移植機の苗補給装置
【課題】 重たい苗を移植機の苗載台から持ち上げて苗供給装置へ補給する必要がなく、苗に落下衝撃を加えることがない移植機の苗補給装置を提供する。
【解決手段】 苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給し、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構を設けた。
【解決手段】 苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給し、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の移植栽培で、個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒育苗容器による紙筒苗のような多数の苗の固まりを苗運搬容器に載せて運び、移植機の苗供給装置に苗運搬容器ごと補給する苗補給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙筒苗のような多数の苗の固まりを苗運搬容器に載せて運び、移植機の苗供給装置に苗運搬容器ごと補給する方法は、特許第2537452号公報に示されるように、苗運搬容器に載せられた整列苗を受け取る第1のベルトと、苗運搬容器から取り出した整列苗を載せ分離部に供給する第2のベルトを設け、第1のベルトは細い幅で複数列を設け、第1のベルトの上面は苗運搬容器の底面に開けた穴を通って整列苗の底面を支持し、第1のベルトの回行により整列苗を第2のベルトに移載するようにしたものである。
【0003】
一方、多数のポット状苗室を連接してなる可撓性苗箱により苗を育苗し、その苗を苗箱から押し出し機械植えに供するものでは、その苗箱の自動供給装置が知られている。
【0004】
例えば、特開2003−102282号公報に示されるように、ポット苗箱が出入りする略矩形状の開口枠、それぞれポット苗箱を並列に載置する複数の縦枠及びポット苗箱の一端が当接する底枠で構成される苗箱運搬カゴを、前記縦枠が略水平になるように載置する昇降台と、該昇降台を縦枠の間隔ずつ下降又は上昇させ得る昇降手段と、所定位置に順次停止する縦枠上からポット苗箱を開口枠を通して取り出し、植付装置の苗箱導入部に送り出す送出手段からなるものである。
【0005】
この自動供給装置では、ポット苗箱を育苗場から圃場に運搬する苗箱運搬カゴをそのまま自動供給装置にセットして、ポット苗の自動供給が行えるので、ポット苗箱を苗箱運搬カゴから取り出す手間をかけずに、多数のポット苗箱を移植機に積み込むことができ、かつ主作業者のみでも移植作業を行えるようになる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2537452公報
【特許文献2】特開2003−102282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の、特許第2537452号公報に示される苗運搬容器に載せられた紙筒苗の多数の苗の固まりは、700本の苗の固まりであり、育苗土部の高さが13センチメートルもあり、移植時には充分に潅水して水を含んでおり、一個が約30キログラムと非常に重たいものである。しかし、この重たい苗を移植機の苗載台から持ち上げて苗供給装置へ補給するのは人手で行なっていた。
【0008】
また、この移植機の苗供給装置は連続的に往復移動するようになっていて、その移動に合わせて苗を補給するのは、ゆっくり作業していると苗供給装置が行ってしまうので素早く行なう必要があった。
【0009】
さらに、本発明者らは、苗を補給する人の重さを軽減するために、バネにより苗運搬容器を引き上げながら補給する方法について検討したが、前記第1のベルトに苗が載ると苗運搬容器に加わる荷重が減り、苗運搬容器がバネにより引き上げられて、苗運搬容器が苗の底面から離れずに、苗を第2のベルトに移載することができない。
【0010】
また上記の、特開2003−102282号公報に示される可撓性苗箱のように軽く保形性の良い苗では、苗供給装置の傾斜に合わせるため一部を落下させて苗補給することも可能であるが、紙筒苗のように個々の苗に分離可能な苗では苗供給装置の傾斜に合わせるため落下させると、その落下衝撃により割れて倒れてしまうおそれがある。
【0011】
そこで本発明は、重たい苗を移植機の苗載台から持ち上げて苗供給装置へ補給する必要がなく、苗に落下衝撃を加えることなく、苗を苗供給装置の傾斜に合わせて補給でき、苗運搬容器が苗の底面から確実に離れ、素早く苗補給を行なう必要がない移植機の苗補給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明の移植機の苗補給装置は、苗供給装置10の上方に苗供給装置10に補給する苗Pを載せ置く苗載台4を設けた移植機において、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものである。
【0013】
請求項2の発明の移植機の苗補給装置は、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けたものである。
【0014】
請求項3の発明の移植機の苗補給装置は、軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構によるものである。
【0015】
請求項4の発明の移植機の苗補給装置は、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせたものである。
【0016】
請求項5の発明の移植機の苗補給装置は、苗Pは苗運搬容器Cに載せられ苗運搬容器Cを苗補給可動台21で保持する苗補給装置20において、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにしたものである。
【0017】
請求項6の発明の移植機の苗補給装置は、苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものである。
【0018】
請求項7の発明の移植機の苗補給装置は、支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するから、重たい苗Pを移植機の苗載台4から持ち上げて苗供給装置10へ補給する必要がない。
【0020】
請求項2の発明によれば、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けたから、苗補給可動台21の下降に際して苗Pに落下衝撃を加えることなく、苗補給可動台21を次の苗補給に備えるために上昇させる際には軽く上昇できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構によるものであり、バルブ77の開度の変更により苗補給可動台21の下降速度を調節できるから、苗補給可動台21の下降に際して確実に苗Pに落下衝撃を加えることがない。
【0022】
請求項4の発明によれば、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせたものであり、腕杆42の回転により支持枠30の鎖車46は回転しないが苗補給可動台21の鎖車47が鎖48により回され、苗補給可動台21の上下動によりその角度が変わるから、苗載台4と苗供給装置10の角度が異なっても苗Pを苗供給装置10の傾斜に合わせて補給できる。
【0023】
請求項5の発明によれば、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにしたものであり、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる力がほぼ無くなるから、苗補給可動台21が苗運搬容器Cを持ち上げることなく苗運搬容器Cが苗Pの底面から確実に離れる。
【0024】
また、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間では、引張バネ50により苗補給可動台21を上昇するよう付勢するから、苗補給可動台21の下降に際して苗Pの荷重を受けて落下衝撃を和らげ、苗補給可動台21を次の苗補給に備えるために上昇させる際には軽く上昇できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものであり、苗補給可動台21を任意の移動位置として苗載台4から苗補給可動台21に苗Pをゆっくりと移載できるから、素早く苗補給を行なう必要がない。
【0026】
請求項7の発明によれば、支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものであり、往復移動する苗供給装置10の停止状態に近い状態で苗補給を行なうから、苗供給装置10に確実に苗Pを補給できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は移植機の苗補給装置を示す平面図である。
【図2】図2は図1の一部を切り欠いた正面図である。
【図3】図3は図1の苗補給した状態を示す図である。
【図4】図4は図3の一部を切り欠いた正面図である。
【図5】図5は図1の一部を切り欠いた側面図である。
【図6】図6は図1の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図7】図7は図6の正面図である。
【図8】図8は図7の苗補給した状態を示す図である。
【図9】図9は図7の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図10】図10は図7の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図11】図11は図10の苗補給した状態を示す図である。
【図12】図12は図7の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図13】図13は図12の苗補給した状態を示す図である。
【図14】図14は図6の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図15】図15は図14のバルブの開放した状態を示す図である。
【図16】図16は図14の正面図である。
【図17】図17は図1の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図18】図18は図17の下降作動状態を示す図である。
【図19】図19は図17の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
重たい苗Pを移植機の苗載台4から持ち上げて苗供給装置10へ補給する必要がない移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗供給装置10の上方に苗供給装置10に補給する苗Pを載せ置く苗載台4を設けた移植機において、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給することで実現した。
【0029】
また、苗Pに落下衝撃を加えることない移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けたこと、および、軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構によることで実現した。
【0030】
苗Pを苗供給装置10の傾斜に合わせて補給できる移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせたことで実現した。
【0031】
苗運搬容器Cが苗Pの底面から確実に離れる移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗Pは苗運搬容器Cに載せられ苗運搬容器Cを苗補給可動台21で保持する苗補給装置20において、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにしたことで実現した。
【0032】
素早く苗補給を行なう必要がない移植機の苗補給装置20を提供する目的を、
苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給すること、および、支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給することで実現した。
【実施例1】
【0033】
図1から図18は、本発明の実施例に係る移植機の苗補給装置20である。
【0034】
本実施例に使用する苗Pは、個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒育苗容器による紙筒苗であり、その苗Pを苗床から取り出して苗運搬容器Cに載せ、圃場に運ばれ、移植機の苗載台4に複数の苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま載せ置き、移植機の苗供給装置10に必要に応じてその苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま補給するものである。
【0035】
この苗Pを苗床から圃場まで運搬し移植機に補給するための苗運搬容器Cは、底面と長辺の一側面が背板であり、両短辺の側面に下向き開口の略コの字形状の丸棒の取手を設け、両短辺の側面で取手の下端の間に下向き開口の略Uの字形状の受金具を設け、上方が開放され、長辺の一側面が開口部として開放されている。底面には開口部方向に長い穴が開けられていて、穴は第1のベルト11に対応して複数列を設ける。そして、苗Pはこの苗運搬容器Cの底面上に載せて運搬し補給される。また、丸棒の取手の上に受金具を重ねることにより積み重ねを可能としている。実施例では700本の紙筒苗(大きさ約30cm×60cm×13cm)による苗Pを載せる苗運搬容器Cを示している。
【0036】
苗補給装置20は、移植機の苗載台4の苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま、人手で持ち上げることなく苗供給装置10に補給するものである。
【0037】
図1において、1は機枠であり、機枠1は平面視が略長方形の枠体を成しており、移植機は図1の下方に進行する。機枠1に沿って一対のレール2を設け、苗供給装置10を一対のレール2上に設け、苗供給装置10は一対のレール2に沿って所定距離だけ往復移動が可能とする。
【0038】
機枠1の前後端から上方に一対の苗載台脚3を設け、前後の苗載台脚3の上に渡る水平方向の苗載台4を設ける。苗載台4に苗供給装置10に補給する苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま載せ置く。
【0039】
苗供給装置10には、苗運搬容器Cに載せられた苗Pを受け取る第1のベルト11と、苗運搬容器Cから取り出した苗Pを載せ分離部に供給する第2のベルト12を設け、第1のベルト11は細い幅で複数列を設け、第1のベルト11の上面は苗運搬容器Cの底面に開けた穴を通って苗Pの底面を支持し、第1のベルト11の回行により苗Pを第2のベルト12に移載する。第1のベルト11と第2のベルト12の苗Pの搬送方向は苗供給装置10の往復移動方向と直交する方向とし、第1のベルト11と第2のベルト12は第2のベルト12側が低くなるように傾斜させる。実施例では、第2のベルト12側が約10度低くなるように傾斜させた。
【0040】
苗供給装置10の一側面(実施例では図1の上方)に、第1のベルト11と第2のベルト12の苗Pの搬送方向に長い垂直面を有する案内レール13を設ける。
【0041】
苗載台4は苗供給装置10の上方にその約半分の第2のベルト12側を覆うように設けられ、苗載台4の苗Pを補給する側端は苗供給装置10の第1のベルト11の上方に位置している。
【0042】
苗載台4の苗Pを補給する片側端(実施例では図1の下方)に、下向きに複数の突起を有する固定係止板5を設ける。苗載台4の苗Pを補給する側端の固定係止板5を設けた反対側(実施例では図1の上方)に、内方が自由に回転可能に固定され、外方が所定距離だけ自重で上下動可能な可動係止板6を設ける。
【0043】
苗補給装置20は、苗載台4と苗供給装置10の間から苗載台4の苗Pを補給する側端に設けられる。
【0044】
苗補給装置20には、苗載台4の下面に固定した一対のレール36と、そのレール36に沿って苗供給装置10の往復移動方向と同じ方向に移動可能な支持枠30と、支持枠30の両端から一対の腕杆42と、腕杆42の先端部に苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設ける。
【0045】
苗補給可動台21には、苗運搬容器Cの長辺の開口部として開放されていない一側面側に位置し苗運搬容器Cの長辺よりやや長い背面枠22と、苗運搬容器Cの両短辺の一対の取手の外方に位置しその短辺よりやや長い一対の側面枠23と、苗運搬容器Cの両短辺の一対の受金具の下方に位置し受金具の中に入る一対の受杆25を設ける。つまり、苗補給可動台21の一対の受杆25の上に載せて苗運搬容器Cを保持する。
【0046】
また、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21の側面枠23に固定した軸24を設ける。
【0047】
苗載台4の下面に固定した一対のレール36は、苗供給装置10の往復移動方向と同じ方向に長い断面がコの字状であり、その開口が互いに向き合っている。
【0048】
支持枠30は苗載台4の下方に設けられ、平面視で苗運搬容器Cとほぼ同じ大きさの方形の枠であり、その四辺が下方に折曲がった箱形状である。
【0049】
支持枠30の両長辺の両端部側面に水平方向に突出するピン37にはめられた案内ローラ31を設け、この案内ローラ31がレール36の内側にはまり込み自由に回転することにより、支持枠30を水平方向に移動自在としている。
【0050】
支持枠30の両短辺側面から外方に突出し、支持枠30に固定した一対の軸32を設ける。支持枠30の中央部に両短辺側面と同様な一対の支持板33を所定間隔で設ける。
【0051】
支持枠30の片側短辺側面(実施例では図1の上方)から外方に一対のバルブ枠34を設け、一対のバルブ枠34の下端を連結するバルブ底枠35を設ける。
【0052】
支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設ける。
【0053】
腕杆42の正面視の形状は、苗補給可動台21が上昇した状態で、苗載台4の下方に位置する支持枠30側から略水平な支持枠30の軸32に回転自在にはまり込む水平部と、苗載台4の苗Pを補給する側端側から上方に斜めな斜部と、苗補給可動台21側先端の斜部より傾斜が緩い先端部とする。この腕杆42の先端部に、苗補給可動台21の軸24が回転自在にはまり込む。
【0054】
苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載する際には、一方の腕杆42の斜部が固定係止板5のいずれかの突起に引っ掛かって支持枠30の移動を固定する。また、苗補給可動台21を下降させて苗Pを苗供給装置10に補給する際には、一方の腕杆42の斜部が可動係止板6の側端に引っ掛かった腕杆42'状態として、支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定する。この移動端で、苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置する。
【0055】
支持枠30の下方で、腕杆42の水平部の下方に両腕杆42を連結固定して同一角度に回転させる、角パイプ状の連結枠41を設ける。腕杆42の先端部の上方に一対の持手43を設ける。バルブ枠34を設けた側の腕杆42の斜部側の水平部の下方に係止片44を設け、係止片44に突出高さが調節自在な係止螺子45を設ける。
【0056】
腕杆42内の支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、腕杆42内の苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせる。
【0057】
このことにより、腕杆42の回転により支持枠30の鎖車46は回転しないが苗補給可動台21の鎖車47が鎖48により回され、苗補給可動台21の上下動によりその角度が変わるから、苗載台4と苗供給装置10の角度が異なっても苗Pを苗供給装置10の傾斜に合わせて補給できる。また、苗補給可動台21の上昇位置である苗載台4からの苗P受入状態で苗補給可動台21を後傾姿勢とすることにより、苗運搬容器Cを滑り落すようにして苗Pを受け入れることができる。
【0058】
実施例では、支持枠30の鎖車46の歯数を21枚、苗補給可動台21の鎖車47の歯数を14枚とし、腕杆42が約44度回転して苗補給可動台21が約34cm上下動し、苗補給可動台21の上昇位置で苗運搬容器Cの背板側が約10度下がる後傾姿勢とし、苗補給可動台21の下降位置で苗運搬容器Cの開口部側が約10度下がる前傾姿勢とした。
【0059】
支持枠30の両短辺側面と支持板33の間の下方で、一対の腕杆42を連結固定する連結枠41にバネ掛腕51を設けボルト52で連結枠41に固定する。支持枠30の底面にバネ掛片54を設け、バネ掛腕51の先端のピン53と支持枠30側のバネ掛片54の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設ける。
【0060】
引張バネ50は、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとする。
【0061】
また、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で、引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにし、引張バネ50の引張力がほぼ軸32にのみ加わるようにする。
【0062】
このことにより、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる力がほぼ無くなるから、苗補給可動台21が苗運搬容器Cを持ち上げることなく苗運搬容器Cが苗Pの底面から確実に離れる。
【0063】
支持枠30の中央部下方に、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構としてのシリンダー61を設ける。
【0064】
支持枠30の中央部の一対の支持板33から、苗補給可動台21の方向に突出した板である一対の取付板62を設け、シリンダー61の筒の一端に設けた取付座板63と取付板62先端部をピン64で回転自在に固定する。
【0065】
シリンダー61は、その軸61aが両端に突出し、軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダーとする。また、腕杆42が上方に回転した苗Pの受入状態で、シリンダー61の軸61aがほぼ水平となるようにする。実施例では油圧シリンダー61とした。
【0066】
シリンダー61の軸61aの苗補給可動台21と反対方向の先端に連結金具65を固定する。連結枠41には苗補給可動台21と反対方向の上方に二枚の連結枠金具41aを固定する。連結金具65は平面視がコの字状の板で、その両端の孔と連結枠金具41aの先端の孔を両者が自由に回転するようボルト66で固定する。
【0067】
シリンダー61の筒の外周に二個のニップル67を設け、苗補給可動台21方向のニップル67にホース71を連結し、苗補給可動台21と反対方向のニップル67にホース72を連結する。
【0068】
図13に示すように、腕杆42が下方に回転するとシリンダー61の軸61aは苗補給可動台21と反対方向に突出してホース72から油が吐出する。また、腕杆42が上方に回転するとシリンダー61の軸61aは苗補給可動台21の方向に突出してホース71から油が吐出する。
【0069】
減衰機構としてのシリンダー61を、バルブ機構部70の開度が徐々に可変なバルブ77と液密に連結する。
【0070】
バルブ機構部70は、支持枠30の外方に設けたバルブ枠34とバルブ底枠35に固定される。
【0071】
バルブ機構部70の液密な減衰機構とは、ループ状の閉鎖管路に満杯に油を充填し、その管路内に開度が可変なバルブ77を設けたものである。つまり、バルブ77を閉じると油が流れることができずにシリンダー61の軸61aが移動できず、バルブ77を全開に開くと油が自由に流れてシリンダー61の軸61aが自由に移動し、バルブ77を少し開くと狭い流路に油が抵抗を受けながら流れてシリンダー61の軸61aが抵抗を受けて移動する。
【0072】
バルブ機構部70には、ホース71側からエルボ73、短い連結管75、バルブ77、長い連結管76、エルボ74、ホース72と液密に連結する。短い連結管75と長い連結管76はバルブ枠34に固定される。
【0073】
バルブ77はボールバルブであり、その軸を下方に向け、平面視が略Lの字状のバルブ腕杆78を固定する。バルブ腕杆78にはその下方に垂直方向の軸78aを固定し、軸78aはバルブ底枠35に回転自在に固定される。つまり、バルブ腕杆78が水平面内を回転することにより、バルブ77が閉じたり開いたりする。図14に示すバルブ腕杆78の位置がバルブ77の全閉であり、図15に示すバルブ腕杆78の位置がバルブ77の全開である。
【0074】
バルブ腕杆78の一方の先端部に水平面内を自由に回転するローラ79を固定し、バルブ腕杆78のもう一方の先端部に細長い板である操作レバー81の一端を自由に回転するよう固定する。バルブ腕杆78の操作レバー81側先端部と、苗補給可動台21と反対方向のバルブ枠34の外方に設けたバネ掛片84の間に引張バネ83を掛け渡す。引張バネ83はバルブ77を閉じる方向にバルブ腕杆78を付勢する。
【0075】
苗補給可動台21方向のバルブ枠34の外方に平面視がコの字状の板であるレバー案内板82を固定し、レバー案内板82には水平方向の矩形の孔を開け、その孔に操作レバー81がその長手方向には自由に移動できるように挿入する。
【0076】
操作レバー81の中間部下面に矩形の板である固定板81aを固定する。図15に示すバルブ77の全開位置で操作レバー81の固定板81aはレバー案内板82の外方に位置し、操作レバー81の自重により落ち込み、固定板81aがレバー案内板82に引っ掛かることにより操作レバー81が引張バネ83に抗して戻らなくなる。つまり、操作レバー81を引くとバルブ77が全開となり、苗補給可動台21を自由に上下動でき、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構としてのシリンダー61となる。
【0077】
このことにより、苗補給可動台21を次の苗補給に備えるために上昇させる際には軽く上昇できる。
【0078】
腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21が苗Pの受入状態で、腕杆42の係止片44に設けた係止螺子45の頭が操作レバー81の裏面に接当し、操作レバー81が少し持ち上がった状態で腕杆42の上方への回転は止められる。また、固定板81aとレバー案内板82の引っ掛かりが解かれ、引張バネ83によりバルブ腕杆78が回転してバルブ77が全閉となり、苗補給可動台21の上下動が固定される。
【0079】
苗補給可動台21を苗供給装置10の往復移動の移動端で自動的に下降させる、下降動作機構90を苗載台4の一方の苗載台脚3(実施例では図1の上方)に設ける。
【0080】
下降動作機構90には、苗載台脚3の一本の角パイプ状柱に苗供給装置10と反対側から当る支点枠91と、苗供給装置10側から当る当板92を設け、支点枠91と当板92を苗載台脚3に押し付けて固定するボルト93を苗載台脚3の両側に設ける。
【0081】
苗載台脚3の苗供給装置10と反対側に正面視が略Zの字状の支点杆95を設け、支点杆95の中間の垂直部に略コの字状の板を固定し、その先端部の垂直方向の孔と支点枠91の垂直方向の孔にピン94を通して、支点杆95を水平方向面内で自由に回転するよう固定する。
【0082】
支点枠91の苗供給装置10と反対側には上方に突出した係止片91aを設け、支点杆95は係止片91aと苗載台脚3の間の所定角度だけ自由に回転する。また、支点杆95のピン94より苗補給可動台21側と当板92の間に引張バネ96を掛け渡し、支点杆95の苗補給可動台21側が苗供給装置10の方向に付勢されて係止片91aに当るようにする。
【0083】
支点杆95の苗補給可動台21側の先端部下方から水平方向に長い開度延長杆101を設ける。支点杆95の先端部の垂直方向の孔と開度延長杆101の一端の垂直方向の孔にピン97を通して、開度延長杆101を水平方向面内で自由に回転するよう固定する。
【0084】
支点杆95の開度延長杆101側で苗供給装置10の方向に係止ボルト98を設け、開度延長杆101が係止ボルト98に当り、支点杆95と開度延長杆101が平面視でなす角度が約90度以下とならないよう規制する。また、支点杆95の苗供給装置10の方向に、支点杆95と開度延長杆101の間に引張バネ105を掛け渡し、開度延長杆101の先端部が苗載台脚3の方向に付勢されて係止ボルト98に当るようにする。
【0085】
開度延長杆101の先端部下方から開度調整杆103を設ける。開度調整杆103は断面がコの字状の細長い板で、その開口の一部に開度延長杆101の先端部がはまり込む。開度調整杆103にはその長手方向の長孔を設け、開度延長杆101と開度調整杆103を合わせた長さを調整可能に固定する。
【0086】
開度調整杆103の先端部下方に水平面内を自由に回転する開度ローラ104を固定する。開度ローラ104は苗供給装置10の一側面の案内レール13に当る位置とする。
【0087】
支点杆95の開度延長杆101を取り付ける反対側端に逃げ腕杆106をそのなす角度を調節可能に固定する。逃げ腕杆106は平面視が円弧状の二枚の板であり、逃げ腕杆106の一端で支点杆95の先端部を挟んで固定される。逃げ腕杆106の円弧状の中心方向は苗供給装置10の方向とし、バルブ腕杆78の軸78aをかわすような配置としている。
【0088】
逃げ腕杆106の支点杆95を取り付ける反対側端に接当杆107をそのなす角度を調節可能に固定する。接当杆107は角パイプ状の細長い形状で、その中間部を逃げ腕杆106の先端部が挟んで固定される。逃げ腕杆106の苗供給装置10の方向の垂直面がバルブ腕杆78のローラ79に当る位置とする。
