４４が取り付けてあり、それによってオペレータは、ボンネット１９の左右両側に形成されているフロントステップ３２の上を支障なく移動することができる。
【００２２】
また、図５及び図６に示す予備苗収容装置３５では、該予備苗収容装置３５の最下段（一つ）の予備苗載せ台３４の揺動支点Ｐ近傍に設けた弾機（引張スプリング）４５からなる格納姿勢保持機構を介して、各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持できるように構成している。
【００２３】
更に詳しくは、最下段の予備苗載せ台３４の基部Ｅ（支持部３４ａ）の前後一側には、弾機４５の一側を係止する係合ピン４６を突設したプレート４７を固設すると共に、弾機４５の他側を、正面視で最下段の予備苗載せ台３４の揺動支点Ｐよりも上方位置に係止すべく、予備苗台支柱３３に係合ピン４８を突設している。
【００２４】
即ち、上述した構成により、各予備苗台３４，・・を一度に苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとに揺動切り換えする際、弾機４５は、最下段の予備苗載せ台３４の揺動支点Ｐに対して支点越えし、各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂにおいては、弾機４５の付勢力により当該格納姿勢Ｂを保持することができるようになっており、各予備苗台３４，・・を一度に苗載せ姿勢Ａから格納姿勢Ｂに揺動切り換えするだけで、当該格納姿勢Ｂを保持することができるので作業性が向上する。
【００２５】
尚、図５及び図６に示す実施例においては、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側を上下に連結する連結部材４０に把持具５１を固設しあり、この把持具５１により各予備苗載せ台３４，・・の苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとの揺動切り換えを容易行えるようにしている。また、補助苗台支柱３３の上部３３ａを図４に示す実施例よりも図６に示す実施例の如く上方に延出することによって、この補助苗台支柱３３の上部３３ａと最上段の予備苗載せ台３４との間に、苗スクレーパＳを挟んで収納できるように構成してあり、それによって当該苗スクレーパＳを収容する特別な収納具を設けなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】乗用型田植機の側面図。
【図２】乗用型田植機の平面図。
【図３】予備苗収容装置の構成を示す側面図（第１実施例）。
【図４】予備苗収容装置の苗載せ姿勢と格納姿勢とを示す正面図（第１実施例）。
【図５】予備苗収容装置の構成を示す側面図（第２実施例）。
【図６】予備苗収容装置の苗載せ姿勢と格納姿勢とを示す正面図（第２実施例）。
【符号の説明】
【００２７】
３３ 予備苗台支柱
３４ 予備苗台
４０ 連結部材
４０ａ 係合部材（係合孔）
４３ 係合部材（係合爪）
４５ 弾機
Ａ 苗載せ姿勢
Ｂ 格納姿勢
Ｌ 平行リンク
Ｐ 揺動支点
【技術分野】
【０００１】
本発明は、乗用型田植機等の移植機に備える予備苗収容装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、乗用型田植機等の移植機においては、機体前部のボンネットの両横側に上下複数段の予備苗載せ台を備える予備苗収容装置を設けている。そして、各予備苗載せ台は、使用姿勢（苗載せ姿勢）と上昇格納姿勢とに揺動切り換え可能に支柱に取り付けられている。更に、上段側の予備苗載せ台に係合部を設けると共に、この係合部に係脱自在な係止部を下段側の予備苗載せ台の遊端側に形成し、上段側の予備苗載せ台と下段側の予備苗載せ台とを上昇格納姿勢とした状態で、それらの係合部と係止部とを係合させることによって、下段側の予備苗載せ台の支柱との連結点（揺動支点）を反力点として上段側の予備苗載せ台を突っ張り支持させ、それによって両予備苗載せ台とも上昇格納姿勢に保持できるように構成したものが知られている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特許第３４２６９９８号公報（第３−4頁、図３、図５）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ところが、上述した予備苗収容装置では、移植機を移動走行させる場合や車庫等に格納する際は、当該予備苗収容装置の機体からの突出を少なくするために、ボンネットの両横側に備える上下複数段の予備苗載せ台の全てを、使用姿勢から上昇格納姿勢まで一台ずつ揺動させなければならない場合があり、作業性の面で欠点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、上下複数段の予備苗台を、苗載せ姿勢と格納姿勢とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱に支持した移植機の予備苗収容装置において、前記予備苗台支柱と、各予備苗台と、各予備苗台の遊端側を上下に連結する連結部材とからなる平行リンクを形成すると共に、該平行リンクを形成する部材のうち、２つの部材の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台の格納姿勢を保持することができる格納姿勢保持機構を設けたことを第１の特徴としている。
【０００５】
そして、前記格納姿勢保持機構を、平行リンクを形成する部材に夫々設けた係合部材同士の係合により構成したことを第２の特徴としている。
【０００６】
また、前記格納姿勢保持機構が、一つの予備苗台の揺動支点に対して支点越えすることにより、各予備苗台の格納姿勢を保持可能な弾機であることを第３の特徴としている。
【発明の効果】
【０００７】
請求項１の発明によれば、上下複数段の予備苗台を、苗載せ姿勢と格納姿勢とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱に支持した移植機の予備苗収容装置において、前記予備苗台支柱と、各予備苗台と、各予備苗台の遊端側を上下に連結する連結部材とからなる平行リンクを形成すると共に、該平行リンクを形成する部材のうち、２つの部材の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台の格納姿勢を保持する格納姿勢保持機構を設けたことによって、各予備苗台を一度に苗載せ姿勢から格納姿勢に揺動切り換えさせることが可能になり、更に格納姿勢保持機構を介して各予備苗台の格納姿勢を容易に保持することができるので作業性が向上する。
【０００８】
そして、請求項２の発明によれば、前記格納姿勢保持機構を、平行リンクを形成する部材に夫々設けた係合部材同士の係合により構成したことによって、各予備苗台を一度に苗載せ姿勢から格納姿勢に揺動切り換えした後、その格納姿勢を保持する作業が簡単に行えるようになると共に、安価でコンパクトな予備苗収容装置を提供することができる。
【０００９】
また、請求項３の発明によれば、前記格納姿勢保持機構が、一つの予備苗台の揺動支点に対して支点越えすることにより、各予備苗台の格納姿勢を保持可能な弾機であることによって、各予備苗台の格納姿勢を保持するための特別な操作を行わなくても、各予備苗台を一度に苗載せ姿勢から格納姿勢に揺動切り換えするだけで、当該格納姿勢を保持することができるので作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図１及び図２は、乗用移植機である乗用型田植機１１の側面図及び平面図であって、この乗用型田植機１１の機体フレーム１２の後端部には、油圧シリンダ１３を備える昇降リンク機構１４が設けてあり、この昇降リンク機構１４を介して植付作業機１５を昇降可能に連結すると共に、機体フレーム１２の下部には、左右一対の前輪１６と後輪１７とを備えている。
【００１１】
そして、機体フレーム１２の前部には、エンジン１８を被包するボンネット１９を備えており、このエンジン１８から出力される動力を、図示しない油圧式無段変速装置（ＨＳＴ）とトランスミッションケース内の動力伝達装置を介して走行動力と植付動力とに分配し、上述した左右一対の前輪１６と後輪１７と植付作業機１５に伝達できるように構成している。
【００１２】
また、機体フレーム１２の後部上方には、オペレータが着座する座席２１を備え、この座席２１の前方に各種モニタを表示する操作パネル２２を装備すると共に、該操作パネル２２の上部にステアリングホイール２３、該運転ステアリングホイール２３の下方には操縦部２４の床面を形成するステップ２５を設けている。
【００１３】
そして、植付作業機１５は、前方に傾斜して設けられた苗載せ台２７と、この苗載せ台２７から苗を掻取って植え付ける複数の植付杆２８を備えた移植装置２９と、この移植装置２９の下方に、植付け田面を整地するフロート３１等を設けているが、これらの基本的な構成は何れも従来通りであり詳細な説明を省略する。
【００１４】
また、ボンネット１９の左右両側に形成したフロントステップ３２の側方には、機体フレーム１２から外側方に延出させて側面視で門型状に立ち上げた予備苗台支柱３３を備えている。そして、この予備苗台支柱３３には、上下複数段（本実施例では、３段）の予備苗載せ台３４からなる予備苗収容装置３５を設けている。
【００１５】
更に詳しくは、予備苗台支柱３３の下部には、図３及び図４に示すようなフラットバー３６を横設してあり、該フラットバー３６の中間部から予備苗台支柱３３の上部に向けて支持部材３７を立ち上げ、該支持部材３７を両者３６，３３に固設すると共に、この支持部材３７に、所定の上下間隔で各予備苗載せ台３４，・・を苗載せ姿勢（使用姿勢）Ａと（上昇）格納姿勢Ｂとに揺動切り換え可能に支承するパイプ体３８を固設してある。
【００１６】
