移植機
【課題】
夜間の植付作業時において、機体への乗降位置となる機体前側部、及び座席側方からの機体への乗降や、機体前方からの機体上への供給、そして、走行機体上から植付作業機の苗載せ台への苗の補充等を安全、且つ容易に行える乗用型移植機を得る。
【解決手段】
走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台備えた予備苗載せ台の支持フレームの上部に走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設ける。
苗載せ台の苗載置面上側部に、苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設ける。
植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設ける。
夜間の植付作業時において、機体への乗降位置となる機体前側部、及び座席側方からの機体への乗降や、機体前方からの機体上への供給、そして、走行機体上から植付作業機の苗載せ台への苗の補充等を安全、且つ容易に行える乗用型移植機を得る。
【解決手段】
走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台備えた予備苗載せ台の支持フレームの上部に走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設ける。
苗載せ台の苗載置面上側部に、苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設ける。
植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業灯を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体上部に機体前方を照らす前照灯とは別に作業灯を備えた移植機が知られている。(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−320234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のものは、機体の前後方向を照らす前向き作業灯66と後向き作業灯67を、運転部を覆う雨除けガード60の天井部63の上方に備えたものであり、高位置から機体の前後方向遠方を照らすには有利であるが、機体上、及びその近接位置を照らすことが困難であり、夜間の植付作業時における機体への乗降位置となる機体前側部、及び座席側方からの機体への乗降や、機体前方からの機体上への供給、そして、走行機体上から植付作業機の苗載せ台への苗の補充等が困難であった。
また、後向き作業灯が植付位置から離間した位置に配置されているため、圃場の既植面を照らすのが困難であり、夜間作業における欠株の確認、既植苗の状態の確認等を容易に行うことできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結し、走行機体の前部に立設した操作パネル部の後方に座席を配置し、該操作パネル部と座席との間に備えたフロアステップの両側部に一段低い乗降用ステップを設ける一方、前記操作パネル部の左右両側に前部ステップを設けた乗用型移植機において、走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設けたことを第一の特徴としている。
【0006】
また、走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台の支持フレームを立設し、該予備苗載せ台の支持フレームの上部に前記作業灯を設けたことを第二の特徴とする。
【0007】
さらに、苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、苗載せ台の左右側端上部に、苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設けたことを第三の特徴とする。
【0008】
そして、苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設けたことを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設けたので、一つの作業灯で乗降ステップと前部ステップの両方を照らすことができ、一つの作業灯を設けるだけで走行機体の前方、及び側方の2方向からの機体への乗降が安全に行える。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台の支持フレームを立設し、該予備苗載せ台の支持フレームの上部に前記作業灯を設けたので、機体への乗降口を上方から照らす作業灯を設けるにあたり、別途支持部材を高く立設する必要がなく、走行機体上の歩行を妨げることなく低コストで作業灯を設けることができる。
また、予備苗載せ台も同時に照らすことができ、苗補給時の予備苗の取扱いが容易に行える。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、苗載せ台の左右側端上部に苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設けたので、作業灯が苗載せ台への予備苗の供給を妨げることなく苗載せ台上の苗の確認を容易にすることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設けたので、夜間でも欠株の確認、既植苗の状態の確認等を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は移植機である乗用型田植機の全体側面図、図2は全体平面図、及び図3は全体斜視図である。この乗用型田植機1は、左右一対の前輪2及び後輪3に支持された走行機体4を有している。
【0014】
そして、走行機体4の前部には、操作パネル部5が立設しており、ボンネット6で覆われるエンジンが搭載されると共に、ステアリングホイール7、運転操作パネル8、及び主変速レバー(HSTレバー)9等を備えている。また、該操作パネル部5の後方には座席10を設け、操作パネル部5と座席10の間には床面を形成するフロアステップ11が設け、その機体外側方にはフロアステップ11よりも一段低い乗降ステップ12,12を設けており、走行機体4側方からの乗降を容易にしている。
【0015】
また、操作パネル部5の左右には機体前方からの機体への乗降を可能とする前部ステップ13,13を設けており、該前部ステップ13,13を形成する機体カバー14は、その左右前端部に走行機体4の前方を照らす前照灯15,15を備えている。
尚、座席10後方の左右両側には、前記フロアステップ11より一段高い平坦な苗供給用ステップ16,16が形成されている。
【0016】
操作パネル部5の左右両側に形成されている前部ステップ13,13の後部下方には、走行機体4から外側方に延出させの延出端部を上方に屈曲して立設した前後一対の支柱17,17を中途部と上部で連結した側面視ループ形状の予備苗載せ台支持フレーム18,18を立設しており、該予備苗載せ台支持フレーム18,18の機体外方部には多段の予備苗載せ台19・・・が設けられている。
【0017】
また、走行機体4の後部には、昇降リンク機構20を介して植付作業機21が昇降自在に連結されている。該植付作業機21は、昇降リンク機構20の後端部に連結されるリンクホルダ22と、該リンクホルダ22にローリング自在に連結される植付フレーム23と、該植付フレーム23の上方に傾斜姿勢で設けられ仕切り壁24aより仕切られた複数の苗載置面24bを備える苗載せ台24と、該苗載せ台24の下端部に沿って設けられるエプロン25と、上記植付フレーム23に支持され、複数のプランタケース26,26,26の後部に植付杆27・・・を備える植付装置28,28,28と、前記プランターケース26,26,26の底部に上下揺動自在に設けられるフロート29,29,29とを備えて構成されており、移植作業時においては、前記植付装置28,28,28の植付杆2
7・・・がエプロン25の掻取り口30を介して苗載せ台24の各苗載置面24b・・・の下端部から苗を掻取ると共に、これを圃場に移植するように動作される。
【0018】
図中、符号31,31は前部ステップ13,13、及び乗降ステップ12,12を上方から照らす乗降作業灯であり、側面視で前記予備苗載せ台フレーム18,18の頂部で、且つ後端部に支持部材32,32を介して設けられている。一方、平面視では左右の乗降作業灯が夫々前記左右の予備苗載せ台支持フレーム18,18の機体内方側に位置するように設けられている。
【0019】
また、当該乗降作業灯31,31は図1、及び図2に矢印で示すように上方から下向きに、且つ、平面視で360度放射方向に光を照射し、一つの作業灯で前部ステップ13、乗降ステップ12、及び予備苗載せ台19・・・が照らし出されるので、走行機体4の前方、及び側方の二方向からの乗降が安全に行え、また、別途支持部材を高く立設する必要がなく、走行機体4上の歩行を妨げることなく低コストで作業灯を設けることができ、また、予備苗載せ台19・・・も同時に照らすことができて苗補給時の予備苗の取扱いがように行える。
【0020】
走行機体4後部の植付作業機21の苗載せ台24には、その左右両端の仕切り壁24a,24aに支持部材33,33を立設し、該支持部材33,33の先端に苗載せ台24の苗載置面24bを上方から照らす苗補給作業灯34,34を、図中に矢印で示すように機体内下方に向けて光を照射するように設けている。
【0021】
このように、苗載せ台24の左右側端上部に苗載せ台24の苗載せ面24b・・・を上方から照らす作業灯を設けたので、左右の苗補給作業灯34,34により苗載せ台24上の全条のマット苗が照らし出され、苗載せ台24上の苗の確認を容易にすることができ、また苗補給作業灯34,34は苗載せ台24の左右側端部に設けられているので、走行機体4から苗載せ台24への予備苗の供給を妨げない。
【0022】
また、前記植付作業機21の後端部には、その直後方の圃場の既植面を照らす植付作業灯35を設けている。
詳述すると、図1、及び図2に示すように、前記複数のプランターケース26,26,26の後端部には、各プランターケース26,26,26を連結して支持強度を確保すると共に、薬剤散布機等の補助作業機を取り付け可能なサブフレーム36が設けられており、当該サブフレーム36に支持ステー37を介して植付作業灯35を植付作業機21の後端部に取り付けている。
【0023】
該植付作業灯35は、図中に矢印で示すように植付作業機21の直後方の圃場の既植面を照らし、夜間でも欠株の確認、既植苗の状態の確認等を容易に行うことができる。
また、植付作業機21の後端部に取り付けているため、当該植付作業灯35、及び支持ステー37が前述の走行機体4からの苗載せ台24への予備苗の供給を妨げることなく、また、植付作業灯35の圃場面への光の照射が他部材に遮られることもない。
【0024】
一方、図4に示すように、前記操作パネル部5の運転操作パネル8には、前消灯15,15を操作する前照灯操作部38aと、その他の作業灯を操作する作業灯操作部38bを備えたコンビネーションスイッチ38が設けられている。
前照灯操作部38aはON/OFFの二位置に切り替え操作自在であり、前消灯15,15の点灯、及び消灯を切換える。
作業灯操作部38bは各作業灯31,31,34,34,35を全て消灯するOFF位置と、全て点灯するON位置と、及び機体の走行状態、走行停止状態の切り替えに応じて不要なものを消灯するAUTO位置との三位置に切り替え自在に構成されている。
【0025】
また、前記操作パネル部5のよりも右外方のフロアステップ11上には、図5に示すように、踏み込み操作によりクラッチ操作機構39を介して主クラッチを切って機体の走行伝動、及び作業機伝動を断つと共に、ブレーキ操作機構40を介して車輪2,2,3,3を制動する、機体停止ペダル41が立設しており、該機体停止ペダル41の操作軸42近傍には該機体停止ペダル41の踏み込みを検出する操作検出スイッチ43が設けられている。
【0026】
そして、図6に示すように、前記前照灯操作部38a、作業灯操作部38b、及び検出スイッチ43から入力により制御部44を介して前照灯15,15、及び各作業灯31,31,34,34,35の点灯/消灯を行うように構成されている。
【0027】
詳述すると、入力前記作業灯操作部38bが前記AUTO位置に操作されている場合には、前記検出スイッチ43により機体停止ペダルが操作されていることを検出すると、機体が停止している状態として、制御部44を介して前記乗降作業灯31,31、及び苗補給作業灯34,34作業灯を点灯させて、走行機体4への乗降、及び予備苗の供給が安全、且つ容易に行えるようにし、前照灯15,15、及び植付作業灯35を消灯する。
このとき、ロック部材45によって機体停止ペダル41を踏み込み位置で係止すると、伝動を断ち、駐車ブレーキを掛けた状態で機体への乗降や、予備苗の補給を作業灯に照らされながら安全に行うことができる。
【0028】
一方、機体停止ペダル41が操作されていないときは、機体が走行している(または走行しようとしている)状態として前照灯15,15、及び植付作業灯35を点灯させて、機体の前方確認、及び植付走行中の欠株、又は既植苗の確認が容易に行えるようにし、乗降作業灯31,31、及び苗補給作業灯34,34を消灯する。
以上のように、各種作業灯を備えたものにおいて、機体停止時には乗降用、及び苗補給用の作業灯のみを点灯させ、機体走行時には機体の前後を照らす照明のみを点灯させるので、作業者がその都度照明を選択して点灯・消灯操作をすることなく、自動的に機体状況に応じた照明のみ点灯させて消費電力を抑えることができる。
【0029】
尚、機体の走行停止状態の検出は、ロック部材45による機体停止ペダル41の係止状態の検出、又は主変速レバー9(HSTレバー)等の変速操作具の停止操作位置の検出で行っても良い。
(第2実施形態)
図7,及び図8に示す移植機1は本発明の第2実施形態を示すものであり、苗供給用ステップ16,16と座席10の間の機体カバー46の立ち上がり部に、図中に矢印で示すように側面視で前下方に、平面視で前外方向けて光を照射するように乗降作業灯31,31を設けている。
【0030】
本実施形態のものは、座席10と左右の苗供給用ステップ16,16との間の空間に作業灯を設けたことにより、乗降作業灯31,31が走行機体4上の歩行を妨げることなく、機体前方、及び側方の乗降口、並びに機体前部の予備苗載せ台19・・・を照らすことができる。
【0031】
また、植付作業機21の後端部にカメラ47を設ける一方、モニタ48を前記運転操作パネル8に設け、植付作業機21の後方を作業者が運転操作パネル8上で視認できるように構成されている。
【0032】
前記カメラ47は図7、図8、及び図9に示すように、該カメラ47の撮像範囲を照らす後方作業灯49と共に、前記第1実施形態の植付作業灯35と同様、各プランターケー
ス26,26,26を連結するサブフレーム36に支持ステー54を介して植付作業機21の後端部に取り付けており、カメラ47、後方作業灯49及びその支持ステー54が苗載せ台24への苗補給の際に邪魔になることはない。
【0033】
また、該カメラ47によって撮影された画像は左右反転され運転操作パネル8のモニタ48に表示され、作業者はバックミラーを視認する感覚で植付作業機21後方の状態を振り向くことなく容易に確認することができる。
【0034】
さらに、カメラ47は苗載せ台24の高さ幅の中央よりも下方に位置するように取り付けられており、前記植付杆27・・・や、エプロン25近傍の高さに位置しており、図9に実線で示すように、植付作業機21が接地しているときには、植付杆27・・・後方の既植苗の状態をその撮像範囲に良好に収めて欠株や既植苗の確認を容易に行うことができ、仮想線で示すように、植付作業機21が上昇しているとき、即ち、移動走行時や車庫入れ時等には、乗用田植機1で最も後方に位置する植付杆27・・・の周囲や、最も両側に張り出すエプロン25近傍の状態を良好に確認することができ、乗用型移植機1の障害物との衝突を未然に避けることができる。
【0035】
尚、前記後方作業灯49は、図7、及び図8中に仮想線で示すように、前記苗載せ台の左右両端の仕切り壁に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態の乗用型田植機の全体側面図。
【図2】同上全体平面図。
【図3】同上全体斜視図。
【図4】運転操作パネルを示す平面図。
【図5】(a)機体停止ペダル、クラッチ操作機構、及びブレーキ操作機構を示す平面図。 (b)同上要部側面図。
【図6】作業灯の点灯制御を示すブロック図。
【図7】第2実施形態の乗用型田植機の全体側面図。
【図8】同上全体平面図。
【図9】同上要部側面図。
【符号の説明】
【0037】
4 走行機体
5 操作パネル部
10 座席
12 乗降ステップ
13 前部ステップ
18 予備苗載せ台支持フレーム
19 予備苗載せ台
21 植付作業機
24 苗載せ台
31 乗降作業灯
34 苗補給作業灯
35 植付作業灯
47 カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業灯を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体上部に機体前方を照らす前照灯とは別に作業灯を備えた移植機が知られている。(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−320234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のものは、機体の前後方向を照らす前向き作業灯66と後向き作業灯67を、運転部を覆う雨除けガード60の天井部63の上方に備えたものであり、高位置から機体の前後方向遠方を照らすには有利であるが、機体上、及びその近接位置を照らすことが困難であり、夜間の植付作業時における機体への乗降位置となる機体前側部、及び座席側方からの機体への乗降や、機体前方からの機体上への供給、そして、走行機体上から植付作業機の苗載せ台への苗の補充等が困難であった。
また、後向き作業灯が植付位置から離間した位置に配置されているため、圃場の既植面を照らすのが困難であり、夜間作業における欠株の確認、既植苗の状態の確認等を容易に行うことできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結し、走行機体の前部に立設した操作パネル部の後方に座席を配置し、該操作パネル部と座席との間に備えたフロアステップの両側部に一段低い乗降用ステップを設ける一方、前記操作パネル部の左右両側に前部ステップを設けた乗用型移植機において、走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設けたことを第一の特徴としている。
【0006】
また、走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台の支持フレームを立設し、該予備苗載せ台の支持フレームの上部に前記作業灯を設けたことを第二の特徴とする。
【0007】
さらに、苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、苗載せ台の左右側端上部に、苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設けたことを第三の特徴とする。
【0008】
そして、苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設けたことを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設けたので、一つの作業灯で乗降ステップと前部ステップの両方を照らすことができ、一つの作業灯を設けるだけで走行機体の前方、及び側方の2方向からの機体への乗降が安全に行える。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台の支持フレームを立設し、該予備苗載せ台の支持フレームの上部に前記作業灯を設けたので、機体への乗降口を上方から照らす作業灯を設けるにあたり、別途支持部材を高く立設する必要がなく、走行機体上の歩行を妨げることなく低コストで作業灯を設けることができる。
また、予備苗載せ台も同時に照らすことができ、苗補給時の予備苗の取扱いが容易に行える。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、苗載せ台の左右側端上部に苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設けたので、作業灯が苗載せ台への予備苗の供給を妨げることなく苗載せ台上の苗の確認を容易にすることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設けたので、夜間でも欠株の確認、既植苗の状態の確認等を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は移植機である乗用型田植機の全体側面図、図2は全体平面図、及び図3は全体斜視図である。この乗用型田植機1は、左右一対の前輪2及び後輪3に支持された走行機体4を有している。
【0014】
そして、走行機体4の前部には、操作パネル部5が立設しており、ボンネット6で覆われるエンジンが搭載されると共に、ステアリングホイール7、運転操作パネル8、及び主変速レバー(HSTレバー)9等を備えている。また、該操作パネル部5の後方には座席10を設け、操作パネル部5と座席10の間には床面を形成するフロアステップ11が設け、その機体外側方にはフロアステップ11よりも一段低い乗降ステップ12,12を設けており、走行機体4側方からの乗降を容易にしている。
【0015】
また、操作パネル部5の左右には機体前方からの機体への乗降を可能とする前部ステップ13,13を設けており、該前部ステップ13,13を形成する機体カバー14は、その左右前端部に走行機体4の前方を照らす前照灯15,15を備えている。
尚、座席10後方の左右両側には、前記フロアステップ11より一段高い平坦な苗供給用ステップ16,16が形成されている。
【0016】
操作パネル部5の左右両側に形成されている前部ステップ13,13の後部下方には、走行機体4から外側方に延出させの延出端部を上方に屈曲して立設した前後一対の支柱17,17を中途部と上部で連結した側面視ループ形状の予備苗載せ台支持フレーム18,18を立設しており、該予備苗載せ台支持フレーム18,18の機体外方部には多段の予備苗載せ台19・・・が設けられている。
【0017】
また、走行機体4の後部には、昇降リンク機構20を介して植付作業機21が昇降自在に連結されている。該植付作業機21は、昇降リンク機構20の後端部に連結されるリンクホルダ22と、該リンクホルダ22にローリング自在に連結される植付フレーム23と、該植付フレーム23の上方に傾斜姿勢で設けられ仕切り壁24aより仕切られた複数の苗載置面24bを備える苗載せ台24と、該苗載せ台24の下端部に沿って設けられるエプロン25と、上記植付フレーム23に支持され、複数のプランタケース26,26,26の後部に植付杆27・・・を備える植付装置28,28,28と、前記プランターケース26,26,26の底部に上下揺動自在に設けられるフロート29,29,29とを備えて構成されており、移植作業時においては、前記植付装置28,28,28の植付杆2
7・・・がエプロン25の掻取り口30を介して苗載せ台24の各苗載置面24b・・・の下端部から苗を掻取ると共に、これを圃場に移植するように動作される。
【0018】
図中、符号31,31は前部ステップ13,13、及び乗降ステップ12,12を上方から照らす乗降作業灯であり、側面視で前記予備苗載せ台フレーム18,18の頂部で、且つ後端部に支持部材32,32を介して設けられている。一方、平面視では左右の乗降作業灯が夫々前記左右の予備苗載せ台支持フレーム18,18の機体内方側に位置するように設けられている。
【0019】
また、当該乗降作業灯31,31は図1、及び図2に矢印で示すように上方から下向きに、且つ、平面視で360度放射方向に光を照射し、一つの作業灯で前部ステップ13、乗降ステップ12、及び予備苗載せ台19・・・が照らし出されるので、走行機体4の前方、及び側方の二方向からの乗降が安全に行え、また、別途支持部材を高く立設する必要がなく、走行機体4上の歩行を妨げることなく低コストで作業灯を設けることができ、また、予備苗載せ台19・・・も同時に照らすことができて苗補給時の予備苗の取扱いがように行える。
【0020】
走行機体4後部の植付作業機21の苗載せ台24には、その左右両端の仕切り壁24a,24aに支持部材33,33を立設し、該支持部材33,33の先端に苗載せ台24の苗載置面24bを上方から照らす苗補給作業灯34,34を、図中に矢印で示すように機体内下方に向けて光を照射するように設けている。
【0021】
このように、苗載せ台24の左右側端上部に苗載せ台24の苗載せ面24b・・・を上方から照らす作業灯を設けたので、左右の苗補給作業灯34,34により苗載せ台24上の全条のマット苗が照らし出され、苗載せ台24上の苗の確認を容易にすることができ、また苗補給作業灯34,34は苗載せ台24の左右側端部に設けられているので、走行機体4から苗載せ台24への予備苗の供給を妨げない。
【0022】
また、前記植付作業機21の後端部には、その直後方の圃場の既植面を照らす植付作業灯35を設けている。
詳述すると、図1、及び図2に示すように、前記複数のプランターケース26,26,26の後端部には、各プランターケース26,26,26を連結して支持強度を確保すると共に、薬剤散布機等の補助作業機を取り付け可能なサブフレーム36が設けられており、当該サブフレーム36に支持ステー37を介して植付作業灯35を植付作業機21の後端部に取り付けている。
【0023】
該植付作業灯35は、図中に矢印で示すように植付作業機21の直後方の圃場の既植面を照らし、夜間でも欠株の確認、既植苗の状態の確認等を容易に行うことができる。
また、植付作業機21の後端部に取り付けているため、当該植付作業灯35、及び支持ステー37が前述の走行機体4からの苗載せ台24への予備苗の供給を妨げることなく、また、植付作業灯35の圃場面への光の照射が他部材に遮られることもない。
【0024】
一方、図4に示すように、前記操作パネル部5の運転操作パネル8には、前消灯15,15を操作する前照灯操作部38aと、その他の作業灯を操作する作業灯操作部38bを備えたコンビネーションスイッチ38が設けられている。
前照灯操作部38aはON/OFFの二位置に切り替え操作自在であり、前消灯15,15の点灯、及び消灯を切換える。
作業灯操作部38bは各作業灯31,31,34,34,35を全て消灯するOFF位置と、全て点灯するON位置と、及び機体の走行状態、走行停止状態の切り替えに応じて不要なものを消灯するAUTO位置との三位置に切り替え自在に構成されている。
【0025】
また、前記操作パネル部5のよりも右外方のフロアステップ11上には、図5に示すように、踏み込み操作によりクラッチ操作機構39を介して主クラッチを切って機体の走行伝動、及び作業機伝動を断つと共に、ブレーキ操作機構40を介して車輪2,2,3,3を制動する、機体停止ペダル41が立設しており、該機体停止ペダル41の操作軸42近傍には該機体停止ペダル41の踏み込みを検出する操作検出スイッチ43が設けられている。
【0026】
そして、図6に示すように、前記前照灯操作部38a、作業灯操作部38b、及び検出スイッチ43から入力により制御部44を介して前照灯15,15、及び各作業灯31,31,34,34,35の点灯/消灯を行うように構成されている。
【0027】
詳述すると、入力前記作業灯操作部38bが前記AUTO位置に操作されている場合には、前記検出スイッチ43により機体停止ペダルが操作されていることを検出すると、機体が停止している状態として、制御部44を介して前記乗降作業灯31,31、及び苗補給作業灯34,34作業灯を点灯させて、走行機体4への乗降、及び予備苗の供給が安全、且つ容易に行えるようにし、前照灯15,15、及び植付作業灯35を消灯する。
このとき、ロック部材45によって機体停止ペダル41を踏み込み位置で係止すると、伝動を断ち、駐車ブレーキを掛けた状態で機体への乗降や、予備苗の補給を作業灯に照らされながら安全に行うことができる。
【0028】
一方、機体停止ペダル41が操作されていないときは、機体が走行している(または走行しようとしている)状態として前照灯15,15、及び植付作業灯35を点灯させて、機体の前方確認、及び植付走行中の欠株、又は既植苗の確認が容易に行えるようにし、乗降作業灯31,31、及び苗補給作業灯34,34を消灯する。
以上のように、各種作業灯を備えたものにおいて、機体停止時には乗降用、及び苗補給用の作業灯のみを点灯させ、機体走行時には機体の前後を照らす照明のみを点灯させるので、作業者がその都度照明を選択して点灯・消灯操作をすることなく、自動的に機体状況に応じた照明のみ点灯させて消費電力を抑えることができる。
【0029】
尚、機体の走行停止状態の検出は、ロック部材45による機体停止ペダル41の係止状態の検出、又は主変速レバー9(HSTレバー)等の変速操作具の停止操作位置の検出で行っても良い。
(第2実施形態)
図7,及び図8に示す移植機1は本発明の第2実施形態を示すものであり、苗供給用ステップ16,16と座席10の間の機体カバー46の立ち上がり部に、図中に矢印で示すように側面視で前下方に、平面視で前外方向けて光を照射するように乗降作業灯31,31を設けている。
【0030】
本実施形態のものは、座席10と左右の苗供給用ステップ16,16との間の空間に作業灯を設けたことにより、乗降作業灯31,31が走行機体4上の歩行を妨げることなく、機体前方、及び側方の乗降口、並びに機体前部の予備苗載せ台19・・・を照らすことができる。
【0031】
また、植付作業機21の後端部にカメラ47を設ける一方、モニタ48を前記運転操作パネル8に設け、植付作業機21の後方を作業者が運転操作パネル8上で視認できるように構成されている。
【0032】
前記カメラ47は図7、図8、及び図9に示すように、該カメラ47の撮像範囲を照らす後方作業灯49と共に、前記第1実施形態の植付作業灯35と同様、各プランターケー
ス26,26,26を連結するサブフレーム36に支持ステー54を介して植付作業機21の後端部に取り付けており、カメラ47、後方作業灯49及びその支持ステー54が苗載せ台24への苗補給の際に邪魔になることはない。
【0033】
また、該カメラ47によって撮影された画像は左右反転され運転操作パネル8のモニタ48に表示され、作業者はバックミラーを視認する感覚で植付作業機21後方の状態を振り向くことなく容易に確認することができる。
【0034】
さらに、カメラ47は苗載せ台24の高さ幅の中央よりも下方に位置するように取り付けられており、前記植付杆27・・・や、エプロン25近傍の高さに位置しており、図9に実線で示すように、植付作業機21が接地しているときには、植付杆27・・・後方の既植苗の状態をその撮像範囲に良好に収めて欠株や既植苗の確認を容易に行うことができ、仮想線で示すように、植付作業機21が上昇しているとき、即ち、移動走行時や車庫入れ時等には、乗用田植機1で最も後方に位置する植付杆27・・・の周囲や、最も両側に張り出すエプロン25近傍の状態を良好に確認することができ、乗用型移植機1の障害物との衝突を未然に避けることができる。
【0035】
尚、前記後方作業灯49は、図7、及び図8中に仮想線で示すように、前記苗載せ台の左右両端の仕切り壁に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態の乗用型田植機の全体側面図。
【図2】同上全体平面図。
【図3】同上全体斜視図。
【図4】運転操作パネルを示す平面図。
【図5】(a)機体停止ペダル、クラッチ操作機構、及びブレーキ操作機構を示す平面図。 (b)同上要部側面図。
【図6】作業灯の点灯制御を示すブロック図。
【図7】第2実施形態の乗用型田植機の全体側面図。
【図8】同上全体平面図。
【図9】同上要部側面図。
【符号の説明】
【0037】
4 走行機体
5 操作パネル部
10 座席
12 乗降ステップ
13 前部ステップ
18 予備苗載せ台支持フレーム
19 予備苗載せ台
21 植付作業機
24 苗載せ台
31 乗降作業灯
34 苗補給作業灯
35 植付作業灯
47 カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結し、走行機体の前部に立設した操作パネル部の後方に座席を配置し、該操作パネル部と座席との間に備えたフロアステップの両側部に一段低い乗降用ステップを設ける一方、前記操作パネル部の左右両側に前部ステップを設けた乗用型移植機において、走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設けたことを特徴とする乗用型移植機。
【請求項2】
走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台の支持フレームを立設し、該予備苗載せ台の支持フレームの上部に前記作業灯を設けたことを特徴とする請求項1に記載の乗用型移植機。
【請求項3】
苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、苗載せ台の左右側端上部に、苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設けたことを特徴とする乗用型移植機。
【請求項4】
苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項1】
苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結し、走行機体の前部に立設した操作パネル部の後方に座席を配置し、該操作パネル部と座席との間に備えたフロアステップの両側部に一段低い乗降用ステップを設ける一方、前記操作パネル部の左右両側に前部ステップを設けた乗用型移植機において、走行機体の前側部に前記前部ステップ、及び乗降ステップを上方から照らす作業灯を設けたことを特徴とする乗用型移植機。
【請求項2】
走行機体の前側部で且つ前記前部ステップの外側方に予備苗載せ台の支持フレームを立設し、該予備苗載せ台の支持フレームの上部に前記作業灯を設けたことを特徴とする請求項1に記載の乗用型移植機。
【請求項3】
苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、苗載せ台の左右側端上部に、苗載せ台の苗載せ面を上方から照らす作業灯を設けたことを特徴とする乗用型移植機。
【請求項4】
苗載せ台から苗を掻き取って圃場面に植付ける植付装置を備えた植付作業機を走行機体の後部に昇降自在に連結した乗用型移植機において、植付作業機後部に直後方の圃場の既植面を照らす作業灯を設けたことを特徴とする移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−81921(P2010−81921A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258008(P2008−258008)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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