説明

窓枠リフォーム用被覆テープ及びその施工方法

【課題】熟練を要することなく、テープによる窓枠リフォームを簡単かつ綺麗に行ない得るようにする。
【解決手段】窓枠化粧材である長尺な樹脂基材1に粘着層2を形成し、その粘着層全面を離型紙3で被い、その離型紙幅方向中央に切り離し用スリット4を形成した被覆テープPとする。窓枠のリフォームは、テープの離型紙3の一片3aをスリット4を介してその一端から剥がして粘着層2を露出させ、その粘着層2が露出した被覆テープPを水平片11にその粘着層2でもって貼着する。このとき、スリット4の部分をコーナ部11aに沿わせ、コテでもって押えて綺麗に沿わせる。この後、残りの離型紙片3bを剥ぎ取り、垂直片12の表面にテープPを張る。これによって、窓枠Wの室内から見える部分は、この被覆テープPに覆われて化粧がされたものとなって、室内壁等の窓枠W以外のリフォーム部分と同じようにリフォームされたものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一戸建て住宅、集合住宅、店舗、ビルディング等の窓枠リフォーム用被覆テープ及びその被覆テープを使用したリフォーム施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の省資源化の下、住宅や商業施設のリフォームが盛んになっており、窓枠(サッシ)も例外でない。その窓の改修(リフォーム)手段としては、窓枠を除去して取り替える「撤去方法」と旧窓枠を利用して取り替える「かぶせ工法」がある。
通常、窓枠はメーカ毎に規格があって、その取換えには、特注品である代替品の取り寄せと既存窓枠の撤去作業が伴うため、前者の「撤去方法」は時間と費用がかかる。
このため、現在、後者の「かぶせ工法」が主流となっており、特に、小規模なリフォームの場合には、後者が採用されているが、場合によっては、窓枠のリフォームがなされない場合もある。
【0003】
しかし、長年の使用によって、窓枠表面は傷、汚れ等によって痛んでおり、周りがリフォームされたにもかかわらず、窓枠が傷等によって痛んでいると、リフォームした価値は低減する。
特に、賃貸住宅におけるリフォームでは、そのリフォーム度合によって、入居者の好感度が左右されるため、窓枠といえども、傷が見えたりすると、商品価値が低減する。また、既存の住宅をリフォームして転売する場合においても、全体がリフォームされている方が(細かな部分もリフォームされている方が)商品価値は上がる。このとき、やはり、時間と費用の問題が生じる。
【0004】
このため、費用と時間の面を考慮しても、少なくも、上記後者の「かぶせ工法」でもって、窓枠のリフォームをすることが好ましい。その「かぶせ工法」には、旧枠を基盤にして、その上に新枠を取り付ける「カバー工法」、旧枠を基盤にして、その前面に新枠を取り付ける「持ち出し工法」、及び、旧枠を基盤にして、シール施工無しで新枠を取り付ける「ノンシール工法」がある。
しかし、上記いずれの「かぶせ工法」も新枠を新たに必要とするため、費用と時間の面から、窓枠をリフォームしない場合も多い。
【0005】
このような実情の下、短時間で、かつ安価に窓枠をリフォームする手段として、窓枠の各片全表面に化粧用樹脂製テープを被覆貼着する技術がある(特許文献1 請求項3 図3参照)。
【特許文献1】特開2005−336905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このテープの貼着による窓枠リフォームはそれなりに有効であるが、窓枠の垂直片と水平片をそれぞれの一側縁で連結した断面L字状部分においては、一方の片にテープを貼着している時に他方の片にテープがくっ付き、テープをその全長にわたって、皺及び空気溜りが生じることなく両片全表面にきれいに貼着することは非常に困難である。すなわち、熟練を要する。しかし、施工費用の低減を要求される今日、全ての窓枠リフォームに熟練者を送り込むのは困難である。
【0007】
この発明は、熟練を要することなく、テープによる窓枠リフォームを簡単かつ綺麗に行ない得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、被覆テープとして、窓枠化粧材である長尺な樹脂基材の裏側全面に粘着層を形成し、その粘着層全面を離型紙で被い、その離型紙の幅方向の途中位置にその離型紙長さ方向全長に亘る切り離し用スリットを形成したものとしたのである。
このようなテープであると、スリットでもって、離型紙を切り離して剥がすことができるため、その剥がしたテープ部分はその露出した粘着層でもって、窓枠表面に貼着することができる。このとき、離型紙が剥がされていないテープ部分は粘着層が露出していないため、窓枠表面に触れても貼着される(くっつく)ことはない。
【0009】
この被覆テープによる窓枠のリフォーム施工方法としては、例えば、その被覆テープによって窓枠の垂直片と水平片をそれぞれの一側縁で連結した断面L字状部分の前記両片の表面を被覆する際、前記垂直片と水平片の一方の片の表面に、前記被覆テープの前記スリットを境にした一方の離型紙片を剥ぎ取ってその露出した粘着層でもって、その被覆テープをその一方の片の表面長さ方向全長に亘って張り、その後、前記スリットを境にした残りの離型紙片を剥ぎ取ってその露出した粘着層でもって、その被覆テープを他方の片にその表面長さ方向全長に亘って張って、前記垂直片と水平片の両全表面に被覆テープを貼着する。
このようにすれば、窓枠の垂直片と水平片の表面にテープを順々に貼着するため、L字状の屈曲部コーナ線に沿って、例えば、スリット線をそのコーナ線に沿わることによって、垂直片と水平片からなるL字状表面に被覆テープを容易に合わせることができ、両表面にテープを綺麗に張ることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、以上のように被覆テープを構成したので、熟練を要することなく、窓枠のリフォームを簡単かつ綺麗に短時間で行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の一実施形態の被覆テープPは、幅:50mmの長尺状ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂基材1(厚さ:0.025mm)の裏面に、アクリル系難燃性粘着剤層(粘着層、厚み:0.030mm)2を形成した耐候性の優れたものである。その粘着層2の表面にその全長に亘って離型紙3が張られて、この離型紙3の幅方向中央にはスリット4がその全長に亘って形成されており、このスリット4を介して離型紙3は両片3a、3bに分けて剥ぎ取ることができる。この被覆テープPは、図3(a)に示すようにロール状に巻回したものとする。その巻回態様は、離型紙3が表面側(図3上側)でも裏面側でも良い。スリット4の位置は、幅中央が好ましいが、使用個所に応じてどちらかの縁に寄ったものとすることもできる。
【0012】
窓枠Wは、例えば、図1に示すように、アルミニウム型材からなって、その水平片11が建物構造物Hにビス止めされている。その水平片11の室内外側に垂直片12、12が設けられて、その両垂直片12、12の間に扉Dのレール13、13が形成されている。
【0013】
この既成の窓枠Wを上記被覆テープPによりリフォームするには、窓枠Wの全表面を布拭き等によって清掃した後、室内側から見られる内側水平片11と垂直片12の表面に、この被覆テープPをつぎのように張って行う。
【0014】
図3(a)のロールからテープPを引き出し、離型紙3の一片3aをスリット4を介してその一端から剥がして粘着層2を露出させる。その粘着層2が露出した被覆テープPを、図2(a)に示すように、水平片11にその粘着層2でもって貼着する。このとき、スリット4の部分(粘着層2の露出境目部分)を垂直片12と水平片11をそれぞれの一側縁で連結した断面L字状部分のコーナ部11aに沿わせて、図2(b)に示すように、そのコーナ部11aに沿うテープPをコテ14でもって押えて綺麗に沿わせる。
この作業を窓枠Wの全長に亘って行ない、その端でテープPを切断する。なお、窓枠Wの長さ(水平片11の長さ)Lに合わせて、テープPをその長さLに前もって切断しておいても良い。
【0015】
この後、残りの離型紙3の他片3bを剥ぎ取り、図2(c)に示すように、垂直片12の表面にテープPを張るとともに、そのテープPの幅端を垂直片12の上端を跨がせ他の表面に至らして(折り返して)張り終える。
このテープ貼着時、テープPの平らな面(両片11、12の表面)への貼着部分は、ローラにより押えてできる限り平らとする。水平片11からはみ出たテープPの縁は適宜に切断する(図2(b)の鎖線参照)。垂直片12においても折り返さずにその端縁からはみ出たテープPの縁を切断することもできる。
【0016】
この被覆テープPの貼着によって、窓枠Wの室内から見える部分は、この被覆テープPに覆われて化粧がされたものとなって、室内壁等の窓枠W以外のリフォーム部分と同じようにリフォームされたものとなる。
なお、被覆テープPの両片(11、12)への貼着順序は逆(先に垂直片12に貼着し、つぎに水平片11に貼着する)とすることができる。
【0017】
窓枠Wの露出する他の表面部分、例えば、図1において、レール13より外側表面部分も同様にこの被覆テープPでもって被覆することができる。また、扉Dの金属(アルミ)露出部分も同様にこの被覆テープPでもって被覆することもできる。
さらに、全ての離型紙3を剥がしてこの被覆テープPを張ることもでき、スリット4を入れないテープPとすることもできる。樹脂基材1の裏面(粘着層2側面)にスリッ4と同一位置・同一長さのハーフカット線を入れて、被覆テープPを折れやすくして、そのハーフカット線をコーナ部11aに沿わせれば、被覆テープPのコーナ部11aの仕上がりをより綺麗にすることができる。ハーフカット線は、樹脂基材1の表面とすることもでき、また、表裏面とすることもできる。表裏面の場合は、樹脂基材1が切断されないカット深さとする。
【0018】
なお、この被覆テープPは、離型紙3を有しないロール状被覆テープから引き出したテープに離型紙3を貼着することによっても得ることができ、一方、その離型紙3を有しない被覆テープでもって、窓枠Wに直接(離型紙3を剥がすことなく)貼着することもできる。また、樹脂基材1は上記のPENに限らず、種々の樹脂を窓枠Wの材質や使用個所等に応じて適宜に採用できることは勿論である。また、樹脂基材1は、窓枠Wの元の質感(風合い)を醸し出すために「透明」、「半透明」のものとしたり、室内のリフォームの色調に合わせた色のものを適宜に用意したりする。樹脂基材1が透明、半透明の場合は粘着層2も同様に、透明又は半透明とする。
【0019】
上記の被覆テープPによる窓枠Wのリフォームは、上記「撤去方法」、「かぶせ工法」とは異なり、旧窓枠の撤去、新枠の取付け等の作業がないため、費用と工期の面から有利であるとともに、不動産として、建物を転売、入居等に供する場合、高額資本を、短時間で運用できることとなって、表面に出ない大きな費用効果がある。因みに、この被覆テープPによるリフォームと上記撤去方法等によるリフォームとでは、1:10の費用差が生じる試算である。
【0020】
また、その費用、工期面での優位性のみならず、室内の雰囲気やインテリアの色調に合わせて、その色のテープPを採用することが容易であるため、入居者の希望に容易に合わせることができる。
【0021】
さらに、窓枠Wの断面形状(図1参照)は、図1に限定されず、垂直片12と水平片11をそれぞれの一側縁で連結した断面L字状部分を有する形状の窓枠Wであれば、この発明を採用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態の要部断面図
【図2】同実施形態の施工説明図
【図3】同実施形態の被覆テープの説明図
【符号の説明】
【0023】
1 樹脂基材
2 粘着層
3 離型紙
3a、3b 離型紙片
4 スリット
11 窓枠水平片
12 窓枠垂直片
P 被覆テープ
W 窓枠
D 扉
H 建物構造材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠化粧材である長尺な樹脂基材(1)の裏側全面に粘着層(2)を形成し、その粘着層(2)全面を離型紙(3)で被い、その離型紙(3)の幅方向の途中位置にその離型紙長さ方向全長に亘る切り離し用スリット(4)を形成した窓枠リフォーム用被覆テープ。
【請求項2】
請求項1記載の被覆テープ(P)によって窓枠(W)の垂直片(12)と水平片(11)をそれぞれの一側縁で連結した断面L字状部分の前記両片(11、12)の表面を被覆する際、前記垂直片(12)と水平片(11)の一方の片(11、12)の表面に、前記被覆テープ(P)の上記スリット(4)を境にした一方の離型紙片(3a)を剥ぎ取ってその露出した粘着層(2)でもって、その被覆テープ(P)をその一方の片の表面長さ方向全長に亘って張り、その後、前記スリット(4)を境にした残りの離型紙片(3b)を剥ぎ取ってその露出した粘着層(2)でもって、その被覆テープ(P)を他方の片(12、11)の表面にその長さ方向全長に亘って張って、前記垂直片(12)と水平片(11)の両全表面に被覆テープ(P)を貼着する窓枠のリフォーム施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−150109(P2009−150109A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328499(P2007−328499)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(595122187)ブリヂストンケービージー株式会社 (36)
【出願人】(507417673)有限会社コスモプランニング (1)
【Fターム(参考)】