説明

米粉を含む天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷら

【課題】特定の性質を有する米粉を特定量小麦粉に配合することで、サクサク、カリッとした歯切れの良い食感の天ぷらの衣を得ることが出来る天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらを提供すること。
【解決手段】アミロース含量が22%以上の米粉を0.5質量%以上60質量%以下含む天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉を含む天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらに関する。
【背景技術】
【0002】
天ぷらの品質改良のため、天ぷらの衣原料に米粉を使用することが行われている。
例えば、米粉を配合した天ぷら用衣原料として、薄力小麦粉60〜80重量%、トウモロコシ澱粉10〜30重量%、米粉2〜4重量%、トウモロコシ粉2〜7重量%を少なくとも含み、該トウモロコシ澱粉中の1〜5重量%がアルファ化澱粉であることを特徴とする天ぷら用小麦粉配合物が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、米粉を単に配合するのではなく、特定の性質を有する米粉を使用した例として、米粒又は米粉に、圧縮力、衝撃力、摩擦力及び剪断力から選ばれる少なくとも1種を加えることによって製造され、膨潤度が4.5以上で、アミログラフ糊化最高粘度が500BU以下とされた改質米粉を含有する天ぷら衣用ミックス粉が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−269255号公報
【特許文献1】特開2010−104246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天ぷらの衣は、一般にモチモチした食感よりもサクサク、カリッとした歯切れの良い食感が良いとされている。
米粉を単に使用した天ぷら粉を使用した場合、一般的に、モチモチしたヒキのある食感となる傾向があり、サクサク感に乏しいことから天ぷらの衣の食感としては好ましくはなかった。
本発明の目的は、特定の性質を有する米粉を特定量小麦粉に配合することで、サクサク、カリッとした歯切れの良い食感の天ぷらの衣を得ることが出来る天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、使用する米粉のアミロース含量に着目し、特定のアミロース含量の米粉を特定量小麦粉と併用することで、口溶けが良くカリッとした歯切れの良い食感の天ぷらの衣を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、アミロース含量が22%以上の米粉を0.5質量%以上60質量%以下含む天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらである。
好ましい米粉の配合量は、10質量%以上30質量%以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の天ぷら用小麦粉組成物を使用することでサクサク、カリッとした好ましい食感の天ぷらの衣が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する米粉は、アミロース含量が22%以上の米粉である。
本発明で使用する米粉のアミロース含量の調整は、「モミロマン」、「越のかおり」など高アミロース米を適宜配合し、これを、胴搗き製粉、ロール製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉等で製粉することで得ることができる。
使用する米粉のアミロース含量が22%未満であった場合、天ぷらの衣の食感がモチモチしたヒキのある食感となり、サクサク、カリッとした歯切れの良い食感を得ることができない。
アミロース含量が30%を超える米粉は原料となる高アミロース米が入手できず試験することができなかった。
なお、本発明のアミロース量は、ヨウ素呈色比色法[小麦の品質評価法(IV)−小麦粉のアミロース測定法−、食品総合研究所(1992)参照]で測定した値である。
【0008】
小麦粉に配合する米粉の配合量は0.5質量%以上60質量%以下である。
好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。
米粉の配合量が、0.5質量%から10質量%といった少量配合の場合は配合量の影響が大きく、米粉の配合量が40質量%以上になってくると配合量の差異が食感に与える影響は小さくなる。
米粉の配合量が、0.5質量%未満では、本発明の効果を得ることができず、米粉の配合量が60質量%を超える場合は、衣の食感が硬くなりすぎてしまう。
【0009】
本発明で使用する小麦粉には、特に限定はなく従来の天ぷら用衣原料として使用されている小麦粉が使用でき、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉などを挙げることができる。
本発明の天ぷら用小麦粉組成物は、従来の天ぷら粉に使用されている副資材を併用することができ、副資材として、穀粉類(小麦粉、アミロース含量が22%以上の米粉を除く)及び/又は澱粉類、デキストリン、植物性蛋白質、乳化剤、卵粉、増粘多糖類、膨張剤、食物繊維、油脂類、塩、糖類、調味料、香辛料、着色料、香料、ビタミン類、ミネラル類などを挙げることができる。
【0010】
本発明の天ぷら用小麦粉組成物の調製方法は、米粉と小麦粉が均一に混合できれば特に限定はなく、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用することが出来る。
天ぷら用小麦粉組成物と副資材を併用して天ぷらの衣を得る場合は、天ぷら用小麦粉組成物と副資材をあらかじめ混合しミックス粉として使用することもできる。
本発明の天ぷら用小麦粉組成物を使用した天ぷらの製造方法は、従来公知の天ぷら粉を使用した方法と同じでよく、特別な操作は不要であり、打粉を使用することも出来る。
また、使用できる具材も従来公知の天ぷらに使用されている具材が使用できる。
【実施例】
【0011】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1〜8]
「あきたこまち」を原料として、湿式気流粉砕しアミロース含量18.3%の米粉を得た。
この米粉と薄力粉を表1に示す配合で混合し、天ぷら用小麦粉組成物を得た。
この天ぷら用小麦粉組成物100gに対し冷水を150g加え、バッターを調製した。
伸ばし海老に前記バッターを付け170℃の大豆菜種油中で2分間フライして天ぷらを得た。
10名のパネラーにより以下の評価基準において評価を行った。
評価は、フライ直後と、フライして3時間経過後の2回行った。
結果を表1に示す。
[評価基準]
5点 非常にサクサク、カリッとした食感で非常に良い
4点 サクサク、カリッとした食感で良い
3点 普通
2点 ヒキが有りモチモチした食感で劣る
1点 非常にヒキが有りモチモチした食感で非常に劣る
【0012】
【表1】

【0013】
[試験例9〜16]
「コシヒカリ」を原料として、湿式気流粉砕しアミロース含量19.2%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。
結果を表2に示す。
【0014】
【表2】

【0015】
[試験例17〜24]
「あきたこまち」、「モミロマン」を配合して、湿式気流粉砕しアミロース含量21.4%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。
結果を表3に示す。
【0016】
【表3】

【0017】
[試験例25〜32]
「あきたこまち」、「越のかおり」を配合して、湿式気流粉砕しアミロース含量22.5%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。
結果を表4に示す。
【0018】
【表4】

【0019】
[試験例33〜40]
「モミロマン」を原料として、湿式気流粉砕しアミロース含量25.9%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。
結果を表5に示す。
【0020】
【表5】

【0021】
[試験例41〜48]
「越のかおり」を原料として、湿式気流粉砕しアミロース含量29.5%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。
結果を表6に示す。
【0022】
【表6】

【0023】
フライ直後、フライして3時間経過後のどちらの場合でもアミロース含量22.5%、25.9%、29.5%の米粉を使用し、米粉の配合量が0.5質量%以上60質量%の場合に優れた評価が得られた。
アミロース含量22.5%、25.9%、29.5%の米粉を使用し、米粉の配合量が10質量%以上30質量%以下の場合には特に優れた評価が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロース含量が22%以上の米粉を0.5質量%以上60質量%以下含む天ぷら用小麦粉組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の天ぷら用小麦粉組成物を使用した天ぷら。


【公開番号】特開2013−34440(P2013−34440A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174471(P2011−174471)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000231637)日本製粉株式会社 (144)
【Fターム(参考)】