【0089】
苗供給装置10がその往復移動の移動端に達すると、案内レール13が開度ローラ104に当り支点杆95が回転し、接当杆107がローラ79に当り、バルブ腕杆78が約45度回転してバルブ77を半開し、苗補給可動台21が減衰機構としてのシリンダー61の抵抗を受けながら下降する。
【0090】
さらに苗供給装置10が移動すると、図18に示すように、支点杆95と開度延長杆101のなす角度が開いて、バルブ77の半開状態を継続する。つまり、所要の半開状態以上にバルブ77を開けないようにすることで、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の下降に際して苗Pに落下衝撃を加えることがない。
【0091】
バルブ77の半開状態時間の調整は、開度延長杆101と開度調整杆103を合わせた長さを変えることにより行なう。また、バルブ77の半開状態角度の調整は逃げ腕杆106と支点杆95のなす角度、または接当杆107と逃げ腕杆106のなす角度を変えることにより行なう。
【0092】
次に、苗補給装置20の使用方法を説明する。
【0093】
まず、苗供給装置10の第1のベルト11上に苗Pおよび苗運搬容器Cが無く、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受入可能な状態から説明する。この、第1のベルト11上に苗Pおよび苗運搬容器Cが無い状態を、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態とする。
【0094】
苗補給可動台21の位置は苗補給可動台21を少し押し下げて腕杆42の斜部と固定係止板5の突起の引っ掛かりを解いて支持枠30を移動させて、移載する苗Pに合わせた位置に移動し、固定係止板5により固定する。
【0095】
苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま、引き摺って手で持ち上げることなく移載する。このとき、重たい苗Pを移植機の苗載台4から持ち上げて苗供給装置10へ補給する必要がない。また、苗補給可動台21を任意の移動位置として苗載台4から苗補給可動台21に苗Pをゆっくりと移載できるから、素早く苗補給を行なう必要がない。
【0096】
また、バルブ77が全閉となっているから、苗補給可動台21の上下動が固定され、その高さに保持される。
【0097】
補給のための所定操作として、支持枠30を苗補給の所定位置に移動させる。つまり、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、一方の腕杆42の斜部が可動係止板6の側端に引っ掛かった腕杆42'状態として、支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定する。
【0098】
苗供給装置10がその往復移動の移動端に達すると、苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する。つまり、苗供給装置10の案内レール13が開度ローラ104に当り支点杆95が回転し、苗補給可動台21が減衰機構としてのシリンダー61の抵抗を受けながら下降する。
【0099】
第1のベルト11上に苗Pが移載され、苗運搬容器Cが苗Pの底面から離れる。このとき、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる力がほぼ無くなるから、苗補給可動台21が苗運搬容器Cを持ち上げることなく苗運搬容器Cが、苗補給可動台21や苗運搬容器Cの自重で苗Pの底面から確実に離れる。
【0100】
苗補給装置20は、苗供給装置10の往復移動方向と同じ方向に移動可能な支持枠30により、同時に往復移動し、第1のベルト11上の苗Pは移植機の進行により、順次第2のベルト12に移載する。
【0101】
第1のベルト11上の苗運搬容器Cの上に苗Pが無くなれば、操作レバー81を引いて苗補給可動台21の固定を解き、持手43を持って空の苗運搬容器Cごと引き上げる。
【0102】
腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21が苗Pの受入状態で、腕杆42の上方への回転は止められ、バルブ77が全閉となり苗補給可動台21の上下動が固定される。
【0103】
苗補給可動台21から空の苗運搬容器Cを降ろし、次の苗補給のため苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載し、同様の作業を繰り返す。
【0104】
本実施例の例外的な使用方法として、支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態、つまり一方の腕杆42の斜部が可動係止板6の側端に引っ掛かった腕杆42'状態として移動を固定してから、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載することも可能である。
【0105】
この場合、苗補給可動台21に苗Pを載せなければ、苗供給装置10が移動端に達してバルブ77が半開しても引張バネ50の力により苗補給可動台21が下がることは無い。苗供給装置10が移動端に達して離れてから次に移動端に達するまでの間に苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載する。この場合の補給のための所定操作とは、苗供給装置10が次に移動端に達するまでの間に苗補給可動台21に苗Pを移載し終えることとなる。
【0106】
以上の実施例では、苗Pとして紙筒育苗容器による紙筒苗を示したが、比較的重たい苗の固まりを移植に供するものであれば良い。
【0107】
また、補給のための所定操作として支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態を示したが、必ずしも支持枠30が移動しなければならないものではなく、苗供給装置が往復移動しない場合にはその上方に苗補給可動台21か位置すれば良い。また、所定操作として苗補給可動台21への移載の完了を示すものや、作業者が自分で判断してレバーを操作するものでも良い。
【0108】
また、減衰機構としてシリンダー61とバルブ77によるものを示したが、減衰機構は苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならないものであれば良い。
【0109】
また、開度が徐々に可変なバルブ77としてボールバルブによるものを示したが、開度が徐々に可変なバルブは全開と全閉しかないもので無ければ良く、スプールを移動させるものでも良い。
【0110】
また、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持するものとして減衰機構としてのシリンダー61とバルブ77を兼用した例を示したが、必ずしも兼用である必要は無く、別の保持手段を設けても良い。
【符号の説明】
【0111】
4 苗載台
10 苗供給装置
20 苗補給装置
21 苗補給可動台
24 軸
30 支持枠
32 軸
42 腕杆
46 鎖車
47 鎖車
48 鎖
50 引張バネ
61 減衰機構としてのシリンダー
61a 軸
77 バルブ
C 苗運搬容器
P 苗
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の移植栽培で、個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒育苗容器による紙筒苗のような多数の苗の固まりを苗運搬容器に載せて運び、移植機の苗供給装置に苗運搬容器ごと補給する苗補給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙筒苗のような多数の苗の固まりを苗運搬容器に載せて運び、移植機の苗供給装置に苗運搬容器ごと補給する方法は、特許第2537452号公報に示されるように、苗運搬容器に載せられた整列苗を受け取る第1のベルトと、苗運搬容器から取り出した整列苗を載せ分離部に供給する第2のベルトを設け、第1のベルトは細い幅で複数列を設け、第1のベルトの上面は苗運搬容器の底面に開けた穴を通って整列苗の底面を支持し、第1のベルトの回行により整列苗を第2のベルトに移載するようにしたものである。
【0003】
一方、多数のポット状苗室を連接してなる可撓性苗箱により苗を育苗し、その苗を苗箱から押し出し機械植えに供するものでは、その苗箱の自動供給装置が知られている。
【0004】
例えば、特開2003−102282号公報に示されるように、ポット苗箱が出入りする略矩形状の開口枠、それぞれポット苗箱を並列に載置する複数の縦枠及びポット苗箱の一端が当接する底枠で構成される苗箱運搬カゴを、前記縦枠が略水平になるように載置する昇降台と、該昇降台を縦枠の間隔ずつ下降又は上昇させ得る昇降手段と、所定位置に順次停止する縦枠上からポット苗箱を開口枠を通して取り出し、植付装置の苗箱導入部に送り出す送出手段からなるものである。
【0005】
この自動供給装置では、ポット苗箱を育苗場から圃場に運搬する苗箱運搬カゴをそのまま自動供給装置にセットして、ポット苗の自動供給が行えるので、ポット苗箱を苗箱運搬カゴから取り出す手間をかけずに、多数のポット苗箱を移植機に積み込むことができ、かつ主作業者のみでも移植作業を行えるようになる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2537452公報
【特許文献2】特開2003−102282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の、特許第2537452号公報に示される苗運搬容器に載せられた紙筒苗の多数の苗の固まりは、700本の苗の固まりであり、育苗土部の高さが13センチメートルもあり、移植時には充分に潅水して水を含んでおり、一個が約30キログラムと非常に重たいものである。しかし、この重たい苗を移植機の苗載台から持ち上げて苗供給装置へ補給するのは人手で行なっていた。
【0008】
また、この移植機の苗供給装置は連続的に往復移動するようになっていて、その移動に合わせて苗を補給するのは、ゆっくり作業していると苗供給装置が行ってしまうので素早く行なう必要があった。
【0009】
さらに、本発明者らは、苗を補給する人の重さを軽減するために、バネにより苗運搬容器を引き上げながら補給する方法について検討したが、前記第1のベルトに苗が載ると苗運搬容器に加わる荷重が減り、苗運搬容器がバネにより引き上げられて、苗運搬容器が苗の底面から離れずに、苗を第2のベルトに移載することができない。
【0010】
また上記の、特開2003−102282号公報に示される可撓性苗箱のように軽く保形性の良い苗では、苗供給装置の傾斜に合わせるため一部を落下させて苗補給することも可能であるが、紙筒苗のように個々の苗に分離可能な苗では苗供給装置の傾斜に合わせるため落下させると、その落下衝撃により割れて倒れてしまうおそれがある。
【0011】
そこで本発明は、重たい苗を移植機の苗載台から持ち上げて苗供給装置へ補給する必要がなく、苗に落下衝撃を加えることなく、苗を苗供給装置の傾斜に合わせて補給でき、苗運搬容器が苗の底面から確実に離れ、素早く苗補給を行なう必要がない移植機の苗補給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明の移植機の苗補給装置は、苗供給装置10の上方に苗供給装置10に補給する苗Pを載せ置く苗載台4を設けた移植機において、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものである。
【0013】
請求項2の発明の移植機の苗補給装置は、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けたものである。
【0014】
請求項3の発明の移植機の苗補給装置は、軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構によるものである。
【0015】
請求項4の発明の移植機の苗補給装置は、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせたものである。
【0016】
請求項5の発明の移植機の苗補給装置は、苗Pは苗運搬容器Cに載せられ苗運搬容器Cを苗補給可動台21で保持する苗補給装置20において、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにしたものである。
【0017】
請求項6の発明の移植機の苗補給装置は、苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものである。
【0018】
請求項7の発明の移植機の苗補給装置は、支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するから、重たい苗Pを移植機の苗載台4から持ち上げて苗供給装置10へ補給する必要がない。
【0020】
請求項2の発明によれば、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けたから、苗補給可動台21の下降に際して苗Pに落下衝撃を加えることなく、苗補給可動台21を次の苗補給に備えるために上昇させる際には軽く上昇できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構によるものであり、バルブ77の開度の変更により苗補給可動台21の下降速度を調節できるから、苗補給可動台21の下降に際して確実に苗Pに落下衝撃を加えることがない。
【0022】
請求項4の発明によれば、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせたものであり、腕杆42の回転により支持枠30の鎖車46は回転しないが苗補給可動台21の鎖車47が鎖48により回され、苗補給可動台21の上下動によりその角度が変わるから、苗載台4と苗供給装置10の角度が異なっても苗Pを苗供給装置10の傾斜に合わせて補給できる。
【0023】
請求項5の発明によれば、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにしたものであり、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる力がほぼ無くなるから、苗補給可動台21が苗運搬容器Cを持ち上げることなく苗運搬容器Cが苗Pの底面から確実に離れる。
【0024】
また、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間では、引張バネ50により苗補給可動台21を上昇するよう付勢するから、苗補給可動台21の下降に際して苗Pの荷重を受けて落下衝撃を和らげ、苗補給可動台21を次の苗補給に備えるために上昇させる際には軽く上昇できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものであり、苗補給可動台21を任意の移動位置として苗載台4から苗補給可動台21に苗Pをゆっくりと移載できるから、素早く苗補給を行なう必要がない。
【0026】
請求項7の発明によれば、支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給するものであり、往復移動する苗供給装置10の停止状態に近い状態で苗補給を行なうから、苗供給装置10に確実に苗Pを補給できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は移植機の苗補給装置を示す平面図である。
【図2】図2は図1の一部を切り欠いた正面図である。
【図3】図3は図1の苗補給した状態を示す図である。
【図4】図4は図3の一部を切り欠いた正面図である。
【図5】図5は図1の一部を切り欠いた側面図である。
【図6】図6は図1の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図7】図7は図6の正面図である。
【図8】図8は図7の苗補給した状態を示す図である。
【図9】図9は図7の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図10】図10は図7の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図11】図11は図10の苗補給した状態を示す図である。
【図12】図12は図7の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図13】図13は図12の苗補給した状態を示す図である。
【図14】図14は図6の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図15】図15は図14のバルブの開放した状態を示す図である。
【図16】図16は図14の正面図である。
【図17】図17は図1の一部を切り欠いた要部を示す図である。
【図18】図18は図17の下降作動状態を示す図である。
【図19】図19は図17の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
重たい苗Pを移植機の苗載台4から持ち上げて苗供給装置10へ補給する必要がない移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗供給装置10の上方に苗供給装置10に補給する苗Pを載せ置く苗載台4を設けた移植機において、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給することで実現した。
【0029】
また、苗Pに落下衝撃を加えることない移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けたこと、および、軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構によることで実現した。
【0030】
苗Pを苗供給装置10の傾斜に合わせて補給できる移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせたことで実現した。
【0031】
苗運搬容器Cが苗Pの底面から確実に離れる移植機の苗補給装置20を提供する目的を、苗Pは苗運搬容器Cに載せられ苗運搬容器Cを苗補給可動台21で保持する苗補給装置20において、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにしたことで実現した。
【0032】
素早く苗補給を行なう必要がない移植機の苗補給装置20を提供する目的を、
苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給すること、および、支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給することで実現した。
【実施例1】
【0033】
図1から図18は、本発明の実施例に係る移植機の苗補給装置20である。
【0034】
本実施例に使用する苗Pは、個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒育苗容器による紙筒苗であり、その苗Pを苗床から取り出して苗運搬容器Cに載せ、圃場に運ばれ、移植機の苗載台4に複数の苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま載せ置き、移植機の苗供給装置10に必要に応じてその苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま補給するものである。
【0035】
この苗Pを苗床から圃場まで運搬し移植機に補給するための苗運搬容器Cは、底面と長辺の一側面が背板であり、両短辺の側面に下向き開口の略コの字形状の丸棒の取手を設け、両短辺の側面で取手の下端の間に下向き開口の略Uの字形状の受金具を設け、上方が開放され、長辺の一側面が開口部として開放されている。底面には開口部方向に長い穴が開けられていて、穴は第1のベルト11に対応して複数列を設ける。そして、苗Pはこの苗運搬容器Cの底面上に載せて運搬し補給される。また、丸棒の取手の上に受金具を重ねることにより積み重ねを可能としている。実施例では700本の紙筒苗(大きさ約30cm×60cm×13cm)による苗Pを載せる苗運搬容器Cを示している。
【0036】
苗補給装置20は、移植機の苗載台4の苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま、人手で持ち上げることなく苗供給装置10に補給するものである。
【0037】
図1において、1は機枠であり、機枠1は平面視が略長方形の枠体を成しており、移植機は図1の下方に進行する。機枠1に沿って一対のレール2を設け、苗供給装置10を一対のレール2上に設け、苗供給装置10は一対のレール2に沿って所定距離だけ往復移動が可能とする。
【0038】
機枠1の前後端から上方に一対の苗載台脚3を設け、前後の苗載台脚3の上に渡る水平方向の苗載台4を設ける。苗載台4に苗供給装置10に補給する苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま載せ置く。
【0039】
苗供給装置10には、苗運搬容器Cに載せられた苗Pを受け取る第1のベルト11と、苗運搬容器Cから取り出した苗Pを載せ分離部に供給する第2のベルト12を設け、第1のベルト11は細い幅で複数列を設け、第1のベルト11の上面は苗運搬容器Cの底面に開けた穴を通って苗Pの底面を支持し、第1のベルト11の回行により苗Pを第2のベルト12に移載する。第1のベルト11と第2のベルト12の苗Pの搬送方向は苗供給装置10の往復移動方向と直交する方向とし、第1のベルト11と第2のベルト12は第2のベルト12側が低くなるように傾斜させる。実施例では、第2のベルト12側が約10度低くなるように傾斜させた。
【0040】
苗供給装置10の一側面(実施例では図1の上方)に、第1のベルト11と第2のベルト12の苗Pの搬送方向に長い垂直面を有する案内レール13を設ける。
【0041】
苗載台4は苗供給装置10の上方にその約半分の第2のベルト12側を覆うように設けられ、苗載台4の苗Pを補給する側端は苗供給装置10の第1のベルト11の上方に位置している。
【0042】
苗載台4の苗Pを補給する片側端(実施例では図1の下方)に、下向きに複数の突起を有する固定係止板5を設ける。苗載台4の苗Pを補給する側端の固定係止板5を設けた反対側(実施例では図1の上方)に、内方が自由に回転可能に固定され、外方が所定距離だけ自重で上下動可能な可動係止板6を設ける。
【0043】
苗補給装置20は、苗載台4と苗供給装置10の間から苗載台4の苗Pを補給する側端に設けられる。
【0044】
苗補給装置20には、苗載台4の下面に固定した一対のレール36と、そのレール36に沿って苗供給装置10の往復移動方向と同じ方向に移動可能な支持枠30と、支持枠30の両端から一対の腕杆42と、腕杆42の先端部に苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設ける。
【0045】
苗補給可動台21には、苗運搬容器Cの長辺の開口部として開放されていない一側面側に位置し苗運搬容器Cの長辺よりやや長い背面枠22と、苗運搬容器Cの両短辺の一対の取手の外方に位置しその短辺よりやや長い一対の側面枠23と、苗運搬容器Cの両短辺の一対の受金具の下方に位置し受金具の中に入る一対の受杆25を設ける。つまり、苗補給可動台21の一対の受杆25の上に載せて苗運搬容器Cを保持する。
【0046】
また、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21の側面枠23に固定した軸24を設ける。
【0047】
苗載台4の下面に固定した一対のレール36は、苗供給装置10の往復移動方向と同じ方向に長い断面がコの字状であり、その開口が互いに向き合っている。
【0048】
支持枠30は苗載台4の下方に設けられ、平面視で苗運搬容器Cとほぼ同じ大きさの方形の枠であり、その四辺が下方に折曲がった箱形状である。
【0049】
支持枠30の両長辺の両端部側面に水平方向に突出するピン37にはめられた案内ローラ31を設け、この案内ローラ31がレール36の内側にはまり込み自由に回転することにより、支持枠30を水平方向に移動自在としている。
【0050】
支持枠30の両短辺側面から外方に突出し、支持枠30に固定した一対の軸32を設ける。支持枠30の中央部に両短辺側面と同様な一対の支持板33を所定間隔で設ける。
【0051】
支持枠30の片側短辺側面(実施例では図1の上方)から外方に一対のバルブ枠34を設け、一対のバルブ枠34の下端を連結するバルブ底枠35を設ける。
【0052】
支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設ける。
【0053】
腕杆42の正面視の形状は、苗補給可動台21が上昇した状態で、苗載台4の下方に位置する支持枠30側から略水平な支持枠30の軸32に回転自在にはまり込む水平部と、苗載台4の苗Pを補給する側端側から上方に斜めな斜部と、苗補給可動台21側先端の斜部より傾斜が緩い先端部とする。この腕杆42の先端部に、苗補給可動台21の軸24が回転自在にはまり込む。
【0054】
苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載する際には、一方の腕杆42の斜部が固定係止板5のいずれかの突起に引っ掛かって支持枠30の移動を固定する。また、苗補給可動台21を下降させて苗Pを苗供給装置10に補給する際には、一方の腕杆42の斜部が可動係止板6の側端に引っ掛かった腕杆42'状態として、支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定する。この移動端で、苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置する。
【0055】
支持枠30の下方で、腕杆42の水平部の下方に両腕杆42を連結固定して同一角度に回転させる、角パイプ状の連結枠41を設ける。腕杆42の先端部の上方に一対の持手43を設ける。バルブ枠34を設けた側の腕杆42の斜部側の水平部の下方に係止片44を設け、係止片44に突出高さが調節自在な係止螺子45を設ける。
【0056】
腕杆42内の支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、腕杆42内の苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせる。
【0057】
このことにより、腕杆42の回転により支持枠30の鎖車46は回転しないが苗補給可動台21の鎖車47が鎖48により回され、苗補給可動台21の上下動によりその角度が変わるから、苗載台4と苗供給装置10の角度が異なっても苗Pを苗供給装置10の傾斜に合わせて補給できる。また、苗補給可動台21の上昇位置である苗載台4からの苗P受入状態で苗補給可動台21を後傾姿勢とすることにより、苗運搬容器Cを滑り落すようにして苗Pを受け入れることができる。
【0058】
実施例では、支持枠30の鎖車46の歯数を21枚、苗補給可動台21の鎖車47の歯数を14枚とし、腕杆42が約44度回転して苗補給可動台21が約34cm上下動し、苗補給可動台21の上昇位置で苗運搬容器Cの背板側が約10度下がる後傾姿勢とし、苗補給可動台21の下降位置で苗運搬容器Cの開口部側が約10度下がる前傾姿勢とした。
【0059】
支持枠30の両短辺側面と支持板33の間の下方で、一対の腕杆42を連結固定する連結枠41にバネ掛腕51を設けボルト52で連結枠41に固定する。支持枠30の底面にバネ掛片54を設け、バネ掛腕51の先端のピン53と支持枠30側のバネ掛片54の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設ける。
【0060】
引張バネ50は、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとする。
【0061】
また、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で、引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにし、引張バネ50の引張力がほぼ軸32にのみ加わるようにする。
【0062】
このことにより、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる力がほぼ無くなるから、苗補給可動台21が苗運搬容器Cを持ち上げることなく苗運搬容器Cが苗Pの底面から確実に離れる。
【0063】
支持枠30の中央部下方に、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構としてのシリンダー61を設ける。
【0064】
支持枠30の中央部の一対の支持板33から、苗補給可動台21の方向に突出した板である一対の取付板62を設け、シリンダー61の筒の一端に設けた取付座板63と取付板62先端部をピン64で回転自在に固定する。
【0065】
シリンダー61は、その軸61aが両端に突出し、軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダーとする。また、腕杆42が上方に回転した苗Pの受入状態で、シリンダー61の軸61aがほぼ水平となるようにする。実施例では油圧シリンダー61とした。
【0066】
シリンダー61の軸61aの苗補給可動台21と反対方向の先端に連結金具65を固定する。連結枠41には苗補給可動台21と反対方向の上方に二枚の連結枠金具41aを固定する。連結金具65は平面視がコの字状の板で、その両端の孔と連結枠金具41aの先端の孔を両者が自由に回転するようボルト66で固定する。
【0067】
シリンダー61の筒の外周に二個のニップル67を設け、苗補給可動台21方向のニップル67にホース71を連結し、苗補給可動台21と反対方向のニップル67にホース72を連結する。
【0068】
図13に示すように、腕杆42が下方に回転するとシリンダー61の軸61aは苗補給可動台21と反対方向に突出してホース72から油が吐出する。また、腕杆42が上方に回転するとシリンダー61の軸61aは苗補給可動台21の方向に突出してホース71から油が吐出する。
【0069】
減衰機構としてのシリンダー61を、バルブ機構部70の開度が徐々に可変なバルブ77と液密に連結する。
【0070】
バルブ機構部70は、支持枠30の外方に設けたバルブ枠34とバルブ底枠35に固定される。
【0071】
バルブ機構部70の液密な減衰機構とは、ループ状の閉鎖管路に満杯に油を充填し、その管路内に開度が可変なバルブ77を設けたものである。つまり、バルブ77を閉じると油が流れることができずにシリンダー61の軸61aが移動できず、バルブ77を全開に開くと油が自由に流れてシリンダー61の軸61aが自由に移動し、バルブ77を少し開くと狭い流路に油が抵抗を受けながら流れてシリンダー61の軸61aが抵抗を受けて移動する。
【0072】
バルブ機構部70には、ホース71側からエルボ73、短い連結管75、バルブ77、長い連結管76、エルボ74、ホース72と液密に連結する。短い連結管75と長い連結管76はバルブ枠34に固定される。
【0073】
バルブ77はボールバルブであり、その軸を下方に向け、平面視が略Lの字状のバルブ腕杆78を固定する。バルブ腕杆78にはその下方に垂直方向の軸78aを固定し、軸78aはバルブ底枠35に回転自在に固定される。つまり、バルブ腕杆78が水平面内を回転することにより、バルブ77が閉じたり開いたりする。図14に示すバルブ腕杆78の位置がバルブ77の全閉であり、図15に示すバルブ腕杆78の位置がバルブ77の全開である。
【0074】
バルブ腕杆78の一方の先端部に水平面内を自由に回転するローラ79を固定し、バルブ腕杆78のもう一方の先端部に細長い板である操作レバー81の一端を自由に回転するよう固定する。バルブ腕杆78の操作レバー81側先端部と、苗補給可動台21と反対方向のバルブ枠34の外方に設けたバネ掛片84の間に引張バネ83を掛け渡す。引張バネ83はバルブ77を閉じる方向にバルブ腕杆78を付勢する。
【0075】
苗補給可動台21方向のバルブ枠34の外方に平面視がコの字状の板であるレバー案内板82を固定し、レバー案内板82には水平方向の矩形の孔を開け、その孔に操作レバー81がその長手方向には自由に移動できるように挿入する。
【0076】
操作レバー81の中間部下面に矩形の板である固定板81aを固定する。図15に示すバルブ77の全開位置で操作レバー81の固定板81aはレバー案内板82の外方に位置し、操作レバー81の自重により落ち込み、固定板81aがレバー案内板82に引っ掛かることにより操作レバー81が引張バネ83に抗して戻らなくなる。つまり、操作レバー81を引くとバルブ77が全開となり、苗補給可動台21を自由に上下動でき、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構としてのシリンダー61となる。
【0077】
このことにより、苗補給可動台21を次の苗補給に備えるために上昇させる際には軽く上昇できる。
【0078】
腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21が苗Pの受入状態で、腕杆42の係止片44に設けた係止螺子45の頭が操作レバー81の裏面に接当し、操作レバー81が少し持ち上がった状態で腕杆42の上方への回転は止められる。また、固定板81aとレバー案内板82の引っ掛かりが解かれ、引張バネ83によりバルブ腕杆78が回転してバルブ77が全閉となり、苗補給可動台21の上下動が固定される。
【0079】
苗補給可動台21を苗供給装置10の往復移動の移動端で自動的に下降させる、下降動作機構90を苗載台4の一方の苗載台脚3(実施例では図1の上方)に設ける。
【0080】
下降動作機構90には、苗載台脚3の一本の角パイプ状柱に苗供給装置10と反対側から当る支点枠91と、苗供給装置10側から当る当板92を設け、支点枠91と当板92を苗載台脚3に押し付けて固定するボルト93を苗載台脚3の両側に設ける。
【0081】
苗載台脚3の苗供給装置10と反対側に正面視が略Zの字状の支点杆95を設け、支点杆95の中間の垂直部に略コの字状の板を固定し、その先端部の垂直方向の孔と支点枠91の垂直方向の孔にピン94を通して、支点杆95を水平方向面内で自由に回転するよう固定する。
【0082】
支点枠91の苗供給装置10と反対側には上方に突出した係止片91aを設け、支点杆95は係止片91aと苗載台脚3の間の所定角度だけ自由に回転する。また、支点杆95のピン94より苗補給可動台21側と当板92の間に引張バネ96を掛け渡し、支点杆95の苗補給可動台21側が苗供給装置10の方向に付勢されて係止片91aに当るようにする。
【0083】
支点杆95の苗補給可動台21側の先端部下方から水平方向に長い開度延長杆101を設ける。支点杆95の先端部の垂直方向の孔と開度延長杆101の一端の垂直方向の孔にピン97を通して、開度延長杆101を水平方向面内で自由に回転するよう固定する。
【0084】
支点杆95の開度延長杆101側で苗供給装置10の方向に係止ボルト98を設け、開度延長杆101が係止ボルト98に当り、支点杆95と開度延長杆101が平面視でなす角度が約90度以下とならないよう規制する。また、支点杆95の苗供給装置10の方向に、支点杆95と開度延長杆101の間に引張バネ105を掛け渡し、開度延長杆101の先端部が苗載台脚3の方向に付勢されて係止ボルト98に当るようにする。
【0085】
開度延長杆101の先端部下方から開度調整杆103を設ける。開度調整杆103は断面がコの字状の細長い板で、その開口の一部に開度延長杆101の先端部がはまり込む。開度調整杆103にはその長手方向の長孔を設け、開度延長杆101と開度調整杆103を合わせた長さを調整可能に固定する。
【0086】
開度調整杆103の先端部下方に水平面内を自由に回転する開度ローラ104を固定する。開度ローラ104は苗供給装置10の一側面の案内レール13に当る位置とする。
【0087】
支点杆95の開度延長杆101を取り付ける反対側端に逃げ腕杆106をそのなす角度を調節可能に固定する。逃げ腕杆106は平面視が円弧状の二枚の板であり、逃げ腕杆106の一端で支点杆95の先端部を挟んで固定される。逃げ腕杆106の円弧状の中心方向は苗供給装置10の方向とし、バルブ腕杆78の軸78aをかわすような配置としている。
【0088】
逃げ腕杆106の支点杆95を取り付ける反対側端に接当杆107をそのなす角度を調節可能に固定する。接当杆107は角パイプ状の細長い形状で、その中間部を逃げ腕杆106の先端部が挟んで固定される。逃げ腕杆106の苗供給装置10の方向の垂直面がバルブ腕杆78のローラ79に当る位置とする。
【0089】
苗供給装置10がその往復移動の移動端に達すると、案内レール13が開度ローラ104に当り支点杆95が回転し、接当杆107がローラ79に当り、バルブ腕杆78が約45度回転してバルブ77を半開し、苗補給可動台21が減衰機構としてのシリンダー61の抵抗を受けながら下降する。
【0090】
さらに苗供給装置10が移動すると、図18に示すように、支点杆95と開度延長杆101のなす角度が開いて、バルブ77の半開状態を継続する。つまり、所要の半開状態以上にバルブ77を開けないようにすることで、苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の下降に際して苗Pに落下衝撃を加えることがない。
【0091】
バルブ77の半開状態時間の調整は、開度延長杆101と開度調整杆103を合わせた長さを変えることにより行なう。また、バルブ77の半開状態角度の調整は逃げ腕杆106と支点杆95のなす角度、または接当杆107と逃げ腕杆106のなす角度を変えることにより行なう。
【0092】
次に、苗補給装置20の使用方法を説明する。
【0093】
まず、苗供給装置10の第1のベルト11上に苗Pおよび苗運搬容器Cが無く、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受入可能な状態から説明する。この、第1のベルト11上に苗Pおよび苗運搬容器Cが無い状態を、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態とする。
【0094】
苗補給可動台21の位置は苗補給可動台21を少し押し下げて腕杆42の斜部と固定係止板5の突起の引っ掛かりを解いて支持枠30を移動させて、移載する苗Pに合わせた位置に移動し、固定係止板5により固定する。
【0095】
苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを苗運搬容器Cに載せたまま、引き摺って手で持ち上げることなく移載する。このとき、重たい苗Pを移植機の苗載台4から持ち上げて苗供給装置10へ補給する必要がない。また、苗補給可動台21を任意の移動位置として苗載台4から苗補給可動台21に苗Pをゆっくりと移載できるから、素早く苗補給を行なう必要がない。
【0096】
また、バルブ77が全閉となっているから、苗補給可動台21の上下動が固定され、その高さに保持される。
【0097】
補給のための所定操作として、支持枠30を苗補給の所定位置に移動させる。つまり、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、一方の腕杆42の斜部が可動係止板6の側端に引っ掛かった腕杆42'状態として、支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定する。
【0098】
苗供給装置10がその往復移動の移動端に達すると、苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する。つまり、苗供給装置10の案内レール13が開度ローラ104に当り支点杆95が回転し、苗補給可動台21が減衰機構としてのシリンダー61の抵抗を受けながら下降する。
【0099】
第1のベルト11上に苗Pが移載され、苗運搬容器Cが苗Pの底面から離れる。このとき、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる力がほぼ無くなるから、苗補給可動台21が苗運搬容器Cを持ち上げることなく苗運搬容器Cが、苗補給可動台21や苗運搬容器Cの自重で苗Pの底面から確実に離れる。
【0100】
苗補給装置20は、苗供給装置10の往復移動方向と同じ方向に移動可能な支持枠30により、同時に往復移動し、第1のベルト11上の苗Pは移植機の進行により、順次第2のベルト12に移載する。
【0101】
第1のベルト11上の苗運搬容器Cの上に苗Pが無くなれば、操作レバー81を引いて苗補給可動台21の固定を解き、持手43を持って空の苗運搬容器Cごと引き上げる。
【0102】
腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21が苗Pの受入状態で、腕杆42の上方への回転は止められ、バルブ77が全閉となり苗補給可動台21の上下動が固定される。
【0103】
苗補給可動台21から空の苗運搬容器Cを降ろし、次の苗補給のため苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載し、同様の作業を繰り返す。
【0104】
本実施例の例外的な使用方法として、支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態、つまり一方の腕杆42の斜部が可動係止板6の側端に引っ掛かった腕杆42'状態として移動を固定してから、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載することも可能である。
【0105】
この場合、苗補給可動台21に苗Pを載せなければ、苗供給装置10が移動端に達してバルブ77が半開しても引張バネ50の力により苗補給可動台21が下がることは無い。苗供給装置10が移動端に達して離れてから次に移動端に達するまでの間に苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載する。この場合の補給のための所定操作とは、苗供給装置10が次に移動端に達するまでの間に苗補給可動台21に苗Pを移載し終えることとなる。
【0106】
以上の実施例では、苗Pとして紙筒育苗容器による紙筒苗を示したが、比較的重たい苗の固まりを移植に供するものであれば良い。
【0107】
また、補給のための所定操作として支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態を示したが、必ずしも支持枠30が移動しなければならないものではなく、苗供給装置が往復移動しない場合にはその上方に苗補給可動台21か位置すれば良い。また、所定操作として苗補給可動台21への移載の完了を示すものや、作業者が自分で判断してレバーを操作するものでも良い。
【0108】
また、減衰機構としてシリンダー61とバルブ77によるものを示したが、減衰機構は苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならないものであれば良い。
【0109】
また、開度が徐々に可変なバルブ77としてボールバルブによるものを示したが、開度が徐々に可変なバルブは全開と全閉しかないもので無ければ良く、スプールを移動させるものでも良い。
【0110】
また、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持するものとして減衰機構としてのシリンダー61とバルブ77を兼用した例を示したが、必ずしも兼用である必要は無く、別の保持手段を設けても良い。
【符号の説明】
【0111】
4 苗載台
10 苗供給装置
20 苗補給装置
21 苗補給可動台
24 軸
30 支持枠
32 軸
42 腕杆
46 鎖車
47 鎖車
48 鎖
50 引張バネ
61 減衰機構としてのシリンダー
61a 軸
77 バルブ
C 苗運搬容器
P 苗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗供給装置10の上方に苗供給装置10に補給する苗Pを載せ置く苗載台4を設けた移植機において、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する移植機の苗補給装置。
【請求項2】
苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けた請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項3】
軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構による請求項2記載の移植機の苗補給装置。
【請求項4】
苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせた請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項5】
苗Pは苗運搬容器Cに載せられ苗運搬容器Cを苗補給可動台21で保持する苗補給装置20において、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにした請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項6】
苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項7】
支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する請求項6記載の移植機の苗補給装置。
【請求項1】
苗供給装置10の上方に苗供給装置10に補給する苗Pを載せ置く苗載台4を設けた移植機において、苗載台4の側端と苗供給装置10の間を上下動する苗補給可動台21を設け、苗載台4から苗補給可動台21に苗Pを移載してその高さに保持し、所定操作後に苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する移植機の苗補給装置。
【請求項2】
苗補給可動台21の下降に際して抵抗となって下降速度を減速し、苗補給可動台21の上昇に際して抵抗とならない減衰機構61を設けた請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項3】
軸61aが両端に突出し軸61aの移動による吐出と吸込量が同一な両ロッドの複動型液体シリンダー61と、開度が徐々に可変なバルブ77を液密に連結した減衰機構による請求項2記載の移植機の苗補給装置。
【請求項4】
苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出し支持枠30に固定した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出し苗補給可動台21に固定した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、支持枠30の軸32に回転不能に鎖車46をはめ込み、苗補給可動台21の軸24に回転不能に鎖車47をはめ込み、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の間に柔軟な輪状の鎖48を緩み無く掛け渡し、支持枠30の鎖車46と苗補給可動台21の鎖車47の歯数を異ならせた請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項5】
苗Pは苗運搬容器Cに載せられ苗運搬容器Cを苗補給可動台21で保持する苗補給装置20において、苗載台4の下方に支持枠30を設け、支持枠30の両側に外方に突出した軸32を設け、苗補給可動台21の両側に外方に突出した軸24を設け、支持枠30の軸32と苗補給可動台21の軸24の間に渡り各々に回転自在にはまり込む一対の腕杆42を設け、腕杆42と支持枠30の間に腕杆42を上方に回転させる方向に付勢させる引張バネ50を設け、腕杆42が上方に回転した苗補給可動台21の苗載台4からの苗P受入状態から腕杆42が下方に回転する間で、苗補給可動台21に受け入れた苗Pの重さにより引張バネ50が伸びる強さとし、腕杆42が下方に回転した苗補給可動台21の苗供給装置10への苗補給状態で引張バネ50の中心線が支持枠30の軸32芯にほぼ重なるようにした請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項6】
苗載台4の下方に水平方向に移動自在な支持枠30を設け、支持枠30と苗補給可動台21の間に渡る回転自在な腕杆42を設け、腕杆42が上方に回転し苗補給可動台21に苗Pを受け入れた状態で支持枠30を苗補給の所定位置に移動させ、苗供給装置10が苗Pを受け入れ可能な状態になった後に所定操作により苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する請求項1記載の移植機の苗補給装置。
【請求項7】
支持枠30の少なくとも片方の移動端で苗供給装置10の往復移動の移動端上方に苗補給可動台21が位置するようにし、苗補給可動台21が下降する所定操作が支持枠30をその移動端に寄せて移動を固定した状態であり、苗供給装置10がその往復移動の移動端に達することで苗補給可動台21が下降して苗Pを苗供給装置10に補給する請求項6記載の移植機の苗補給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−223901(P2011−223901A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94795(P2010−94795)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000137063)株式会社ホクエイ (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000137063)株式会社ホクエイ (29)
【Fターム(参考)】
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