説明

簡易便器用防水シート

【課題】本発明は身障者等が上に乗っても滑って転ばない簡易便器の下敷きとしての防水シートを提供することを課題とする。
【解決手段】防水シート2の本体3の表面に多数の弾性突起4を設けて、その上に乗る人の足が滑ることを防止し、該本体3の裏面に遮水兼滑り止め層5,7,17設けて該防水シート2が床上で動くことを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は簡易便器の下に敷いて、簡易便器からの水、汚水が床にこぼれないようにするための簡易便器用防水シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防水シートとしては、例えば、表面が立毛ボア編み物層の裏面に合成ゴムバッキング層を設けた構成(例えば特許文献1参照)、マットの裏面に防水性フィルム体を設けた構成(例えば特許文献2参照)等が提供されている。
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3059415公報
【特許文献2】実用新案登録第3094325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の防水シートは、その上に人が乗った時、滑り易く転倒し易いと云う問題点があった。特に簡易便器は身障者、老人、病人等が使用するので、このような防水シートを使用することは、極めて危険な状態を招くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、簡易便器1の下に敷く防水シート2,12であって、該防水シート本体3,13の表面には多数の弾性突起4,14を形成し、裏面には軟質合成樹脂からなる遮水兼滑り止め層5,7,17を部分的または全面的に設けた簡易便器用防水シート2,12を提供するものである。
上記防水シート本体3,13は繊維シートからなり、上記弾性突起4,14は弾性合成樹脂からなり、該繊維シートの裏面には遮水層5または撥水層15が設けられていることが望ましく、該防水シート本体3,13の裏面には全面的に第1の遮水兼滑り止め層5が設けられ、更に該防水シート本体3,13の裏面4つの角部には第2の遮水兼滑り止め層7が設けられていることが望ましく、また上記防水シート本体3,13の周縁には縁取り材8,18を被覆することによって剛性が高められていることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
請求項1
請求項1の防水シート2は簡易便器1の下に敷いて、簡易便器1からこぼれる水や汚水を受けて床Fが汚れるのを防止する。そして該防水シート本体3の表面には、多数の弾性突起4が形成されているから、その上に人が乗っても弾性突起4によって足が滑ることが防止される。
更に該防水シート本体3の裏面には軟質合成樹脂からなる遮水兼滑り止め層5,7,17が部分的または全面的に設けられているから、該繊維シート2に上から垂直でない荷重がかかっても、該防水シート2は床に対して滑らない。
【0007】
請求項2
上記防水シート本体3を合成繊維シートによって構成すると、該防水シート2上にこぼれた水あるいは汚水は、該合成繊維シート本体3に吸収され、防水シート2上から床にこぼれない。しかし該合成繊維シート本体3に吸収された水あるいは汚水は、遮水層兼滑り止め層5,7,17によって堰止められ、床Fには達しない。
【0008】
請求項3
【0009】
防水シート本体の裏面には全面的に第1の遮水兼滑り止め層が設けられ、更に該防水シート本体の裏面4つの角部には第2の遮水兼滑り止め層が設けられていると、該防水シート本体の4つの角部における剛性が強化され、角部からのめくれ上がりが防止される。
【0010】
請求項4
上記該防水シート本体3の周縁に縁取り材8を被覆すると、その剛性によって該防水シート2のめくれ上りが防止される。
【0011】
〔効果〕
本発明の防水シートは簡易便器から水や汚水がこぼれても床が汚れないようにし、また簡易便器の使用者が上に乗っても足が滑らず安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を図1〜図2に示す一実施例によって説明すれば、1は携帯用便器であり、該携帯用便器1は床F上に敷設された防水シート2上に載置されている。
【0013】
図2に示すように、該防水シート2の本体3は合成繊維シートからなる。該合成繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キュプラ、アセテート繊維等が使用されるが、本実施例の場合にはポリエステル繊維:アクリル繊維=70:30質量比の混合繊維が使用され、該繊維はニードルパンチングあるいは合成樹脂バインダー等で絡合あるいは結着されて繊維シートとなる。
【0014】
上記繊維シート本体3の表面には多数の弾性突起4が形成されている。上記弾性突起4は、例えば軟質なアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂や、アクリルゴム,ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、イソプレンゴムソプレン、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、あるいはスチレン−エチレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(αメチルスチレン)、ポリ(αメチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)、エチレン−プロピレン共重合体,ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−エチルデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1,4ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−1,4ヘキサジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等のゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体等エラストマー等からなる。
本実施例の場合は液状シリコン樹脂をオフセット印刷し、加熱乾燥硬化させることによって弾性突起4が形成される。また図3に示すように該弾性突起4の縦横間隔Iは等しく、2.5〜3.0mmの範囲に設定し、斜め位置にある対角的弾性突起4の角度θは60°に設定されている。
【0015】
上記構成の防水シート本体3の裏面には軟質合成樹脂フィルムからなる第1の遮水兼滑り止め層5が全面的に接着されており、更に該防水シート本体3の裏面の4つ角部にはホットメルトフィルム6を介して軟質合成樹脂からなる第2の遮水兼滑り止め層7が熱接着されており、更に該防水シート本体3の周縁には合成繊維織布からなる縁取り材8が縫着9されている。
【0016】
上記第1の遮水兼滑り止め層5は例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂のフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム等のプラスチックフィルムや、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体のエマルジョンや溶液の塗布層からなる。また上記ホットメルトフィルム6は、例えばポリエチレン、低融点ポリエステル、ポリアミド等からなる。更に上記第2の遮水兼滑り止め層7は上記第1の遮水兼滑り止め層5と同様な合成樹脂からなるが、更に軟質で床Fに対する密着性のあるものを選択する。
本実施例では第1の遮水兼滑り止め層5はポリウレタンフィルム、ホットメルトフィルム6はポリエステルフィルム、第2の遮水兼滑り止め層7はポリウレタンフィルムである。
【0017】
上記第2の遮水兼滑り止め層7と上記ホットメルトフィルム6とによって防水シート2の角部が補強され、防水シート2の角部におけるめくれ上がりが防止される。なお第2の遮水兼滑り止め層7はホットメルトフィルム6によって防水シート本体3の全面にわたって貼着されてもよい。
【0018】
上記構成では該防水シート2上に人が乗っても、弾性突起4のために足が滑ることを防止される。また該防水シート2上に斜めから負荷が及ぼされても、第2の遮水兼滑り止め層7が床Fに密着しており、防水シート2が床F上を移動することが防止される。更に該防水シート2上に水や汚水がこぼれても、該防水シート本体3は合成繊維シートであるから、吸水作用によって床Fにこぼれない。しかし該合成繊維シート本体3の裏面には第1の遮水兼滑り止め層5が設けられているから、該防水シート本体3に浸透した水や汚水は床Fには達しない。更に該防水シート本体3には縁取り材8が縫着9されているから、該防水シート2はその剛性によってめくり上らず、床Fに密着する。
【0019】
図4には本発明の他の実施例が示される。この実施例の防水シート12の本体13を構成する繊維シートは3層に分割されており、上層13Aは吸水拡散性を有し、該防水シート12上にこぼれた水や汚水を吸水し拡散させる層であり、中間層13Bは保水性を有し、該上層13Aから移行した水を保持する層である。下層15は撥水性を有し、中間層13Bに保持されている水を撥水して下に漏洩しないようにする撥水層である。
【0020】
該本体13は具体的にはポリエステル繊維からなり、上層13Aは密度を高くしても毛細管現象によって水を吸収拡散し易くする。また中間層13Bは密度を低くして保水性を付与し、更に下層(撥水層)は例えばシリコン処理等の撥水処理を施す。
【0021】
該本体13表面に形成される多数の弾性突起14はシリコン樹脂からなり、また該本体13裏面に積層される遮水兼滑り止め層17は軟質アクリル樹脂エマルジョンを機械的に発泡させ塗布乾燥させることにより形成される発泡軟質アクリル樹脂であり、該遮水兼滑り止め層17は床Fに密着して該防水シート12の滑り止めを行なう。
本実施例でも該本体13には縁取り材18が縫着19されている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の防水シートは簡易便器からこぼれる水や汚水を受けて床が汚れないようにし、更に身障者、老人、病人等がその上に乗っても足がすべることもなく、また防水シートが床上でずれることもないので、転倒することが防止され、安全に使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】防水シート使用状態斜視図
【図2】防水シート角部側断面図
【図3】弾性突起配置図
【図4】他の実施例の部分側断面図
【符号の説明】
【0024】
1 簡易便器
2,12 防水シート
3,13 防水シート本体
4,14 弾性突起
5 第1の遮水兼滑り止め層
7 第2の遮水兼滑り止め層
17 遮水兼滑り止め層
8,18 縁取り材
13A 上層
13B 中間層
15 下層(撥水層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易便器の下に敷く防水シートであって、該防水シート本体の表面には多数の弾性突起を形成し、裏面には軟質合成樹脂からなる遮水兼滑り止め層を部分的または全面的に設けたことを特徴とする簡易便器用防水シート。
【請求項2】
上記防水シート本体は繊維シートからなり、上記弾性突起は弾性合成樹脂からなり、該繊維シートの裏面には遮水層または撥水層が設けられている請求項1に記載の簡易便器用防水シート。
【請求項3】
該防水シート本体の裏面には全面的に第1の遮水兼滑り止め層が設けられ、更に該防水シート本体の裏面4つの角部には第2の遮水兼滑り止め層が設けられている請求項1または2に記載の簡易便器用防水シート。
【請求項4】
上記防水シート本体の周縁には縁取り材を被覆することによって剛性が高められている請求項1または2または3に記載の簡易便器用防水シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate