説明

穀粒処理機の異物選別除去装置

【課題】大径の石と小径の砂と藁屑とを分離できる穀粒処理機の異物選別除去装置にすることを課題とする。
【解決手段】穀粒処理機に穀粒を供給する昇降機28の下部投入口29に被選別穀粒から大小の異物を分離する粗選別装置6を設けて、選別後の穀粒を昇降機28で揚穀して穀粒処理機に供給すべくして穀粒処理機の異物選別除去装置を構成した。
また、選別ケース4内に、穀粒よりも小径の異物を漏下する第一選別板2を被選別穀粒の供給位置から下り傾斜に設けると共に漏下する異小径物を選別ケース4外へ排出する小径異物排出シュート20を設け、前記第一選別板2の下端下部から穀粒を漏下する第二選別板3を下り傾斜に設け、この第二選別板3から漏下する穀粒を昇降機28内に導入し、第二選別板3上に溜まる大径異物を選別ケース4外へ排出する大径異物シュート44を前記小径異物排出シュート20と別体或は一体として設けて粗選別装置6を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被選別穀粒に混入した石や砂或は藁屑等の異物を選別して除去する穀粒処理機の異物選別除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒処理機の異物選別除去装置として、例えば、実公平6ー34822号公報には、精米機に玄米を供給する昇降機の上部投出口の下部に揺動篩い形態の石抜き装置を設けて、玄米から石等の異物を除去して精米機に供給する技術が記載されている。
【0003】
この公知の構成では、原料玄米を昇降機の下部投入口に投入すると、原料玄米がバケットで掬われて揚穀され、上部投出口から石抜き装置に投げ出される。投げ出された玄米は石抜き装置の選別盤に受けられ、玄米は揺動している選別盤の網体から漏下選別され、また、選別盤の揺動によって玄米中に混在する小石等の異物は網体上を片寄せられて、排出部ら機外に取り出される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6ー34822号公報(第1頁の図1、2頁左蘭43〜49行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の穀粒処理機の異物選別除去装置においては、石抜き装置を揺動する駆動装置を設ける必要がありコスト高になる。また、玄米を選別盤の網体から漏下して選別する構成のために玄米よりも小径の砂等は玄米に混入したままである。また、石抜き装置が高い位置にあるために、選別した石や藁屑を地面に導く長いシュートが必要になる。
【0006】
本発明は、大径の石はもちろん小径の砂や藁屑なども分離できて、掃除などのメンテナンスを容易に行えるコンパクトな穀粒処理機の異物選別除去装置にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、穀粒処理機に穀粒を供給する昇降機28の下部投入口29に被選別穀粒から大小の異物を分離する粗選別装置6を設けて、選別後の穀粒を昇降機28で揚穀して穀粒処理機に供給すべくして穀粒処理機の異物選別除去装置を構成した。
【0008】
この構成で、被選別穀粒が昇降機28の下部投入口29に設ける粗選別装置6で大小の異物を除去されて穀粒処理機に供給される。
請求項2に記載の発明は、選別ケース4内に、穀粒よりも小径の異物を漏下する第一選別板2を被選別穀粒の供給位置から下り傾斜に設けると共に漏下する異小径物を選別ケース4外へ排出する小径異物排出シュート20を設け、前記第一選別板2の下端下部から穀粒を漏下する第二選別板3を下り傾斜に設け、この第二選別板3から漏下する穀粒を昇降機28内に導入し、第二選別板3上に溜まる大径異物を選別ケース4外へ排出する大径異物シュート44を前記小径異物排出シュート20と別体或は一体として設けて粗選別装置6を構成した請求項1に記載の穀粒処理機の異物選別除去装置とした。
【0009】
この構成で、第一選別板2へ上部から供給される被選別穀粒が第一選別板2を滑り落ちながら小径異物が第一選別板2から漏下して小径異物排出シュート20から外部に排出され、次に被選別穀粒が第二選別板3上に移ってこの第二選別板3で漏下せずに溜まる大径異物が大径異物シュート44から外部に排出され、第二選別板を漏下する穀粒が昇降機28に供給される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、粗選別装置6が昇降機28の下部投入口29に設けられているために、選別された大小の異物を地面へ導く長いシュートが必要なく直接廃棄容器に受けることが出来、粗選別装置6の掃除などのメンテナンスも低い位置で容易に行える。また、この粗選別装置6を昇降機28の下部投入口29に設けることで、高い位置から急傾斜のシュートで穀粒を下部投入口29に供給する場合には、この粗選別装置6が穀粒の落下衝撃を緩和する緩衝部材として機能する。
【0011】
請求項2の発明では、小径異物が第一選別板2で選別除去され大径異物が第二選別板3で選別されて選別ケース4外へ除去れるので、異物の混入しない穀粒を昇降機28に供給できるだけでなく、選別のための動力が必要なく、大径異物が大径異物シュート44から小径異物が小径異物排出シュート20から別々に取り出すことが可能なために、分別廃棄が容易に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】乾燥調製施設の配置図である。
【図2】粗選別装置の側断面図である。
【図3】粗選別装置の正面図である。
【図4】第一選別板の平面図である。
【図5】第一選別板の左側面図である。
【図6】第一選別板の正面図である。
【図7】第一選別板の部分拡大正面図である。
【図8】別実施例の粗選別装置の側断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を説明する。
図1は乾燥調製施設全体を示す図であり、穀粒である籾を乾燥する乾燥機7から搬送される籾を籾タンク8へ送り揚げる昇降機28の下部に粗選別装置6が配置される。籾タンク8は籾を一時収容するもので、籾摺機9に的量ずつ籾を供給する構成である。籾乾燥機7は、乾燥槽10の側部に供給ホッパー11と、揚穀機12を設け、この供給ホッパー11から供給する籾を乾燥槽10内へ供給して、乾燥槽10の内部で籾を循環搬送させながら乾燥させるものである。この乾燥機7には排出コンベア13を設けて、乾燥槽10から排出筒60を経由して取出される乾燥籾を受けて第一昇降機1の供給ホッパー14へ搬送する構成である。供給ホッパー14へ供給された籾は第一昇降機1内部のバケット搬送によって送り揚げられて上部の第一タンク15に溜められ、所定量ずつ排出シュータ30で粗選別装置6に供給される。
【0014】
尚、第一昇降機1は粗選別装置6へ籾を供給するために設けているが、粗選別装置6が小さく構成出来る場合は不要になり、乾燥機7の排出コンベア13の出口を直接粗選別装置6に連結しても良い。
【0015】
図2に示すように、粗選別装置6は、昇降機28下部の供給ホッパー29上に設け、第一昇降機1の排出シュータ30から穀粒を受けて流下しながら細砂を漏下する第一選別板2と、この第一選別板2下端から落下する穀粒を受けて流下しながら穀粒を漏下する第二選別板3を設けたことを特徴とする。
【0016】
さらに粗選別装置6の構成を詳細に説明すると、第一昇降機1の排出シュータ30下端を粗選別装置6の選別ケース4の受入口17に差し込む。
この選別ケース4の受入口17下には排出シュータ30から下り傾斜して穀粒を流下する第一選別板2を設け、この第一選別板2の下端部の下方には第一選別板2の穀粒の流下方向とは反対側、すなわち排出シュータ30下方に向かって下り傾斜する第二選別板3を設ける。
【0017】
第一選別板2は、図4から図7に示すように、多数の帯板状プレート45、46を平行状に並べて、スリット状の選別穴47を形成する。そして、隣設するプレート45とプレート46は上縁を互に段違いHに設定する。
【0018】
この第一選別板2は、選別上面を段違プレート45、46による溝状形態によって、穀粒流れを整然と行わせて選別性能を向上させることができる。
左右の選別フレーム49間を支持する支軸48に、プレート45、46の両端部の軸穴51を嵌合させる。このときプレート45、46間には適宜厚さのカラー形態のスペーサ50を介在して重合させる。このスペーサ50の厚さによって各プレート45、46間のスリット状選別穴47の目合が決定される。
【0019】
各プレート45、46は平行状で支軸48に対して垂直形態であるが、これら相隣接のプレート45の上端面は、プレート46の上端面よりも段違いH分高くして、左右両側のプレート45間にプレート46の上端面を底面とする選別溝52を形成し、この選別溝52の左右両側部に小径の砂が通過し、穀粒や大径の石が通過しない程度の幅の選別穴47を形成する。
【0020】
第一選別板2の下側には、砂抜口19へ向かって下り傾斜する砂受板53を設け、前記選別穴47を通過した砂などを流下し、砂抜口19から小径異物排出シュート20で選別ケース4外へ排出する。
【0021】
第二選別板3は図3に示すように複数の棒3aを設定間隔3b毎に並列して設けるもので、隣接する棒3a間には穀粒が通過し、大径の石が通過しない程度の間隔3bを形成している。
【0022】
そして、第二選別板3の下端部には開閉回動のシャッター25を設け、このシャッター25を閉じることによって第二選別板3の終端部上に形成される大径異物貯留室41に大径の石や藁屑等の大径異物を貯留することができ、このシャッター25を開くことによってこの貯留異物を下端の排出口26へ排出することができる構成である。なお、シャッター25は、シャッター25の支軸23を回動する選別ケース4の外に設ける開閉レバー21で開閉する構成としている。
【0023】
39は点検蓋で選別ケース4の昇降機28と反対側に設けられ、第一選別板2の流下面に対向する位置から第二選別板3の流下始端側に対向する位置にかけて設けている。そのため、第一選別板2と第二選別板3の両方の流下面が一望でき、点検作業がし易い構成となっている。
【0024】
