説明

粉体レベル検出装置

【課題】簡易な構成で流路を形成しつつ、窓に対し平行に空気を吹き付けることが可能な粉体レベル検出装置を提供する。
【解決手段】
検出部は、電磁手段によって粉体収容部内の粉体を検出し、粉体除去部は、積層された複数のシートと、空気を供給する気圧源と、気圧源に接続し、窓に対し平行に空気を供給する空気供給路と、を有し、シートは、電磁手段を通過させる電磁手段通過孔と、この電磁手段通過孔の外周側に設けられた貫通孔を備え、空気供給路は、電磁手段通過孔の外周側に空気を導入する外周部と、この外周部と電磁手段通過孔とを接続する接続部と、を有し、外周部は、積層の際に隣接するシートのうち、一方に設けられた貫通孔と、貫通孔を閉塞する他方のシートの側面および/または貫通孔によって形成され、空気供給路は、電磁手段通過孔における鉛直下方側に開口し、この開口から窓に対し平行に空気を供給することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容部等の内部に収容される粉体の残量を検出する粉体レベル検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1の技術にあっては、粉体を収容する容器に設けられた窓を介し、レーザによって粉体の残量を検出する技術が開示されている。この技術にあっては、窓に対し平行に空気を吹き付けることにより、窓に付着、堆積する粉体を効果的に除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−270026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術にあっては、窓に設けられたフランジおよび金属製環状スペーサに設けられた流路を介して空気を窓に吹き付けている。このフランジおよび金属製環状スペーサは一体物であって、流路は径方向に牙孔されるため、流路の形成が煩雑でありコストアップを招いていた。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で流路を形成しつつ、窓に対し平行に空気を吹き付けることが可能な粉体レベル検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、粉体を収容する粉体収容部と、前記粉体収容部の側面に設けられた窓と、前記粉体収容部に設けられ、前記窓を介し、前記粉体収容部内に収容された前記粉体の収容量を検出する検出部と、前記窓に設けられ、この窓に対し空気を吹きつける粉体除去部とを備えた粉体レベル検出装置において、前記検出部は、電磁手段によって前記粉体収容部内の粉体を検出し、前記粉体除去部は、積層された複数のシートと、前記空気を供給する気圧源と、前記気圧源に接続し、前記窓に対し平行に空気を供給する空気供給路と、を有し、前記シートは、前記電磁手段を通過させる電磁手段通過孔と、この電磁手段通過孔の外周側に設けられた貫通孔を備え、前記空気供給路は、前記電磁手段通過孔の外周側に前記空気を導入する外周部と、この外周部と前記電磁手段通過孔とを接続する接続部と、を有し、前記外周部は、積層の際に隣接するシートのうち、一方に設けられた前記貫通孔と、前記貫通孔を閉塞する他方のシートの側面および/または貫通孔によって形成され、前記空気供給路は、前記電磁手段通過孔における鉛直下方側に開口し、この開口から前記窓に対し平行に空気を供給することとした。
【発明の効果】
【0007】
よって、簡易な構成で流路を形成した粉体レベル検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の粉体レベル検出装置を適用した粉体収容部の概要である。
【図2】粉体除去部の軸方向断面図である。
【図3】粉体除去部の軸方向正面図である。
【図4】第1シートの軸方向正面図および断面図である。
【図5】第2シートの軸方向正面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
[粉体レベル検出装置を用いた粉体搬送装置の概要]
図1は、本発明の粉体レベル検出装置を適用した粉体搬送装置10を示す図である。粉体搬送装置10は、粉体収容部1、供給部2、排出部3、粉体除去部100を有する。
【0010】
粉体収容部1は台形状のホッパであり、供給部2から供給された粉体を排出部3へ導入する。排出部3の内部にはフィーダ31が設けられ、粉体を搬送する。粉体収容部1の側面には窓4が設けられ、この窓4を介して粉体収容部1内に収容される粉体の残量を検出する。具体的にはレーザ、マイクロ波等の電磁手段を窓4の外側から粉体収容部1内に照射し、電磁波の反射に基づき粉体の残量を検出する。
