説明

移植機の植付作業機

【課題】植付深さ調整レバー及び掻取り量調整レバーの両レバーを確実にガイド体に係止せしめることが可能な移植機の植付作業機を提供する。
【解決手段】植付深さ調整レバー18及び掻取り量調整レバー19を、それぞれ揺動案内可能にガイド孔37,38に挿通するとともに位置調整可能にガイド体21に係止し、上記2つのレバー18,19の少なくとも一方が、レバー18からガイド体21の側面側に突設された係止ピン39と、該係止ピン39を係止可能にガイド体21の前記側面34に穿設された複数の係止孔34aとにより、ガイド体21に位置調整可能に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
植付深さ調整レバーと、苗載せ台からの苗の掻取り量の調整を行う掻取り量調整レバーとを備えた移植機の植付作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明は、左右方向の横フレームと、横フレームに支持されて苗載せ台から苗を掻取って圃場に植付ける植付部と、横フレームの後方に配置され且つ植付部に対して上下位置調整可能に支持されて圃場に接地させるフロートと、横フレームの後方に配置され且つ植付部に対して上下位置調整可能に支持されて苗載せ台を支持するエプロンと、横フレーム上方を通過するように平面視前後方向に形成されるとともに横フレームの後方箇所を支点に上下揺操作可能に支持された植付深さ調整レバー及び掻取り量調整レバーと、横フレームから前面及び側面を有するように上方に突出形成されて該前面に上下方向のガイド孔が穿設されたガイド体とを備え、上記両レバーを、それぞれ揺動案内可能にガイド孔に挿通するとともに位置調整可能にガイド体に係止し、植付深さ調整レバーの上下揺動によって植付深さ調整レバーの後側と機械的に連結されたフロートの上下位置の変更を行うことにより植付深さ調整を行うとともに、掻取り量調整レバーの上下揺動によって掻取り量調整レバーの後側と機体的に連結されたエプロンの上下位置の変更を行うことにより植付部の苗載せ台からの苗の掻取り量の調整を行う特許文献1に示す移植機の植付作業機が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−136732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の移植機は、植付深さ調整レバー及び掻取り量調整レバーのレバー操作により、圃場条件や作業条件等に合せて、植付深さ及び苗載せ台からの苗の掻取り量を適宜変更可能であるため、利便性が高いというメリットがある一方で、各レバーから側方に突出形成された係止プレートを、ガイド体のガイド孔の側端に切欠き状に形成された複数の係止溝の何れかに挿入係止することにより、レバーをガイド体に位置調整可能に係止するため、係止溝への係止プレートの挿入状態によっては、レバーの係止が不安定になる場合があるという課題がある。
本発明は、植付深さ調整レバーと、苗載せ台からの苗の掻取り量の調整を行う掻取り量調整レバーとを備え、植付深さ調整レバー及び掻取り量調整レバーの両レバーを確実にガイド体に係止せしめることが可能な移植機の植付作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、第1に、左右方向の横フレーム14と、横フレーム14に支持されて苗載せ台9から苗を掻取って圃場に植付ける植付部11と、横フレーム14の後方に配置され且つ植付部11に対して上下位置調整可能に支持されて圃場に接地させるフロート12と、横フレーム14の後方に配置され且つ植付部11に対して上下位置調整可能に支持されて苗載せ台9を支持するエプロン28と、横フレーム14上方を通過するように平面視前後方向に形成されるとともに横フレーム14の後方箇所を支点に上下揺操作可能に支持された植付深さ調整レバー18及び掻取り量調整レバー19と、横フレーム14から前面33及び側面34を有するように上方に突出形成されて該前面33に上下方向のガイド孔37,38が穿設されたガイド体21とを備え、上記両レバー18,19を、それぞれ揺動案内可能にガイド孔37,38に挿通するとともに位置調整可能にガイド体21に係止し、植付深さ調整レバー18の上下揺動によって植付深さ調整レバー18の後側と機械的に連結されたフロート12の上下位置の変更を行うことにより植付深さ調整を行うとともに、掻取り量調整レバー19の上下揺動によって掻取り量調整レバー19の後側と機体的に連結されたエプロン28の上下位置の変更を行うことにより植付部11の苗載せ台9からの苗の掻取り量の調整を行う移植機の植付作業機において、上記2つのレバー18,19の少なくとも一方が、レバー18からガイド体21の側面側に突設された係止ピン39と、該係止ピン39を係止可能にガイド体21の前記側面34に穿設された複数の係止孔34aとにより、ガイド体21に位置調整可能に係止されることを特徴としている。
【0006】
第2に、ガイド体21を横フレーム14よりも前方側に突出形成し、ガイド体21の該突出部分に複数の係止孔34aの少なくとも一部を位置させてなることを特徴としている。
【0007】
第3に、ガイド体21の前面のガイド孔37との隣接箇所に係止ピン39を有するレバー18の位置指標となるラベル42を貼付し、該レバー18からラベル42側側方に指示部43を突出形成し、該指示部43によってラベル42を指示すことを特徴としている。
【0008】
第4に、係止ピン39を有するレバー18から側方に係止プレート44を突出形成し、該レバー18が挿通されたガイド孔37の係止プレート44側側端部に、係止ピン39を係止孔34aに係止された状態のレバー18の係止プレート44を挿入係止できる左右方向の切欠き状の係止溝37aを複数形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成される移植機の植付作業機によれば、レバーが挿通されたガイド体のガイド孔の側端に切欠き状に形成された複数の係止溝の何れかに、レバーから側方に突出形成された係止プレートを挿入係止することにより、レバーをガイド体に位置調整可能に係止するものと比較して、レバーをガイド体に確実に係止せしめることが可能になるという効果がある。
【0010】
また、ガイド体を横フレームよりも前方側に突出形成し、ガイド体の該突出部分に複数の係止孔の少なくとも一部を位置させたことにより、レバーの揺動支点からレバーを作業者が把持する前部までの距離が長くなり、梃子の原理から、レバーの揺動操作荷重が低減されるという効果がある。
【0011】
また、ガイド体の前面のガイド孔との隣接箇所に係止ピンを有するレバーの位置指標となるラベルを貼付し、該レバーからラベル側側方に指標部を突出形成し、該指標部によってラベルを指示すことにより、係止孔と係止ピンによって係止されて本来視認し難いレバーの位置を容易に視認できるという効果がある。
【0012】
さらに、係止孔と係止ピン及び係止プレートと係止溝によって、レバーをより確実に係止せしめることが可能になるとともに、係止プレートを複数の係止溝の何れかに係止したかを視認することにより、レバーの操作位置を容易に確認できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の移植機を適用した乗用田植機の全体側面図である。
【図2】植付作業機の構成を示す平面図である。
【図3】植付作業機の構成を示す斜視図である。
【図4】フロート支持機構及び植付け深さ調整レバーの構成を示す側面図である。
【図5】ガイド体の構成を示す斜視図であり、
【図6】ラベルの構成を示すガイド体の正面図である。
【図7】別実施形態に係るガイド体の構成を示す斜視図である。
【図8】別実施形態に係るラベルの構成を示すガイド体の正面図である。
【図9】植付深さ調整レバーの係止プレートの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の移植機を適用した乗用田植機の全体側面図である。
図示する乗用田植機は、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2を有する走行機体3と、走行機体3の後方に配置されて走行機体3に昇降リンク4を介して昇降可能に連結された植付作業機6とを備えている。走行機体3と植付作業機6との間には、伸縮作動によって植付作業機6を昇降駆動させる油圧シリンダである昇降シリンダ7と、走行機体3側のエンジン動力を植付作業機6側に伝動する作業伝動軸8とが設けられている。
【0015】