次に、作用について説明する。
乾燥機7から出た籾が第一昇降機1の排出シュータ30から粗選別装置6の選別ケース4に供給される。そして、粗選別装置6の第一選別板2上面に落下供給された穀粒は流下しながら選別孔47から小径の砂が通過する。この第一選別板2上を流下した穀粒は、続く第二選別板3上面に落下供給されて、この第二選別板3の間隔3bを通過して落下して穀粒排出口27を通過して排出シュータ30に供給される。第二選別板3の間隔3bを通過しない大径の石や藁屑は棒3a上を流下してシャッター25を閉じて形成される異物貯留室41に一時貯留される。
【0025】
第一選別板2で選別された砂は、第一選別板2の下側に設ける砂受板53で砂抜口19を通過し、砂抜口19に連結する小径異物排出シュート20から機外に排出される。
シャッター25上に一時貯留された大径の石や藁屑は、開閉レバー21を回すとシャッター25が開き、石や藁屑は大径異物排出シュート44から機外に排出する。
第二選別板3から漏下した穀粒は、穀粒排出口27から昇降機28の供給ホッパー29へ供給される。
【0026】
この構成により、砂は小径異物排出シュート20から、大径の石や藁屑は大径異物排出シュート44から、穀粒は穀粒排出口27からと別々に取り出せるものである。
図8は、粗選別装置6の別実施例で、第一選別板2で選別された砂と第二選別板3で選別された石を共通の排出シュート40から排出する構成としている。すなわち、第一昇降機1から穀粒を供給しているときには第一選別板2で選別された砂を排出シュート40から排出し、第一昇降機1から供給される穀粒が無くなって選別される砂が排出された後にシャッター25を開いて石を排出することで、砂と大径の石や藁屑と穀粒とを別々に取り出すことができるものである。なお、この実施例では、点検蓋39に第一選別板2の下端に向けて空気を噴射する空気噴射ノズル54を設けて、軽い藁屑をシャッター25側へ吹き寄せるようにしている。この空気噴射ノズル54の空気噴射は、所定時間毎或は必要に応じて噴射するようにする。
【0027】
また、第二選別板3の上端と点検蓋39との間にオーバーフロー用通路55を設け、このオーバーフロー用通路55にオーバーフローセンサ56を設け、第二選別板3に詰まりが生じると穀粒がこのオーバーフロー用通路55を通って穀粒排出口27に流下し、オーバーフローセンサ56の穀粒感知によって警報を鳴らすようにしている。さらに、穀粒排出口27の側部にオーバーフロー蓋57を弾発支持して、穀粒排出口27に穀粒が充満するとこのオーバーフロー蓋57を満杯の穀粒が押し開いて穀粒を選別ケース4の外部へ排出して詰りによる内部破損を防いでいる。
【0028】
尚、オーバーフローセンサ56は、第一選別板2と第二選別板3の上部にそれぞれ設けても良い。
また、第一選別板2と第二選別板3の下側に空気噴射ノズルを上方に向けてそれぞれ設け、目詰りを検出すると適宜時間空気を吹き出して目詰り物を吹き飛ばすようにしても良い。
【0029】
さらに、第一選別板2と第二選別板3の引き継ぎ部に穀粒の流れをオーバーフロー蓋57側に向かわせる排出弁を設けて、第二選別板3に目詰りが生じると該排出弁を作用させて穀粒の全量を選別ケース4の外部へ排出するようにしても良い。この排出弁は、第一選別板2を通過した穀粒或は排出シュータ30から第一選別板2上に供給される全穀粒をオーバーフロー蓋57へ向かわせるようにする。
【符号の説明】
【0030】
2 第一選別板
3 第二選別板
4 選別ケース
6 粗選別装置
9 穀粒処理機
28 昇降機
29 下部投入口
20 小径異物排出シュート
44 大径異物シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒処理機(9)に穀粒を供給する昇降機(28)の下部投入口(29)に被選別穀粒から大小の異物を分離する粗選別装置(6)を設けて、選別後の穀粒を昇降機(28)で揚穀して穀粒処理機に供給すべく構成した穀粒処理機の異物選別除去装置。
【請求項2】
選別ケース(4)内に、穀粒よりも小径の異物を漏下する第一選別板(2)を被選別穀粒の供給位置から下り傾斜に設けると共に漏下する異小径物を選別ケース(4)外へ排出する小径異物排出シュート(20)を設け、前記第一選別板(2)の下端下部から穀粒を漏下する第二選別板(3)を下り傾斜に設け、この第二選別板(3)から漏下する穀粒を昇降機(28)内に導入し、第二選別板(3)上に溜まる大径異物を選別ケース(4)外へ排出する大径異物シュート(44)を前記小径異物排出シュート(20)と別体或は一体として設けて粗選別装置(6)を構成した請求項1に記載の穀粒処理機の異物選別除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−253350(P2010−253350A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104234(P2009−104234)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】