説明

穀物調製機用集塵装置

【課題】 集塵貯水槽を導風部から引き出して作業のしやすい場所に移して、集塵貯水槽内の排水と堆積している塵埃を取り除く作業を容易に行うことができる穀物調製機用集塵装置を提供する。
【解決手段】 穀物調製機用集塵装置1は、上段に設けた導風部2と、その下段に設けた集塵貯水槽3とで構成される。集塵貯水槽3は、上段の導風部2に対して挿入装着し、かつ引き出し移動自在の可動構造である。集塵貯水槽3は、底部に台車7を、かつ一端側に手押しハンドル14を備えた手押し移動構造である。集塵貯水槽3内に備える水中ポンプ15を手押しハンドル14側に寄せて搭載してある。水中ポンプ15と導風部2側の水噴射ノズルとを接続する中継ホース16の接続口17および集塵貯水槽3に接続する給水ホース19の接続口20を手押しハンドル14側に設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機などの穀物調製機と併用して、その排風口または排塵機の排塵口から排出される排風中の塵埃を分離して収集する穀物調製機用集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀物を通風乾燥する穀物乾燥機において、被乾燥穀物層を通過して排風口から排出される排風には、藁屑、穀物の殻、穎、毛茸、泥あるいは埃などの塵埃が多く含まれている。また、穀物乾燥機には、被乾燥穀物に混入している塵埃を除去する排塵機を付設することもあるが、この排塵機の排塵口からも排風にともなって多くの細塵が排出される。
【0003】
このため、穀物乾燥機の排風口または付設した排塵機の排風口から排出される排風中の塵埃を除去する集塵装置が種々開発されているが、排出される排風を霧膜を通して塵埃を除去する穀物乾燥機用集塵装置は、特開2002−273140公報に、乾燥機からの排風を下向きに導入して水飛沫層を通して塵埃を除去する穀物乾燥機用集塵装置は、特開2003−65676公報に、排風ダクトの排風を貯水タンクの水面に吹き付けて塵埃を除去する装置は、特開平8−192020号公報、特開平7−198259号公報、特開平6−142428号公報、特開平6−142427号公報および実開平7−39916号公報にそれぞれ紹介されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−273140公報
【特許文献2】特開2003−65676公報
【特許文献3】特開平8−192020号公報
【特許文献4】特開平7−198259号公報
【特許文献5】特開平6−142428号公報
【特許文献6】特開平6−142427号公報
【特許文献7】実開平7−39916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の集塵装置や塵埃除去装置は、排風から分離した塵埃を貯水槽内の水中に堆積させるものであるから、作業終了後または作業中の適時に貯水槽の水を抜いたうえ堆積している塵埃を取り除く必要があるが、従来の装置では、何れも貯水槽の上に他の構成体が配置されていて、それらが一体構造となっているので、貯水槽からの排水はともかく、堆積した塵埃を取り除く作業が容易でないのが実情である。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解消しようとするものであって、穀物調製機から排風を導入して集塵貯水槽へ向けて流動させる風路をなすとともにその風路の途中に除塵のための水膜形成構造を備えた導風部の下段に集塵貯水槽を設けて、その集塵貯水槽を上段の導風部に対して挿入装着し、かつ引き出し移動自在の可動構造とすることにより、集塵貯水槽内に堆積した塵埃を取り除くにあたっては、集塵貯水槽を導風部から引き出して作業のしやすい場所に移して、集塵貯水槽内の排水と堆積している塵埃を取り除く作業を容易に行うことができる穀物調製機用集塵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は請求項1ないし4に係る穀物調製機用集塵装置を提供する。すなわち、請求項1に係る穀物調製機用集塵装置は、穀物調製機の排風口または排塵機の排塵口に接続して、排出される排風中の塵埃を分離して収集する集塵装置であって、上段に設けた導風部と、その下段に設けた集塵貯水槽とで構成され、上段の導風部は、穀物調製機から排風を導入して集塵貯水槽へ向けて流動させる風路をなしていて、その風路の途中には下段に配置した集塵貯水槽から汲み上げた水により集塵貯水槽との間を遮断する水膜形成構造を備えており、集塵貯水槽は、上段の導風部に対して挿入装着し、かつ引き出し移動自在の可動構造であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る穀物調製機用集塵装置は、請求項1の構成において、集塵貯水槽は、その底部に台車を、かつ一端側に手押しハンドルを備えた手押し移動構造をなしており、集塵貯水槽内に備える水中ポンプを手押しハンドル側に寄せて搭載し、その水中ポンプと水膜形成構造の水噴射ノズルとを接続する中継ホースの接続口および集塵貯水槽に接続する給水ホースの接続口を手押しハンドル側に設けてあることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る穀物調製機用集塵装置は、請求項1または請求項2の構成において、集塵貯水槽は、手押しハンドル側を起点として先端側を高く傾ける傾斜操作構造を備えており、集塵貯水槽からの排水時に残水を水中ポンプ側に集中させることができることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る穀物調製機用集塵装置は、請求項3の構成において、傾斜操作構造は、集塵貯水槽の手押しハンドル側に備えたペダルを踏むと集塵貯水槽の先端側が押し上げられるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る穀物調製機用集塵装置によれば、穀物調製機から排風を導入して集塵貯水槽へ向けて流動させる風路をなすとともにその風路の途中に除塵のための水膜形成構造を備えた導風部の下段に集塵貯水槽を設けて、その集塵貯水槽を上段の導風部に対して挿入装着し、かつ引き出し移動自在の可動構造とすることにより、集塵貯水槽内に堆積した塵埃を取り除くにあたっては、集塵貯水槽を導風部から引き出して作業のしやすい場所に移して、集塵貯水槽内の排水と堆積している塵埃を取り除く作業を容易に行うことができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一実施の形態に係る穀物調製機用集塵装置を一部破断して示す全体斜視図、図2は同上縦断正面図、図3は同上一部を破断して示す側面図、図4(A)、(B)は同上集塵貯水槽の挿入装着、引き出し構成を示す説明図、図5(A)、(B)は同上集塵貯水槽の挿入装着態様および引き出し態様を示す側面図、図6は集塵貯水槽からの排水態様を示す側面図である。図7は本発明の他の実施の形態に係る穀物調製機用集塵装置を一部破断して示す全体斜視図、図8(A)、(B)は同上集塵貯水槽からの排水態様を示す側面図である。
【0013】
図1ないし図3において、1は穀物調製機用集塵装置である。穀物調製機は例えば穀物乾燥機である。穀物調製機用集塵装置1は、上段に設けた導風部2と、その下段に設けた集塵貯水槽3とで構成され、上段の導風部2は、穀物調製機から排風を導入して集塵貯水槽へ向けて流動させる風路4をなしていて、その風路4の途中には集塵貯水槽3との間を一部遮断するように水膜形成板(円形または四角形)5が水平に設けられており、水膜形成板5には水噴射ノズル6が近接対向してあって、下段に配置した集塵貯水槽3から汲み上げた水を水噴射ノズル6から噴射して集塵貯水槽3との間を遮断する水膜形成構造をなしている。集塵貯水槽3は、その底部に台車7を備えていて、上段の導風部2に対して挿入装着し、かつ引き出し移動自在の可動構造となっている。8は排風口、9は内圧調整口であって、除塵フィルターを備えている。導風部2の集塵貯水槽3に向けて開口している風路4の下端には可撓性垂れ風路10を取り付けて下方への風路延長部11を形成している。12は導入ダクトであって、穀物乾燥機などの穀物調製機の排風口または排塵機の排塵口にダクトを介して接続する。
【0014】
集塵貯水槽3はその台車7に移動車輪13を備えていて移動自在であり、かつ一端側に手押しハンドル14を備えていて手押し移動構造をなしている。集塵貯水槽3内には、その手押しハンドル14側に寄せて水中ポンプ15を搭載しており、この水中ポンプ15と前記水噴射ノズル6とは中継ホース16により接続されていて、中継ホース16の接続口17にはカプラ18を介して中継ホース16が着脱自在となっている。また、集塵貯水槽3には給水ホース19を接続して給水するようになっており、給水ホース19の接続口20にはカプラ21を介して給水ホース19が着脱自在となっている。上記中継ホース16の接続口17および給水ホース19の接続口20は手押しハンドル14側に設けてあって、中継ホース16および給水ホース19はいずれも手押しハンドル14側で着脱できるようになっている。給水ホース19の接続口20には浮子式自動開閉弁22を備えている。
【0015】
集塵貯水槽3は前記のように手押しハンドル14を握って移動させながら図4(A)に示すように導風部2の下に挿入するが、台車7の先端部は前方のガイドフレーム25に倣って、また後端部はガイドプレート31に倣って挿入されるに従い集塵貯水槽3が導風部2に対して定位置で停止するようになっている。更にロック爪23が導風部2の支柱24に係止するとともに先端部はガイドフレーム25に押さえられて最終的には図4(B)に示すように固定状態に装着される。
なお、図4(B)に示すようにロック爪23のロック解除レバー26を手前に引くとその係止状態が解除されるので、集塵貯水槽3を導風部2から引き出すことができる。
【0016】
穀物調製機用集塵装置1を使用するには、集塵貯留槽1の接続口20に給水ホース19を接続して給水して所定の水位まで貯水する。そして、水中ポンプ15を駆動して集塵貯留槽3内の水を中継ホース16を経て水噴射ノズル6から水膜形成板5の上面に噴射して集塵貯水槽3へ通じる風路4を水膜により遮断する状態とする。集塵貯水槽3内の水は水中ポンプ15により循環して繰り返し使用される。
【0017】
このようにして、導入ダクト12に穀物調製機からの排風が導風部2に導入されると、排風に混入している塵埃は水膜との撹拌混合作用により分離され、水膜を形成する水とともに集塵貯水槽3内に落下して堆積される。
【0018】
このため、作業終了後または作業中の適時においても塵埃の堆積量によっては、集塵貯水槽3内の塵埃を除去しなければならないので、その際には先ず図5(A)に示すように中継ホース16を接続口17からはずして手押しハンドル14に掛け、給水ホース19も接続口20からはずす。本発明に係る穀物調製機用集塵装置1においては、水中ポンプ15を集塵貯水槽3の手押しハンドル14側に寄せて搭載してあって中継ホース16の接続口17が手押しハンドル14側に位置しており、給水ホース19の接続口20も手押しハンドル14側に設けてあるので、中継ホース16および給水ホース19を外したり、また接続するのに全て手元作業として便利に行うことができる。
【0019】
中継ホース16および給水ホース19をはずした状態にすると集塵貯水槽3は図5(B)に示すように導風部2から引き出して移動できるので、集塵貯水槽3を適宜の場所まで移動し、集塵貯水槽3に残留している水を抜くため、図6に示すように中継ホース16を下げるか、またそれに必要に応じ排水用延長ホース27を接続し、水中ポンプ15を駆動して排水を行う。そして、集塵貯水槽3内に堆積している塵埃を先端の平らなシャベルなどで掬ったり掻き出して除去する。塵埃を除去した後は集塵貯水槽3を導風部2まで移動して挿入装着し、中継ホース16を接続口17に、給水ホース19を接続口20に接続する。
【0020】
なお、給水ホース19の接続口20を導風部2に設けて、導風部2側から集塵貯水槽3へ注水により給水するように構成すれば、集塵貯水槽3の移動時に給水ホース19をはずす必要はないが、この構成については図示を省略する。
【0021】
また、図7および図8に示す実施の形態にあっては、集塵貯水槽3の台車7に手押しハンドル14側を起点として先端側を高く傾ける傾斜操作構造を備えている。すなわち、集塵貯水槽3の手押しハンドル14側に備えたペダル28にプッシュロッド29によって連動している押し上げローラ30により、ペダル28を踏むと図8(A)の状態から(B)に示すように集塵貯水槽3の先端側が押し上げられて手押しハンドル14側に傾くので、集塵貯水槽3からの排水時に残水を水中ポンプ15側に集中させることができ、排水をより完全に行うことができて、その後の塵埃除去に好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る穀物調製機用集塵装置を一部破断して示す全体斜視図である。
【図2】同上縦断正面図である。
【図3】同上一部を破断して示す側面図である。
【図4】(A)、(B)は同上集塵貯水槽の挿入装着、引き出し構成を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)は同上集塵貯水槽の挿入装着態様および引き出し態様を示す側面図である。
【図6】集塵貯水槽からの排水態様を示す側面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る穀物調製機用集塵装置を一部破断して示す全体斜視図である。
【図8】(A)、(B)は同上集塵貯水槽からの排水態様を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 穀物調製機用集塵装置
2 導風部
3 集塵貯水槽
4 風路
5 水膜形成板
6 水噴射ノズル
7 台車
8 排風口
9 内圧調整口
10 可撓性垂れ風路
11 風路延長部
12 導入ダクト
13 移動車輪
14 手押しハンドル
15 水中ポンプ
16 中継ホース
17 接続口
18 カプラ
19 給水ホース
20 接続口
21 カプラ
22 浮子式自動開閉弁
23 ロック爪
24 支柱
25 ガイドフレーム
26 ロック解除レバー
27 延長ホース
28 ペダル
29 プッシュロッド
30 押し上げローラ
31 ガイドプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物調製機の排風口または排塵機の排塵口に接続して、排出される排風中の塵埃を分離して収集する集塵装置であって、
上段に設けた導風部と、その下段に設けた集塵貯水槽とで構成され、上段の導風部は、穀物調製機から排風を導入して集塵貯水槽へ向けて流動させる風路をなしていて、その風路の途中には下段に配置した集塵貯水槽から汲み上げた水により集塵貯水槽との間を遮断する水膜形成構造を備えており、
集塵貯水槽は、上段の導風部に対して挿入装着し、かつ引き出し移動自在の可動構造である
ことを特徴とする穀物調製機用集塵装置。
【請求項2】
集塵貯水槽は、その底部に台車を、かつ一端側に手押しハンドルを備えた手押し移動構造をなしており、集塵貯水槽内に備える水中ポンプを手押しハンドル側に寄せて搭載し、その水中ポンプと水膜形成構造の水噴射ノズルとを接続する中継ホースの接続口および集塵貯水槽に接続する給水ホースの接続口を手押しハンドル側に設けてあることを特徴とする請求項1記載の穀物調製機用集塵装置。
【請求項3】
集塵貯水槽は、手押しハンドル側を起点として先端側を高く傾ける傾斜操作構造を備えており、集塵貯水槽からの排水時に残水を水中ポンプ側に集中させることができることを特徴とする請求項1または請求項2記載の穀物調製機用集塵装置。
【請求項4】
傾斜操作構造は、集塵貯水槽の手押しハンドル側に備えたペダルを踏むと集塵貯水槽の先端側が押し上げられるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の穀物調製機用集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−57125(P2007−57125A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240608(P2005−240608)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】