上記植付作業機6は、背面側に苗を載置する載置面を有するように後方に向かって下方に急傾斜した苗載せ台9と、苗載せ台9の下方に配置されて苗載せ台9から苗を掻取って圃場に植付ける植付部11と、圃場に接地される苗載せ台9下方の前後方向のフロート12とを備えている。本乗用田植機は、フロート12が圃場面に接地する位置まで植付作業機6を下降させ、植付部11を駆動させた状態で、前後輪1,2によって走行機体3を走行させ、圃場での植付作業を行う。
【0016】
次に、図2乃至4に基づき植付作業機6の構成について詳述する。
図2,3は、植付作業機の構成を示す平面図及び斜視図であり、図4は、フロート支持機構及び植付け深さ調整レバーの構成を示す側面図である。植付作業機6は、ローリング軸13を介して昇降リンク4の左右傾斜自在(ローリング自在)に支持された左右方向の四角柱状の横フレーム14と、横フレーム14後方に配されて苗載せ台9を横フレーム14(植付部11)に対して上下位置調整可能に支持している苗載せ台支持機構16と、横フレーム14後方に配置されてフロート12を横フレーム14(植付部11)に対して上下位置調整可能に支持しているフロート支持機構17と、苗載せ台支持機構16を介した植付部11に対する苗載せ台9の相対的な上下位置調整を行う植付深さ調整レバー(レバー)18と、フロート支持機構17を介した植付部11に対するフロート12の相対的な上下位置調整を行う掻取り量調整レバー(レバー)19と、上記両レバー18,19を上下揺動案内するガイド体21と、横フレーム14の後方斜め下方に位置して左右並列配置された複数の上記フロート12及び植付部11と、横フレーム14の左右一方側(図示する例では右側)端部の後側に取付固定されて作業伝動軸8からの動力を各植付部11に向かって変速伝動する伝動ケース22と、を備えている。
【0017】
上記複数の各植付部11は、前後方向の植付ケース23の後端部から回転駆動可能に左右突出する植付軸24と、植付軸24に取付けられて苗の掻取り及び植付けを行う植付爪26(図1参照)等とから構成されている。植付ケース23の前端部は、横フレームの下面及び後面側にブラケット25を介して取付支持され、伝動ケース22からの変速動力を植付軸24及び植付爪26に伝動して植付部11を駆動するように構成されている。
【0018】
上記苗載せ台支持機構16は、複数(図示する例では3つ)の各植付ケース23の上面側に対応部分が前後回転自在に支持される左右方向の単一の掻取り量調整軸27と、苗載せ台9が載置された苗載せ台9下側の左右方向の単一のエプロン28と、掻取り量調整軸27とエプロン28とを連結する左右並列配置された複数の連結アーム29と、を備えている。掻取り量調整軸27は一端側の植付ケース23から他端側の植付ケース23に至る長さを有し、該掻取り量調整軸27の前後回動に伴い各連結アーム29が上下揺動され、この連結アーム29の上下揺動に伴い、エプロン28(苗載せ台9)が上下方向に移動する。
【0019】
上記掻取り量調整レバー19は、横フレーム14の上方を通過する平面視前後方向をなし、後端側及び前端側が前方に向かって上方傾斜するとともに中途側が略水平方向を向く形状に成形されている。この掻取り量調整レバー19は、基端部である後端部が上記掻取り量調整軸27に取付固定され、該掻取り量調整軸27と一体で上下揺動するように構成されている。すなわち、横フレーム14後方の掻取り量調整軸27が掻取り量調整レバー19の揺動支点になる。
【0020】
そして、掻取り量調整レバー19の上方揺動に伴い、掻取り量調整軸27を介して苗載せ台9が植付部11に対して下降し、苗載せ台9と植付部11との距離が短くなり、植付部11による苗載せ台9からの苗掻き取量が増加する。一方、掻取り量調整レバー19の下方揺動に伴い、掻取り量調整軸27を介して苗載せ台9が植付部11に対して上昇し、苗載せ台9と植付部11との距離が長くなり、植付部11による苗載せ台9からの苗掻き取量が減少する。
【0021】
上記フロート支持機構17は、複数の各植付ケース23の下面側に対応部分が前後回転自在に支持される左右方向の単一の植付深さ調整軸31と、植付深さ調整軸31から後方斜め下方に一体的に突設されて植付深さ調整軸31と一体で上下揺動する支持アーム32とを備えている。この支持アーム32はフロート12毎に設けられ、後方突出端側である先端部にフロート12が前後水平姿勢保持可能に支持されている。該植付深さ調整軸31の前後回動に伴い各支持アーム32が上下揺動され、この支持アーム32の上下揺動に伴い、各フローと12が上下方向に変位する。
【0022】
