説明

籾摺装置

【課題】ゴムロール式と衝撃式の二つの籾摺り方式を適切に利用し、未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができる籾摺装置を提供すること。
【解決手段】籾11を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパー10と、籾ホッパー10から供給される籾を二つの回転するゴムロール21、22間を通すことによる摺り作用によって脱ぷする第1の籾摺機構部20と、第1の籾摺機構部によって得られた玄米と籾及び籾殻の混在する混合米が排出される混合米の排出口30に接続される導入口51を有し、導入口51から供給される混合米31の籾を衝撃作用によって脱ぷする第2の籾摺機構部50と、籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部60と、玄米71を機外へ排出する玄米の排出口70とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺りの方式としては、従来から、ゴムロール式と、衝撃式が知られている。ゴムロール式では、籾が二つの回転するゴムロールを通り抜ける際に、籾殻をゴムロールの回転速度の差によって摺り落とすことで、籾摺りが行われる。また、衝撃式では、インペラ式とそれを改良したジェット式とが知られている。インペラ式は、高速で回転する羽根車を備え、その羽根車による遠心力で繰り出された籾が壁面に衝突する衝撃力を利用して脱ぷするものである。
【0003】
ゴムロール式の籾摺装置にあっては、二つの回転するゴムロールによって摺る力を強めると、玄米を傷つけてしまうことになるため、その力を適度に弱めた状態に調整して籾摺りがなされる。このため、籾の脱ぷ率が低くなりやすい。そこで、一回の籾摺り工程では十分でなく、選別装置で選別された籾と玄米の混合米を二つの回転するゴムロールの間に繰返して通すことで脱ぷ率を高めている(特許文献1参照)。
【0004】
また、衝撃式の籾摺装置にあっても、その衝撃力を強めると、玄米の穀粒が粉砕されて胴割米を発生してしまうため、衝撃力を適度に弱めた状態に調整して籾摺りがなされる。このため、籾の脱ぷ率が低くなりやすい。そこで、一回の籾摺り工程では十分でなく、選別装置で選別された籾と玄米の混合米を羽根車の中に再度投入する装置構成として脱ぷ率を高めている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−328459号公報(第1頁)
【特許文献2】特開平11−57503号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
籾摺装置に関して解決しようとする問題点は、従来のゴムロール式と衝撃式の個々の籾摺り方式にあっては、選別された未脱ぷの籾を籾摺機構部内へ繰返し供給しても、未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を得ることが難しかった。また、脱ぷ効率を高めるため、選別された未脱ぷの籾を籾摺機構部内へ何度も繰返し供給することになり、籾摺りの効率が悪く、しかも玄米を傷つけてしまうという問題点がある。
そこで本発明の目的は、ゴムロール式と衝撃式の二つの籾摺り方式を適切に利用し、未脱ぷの籾がほとんど混じってない状態の玄米を効率よく適切に得ることができる籾摺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置において、籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパーと、該籾ホッパーから供給される籾を二つの回転するゴムロール間を通すことによる摺り作用によって脱ぷする第1の籾摺機構部と、該第1の籾摺機構部によって得られた玄米と籾及び籾殻の混在する混合米が排出される混合米の排出口に接続される導入口を有し、該導入口から供給される前記混合米の籾を衝撃作用によって脱ぷする第2の籾摺機構部と、該第2の籾摺機構部によって得られた玄米と籾殻が供給され、該籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部と、該籾殻分離機構部を含む選別装置によって選別された前記玄米を機外へ排出する玄米の排出口とを具備する。
【0008】
