説明

空中散布装置

【課題】散布量を速度に応じた適正な粒子径の散布剤を適正な量で散布できる空中散布装置を提供する。
【解決手段】地上側から散布に関する指令信号を送信する送信機1,2と、機体3側に設けた制御装置17及び散布機4,5とからなる空中散布装置において、制御装置は、指令信号を受信する受信部24,25と散布量を速度連動させるか否かを判定する速度連動判定部26と散布量を算出する散布量演算部27と、算出した散布量に応じて前記散布機4,5を制御する散布量制御回路28,29とを備え、散布量演算部は、速度連動する場合に予め設定した速度−散布量特性に基づいて散布量を算出し、速度連動しない場合には予め設定された基準散布量に基づいて前記散布機を制御し、送信機は散布するか否かを設定する散布メインスイッチ7,11及び速度連動するか否かを設定する速度連動スイッチ8,12を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人ヘリコプタ等を用いて薬剤等を散布する空中散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上側から遠隔操作される無人ヘリコプタを用いて農薬等の薬剤を空中散布する場合、飛行速度が速いと単位面積当たりの散布量が少なくなり、飛行速度が遅いと単位面積当たりの散布量が多くなる。したがって、一定の適正な量を散布するためには散布量を飛行速度に比例するように速度連動制御すればよいことは当然に思いつく(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、単に散布量を速度に比例させた速度連動制御では、極低速時あるいはホバリング時に散布量が多くなりすぎるという問題を生じる。この点に対処して特許文献1では、速度が所定値以下のときには、散布装置のスイッチがオンであっても、バルブを閉じて散布を停止している。
【0004】
しかしながら、ホバリングあるいは極低速状態で薬剤を集中的あるいは局所的に散布する必要が生じる場合がある。このような場合に前記特許文献1の速度連動制御では対処できない。
【0005】
また、液状の薬剤を散布する場合には、霧化した液体薬剤の粒子径を考慮する必要がある。すなわち、粒子径が小さいと、ロータのダウンウォッシュや風の影響で薬剤粒子が流されて目的とする地表面に到達しないというドリフトの問題を生じる。逆に粒子径が大きくなると、局部的に薬剤が集中して散布むらを生じやすくなり、また薬害のおそれを生じる。このような薬剤の粒子径について前記特許文献1では何ら言及していない。
【0006】
【特許文献1】特開平10−113589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、散布量を速度連動させて速度に応じた適正な粒子径の散布剤を適正な量で散布できるようにするとともに、飛行状態や位置に応じて使用者の意思を正確に反映して散布できる空中散布装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、地上側から散布に関する指令信号を送信する送信機と、機体側に設けた制御装置及び散布機とからなる空中散布装置において、前記制御装置は、前記指令信号を受信する受信部と、散布量を速度連動させるか否かを判定する速度連動判定部と、散布量を算出する散布量演算部と、算出した散布量に応じて前記散布機を制御する散布量制御回路とを備え、前記散布量演算部は、速度連動する場合に予め設定した速度−散布量特性に基づいて散布量を算出し、速度連動しない場合には予め設定された基準散布量に基づいて前記散布機を制御し、前記送信機は、散布するか否かを設定する散布メインスイッチ及び速度連動するか否かを設定する速度連動スイッチを備えたことを特徴とする空中散布装置を提供する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記速度−散布量特性は、速度ゼロで所定の最小散布量を有し、速度がゼロから増加するにつれて散布量が増加するように設定されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記速度−散布量特性は、速度ゼロから所定の第1速度までは一定の最小散布量を有し、この第1速度から所定の第2速度までは速度が増加するにつれて散布量が増加し、第2速度を超えると一定の最大散布量となるように設定されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記速度−散布量特性は、所定の基準速度のときに基準散布量を有し、この基準散布量は前記送信機に設けた散布量調整ボリュームにより調整可能であり、基準散布量の調整により前記速度−散布量特性が散布量に関し上下にシフトすることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、GPS信号に基づいて速度を演算する機体速度演算部を有し、GPS受信状態が不良のときには速度連動を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、散布メインスイッチにより、飛行中に使用者が散布するかしないかを選択して決定できるため、ホバリング時あるいは極低速状態であっても、従来のように自動的に散布停止するのではなく、必要な場合には散布が可能になるため、使用性が向上する。これは、例えば飛行操縦者から遠く離れた場所にいる散布監視者と無線等で連絡しあって、飛行操縦者からは確認できない遠隔位置の散布状況について散布監視者から情報受け、この情報に応じてホバリング散布などを行うような場合に効果的に対処できる。また、速度連動スイッチにより散布量の速度連動をするかしないかを使用者が選択可能になるため、例えば残量の散布剤を散布域全体に散布したい場合などのように速度連動しないで散布したい場合にスイッチ操作で容易に速度連動しない定量散布が可能になり、使用性がさらに向上する。
【0014】
請求項2の発明によれば、速度ゼロから速度増加に応じて散布量が例えば速度に比例して増加するように速度−散布量特性が設定されるため、速度が変動しても常に適正な一定量の散布剤を散布することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、無人ヘリコプタの飛行速度範囲は通常10km/h〜20km/hであり、これを第1速度及び第2速度として、この速度範囲内では散布量を速度連動させて速度の増加に伴って散布量を増加させ、この範囲より低速側では一定の最小散布量とし、高速側では一定の最大散布量とすることにより、通常の使用状態に合った適正な速度連動制御ができ使用性が向上する。
【0016】
請求項4の発明によれば、通常の飛行時の標準速度を基準速度として、この基準速度における散布量を基準散布量とし、送信機に設けた散布量調整ボリュームにより基準散布量が飛行前あるいは飛行中に容易に調整可能であり、基準散布量に応じて散布量−速度特性全体が上下にシフトする。このため、例えば速めの速度で飛行する傾向の使用者や遅めの速度で飛行する傾向の使用者など使用者の操縦の好みあるいは傾向や癖に合せて的確な速度連動制御ができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、機体速度演算部がGPS信号を用いて速度を算出する場合に、GPSの受信不良で正確な速度が算出できないときに、散布量の速度連動を停止することにより、不正確な速度に基づく不適正な量の散布を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る空中散布装置のブロック構成図である。
地上側にメイン送信機1と散布用送信機2が備わる。使用者の一人がメイン送信機1を持って、機体3をリモコン操作で飛行制御するとともに散布の制御を行う。機体3は、例えば無人ヘリコプタである。別の使用者が散布用送信機2を持って、メイン送信機1の使用者とともに散布の制御を行う。機体3には液剤散布機4及び粒剤散布機5が搭載可能である。
【0019】
メイン送信機1は、機体操作部6と、散布メインスイッチ7と、速度連動スイッチ8と、散布流量調整ボリューム9と、散布幅調整ボリューム37と、メイン送信部10とにより構成される。
【0020】
機体操作部6は、ジョイスティック(不図示)等の操作により機体側の不図示ロータやエンジンのサーボモータ等を駆動して機体の姿勢、方向、速度などの制御を行う。
【0021】
散布メインスイッチ7は、オン/オフ式その他の二者択一式のスイッチであり、機体に搭載した薬剤を液剤散布機4又は粒剤散布機5を駆動して散布するか否かを選択して設定する。したがって、使用者は、飛行前にあるいは飛行中に、この散布メインスイッチ7の選択操作により、飛行状態にかかわらず、必要に応じて薬剤を散布するかどうかを自分の意思で決定できる。
【0022】
速度連動スイッチ8は、オン/オフ式その他の二者択一式のスイッチであり、散布量を速度連動させるか否かを選択して設定する。したがって、使用者は、飛行前にあるいは飛行中に、この速度連動スイッチ8の選択操作により、飛行状態にかかわらず、必要に応じて速度連動で散布するか又は速度にかかわらず定量散布するかを自分の意思で決定できる。
【0023】
散布量調整ボリューム9は、基準散布量を調整するための撮みである。すなわち、通常の飛行時の標準速度(例えば15km/h)を基準速度として、この基準速度における散布量を基準散布量(例えば2リットル/分)とし、散布量調整ボリューム9により基準散布量が飛行前あるいは飛行中に調整可能である。この基準散布量に応じて散布量−速度特性全体が上下にシフトする(図2参照)。この散布量調整ボリューム9により、液剤の場合は、吐出口34(後述)からの液剤散布量を調整し、粒剤の場合は、シャッター36(後述)からの粒剤散布量を調整する。
【0024】
散布幅調整ボリューム37は、粒剤の場合に、インペラ35(後述)の回転速度を調整して散布幅(粒剤が飛散する範囲)を広くしたり狭くしたりする。なお、粒剤の散布幅は、散布量に応じてあるいは散布量にかかわらず適正な一定幅として固定することもできる。そのような場合には、散布幅は、常に一定又は散布量に応じて一義的に定まるため、散布幅調整ボリューム37は省略してもよい。
【0025】
メイン送信部10は、上記機体操作部6、散布メインスイッチ7、速度連動スイッチ8、散布量調整ボリューム9及び散布幅調整ボリューム37からの情報を機体側に送信するものである。
【0026】
散布用送信機2は、散布メインスイッチ11と、速度連動スイッチ12と、散布用送信部13とにより構成される。散布メインスイッチ11及び速度連動スイッチ12は、それぞれ上記メイン送信機1の散布メインスイッチ7及び速度連動スイッチ8と同じ機能を有する。これらのスイッチ11,12からの情報は散布用送信部13から機体側に送信される。
【0027】
なお、メイン送信機1と散布用送信機2とから相反する情報が送信されないように送信情報同士をリンクさせたり優先順位を設けてもよい。
機体3側には、エンジン回転数演算部14と、機体速度演算部15と、薬剤種判定部16と、速度連動制御装置17とが備わる。
【0028】
エンジン回転数演算部14は、クランク軸の回転を検出するパルサーコイル18からのパルス波形信号を波形整形回路19で整形してノイズを除去し、パルス波形数をカウントしてエンジン回転数を算出する。
【0029】
機体速度演算部15は、ジャイロ・加速度センサ20、方位センサ21及びGPSセンサ22からの情報に基づいて機体推定速度を算出し、これに所定の補正係数を加味して真の機体速度を算出する。
【0030】
薬剤種判定部16は、散布する薬剤が液剤か粒剤かを薬剤種切替スイッチ23からの情報によって判別する。薬剤種切替スイッチ23は、飛行前に使用者が機体に搭載した薬剤タンク(不図示)の薬剤が液剤か粒剤かによって切換えられる。
【0031】
速度連動制御装置17は、メイン送信部10からの信号を受信するメイン受信部24と、散布用送信部13からの信号を受信する散布用受信部25と、速度連動判定部26と、散布量演算部27と、モータ駆動制御回路28と、シャッター駆動制御回路29とにより構成される。
【0032】
速度連動判定部26は、両受信部24,25からの情報のうち速度連動スイッチ8,12の情報から速度連動が選択されたか否かを判別する。さらに、速度連動判定部26には、機体速度演算部15を通してGPSセンサ22の受信状態の情報が入力され、GPSの受信状態が不良のときには速度連動を行わないようにする。すなわち、速度連動スイッチがオンで、GPS受信状態が不良のときには速度連動は行わない。速度連動スイッチ8,12がオフのときは、GPS受信状態にかかわらず速度連動は行わない。したがって、速度連動が実行されるのは、速度連動スイッチ8,12がオンで、且つGPS受信状態が良好のときのみである。速度連動を行わない場合は、速度にかかわらず散布量を一定量に固定した状態で薬剤を散布する。
【0033】
散布量演算部27は、速度連動すると判定された場合に、機体速度演算部15からの速度情報及び薬剤種判定部16からの薬剤の種類の情報に基づいて、予め設定してある散布量−速度特性のマップあるいは計算式を用いて、速度に応じた散布量を算出して出力する。速度連動しない場合には、予め設定してある固定量を算出情報として出力する。この固定量は、使用者が散布量調整ボリューム9を操作して任意に設定可能である。
【0034】
上記散布量演算部27において、液剤の場合には、速度連動を行わない場合、散布メインスイッチ7,11がオンのとき、散布量調整ボリューム9に基づき、モータ駆動制御回路28への制御量を算出し、モータ駆動制御回路28へ出力する。この場合、散布量は一定の固定値であり、この固定値は、操作者が散布量調整ボリューム9により任意に設定可能である。
【0035】
液剤の場合で速度連動を行う場合には、散布メインスイッチ7,11がオンのとき、散布量調整ボリューム9に基づき、モータ駆動制御回路28への制御量を算出し、さらに機体速度に応じて増減させた制御量を、モータ駆動制御回路28に出力する。
【0036】
粒剤の場合には、エンジン回転数14で求められた回転数が、ある回転数より高くなると、散布幅調整ボリューム37に基づき、モータ駆動制御回路28への制御量を算出し、これをモータ駆動制御回路28へ出力して散布幅調整用のモータであるインペラ駆動用モータ31を回転駆動する。この場合、散布幅は一定の固定値であり、この固定値は操作者が散布幅調整ボリューム37により任意に設定可能である。
【0037】
エンジン回転数がある値より低い若しくは停止しているときは、散布幅調整用のモータ31は回転不可にする。これは、発電能力の低いエンジン低回転又は停止時(飛行していないとき)にモータが回転すると、バッテリの無駄な消費になるからである。すなわち、このような飛行していないときは当然散布はしていない状態であるが、このような散布していない状態で散布幅用のモータが回転することを防止する。なお、液剤の場合には、着地しているときにモータ30が回転すればポンプが駆動されて液剤が散布されるため、モータ30の回転を認識できるのでモータ30の回転を停止するように直ちに処置できる。しかし、粒剤の場合にはシャッター36が閉じて散布されない状態となるので、散布幅調整用のモータ31が回転してもその回転は外からは認識できない。したがって、散布していない状態で、散布幅モータ31の無駄な回転が起こり得る。このような無駄なモータ31の回転を防止するため、エンジン回転数が所定値より低く発電能力が低いときには、モータ31の回転を停止させる。
【0038】
前記散布量演算部27において、粒剤の場合で且つ速度連動を行わない場合には、散布メインスイッチ7,11がオンのとき、散布量調整ボリューム9に基づき、シャッター駆動制御回路29への制御量を算出し、シャッター駆動制御回路29へ出力する。この場合、散布量は一定の固定値である。この固定値は、操作者が散布量調整ボリューム9により任意に設定可能である。
【0039】
速度連動を行う場合には、散布メインスイッチ7,11がオンのとき、散布量調整ボリューム9に基づき、シャッター駆動制御回路29への制御量を算出し、さらに機体速度に応じて増減させた制御量をシャッター駆動制御回路29に出力する。
【0040】
散布量演算部27からの出力はフィードバック制御してもよい。
液剤の場合のフィードバック制御は、ポンプ33の吐出側に圧力センサ又は流量センサを設け、吐出圧力又は流量を検出してその検出情報を散布量演算部27にフィードバックして必要とする目標値になるように制御する。
【0041】
粒剤の場合のフィードバック制御は、シャッター36の開度を検出し、その検出情報を散布量演算部にフィードバックして必要な散布量となる目標開度になるようにモータ32を制御する。
【0042】
モータ駆動制御回路28は、散布量演算部27から出力された散布量に基づいて、液剤の場合には液剤散布機4のポンプ駆動用モータ30をPWM制御して液剤散布量を調整する。粒剤の場合には、粒剤散布機5のインペラ駆動用モータ31を駆動制御して粒剤の散布幅を調整する。
【0043】
シャッター駆動制御回路29は、粒剤の場合に、散布量演算部27から出力された散布量に基づいて、粒剤散布機5のシャッターモータ32を駆動制御してシャッター開度を調整することにより、粒剤散布量を調整する。なお、モータ駆動制御回路28及びシャッター駆動制御回路29が、請求項でいう散布量制御回路を構成する。
【0044】
液剤散布機4は、前記モータ30、ポンプ33、液剤吐出口34により構成される。吐出口34は、交換可能なノズルあるいはアトマイザであり、噴出口径の異なる複数種のなかから選択して装着される。モータ30の回転数制御によりポンプ33の吐出圧力が変わる。吐出圧力が代わると、これに応じて吐出口34からの吐出量が変わるとともに、吐出粒子の粒子径が変わる。これにより、吐出量に応じた均一で適正な大きさの粒子が生成される。最適な径の粒子を生成するために、ノズルを適宜選択し交換して使用することができる。
【0045】
粒剤散布機5は、前記モータ31,32及びインペラ35、シャッター36により構成される。インペラ35は円板状であり、その回転数を制御することにより、粒剤が飛散する散布幅が調整される。シャッター36の開度を制御することにより、粒剤の散布量が制御される。
【0046】
図2は、散布量−速度特性の例を示すグラフである。
(A)の例は、速度ゼロで所定の最小散布量q0を有し、速度がゼロから増加するにつれて散布量が速度に比例して増加するように設定された特性グラフである。このグラフ(実線)上に、基準点Rがある。基準点Rは、通常の飛行状態での標準速度を基準速度vr(例えば15km/h)として、基準速度vrでの散布量を予め設定された基準散布量qrとする点である。この基準点は、メイン送信機1(図1)の散布量調整ボリューム9により調整できる。基準散布量qrを調整することにより、基準点Rが散布量に関しグラフ上で上下にシフトする。この基準点Rの調整に伴って、特性グラフ(実線)全体が上下にシフトして、調整された基準点Rに応じた新たな特性グラフ(点線)が得られる。
【0047】
(B)の例は、速度ゼロから所定の第1速度v1までは一定の最小散布量q1(=速度ゼロでの散布量q0)を有し、この第1速度v1から所定の第2速度v2までは速度が増加するにつれて散布量が速度に比例して増加し、第2速度v2を超えると一定の最大散布量q2となるように設定された散布量−速度特性グラフ(実線)である。この例においても(A)の例と同様に基準点Rを有し、基準点Rを散布量調整ボリューム9(図1)により調整して、グラフ上で上下にシフトさせることができる。この基準点Rの調整に伴って、特性グラフ(実線)全体が上下にシフトして、調整された基準点Rに応じた新たな特性グラフ(点線)が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、遠隔操作で操縦される無人ヘリコプタ等の機体に散布剤(農薬その他の薬剤等)を搭載し、これを一定地域に散布する空中散布装置として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る空中散布装置のブロック構成図。
【図2】本発明に係る散布量−速度特性の例を示すグラフ。
【符号の説明】
【0050】
1:メイン送信機、2:散布用送信機、3:機体、4:液剤散布機、5:粒剤散布機、6:機体操作部、7:散布メインスイッチ、8:速度連動スイッチ、9:散布量調整ボリューム、10:メイン送信部、11:散布メインスイッチ、12:速度連動スイッチ、13:散布用送信機、14:エンジン回転数演算部、15:機体速度演算部、16:薬剤種判定部、17:速度連動制御装置、18:パルサーコイル、19:波形整形回路、20:ジャイロ・加速度センサ、21:方位センサ、22:GPSセンサ、23:薬剤種切替スイッチ、24:メイン受信部、25:散布用受信部、26:速度連動判定部、27:散布量演算部、28:モータ駆動制御回路、29:シャッター駆動制御回路、30:ポンプ駆動用モータ、31:インペラ駆動用モータ、32:シャッターモータ、33:ポンプ、34:液剤吐出口、35:インペラ、36:シャッター、37:散布幅調整ボリューム、R:基準点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上側から散布に関する指令信号を送信する送信機と、機体側に設けた制御装置及び散布機とからなる空中散布装置において、
前記制御装置は、前記指令信号を受信する受信部と、散布量を速度連動させるか否かを判定する速度連動判定部と、散布量を算出する散布量演算部と、算出した散布量に応じて前記散布機を制御する散布量制御回路とを備え、
前記散布量演算部は、速度連動する場合に予め設定した速度−散布量特性に基づいて散布量を算出し、速度連動しない場合には予め設定された基準散布量に基づいて前記散布機を制御し、
前記送信機は、散布するか否かを設定する散布メインスイッチ及び速度連動するか否かを設定する速度連動スイッチを備えたことを特徴とする空中散布装置。
【請求項2】
前記速度−散布量特性は、速度ゼロで所定の最小散布量を有し、速度がゼロから増加するにつれて散布量が増加するように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の空中散布装置。
【請求項3】
前記速度−散布量特性は、速度ゼロから所定の第1速度までは一定の最小散布量を有し、この第1速度から所定の第2速度までは速度が増加するにつれて散布量が増加し、第2速度を超えると一定の最大散布量となるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の空中散布装置。
【請求項4】
前記速度−散布量特性は、所定の基準速度のときに基準散布量を有し、この基準散布量は前記送信機に設けた散布量調整ボリュームにより調整可能であり、基準散布量の調整により前記速度−散布量特性が散布量に関し上下にシフトすることを特徴とする請求項2又は3に記載の空中散布装置。
【請求項5】
GPS信号に基づいて速度を演算する機体速度演算部を有し、GPS受信状態が不良のときには速度連動を行わないことを特徴とする請求項1に記載の空中散布装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−30544(P2007−30544A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212527(P2005−212527)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(390029621)ニューデルタ工業株式会社 (55)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)