上記植付深さ調整レバー18は、横フレーム14の上方を通過する平面視前後方向をなし、後端側及び前端側が前方に向かって上方傾斜するとともに中途側が略水平方向を向く形状に成形されている。この植付深さ調整レバー18は、基端側である後端側が上記植付深さ調整軸31に取付固定され、該植付深さ調整軸31と一体で上下揺動するように構成されている。すなわち、横フレーム14後方の植付深さ調整軸31が植付深さ調整レバー18の揺動支点になる。
【0023】
そして、植付深さ調整レバー18の上方揺動に伴い、植付深さ調整軸31を介してフロート12が植付部11に対して下降し、植付部11が圃場面に介して上昇して、植付深さが浅くなる。一方、植付深さ調整レバー18の下方揺動に伴い、植付深さ調整軸31を介してフロート12が植付部11に対して下降し、植付部11が圃場面に介して下降して、植付深さが深くなる。
【0024】
また、上記植付深さ調整レバー18及び掻取り量調整レバー19は、左右隣接状態で、植付作業機の左右の一方側(図示する例では左側)に配置されている。
【0025】
次に、図4乃至6に基づきガイド体21の構成を詳述する。
図5は、ガイド体の構成を示す斜視図であり、図6はラベルの構成を示すガイド体の正面図である。ガイド体21は、上記両レバー18,19兼用で1つ用意され、前面33及び左右両側面34,34を有するように、左右及び上下方向に延びて左右方向に長い前方を向いた板状部材の左部及び右部を後方に屈曲形成することにより成形されている。
【0026】
ガイド体21の左右の各側面34の下端縁後半部には外側方に向かってプレート状の取付部36が一体的に延設されており、この左右の各取付部36を横フレーム14の左右における両レバー18,19配置側(左側)上面にボルト固定している。ガイド体21は、このようにして横フレーム14から上方突出形成されるように該横フレーム14に固設され、この状態では、図4に示すように、ガイド体21の前側半部が側面視で横フレーム14から前方に位置した状態になる(図4参照)。
【0027】
ガイド体21の前面33は、上方に向かって若干後方傾斜し、左右一対の上下方向のガイド孔37,38が穿設されている。左右の一方側(図示する例では左側)のガイド孔37は、植付深さ調整レバー18が挿通される植付深さ調整ガイド孔になり、他方側のガイド孔38は、掻取り量調整レバー19が挿通される掻取り量調整ガイド孔になる。
【0028】
上述の植付深さ調整レバー18は、中途部が上下方向の植付深さ調整ガイド孔37に挿通され、該ガイド孔37によって上下揺動が案内される。植付深さ調整レバー18には、該レバー18と近接する側の側面34に向かって左右方向の係止ピン39が一体的に突設される一方で、ガイド体21の該側面34には、該レバー18を上下揺動させた場合における上記係止ピン39の上下方向の移動軌跡に沿うように、複数(図示する例は5つ)の係止孔34aが穿設されている。
【0029】
この上下並列配置された複数の係止孔34aは、係止ピン39が係脱自在に挿通できるように形成されている。そして、係止ピン39を複数の係止孔34aの何れかに挿通係止させることにより、植付深さ調整レバー18が所定の上下揺動位置で係止され、植付深さが所定深さに定められる。すなわち、複数の係止孔34a及び係止ピン39がガイド体21にレバー18を上下揺動位置調整可能に係止させ、この複数の係止孔34aのうちから係止ピン39を係止させる係止孔34aを択一的に選択することによって、植付深さの調整を行う。
【0030】
ちなみに、前述した通り、ガイド体21の前半部は、横フレーム14から前方に突出しており、複数の係止孔34aの内、少なくとも一部(図示する例では下側4つの係止孔34a)が横フレーム14よりも前方に位置した状態になる。このため、該レバー18を係止するガイド体21を横フレーム14に設けた場合でも、横フレーム14の後方に位置する該レバー18の揺動支点と、該レバー18の係止位置との距離を長くすることができるため、梃子の原理により、レバー18を係止させる際に必要が耐荷重設定を少なくすることが可能になる。
【0031】
上述の掻取り量調整レバー19は、中途部が上下方向の掻取り量調整ガイド孔38に挿通され、該ガイド孔38によって上下揺動が案内される。掻取り量調整レバー19には、該ガイド孔38の植付深さ調整レバー18側(図示する例では左側)側端部に向かって、掻取り量調整レバー19の形成方向の沿う係止プレート41が突設されている。一方、掻取り量調整ガイド孔38における上記係止プレート41側の上下方向の上記側端部には、左右方向の係止溝38aが該ガイド孔38側と連接されるように開放された状態で、切欠き状に凹設されている。
【0032】
この係止溝38aは、所定間隔を介して上下方向に並べられるように複数設けられ、係止プレート41が係脱自在に挿入係止できるように形成されている。そして、係止プレート41を複数の係止溝38aの何れかに挿入係止させることにより、掻取り量調整レバー19が所定の上下揺動位置で係止され、苗載せ台9からの苗の掻取り量が所定量に定められる。すなわち、複数の係止溝38a及び係止プレート41がガイド体21に該レバー19を上下揺動位置調整可能に係止させ、この複数の係止溝38aのうちから係止プレート41を係止させる係止溝38aを択一的に選択することによって、苗の掻取り量調整を行う。
【0033】
ちなみに、上記複数の係止溝38aは、前面33側から目視できるため、係止プレート41が、複数の係止溝38aの内、どの係止溝38aに係止されているかを確認することにより、掻取り量調整レバー19の上下揺動位置を容易に知ることが可能になる。この上下揺動位置確認によって、作業者は苗載せ台9からの苗掻取り量を知ることができる。すなわち、係止プレート41は、苗の掻取り量を指示す掻取り量指示部にもなる。
【0034】
これに対応して、ガイド体21の前面33における両ガイド孔37,38の間には、両ガイド孔37,38に隣接した状態で、上下方向のラベル42が貼付されている。
【0035】
ラベル42の左右半部の内、掻取り量調整レバー19側半部には、掻取り量調整レバー19用の位置指標情報が記載された掻取り量指標部Aが設けられている。掻取り量指標部Aには、上端部に「多」の文字が記載され、下端部「少」の文字が記載されている。作業者は、上記掻取り量指示部41によって掻取り量指標部Aの所定箇所が指示された状態を、目視することによって、苗の掻取り量を確認することができる。
【0036】
一方、ラベル42の左右半部の内、植付深さ調整レバー18側半部にも、植付深さ調整レバー18用の位置指標情報が記載された植付深さ指標部Bが設けられている。これに対応して、植付深さ調整レバー18からは、上記ラベル42側側方に向かって指示ピン(指示部)43が一体的に突出形成される。該指示ピン43は、ガイド体21の前面33の前方に常時位置している。
【0037】
上記植付深さ指標部Bには、上端部に「浅」の文字が記載され、下端部に「深」の文字が記載され、その間に係止孔34aの位置を示す情報が複数の数字(図示する例では1〜5までの数字)によって記載されている。作業者は、上記掻取り量指示部43によって、植付深さ指標部Bのどの数字が指示されているかを目視することによって、どの係止孔34aに係止ピン39が係止されているかを認知でき、これによって、植付深さを確認することができる。すなわち、指示ピン43は植付深さ指示部になる。
【0038】
次に、図7乃至9に基づき本発明の別実施形態について前述の例と異なる部分を説明する。
図7は、別実施形態に係るガイド体の構成を示す斜視図であり、図8は、別実施形態に係るラベルの構成を示すガイド体の正面図であり、図9は、植付深さ調整レバーの係止プレートの構成を示す側面図である。
【0039】
植付深さ調整レバー18からは、係止ピン39の他、該ガイド孔37の係止孔34a側(図示する例では左側)側端部に向かって、植付深さ調整レバー18の形成方向に沿う係止プレート44が突設されている。一方、植付深さ調整量調整ガイド孔37における上記係止プレート44側の上下方向の上記側端部には、左右方向の係止溝37aが該ガイド孔37と連接されるように開放された状態で、切欠き状に凹設されている。
【0040】
この係止溝37aは、所定間隔を介して上下方向に並べられるように複数設けられ、係止プレート44が係脱自在に挿入係止できるように形成される。くわえて、この複数の各係止溝37aは、係止孔34aに係止ピン39を挿通係止させた際に、係止プレート44が挿入係止できる位置に配置されている。そして、係止ピン39及び係止孔34aのみならず、係止プレート44及び係止溝37aによっても、掻取り量調整レバー19をガイド体21に係止可能である。
【0041】
ちなみに、上記複数の係止溝37aは、前面33側から目視できるため、係止プレート44が、複数の係止溝37の内、どの係止溝38に係止されているかを確認することにより、植付深さ調整レバー18の上下揺動位置を容易に知ることが可能になる。この上下揺動位置確認によって、作業者は植付深さを知ることができる。すなわち、係止プレート44は、上述の指示ピン43と同様の機能を有する植付深さ指示部になる。これに対応して、上述のラベル42とは別に、ガイド体21の前面33における係止孔34aを有する側面34と隣接する箇所には、ラベル46が貼付され、このラベル46が上記植付深さ指標部Bになる。
【0042】
また、この植付深さ指示部44は側面視L字状に屈曲形成され、係止ピン39の周面に2箇所で溶接されており、植付深さ指示部44と係止ピン39の強度を相互に補強している。
【符号の説明】
【0043】
9 苗載せ台
11 植付部
12 フロート
14 横フレーム
18 植付深さ調整レバー(レバー)
19 掻取り量調整レバー(レバー)
21 ガイド体
28 エプロン
33 前面
34 側面
34a 係止孔
37 植付深さ調整ガイド孔(ガイド孔)
37a 係止溝
38 掻取り量調整ガイド孔(ガイド孔)
39 係止ピン39
42 ラベル
43 指示ピン(指示部,植付深さ指示部)
44 係止プレート(植付深さ指示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向の横フレーム(14)と、横フレーム(14)に支持されて苗載せ台(9)から苗を掻取って圃場に植付ける植付部(11)と、横フレーム(14)の後方に配置され且つ植付部(11)に対して上下位置調整可能に支持されて圃場に接地させるフロート(12)と、横フレーム(14)の後方に配置され且つ植付部(11)に対して上下位置調整可能に支持されて苗載せ台(9)を支持するエプロン(28)と、横フレーム(14)上方を通過するように平面視前後方向に形成されるとともに横フレーム(14)の後方箇所を支点に上下揺操作可能に支持された植付深さ調整レバー(18)及び掻取り量調整レバー(19)と、横フレーム(14)から前面(33)及び側面(34)を有するように上方に突出形成されて該前面(33)に上下方向のガイド孔(37),(38)が穿設されたガイド体(21)とを備え、上記両レバー(18),(19)を、それぞれ揺動案内可能にガイド孔(37),(38)に挿通するとともに位置調整可能にガイド体(21)に係止し、植付深さ調整レバー(18)の上下揺動によって植付深さ調整レバー(18)の後側と機械的に連結されたフロート(12)の上下位置の変更を行うことにより植付深さ調整を行うとともに、掻取り量調整レバー(19)の上下揺動によって掻取り量調整レバー(19)の後側と機体的に連結されたエプロン(28)の上下位置の変更を行うことにより植付部(11)の苗載せ台(9)からの苗の掻取り量の調整を行う移植機の植付作業機において、上記2つのレバー(18),(19)の少なくとも一方が、レバー(18)からガイド体(21)の側面側に突設された係止ピン(39)と、該係止ピン(39)を係止可能にガイド体(21)の前記側面(34)に穿設された複数の係止孔(34a)とにより、ガイド体(21)に位置調整可能に係止される移植機の植付作業機。
【請求項2】
ガイド体(21)を横フレーム(14)よりも前方側に突出形成し、ガイド体(21)の該突出部分に複数の係止孔(34a)の少なくとも一部を位置させてなる請求項1の移植機の植付作業機。
【請求項3】
ガイド体(21)の前面のガイド孔(37)との隣接箇所に係止ピン(39)を有するレバー(18)の位置指標となるラベル(42)を貼付し、該レバー(18)からラベル(42)側側方に指示部(43)を突出形成し、該指示部(43)によってラベル(42)を指示す請求項1又は2の移植機の植付作業機。
【請求項4】
係止ピン(39)を有するレバー(18)から側方に係止プレート(44)を突出形成し、該レバー(18)が挿通されたガイド孔(37)の係止プレート(44)側側端部に、係止ピン(39)を係止孔(34a)に係止された状態のレバー(18)の係止プレート(44)を挿入係止できる左右方向の切欠き状の係止溝(37a)を複数形成した請求項1,2又は3の移植機の植付作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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