そして、各予備苗載せ台３４，・・は、本体に一体成形された樹脂製の支持部３４ａを備え、この支持部３４ａとパイプ体３８に貫装するピン３９、及びこのピン３９の図示しない抜け止め手段によって、各予備苗載せ台３４，・・を苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとに揺動切り換え可能に支承する揺動支点Ｐを構成している。
【００１７】
また、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側（先端側）を上下に連結するフラットバーからなる連結部材４０を設けてあり、この連結部材４０によって、各予備苗載せ台３４，・・全体は、正面視において予備苗台支柱３３と、各予備苗台３４，・・と、連結部材４０とからなる平行リンクＬを形成している。更に詳しくは、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側に連結する連結部材４１には、上述した支持部材３７に固設したパイプ体３８と同様な上下間隔を有する連結パイプ４１が固設してあり、この連結パイプ４１と予備苗載せ台３４の遊端部に貫装するピン４２、及びこのピン４２の図示しない抜け止め手段によって、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側の連結部Ｊを構成している。
【００１８】
即ち、上述のごとく各予備苗載せ台３４，・・全体を平行リンクＬで形成することによって、各予備苗台３４，・・を苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとに一度に揺動切り換えさせることが可能になり作業性が大きく向上する。更に、予備苗台支柱３３と予備苗台４１の基部Ｅとの当接により各予備苗台３４，・・の苗載せ姿勢Ａを保持することができるようになっており、予備苗台の苗載せ姿勢Ａを保持するための特別な操作を行わなくて済む。尚、予備苗台支柱３３に当接する予備苗台４１の基部Ｅの当接面は、当該予備苗台支柱３３の外形（外径）に略一致するように形成されている。
【００１９】
そして、最上段の予備苗載せ台３４の下面側略中央には、連結部材４０に設けた係合孔４０ａに係止する係合爪４３が固設してあり、各予備苗載せ台３４，・・を苗載せ姿勢Ａから上方に揺動させて格納姿勢Ｂに切り換える時、前記係合爪４３を連結部材４０の係合孔４０ａに係止することによって、各予備苗載せ台３４，・・の格納姿勢Ｂを容易に保持することができるようになっている。
【００２０】
即ち、上述した平行リンクＬを形成する部材である予備苗台支柱３３と、各予備苗台３４，・・と、連結部材４０のうち２つの部材、具体的には、予備苗載せ台３４と連結部材４０との係合爪４３と係合孔４０ａを介しての一箇所の係合により、両部材３４，４０の相対姿勢を保持することによって、各予備苗載せ台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持することができる格納姿勢保持機構を設けている。この格納姿勢保持機構は、前記平行リンクＬを形成する両部材３４，４０に夫々設けた係合部材４３，４０ａ同士の係合により構成され、それによって各予備苗台３４，・・を一度に苗載せ姿勢Ａから格納姿勢Ｂに揺動切り換えした後、当該格納姿勢保持機構を介して各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持する作業が簡単に行えるようになると共に、安価でコンパクトな予備苗収容装置３５を提供することができる。
【００２１】
尚、連結部材４０の外側には、苗スクレーパＳ（図６参照）を収容できる籠状の収納具４４が取り付けてあり、それによってオペレータは、ボンネット１９の左右両側に形成されているフロントステップ３２の上を支障なく移動することができる。
【００２２】
また、図５及び図６に示す予備苗収容装置３５では、該予備苗収容装置３５の最下段（一つ）の予備苗載せ台３４の揺動支点Ｐ近傍に設けた弾機（引張スプリング）４５からなる格納姿勢保持機構を介して、各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂを保持できるように構成している。
【００２３】
更に詳しくは、最下段の予備苗載せ台３４の基部Ｅ（支持部３４ａ）の前後一側には、弾機４５の一側を係止する係合ピン４６を突設したプレート４７を固設すると共に、弾機４５の他側を、正面視で最下段の予備苗載せ台３４の揺動支点Ｐよりも上方位置に係止すべく、予備苗台支柱３３に係合ピン４８を突設している。
【００２４】
即ち、上述した構成により、各予備苗台３４，・・を一度に苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとに揺動切り換えする際、弾機４５は、最下段の予備苗載せ台３４の揺動支点Ｐに対して支点越えし、各予備苗台３４，・・の格納姿勢Ｂにおいては、弾機４５の付勢力により当該格納姿勢Ｂを保持することができるようになっており、各予備苗台３４，・・を一度に苗載せ姿勢Ａから格納姿勢Ｂに揺動切り換えするだけで、当該格納姿勢Ｂを保持することができるので作業性が向上する。
【００２５】
尚、図５及び図６に示す実施例においては、各予備苗載せ台３４，・・の遊端側を上下に連結する連結部材４０に把持具５１を固設しあり、この把持具５１により各予備苗載せ台３４，・・の苗載せ姿勢Ａと格納姿勢Ｂとの揺動切り換えを容易行えるようにしている。また、補助苗台支柱３３の上部３３ａを図４に示す実施例よりも図６に示す実施例の如く上方に延出することによって、この補助苗台支柱３３の上部３３ａと最上段の予備苗載せ台３４との間に、苗スクレーパＳを挟んで収納できるように構成してあり、それによって当該苗スクレーパＳを収容する特別な収納具を設けなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】乗用型田植機の側面図。
【図２】乗用型田植機の平面図。
【図３】予備苗収容装置の構成を示す側面図（第１実施例）。
【図４】予備苗収容装置の苗載せ姿勢と格納姿勢とを示す正面図（第１実施例）。
【図５】予備苗収容装置の構成を示す側面図（第２実施例）。
【図６】予備苗収容装置の苗載せ姿勢と格納姿勢とを示す正面図（第２実施例）。
【符号の説明】
【００２７】
３３ 予備苗台支柱
３４ 予備苗台
４０ 連結部材
４０ａ 係合部材（係合孔）
４３ 係合部材（係合爪）
４５ 弾機
Ａ 苗載せ姿勢
Ｂ 格納姿勢
Ｌ 平行リンク
Ｐ 揺動支点
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上下複数段の予備苗台（３４，・・）を、苗載せ姿勢（Ａ）と格納姿勢（Ｂ）とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱（３３）に支持した移植機の予備苗収容装置において、前記予備苗台支柱（３３）と、各予備苗台（３４，・・）と、各予備苗台（３４，・・）の遊端側を上下に連結する連結部材（４０）とからなる平行リンク（Ｌ）を形成すると共に、該平行リンク（Ｌ）を形成する部材（３３，３４，４０）のうち、２つの部材（３４，４０）の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台（３４，・・）の格納姿勢（Ｂ）を保持することができる格納姿勢保持機構を設けたことを特徴とする移植機の予備苗収容装置。
【請求項２】
前記格納姿勢保持機構を、平行リンク（Ｌ）を形成する部材（３４，４０）に夫々設けた係合部材（４３，４０ａ）同士の係合により構成した請求項１に記載の移植機の予備苗収容装置。
【請求項３】
前記格納姿勢保持機構が、一つの予備苗台（３４）の揺動支点（Ｐ）に対して支点越えすることにより、各予備苗台（３４，・・）の格納姿勢（Ｂ）を保持可能な弾機（４５）である請求項１に記載の移植機の予備苗収容装置。
【請求項１】
上下複数段の予備苗台（３４，・・）を、苗載せ姿勢（Ａ）と格納姿勢（Ｂ）とに揺動切り換え可能に予備苗台支柱（３３）に支持した移植機の予備苗収容装置において、前記予備苗台支柱（３３）と、各予備苗台（３４，・・）と、各予備苗台（３４，・・）の遊端側を上下に連結する連結部材（４０）とからなる平行リンク（Ｌ）を形成すると共に、該平行リンク（Ｌ）を形成する部材（３３，３４，４０）のうち、２つの部材（３４，４０）の相対姿勢を保持することにより、各予備苗台（３４，・・）の格納姿勢（Ｂ）を保持することができる格納姿勢保持機構を設けたことを特徴とする移植機の予備苗収容装置。
【請求項２】
前記格納姿勢保持機構を、平行リンク（Ｌ）を形成する部材（３４，４０）に夫々設けた係合部材（４３，４０ａ）同士の係合により構成した請求項１に記載の移植機の予備苗収容装置。
【請求項３】
前記格納姿勢保持機構が、一つの予備苗台（３４）の揺動支点（Ｐ）に対して支点越えすることにより、各予備苗台（３４，・・）の格納姿勢（Ｂ）を保持可能な弾機（４５）である請求項１に記載の移植機の予備苗収容装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−２５２２８４（Ｐ２００７−２５２２８４Ａ）
【公開日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−８１８８９（Ｐ２００６−８１８８９）
【出願日】平成１８年３月２４日（２００６．３．２４）
【出願人】（０００００１８７８）三菱農機株式会社 (1,502)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月２４日（２００６．３．２４）
【出願人】（０００００１８７８）三菱農機株式会社 (1,502)
【Ｆターム（参考）】
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