説明

積層装置および積層方法

【課題】第1電極がセパレータに挟み込まれてなるセパレータ−電極組立体と第1電極とは極性の異なる第2電極とを効率よくかつ高精度に積層できる積層装置および積層方法を提供する。
【解決手段】第1把持部114が第1テーブル121と積層テーブル141との間を往復移動する一方で、第2把持部115は積層テーブル141と第2テーブル131との間を往復移動し、第1テーブル121上で水平方向の位置が調整されたセパレータ−電極組立体20を第1把持部114が把持するときには、第2把持部115は積層テーブル141上で第2電極30を解放し、第1把持部114が積層テーブル141上でセパレータ−電極組立体20を解放するときには、第2テーブル131上で水平方向の位置が調整された第2電極30を第2把持部115が把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層装置および積層方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車(EV)およびハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が進められている。これらのモータ駆動用電源として、繰り返し充放電可能なリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、シート状の正極と負極の間に電解質を含浸させたセパレータを介在させた単電池を複数積層して構成されており、製造工程において電極(正極/負極)およびセパレータが繰り返し積層される。
【0004】
これに関連する技術として、リチウムイオン二次電池の製造時間を短縮する見地から、下記の特許文献1に示すような製造装置が提案されている。特許文献1に開示される製造装置は、セパレータで包装された陽極板(以下、陽極包装体と称する)を搬送する第1コンベア、陰極板を搬送する第2コンベア、陽極包装体と陰極板の積層体を搬送する第3コンベア、および2つの吸着装置を揺動させる揺動装置を有する。2つの吸着装置のうち一方の吸着装置は、第1コンベアと第3コンベアとの間を揺動し、第1コンベア上の陽極包装体を吸着保持して第3コンベア上で解放する。他方の吸着装置は、第2コンベアと第3コンベアとの間を揺動し、第2コンベア上の陰極板を吸着保持して第3コンベア上で解放する。このような構成によれば、2つの吸着装置が陽極包装体および陰極板を第3コンベア上で交互に解放することにより、第3コンベア上に陽極包装体と陰極板とを効率よく積層することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−101366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の製造装置では、第1および第2コンベアにより1枚ずつ搬送されてくる陽極包装体および陰極板を吸着装置がそのまま吸着保持するため、吸着装置が陽極包装体および陰極板を吸着保持する際の位置精度が高くない。陽極包装体および陰極板が高い位置精度で吸着保持されない場合、陽極包装体および陰極板を高精度に積層することができず、二次電池の品質が低下してしまう。このため、上記の製造装置では、第3コンベア上に位置決め用のホルダを配置し、陽極包装体および陰極板をホルダの内部に挿入して積層している。吸着装置により陽極包装体および陰極板がホルダの内部に挿入されれば、陽極包装体および陰極板の側面がホルダの内壁に当接して陽極包装体および陰極板が位置決めされ、陽極包装体と陰極板との積層精度が向上する。
【0007】
しかしながら、陽極板を包装しているセパレータは柔らかく折れ曲がりやすい。したがって、陽極包装体がホルダの内部に挿入され、陽極包装体の側面がホルダの内壁に当接する場合、セパレータの端部が折れ曲がってしまい、陽極包装体が正しく位置決めされないという問題がある。陽極包装体が正しく位置決めされない場合、十分な積層精度は得られない。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、第1電極がセパレータに挟み込まれてなるセパレータ−電極組立体と第1電極とは極性の異なる第2電極とを効率よくかつ高精度に積層することができる積層装置および積層方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
本発明の積層装置は、第1電極がセパレータに挟み込まれてなるセパレータ−電極組立体と前記第1電極とは極性の異なる第2電極とを交互に積層するための積層装置である。前記積層装置は、第1テーブル、第2テーブル、積層テーブル、第1調整部、第2調整部、第1把持部、および第2把持部を有する。前記第1テーブルには、前記セパレータ−電極組立体が載置される。前記第2テーブルには、前記第2電極が載置される。前記積層テーブルには、前記セパレータ−電極組立体と前記第2電極とが交互に積層される。前記第1調整部は、前記第1テーブルの水平方向の位置を調整して、前記第1テーブル上の前記セパレータ−電極組立体の位置を調整する。前記第2調整部は、前記第2テーブルの水平方向の位置を調整して、前記第2テーブル上の前記第2電極の位置を調整する。前記第1把持部は、前記セパレータ−電極組立体を把持し、解放する。前記第2把持部は、前記第2電極を把持し、解放する。前記第1把持部が前記第1テーブルと前記積層テーブルとの間を往復移動する一方で、前記第2把持部は前記積層テーブルと前記第2テーブルとの間を往復移動する。前記第1テーブル上で位置が調整された前記セパレータ−電極組立体を前記第1把持部が把持するときには、前記第2把持部は前記積層テーブル上で前記第2電極を解放する。前記第1把持部が前記積層テーブル上で前記セパレータ−電極組立体を解放するときには、前記第2テーブル上で位置が調整された前記第2電極を前記第2把持部が把持する。
【0011】
本発明の積層方法は、第1電極がセパレータに挟み込まれてなるセパレータ−電極組立体と前記第1電極とは極性の異なる第2電極とを交互に積層するための積層方法である。前記積層方法は、前記セパレータ−電極組立体が載置される第1テーブルと、前記セパレータ−電極組立体と前記第2電極とが交互に積層される積層テーブルとの間を第1把持部に往復移動させる。一方で、前記積層方法は、前記積層テーブルと前記第2電極が載置される第2テーブルとの間を第2把持部に往復移動させる。前記第1テーブルの水平方向の位置を調整することにより当該第1テーブル上で位置が調整された前記セパレータ−電極組立体を前記第1把持部に把持させるときには、前記第2把持部に前記積層テーブル上で前記第2電極を解放させる。前記第1把持部に前記積層テーブル上で前記セパレータ−電極組立体を解放させるときには、前記第2テーブルの水平方向の位置を調整することにより当該第2テーブル上で位置が調整された前記第2電極を前記第2把持部に把持させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1および第2把持部により把持される直前に、セパレータ−電極組立体および第2電極の位置が調整されるため、第1および第2把持部は、高い位置精度でセパレータ−電極組立体および第2電極をそれぞれ把持することができる。したがって、セパレータ−電極組立体と第2電極とを効率よくかつ高精度に積層することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
【図2】リチウムイオン二次電池の分解斜視図である。
【図3】袋詰正極および負極の平面図である。
【図4】袋詰正極に負極を重ねた様子を示す平面図である。
【図5】シート積層装置を示す概略平面図である。
【図6】シート積層装置を示す斜視図である。
【図7】図6の矢印方向に見た正極供給部の正面図である。
【図8】正極供給部の平面図である。
【図9】積層部の斜視図である。
【図10】積層ロボットの動作を説明するための図である。
【図11】図10に後続する図である。
【図12】図11に後続する図である。
【図13】図12に後続する図である。
【図14】図13に後続する図である。
【図15】図14に後続する図である。
【図16】積層テーブル上に袋詰正極を積層するときの積層ロボットの各部の動作の一例を示すタイムチャートである。
【図17】積層テーブル上に袋詰正極を積層するときの積層ロボットの各部の動作の他の例を示すタイムチャートである。
【図18】積層部の動作を説明するための図である。
【図19】図18に後続する図である。
【図20】図19に後続する図である。
【図21】図20に後続する図である。
【図22】図21に後続する図である。
【図23】図22に後続する図である。
【図24】クランパの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
まず、図1および図2を参照して、シート積層装置により形成されるリチウムイオン二次電池(積層型電池)について説明する。図1はリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図、図2はリチウムイオン二次電池の分解斜視図である。
【0016】
図1に示すとおり、リチウムイオン二次電池10は、扁平な矩形形状を有しており、正極リード11および負極リード12が外装材13の同一端部から導出されている。外装材13の内部には、充放電反応が進行する発電要素(電池要素)15が収容されている。図2に示すとおり、発電要素15は、袋詰正極20と負極30とが交互に積層されて形成される。
【0017】
袋詰正極20は、図3(A)に示すように、シート状の正極集電体の両面に正極活物質層21が形成されてなる正極22が、セパレータ40により挟み込まれてなる。2枚のセパレータ40は、端部において接合部41により相互に接合されて、袋状に形成されている。正極22では、正極集電体のタブ部分23以外の部分に正極活物質層21が形成されており、タブ部分23は、袋状のセパレータ40から導出されている。
【0018】
負極30は、図3(B)に示すように、シート状の負極集電体の両面に負極活物質層31が形成されてなる。負極30では、負極集電体のタブ部分33以外の部分に負極活物質層31が形成されている。
【0019】
袋詰正極20に、負極30を重ねると図4に示すようになる。図4に示すように、負極活物質層31は、正極22の正極活物質層21よりも平面視して一回り大きく形成されている。なお、袋詰正極20と負極30とを交互に積層してリチウムイオン二次電池を製造する方法自体は、一般的なリチウムイオン二次電池の製造方法であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
次に、上記の発電要素15を組み立てるためのシート積層装置について説明する。
【0021】
図5はシート積層装置を示す概略平面図、図6はシート積層装置を示す斜視図、図7は図6の矢印方向に見た正極供給部の正面図、図8は正極供給部の平面図である。
【0022】
図5および図6に示すとおり、シート積層装置100は、積層ロボット110、正極供給部120、負極供給部130、積層部140、および制御部150を有している。正極供給部120および負極供給部130は、積層ロボット110を中心として相互に対向する位置に配置されており、積層部140は、正極供給部120および負極供給部130と90度の角度をなす位置に配置されている。積層ロボット110、正極供給部120、負極供給部130、および積層部140は、制御部150により制御される。
【0023】
積層ロボット110は、袋詰正極20および負極30を交互に積層して発電要素(積層体)15を形成する。積層ロボット110は、第1および第2アーム部111,112からなるL字状アーム113と、第1および第2アーム部111,112の先端部にそれぞれ設けられた第1および第2吸着ハンド114,115とを有する。第1および第2アーム部111,112は、駆動軸116を基準に互いに90度の角度をなす方向に延設されている。L字状アーム113は、アーム駆動部117によって駆動軸116が駆動されることにより、水平方向に90度揺動する。また、L字状アーム113は、駆動軸116が駆動されることにより昇降する。第1吸着ハンド114は、袋詰正極20を吸着保持し、離脱させる。第2吸着ハンド115は、負極30を吸着保持し、離脱させる。
【0024】
L字状アーム113が90度揺動することにより、第1吸着ハンド114は、正極供給部120と積層部140との間を往復移動し、第2吸着ハンド115は、積層部140と負極供給部130との間を往復移動する。言い換えれば、第1吸着ハンド114および第2吸着ハンド115が正極供給部120および積層部140の上方にそれぞれ位置する第1状態と、積層部140および負極供給部130の上方にそれぞれ位置する第2状態とが切り替えられる。また、L字状アーム113が昇降することにより、第1吸着ハンド114は、正極供給部120または積層部140に対して近接離隔し、第2吸着ハンド115は、負極供給部130または積層部140に対して近接離隔する。
【0025】
正極供給部120は、袋詰正極20を供給する。正極供給部120は、袋詰正極20が載置される正極供給テーブル121と、正極供給テーブル121を水平面内で移動または回転させるテーブル駆動部122とを有する。正極供給テーブル121は、前工程で作成されて吸着コンベア123により搬送されてきた袋詰正極20を1枚ずつ受け取り、載置する。正極供給テーブル121も吸着コンベアであり、吸着コンベア123からの負圧が開放された袋詰正極20を吸着して、略中央まで運び負圧により固定する。袋詰正極20が第1吸着ハンド114に吸着される際には、正極供給テーブル121は吸着を開放する。テーブル駆動部122は、正極供給テーブル121を水平面内で移動または回転させることにより、正極供給テーブル121上の袋詰正極20の位置を調節する。テーブル駆動部122は、3つのモータを有し、正極供給テーブル121を水平面内で移動または回転させる。
【0026】
正極供給テーブル121は、吸着コンベア123よりも幅が狭く、袋詰正極20の端部がはみ出るように構成されている。図5および図6では図示を省略しているが、図7および図8に示すように、正極供給テーブル121の両側には、透明な支持台124が設けられている。支持台124は、正極供給テーブル121からはみ出ている袋詰正極20の端部を支持する。また、支持台124と対応する位置に、クランパ125が設けられる。クランパ125は、支持台124と共に袋詰正極20の端部を挟んで固定する。支持台124およびクランパ125は共に可動式であり、正極供給テーブル121上に袋詰正極20が載置されると、袋詰正極20の端部を支持および固定するように、袋詰正極20に接近する。
【0027】
また、正極供給テーブル121の下方には光源126が、上方にはカメラ127が配置されている。光源126は、透明な支持台124の下方に設置され、袋詰正極20の端部に光を照射する。光源126は、セパレータ40を所定の透過率以上で透過し、正極22を透過しない(反射または吸収される)波長の光を照射する。カメラ127は、袋詰正極20を撮像して、正極供給テーブル121上の正極22(袋詰正極20)の位置を認識する。カメラ127は、光源126から投光され正極22に遮断されつつもセパレータ40を透過した光を受光し、正極22の位置を認識する。つまり、正極22の影に基づいて、正極22の位置を認識する。カメラ127により認識された正極22の位置情報に基づいて、正極22(袋詰正極20)の水平位置が調整される。この調整により、第1吸着ハンド114は、正極22の位置が正確に位置決めされた袋詰正極20を毎回ピックアップできる。
【0028】
図5および図6に戻って、負極供給部130は、負極30を供給する。負極供給部130は、負極30が載置される負極供給テーブル131と、負極供給テーブル131を水平面内で移動または回転させるテーブル駆動部132とを有する。負極供給テーブル131は、前工程で作成されて吸着コンベア133により搬送されてきた負極30を1枚ずつ受け取り、載置する。負極供給テーブル131も吸着コンベアであり、吸着コンベア133からの負圧が開放された負極30を吸着して、略中央まで運び負圧により固定する。負極30が第2吸着ハンド115に吸着される際には、負極供給テーブル131は吸着を開放する。テーブル駆動部132は、負極供給テーブル131を水平面内で移動または回転させることにより、負極供給テーブル131上の負極30の位置を調節する。テーブル駆動部132は、3つのモータを有し、負極供給テーブル131を水平面内で移動または回転させる。
【0029】
また、負極供給テーブル131の上方には、光源136およびカメラ137が配置されている。光源136は、負極30を透過しない(反射または吸収される)波長の光を、負極30に照射する。カメラ137は、負極30を撮像して、負極供給テーブル131上の負極30の位置を認識する。カメラ137は、たとえば、光源136から投光されて負極30で反射した光を受光して、負極30の位置を認識する。カメラ137により認識された負極30の位置情報に基づいて、負極30の水平位置が調整される。この調整により、第2吸着ハンド115は、正確に位置決めされた負極30を毎回ピックアップできる。
【0030】
積層部140は、積層ロボット110により搬送される袋詰正極20および負極30を交互に積層する場所であり、袋詰正極20および負極30が所定枚数積層されるまで、袋詰正極20と負極30の積層体を保持する。袋詰正極20および負極30が所定枚数積層されて発電要素15が完成すると、積層部140は、後工程に発電要素15を供給する。
【0031】
図9は、積層部の斜視図である。積層部140は、袋詰正極20および負極30が交互に積層される積層テーブル141と、積層テーブル141を昇降する高さ調整部142と、袋詰正極20と負極30の積層体を押圧するクランパ143と、クランパ143を駆動するクランパ駆動部144とを有する。
【0032】
積層テーブル141上にはパレット(不図示)が載置され、パレット上で袋詰正極20および負極30が交互に積層される。高さ調整部142は、たとえば、ボールネジおよびモータから構成され、袋詰正極20および負極30の積層の進行に応じて、積層テーブル141を下降させる。高さ調整部142は、袋詰正極20と負極30の積層体の最上面の高さが略一定に維持されるように、積層テーブル141を下降させる。