【0011】
[粉体除去部]
図2は粉体除去部100の軸方向断面図(図3のI−I断面)、図3は軸方向正面図である。なお、図2、図3の一点鎖線は空気の流れを示す。粉体除去部100は、第1、第2シート110,120、パッキン130、窓固定用治具140、スペーサ150、強化ガラス160、検出部170、および気圧源180を有する。なお、以下では窓4の中心軸であって粉体収容部1の外側から内側へ向かう方向をx軸正方向とする。
【0012】
気圧源180で発生した高圧空気は空気供給路200を介して窓4に対し噴射される。この空気供給路200は、外周部210および空気導入口220から形成される。第1、第2シート110,120の外周側には外周部210が形成され、この外周部210は第1、第2シート110,120の内周側と連通する。これにより気圧源180で発生した高圧空気は空気導入口220を介してこの外周部210に供給され、窓4へ噴射される。
【0013】
(シート)
図4、図5は、それぞれ第1、第2シートの110,120の軸方向正面図および断面図である。なお、第1、第2シート110,120の中心軸をOとする。第1、第2シート110,120はそれぞれドーナツ状のシートであり、内周側には電磁手段通過孔111,121が設けられる。この電磁手段通過孔111,121の外周側には長孔状の第1、第2貫通孔112,122が設けられており、この第1、第2貫通孔112,122によって外周部210を形成する。
この第1、第2貫通孔112,122は第1、第2シート110,120の周方向全体にわたって複数設けられており、第1シート110における第1貫通孔112と、第2シート120における第2貫通孔122とは互いに重複しつつ異なる相対位置に設けられている。各貫通孔112,122はそれぞれ直線状の長孔である。曲線状の長孔の場合は加工が煩雑であるが、直線状とすることで容易に形成可能な形状となっている。
【0014】
第1シート110における第1貫通孔112は、第1シート110の接線方向の直線L1に対し垂直な長孔に形成され、かつ内周側の第1内周側貫通孔112aおよび外周側の第1外周側貫通孔112bから構成される。第1内周側貫通孔112aと第1外周側貫通孔112bとは互いに連続しない。また、第1内周側貫通孔112aは第1シート110の電磁手段通過孔111に設けられた切欠きである接続部113によって電磁手段通過孔111と連通する。電磁手段通過孔111と第1内周側貫通孔112aとの間を切り欠くだけで接続部113を形成し、加工工数を低減する。
【0015】
第2シート120における第2貫通孔122は、第1シート110の第1貫通孔112とは異なり第2シートの接線方向の直線L2に対し傾斜した長孔状に設けられている。また、第1シート110と第2シート120とを積層した際、第1シート110における第1内周側貫通孔112aは、この傾斜した第2シート貫通孔122によって第1外周側貫通孔112bと連通される。第1、第2貫通孔112,122により形成され、切欠きである接続部113によって電磁手段通過孔111と連通する。
【0016】
(パッキン、窓固定用治具、強化ガラス、スペーサ)
パッキン130は各シート110,120と同一の外周および内周を有するドーナツ状部材であって、第1シート110と窓固定用治具140との間に介在される。窓固定用治具140はともに円筒形状の座金141と止め具142からなり、座金141は内周側に強化ガラス160およびスペーサ150を収容する。強化ガラス160は円盤状、スペーサ150は円筒状であって、それぞれ外径は座金141の内径とほぼ同一に設けられている。なお、強化ガラス160およびスペーサ150の外径はパッキン130の内径よりも大径に設けられており、これにより強化ガラス160はパッキン130によって粉体収容部1側を係止される。
【0017】
座金141の外周側と止め具142の内周側にはともにネジが切られており、ネジ同士を締結することで止め具142と座金141とが互いに固定される。スペーサ150は強化ガラス160と反対側の端部を止め具150によって係止され、これにより強化ガラス160はスペーサ150とパッキン130に挟持されて固定される。
【0018】
[シート積層による空気供給路の形成]
粉体除去部100は、x軸正方向側から順に第2シート120、第1シート110、パッキン130、窓固定用治具140の順に積層して組み立てられる。上述のように、第1シート110と第2シート120の各貫通孔112,122はそれぞれ連通可能に形成され、連通した状態でボルト等により互いに積層される。
【0019】
第2シート120はx軸正方向側において粉体収容部1に積層され、第1シート110はx軸負方向側においてパッキン130に積層される。これにより第1、第2シート110,120は粉体収容部1とパッキン130に挟持され、第1、第2シート110,120に設けられた各貫通孔112,122も粉体収容部1およびパッキン130によりx軸方向を閉塞される。これにより、連通する各貫通孔112、122から形成される外周部210は粉体収容部1およびパッキン130によってx軸両方向をシールされる。
【0020】
第1シート110の内周側貫通孔112aは、接続部113によって電磁手段通過孔111と連通している。この接続部113のx軸方向両側は第2シート120およびパッキン130により閉塞されている。そのため、接続部113から電磁手段通過孔111,112に空気を噴出させると、空気は各シート110,120に対し平行に噴出する。したがって、各シート110,120に対し平行に設けられた窓4、および強化ガラス160に対し平行に空気を噴出させることが可能となる。積層された第1、第2シート110,120によって外周部210が形成されるため、円筒状の一体物の部材に対し径方向に牙孔することなく、積層するだけで簡易に空気供給路200が形成される。この接続部113は電磁手段通過孔111の鉛直下方側のみに設けられ、鉛直上方側には設けられていない。
【0021】
気圧源180から吐出された空気は空気導入口220を介して外周部210へ導入され、各貫通孔112,122によって第1、第2シート110,120の全周にわたって供給される。供給された空気は第1内周側貫通孔112aに設けられた接続部113を介して電磁手段通過孔111,112に噴出される。これにより、窓4や強化ガラス160に対し平行に空気を噴出させ、付着した粉体等が適切に除去される。粉体は電磁手段通過孔111および窓4の鉛直下方側に溜まりやすいため、鉛直下方側から空気を供給することで粉体を適切に除去することができる。なお、鉛直上方側からも空気を供給した場合、空気を噴出する部位が増加して鉛直下方側から供給される空気量が相対的に減少し、窓4に溜まった粉体を適切に除去できないおそれがある。したがって空気供給路200の外周部210を鉛直下方側のみで開口させることにより、鉛直下方側からの空気供給量を確保して粉体を適切に除去するものである。
【0022】
[効果]
(1)検出部170は、電磁手段によって粉体収容部1内の粉体を検出し、
粉体除去部100は、積層された複数の第1、第2シート110,120と、空気を供給する気圧源180と、気圧源180に接続し、窓4に対し平行に空気を供給する空気供給路200と、を有し、
第1、第2シート110,120は、電磁手段を通過させる電磁手段通過孔111,121と、この電磁手段通過孔111,121の外周側に設けられた第1、第2貫通孔112,122を備え、
空気供給路200は、電磁手段通過孔111,121の外周側に空気を導入する外周部210と、この外周部210と電磁手段通過孔111,121とを接続する接続部113と、を有し、
前記外周部210は、積層の際に隣接する第1、第2シート110,120のうち、一方に設けられた第1、第2貫通孔112,122と、第1、第2貫通孔112,122を閉塞する他方の第1、第2シート110,120の側面および/または第1、第2貫通孔112,122によって形成され、
空気供給路200は、電磁手段通過孔111における鉛直下方側に開口し、この開口から窓に対し平行に空気を供給することとした。
これにより、複数の第1、第2シート110,120を積層させ、ドリル加工等の煩雑な加工を用いることなく、簡易な構成で空気供給路200を形成することができる。また、粉体は電磁手段通過孔111および窓4の鉛直下方側に溜まりやすいため、鉛直下方側から空気を供給することで粉体を適切に除去することができる。
【0023】
(2)接続部113は、複数の第1、第2シート110,120のうち、少なくともいずれかの内周側に設けられた切欠であることとした。
これにより、接続部113を簡易な形状とすることができる。また第1、第2シート110,120内周側を切り欠くだけでよいため、加工工数を低減することができる。
【0024】
(3)積層された複数の第1、第2シート110,120のうちいずれか1つのシート(例えば第1シート110)に設けられた貫通孔(例えば第12貫通孔112)は、隣接する他のシート(例えば第2シート120)に設けられた貫通孔(例えば第2貫通孔122)に対し、異なる相対位置であって、かつ重複して設けられることとした。
これにより、隣接する第1、第2シート110,120の第1、第2貫通孔112,122同士を重複させつつ異なる相対位置とすることで、異なる第1、第2シート110,120に設けられた第1、第2貫通孔112,122同士が連通し、空気供給路200を電磁手段通過孔111,121の外周側に沿って延長することができる。
【0025】
(4)複数の第1、第2シート110,120は、それぞれ第1、第2貫通孔112,122を複数有することとした。
第1、第2シート110,120を打ち抜いて第1、第2貫通孔112,122を形成する場合、第1、第2貫通孔112,122の面積が拡大すればするほど形成しづらくなり、また第1、第2シート110,120の強度およびシール性も低下する。そのため面積の小さい第1、第2貫通孔112,122を複数設け、複数の第1、第2貫通孔112,122同士を連通させて外周部210を形成することにより、加工性と強度、シール性を損なうことなく外周部210の長さおよび形状を変更することができる。
【0026】
(5)複数の第1、第2シート110,120は、内径、外径、および厚みが互いに同一であることとした。同一形状の第1、第2シート110,120を組み合わせて外周部210を形成することにより、コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 粉体収容部
4 窓
100 粉体除去部
110,120 第1、第2シート
111,121 電磁手段通過孔
112,122 第1、第2貫通孔
113 接続部
170 検出部
180 気圧源
200 空気供給路
210 外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する粉体収容部と、
前記粉体収容部の側面に設けられた窓と、
前記粉体収容部に設けられ、前記窓を介し、前記粉体収容部内に収容された前記粉体の収容量を検出する検出部と、
前記窓に設けられ、この窓に対し空気を吹きつける粉体除去部と
を備えた粉体レベル検出装置において、
前記検出部は、電磁手段によって前記粉体収容部内の粉体を検出し、
前記粉体除去部は、積層された複数のシートと、前記空気を供給する気圧源と、前記気圧源に接続し、前記窓に対し平行に空気を供給する空気供給路と、を有し、
前記シートは、前記電磁手段を通過させる電磁手段通過孔と、この電磁手段通過孔の外周側に設けられた貫通孔を備え、
前記空気供給路は、前記電磁手段通過孔の外周側に前記空気を導入する外周部と、この外周部と前記電磁手段通過孔とを接続する接続部と、を有し、
前記外周部は、積層の際に隣接するシートのうち、一方に設けられた前記貫通孔と、前記貫通孔を閉塞する他方のシートの側面および/または貫通孔によって形成され、
前記空気供給路は、前記電磁手段通過孔における鉛直下方側に開口し、この開口から前記窓に対し平行に空気を供給すること
を特徴とする粉体レベル検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体レベル検出装置において、
前記接続部は、前記複数のシートのうち、少なくとも1つのシートの内周側に設けられた切欠きであること
を特徴とする粉体レベル検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粉体レベル検出装置において、
前記積層された複数のシートのうちいずれか1つのシートに設けられた貫通孔は、隣接する他のシートに設けられた貫通孔に対し、異なる相対位置であって、かつ重複して設けられること
を特徴とする粉体レベル検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の粉体レベル検出装置において、
前記複数のシートは、それぞれ前記貫通孔を複数有すること
を特徴とする粉体レベル検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粉体レベル検出装置において、
前記複数のシートは、内径、外径、および厚みが互いに同一であること
を特徴とする粉体レベル検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate