説明

穀粒乾燥機の張込量検出装置

【課題】穀粒乾燥機の張込穀粒量検出装置において検出箱体への穀粒や塵埃類の侵入を少なくする。
【解決手段】錘(22)を吊り下げる紐(23)を巻回する検出ドラム(24)及び検出モータ(25)と、錘(22)の上限位置を検出する錘検出手段(31)及び上限検出スイッチ(32)と、錘(22)の張込穀粒位置を検出する錘下限検出手段(32)及び下限検出スイッチ(26)とを設け、検出箱体(21)内には左右に仕切る仕切板(38)を設け、左右一方には検出ドラム(24)、下限検出スイッチ(26)、上限検出スイッチ(32)、錘下限検出手段(29)、錘上限検出手段(31)を設け、左右他方には検出モータ(25)及びハーネス(36)を設ける。検出箱体(21)の底板より下方に突出している板状の錘上限検出手段(31)の先端部を紐(23)が通過する貫通孔(21e)の下方に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒乾燥機の張込量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒乾燥機の張込量検出装置において、ドラムを正回転しながら錘の付いた紐を巻き降ろし錘が張込穀粒上面へ当接した下限位置を検出し、次いで、ドラムを逆回転しながら紐を巻き上げ錘が上限位置へ移動させ、ドラムの下限位置から上限位置までの回転数により、穀粒の張込量を検出する技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2001−82877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、ドラムやスイッチ等を配設する検出箱体内に穀粒や塵埃類が侵入する不具合があった。そこで、本発明はこのような張込量検出装置において、張込穀粒量の測定精度を向上しながら検出箱体への穀粒や塵埃類の侵入を少なくしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記課題を解決するために次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、検出箱体(21)内には、錘(22)を吊り下げる紐(23)を巻回する検出ドラム(24)と、該検出ドラム(24)を駆動する検出モータ(25)と、前記錘(22)の上限位置を検出する上限検出スイッチ(32)と、前記錘(22)の張込穀粒位置を検出する下限検出スイッチ(26)と、前記上限検出スイッチ(32)と下限検出スイッチ(26)に接続されているハーネス(36)と、前記錘(23)が上限位置に到達したことを検出する錘上限検出手段(31)と、前記錘(23)が張込穀粒位置に到達したことを検出する錘下限検出手段(29)とにより構成されている穀粒乾燥機の張込穀粒量検出装置(20)において、
前記検出箱体(21)内には左右に仕切る仕切板(38)を設け、検出箱体(21)の左右一側の検出空間部(21c)には前記検出ドラム(24)、下限検出スイッチ(26)、上限検出スイッチ(32)、錘下限検出手段(29)、錘上限検出手段(31)の基端部(31a)を設け、左右他側の電装空間部(21d)には前記検出モータ(25)及びハーネス(36)を設け、
前記検出空間部(21c)の底板(38b)には前記紐(23)の通過する貫通孔(21e)を設け、前記検出箱体(21)の底板を貫通して下方に突出する錘上限検出手段(31)の先端部(31c)を前記貫通孔(21e)の下方に位置させたことを特徴とする穀粒乾燥機の張込量検出装置とする。
【0005】
前記構成によると、仕切板(38)により左右に仕切られている検出箱体(21)の検出空間部(21c)では、検出ドラム(24)が巻下げ回転すると、紐(23)は貫通孔(21e)を通過しながら巻き降ろされ錘(22)は下降する。穀粒の張込位置である下限位置まで錘(22)が移動すると、錘下限検出手段(29)を介して下限検出スイッチ(26)が作動し、検出ドラム(24)が停止し巻き上げ回転を開始する。紐(23)が巻き上げられて錘(22)が上限位置まで上昇すると、錘上限検出手段(31)を介して上限検出スイッチ(32)が作動し、検出ドラム(24)が停止する。そして、下限位置から上限位置までの検出ドラム(24)の回転数により、張込穀粒量が測定される。また、検出箱体(21)の紐(23)の通過する貫通孔(21e)の下方には錘上限検出手段(31)の先端部が位置していて、穀粒等の検出箱体(21)内への侵入が防止される。
【0006】
請求項2の発明は、前記錘上限検出手段(31)を板状体に構成し、板状体の基端部(31a)を検出箱体(21)内で軸支して前記上限検出スイッチ(32)に当接可能に構成し、板状体の中途部(31b)を底板(38b)に形成する開口部(21f)から下方に突出させ、板状体の先端部(31c)で前記貫通孔(21e)の下方を覆うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥機の張込量検出装置とする。
【0007】
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、板状体の錘上限検出手段(31)の基端部(31c)は検出箱体(21)内で軸支されていて上下回動し、上限検出スイッチ(32)への当接により錘(22)の上限位置への移動が検出され、また、板状体の中途部(31b)は開口部(21f)内を上下しながら回動し、板状体の先端部(31c)により貫通孔(21e)の下方が覆われ、穀粒等の検出箱体(21)内への侵入が防止される。
【0008】
請求項3の発明は、板状体の錘上限検出手段(31)を、軸支されている基端部(31a)と、該基端部(31a)の先端から下方に屈折する中間屈折部(31b)と、該中間屈折部(31b)の下端から先端側に延出している先端部(31c)により構成し、開口部(21f)内で上下方向に沿っている中間屈折部(31b)を上下移動するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の穀粒乾燥機の張込量検出装置とする。
【0009】
前記構成によると、板状体により基端部(31a)、中間屈折部(31b)及び先端部(31c)で屈折構成されている錘上限検出手段(31)は、検出箱体(21)の底板に開口部(21f)を上下方向に沿った中間屈折部(31b)が上下に移動しながら上下回動し、錘(22)の上限位置が検出される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、検出箱体(21)の検出空間部(21c)の底板に設けられている紐(23)通過用の貫通孔(21e)の下方には、錘上限検出手段(31)の先端部(31c)があるため、拡散穀粒や塵埃類が検出箱体(21)に入りにくく、また、検出箱体(21)には仕切板(38)で仕切っているので、検出空間部(21c)に侵入した塵埃類が電装空間部(21d)に入り込みにくくなり、また、電装空間部(21d)へのハーネス(36)の配索が容易になる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明の前記効果に加えて、板状体の錘上限検出手段(31)の先端部(31c)により貫通孔(21e)の下方が覆われているので、拡散穀粒や塵埃類の検出箱体(21)への侵入を良好に防止することができる。
【0012】
請求項3の発明は、板状体により基端部(31a)、中間屈折部(31b)及び先端部(31c)で屈折構成されている錘上限検出手段(31)は、検出箱体21の底板の開口部(21f)を上下方向の中間屈折部(31b)が上下に移動しながら回動するので、開口部(21f)を小さくし、穀粒や塵埃類の検出箱体(21)への侵入を少なくしながら、錘上限検出手段(31)の回動角度を大きくすることができ、検出精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の穀粒乾燥機の実施形態について説明する。図1には穀粒乾燥機の正面図、図2には穀粒乾燥機の側面図が図示されている。
穀粒乾燥機は、穀粒を収納する多段の箱体1を備え、箱体1の前側には穀粒揚穀用の昇降機2と、熱風発生用の燃焼バーナ4を内装している燃焼バーナ収容室5と、乾燥作業操作用の各種スイッチを備えた操作盤6を備え、箱体1の天井部には昇降機2で揚穀した穀粒を箱体1内に搬送する搬送装置3を備えている。
【0014】
また、箱体1の後側には、箱体1内の熱風を吸引排出する吸引排気ファン7を備え、箱体1の左右一側には穀粒投入口(図示省略)と開閉扉(図示省略)を備えている。そして、前記昇降機2には穀粒の水分を検出する水分計9と、箱体1内の穀粒を機外に排出する穀粒排出口18を設け、搬送装置3の搬送中途部には集塵装置50(図6に示す)を設け、搬送穀粒に混じる藁屑類を除去するように構成している。また、操作盤6内には乾燥作業制御用のマイクロコンピュータ41を備えている。
【0015】
箱体1の上部には貯溜室10を、下部には乾燥室11を備えている。前記搬送装置3の終端側には拡散羽根12を設け、搬送装置3の上部ラセン3aで搬送された穀粒を貯溜室10に拡散するように構成している。また、箱体1の貯溜室10の天井部には張込穀粒量検出装置20を設けている。
【0016】
乾燥室11は、燃焼バーナ4により発生した熱風が流れる熱風室13と、貯溜室10の穀粒が流下する流下通路14,14と、吸引排気ファン7に連通している排風室15により構成されている。なお、燃焼バーナ4の燃焼面を熱風室13に対向配置している。流下通路14,14の下端部にはロータリバルブ16を設け、流下通路14,14の穀粒を所定量ずつ繰り出し、繰り出した穀粒を下部ラセン17で昇降機2に搬送している。
【0017】
次に、図3〜図6に基づき前記張込穀粒量検出装置20について説明する。
張込穀粒量検出装置20は、検出箱体21の天井部上面に載置されている検出装置内装用の検出箱体21と、例えば金属製の錘22の取り付けられている紐23を巻き付ける検出ドラム24と、検出ドラム24を正逆回転する検出モータ25と、下降した錘22が貯溜室10の張込穀粒上面に当接したことを検出するリミットスイッチ式の下限検出スイッチ26と、回転自在に軸支されていている軸27と、軸27を図3において時計方向に回動付勢するバネ28と、軸27に取り付けられていて紐通し部29aの形成されている紐通し棒29と、紐通し棒29に当接連係して上下回動して下限検出スイッチ26をON/OFFする検知棒30と、軸27に取り付けられている錘上限検出板31と、錘上限検出板31によりON/OFFされ且つ検出ドラム24で巻き上げた錘22の上限位置を検出するリミットスイッチ式の上限検出スイッチ32と、検出ドラム24の回転数を検出する回転数センサ33(この実施形態では近接センサにより構成している)により、構成されている。
【0018】
そして、検出箱体21の底板には前記紐23の通過する貫通孔21eを設けている。また、前記錘上限検出板31は平面視で板状に構成し、軸27に支持している基端部31aと、基端部31aの先端から下方に屈折する中間屈折部31bと、中間屈折部31bの下端から先端側に延びる先端部31cにより構成されていて、検出箱体21の底板21には中間屈折部31bが上下に移動する開口部21fを設けている。
【0019】
なお、検出ドラム24の周面に多数の孔24a,…を構成し、バネ34により付勢される係止部材35が孔24aに入り込むことにより、検出ドラム24が錘22の重さで回転しないように係止している。
【0020】
前記構成によると、検出モータ25を正回転し検出ドラム24を正回転させる。次いで、紐23が巻き下げられて錘22が下降し、錘22が貯溜室10内に張り込まれた穀粒の上面に当接する。すると、紐23の緩みにより、紐通し棒290が図3の仮想線で示すように時計方向に回動し、検知棒30も同じ方向に回動し、下限検出スイッチ26をONし、錘22の張込位置への移動を検出する。
【0021】
次いで、検出モータ25を逆回転を開始し、検出ドラム24が逆回転し、紐23が巻き上げられて錘22が上昇する。そして、錘22が上限位置に移動すると、錘上限検出板31に当接し、図3の仮想線で示すように、錘上限検出板31が時計方向に回動し上限検出スイッチ32をONし、錘22の上限位置への移動を検出する。しかして、錘22の穀粒張込位置から上限位置までの検出ドラム21の回転数を回転数センサ33により検出し、張込穀粒量を測定する。
【0022】
操作盤6には、図18に示すように、張込スイッチSW1、通風乾燥スイッチSW2、乾燥スイッチSW3、排出スイッチSW4、停止スイッチSW5、緊急停止スイッチSW6の運転スイッチを設けている。
【0023】
次に、運転スイッチの操作と張込穀粒量検出装置20の作動関係について説明する。
オペレータが張込スイッチSW1を押すと、昇降機2、搬送装置3及び拡散羽根4が駆動を開始し、穀粒の張込ホッパ(図示省略)に穀粒を投入する。すると、穀粒は昇降機2で揚穀され、搬送装置3で搬送され、拡散羽根12で貯溜室10内に拡散しながら張り込まれる。張込作業を終了させるときには、オペレータが停止スイッチSW5を押すことで、昇降機2等が停止する。
【0024】
前記張込スイッチSW1を押して張込作業を開始し、次いで、停止スイッチSW5を押し張込作業を停止する。すると、これらのスイッチSW1,SW5の操作が検出されることにより、張込穀粒量検出装置20が張込穀粒量の測定を開始する。
【0025】
しかして、検出ドラム24が巻き下げ回転を開始し、錘22を下降させ、錘22が貯溜室10内の張込穀粒の上面Mまで下降すると、紐23が弛緩し、紐通し棒29が時計方向に回動し、検知棒30も同方向に移動し、下限検出スイッチ26のON操作がなされる。すると、錘22が張込穀粒の上面Mに当接したと判定し、検出ドラム24の巻き下げ回転が停止する。
【0026】
次いで、張込穀粒の上面位置の検出後所定時間が経過すると、検出モータ25は巻き上げ回転を開始し、検出ドラム24は錘22を巻き上げ上昇させる。錘22が錘上限検出板31の先端部31cに当接すると、錘上限検出板31が上方に回動し、錘上限検出板31の基端部31aが上限検出スイッチ32から離れると、錘22が上限位置まで到達したと判定し、検出ドラム24の巻き上げ回転が停止する。
【0027】
錘22が下限位置から上限位置に上昇している間、回転数センサ33が検出ドラム24の回転数を検出し、巻き上げ回転数により所定の計算式により穀粒張込量が演算され、LCD表示部52(図18に示す)に張込量が表示される。また、当該演算された張込量と予め設定されている熱風温度、乾燥仕上水分値により、所定の計算式により、乾燥所要時間が演算されLCD表示部52に表示される。
【0028】
張込量検出作動が終了し張込量及び乾燥所要時間が表示されると、乾燥スイッチ42のON操作が可能となり、オペレータが乾燥スイッチSW3を押すと、燃焼バーナ4が燃焼を開始し、穀粒は穀粒乾燥機内を循環し乾燥される。そして、乾燥作業が終了し排出スイッチSW5を押すと、穀粒は穀粒排出口18から機外に排出される。
【0029】
次に、図13に基づき、検出箱体21の天井部への張込穀粒量検出装置20の取り付け状態について説明する。
箱体1の天井部左右中央には前記搬送装置3を配設し、天井部の中央には拡散羽根12を配設し、天井部の搬送装置3及び拡散羽根12から離れた周辺部に、検出箱体21を載置している。
【0030】
また、検出箱体21内には左右方向に仕切る仕切板38を設け、左右一側の検出空間部21cには、検出ドラム24、下限検出スイッチ26、上限検出スイッチ32、紐通し棒29、錘上限検出板31を設け、左右他側の電装空間部21dには、検出モータ25及びハーネス36を設けている。
【0031】
また、前記仕切板38を、仕切板部38aと、底板部38bと、低い側板38により変形凹型に折り曲げ構成している。仕切板部38aと低い側板38cに軸架した軸27により錘上限検出板31を支架し、仕切板部38aの検出空間部21c側に、検出ドラム24、下限検出スイッチ26、上限検出スイッチ32を取り付け、仕切板部38aの電装空間部21d側に検出モータ25を取り付けている。
【0032】
また、検出箱体21には、前記拡散羽根12に近い中央寄り軸27を設けて、錘上限検出板31の基端部を軸支し、先端部が外周寄りに位置するように配置し、拡散羽根12は図5で時計方向に回転しながら穀粒を拡散張込している。
【0033】
しかして、基端部31a、中間屈折部31b及び先端部31cにより屈折構成されている錘上限検出板31は、錘22の上昇により錘上限検出板31の基端部31aが上方に回動する。すると、検出箱体21内の上限検出スイッチ32から離脱し、錘22の上限位置への移動を検出する。また、錘22が下降し錘上限検出板31が下方に回動すると、錘22の上限位置からの下降を検出する。
【0034】
また、錘上限検出板31の上下回動時には、上下方向に沿った中間屈折部31bが狭い開口部21fを通りながら上下に回動する。そして、錘上限検出板31の下方回動時には、基端部31aが底板21により支持されて先端側ほど下り傾斜となり、先端部31cが検出箱体21の下方に突出した状態で停止し、先端ほど下り傾斜状の突出状態で、検出空間部21cにおける底板21の紐23通過用の貫通孔21eの下方を覆うように構成している。
【0035】
前記構成によると、拡散羽根12により中央側から外周側に向けて穀粒及び塵埃類が飛散してくると、検出箱体21の底板21aより下方に突出している錘上限検出板31の先端部31cの基端部ほど高い傾斜面により、検出箱体21の下方に向けて案内し、検出箱体21内への塵埃類の侵入を少なくすることができる。
【0036】
また、検出箱体21の底板21aの開口部21fから侵入した拡散穀粒や塵埃類は仕切板38に遮られて電装空間部21dに入りにくくなり、また、ハーネス36の配索が容易になる。
【0037】
また、図3に示すように、検出箱体21の底板21aの開口部21fにおける拡散装置12には、侵入防止板37,37を対向配置している。この侵入防止板37,37を検出箱体21の天井に垂下するように取り付け、検出箱体21の開口部21fの中央寄り部分を覆うようにしている。
【0038】
前記構成によると、侵入防止板37,37により、検出箱体21の底板21aの開口部21fからの塵埃類の侵入を防止することができる。また、検出箱体21の侵入防止板37,37に対応するように検出箱体21を取り付ければよく、検出箱体21の箱体1への誤組みを防止することができる。
【0039】
次に、図8及び図9により張込穀粒量検出装置20の検出値補正方法について説明する。
張込穀粒量検出装置20の検出値に対して、検出レベルを例えば大量張込領域(α)、中量張込領域(β)及び少量張込領域(γ)に区分し、所定の計算式により補正しながら検出値を算出決定しようとするものである。
【0040】
張込穀粒量の大小により、拡散羽根12による穀粒の拡散具合が異なるため、測定距離と検出ドラム24の検出パルス数の関係から張込穀粒量を直線状の単純な計算式(図9の直線K)で演算し導き出した検出値では、穀粒の拡散状態に応じた検出値の演算ができなく、精度の高い検出ができないという不具合があった。この実施形態はこのような不具合を解消しようとするものである。
【0041】
図8に示すように、張込穀粒量の検出パルス数が測定されると(ステップS1)、検出値が高基準値(α)以上であるか否かを判定する(ステップS2)。Yesであると、計算式「張込穀粒量=A×x+B」により、図9のKa直線により算出する(ステップS3)。なお、xは検出ドラム24の回転数センサ33によるパルスカウント数である。
【0042】
また、検出値が高基準値(α)以上であるか否かを判定し(ステップS2)、Noであると、次いで、「高基準値α≧検出値>中基準値β」か否かを判定する(ステップS4)。Yesであると、計算式「張込穀粒量=C×x+D」により、図9のKb直線により算出する(ステップS5)。また、Noであると、計算式「張込穀粒量=E×x+F」により、図9のKc直線により算出する(ステップS6)。
【0043】
前記構成によると、検出値に応じて補正値を加味した計算式により演算するので、張込穀粒量の大小で拡散羽根12による穀粒の拡散具合が変化しても、検出精度を高めることができる。
【0044】
また、図10のように検出してもよい。張込穀粒量の検出パルス数が測定されると(ステップS11)、検出値が高基準値(α)以上であるか否かを判定し(ステップS12)、Yesであると、計算式「張込穀粒量=A×x+B+張込大量補正値」により算出する(ステップS13)。なお、xは検出ドラム24の回転数センサ33によるパルスカウント数である。
【0045】
また、検出値が高基準値(α)以上であるか否かを判定し(ステップS12)、Noであると、「高基準値α≧検出値>中基準値β」か否かを判定し(ステップS14)、Yesであると、計算式「張込穀粒量=A×x+B+張込中量補正値」により算出する(ステップS15)。また、Noであると、計算式「張込穀粒量=A×x+B+張込少量補正値」により算出する(ステップS16)。
【0046】
前記構成によると、前記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、穀粒種類により安息角が異なるため、穀粒種類の設定に基づき更に補正してもよい。
【0047】
また、張込穀粒量検出装置20により張込穀粒量を検出するにあたり、張込量計算式を穀粒種類及び水分値による補正項目を設け、穀粒張込時に所定時間毎に水分値を検出記憶し、最終の水分値データを用いて補正すると、正確な張込穀粒量の検出をすることができる。
【0048】
また、張込穀粒量検出装置20により張込穀粒量を検出するにあたり、張込量計算式を穀粒種類及び水分値による補正項目を設け、張込時に所定時間毎に水分値を検出し、最新の水分値データだけを記憶しておき、最終の水分値データを用いて補正するようにすると、正確な張込穀粒量の検出をすることができる。
【0049】
次に、図11により張込穀粒量検出装置20による他の実施形態ついて説明する。張込穀粒量検出装置20で張込穀粒量を検出するにあたり、張込作業終了後に乾燥作業が開始されると、張込穀粒量の仮検出をし、張込穀粒量の仮設定をして乾燥作業を開始し、表示画面に仮検出の張込穀粒量を表示する。次いで、乾燥開始から所定時間後に再度張込穀粒量を検出し、張込穀粒量を再度設定し表示するようにする。なお、図11はそのフローチャートである。
【0050】
穀粒の張込が終了し、乾燥作業の開始により穀粒が循環すると、穀粒のかさが増加する。前記構成によると、張込時に張込穀粒量を検出し表示するので、乾燥開始時のオペレータの不安を解消することができ、また、穀粒のかさが増加した時点で再度張込穀粒量を検出し設定し表示するので、張込穀粒量を適正なものとし、乾燥精度を高めることができる。
【0051】
また、張込穀粒量を検出するにあたり、張込作業終了後に乾燥作業が開始されると、張込穀粒量の仮検出を実行し張込穀粒量の仮設定をし、表示画面に仮検出の内容を表示する。次いで、水分計9による初期水分測定が所定回数終了すると、再度張込穀粒量を検出し、張込穀粒量を再度設定し表示するようにしてもよい。なお、図12はそのフローチャートである。
【0052】
次に、図5に示す検出ドラム24の回転数検出用の回転数センサ33について、他の実施形態を説明する。
この回転数センサ33を近接スイッチにより構成し、検出ドラム24には樹脂部材(例えば軟塩化ビニール)24bを介在させてマグネット24cを取り付け、近接スイッチによりマグネット24cの通過を検出するように構成している。
【0053】
検出ドラム24の側面にマグネット24cを直接ビス止めすると、マグネット24cの磁力曲線が変わるため、近接スイッチの検出距離が短くなるという不具合があった。しかし、前記構成によると、安価な構成にかかわらず、検出距離を1.5倍程度に増やすことができ、前記不具合を解消することができる。
【0054】
次に、図14乃至図15に基づき穀粒乾燥機の制御装置について説明する。
操作盤6の下側部には、図14に示すように張込スイッチSW1、通風乾燥スイッチSW2、乾燥スイッチSW3、排出スイッチSW4、停止スイッチSW5及び緊急停止スイッチSW6を設けている。
【0055】
また、上部左側部には、LCD表示部51を設けている。このLCD表示部51には、設定用の穀粒種類設定スイッチSW7、張込量設定スイッチSW8、水分設定スイッチSW9、乾燥速度設定スイッチSW10、乾燥モード設定スイッチSW11、及び、これら設定項目の表示欄を設けている。また、上部右側部には、熱風温度、水分値、乾燥残時間を表示する数値表示部52、及び、表示項目を点滅表示するLED表示灯53,…を設けている。
【0056】
また、図15に示すように、マイクロコンピュータ41の入力側には、前記運転スイッチSW1〜SW6、設定スイッチSW7〜SW11であるタッチスイッチ、水分センサSE1、温度センサSE2、デジタルセンサSE3、アナログセンサSE4、回転数センサ33等により、各種スイッチ、センサ情報が入力される。これらの入力情報を不揮発メモリ56に記憶し取り出すようにしている。
【0057】
また、マイクロコンピュータ41の出力側から吸引排気ファンモータM1、昇降機モータM2、ロータリバルブモータM3、燃焼バーナ4の駆動手段4a、LCD表示部51、LCD表示部51のバックライト51a、LCD表示部51aのLED表示灯53、…、ブザー54に制御信号が出力される構成である。
【0058】
しかして、図16に示すように、乾燥スイッチSW3をONし乾燥作業が開始されると(ステップS41)、マイクロコンピュータ41から張込穀粒量検出の出力処理がなされ(ステップS42)、不揮発メモリ56から記憶されている張込穀粒量の入力処理がなされる(ステップS43)。
【0059】
次いで、張込穀粒量のデータ判定に移行し(ステップS44)、張込穀粒量データがあるか否かの判定がなされる(ステップS45)。Yesであると、LCD表示部51の張込設定スイッチSW8の表示欄に測定張込穀粒量が表示される(ステップS46)。また、Noの場合には、図17(A)に示すように、LCD表示部51に設定項目画面が表示され(ステップS47)、張込量設定スイッチSW8が点滅し、張込穀粒量のキーボードKによる手動入力を促し(ステップS48)、ブザーが所定時間ONする(ステップS49)。
【0060】
しかして、表示画面右下のタッチスイッチ「進む」を押すと、図17(B)に示す張込量設定画面が表示され、キーボードKを操作し、張込穀粒量である数値を入力する。そして、表示画面右下のタッチスイッチ「戻る」を押すと、図17(A)の設定項目画面に復帰する。
【0061】
前記構成によると、乾燥作業の開始時に、張込穀粒量検出装置20の異常や水分測定時の誤操作により水分値測定ができなかった場合には、張込穀粒量の手動設定に移行するので、張込穀粒量の手動設定を迅速に行なうことができる。
【0062】
次に、図18により、張込穀粒量検出装置20の自動張込検出について説明する。
この実施形態は、張込量検出装置20による自動測定機能を具備する穀粒乾燥機において、穀粒張込中の昇降機駆動モータM2の負荷電流値を監視し、負荷電流値が所定値以下になると張込作業終了と判定し、張込穀粒量検出装置20が自動測定を開始し、複数の測定張込穀粒量中から最大値のものを選び、最終の穀粒張込量と判定するものである。
【0063】
張込スイッチSW1がONすると(ステップS51)、張込量測定指令が出力され(ステップS52)、昇降機モータM2の負荷電流値の検出がされ(ステップS53)、検出負荷電流値が所定値以下か否かの判定がなされる(ステップS54)。
【0064】
Noであると、前記ステップS53に戻り、また、Yesであると、前記検出モータ25をONし(ステップS55)、前記検出ドラム24の測定値が読み込まれ(ステップS56)、張込穀粒量が算出され(ステップS57)、検出モータ25がOFFされる(ステップS58)。
【0065】
次いで、測定張込穀粒量データが不揮発メモリ56に書き込まれ(ステップS59)、張込作業の終了か否かの判定がなされる(ステップS60)。Noであると、前記ステップS53に戻り、また、Yesであると、張込量測定出力が停止され(ステップS61)、複数のデータから最大張込穀粒量データを張込穀粒量と判定され(ステップS62)、最大張込穀粒量データが不揮メモリ56に書き込まれる。
【0066】
次いで、乾燥スイッチSW3がONされると(ステップS64)、不揮発メモリ56から張込穀粒量データが読み出されて(ステップS65)、張込穀粒量の設定がなされ(ステップS66)、乾燥作業出力がされる(ステップS67)。
【0067】
前記構成によると、張込作業の中断しているときに、張込穀粒量の測定を行なうことができ、安定した張込穀粒量の測定をすることができる。また、張込停止後に張込スイッチSW1を操作することなく張込穀粒量の測定を再開できるので、オペレータの操作が簡単になる。
【0068】
また、張込穀粒量検出装置20で張込穀粒量を測定するにあたり、張込スイッチSW1をONして張込作業を開始し、次いで、停止スイッチSW5をONし張込作業を停止すると、その都度マイクロコンピュータ41から張込穀粒量の測定指令を出力して張込穀粒量を測定し、不揮発メモリ56に最新の張込穀粒量を記憶するように構成してもよい。
【0069】
前記構成によると、オペレータは乾燥スイッチSW3をONした乾燥開始時に、検出箱体21への目視張込具合と測定張込穀粒量とを比較し、相違している場合には、乾燥作業を停止し、張込穀粒量検出装置20を作動し張込穀粒量の測定を再度行い最新の張込穀粒量に更新し、乾燥作業を再開することができる。
【0070】
また、張込作業を停止後に乾燥スイッチSW3をONして張込穀粒量の測定を開始する。しかし、停電や緊急停止があると、張込穀粒量が前のデータのままとなり、そのまま乾燥作業を開始すると、実際の張込量よりも設定張込量が少なく、乾燥に時間がかかったり、水分のバラツキが解消されないで乾燥が終了する等の不具合が発生する。しかし、前記構成によると、このような不具合を解消することができる。
【0071】
また、次のように構成してもよい。張込穀粒量検出装置20を具備する穀粒乾燥機において、マイクロコンピュータ41への接続ハーネスに張込穀粒量検出装置20の有り無し検出用のショート端子を設け、前記ショート端子のショートあるいはオープンを電源投入時に読み取り、張込穀粒量検出装置20の有無判定手段を具備するように構成する。
【0072】
前記構成によると、張込穀粒量検出装置20の有無を判定することができ、張込作業終了時に、張込穀粒量検出装置20による張込量測定に自動的に移行したり、また、張込量の手動設定に自動的に移行させることができ、乾燥作業を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】正面から見た穀粒乾燥機の内部を説明する図
【図2】側面から見た穀粒乾燥機の内部を説明する図
【図3】(A)平面から見た張込量検出装置の内部を説明する図 (B)側面から見た張込量検出装置の内部を説明する図
【図4】張込量検出装置の部材各部を説明する斜視図
【図5】平面から見た張込量検出装置の内部を説明する図
【図6】張込量検出装置の内部を説明する斜視図
【図7】側面から見た張込量検出装置の内部を説明する図
【図8】フローチャート
【図9】張込穀粒量の計算式を示す図
【図10】フローチャート
【図11】フローチャート
【図12】フローチャート
【図13】穀粒乾燥機の平面図
【図14】操作盤図
【図15】ブロック図
【図16】フローチャート
【図17】操作盤の表示画面
【図18】フローチャート
【符号の説明】
【0074】
1 箱体
20 張込穀粒量検出装置
21 検出箱体
22 錘
23 紐
24 検出ドラム
25 検出モータ
26 下限検出スイッチ
29 錘下限検出手段
31 錘上限検出手段
32 上限検出スイッチ
38 仕切板
21c 検出空間部
21d 電装空間部
21e 貫通孔
21f 開口部
31a 基端部
31b 中間屈折部
31c 先端部
36 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出箱体(21)内には、錘(22)を吊り下げる紐(23)を巻回する検出ドラム(24)と、該検出ドラム(24)を駆動する検出モータ(25)と、前記錘(22)の上限位置を検出する上限検出スイッチ(32)と、前記錘(22)の張込穀粒位置を検出する下限検出スイッチ(26)と、前記上限検出スイッチ(32)と下限検出スイッチ(26)に接続されているハーネス(36)と、前記錘(23)が上限位置に到達したことを検出する錘上限検出手段(31)と、前記錘(23)が張込穀粒位置に到達したことを検出する錘下限検出手段(29)とにより構成されている穀粒乾燥機の張込穀粒量検出装置(20)において、
前記検出箱体(21)内には左右に仕切る仕切板(38)を設け、検出箱体(21)の左右一側の検出空間部(21c)には前記検出ドラム(24)、下限検出スイッチ(26)、上限検出スイッチ(32)、錘下限検出手段(29)、錘上限検出手段(31)の基端部(31a)を設け、左右他側の電装空間部(21d)には前記検出モータ(25)及びハーネス(36)を設け、
前記検出空間部(21c)の底板(38b)には前記紐(23)の通過する貫通孔(21e)を設け、前記検出箱体(21)の底板を貫通して下方に突出する錘上限検出手段(31)の先端部(31c)を前記貫通孔(21e)の下方に位置させたことを特徴とする穀粒乾燥機の張込量検出装置。
【請求項2】
前記錘上限検出手段(31)を板状体に構成し、板状体の基端部(31a)を検出箱体(21)内で軸支して前記上限検出スイッチ(32)に当接可能に構成し、板状体の中途部(31b)を底板(38b)に形成する開口部(21f)から下方に突出させ、板状体の先端部(31c)で前記貫通孔(21e)の下方を覆うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥機の張込量検出装置。
【請求項3】
板状体の錘上限検出手段(31)を、軸支されている基端部(31a)と、該基端部(31a)の先端から下方に屈折する中間屈折部(31b)と、該中間屈折部(31b)の下端から先端側に延出している先端部(31c)により構成し、開口部(21f)内で上下方向に沿っている中間屈折部(31b)を上下移動するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の穀粒乾燥機の張込量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−121798(P2009−121798A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299494(P2007−299494)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】