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記第2の籾摺機構部が、回転する羽根車による遠心力によって衝撃を与えるインペラ式であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記籾ホッパーから籾が落下することで第1の籾摺機構部に供給され、前記混合米が前記混合米の排出口から落下することで前記導入口を介して前記第2の籾摺機構部内に供給されることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記選別装置を構成する装置の一部が、前記籾殻分離機構部の後工程部に配され、斜面を揺動させることで玄米と未脱ぷの籾とを選別する揺動選別装置部であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる籾摺装置の一形態によれば、前記揺動選別装置部で選別された未脱ぷの籾を、再度の衝撃によって脱ぷすべく、前記第2の籾摺機構部へ戻す籾の戻し装置部を備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の籾摺装置によれば、ゴムロール式と衝撃式の二つの籾摺り方式を適切に利用し、未脱ぷの籾がほとんど混じっていない状態の玄米を効率よく適切に得ることができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の籾摺装置に係る形態例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る籾摺装置の最良の形態例を、添付図面(図1)に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の籾摺装置に係る形態例を示す説明図である。この籾摺装置によれば、籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出することができる。
【0013】
10は籾ホッパーであり、籾11を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する部位になっており、装置の上部に設けられている。
20は第1の籾摺機構部であり、籾ホッパー10から供給される籾を二つの回転するゴムロール21、22間を通すことによる摺り作用によって脱ぷするように設けられている。この第1の籾摺機構部20は、籾ホッパー10の下側に設けられており、その籾ホッパー10から籾11が落下することで第1の籾摺機構部20に供給される。
【0014】
30は混合米の排出口であり、第1の籾摺機構部20の下部に設けられている。
この混合米の排出口30からは、第1の籾摺機構部20の脱ぷ作用によって得られた玄米と籾及び籾殻の混在する混合米31が排出される。
【0015】
50は第2の籾摺機構部であり、第1の籾摺機構部20の混合米の排出口30に接続される導入口51を有し、その導入口51から供給される混合米31の籾を衝撃作用によって脱ぷするように設けられている。混合米31には籾殻が含まれていることで、衝撃作用を適度に緩和でき、胴割米等の損傷のある玄米の発生を防止できる。
また、40は混合米の通路であり、混合米の排出口30と導入口51とを接続するように設けられている。
【0016】
この第2の籾摺機構部50としては、例えば、図1に示すような回転する羽根車53による遠心力によって衝撃を与えるインペラ式の籾摺装置とすることができる。この羽根車53としては、例えば、一対の円板の間に複数の羽根が放射状に配されて設けられ、軸受けされた中心軸が電動モータ(図示せず)で駆動されることによって高速回転できる構造にすることができる。
【0017】
また、第2の籾摺機構部50は、第1の籾摺機構部20の下側に設けられており、混合米31が混合米の排出口30から重力によって自然に落下することで混合米の通路40及び導入口51を介して第2の籾摺機構部50内に供給される。これにより、混合米31を第1の籾摺機構部20から第2の籾摺機構部50へ好適に供給することができる。これによれば、第1の籾摺機構部20と第2の籾摺機構部50との間にホッパーや籾殻分離機構部等の特別な構成を設ける必要がなく、第1の籾摺機構部20と第2の籾摺機構部50とを簡単な構造で且つ適切に接続できる。
また、第2の籾摺機構部50の直上に第1の籾摺機構部20を配設することもできる。これによれば、本発明に係る籾摺装置のコンパクトを図ることができる。特に籾摺装置の設置床面積を小さくすることができる。
【0018】
60は籾殻分離機構部であり、第2の籾摺機構部50によって得られた玄米と籾殻が供給され、その籾殻を風力で分離するように設けられている。なお、55は穀粒の管路であり、脱ぷされた穀粒を第2の籾摺機構部50から籾殻分離機構部60に送る通路になっている。
61は脱ぷされた穀粒の移動方向を示す矢印であり、62は籾殻の排出路である。
70は玄米の排出口であり、籾殻分離機構部60を含む選別装置によって選別された玄米71を機外へ排出する口となっている。
【0019】
このように、各機構部を配置することで、ゴムロール式による籾摺りの後に、衝撃式による籾摺りを行う順序になる。ゴムロール式による摺り作用によって第1の籾摺機構部20内では脱ぷされない籾であっても脱ぷされ易い状態になり、その籾を第2の籾摺機構部50内では衝撃によって脱ぷできるため、脱ぷ効率を格段に向上できる。これによれば、二つの籾摺り方式を適切に利用でき、未脱ぷの籾がほとんど混じっていない状態の玄米を効率よく適切に得ることができる。
本発明に係る構成は、コインを投入することで自動的に籾摺りを行うコイン籾摺装置として好適に用いることができる。そのような自動的に運転するもみすり装置の場合、第1の籾摺機構部20の運転が終了した後、一定の時間が経過した後に第2の籾摺機構部50の運転を自動的に停止するように制御するとよい。
また、ゴムロール21、22による摺り作用の強さと、羽根車53の回転による衝撃の強さがどちらも必要以上に大きくならないように調整された状態で脱ぷできるため、玄米を傷つけないで済み、良質な玄米を得ることができる。
【0020】
65は揺動選別装置部であり、籾殻分離機構部60の後工程部に配され、斜面を揺動させることで玄米と未脱ぷの籾とを選別する。この揺動選別装置部65は、選別装置を構成する装置の一部として設けられている。これにより、未脱ぷの籾を選別でき、玄米に未脱ぷの籾が混入することを防止できる。なお、選別された玄米は、矢印72で示すように持ち上げられて、玄米の排出口70から排出される。
また、選別の方式としては、本形態例のような揺動式に限らず、他の方式として例えば万石式及び回転式を採用してもよい。
【0021】
66は籾の戻し装置部の通路を示す矢印(点線)であり、揺動選別装置部65で選別された未脱ぷの籾を、再度の衝撃によって脱ぷすべく、第2の籾摺機構部50へ戻すように設けられている。これにより、さらに脱ぷ率を向上でき、未脱ぷの籾がほとんど完全にない玄米を得ることができる。
【0022】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0023】
10 籾ホッパー
11 籾
20 第1の籾摺機構部
21、22 ゴムロール
30 混合米の排出口
50 第2の籾摺機構部
51 導入口
53 羽根車
60 籾殻分離機構部
65 揺動選別装置部
70 玄米の排出口
71 玄米

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾を順次連続的に供給して籾摺りを行い、籾殻を除去し、玄米が順次連続的に得られるように排出される籾摺装置において、
籾を貯留すると共に下方へ順次連続的に供給する籾ホッパーと、
該籾ホッパーから供給される籾を二つの回転するゴムロール間を通すことによる摺り作用によって脱ぷする第1の籾摺機構部と、
該第1の籾摺機構部によって得られた玄米と籾及び籾殻の混在する混合米が排出される混合米の排出口に接続される導入口を有し、該導入口から供給される前記混合米の籾を衝撃作用によって脱ぷする第2の籾摺機構部と、
該第2の籾摺機構部によって得られた玄米と籾殻が供給され、該籾殻を風力で分離する籾殻分離機構部と、
該籾殻分離機構部を含む選別装置によって選別された前記玄米を機外へ排出する玄米の排出口とを具備することを特徴とする籾摺装置。
【請求項2】
前記第2の籾摺機構部が、回転する羽根車による遠心力によって衝撃を与えるインペラ式であることを特徴とする請求項1記載の籾摺装置。
【請求項3】
前記籾ホッパーから籾が落下することで第1の籾摺機構部に供給され、前記混合米が前記混合米の排出口から落下することで前記導入口を介して前記第2の籾摺機構部内に供給されることを特徴とする請求項1又は2記載の籾摺装置。
【請求項4】
前記選別装置を構成する装置の一部が、前記籾殻分離機構部の後工程部に配され、斜面を揺動させることで玄米と未脱ぷの籾とを選別する揺動選別装置部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の籾摺装置。
【請求項5】
前記揺動選別装置部で選別された未脱ぷの籾を、再度の衝撃によって脱ぷすべく、前記第2の籾摺機構部へ戻す籾の戻し装置部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の籾摺装置。

【図1】
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