【0033】
クランパ143は、袋詰正極20と負極30の積層体を上部から押圧するクランプヘッド143aと、クランプヘッド143aを支持する支持軸143bとから構成される。クランプヘッド143aの横断面は、台形形状を有する。クランプヘッド143aは、支持軸143bを介して下方に付勢されており、底面により積層体の最上面を押圧する。
【0034】
クランパ駆動部144は、支持軸143bを介して、クランプヘッド143aを回動させつつ一定の高さまで上昇させる。そして、クランパ駆動部144は、180度回動後のクランプヘッド143aを下降させる。クランパ駆動部144は、支持軸143b側面の突出ピン(不図示)と係合してクランプヘッド143aを回動させるとともに一定量上昇させるためのカム溝を備えるカム機構(不図示)と、支持軸143bを昇降するためのアクチュエータ(不図示)とを有する。アクチュエータは、たとえば、エアシリンダである。また、クランパ駆動部144には、クランプヘッド143aを下方に付勢するためのバネ(不図示)が備えられている。
【0035】
以上のとおり構成されるシート積層装置100では、正極供給テーブル121および負極供給テーブル131上に載置される袋詰正極20および負極30が、積層ロボット110によりピックアップされ、積層テーブル141上に交互に搬送される。袋詰正極20および負極30が積層テーブル141上に交互に搬送されることにより、袋詰正極20と負極30の積層体が形成される。
【0036】
なお、本実施形態では、第1および第2アーム部111,112は互いに90度の角度をなす方向に延設され、アーム113は90度揺動するように構成されている。しかしながら、第1および第2アーム部111,112は、90度以外の所定角度をなすように延設され得る。この場合、アーム113も所定角度揺動するように構成され、正極供給部120、負極供給部130、および積層部140の配置も揺動角度に合わせて調整される。
【0037】
次に、図10〜図23を参照して、本実施形態のシート積層装置100の動作について説明する。
【0038】
まず、積層ロボット110の動作について説明する。図10〜図15は、積層ロボット110による袋詰正極20および負極30の積層動作を説明するための図である。なお、以下では、積層ロボット110により袋詰正極20を積層する段階からの動作を説明する。
【0039】
図10に示すとおり、積層ロボット110により袋詰正極20を積層する段階では、積層ロボット110の第1吸着ハンド114は、袋詰正極20を吸着保持した状態で、積層テーブル141の上方に位置している。一方、積層ロボット110の第2吸着ハンド115は、負極供給テーブル131の上方に位置している。積層テーブル141上には、袋詰正極20と負極30が積層されている。負極供給テーブル131上には、負極30が載置されている。負極供給テーブル131上の負極30の水平位置は、第2吸着ハンド115が負極30を正確な位置で吸着保持することができるように、カメラ137により取得された位置情報に基づいて調整されている。具体的には、負極30の水平位置は、負極30の中心点が所定の位置に位置し、負極30が一定の姿勢となるように調整されている。
【0040】
続いて、L字状アーム113が所定の移動量だけ下降する(図11参照)。L字状アーム113が下降することにより、第1および第2吸着ハンド114,115は、積層テーブル141および負極供給テーブル131の近傍にそれぞれ移動する。そして、第1吸着ハンド114の負圧は開放され、第1吸着ハンド114により吸着保持されていた袋詰正極20が離脱される。その結果、積層体の最上部に袋詰正極20が積層される。一方、第2吸着ハンド115の底面には負圧が発生し、第2吸着ハンド115は、負極供給テーブル131上の負極30を吸着保持する。負極供給テーブル131上の負極30の水平位置は予め調整されているため、第2吸着ハンド115は、負極30を正確な位置で吸着保持することができる。
【0041】
続いて、L字状アーム113が上記移動量だけ上昇する(図12参照)。L字状アーム113が上昇することにより、第1および第2吸着ハンド114,115は、積層テーブル141および負極供給テーブル131の上方にそれぞれ移動する。このとき、第2吸着ハンド115は、負極30を吸着保持したまま上昇し、負極供給テーブル131から負極30をピックアップする。
【0042】
続いて、L字状アーム113が反時計方向に90度回動する(図13参照)。L字状アーム113が90度回動することにより、第1および第2吸着ハンド114,115は、正極供給テーブル121および積層テーブル141の上方にそれぞれ移動する。第2吸着ハンド115は、負極30を吸着保持している。また、正極供給テーブル121上には、袋詰正極20が載置されている。正極供給テーブル121上の袋詰正極20の水平位置は、第1吸着ハンド114が袋詰正極20(正極22)を正確な位置で吸着保持することができるように、カメラ127により取得された位置情報に基づいて調整されている。具体的には、袋詰正極20の水平位置は、正極22の中心点が所定の位置に位置し、正極22が一定の姿勢となるように調整されている。
【0043】
続いて、L字状アーム113が上記移動量だけ下降する(図14参照)。L字状アーム113が下降することにより、第1および第2吸着ハンド114,115は、正極供給テーブル121および積層テーブル141の近傍にそれぞれ移動する。そして、第2吸着ハンド115の負圧は開放され、第2吸着ハンド115により吸着保持されていた負極30が離脱される。その結果、積層体の最上部に負極30が積層される。一方、第1吸着ハンド114の底面には負圧が発生し、第1吸着ハンド114は、正極供給テーブル121上の袋詰正極20を吸着保持する。正極供給テーブル121上の袋詰正極20の水平位置は予め調整されているため、第1吸着ハンド114は、袋詰正極20(正極22)を正確な位置で吸着保持することができる。
【0044】
続いて、L字状アーム113が上記移動量だけ上昇する(図15参照)。L字状アーム113が上昇することにより、第1および第2吸着ハンド114,115は、正極供給テーブル121および積層テーブル141の上方にそれぞれ移動する。このとき、第1吸着ハンド114は、袋詰正極20を吸着保持したまま上昇し、正極供給テーブル121から袋詰正極20をピックアップする。
【0045】
そして、L字状アーム113が時計方向に90度回動する。L字状アーム113が90度回動することにより、第1および第2吸着ハンド114,115は、積層テーブル141および負極供給テーブル131の上方にそれぞれ移動する(図10参照)。
【0046】
上記の動作が繰り返されることにより、積層テーブル141上に袋詰正極20および負極30が交互に搬送され、積層テーブル141上で、袋詰正極20および負極30が交互に積層される。袋詰正極20および負極30が所定枚数積層されることにより、発電要素15としての積層体が形成される。
【0047】
このとき、第1および第2吸着ハンド114,115は、正極供給テーブル121および負極供給テーブル131上で位置が調整された袋詰正極20および負極30をピックアップして、積層テーブル141上の決まった位置で離脱させる。このような構成によれば、積層ロボット110のL字状アーム113の一定の揺動動作のみで、積層テーブル141上に袋詰正極20および負極30を高精度に積層することができる。つまり、簡単な構成の積層ロボット110によって、積層テーブル141上に袋詰正極20および負極30を高精度に積層することができる。また、袋詰正極20および負極30の水平方向の位置を調整するための機構を第1および第2アーム部111,112の先端部に設ける必要がなく、第1および第2アーム部111,112を軽量化できる。第1および第2アーム部111,112が軽量化することにより、第1および第2アーム部111,112を高速で移動させることが可能になる。したがって、袋詰正極20と負極30の積層を高速化できる。
【0048】
図16は、積層テーブル上に袋詰正極を積層するときの積層ロボットの各部の動作の一例を示すタイムチャートである。図16(A)は、第1吸着ハンド114の負圧発生動作のオン/オフを示すタイムチャートであり、図16(B)は、第2吸着ハンド115の負圧発生動作のオン/オフを示すタイムチャートである。図16(C)は、L字状アーム113の鉛直方向の移動速度を示すタイムチャートである。
【0049】
上述したとおり、積層テーブル141上に袋詰正極20を積層する段階では、袋詰正極20を吸着保持している第1吸着ハンド114が積層テーブル114の上方に位置している状態(図10参照)から、L字状アーム113が所定の移動量だけ下降する(図11参照)。
【0050】
図16(C)に示すとおり、L字状アーム113は、たとえば、一定の速度Vで下降する。L字状アーム113が所定の移動量だけ下降して停止すれば、図16(A)に示すとおり、第1吸着ハンド114の負圧発生動作がオンからオフに切り替えられ、第1吸着ハンド114の負圧が開放される。負圧が開放されることにより、第1吸着ハンド114から袋詰正極20が離脱される。
【0051】
一方で、図16(B)に示すとおり、第2吸着ハンド115の負圧発生動作がオフからオンに切り替えられ、第2吸着ハンド115の底面に負圧が発生する。第2吸着ハンド115の底面に負圧が発生すれば、負極供給テーブル131上の負極30が第2吸着ハンド115に吸着される。その後、第2吸着ハンド115が負極30を吸着保持した状態で、L字状アーム113が速度Vで所定の移動量だけ上昇する(図12参照)。
【0052】
本実施形態では、第1吸着ハンド114が負圧を開放し始めてからL字状アーム113が上昇を開始する直前までの期間T1(図16(A)参照)の第1吸着ハンド114の動作を、袋詰正極20を解放する動作と定義する。また、第2吸着ハンド115が負圧を発生し始めてからL字状アーム113が上昇を開始する直前までの期間T2(図16(B)参照)の第2吸着ハンド115の動作を、負極30を把持する動作と定義する。
【0053】
同様に、積層テーブル114上に負極30を積層する段階(図13〜図15参照)において、第2吸着ハンド115が負圧を開放し始めてからL字状アーム113が上昇を開始する直前までの期間の第2吸着ハンド115の動作を、負極30を解放する動作と定義する。一方、正極供給テーブル121上の袋詰正極20をピックアップするとき、第1吸着ハンド114が負圧を発生し始めてからL字状アーム113が上昇を開始する直前までの期間の第1吸着ハンド114の動作を、袋詰正極20を把持する動作と定義する。
【0054】
なお、第1吸着ハンド114が袋詰正極20を把持してから解放するまでの第1吸着ハンド114の動作を、袋詰正極20を搬送する動作と定義する。また、第2吸着ハンド115が負極30を把持してから解放すまでの第2吸着ハンド115の動作を、負極30を搬送する動作と定義する。
【0055】
図16に示されるとおり、第1吸着ハンド114が袋詰正極20を解放する動作(時間T1に対応)と、第2吸着ハンド115が負極30を把持する動作(時間T2に対応)とは時間的に重複する。同様に、第1吸着ハンド113が袋詰正極20を把持する動作と、第2吸着ハンド115が負極30を解放する動作とは時間的に重複する。
【0056】
なお、図16では、第1吸着ハンド114の負圧発生動作がオンからオフに切り替えられる時点と、第2吸着ハンド115の負圧発生動作がオフからオンに切り替えられる時点とは、ほぼ一致している。しかしながら、第1吸着ハンド114の負圧発生動作がオンからオフに切り替えられる時点と、第2吸着ハンド115の負圧発生動作がオフからオンに切り替えられる時点とは一致していなくてもよい。
【0057】
たとえば、図17に示されるとおり、第1吸着ハンド114の負圧発生動作がオンからオフに切り替えられた後に、第2吸着ハンド115の負圧発生動作がオフからオンに切り替えられてもよい。このような場合であっても、第1吸着ハンド114が袋詰正極20を解放する動作と、第2吸着ハンド115が負極30を把持する動作とは、時間的に部分的に重複する。
【0058】
次に、図18〜図23を参照して、積層部140の動作について説明する。積層部140では、積層テーブル141上に袋詰正極20または負極30が新たに積層される度に積層テーブル141が下降して、袋詰正極20と負極30の積層体の最上面の高さが略一定に維持される。なお、以下では、第1吸着ハンド114により、積層テーブル141上に袋詰正極20を積層するときの積層部140の動作について説明する。
【0059】
図18は、袋詰正極が積層される直前の積層テーブルおよびクランパの状態を示す模式図である。積層テーブル141には、パレット190を介して、袋詰正極20および負極30が交互に積層されている。袋詰正極20と負極30の積層体の最上部には、負極30が積層されており、負極30の縁部は、クランプヘッド143aの一端の底面により押圧されている。積層テーブル141の上方には、積層ロボット110の第1吸着ハンド114が位置しており、第1吸着ハンド114は、袋詰正極20を吸着保持している。
【0060】
続いて、第1吸着ハンド114が、積層テーブル141の近傍に下降する(図19参照)。第1吸着ハンド114は、袋詰正極20を吸着保持した状態で、所定の移動量だけ下降する。第1吸着ハンド114が下降することにより、積層体の最上部に袋詰正極20が積層される。このとき、袋詰正極20の縁部により、クランプヘッド143aが覆われる(図19の破線で囲まれた部分を参照)。
【0061】
続いて、クランプヘッド143aが上昇するとともに90度回動する(図20参照)。具体的には、袋詰正極20の縁部により覆われていたクランプヘッド143aが上昇するとともに90度回動する。クランプヘッド143aが上昇するとともに90度回動することにより、クランプヘッド143aは、最上部の袋詰正極20の斜め上方に位置するようになる。ここで、クランプヘッド143aの上昇量ΔXは、1枚の袋詰正極20の厚さよりも大きい略一定の値である。クランプヘッド143aが上昇するとき、クランプヘッド143aによって袋詰正極20の縁部が持ち上げられる。クランプヘッド143aによって持ち上げられることにより、袋詰正極20の縁部は一時的にめくれ、元に戻る。
【0062】
続いて、クランプヘッド143aがさらに90度回動する(図21参照)。具体的には、クランプヘッド143aは、さらに所定量だけ上昇しつつ90度回動する。クランプヘッド143aがさらに90度回動することにより、クランプヘッド143aの反対側の端部が、袋詰正極20の上方に位置するようになる。なお、図20および図21に示される、クランプヘッド143aが90度回動し、さらに90度回動する動作は連続的に行われる。
【0063】
続いて、クランプヘッド143aが下降する(図22参照)。クランプヘッド143aが下降することにより、クランプヘッド143aの他端の底面が、袋詰正極20の縁部を上部から押圧するようになる。
【0064】
そして、第1吸着ハンド114が上昇するとともに、積層テーブル141が下降する(図23参照)。第1吸着ハンド114が、上記移動量だけ上昇するとともに、積層テーブル141は、所定の下降量だけ下降する。具体的には、袋詰正極20積層後の積層体の最上面の高さが、袋詰正極20積層前の積層体の最上面の高さHと略同一になるように、積層テーブル141が所定の下降量だけ下降する。ここで、下降量は、たとえば、袋詰正極20および負極30の厚さの平均値である。
【0065】
以上のとおり、クランプヘッド143aにより押圧されている積層体の上部に新たな袋詰正極20(または、負極30)が積層されれば、クランプヘッド143aは、斜め上方に一度退避し、その後、新たな袋詰正極20を押圧する。このとき、積層テーブル141は、積層体の最上面の高さが略一定に維持されるように、所定の下降量だけ下降する。積層テーブル141が下降して積層体の最上面の高さが略一定に維持されれば、袋詰正極20および負極30の積層の進行に応じて積層体の厚さが増加しても、クランプヘッド143aの上昇量を積層体の最終的な厚さよりも小さい略一定の値に維持できる。たとえば、積層工程の最初から最後まで、クランプヘッド143aの上昇量を袋詰正極20の数枚分の厚さに維持することができる。したがって、クランパの上昇量が積層体の最終的な厚さよりも大きい場合と比較して、クランパ143の上昇動作に伴う袋詰正極20および負極30の縁部のめくれ度合いが低減する。すなわち、袋詰正極20および負極30に大きな変形を加えることなく袋詰正極20および負極30を積層することができる。
【0066】
また、本実施形態の積層部140によれば、袋詰正極20および負極30が繰り返し積層される間、積層体の最上面の高さが略一定に維持されるため、第1および第2吸着ハンド114,115の鉛直方向の移動量(ストローク)を一定にすることができる。つまり、簡単な構成の積層ロボット110によって、積層テーブル141上に袋詰正極20および負極30を積層することができる。また、第1および第2吸着ハンド114,115の鉛直方向の位置を補正するための機構を第1および第2アーム部111,112の先端部に設ける必要がなく、第1および第2アーム部111,112を軽量化できる。第1および第2アーム部111,112が軽量化することにより、第1および第2アーム部111,112を高速で移動させることが可能になる。したがって、袋詰正極20と負極30の積層を高速化できる。
【0067】
なお、本実施形態では、積層テーブル141は、積層体上に新たな袋詰正極20または負極30が積層される度に、袋詰正極20および負極30の厚さの平均値に相当する下降量だけ下降した。しかしながら、本実施形態とは異なり、積層テーブル141は、積層体上に新たな袋詰正極20または負極30が積層される度に、新たに積層された袋詰正極20または負極30の厚さと同じ量だけ下降してもよい。あるいは、積層テーブル141は、袋詰正極20および負極30が所定枚数(たとえば、各2枚)積層される度に下降してもよい。
【0068】
なお、本明細書において、クランプヘッドの上昇量(移動量)が「略一定」であるという記載は、袋詰正極20または負極30の斜め上方に退避するクランプヘッド143aの上昇量が常に一定である場合のみならず、上昇量が僅かに変動する場合も含む。たとえば、積層体上に新たな袋詰正極20(または負極30)が積層される度に、新たに積層された袋詰正極20(または負極30)の厚さと同じ量だけ積層テーブル141が下降する場合、クランプヘッド143aの上昇量は常に一定に維持される。一方、積層テーブル141が、袋詰正極20および負極30の厚さの平均値に相当する下降量だけ下降する場合、クランプヘッド143aの上昇量は、上記平均値と袋詰正極20の厚さとの差、および、上記平均値と負極30の厚さとの差に相当する量だけ変動する。本明細書において、クランプヘッドの上昇量が「略一定」であるという記載は、積層テーブル141の下降動作に応じて、上記のようにクランプヘッド143aの上昇量が僅かに変動する場合を含む。
【0069】
次に、図24を参照して、クランパの変形例について説明する。
【0070】
図24は、クランパの変形例を示す斜視図である。図24に示すとおり、変形例に係るクランパ143は、横断面円弧状のクランプヘッド143aを有している。具体的には、袋詰正極20および負極30の底面とそれぞれ接触するクランプヘッド143aの上面が、長手方向に沿って円弧状に形成されている。
【0071】
このような構成によれば、袋詰正極20または負極30の底面とクランプヘッド143aの上面との接触が滑らかになり、クランプヘッド143aの上昇時にクランプヘッド143aの上面が袋詰正極20または負極30の底面に与えるダメージを抑制できる。
【0072】
なお、好ましくは、クランプヘッド143aの上面は、長手方向のみならず長手方向に直交する方向に沿っても円弧状に形成される。
【0073】
以上のとおり、説明した本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0074】
(a)第1および第2吸着ハンドにより吸着保持される直前に、袋詰正極および負極の位置がそれぞれ調整されるため、第1および第2吸着ハンドは、高い位置精度で袋詰正極および負極をそれぞれ吸着保持することができる。したがって、袋詰正極と負極とを効率よくかつ高精度に積層することができる。また、正極供給テーブルおよび負極供給テーブル側で、袋詰正極および負極の水平位置が調整されるため、積層ロボットの構成を簡素化でき、かつ、第1および第2アーム部を軽量化できる。第1および第2アーム部を軽量化することにより、第1および第2アーム部を高速に動作させることが可能になる。これにより、袋詰正極および負極の積層を高速化できる。また、積層テーブル上で袋詰正極および負極の側面を位置決め部材(たとえば、ホルダ)に当接させて袋詰正極および負極の位置決めを行う必要がないため、位置決め部材に当接したセパレータの端部が折れ曲がることがない。したがって、高品質の二次電池を形成することができる。
【0075】
(b)積層ロボットの2つのアーム部を任意の角度に延設することができるため、シート積層装置が適用されるスペースに応じて、多様な配置を実現できる。
【0076】
(c)カメラにより袋詰正極および負極が撮像され、袋詰正極および負極の位置が認識されるため、画像処理を用いて袋詰正極および負極の水平位置を容易に調整することができる。
【0077】
(d)袋詰正極内部の正極の位置が調整されるため、正極と負極の位置を合わせることが可能になる。したがって、袋詰正極と負極の位置を合わせる場合と比較して、リチウムイオン二次電池の性能が向上する。
【0078】
(e)積層テーブル上に積層される袋詰正極および負極の積層体の最上面の鉛直方向の位置が略一定に維持されるように積層テーブルが降下するため、第1および第2吸着ハンドの鉛直方向の移動量を一定に維持することができる。したがって、積層ロボットの構成を簡素化することができる。また、第1および第2アーム部の先端部に高さを補正する機構を設ける必要がなく、第1および第2アーム部を軽量化できる。これにより、袋詰正極および負極の積層を高速化できる。
【0079】
(f)袋詰正極および負極の積層体がクランパにより押圧されるため、積層時の袋詰正極および負極の位置ずれが防止される。したがって、袋詰正極および負極を高精度に積層することができる。
【0080】
以上のとおり、説明した実施形態において、本発明の積層装置および積層方法を説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0081】
たとえば、上述した実施形態では、正極がセパレータに挟み込まれてなる袋詰正極と、負極とを交互に積層する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、負極がセパレータに挟み込まれてなる袋詰負極と正極とが交互に積層されてもよい。
【0082】
また、本発明の積層装置により形成される二次電池も、外装材の同一の端部から正極リードおよび負極リードが導出される形態に限定されるものではなく、たとえば、外装材の両端から正極リードおよび負極リードがそれぞれ導出される形態の二次電池であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 リチウムイオン二次電池、
20 袋詰正極(セパレータ−電極組立体)、
22 正極(第1電極)、
30 負極(第2電極)、
40 セパレータ、
100 シート積層装置(積層装置)、
110 積層ロボット、
111,112 アーム部、
113 L字状アーム、
114,115 吸着ハンド(把持部)、
116 駆動軸、
117 アーム駆動部、
120 正極供給部、
121 正極供給テーブル(第1テーブル)、
122,132 テーブル駆動部(調整部)、
126,136 光源、
127,137 カメラ(撮像部)、
130 負極供給部、
131 負極供給テーブル(第2テーブル)、
140 積層部、
141 積層テーブル、
142 高さ調整部、
143 クランパ、
144 クランパ駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極がセパレータに挟み込まれてなるセパレータ−電極組立体と前記第1電極とは極性の異なる第2電極とを交互に積層するための積層装置であって、
前記セパレータ−電極組立体が載置される第1テーブルと、
前記第2電極が載置される第2テーブルと、
前記セパレータ−電極組立体と前記第2電極とが交互に積層される積層テーブルと、
前記第1テーブルの水平方向の位置を調整して、前記第1テーブル上の前記セパレータ−電極組立体の位置を調整する第1調整部と、
前記第2テーブルの水平方向の位置を調整して、前記第2テーブル上の前記第2電極の位置を調整する第2調整部と、
前記セパレータ−電極組立体を把持し、解放する第1把持部と、
前記第2電極を把持し、解放する第2把持部と、を有し、
前記第1把持部が前記第1テーブルと前記積層テーブルとの間を往復移動する一方で、前記第2把持部は前記積層テーブルと前記第2テーブルとの間を往復移動し、前記第1テーブル上で位置が調整された前記セパレータ−電極組立体を前記第1把持部が把持するときには、前記第2把持部は前記積層テーブル上で前記第2電極を解放し、前記第1把持部が前記積層テーブル上で前記セパレータ−電極組立体を解放するときには、前記第2テーブル上で位置が調整された前記第2電極を前記第2把持部が把持することを特徴とする積層装置。
【請求項2】
前記第1および第2把持部は、同一の回転軸を基準に互いに所定角度をなすように配置され前記所定角度揺動する第1および第2アーム部の先端にそれぞれ設けられており、
前記第1および第2テーブルは、前記回転軸の周りに前記積層テーブルと前記所定角度の間隔をおいてそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記第1テーブル上に載置された前記セパレータ−電極組立体を撮像して、前記第1テーブル上の前記セパレータ−電極組立体の位置を認識する第1撮像部と、
前記第2テーブル上に載置された前記第2電極を撮像して、前記第2テーブル上の前記第2電極の位置を認識する第2撮像部と、をさらに有し、
前記第1および第2調整部は、前記第1および第2撮像部により認識された位置の情報に基づいて、前記セパレータ−電極組立体および前記第2電極の位置をそれぞれ調整することを特徴とする請求項1または2に記載の積層装置。
【請求項4】
前記第1撮像部は、前記セパレータ−電極組立体内部の前記第1電極の位置を認識し、
前記第1調整部は、前記セパレータ−電極組立体内部の前記第1電極の位置を調整することを特徴とする請求項3に記載の積層装置。
【請求項5】
前記積層テーブル上に積層される前記セパレータ−電極組立体と前記第2電極との積層体の最上面の鉛直方向の位置が一定範囲内に維持されるように、前記セパレータ−電極組立体および前記第2電極の積層の進行に応じて、前記積層テーブルを降下させる高さ調整部をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層装置。
【請求項6】
前記積層テーブルに積層されている前記積層体を上部から押圧するクランパをさらに有することを特徴とする請求項5に記載の積層装置。
【請求項7】
第1電極がセパレータに挟み込まれてなるセパレータ−電極組立体と前記第1電極とは極性の異なる第2電極とを交互に積層するための積層方法であって、
前記セパレータ−電極組立体が載置される第1テーブルと、前記セパレータ−電極組立体と前記第2電極とが交互に積層される積層テーブルとの間を第1把持部に往復移動させる一方で、前記積層テーブルと前記第2電極が載置される第2テーブルとの間を第2把持部に往復移動させ、前記第1テーブルの水平方向の位置を調整することにより当該第1テーブル上で位置が調整された前記セパレータ−電極組立体を前記第1把持部に把持させるときには、前記第2把持部に前記積層テーブル上で前記第2電極を解放させ、前記第1把持部に前記積層テーブル上で前記セパレータ−電極組立体を解放させるときには、前記第2テーブルの水平方向の位置を調整することにより当該第2テーブル上で位置が調整された前記第2電極を前記第2把持部に把持させることを特徴とする積層方法。
【請求項8】
前記第1および第2把持部は、同一の回転軸を基準に互いに所定角度をなすように配置され前記所定角度揺動する第1および第2アーム部の先端にそれぞれ設けられており、
前記第1および第2テーブルは、前記回転軸の周りに前記積層テーブルと前記所定角度の間隔をおいてそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項7に記載の積層方法。
【請求項9】
前記第1テーブル上に載置された前記セパレータ−電極組立体を第1撮像部により撮像することによって、前記第1テーブル上の前記セパレータ−電極組立体の位置が認識され、前記第2テーブル上に載置された前記第2電極を第2撮像部により撮像することによって、前記第2テーブル上の前記第2電極の位置が認識され、
前記認識された位置の情報に基づいて、前記セパレータ−電極組立体および前記第2電極の位置がそれぞれ調整されることを特徴とする請求項7または8に記載の積層方法。
【請求項10】
前記セパレータ−電極組立体内部の前記第1電極の位置が前記第1撮像部により認識され、
前記セパレータ−電極組立体内部の前記第1電極の位置が調整されることを特徴とする請求項9に記載の積層方法。
【請求項11】
前記積層テーブル上に積層される前記セパレータ−電極組立体と前記第2電極との積層体の最上面の鉛直方向の位置が一定範囲内に維持されるように、前記セパレータ−電極組立体および前記第2電極の積層の進行に応じて、前記積層テーブルが降下されることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の積層方法。
【請求項12】
前記積層テーブルに積層されている前記積層体が上部からクランパにより押圧されることを特徴とする請求項11に記載の積層方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−227130(P2012−227130A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67848(P2012−67848)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】