説明

立方晶窒化ホウ素成形体の製造方法

【課題】本発明の目的は、CBN成形体であって、それの表面に耐熱性物質層が結合されている該CBN成形体を製造するその場(in−situ)方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体であって、その表面に耐熱性物質層が結合されている該立方晶窒化ホウ素成形体を製造する方法において、CBN粒子塊を、前記耐熱性物質層を形成することのできる材料と接触させて配置することによって、反応集合体を作る工程と、前記反応集合体を、CBN成形体を形成するのに適した高温高圧条件にさらす工程と、を含む、上記方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔発明の背景〕
本発明は、立方晶窒化ホウ素成形体(CBN compact)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ホウ素は典型的には、3種類の結晶形態、即ち、CBN(立方晶窒化ホウ素)、hBN(六方晶窒化ホウ素)及びwBN(ウルツ鉱型窒化ホウ素)、で存在する。立方晶窒化ホウ素は、ダイヤモンドの構造に類似する構造を有する、窒化ホウ素の硬質亜鉛混合物形態である。CBN構造体において、原子間に形成される結合は、強力な、主として共有結合の四面体結合である。CBNを製造する方法は、当該技術分野では周知である。そのような方法の1つは、特定の触媒添加材料の存在の下、hBNを非常に高い圧力及び温度にさらすことである。該触媒添加材料には、アルカリ金属、アルカリ土塁金属、鉛、スズ、及び、これらの金属の窒化物が包含されることがある。温度及び圧力が減少した時、CBNを回収することができる。
CBNは、工作機械等において、広い商業用途を有する。CBNは、砥石車、切削工具、等における研磨粒子として使用されることがあるか、又は、従来の電気めっき法を使用して工具インサート(tool insert)を形成するために工具本体に結合されることがある。
【0003】
CBN(立方晶窒化ホウ素)は、CBN成形体として結合形態で使用されることもある。CBN成形体は、PCBN(多結晶質立方晶窒化ホウ素)としても知られている。CBN成形体は、優れた耐摩損性を有する傾向があり、熱的に安定であり、高い熱伝導率と優れた耐衝撃性とを有し、且つ、鉄の被加工部材と接触するとき、低摩擦係数を有する。
ダイヤモンドは、CBNよりも硬質である唯一の既知材料である。しかし、ダイヤモンドは鉄等の幾種類かの材料と反応する傾向があるので、ダイヤモンドは、鉄含有金属と一緒に作動する場合、使用することができない。したがって、これらの場合は、CBNを使用することが好ましい。
【0004】
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体は、CBN粒子の多結晶質焼結塊(sintered polycrystalline mass)を含有する。CBN含有率がCBN成形体の80体積%を超える場合、かなりの量の、CBN−CBNの直接的な接触と結合とが存在する。CBN含有量が、より低い場合、例えば、CBN成形体の40〜60体積%の範囲である場合、CBN−CBNの直接的な接触と結合との量はより少ない。
CBN成形体は一般に、結合相又は第2の相をも含有し、結合相又は第2の相は、CBN合成用触媒と成る場合があるか、又はそのような触媒を含有することがある。適切な結合相/第2の相の例は、アルミニウム、アルカリ金属、コバルト、ニッケル及びタングステンである。
【0005】
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体のCBN含有率が75体積%未満である場合、一般に、もう1つの硬質相である第3の相が存在する。この相は、本質的にセラミックであることがある。適切なセラミック硬質相の例は、IVA族又はVB族遷移金属の窒化物、ホウ化物及び炭窒化物、並びに、酸化アルミニウム、並びに、炭化タングステン等の炭化物、並びに、それらの混合物である。
CBN成形体は、工具インサート又は工具を形成する場合、工具本体に直接結合させることができる。しかし、多くの用途のために、CBN成形体は、基体に結合させて、支持された成形体構造体を形成し、次いで、その支持された成形体構造体を工具本体に結合させることが好ましい。基体は典型的には、コバルト、ニッケル、鉄、又は、それらの混合物若しくは合金のような結合剤と一緒に結合される超硬合金である。超硬合金の粒子は、タングステン炭化物、チタン炭化物若しくはタンタル炭化物の粒子、又はそれらの混合物を含有することがある。基体は、与えられる場合、通常、CBN成形体の寸法及び厚さよりもかなり大きい寸法及び厚さを有する。
【0006】
多結晶質CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体と、支持された成形体構造体とを製造する既知の方法は、CBN粒子の未焼結塊を高温高圧条件(即ち、CBNが結晶学的に安定である条件)に適切な時間の間さらす工程を含む。結合相を使用して、それら粒子の結合形成を促進させることができる。使用される高圧高温(HPHT)の典型的な条件は、約2GPa以上のオーダーの圧力、及び、約1100℃以上の領域の温度である。これらの条件を維持するための時間は典型的には、約3〜120分である。
基体を備えた、又は備えていないCBN焼結体はしばしば、使用される特定の切削工具又は穿孔工具の所望の寸法及び/又は形状に切断され、次いで、ろう付け技術を用いて工具本体に取り付けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体であって、その表面に耐熱性物質層が結合されている該立方晶窒化ホウ素成形体を製造する方法において、CBN粒子塊を、前記耐熱性物質層を形成することのできる材料と接触させて配置することによって、反応集合体(reaction mass)を作る工程と、前記反応集合体を、CBN成形体を形成するのに適した高温高圧条件にさらす工程と、を含む、上記方法が提供される。
このように、本発明は、CBN成形体であって、それの表面に耐熱性物質層が結合されている該CBN成形体を製造するその場(in−situ)方法を提供する。後焼結操作(post−sintering operation)を行って耐熱性物質層をCBN成形体に施用する必要性はない。そのような後焼結操作は、コストを増大させ、且つ、CBN成形体の劣化又は損傷を引き起こすことがある。耐熱性物質のCBN成形体への適切な結合を後焼結操作によって達成することは、困難である場合もある。
【0008】
耐熱性物質層を得るための該耐熱性物質の性質は、CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体が用いられる用途によって様々である。例えば、耐熱性物質層が切削作業におけるCBN成形体の作業面(working surface)に対するクレータ損傷(crater damage)を低減することを目的とする場合、該耐熱性物質は、該CBN成形体の耐クレータ性よりも大きい耐クレータ性を有するように選定されるであろう。
耐熱性物質は、典型的には、炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物又はケイ化物であり、好ましくは、4族、5族若しくは6族の金属、アルミニウム又はケイ素の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、ホウ化物又はケイ化物である。耐熱性物質は、そのような耐熱性物質の混合物又は固溶体であってもよい。
【0009】
耐熱性物質は典型的には、通常、該耐熱性物質の20体積%未満の量で存在する結合剤を含有する。適切な結合剤の諸例は、遷移金属(例えば、コバルト、鉄、ニッケル、イットリウム及びチタン)、銅、アルミニウム、ケイ素、並びに、そのような金属を含有する化合物及び合金である。
本発明の1つの態様において、反応集合体中の耐熱性物質形成性材料(refractory−forming material)は、CBN(立方晶窒化ホウ素)粒子塊と接触する層の形態をとる。該層は、凝集性未焼結状形態(coherent green state form)を有することが好ましい。
反応集合体中の耐熱性物質形成性材料の層は、異なる組成を有する2以上の異なる層で形成することができる。
【0010】
本発明のもう1つの態様において、反応集合体は、耐熱性物質形成性材料でできた容器の中にCBN(立方晶窒化ホウ素)粒子塊を入れることによって作る。容器は、チタン、ニオブ、タングステン、モリブデン、アルミニウム、ハフニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、バナジウム、ジルコニウム及びタンタル、又は、そのような金属を含有する合金、から選ばれる金属で作製することができる。容器の材料は、高温高圧にさらされる間、CBN粒子と反応して窒化物及び/又はホウ化物を形成し、このようにして、CBN成形体の表面に結合される、この耐熱性物質の層を形成する。金属合金がキャニスタ材料として使用される場合、合金化元素の1つは、耐熱性物質のための適切な結合相の形成が容易となるように選定することができる。耐熱性物質のための適切な元素の例は、ニッケル及びコバルトである。合金化元素は、最終の焼結製品の内部に金属形態で存続することができる。そのような層の厚さ、即ち、CBN粒子からのホウ素及び窒素が容器材料の中に拡散する深さは、典型的には約20〜50μmである。容器からのある種の残留金属は、耐熱性物質層の中に残存して、結合相の機能を果たすことができる。
【0011】
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体の表面に結合される耐熱性物質層は、通常は薄く、厚さが300μm以下であることが好ましい。耐熱性物質層の厚さは通常、少なくとも30μmである。反応集合体中の耐熱性物質形成性材料の層の厚さは、所望の厚さの耐熱性物質層を生成するように選定する。
反応集合体中の耐熱性物質とCBN粒子塊との間に、銅、銀、亜鉛、コバルト及びニッケルのような金属の層を与えることができる。そのような金属の目的は、例えば、耐熱性物質層とCBN成形体との間の結合を改善することである場合がある。
【0012】
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体を生成するのに使用する典型的な高圧高温(HPHT)条件は、1100℃以上の温度、及び約2GPa以上のオーダーの圧力である。これらの条件を維持する時間は典型的には、約3〜120分間である。
CBN成形体は、高CBN含量の成形体、即ち、少なくとも70体積%のCBN含量を有する成形体であってもよく、通常、第2の相を含有する。CBN成形体はまた、第2の相を含有する低CBN含量の成形体であって、通常、第3の相をも含有する成形体であってもよい。そのようなCBN成形体はいずれも、当該技術分野では周知である。
【0013】
第2の相及び第3の相の材料は、与えられるときは通常、粒状形態であり、その場合、高温高圧条件にかけられる前にCBN(立方晶窒化ホウ素)粒子塊と混合される。
CBN粒子塊は、粒状の第2の相及び第3の相の有無にかかわらず、凝集性未焼結状形態の成形体に形成することが好ましく、該成形体は、続いて高温高圧条件にかける。
【0014】
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体は、超硬合金製基体・(cemented carbide substrate)のような基体に結合させることができる。そのような成形体のための超硬合金製基体は、CBN成形体と比べて大きな塊であり、また、耐熱性物質層は通常、該基体に結合される成形体表面と背中合わせの成形体表面に結合される。
CBN成形体は、典型的には約300μm〜2000μm、好ましくは約500μm〜1000μmの範囲の厚さを有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔好ましい具体例の詳細な記述〕
本発明は次に、下記の非制限的実施例によって説明する。
【実施例】
【0016】
[実施例1]
チューブミキサー(tubular mixer)を使用して、1.4μmの平均粒度を有する準化学量論の(sub−stoichiometric)炭窒化チタン粉末[Ti(C0.70.30.8]を、5μmの平均粒度を有するAl粉末と一緒に混合した。Ti(C0.70.30.8とAlとの間の質量比は、90:10であった。その粉末混合物は、チタン製カップに圧入して圧粉体を成形し、次いで、真空下で1025℃まで30分間加熱し、次いで、破砕し粉砕した。次いで、その粉末混合物は4時間の間オトリションミル(attrition mill)で粉砕し、次いで、平均粒度1.4μmのCBN(立方晶窒化ホウ素)を添加し、ヘキサン中で1時間の間オトリションミルで粉砕した。そのCBNは、該混合物中のCBNの理論総体積%が約60%になるような量で添加した。そのスラリーは、真空下で乾燥させ、次いで、炭化タングステン基超硬合金によって支持された圧粉体に成形した。
【0017】
前記の圧粉体と炭化タングステン製支持体とは、チタン製キャニスターに入れ、次いで、55キロバール(5.5GPa)及び約1300℃の温度で焼結した。該キャニスターを取り出して、未反応チタンは、研削によって除去した。CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体の少なくとも1つの表面に、二ホウ化チタン及び窒化チタンを含有する耐熱性物質の薄層を残した。この耐熱性物質層は、チタンと、CBN粒子から前記チタン製カップの中に拡散するホウ素及び窒素との相互作用によって形成された。拡散の深さは典型的には、20〜50μmである。該耐熱性物質層の中に、結合剤として作用する幾らかの残留チタンが存在することがある。
【0018】
[実施例2]
チューブミキサーを使用して、1.4μmの平均粒度を有する不足当量の炭窒化チタン粉末[Ti(C0.70.30.8]を、5μmの平均粒度を有するAl粉末と一緒に混合した。Ti(C0.70.30.8とAlとの間の質量比は、90:10であった。その粉末混合物は、チタン製カップに圧入して圧粉体を成形し、次いで、真空下で1025℃まで30分間加熱し、次いで、破砕し粉砕した。次いで、その粉末混合物は4時間の間オトリションミルで粉砕し、次いで、平均粒度1.4μmのCBN(立方晶窒化ホウ素)を添加して、ヘキサン中で1時間の間オトリションミルで粉砕した。そのCBNは、該混合物中のCBNの理論総体積%が約60%になるような量で添加した。そのスラリーは、真空下で乾燥させ、次いで、圧粉体に成形した。
【0019】
TiC0.8約89体積%と同一体積%のAl及びNiとを含有する粉末混合物を、粉砕機にかけ、次いで、オトリションミルで混合し、次いで、乾燥させた。同一体積%の結合剤、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、可塑剤及びDBP(ジブチルフタレート)を、メチルエチルケトン70容量%とエタノール30容量%とを含有する総容量50容量%の溶媒物質と一緒に、容器に添加した。その混合物は高速度で撹拌し、次いで、TiC0.8、Al及びNiを含有する粉末混合物を、前記液体混合物に徐々に添加して、テープ成形を行うのに適する安定粘度を達成した。その混合スラリーは、ドクターブレード装置(Dr. Blade set up)の中に注ぎ、次いで、セラミック製テープの(厚さが約100μmの)薄層を成形し乾燥させた。セラミック製テープの複数層は、乾燥の後、既に形成された圧粉体の表面に配置した。そのユニットは、容器封入を行った後、55キロバール(5.5GPa)及び約1300℃の温度で焼結した。
焼結工程の後、CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体であって、その表面に、炭化チタン、二ホウ化チタン、窒化アルミニウム及びニッケル合金を含有する耐熱材料の層が結合されている該CBN成形体を回収した。
【0020】
[実施例3]
チューブミキサーを使用して、1.4μmの平均粒度を有する不足当量の炭窒化チタン粉末[Ti(C0.70.30.8]を、5μmの平均粒度を有するAl粉末と一緒に混合した。Ti(C0.70.30.8とAlとの間の質量比は、90:10であった。その粉末混合物は、チタン製カップに圧入して圧粉体を成形し、次いで、真空下で1025℃まで30分間加熱し、次いで、破砕し粉砕した。次いで、その粉末混合物は4時間の間オトリションミルで粉砕し、次いで、平均粒度1.4μmのCBN(立方晶窒化ホウ素)を添加して、ヘキサン中で1時間の間オトリションミルで粉砕した。そのCBNは、該混合物中のCBNの理論総体積%が約60%になるような量で添加した。そのスラリーは、真空下で乾燥させ、次いで、圧粉体に成形した。
【0021】
TiC0.8約63.5体積%、CBN(立方晶窒化ホウ素)30体積%、Al 2.6体積%及びNi 3.9体積%を含有する粉末混合物を、粉砕機にかけ、次いで、オトリションミルで混合し、次いで、乾燥させた。同一体積%の結合剤、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、可塑剤及びDBP(ジブチルフタレート)を、メチルエチルケトン70体積%とエタノール30体積%とを含有する総容量50容量%の溶媒物質と一緒に、容器に添加した。その混合物は高速度で撹拌し、次いで、TiC0.8、CBN、Al及びNiを含有する粉末混合物を、前記液体混合物に徐々に添加して、テープ成形を行うのに適する安定粘度を達成した。その混合スラリーは、ドクターブレード装置の中に注ぎ、次いで、セラミック製テープの(厚さが約100μmの)薄層を成形し乾燥させた。セラミック製テープの複数層は、乾燥の後、既に形成された圧粉体の表面に配置した。そのユニットは、容器封入を行った後、55キロバール(5.5GPa)及び約1300℃の温度で焼結した。
CBN成形体であって、その表面に、炭化チタン、CBN、二ホウ化チタン、窒化アルミニウム及びニッケル合金を含有する耐熱性物質層が結合されている該CBN成形体を回収した。
【0022】
[実施例4]
チューブミキサーを使用して、1.4μmの平均粒度を有する不足当量の炭窒化チタン粉末[Ti(C0.70.30.8]を、5μmの平均粒度を有するAl粉末と一緒に混合した。Ti(C0.70.30.8とAlとの間の質量比は、90:10であった。その粉末混合物は、チタン製カップに圧入して圧粉体を成形し、次いで、真空下で1025℃まで30分間加熱し、次いで、破砕し粉砕した。次いで、その粉末混合物は4時間の間オトリションミルで粉砕し、次いで、平均粒度1.4μmのCBN(立方晶窒化ホウ素)を添加して、ヘキサン中で1時間、オトリションミルで粉砕した。そのCBNは、該混合物中のCBNの理論総体積%が約60%になるような量で添加した。そのスラリーは、真空下で乾燥させ、次いで、圧粉体に成形した。
【0023】
TiN0.8約46.9体積%、CBN(立方晶窒化ホウ素)46体積%、Ni 3.1体積%及びAl 4体積%を含有する粉末混合物を、粉砕機にかけ、次いで、アトライター粉砕機で混合し、次いで、乾燥させた。同一体積%の結合剤、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、可塑剤及びDBP(ジブチルフタレート)を、メチルエチルケトン70体積%とエタノール30体積%とを含有する総容量50体積%の溶媒物質と一緒に、容器に添加した。その混合物は高速度で撹拌し、次いで、TiN0.8、CBN、Al及びNiを含有する粉末混合物を、前記液体混合物に徐々に添加して、テープ成形を行うのに適する安定粘度を達成した。その混合スラリーは、ドクターブレード装置の中に注ぎ、次いで、セラミック製テープの(厚さが約100μmの)薄層を成形し乾燥させた。セラミック製テープの複数層は、乾燥の後、既に形成された圧粉体の表面に配置した。そのユニットは、容器封入を行った後、55キロバール(5.5GPa)及び約1300℃の温度で焼結した。
CBN成形体であって、その表面に、窒化チタン、CBN、二ホウ化チタン、窒化アルミニウム及びニッケル合金を含有する耐熱性物質層が結合されている該CBN成形体を回収した。
【0024】
[実施例5]
チューブミキサーを使用して、1.4μmの平均粒度を有する不足当量の炭窒化チタン粉末[Ti(C0.70.30.8]を、5μmの平均粒度を有するAl粉末と混合した。Ti(C0.70.30.8とAlとの間の質量比は、90:10であった。その粉末混合物は、チタン製カップに圧入して圧粉体を成形し、次いで、真空下で1025℃まで30分間加熱し、次いで、破砕し粉砕した。次いで、その粉末混合物は4時間の間オトリションミルで粉砕し、次いで、平均粒度1.4μmのCBN(立方晶窒化ホウ素)を添加して、ヘキサン中で1時間、オトリションミルで粉砕した。そのCBNは、該混合物中のCBNの理論総体積%が約60%になるような量で添加した。そのスラリーは、真空下で乾燥させ、次いで、圧粉体に成形した。
【0025】
Ti(C0.50.50.8約90.7体積%、Ni 4.6体積%及びAl 4.7体積%を含有する粉末混合物を、粉砕機にかけ、次いで、アトライター粉砕機で混合し、次いで、乾燥させた。同一体積%の結合剤、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、可塑剤及びDBP(ジブチルフタレート)を、メチルエチルケトン70体積%とエタノール30体積%とを含有する総容量50体積%の溶媒物質と一緒に、容器に添加した。その混合物は高速度で撹拌し、次いで、Ti(C0.50.50.8、Ni及びAlを含有する粉末混合物を、前記液体混合物に徐々に添加して、テープ成形を行うのに適する安定粘度を達成した。その混合スラリーは、ドクターブレード装置の中に注ぎ、次いで、セラミック製テープの(厚さが約100μmの)薄層を成形し乾燥させた。セラミック製テープの複数層は、乾燥の後、既に形成された圧粉体の表面に配置した。そのユニットは、容器封入を行った後、55キロバール(5.5GPa)及び約1300℃の温度で焼結した。
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体であって、その表面に、炭窒化チタン、二ホウ化チタン、ニッケル合金及び窒化アルミニウムを含有する耐熱性物質層が結合されている該CBN成形体を回収した。
【0026】
[実施例6]
チューブミキサーを使用して、1.4μmの平均粒度を有する不足当量の炭窒化チタン粉末[Ti(C0.70.30.8]を、5μmの平均粒度を有するAl粉末と混合した。Ti(C0.70.30.8とAlとの間の質量比は、90:10であった。その粉末混合物は、チタン製カップに圧入して圧粉体を成形し、次いで、真空下で1025℃まで30分間加熱し、次いで、破砕し粉砕した。次いで、その粉末混合物は4時間の間オトリションミルで粉砕し、次いで、平均粒度1.4μmのCBN(立方晶窒化ホウ素)を添加して、ヘキサン中で1時間の間オトリションミルで粉砕した。そのCBNは、該混合物中のCBNの理論総体積%が約60%になるような量で添加した。そのスラリーは、真空下で乾燥させ、次いで、圧粉体に成形した。
【0027】
TiN0.8約31.5体積%、ZrO 61.7体積%、Al 1.4体積%及びY 5.5体積%を含有する粉末混合物を、粉砕機にかけ、次いで、アトライター粉砕機で混合し、次いで、乾燥させた。同一体積%の結合剤、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、可塑剤及びDBP(ジブチルフタレート)を、メチルエチルケトン70容量%とエタノール30容量%とを含有する総容量50容量%の溶媒物質と一緒に、容器に添加した。その混合物は高速度で撹拌し、次いで、TiN0.8、ZrO、Al及びYを含有する粉末混合物を、前記液体混合物に徐々に添加して、テープ成形を行うのに適する安定粘度を達成した。その混合スラリーは、ドクターブレード装置の中に注ぎ、次いで、セラミック製テープの(厚さが約100μmの)薄層を成形し乾燥させた。セラミック製テープの複数層は、乾燥の後、既に形成された圧粉体の表面に配置した。そのユニットは、容器封入を行った後、55キロバール(5.5GPa)及び約1300℃の温度で焼結した。
CBN(立方晶窒化ホウ素)成形体であって、その表面に、窒化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム及び酸化イットリウムを含有する耐熱性物質層が結合されている該CBN成形体を回収した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方晶窒化ホウ素成形体の表面に耐熱性物質層が結合されている該立方晶窒化ホウ素成形体を製造する方法であって、
立方晶窒化ホウ素粒子塊を、前記耐熱性物質層を形成することのできる材料と接触させて配置することによって、反応集合体を作る工程と、
前記反応集合体を、立方晶窒化ホウ素成形体を形成するのに適した高温高圧条件にさらす工程と、
を含む、上記方法。
【請求項2】
耐熱性物質形成性材料を、立方晶窒化ホウ素粒子塊と接触する層として提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記層が凝集性未焼結状形態である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
耐熱性物質は、炭化物、ホウ化物、炭窒化物、窒化物、酸化物及びケイ化物から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
炭化物、炭窒化物、窒化物、ホウ化物、酸化物及びケイ化物は、4族、5族及び6族の金属、アルミニウム並びにケイ素から選択される金属の炭化物、炭窒化物、窒化物、ホウ化物、酸化物及びケイ化物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
耐熱性物質が結合剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
結合剤は、遷移金属、銅、アルミニウム、ケイ素、並びに、そのような金属を含有する合金及び化合物から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
結合剤が耐熱性物質の20体積%未満の量で存在する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
耐熱性物質形成性材料でできた容器であって、高温高圧条件の下、反応集合体中の立方晶窒化ホウ素粒子と反応して、立方晶窒化ホウ素成形体上に耐熱性物質層を形成する該容器の少なくとも一部分中に立方晶窒化ホウ素粒子塊を入れることによって、該反応集合体を作る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
容器は、チタン、ニオブ、タングステン、モリブデン、アルミニウム、ハフニウム、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ジルコニウム及びタンタル、又は、そのような金属を含有する合金から選択される金属で作製する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
立方晶窒化ホウ素成形体に結合される耐熱性物質形成性材料の層は、300μm以下の厚さを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
耐熱性物質形成性材料の層は、30〜300μmの範囲の厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
立方晶窒化ホウ素粒子塊が、反応集合体中で凝集性未焼結状形態である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
反応集合体中の立方晶窒化ホウ素粒子塊が、粒状形態の第2の相の材料と混合される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
高温高圧条件は、少なくとも1100℃の温度、及び少なくとも2GPaの圧力である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
高温高圧条件を3〜120分間の間維持する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
実施例のいずれか1つに関連し、本明細書に実質的に記述されている、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2013−40102(P2013−40102A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−253352(P2012−253352)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2009−505992(P2009−505992)の分割
【原出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(507142155)エレメント シックス (プロダクション)(プロプライエタリィ) リミテッド (44)
【Fターム(参考)】