移植機
【課題】本発明では、移植機に設ける畝ガイドローラを機体に対して強固に取り付けられるようにすると共に簡単に取り外しができるようにすることを課題とする。
【解決手段】機体の前部に設けるエンジンベース2a上にエンジン2を搭載した移植機1において、畝ガイドローラ220を取り付けるガイドローラ支持軸223を横架する軸回動支持部材221を前記エンジンベース2aの下部に着脱可能に装着したことを特徴とする移植機とする。
【解決手段】機体の前部に設けるエンジンベース2a上にエンジン2を搭載した移植機1において、畝ガイドローラ220を取り付けるガイドローラ支持軸223を横架する軸回動支持部材221を前記エンジンベース2aの下部に着脱可能に装着したことを特徴とする移植機とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャガイモの種芋やラッキョの球根類等及び野菜苗や花卉苗等の移植対象物を圃場に移植する移植機に関するものであり、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の如く、移植機の載置台上に準備された種芋等を、その移植機の走行にあわせてループ状に回転搬送される複数の供給カップに、作業者が一個ずつ手で供給することで、自動的に圃場に植え付ける種芋移植機が知られている。
【0003】
この種芋移植機は、圃場で機体を走行させて、その機体の後側を歩行する作業者が、種芋収納部にある種芋を供給カップに供給するので、手放しでも機体が畝に沿って走行するように、特許文献2に記載の如く、畝の法面を転がって機体の走行方向を畝の方向へガイドする畝ガイドローラを設けることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−51613号公報
【特許文献2】特開2004−81076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献2に記載の畝ガイドローラは、機体の前部左右方向に設けた角パイプで構成される支持パイプに、左右の畝ガイドローラの支持部がそれぞれ左右位置を調節自在に設けられる。
【0006】
畝ガイドローラは植付走行の際には便利であるが、路上走行の際には邪魔になる。
このために、本発明では、移植機に設ける畝ガイドローラを機体に対して強固に取り付けられるようにすると共に簡単に取り外しが出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、機体の前部に設けるエンジンベース2a上にエンジン2を搭載した移植機において、畝ガイドローラ220を取り付けるガイドローラ支持軸223を横架する軸回動支持部材221を前記エンジンベース2aの下部に着脱可能に装着したことを特徴とする移植機とする。
【0008】
この構成で、強固に構成されるエンジンベース2aに軸回動支持部材221を着脱可能にすることで、ガイドローラ支持軸223に取り付ける畝ガイドローラ220に走行抵抗が加わっても機体を畦に沿わせて走行ガイド機能を果たし、畝ガイドローラ220が不要の場合には畝ガイドローラ220を取り付けたままで軸回動支持部材221を取り外すことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、軸回動支持部材221とエンジンベース2aの一方に係合突起221aを設けると共に他方に嵌合部2cを設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とする。
【0010】
この構成で、係合突起221aと嵌合部2cによって、軸回動支持部材221をエンジンベース2aの所定位置に正確に取り付けることができる。
請求項3に記載の発明は、軸回動支持部材221にエンジンベース2aの横枠2bに当接する当接部221bを設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とする。
【0011】
この構成で、畝ガイドローラ220からガイドローラ支持軸223を介して軸回動支持部材221に後方への作用力が働いてもエンジンベース2aの横枠2bで強固に受け止める。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ガイドローラ支持軸223に固着の回り止め片223aをエンジンベース2aの下部2bに当接して畝ガイドローラ220をガイド作用位置に保持し、ガイドローラ支持軸223に固着のアーム243と機体の昇降に伴って回動する機体側アーム10aを連結する連結具244をスプリングとしたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とする。
【0013】
この構成で、機体側アーム10aが機体の上昇に伴って回動するとスプリングでガイドローラ支持軸223のアーム243を引っ張ってガイドローラ支持軸223を回動して畝ガイドローラ220を引き上げるが、畝ガイドローラ220が引っ掛ってもスプリングが伸びて無理がかからず破損しない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の構成で、畝ガイドローラ220が機体に強固に取り付けられて機体のガイド作用を果たしながら、畝ガイドローラ220を含めた取付部を機体から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の種芋移植機の側面図である。
【図2】本発明の種芋移植機の平面図である。
【図3】本発明の種芋移植機から種芋載置台を除いた平面図である。
【図4】本発明の種芋供給部を説明するための概略平面図である。
【図5】本発明の種芋供給部を説明するための一部断面を含む概略正面である。
【図6】本発明の種芋供給部を説明するための概略側面図である。
【図7】本発明の種芋供給部の要部を説明するための拡大平面図である。
【図8】本発明の種芋供給部の要部を説明するための拡大側面図である。
【図9】種芋供給部の各構成部品を説明するための分解斜視図である。
【図10】本発明の種芋移植機の種芋供給部の回転駆動機構の主要部を説明するための概略平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における種芋移植機の畝ガイドローラの作用説明用分解斜視図である。
【図12】軸回動支持部の拡大斜視図である。
【図13】軸回動支持部の拡大側面図である。
【図14】ガイドローラ支持軸223の拡大斜視図である。
【図15】ガイドローラ支持軸223の取付正面図である。
【図16】連係ロッドと走行エクステンションケースの連結部の拡大斜視図である。
【図17】畝ガイドローラの作用説明用正面図である。
【図18】鎮圧輪支持フレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の移植機の一実施形態としてのジャガイモの種芋移植機についてその構成と動作を説明する。
図1は、本発明の移植機の一例としてジャガイモの種芋を移植する種芋移植機1を示す側面図であり、図2・図3は、種芋移植機1の平面図である。尚、図3は、種芋載置台30を除いている点で、図2と相違する。
【0017】
この種芋移植機1は、前部にエンジン2及びミッションケース3と走行車輪としての左右一対の前輪4及び後輪5と、後部に種芋植付装置60、種芋供給部70、鎮圧輪8及び操縦ハンドル9とを備えて構成されている。
【0018】
この種芋移植機1は、機体が圃場内の畝Uを跨ぐように、前輪4及び後輪5が畝間を走行し、畝の上面の左右幅方向における中央位置に種芋植付装置60により種芋を植付けていくようになっている。
【0019】
また、ミッションケース3の左右端には該ミッションケース3に対して回動可能な走行エクステンションケース10を左右それぞれ設け、左右の走行エクステンションケース10のそれぞれの端部に走行チェーンケース11を取り付けている。従って、エンジン2から入力されるミッションケース3内の動力を走行チェーンケース11内に伝動する構成となっている。
【0020】
走行チェーンケース11の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5の駆動により機体が走行するようになっている。従って、ミッションケース3は、走行車輪としての後輪5に伝動する伝動装置となっている。
【0021】
一方、エンジン載置台の下部には左右方向に延びる前輪支持フレーム12を前後方向のローリング軸13(図1参照)回りに回動可能に設け、この前輪支持フレーム12の左右両端部に前輪4を取り付けた構成としている。
【0022】
また、ミッションケース3の後端の左右方向に配置された横フレーム14の後部には、機体の左右方向右寄りの位置に延びる主フレーム15を設けている。該主フレーム15の後端部には操縦ハンドル9を設け、この操縦ハンドル9が主フレーム15及び、横フレーム14を介してミッションケース3に支持された構成となっている。
【0023】
また、ミッションケース3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ16を設けている。この油圧昇降シリンダ16は、ミッションケース3に取り付けられた油圧切替バルブ部17に固着して設けられ、ミッションケース3に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部17に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動するようになっている。
【0024】
また、油圧昇降シリンダ16のシリンダロッド端には左右に延びる横杆19を設け、この横杆19の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド20,21を枢着し該ロッド20,21の他端をそれぞれの走行エクステンションケース10に取り付けられた上側アーム10aに枢着して、横杆19と走行エクステンションケース10とが連結された構成となっている。
【0025】
従って、油圧昇降シリンダ16の伸縮により横杆19、後輪昇降ロッド20,21を介してミッションケース3の左右の出力軸回りに走行チェーンケース11が回動され、該走行チェーンケース11の回動により後輪5が上下して機体が昇降する構成となっている。
【0026】
また、左側の後輪昇降ロッド20が伸縮するように該ロッド20の中途部に油圧ポンプからの油圧により作動する水平用油圧シリンダ22を設けており、該水平用油圧シリンダ22の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持できるようになっている。
【0027】
尚、ミッションケース3の右側には振り子式の左右傾斜センサ23が設けられて、この左右傾斜センサ23の検出により油圧切替バルブ部17に備えられた水平操作バルブを介して水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成となっている。
【0028】
本実施の形態の種芋植付装置60は、種芋を1個ずつ圃場の畝部に植付けるべく、ミッションケース3内からの動力がミッションケース3の後側に設けた植付伝動ケース24と、その植付伝動ケース24に取り付けられた植付装置駆動ケース25aを介して伝達され作動するようになっている。
【0029】
種芋植付装置60は、先端が尖ったカップ状の植付具26と該植付具26を昇降させるべく作動する植付具作動機構27とで構成される。植付具26の先端は、植付具26の昇降動作によって、図1に示すように、概ね楕円形の軌跡Bを描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
【0030】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋載置台30及び種芋供給部70について、図面を参照しながら、その構成を説明する。
図4〜図6は、種芋供給部70を説明するための概略平面図、回転テーブル71の中心部に断面を含む概略正面図、及び概略側面図である。
【0031】
種芋載置台30は、基部が植付伝動ケース24に固着された苗枠フレーム31上に杆体にて枠組みされ、移植対象物の一例としての種芋Cを収容したコンテナAを機体左右方向に3個並べて載置する主載置枠32と、該主載置枠32の左側後部にコンテナAを1個載置できる副載置枠33とから構成されている。
【0032】
そして、副載置枠33は、主載置枠32の下部に固着されたパイプ状フレーム34にて前後方向に摺動自在に構成されている。即ち、副載置枠33を主載置枠32の後部に引出した状態では、副載置枠33に種芋Cを収容したコンテナAを1個載置することができ、作業者は、機体の左側で該副載置枠33の後方を歩きながら、副載置枠33に載置したコンテナAから種芋Cを取出して、側方の種芋供給部70の各供給カップ72に容易に入れることができて、作業性良く且つ作業効率良く移植作業を行なうことができる。なお、副載置枠33に載置したコンテナAの種芋Cが無くなった時は、主載置枠32上の種芋Cが入ったコンテナAを置き換えて作業を続行する。また、副載置枠33を主載置枠32の下部に押し入れて収納した状態とすれば、機体移動時や機体を納屋等に収納する際に便利である。
【0033】
また、種芋供給部70は、種芋植付装置60の上方に設けられた、上端と下端に開口を有する供給カップ72を8つ貫通させてループ状に配置した回転可能な回転テーブル71と、その下側に配置されて且つ種芋移植機1の機体側に固定配置された種芋支持板200と、回転テーブル71を反時計回りに回転させるための回転駆動機構76と、所定位置G(図3参照)に移動してきた供給カップ72の中に作業者の指などが誤って入らないようにするための安全カバー40と、作業者が植付具26等の可動部に接触しないようにするための防護カバー50等を備えている。
【0034】
回転テーブル71は、外周縁部71aが下方に曲げられた盆状部材であって、その円形平面部(主面部)71bの外周寄りに等間隔に開けられた8つの貫通孔71cに、両端が開放された円筒状の供給カップ72がそれぞれ貫通して設けられている。また、回転テーブル71の中央部には、回転駆動機構76からの回転力により回転テーブル71を反時計回りに回転するための回転軸76f(図1、図4参照)が固定配置されている。
【0035】
種芋支持板200は、所定位置に供給口201の開口が設けられた円盤状の板部材であって、その外周部に安全カバー40を固定するための出っ張り部203を有し、図1、図4〜図6に示すように、供給カップ72の直ぐ下側で、回転テーブル71の円形平面部(主面部)71bに平行であって、後述する支柱93に溶接にて固定されている。種芋支持板200の更に下側には、回転駆動機構76が設けられている。
【0036】
以下、上記種芋供給部70を構成する回転テーブル71、種芋支持板200、回転駆動機構76、安全カバー40、及び防護カバー50の構成を、更に具体的に説明する。
図8は、種芋供給部70の各構成部品を説明するために分解して図示した斜視図である。
(1)回転テーブル71について:
回転テーブル71は、その円形平面部71bの外周寄りに等間隔に開けられた8つの貫通孔71cに、両端が開放された円筒状の供給カップ72がそれぞれ貫通して設けられている。
【0037】
供給カップ72は、その上下方向中央部よりも少し下側の外周壁に取付けリブ72aが一体に設けられており、供給カップ72が円形平面部71bの貫通孔71cを貫通した状態で取付けリブ72aの一側方が回転支持軸72bを介して円形平面部71bに回動自在に支持され、取付けリブ72aの他側方に設けた円弧孔72cにはボルトBoが挿通されてナットNaにて円形平面部71bに固定する構成となっている。そして、供給カップ72には、円形平面部71bに嵌り込む切り欠き部72dが回転テーブル71の回転方向後方側に形成されている。
【0038】
従って、供給カップ72の内部円状空間を円形平面部71bの貫通孔71cに合致させた状態でボルトBo・ナットNaにて供給カップ72を円形平面部71bに固定すると、供給カップ72の内部円柱状空間は最大の貫通孔となり、供給カップ72内に大きな種芋Cを入れて移植作業が行なえる。
【0039】
そして、供給カップ72の切り欠き部72dが円形平面部71bに嵌り込むように供給カップ72を回転支持軸72b回りに回転テーブル71の回転方向後方側に向けて回動させてボルトBo・ナットNaにて固定すると、移植する種芋Cが小さい場合にその大きさに合わせて供給カップ72の内部貫通孔の大きさを小さく調節することができる。よって、供給カップ72内に入れられた小さな種芋Cは、供給カップ72の内部貫通孔内に丁度収まり、然も、供給カップ72を回転テーブル71の回転方向後方側に向けて移動させて調節するので、小さな種芋Cは円形平面部71bの貫通孔71cの回転テーブル71の回転方向後方側で押されて移動することとなり、小さな種芋Cでも円形平面部71bの貫通孔71cと種芋支持板200の供給口201とが合致した時に軌跡Bの最上昇位置にある植付具26内に適切に供給されることとなり、小さな種芋Cが植付具26内に入らずに外にこぼれてしまって移植作業ができなくなるような事態を回避し、常に適切な移植作業が行える。
【0040】
これは、例えば、供給カップ72の内部貫通孔の大きさを調節する機構がないと、小さな種芋Cは、供給カップ72の内部貫通孔内で転がり内部貫通孔内の回転テーブル71の回転方向前方側に位置することがある。すると、供給カップ72と円形平面部71bの貫通孔71cとが完全に合致する前に、即ち、供給カップ72の内部貫通孔前側が円形平面部71bの貫通孔71c上に来た時点で、内部貫通孔内の回転テーブル71回転方向前方側に位置する小さな種芋Cは、貫通孔71cを通過してしまい、未だ植付具26が軌跡Bの最上昇位置に来ていないので、小さな種芋Cは植付具26内に入らずに外にこぼれてしまって移植作業が行なえなくなる。上記実施例は、そのような事態を回避することができ、種芋Cの大きさに合わせて供給カップ72を回転テーブル71の回転方向後方側に向けて移動させて調節し、小さな種芋Cでも円形平面部71bの貫通孔71cと種芋支持板200の供給口201とが合致した時に軌跡Bの最上昇位置にある植付具26内に適切に供給されるようにしたものである。
(2)種芋支持板200について:
種芋支持板200は、出っ張り部203を除き、回転テーブル71の直径より小さく、且つ、リング状に配置された8個の供給カップの下端の開口の投影領域を包括できる直径の円盤状の板部材であり、その板部材の一部には、供給カップ72の下端開口の直径より大きい円形状の供給口201が、植付部26が上死点に位置する時の植付具26の上部開口部(図示省略)の上方に対応する位置に1つ形成されている。
【0041】
また、種芋支持板200は、供給カップ72の下端の縁部から所定の距離を隔てて、回転テーブル71の主面に平行に配置されており、供給カップ72に補給された種芋Cが、供給口201を除き、種芋支持板200と供給カップ72の下端の縁部との隙間から落下することが無く、しかも、回転移動する供給カップ72が、動作中に振動などしても、種芋支持板200にぶつかることが無い程度の間隔が確保されている。
【0042】
ここで、出っ張り部203は、供給口201に近傍の外周側に所定寸法だけ突き出しており、安全カバー40を締結部品40a、40bで固定するための2つの貫通孔203aが設けられている。安全カバー40については、後述する。
【0043】
また、種芋支持板200は、中心部に後述する軸受け部材76gを通すための円形の貫通孔202を有し、その裏面には、貫通孔202の縁部から外周部に向けて位置する長方形の第1板状部材211と第2板状部材212が、溶接固定されている。これら第1及び第2板状部材211、212は、防護カバー50を取り付けるための部材であると共に、種芋支持板200を補強する機能をも兼ねている。尚、防護カバー50については後述する。
【0044】
更に、種芋支持板200には、その上面に溜まったゴミなどを効果的に排出し、種芋は落下しない程度の大きさのスリット状の長孔部204が、半径方向に沿って形成されている。
【0045】
一方、回転テーブル71の裏面には、種芋支持板200に形成された長孔部204からゴミを落とすための長方形状の硬質ゴム製のスクレーパ73が固定配置されている。スクレーパ73の取付角度は、種芋支持板200上の長孔部204に引っかかりにくくするとともに、長孔部204のみならず、種芋支持板200の外周側からもゴミを排出出来るようにするために、回転テーブル71の半径方向を基準として図4に示すように角度αだけ傾けて固定されている。尚、スクレーパ73は、長孔部204よりも長く構成されており、該長孔部204と異なる形状とすることでも該長孔部204に引っかかりにくくしている。尚、スクレーパ73は、硬質ゴム製以外に、例えば、刷毛状の構成や変形しない板状の構成でも良く、要するにゴミをかき集めることが出来るものであればどの様なものでも良い。
【0046】
また、種芋支持板200は、種芋移植機1の機体から真っ直ぐ機体の後方に向けて配置されている支柱93により支持されると共に、その支持部において溶接固定されている。尚、後述する軸受け部材76gの外周側面は、支柱93の後方端93aに固定されている(図9参照)。
【0047】
更にまた、種芋支持板200の裏面には、後述する回転方向変換ユニット76bを固定するためのユニット固定用アングル260が溶接固定されている。
尚、上記構成によれば、供給カップ72の底面に蓋が無く、しかも種芋支持板200の裏面に支柱93が直接固定されているので、供給カップ72(図3参照)の下端の開口位置と、植付具26の上死点との距離がより短く出来る。そのため、種芋支持板200の供給口201から落下する種芋Cを、植付具26に案内するためのガイド部材を設ける必要が無い。
(3)回転駆動機構76について:
次に、上記回転駆動機構76を構成する各部の構成について、更に、具体的に説明する。
【0048】
図10は、種芋供給部70の回転駆動機構76の主要部を説明するための概略平面図であり、各部品の配置の前後関係の理解を容易にするために、各部品の一部を切り取った状態で描いた図である。
【0049】
即ち、回転駆動機構76は、回転テーブル駆動ケース25bに一端76a1が回転可能に接続され、回転方向変換ユニット76bの入力側に他端76a2が回転可能に接続された回転力伝達部材76cと、回転方向変換ユニット76bの入力側の回転軸に対して直交配置された出力側の回転軸76dに固定された第1歯車76e1と、第1歯車76e1と噛み合って配置された第2歯車76e2とを備えている。第2歯車76e2は反時計方向に滑らかに回転する。
【0050】
また、図9に示すように、回転方向変換ユニット76bの上面には、回転方向変換ユニット固定用アングル270が締結部品270aによって固定されている。更に、回転方向変換ユニット76bは、回転方向変換ユニット固定用アングル270を介して、種芋支持板200の裏面に固定されているユニット固定用アングル260に締結部品270bによって固定されている。
【0051】
また、軸受け部材76gは、第2歯車76e2の回転軸76fを回転可能に支持する軸受け部材であり、上述した通り、その外周側面の下端側において、支柱93の後方端93aと固定されている(図9参照)。一方、軸受け部材76gの上端側は、種芋支持板200の中心部に設けられた貫通孔202を貫通しており、軸受け部材76gから上方に飛び出している回転軸76fが回転テーブル71の中心部に固定されている。これにより、回転テーブル71は、回転軸76fを介して、軸受け部材76gにより回転可能に支持されている。
(4)安全カバー40について:
安全カバー40は、出っ張り部203に固定するための2つの貫通孔41aが一端側に形成された、断面がコの字型の安全カバー取付部41と、安全カバー取付部41の他端側に固定された、弾性変形可能なゴム製または樹脂製の安全カバー本体42とから構成されている。
【0052】
このように、安全カバー本体42は、供給カップ72が所定位置G(図3・図4参照)に移動して来た時に、その供給カップ72の上端の開口を完全に覆うので、作業者が誤って指などを入れることを防止出来る。
【0053】
また、安全カバー本体42は弾性変形可能な部材で構成されているので、供給カップ72と安全カバー本体42の間に作業者が誤って指を挟んだとしても、直ぐにその指を引き抜くことが出来き、また、ダメージも少ない。
(5)防護カバー50について:
防護カバー50は、植付具26と作業者の作業位置(本実施の形態では、種芋移植機1の機体の左右方向を基準として、回転テーブル71の左側のスペース)との間を仕切ると共に、回転テーブル71の下面側に突き出した供給カップ72の下端と種芋支持板200との間の空間を覆い、更には回転駆動機構76と作業者の作業位置との間をも仕切るためのカバーであり、回転テーブル71を上から見て、種芋移植機1の左右方向を基準として、回転テーブル71の左側から操縦ハンドル9側を経て右側に至る範囲を略U字型に保護している(図4〜図6参照)。また、防護カバー50は、上部よりも下部の方が外側に拡がった形状をしている。
【0054】
防護カバー50は、第1の固定部材51a、51bと、第2の固定部材52a、52bによって、種芋支持板200の下面にて一端が固定配置された第1取付部材151と、第2取付部材152にそれぞれ固定され、且つ、第3の固定部材53によって、支柱93の外周面の下側に固定された第3取付部材153に固定されている。尚、第1取付部材151の一端は、種芋支持板200の下面において、第1板状部材211に締結部品で固定されており、第2取付部材152の一端は、種芋支持板200の下面において、第2板状部材212に締結部品で固定されている。
【0055】
このように防護カバー50を設けたことにより、作業者が、種芋移植機1の作業位置に居る場合に限らず、作業位置と反対側(本実施の形態では、種芋移植機1の機体の左右方向を基準として、回転テーブル71の右側)に居る場合でも、作業者が植付具26と接触したり、回転する各部の隙間に手などを挟まれることを防止出来る。
【0056】
また、第1板状部材211と第2板状部材212は、種芋支持板200を補強する機能と共に、防護カバー50を取り付ける機能をも兼ね備えているので、部品点数を削減出来る。
【0057】
次に、図11(a),(b),(c)に基づいて、機体前部に設けられた畝ガイドローラ220の取付構成とその上下作動について説明する。
機体前部に設けたエンジン2は、ミッションケース3に基部を固着したエンジンベース2a上に搭載されているが、該エンジンベース2aの下部にコ字状の軸回動支持部材221の位置決めピン221aをエンジンベース2aの位置決め孔2cに嵌合させ、さらに左右両側で後方へ延ばすサイドアーム221b,221bをエンジンベース2a左右支杆2d,2dの間で後端を横枠2bに当接して、ボルト219にて固定する。このような軸回動支持部材221の固定構成で、軸回動支持部材221が機体に対して正確な位置に強固に固定され、ボルト219を緩めるだけで簡単に取り外しが出来る。
【0058】
該軸回動支持部材221の左右両側に設けた軸受け孔222に、機体左右方向に設けたガイドローラ支持軸223を左右端が突出する状態で貫通し、ガイドローラ支持軸223に固着の回り止め片223aをエンジンベース2aの支杆2dに当接して回り止めして支持している。尚、エンジンベース2aと軸回動支持部材221との間に、機体の前後バランスを調節するフロントウエイトをボルトで友締めして設けても良い。
【0059】
ガイドローラ支持軸223の機体左左右両端側には等間隔に多数の左右位置調節用貫通孔224を設け、機体右端側には1個の固定用貫通孔225を設けている。
ガイドローラ支持軸223の左左右両端側に左右位置調節部材226の筒状ボス227を嵌め込み、左右位置を調節して固定ピン228を筒状ボス227に設けた位置固定用貫通孔227aを貫通して左右位置調節用貫通孔224に差し込んで左右位置を固定している。
【0060】
また、左右位置調節部材226の下部には、支点用貫通孔229と該支点用貫通孔229を中心とした円弧状貫通孔230を設けている。そして、左右傾斜調節ボス231の上部支持軸232を左右位置調節部材226の支点用貫通孔229に貫通させ、左右傾斜調節ボス231の下部固定用ボルト233を左右位置調節部材226の円弧状貫通孔230に貫通させて、左右傾斜調節ボス231を左右傾斜調節してナット234にて左右位置調節部材226に左右傾斜調節ボス231を固定している。
【0061】
なお、左右傾斜調節ボス231を筒状ボス227に直接固定して畝ガイドローラ220の左右傾斜角を固定にしても良い。
畝ガイドローラ220を回転自在に支持するガイドローラ回転支持具235の上部縦軸236には等間隔に多数の上下位置調節用貫通孔237を設けている。そして、該上部縦軸236を左右傾斜調節ボス231の筒部231aに貫通させ、上下位置を調節して固定ピン238を筒部231aに設けた位置固定用貫通孔231bを貫通して上下位置調節用貫通孔237に差し込んで上下位置を固定している。
【0062】
一方、ガイドローラ支持軸223の機体右端側に上昇用ボス240を嵌め込み、固定ピン241を上昇用ボス240に設けた位置固定用貫通孔242を貫通して固定用貫通孔225に差し込んで固定している。そして、上昇用ボス240に上方に向けて設けたアーム243と前記右走行エクステンションケース10に取り付けられた上側アーム10aとをロッド状の連結具244にて連結している。アーム243は連結具244の全ストロークの中央で該連結具244と直交するようにして効率的にガイドローラ支持軸223が回動する。
【0063】
尚、連結具244の上側アーム10aとの連結部には、融通長孔245を形成した連結プレート244aを固着し、該融通長孔245を通して段付きボルト246で上側アーム10aに連結している。段付きボルト246には連結プレート244aの融通長孔245をスライドする小径部246aを形成している。
【0064】
段付きボルト246には、鎮圧輪8を指示する鎮圧輪支持フレーム38と連結した鎮圧輪リフトロッド247も連結し、路上走行時には畝ガイドローラ220と鎮圧輪8を上昇させるようにする。なお、鎮圧輪リフトロッド247の連結ピンを段付きボルト246と別に上側アーム10a設けて、鎮圧輪8を大きく上昇するようにしても良い。
【0065】
なお、走行エクステンションケース10の上側アーム10aと上昇用ボス240のアーム243との連結は、連結具244に代えて、取付位置調整プレートとスプリング或いはケーブルにしても良い。スプリングにすると畝ガイドローラ220がゴミなどで固定した時に連結部の破損を防止出来る。
【0066】
機体の左右に設けられた畝ガイドローラ220を上下位置、左右位置及び左右傾斜調節して畝Uの側面に接当して回転するように位置調節して、畝Uを跨ぐように左右前輪4及び左右後輪5が畝間を走行して畝Uに移植作業を行なう。
【0067】
畝Uの終端部まで機体を移動すると、油圧昇降シリンダ16を伸長作動させて、横杆19、後輪昇降ロッド20,21、左右上側アーム10aを介してミッションケース3の左右の出力軸回りに左右走行チェーンケース11を下向きに回動させ左右後輪5を下動して機体を上昇させて、機体の旋回を行なうが、この時、左右後輪5の下動に伴って右上側アーム10a、連結具244、上昇用ボス240,ガイドローラ支持軸223,左右位置調節部材226,左右傾斜調節ボス231及びガイドローラ回転支持具235を介して畝ガイドローラ220も上昇するので、機体の旋回が容易に且つ適切に行なえる。
【0068】
尚、移植作業中の左右後輪5の上下動では、連結具244の上側アーム10aとの連結部に設けた融通長孔245にて畝ガイドローラ220が上昇することはなく、適正な移植作業が行なえる。即ち、機体旋回時に、通常の移植作業時の左右後輪5の下動範囲以上に最大限まで左右後輪5を下動させた時のみ、畝ガイドローラ220が上昇する。
【0069】
また、畝ガイドローラ220を上昇させる連係機構を右後輪5の右上側アーム10aと連係したことにより、右後輪5側には機体を左右水平に維持する機構である水平用油圧シリンダ22が設けられていないので(機体を左右水平に維持する機構である水平用油圧シリンダ22によって上下作動するのは左後輪5のみである)、機体旋回時に畝ガイドローラ220は適切なタイミングで上昇し、機体の旋回操作が容易で且つ適切に行なえる。
【0070】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋供給部70及び植付具26を中心とした動作を、説明する。
まず、種芋載置台30の副載置枠33を主載置枠32の後部に引出した状態として、主載置枠32に種芋Cを収容したコンテナAを機体左右方向に3個並べて載置し、副載置枠33に種芋Cを収容したコンテナAを1個載置する。
【0071】
次に、エンジン2を始動して、植付作業の開始に伴って、種芋移植機1は畝Uをまたぐようにしてゆっくりと前進する。一方、エンジン2の回転が回転力伝達部材76cに伝達されて、第1歯車76e1及び第2歯車76e2を介して、回転テーブル71が反時計方向に滑らかに回転する。
【0072】
作業者は、種芋移植機1の左側の作業スペースに位置して、機体の前進に歩調を合わせながら、回転テーブル71の回転に伴って回転する供給カップ72の内、安全カバー40が設置されている所定位置G(図3参照)を通過して、すでに種芋Cが植付具26側に供給されて空になった供給カップ72に対して、副載置枠33に載置したコンテナAから種芋Cを取出して1つずつ補給する。これを繰り返すことにより、8個の供給カップ72には順次、種芋Cが補給されることになる。この時、作業者は、副載置枠33に載置したコンテナAから種芋Cを取出して、側方の種芋供給部70の各供給カップ72に容易に入れることができて、作業性良く且つ作業効率良く移植作業を行なうことができる。なお、副載置枠33に載置したコンテナAの種芋Cが無くなった時は、主載置枠32上の種芋Cが入ったコンテナAを置き換えて作業を続行する。
【0073】
このように、作業者が種芋Cを補給する作業中において、所定位置Gを通過する供給カップ72の中に、誤って指などを入れることを防止できる。仮に、この安全カバー40が設置されていないとすると、供給カップ72の内部に誤って指などを入れた場合、その供給カップ72の下面側の開口縁部と供給口201の内周縁部との間に指などが挟まれる可能性がある。
【0074】
更に、安全カバー本体42は弾性変形可能な部材で構成されているので、仮に、供給カップ72と安全カバー本体42の間に作業者が誤って指を挟んだとしても、安全カバー本体42が指に与えるダメージが少ないので安全性が高いと言える。
【0075】
また、種芋支持板200の上面では、種芋Cが供給カップ72の回転に伴って転がっているので、様々なゴミが溜まりやすい。この様なゴミは、回転テーブル71の裏面に取り付けられたスクレーパ73の回転によってかき集められ、スクレーパ73が、種芋支持板200に設けられたスリット状の長孔部204を通過する際に、その長孔部204から下方に吐き出されると共に、スクレーパ73の傾斜角αに起因して、種芋支持板200の外周側からも常に排出される。
【0076】
一方、供給カップ72の下端の開口は、回転テーブル71の回転により供給カップ72が所定の位置G(図3参照)に来たときを除いて、種芋支持板200により閉じられている。
【0077】
即ち、図4に示すように、所定位置Gを通過する供給カップ72が、供給口201の直ぐ上を通過し始めてからある程度の距離を移動した時(供給カップ72の下端の開口の中心が供給口201の中心と合致するよりも手前の位置に移動したとき)、それまで種芋支持板200の表面を、供給カップ72の回転と共に転がっていた種芋Cは、供給口201の場所まで移動すると、種芋支持板200による支えが無くなっているために、下方へ落下し始める。そして、その種芋Cは、丁度、上死点位置(図1に示す位置)に来た植付具26に供給されて、その後、植付具26が軌跡Bを描いて下方に移動して、最下端に来た時に圃場に種芋Cの植付が行われる。
【0078】
この時、大きな種芋Cを移植する場合、作業者は、供給カップ72の内部円状空間を円形平面部71bの貫通孔71cに合致させた状態でボルトBo・ナットNaにて供給カップ72を円形平面部71bに固定しておく。すると、供給カップ72の内部円柱状空間は最大の貫通孔となり、供給カップ72内に作業者が入れた大きな種芋Cは、供給カップ72の下端の開口の中心が供給口201の中心と合致した時に、供給口201から、丁度、上死点位置に来た植付具26に適切に供給されて、良好な移植作業が行なえる。
【0079】
また、小さな種芋Cを移植する場合、作業者は、供給カップ72の切り欠き部72dが円形平面部71bに嵌り込むように供給カップ72を回転支持軸72b回りに回転テーブル71の回転方向後方側に向けて回動させてボルトBo・ナットNaにて固定すると、移植する小さい種芋Cの大きさに合わせて供給カップ72の内部貫通孔の大きさを小さく調節することができる。よって、供給カップ72内に入れられた小さな種芋Cは、供給カップ72の内部貫通孔内に丁度収まり、然も、供給カップ72を回転テーブル71の回転方向後方側に向けて移動させて調節するので、小さな種芋Cは円形平面部71bの貫通孔71cの回転テーブル71の回転方向後方側で押されて移動することとなり、小さな種芋Cでも円形平面部71bの貫通孔71cと種芋支持板200の供給口201とが合致した時に、丁度、上死点位置に来た植付具26内に適切に供給されることとなり、小さな種芋Cが植付具26内に入らずに外にこぼれてしまって移植作業ができなくなるような事態を回避し、常に適切な移植作業が行える。
【0080】
即ち、植付具26は、図1に示すように、前後方向に2分割して下部を開閉する構成となっている。これにより、回転テーブル71の供給カップ72から受け継いだ一個の種芋Cを収容保持した状態で、上死点位置から軌跡Bで示すように下降し(図1参照)、種芋植付位置で下部を前後に開いて畝Uに植付穴を形成すると共にその植付穴に種芋Cを供給して植え付ける。その後、再び、植付具26は上死点位置に戻る。植付具26の軌跡Bで示す動作は(図1参照)、回転テーブル71の回転動作と同期しており、供給カップ72が所定位置Gに来た時に(図3参照)、植付具26は上死点位置に戻るように構成されている。
【0081】
尚、回転テーブル71の下方にある各駆動部を覆うように防護カバー50が、作業者の作業位置との間を仕切るように配置されているので、作業者が駆動部と接触することを防止出来る。
【0082】
また、植付具26の前方には圃場面感知プレート36が設けられている。圃場面感知プレート36は左右方向の回動支点軸36a回りに回動可能に設けられ、接地することによる圃場面感知プレート36の回動に伴って種芋植付装置60により所定の植付深さとなるように後輪5を昇降する。
【0083】
また、圃場面感知プレート36で、主フレーム15から植付具26の左右側部に向けて杆状のマルチ押え杆28を設けて、植付具26の昇降でマルチフィルムが持ち上がらないようにしている。
【0084】
なお、このマルチ押え杆28は、前記圃場面感知プレート36から後方へ延ばして設けても良い。
鎮圧輪8は、種芋植付位置の後方位置において設けられ、横軸37回りに上下揺動自在な鎮圧輪支持フレーム38に軸受支持されている。また、この鎮圧輪8は、種芋移植機1の進行に伴って畝面を転動し、種芋が植え付けられた後の移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、植付具26で移植穴の前後、特に後方に盛り上がった土手を平らに鎮圧する。
【0085】
これにより、移植した種芋の周辺の土壌を平らにすることができ、ジャガイモの成育を良好にできる。
図12に示す如く、植付具26の昇降で植付具26の前外周に接して泥を掻き落とす杆状の前スクレーパ29と植付具26の後外周に接して泥を掻き落とす板状の後スクレーパ35を鎮圧輪支持フレーム38に向ける。
【0086】
なお、前スクレーパ29に前記のマルチ押え杆28を取り付けても良い。
尚、上記実施の形態では、振り子式の左右傾斜センサ23を設けて、この左右傾斜センサ23の検出により水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成の場合について説明したが、これに限らず例えば、左右傾斜センサ23を備えずに、水平用油圧シリンダ22を作業者自身が手動でコントロールするためのマニュアル式の水平レバーが、作業者が種芋を供給カップ72に補給する作業位置(作業スペース)側であって、後輪5の上方に配置されている構成でも良い。
【0087】
この場合、油圧切替バルブ部17に備えられた左右傾斜バルブを、水平レバーによって操作することにより、水平用油圧シリンダ22が作動する構成である。即ち、作業者が水平レバーを左右方向に移動させることにより、左右傾斜バルブを操作する構成である。
【0088】
また、本発明の移植対象物の一例として上記実施の形態では、ジャガイモ等の種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、種芋以外にラッキョウの球根等の球状体を移植する場合においても本発明が適用できるものであり、上記と同様の効果を発揮する。
【0089】
また、上記実施の形態では、種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、供給カップ72を、野菜苗の標準のカップサイズに構成しておくことにより、野菜苗も植え付け可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 移植機
2 エンジン
2a エンジンベース
2d 下部(横枠)
10a 機体側アーム
220 畝ガイドローラ
221 軸回動支持部材
221b 当接部(サイドアーム)
223 ガイドローラ支持軸
244 連結具
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャガイモの種芋やラッキョの球根類等及び野菜苗や花卉苗等の移植対象物を圃場に移植する移植機に関するものであり、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の如く、移植機の載置台上に準備された種芋等を、その移植機の走行にあわせてループ状に回転搬送される複数の供給カップに、作業者が一個ずつ手で供給することで、自動的に圃場に植え付ける種芋移植機が知られている。
【0003】
この種芋移植機は、圃場で機体を走行させて、その機体の後側を歩行する作業者が、種芋収納部にある種芋を供給カップに供給するので、手放しでも機体が畝に沿って走行するように、特許文献2に記載の如く、畝の法面を転がって機体の走行方向を畝の方向へガイドする畝ガイドローラを設けることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−51613号公報
【特許文献2】特開2004−81076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献2に記載の畝ガイドローラは、機体の前部左右方向に設けた角パイプで構成される支持パイプに、左右の畝ガイドローラの支持部がそれぞれ左右位置を調節自在に設けられる。
【0006】
畝ガイドローラは植付走行の際には便利であるが、路上走行の際には邪魔になる。
このために、本発明では、移植機に設ける畝ガイドローラを機体に対して強固に取り付けられるようにすると共に簡単に取り外しが出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、機体の前部に設けるエンジンベース2a上にエンジン2を搭載した移植機において、畝ガイドローラ220を取り付けるガイドローラ支持軸223を横架する軸回動支持部材221を前記エンジンベース2aの下部に着脱可能に装着したことを特徴とする移植機とする。
【0008】
この構成で、強固に構成されるエンジンベース2aに軸回動支持部材221を着脱可能にすることで、ガイドローラ支持軸223に取り付ける畝ガイドローラ220に走行抵抗が加わっても機体を畦に沿わせて走行ガイド機能を果たし、畝ガイドローラ220が不要の場合には畝ガイドローラ220を取り付けたままで軸回動支持部材221を取り外すことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、軸回動支持部材221とエンジンベース2aの一方に係合突起221aを設けると共に他方に嵌合部2cを設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とする。
【0010】
この構成で、係合突起221aと嵌合部2cによって、軸回動支持部材221をエンジンベース2aの所定位置に正確に取り付けることができる。
請求項3に記載の発明は、軸回動支持部材221にエンジンベース2aの横枠2bに当接する当接部221bを設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とする。
【0011】
この構成で、畝ガイドローラ220からガイドローラ支持軸223を介して軸回動支持部材221に後方への作用力が働いてもエンジンベース2aの横枠2bで強固に受け止める。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ガイドローラ支持軸223に固着の回り止め片223aをエンジンベース2aの下部2bに当接して畝ガイドローラ220をガイド作用位置に保持し、ガイドローラ支持軸223に固着のアーム243と機体の昇降に伴って回動する機体側アーム10aを連結する連結具244をスプリングとしたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とする。
【0013】
この構成で、機体側アーム10aが機体の上昇に伴って回動するとスプリングでガイドローラ支持軸223のアーム243を引っ張ってガイドローラ支持軸223を回動して畝ガイドローラ220を引き上げるが、畝ガイドローラ220が引っ掛ってもスプリングが伸びて無理がかからず破損しない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の構成で、畝ガイドローラ220が機体に強固に取り付けられて機体のガイド作用を果たしながら、畝ガイドローラ220を含めた取付部を機体から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の種芋移植機の側面図である。
【図2】本発明の種芋移植機の平面図である。
【図3】本発明の種芋移植機から種芋載置台を除いた平面図である。
【図4】本発明の種芋供給部を説明するための概略平面図である。
【図5】本発明の種芋供給部を説明するための一部断面を含む概略正面である。
【図6】本発明の種芋供給部を説明するための概略側面図である。
【図7】本発明の種芋供給部の要部を説明するための拡大平面図である。
【図8】本発明の種芋供給部の要部を説明するための拡大側面図である。
【図9】種芋供給部の各構成部品を説明するための分解斜視図である。
【図10】本発明の種芋移植機の種芋供給部の回転駆動機構の主要部を説明するための概略平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における種芋移植機の畝ガイドローラの作用説明用分解斜視図である。
【図12】軸回動支持部の拡大斜視図である。
【図13】軸回動支持部の拡大側面図である。
【図14】ガイドローラ支持軸223の拡大斜視図である。
【図15】ガイドローラ支持軸223の取付正面図である。
【図16】連係ロッドと走行エクステンションケースの連結部の拡大斜視図である。
【図17】畝ガイドローラの作用説明用正面図である。
【図18】鎮圧輪支持フレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の移植機の一実施形態としてのジャガイモの種芋移植機についてその構成と動作を説明する。
図1は、本発明の移植機の一例としてジャガイモの種芋を移植する種芋移植機1を示す側面図であり、図2・図3は、種芋移植機1の平面図である。尚、図3は、種芋載置台30を除いている点で、図2と相違する。
【0017】
この種芋移植機1は、前部にエンジン2及びミッションケース3と走行車輪としての左右一対の前輪4及び後輪5と、後部に種芋植付装置60、種芋供給部70、鎮圧輪8及び操縦ハンドル9とを備えて構成されている。
【0018】
この種芋移植機1は、機体が圃場内の畝Uを跨ぐように、前輪4及び後輪5が畝間を走行し、畝の上面の左右幅方向における中央位置に種芋植付装置60により種芋を植付けていくようになっている。
【0019】
また、ミッションケース3の左右端には該ミッションケース3に対して回動可能な走行エクステンションケース10を左右それぞれ設け、左右の走行エクステンションケース10のそれぞれの端部に走行チェーンケース11を取り付けている。従って、エンジン2から入力されるミッションケース3内の動力を走行チェーンケース11内に伝動する構成となっている。
【0020】
走行チェーンケース11の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5の駆動により機体が走行するようになっている。従って、ミッションケース3は、走行車輪としての後輪5に伝動する伝動装置となっている。
【0021】
一方、エンジン載置台の下部には左右方向に延びる前輪支持フレーム12を前後方向のローリング軸13(図1参照)回りに回動可能に設け、この前輪支持フレーム12の左右両端部に前輪4を取り付けた構成としている。
【0022】
また、ミッションケース3の後端の左右方向に配置された横フレーム14の後部には、機体の左右方向右寄りの位置に延びる主フレーム15を設けている。該主フレーム15の後端部には操縦ハンドル9を設け、この操縦ハンドル9が主フレーム15及び、横フレーム14を介してミッションケース3に支持された構成となっている。
【0023】
また、ミッションケース3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ16を設けている。この油圧昇降シリンダ16は、ミッションケース3に取り付けられた油圧切替バルブ部17に固着して設けられ、ミッションケース3に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部17に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動するようになっている。
【0024】
また、油圧昇降シリンダ16のシリンダロッド端には左右に延びる横杆19を設け、この横杆19の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド20,21を枢着し該ロッド20,21の他端をそれぞれの走行エクステンションケース10に取り付けられた上側アーム10aに枢着して、横杆19と走行エクステンションケース10とが連結された構成となっている。
【0025】
従って、油圧昇降シリンダ16の伸縮により横杆19、後輪昇降ロッド20,21を介してミッションケース3の左右の出力軸回りに走行チェーンケース11が回動され、該走行チェーンケース11の回動により後輪5が上下して機体が昇降する構成となっている。
【0026】
また、左側の後輪昇降ロッド20が伸縮するように該ロッド20の中途部に油圧ポンプからの油圧により作動する水平用油圧シリンダ22を設けており、該水平用油圧シリンダ22の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持できるようになっている。
【0027】
尚、ミッションケース3の右側には振り子式の左右傾斜センサ23が設けられて、この左右傾斜センサ23の検出により油圧切替バルブ部17に備えられた水平操作バルブを介して水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成となっている。
【0028】
本実施の形態の種芋植付装置60は、種芋を1個ずつ圃場の畝部に植付けるべく、ミッションケース3内からの動力がミッションケース3の後側に設けた植付伝動ケース24と、その植付伝動ケース24に取り付けられた植付装置駆動ケース25aを介して伝達され作動するようになっている。
【0029】
種芋植付装置60は、先端が尖ったカップ状の植付具26と該植付具26を昇降させるべく作動する植付具作動機構27とで構成される。植付具26の先端は、植付具26の昇降動作によって、図1に示すように、概ね楕円形の軌跡Bを描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
【0030】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋載置台30及び種芋供給部70について、図面を参照しながら、その構成を説明する。
図4〜図6は、種芋供給部70を説明するための概略平面図、回転テーブル71の中心部に断面を含む概略正面図、及び概略側面図である。
【0031】
種芋載置台30は、基部が植付伝動ケース24に固着された苗枠フレーム31上に杆体にて枠組みされ、移植対象物の一例としての種芋Cを収容したコンテナAを機体左右方向に3個並べて載置する主載置枠32と、該主載置枠32の左側後部にコンテナAを1個載置できる副載置枠33とから構成されている。
【0032】
そして、副載置枠33は、主載置枠32の下部に固着されたパイプ状フレーム34にて前後方向に摺動自在に構成されている。即ち、副載置枠33を主載置枠32の後部に引出した状態では、副載置枠33に種芋Cを収容したコンテナAを1個載置することができ、作業者は、機体の左側で該副載置枠33の後方を歩きながら、副載置枠33に載置したコンテナAから種芋Cを取出して、側方の種芋供給部70の各供給カップ72に容易に入れることができて、作業性良く且つ作業効率良く移植作業を行なうことができる。なお、副載置枠33に載置したコンテナAの種芋Cが無くなった時は、主載置枠32上の種芋Cが入ったコンテナAを置き換えて作業を続行する。また、副載置枠33を主載置枠32の下部に押し入れて収納した状態とすれば、機体移動時や機体を納屋等に収納する際に便利である。
【0033】
また、種芋供給部70は、種芋植付装置60の上方に設けられた、上端と下端に開口を有する供給カップ72を8つ貫通させてループ状に配置した回転可能な回転テーブル71と、その下側に配置されて且つ種芋移植機1の機体側に固定配置された種芋支持板200と、回転テーブル71を反時計回りに回転させるための回転駆動機構76と、所定位置G(図3参照)に移動してきた供給カップ72の中に作業者の指などが誤って入らないようにするための安全カバー40と、作業者が植付具26等の可動部に接触しないようにするための防護カバー50等を備えている。
【0034】
回転テーブル71は、外周縁部71aが下方に曲げられた盆状部材であって、その円形平面部(主面部)71bの外周寄りに等間隔に開けられた8つの貫通孔71cに、両端が開放された円筒状の供給カップ72がそれぞれ貫通して設けられている。また、回転テーブル71の中央部には、回転駆動機構76からの回転力により回転テーブル71を反時計回りに回転するための回転軸76f(図1、図4参照)が固定配置されている。
【0035】
種芋支持板200は、所定位置に供給口201の開口が設けられた円盤状の板部材であって、その外周部に安全カバー40を固定するための出っ張り部203を有し、図1、図4〜図6に示すように、供給カップ72の直ぐ下側で、回転テーブル71の円形平面部(主面部)71bに平行であって、後述する支柱93に溶接にて固定されている。種芋支持板200の更に下側には、回転駆動機構76が設けられている。
【0036】
以下、上記種芋供給部70を構成する回転テーブル71、種芋支持板200、回転駆動機構76、安全カバー40、及び防護カバー50の構成を、更に具体的に説明する。
図8は、種芋供給部70の各構成部品を説明するために分解して図示した斜視図である。
(1)回転テーブル71について:
回転テーブル71は、その円形平面部71bの外周寄りに等間隔に開けられた8つの貫通孔71cに、両端が開放された円筒状の供給カップ72がそれぞれ貫通して設けられている。
【0037】
供給カップ72は、その上下方向中央部よりも少し下側の外周壁に取付けリブ72aが一体に設けられており、供給カップ72が円形平面部71bの貫通孔71cを貫通した状態で取付けリブ72aの一側方が回転支持軸72bを介して円形平面部71bに回動自在に支持され、取付けリブ72aの他側方に設けた円弧孔72cにはボルトBoが挿通されてナットNaにて円形平面部71bに固定する構成となっている。そして、供給カップ72には、円形平面部71bに嵌り込む切り欠き部72dが回転テーブル71の回転方向後方側に形成されている。
【0038】
従って、供給カップ72の内部円状空間を円形平面部71bの貫通孔71cに合致させた状態でボルトBo・ナットNaにて供給カップ72を円形平面部71bに固定すると、供給カップ72の内部円柱状空間は最大の貫通孔となり、供給カップ72内に大きな種芋Cを入れて移植作業が行なえる。
【0039】
そして、供給カップ72の切り欠き部72dが円形平面部71bに嵌り込むように供給カップ72を回転支持軸72b回りに回転テーブル71の回転方向後方側に向けて回動させてボルトBo・ナットNaにて固定すると、移植する種芋Cが小さい場合にその大きさに合わせて供給カップ72の内部貫通孔の大きさを小さく調節することができる。よって、供給カップ72内に入れられた小さな種芋Cは、供給カップ72の内部貫通孔内に丁度収まり、然も、供給カップ72を回転テーブル71の回転方向後方側に向けて移動させて調節するので、小さな種芋Cは円形平面部71bの貫通孔71cの回転テーブル71の回転方向後方側で押されて移動することとなり、小さな種芋Cでも円形平面部71bの貫通孔71cと種芋支持板200の供給口201とが合致した時に軌跡Bの最上昇位置にある植付具26内に適切に供給されることとなり、小さな種芋Cが植付具26内に入らずに外にこぼれてしまって移植作業ができなくなるような事態を回避し、常に適切な移植作業が行える。
【0040】
これは、例えば、供給カップ72の内部貫通孔の大きさを調節する機構がないと、小さな種芋Cは、供給カップ72の内部貫通孔内で転がり内部貫通孔内の回転テーブル71の回転方向前方側に位置することがある。すると、供給カップ72と円形平面部71bの貫通孔71cとが完全に合致する前に、即ち、供給カップ72の内部貫通孔前側が円形平面部71bの貫通孔71c上に来た時点で、内部貫通孔内の回転テーブル71回転方向前方側に位置する小さな種芋Cは、貫通孔71cを通過してしまい、未だ植付具26が軌跡Bの最上昇位置に来ていないので、小さな種芋Cは植付具26内に入らずに外にこぼれてしまって移植作業が行なえなくなる。上記実施例は、そのような事態を回避することができ、種芋Cの大きさに合わせて供給カップ72を回転テーブル71の回転方向後方側に向けて移動させて調節し、小さな種芋Cでも円形平面部71bの貫通孔71cと種芋支持板200の供給口201とが合致した時に軌跡Bの最上昇位置にある植付具26内に適切に供給されるようにしたものである。
(2)種芋支持板200について:
種芋支持板200は、出っ張り部203を除き、回転テーブル71の直径より小さく、且つ、リング状に配置された8個の供給カップの下端の開口の投影領域を包括できる直径の円盤状の板部材であり、その板部材の一部には、供給カップ72の下端開口の直径より大きい円形状の供給口201が、植付部26が上死点に位置する時の植付具26の上部開口部(図示省略)の上方に対応する位置に1つ形成されている。
【0041】
また、種芋支持板200は、供給カップ72の下端の縁部から所定の距離を隔てて、回転テーブル71の主面に平行に配置されており、供給カップ72に補給された種芋Cが、供給口201を除き、種芋支持板200と供給カップ72の下端の縁部との隙間から落下することが無く、しかも、回転移動する供給カップ72が、動作中に振動などしても、種芋支持板200にぶつかることが無い程度の間隔が確保されている。
【0042】
ここで、出っ張り部203は、供給口201に近傍の外周側に所定寸法だけ突き出しており、安全カバー40を締結部品40a、40bで固定するための2つの貫通孔203aが設けられている。安全カバー40については、後述する。
【0043】
また、種芋支持板200は、中心部に後述する軸受け部材76gを通すための円形の貫通孔202を有し、その裏面には、貫通孔202の縁部から外周部に向けて位置する長方形の第1板状部材211と第2板状部材212が、溶接固定されている。これら第1及び第2板状部材211、212は、防護カバー50を取り付けるための部材であると共に、種芋支持板200を補強する機能をも兼ねている。尚、防護カバー50については後述する。
【0044】
更に、種芋支持板200には、その上面に溜まったゴミなどを効果的に排出し、種芋は落下しない程度の大きさのスリット状の長孔部204が、半径方向に沿って形成されている。
【0045】
一方、回転テーブル71の裏面には、種芋支持板200に形成された長孔部204からゴミを落とすための長方形状の硬質ゴム製のスクレーパ73が固定配置されている。スクレーパ73の取付角度は、種芋支持板200上の長孔部204に引っかかりにくくするとともに、長孔部204のみならず、種芋支持板200の外周側からもゴミを排出出来るようにするために、回転テーブル71の半径方向を基準として図4に示すように角度αだけ傾けて固定されている。尚、スクレーパ73は、長孔部204よりも長く構成されており、該長孔部204と異なる形状とすることでも該長孔部204に引っかかりにくくしている。尚、スクレーパ73は、硬質ゴム製以外に、例えば、刷毛状の構成や変形しない板状の構成でも良く、要するにゴミをかき集めることが出来るものであればどの様なものでも良い。
【0046】
また、種芋支持板200は、種芋移植機1の機体から真っ直ぐ機体の後方に向けて配置されている支柱93により支持されると共に、その支持部において溶接固定されている。尚、後述する軸受け部材76gの外周側面は、支柱93の後方端93aに固定されている(図9参照)。
【0047】
更にまた、種芋支持板200の裏面には、後述する回転方向変換ユニット76bを固定するためのユニット固定用アングル260が溶接固定されている。
尚、上記構成によれば、供給カップ72の底面に蓋が無く、しかも種芋支持板200の裏面に支柱93が直接固定されているので、供給カップ72(図3参照)の下端の開口位置と、植付具26の上死点との距離がより短く出来る。そのため、種芋支持板200の供給口201から落下する種芋Cを、植付具26に案内するためのガイド部材を設ける必要が無い。
(3)回転駆動機構76について:
次に、上記回転駆動機構76を構成する各部の構成について、更に、具体的に説明する。
【0048】
図10は、種芋供給部70の回転駆動機構76の主要部を説明するための概略平面図であり、各部品の配置の前後関係の理解を容易にするために、各部品の一部を切り取った状態で描いた図である。
【0049】
即ち、回転駆動機構76は、回転テーブル駆動ケース25bに一端76a1が回転可能に接続され、回転方向変換ユニット76bの入力側に他端76a2が回転可能に接続された回転力伝達部材76cと、回転方向変換ユニット76bの入力側の回転軸に対して直交配置された出力側の回転軸76dに固定された第1歯車76e1と、第1歯車76e1と噛み合って配置された第2歯車76e2とを備えている。第2歯車76e2は反時計方向に滑らかに回転する。
【0050】
また、図9に示すように、回転方向変換ユニット76bの上面には、回転方向変換ユニット固定用アングル270が締結部品270aによって固定されている。更に、回転方向変換ユニット76bは、回転方向変換ユニット固定用アングル270を介して、種芋支持板200の裏面に固定されているユニット固定用アングル260に締結部品270bによって固定されている。
【0051】
また、軸受け部材76gは、第2歯車76e2の回転軸76fを回転可能に支持する軸受け部材であり、上述した通り、その外周側面の下端側において、支柱93の後方端93aと固定されている(図9参照)。一方、軸受け部材76gの上端側は、種芋支持板200の中心部に設けられた貫通孔202を貫通しており、軸受け部材76gから上方に飛び出している回転軸76fが回転テーブル71の中心部に固定されている。これにより、回転テーブル71は、回転軸76fを介して、軸受け部材76gにより回転可能に支持されている。
(4)安全カバー40について:
安全カバー40は、出っ張り部203に固定するための2つの貫通孔41aが一端側に形成された、断面がコの字型の安全カバー取付部41と、安全カバー取付部41の他端側に固定された、弾性変形可能なゴム製または樹脂製の安全カバー本体42とから構成されている。
【0052】
このように、安全カバー本体42は、供給カップ72が所定位置G(図3・図4参照)に移動して来た時に、その供給カップ72の上端の開口を完全に覆うので、作業者が誤って指などを入れることを防止出来る。
【0053】
また、安全カバー本体42は弾性変形可能な部材で構成されているので、供給カップ72と安全カバー本体42の間に作業者が誤って指を挟んだとしても、直ぐにその指を引き抜くことが出来き、また、ダメージも少ない。
(5)防護カバー50について:
防護カバー50は、植付具26と作業者の作業位置(本実施の形態では、種芋移植機1の機体の左右方向を基準として、回転テーブル71の左側のスペース)との間を仕切ると共に、回転テーブル71の下面側に突き出した供給カップ72の下端と種芋支持板200との間の空間を覆い、更には回転駆動機構76と作業者の作業位置との間をも仕切るためのカバーであり、回転テーブル71を上から見て、種芋移植機1の左右方向を基準として、回転テーブル71の左側から操縦ハンドル9側を経て右側に至る範囲を略U字型に保護している(図4〜図6参照)。また、防護カバー50は、上部よりも下部の方が外側に拡がった形状をしている。
【0054】
防護カバー50は、第1の固定部材51a、51bと、第2の固定部材52a、52bによって、種芋支持板200の下面にて一端が固定配置された第1取付部材151と、第2取付部材152にそれぞれ固定され、且つ、第3の固定部材53によって、支柱93の外周面の下側に固定された第3取付部材153に固定されている。尚、第1取付部材151の一端は、種芋支持板200の下面において、第1板状部材211に締結部品で固定されており、第2取付部材152の一端は、種芋支持板200の下面において、第2板状部材212に締結部品で固定されている。
【0055】
このように防護カバー50を設けたことにより、作業者が、種芋移植機1の作業位置に居る場合に限らず、作業位置と反対側(本実施の形態では、種芋移植機1の機体の左右方向を基準として、回転テーブル71の右側)に居る場合でも、作業者が植付具26と接触したり、回転する各部の隙間に手などを挟まれることを防止出来る。
【0056】
また、第1板状部材211と第2板状部材212は、種芋支持板200を補強する機能と共に、防護カバー50を取り付ける機能をも兼ね備えているので、部品点数を削減出来る。
【0057】
次に、図11(a),(b),(c)に基づいて、機体前部に設けられた畝ガイドローラ220の取付構成とその上下作動について説明する。
機体前部に設けたエンジン2は、ミッションケース3に基部を固着したエンジンベース2a上に搭載されているが、該エンジンベース2aの下部にコ字状の軸回動支持部材221の位置決めピン221aをエンジンベース2aの位置決め孔2cに嵌合させ、さらに左右両側で後方へ延ばすサイドアーム221b,221bをエンジンベース2a左右支杆2d,2dの間で後端を横枠2bに当接して、ボルト219にて固定する。このような軸回動支持部材221の固定構成で、軸回動支持部材221が機体に対して正確な位置に強固に固定され、ボルト219を緩めるだけで簡単に取り外しが出来る。
【0058】
該軸回動支持部材221の左右両側に設けた軸受け孔222に、機体左右方向に設けたガイドローラ支持軸223を左右端が突出する状態で貫通し、ガイドローラ支持軸223に固着の回り止め片223aをエンジンベース2aの支杆2dに当接して回り止めして支持している。尚、エンジンベース2aと軸回動支持部材221との間に、機体の前後バランスを調節するフロントウエイトをボルトで友締めして設けても良い。
【0059】
ガイドローラ支持軸223の機体左左右両端側には等間隔に多数の左右位置調節用貫通孔224を設け、機体右端側には1個の固定用貫通孔225を設けている。
ガイドローラ支持軸223の左左右両端側に左右位置調節部材226の筒状ボス227を嵌め込み、左右位置を調節して固定ピン228を筒状ボス227に設けた位置固定用貫通孔227aを貫通して左右位置調節用貫通孔224に差し込んで左右位置を固定している。
【0060】
また、左右位置調節部材226の下部には、支点用貫通孔229と該支点用貫通孔229を中心とした円弧状貫通孔230を設けている。そして、左右傾斜調節ボス231の上部支持軸232を左右位置調節部材226の支点用貫通孔229に貫通させ、左右傾斜調節ボス231の下部固定用ボルト233を左右位置調節部材226の円弧状貫通孔230に貫通させて、左右傾斜調節ボス231を左右傾斜調節してナット234にて左右位置調節部材226に左右傾斜調節ボス231を固定している。
【0061】
なお、左右傾斜調節ボス231を筒状ボス227に直接固定して畝ガイドローラ220の左右傾斜角を固定にしても良い。
畝ガイドローラ220を回転自在に支持するガイドローラ回転支持具235の上部縦軸236には等間隔に多数の上下位置調節用貫通孔237を設けている。そして、該上部縦軸236を左右傾斜調節ボス231の筒部231aに貫通させ、上下位置を調節して固定ピン238を筒部231aに設けた位置固定用貫通孔231bを貫通して上下位置調節用貫通孔237に差し込んで上下位置を固定している。
【0062】
一方、ガイドローラ支持軸223の機体右端側に上昇用ボス240を嵌め込み、固定ピン241を上昇用ボス240に設けた位置固定用貫通孔242を貫通して固定用貫通孔225に差し込んで固定している。そして、上昇用ボス240に上方に向けて設けたアーム243と前記右走行エクステンションケース10に取り付けられた上側アーム10aとをロッド状の連結具244にて連結している。アーム243は連結具244の全ストロークの中央で該連結具244と直交するようにして効率的にガイドローラ支持軸223が回動する。
【0063】
尚、連結具244の上側アーム10aとの連結部には、融通長孔245を形成した連結プレート244aを固着し、該融通長孔245を通して段付きボルト246で上側アーム10aに連結している。段付きボルト246には連結プレート244aの融通長孔245をスライドする小径部246aを形成している。
【0064】
段付きボルト246には、鎮圧輪8を指示する鎮圧輪支持フレーム38と連結した鎮圧輪リフトロッド247も連結し、路上走行時には畝ガイドローラ220と鎮圧輪8を上昇させるようにする。なお、鎮圧輪リフトロッド247の連結ピンを段付きボルト246と別に上側アーム10a設けて、鎮圧輪8を大きく上昇するようにしても良い。
【0065】
なお、走行エクステンションケース10の上側アーム10aと上昇用ボス240のアーム243との連結は、連結具244に代えて、取付位置調整プレートとスプリング或いはケーブルにしても良い。スプリングにすると畝ガイドローラ220がゴミなどで固定した時に連結部の破損を防止出来る。
【0066】
機体の左右に設けられた畝ガイドローラ220を上下位置、左右位置及び左右傾斜調節して畝Uの側面に接当して回転するように位置調節して、畝Uを跨ぐように左右前輪4及び左右後輪5が畝間を走行して畝Uに移植作業を行なう。
【0067】
畝Uの終端部まで機体を移動すると、油圧昇降シリンダ16を伸長作動させて、横杆19、後輪昇降ロッド20,21、左右上側アーム10aを介してミッションケース3の左右の出力軸回りに左右走行チェーンケース11を下向きに回動させ左右後輪5を下動して機体を上昇させて、機体の旋回を行なうが、この時、左右後輪5の下動に伴って右上側アーム10a、連結具244、上昇用ボス240,ガイドローラ支持軸223,左右位置調節部材226,左右傾斜調節ボス231及びガイドローラ回転支持具235を介して畝ガイドローラ220も上昇するので、機体の旋回が容易に且つ適切に行なえる。
【0068】
尚、移植作業中の左右後輪5の上下動では、連結具244の上側アーム10aとの連結部に設けた融通長孔245にて畝ガイドローラ220が上昇することはなく、適正な移植作業が行なえる。即ち、機体旋回時に、通常の移植作業時の左右後輪5の下動範囲以上に最大限まで左右後輪5を下動させた時のみ、畝ガイドローラ220が上昇する。
【0069】
また、畝ガイドローラ220を上昇させる連係機構を右後輪5の右上側アーム10aと連係したことにより、右後輪5側には機体を左右水平に維持する機構である水平用油圧シリンダ22が設けられていないので(機体を左右水平に維持する機構である水平用油圧シリンダ22によって上下作動するのは左後輪5のみである)、機体旋回時に畝ガイドローラ220は適切なタイミングで上昇し、機体の旋回操作が容易で且つ適切に行なえる。
【0070】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋供給部70及び植付具26を中心とした動作を、説明する。
まず、種芋載置台30の副載置枠33を主載置枠32の後部に引出した状態として、主載置枠32に種芋Cを収容したコンテナAを機体左右方向に3個並べて載置し、副載置枠33に種芋Cを収容したコンテナAを1個載置する。
【0071】
次に、エンジン2を始動して、植付作業の開始に伴って、種芋移植機1は畝Uをまたぐようにしてゆっくりと前進する。一方、エンジン2の回転が回転力伝達部材76cに伝達されて、第1歯車76e1及び第2歯車76e2を介して、回転テーブル71が反時計方向に滑らかに回転する。
【0072】
作業者は、種芋移植機1の左側の作業スペースに位置して、機体の前進に歩調を合わせながら、回転テーブル71の回転に伴って回転する供給カップ72の内、安全カバー40が設置されている所定位置G(図3参照)を通過して、すでに種芋Cが植付具26側に供給されて空になった供給カップ72に対して、副載置枠33に載置したコンテナAから種芋Cを取出して1つずつ補給する。これを繰り返すことにより、8個の供給カップ72には順次、種芋Cが補給されることになる。この時、作業者は、副載置枠33に載置したコンテナAから種芋Cを取出して、側方の種芋供給部70の各供給カップ72に容易に入れることができて、作業性良く且つ作業効率良く移植作業を行なうことができる。なお、副載置枠33に載置したコンテナAの種芋Cが無くなった時は、主載置枠32上の種芋Cが入ったコンテナAを置き換えて作業を続行する。
【0073】
このように、作業者が種芋Cを補給する作業中において、所定位置Gを通過する供給カップ72の中に、誤って指などを入れることを防止できる。仮に、この安全カバー40が設置されていないとすると、供給カップ72の内部に誤って指などを入れた場合、その供給カップ72の下面側の開口縁部と供給口201の内周縁部との間に指などが挟まれる可能性がある。
【0074】
更に、安全カバー本体42は弾性変形可能な部材で構成されているので、仮に、供給カップ72と安全カバー本体42の間に作業者が誤って指を挟んだとしても、安全カバー本体42が指に与えるダメージが少ないので安全性が高いと言える。
【0075】
また、種芋支持板200の上面では、種芋Cが供給カップ72の回転に伴って転がっているので、様々なゴミが溜まりやすい。この様なゴミは、回転テーブル71の裏面に取り付けられたスクレーパ73の回転によってかき集められ、スクレーパ73が、種芋支持板200に設けられたスリット状の長孔部204を通過する際に、その長孔部204から下方に吐き出されると共に、スクレーパ73の傾斜角αに起因して、種芋支持板200の外周側からも常に排出される。
【0076】
一方、供給カップ72の下端の開口は、回転テーブル71の回転により供給カップ72が所定の位置G(図3参照)に来たときを除いて、種芋支持板200により閉じられている。
【0077】
即ち、図4に示すように、所定位置Gを通過する供給カップ72が、供給口201の直ぐ上を通過し始めてからある程度の距離を移動した時(供給カップ72の下端の開口の中心が供給口201の中心と合致するよりも手前の位置に移動したとき)、それまで種芋支持板200の表面を、供給カップ72の回転と共に転がっていた種芋Cは、供給口201の場所まで移動すると、種芋支持板200による支えが無くなっているために、下方へ落下し始める。そして、その種芋Cは、丁度、上死点位置(図1に示す位置)に来た植付具26に供給されて、その後、植付具26が軌跡Bを描いて下方に移動して、最下端に来た時に圃場に種芋Cの植付が行われる。
【0078】
この時、大きな種芋Cを移植する場合、作業者は、供給カップ72の内部円状空間を円形平面部71bの貫通孔71cに合致させた状態でボルトBo・ナットNaにて供給カップ72を円形平面部71bに固定しておく。すると、供給カップ72の内部円柱状空間は最大の貫通孔となり、供給カップ72内に作業者が入れた大きな種芋Cは、供給カップ72の下端の開口の中心が供給口201の中心と合致した時に、供給口201から、丁度、上死点位置に来た植付具26に適切に供給されて、良好な移植作業が行なえる。
【0079】
また、小さな種芋Cを移植する場合、作業者は、供給カップ72の切り欠き部72dが円形平面部71bに嵌り込むように供給カップ72を回転支持軸72b回りに回転テーブル71の回転方向後方側に向けて回動させてボルトBo・ナットNaにて固定すると、移植する小さい種芋Cの大きさに合わせて供給カップ72の内部貫通孔の大きさを小さく調節することができる。よって、供給カップ72内に入れられた小さな種芋Cは、供給カップ72の内部貫通孔内に丁度収まり、然も、供給カップ72を回転テーブル71の回転方向後方側に向けて移動させて調節するので、小さな種芋Cは円形平面部71bの貫通孔71cの回転テーブル71の回転方向後方側で押されて移動することとなり、小さな種芋Cでも円形平面部71bの貫通孔71cと種芋支持板200の供給口201とが合致した時に、丁度、上死点位置に来た植付具26内に適切に供給されることとなり、小さな種芋Cが植付具26内に入らずに外にこぼれてしまって移植作業ができなくなるような事態を回避し、常に適切な移植作業が行える。
【0080】
即ち、植付具26は、図1に示すように、前後方向に2分割して下部を開閉する構成となっている。これにより、回転テーブル71の供給カップ72から受け継いだ一個の種芋Cを収容保持した状態で、上死点位置から軌跡Bで示すように下降し(図1参照)、種芋植付位置で下部を前後に開いて畝Uに植付穴を形成すると共にその植付穴に種芋Cを供給して植え付ける。その後、再び、植付具26は上死点位置に戻る。植付具26の軌跡Bで示す動作は(図1参照)、回転テーブル71の回転動作と同期しており、供給カップ72が所定位置Gに来た時に(図3参照)、植付具26は上死点位置に戻るように構成されている。
【0081】
尚、回転テーブル71の下方にある各駆動部を覆うように防護カバー50が、作業者の作業位置との間を仕切るように配置されているので、作業者が駆動部と接触することを防止出来る。
【0082】
また、植付具26の前方には圃場面感知プレート36が設けられている。圃場面感知プレート36は左右方向の回動支点軸36a回りに回動可能に設けられ、接地することによる圃場面感知プレート36の回動に伴って種芋植付装置60により所定の植付深さとなるように後輪5を昇降する。
【0083】
また、圃場面感知プレート36で、主フレーム15から植付具26の左右側部に向けて杆状のマルチ押え杆28を設けて、植付具26の昇降でマルチフィルムが持ち上がらないようにしている。
【0084】
なお、このマルチ押え杆28は、前記圃場面感知プレート36から後方へ延ばして設けても良い。
鎮圧輪8は、種芋植付位置の後方位置において設けられ、横軸37回りに上下揺動自在な鎮圧輪支持フレーム38に軸受支持されている。また、この鎮圧輪8は、種芋移植機1の進行に伴って畝面を転動し、種芋が植え付けられた後の移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、植付具26で移植穴の前後、特に後方に盛り上がった土手を平らに鎮圧する。
【0085】
これにより、移植した種芋の周辺の土壌を平らにすることができ、ジャガイモの成育を良好にできる。
図12に示す如く、植付具26の昇降で植付具26の前外周に接して泥を掻き落とす杆状の前スクレーパ29と植付具26の後外周に接して泥を掻き落とす板状の後スクレーパ35を鎮圧輪支持フレーム38に向ける。
【0086】
なお、前スクレーパ29に前記のマルチ押え杆28を取り付けても良い。
尚、上記実施の形態では、振り子式の左右傾斜センサ23を設けて、この左右傾斜センサ23の検出により水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成の場合について説明したが、これに限らず例えば、左右傾斜センサ23を備えずに、水平用油圧シリンダ22を作業者自身が手動でコントロールするためのマニュアル式の水平レバーが、作業者が種芋を供給カップ72に補給する作業位置(作業スペース)側であって、後輪5の上方に配置されている構成でも良い。
【0087】
この場合、油圧切替バルブ部17に備えられた左右傾斜バルブを、水平レバーによって操作することにより、水平用油圧シリンダ22が作動する構成である。即ち、作業者が水平レバーを左右方向に移動させることにより、左右傾斜バルブを操作する構成である。
【0088】
また、本発明の移植対象物の一例として上記実施の形態では、ジャガイモ等の種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、種芋以外にラッキョウの球根等の球状体を移植する場合においても本発明が適用できるものであり、上記と同様の効果を発揮する。
【0089】
また、上記実施の形態では、種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、供給カップ72を、野菜苗の標準のカップサイズに構成しておくことにより、野菜苗も植え付け可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 移植機
2 エンジン
2a エンジンベース
2d 下部(横枠)
10a 機体側アーム
220 畝ガイドローラ
221 軸回動支持部材
221b 当接部(サイドアーム)
223 ガイドローラ支持軸
244 連結具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に設けるエンジンベース(2a)上にエンジン(2)を搭載した移植機において、畝ガイドローラ(220)を取り付けるガイドローラ支持軸(223)を横架する軸回動支持部材(221)を前記エンジンベース(2a)の下部に着脱可能に装着したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
軸回動支持部材(221)とエンジンベース(2a)の一方に係合突起(221a)を設けると共に他方に嵌合部(2c)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
軸回動支持部材(221)にエンジンベース(2a)の横枠(2b)に当接する当接部(221b)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項4】
ガイドローラ支持軸(223)に固着の回り止め片(223a)をエンジンベース(2a)の下部(2b)に当接して畝ガイドローラ(220)をガイド作用位置に保持し、ガイドローラ支持軸(223)に固着のアーム(243)と機体の昇降に伴って回動する機体側アーム(10a)を連結する連結具(244)をスプリングとしたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項1】
機体の前部に設けるエンジンベース(2a)上にエンジン(2)を搭載した移植機において、畝ガイドローラ(220)を取り付けるガイドローラ支持軸(223)を横架する軸回動支持部材(221)を前記エンジンベース(2a)の下部に着脱可能に装着したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
軸回動支持部材(221)とエンジンベース(2a)の一方に係合突起(221a)を設けると共に他方に嵌合部(2c)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
軸回動支持部材(221)にエンジンベース(2a)の横枠(2b)に当接する当接部(221b)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項4】
ガイドローラ支持軸(223)に固着の回り止め片(223a)をエンジンベース(2a)の下部(2b)に当接して畝ガイドローラ(220)をガイド作用位置に保持し、ガイドローラ支持軸(223)に固着のアーム(243)と機体の昇降に伴って回動する機体側アーム(10a)を連結する連結具(244)をスプリングとしたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−5782(P2013−5782A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142011(P2011−142011)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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