説明

粘液、上皮細胞および他の細胞に対する、細菌の付着および非付着

本発明は、全体として、粘液および上皮細胞に対する細菌の付着の検出、特定、測定を行う方法に関する。特に、本発明は、細菌が存在する可能性のある動物の粘液、上皮細胞(例えば、腸に存在する)、または他の部分に対する細菌の付着の有無を、検出および特定するためのアッセイ、並びに、細菌が存在する可能性のある動物の粘液、上皮細胞、または他の部分に対する細菌の付着を調節する因子(例えば、調節する因子の有効性)を特定および特性付ける方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本願は、米国特許仮出願第61/223、755号(出願日2009年7月8日)に基づいて優先権を主張し、当該特許仮出願の内容は全て参照によって本明細書中に引用されるものとする。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、全体として、粘液および上皮細胞に対する細菌の付着の検出、特定、測定を行う方法に関する。特に、本発明は、細菌が存在する可能性のある動物の粘液、上皮細胞(例えば、腸に存在する)、または他の部分に対する細菌の付着の有無を、検出および特定するためのアッセイ、並びに、細菌が存在する可能性のある動物の粘液、上皮細胞、または他の部分に対する細菌の付着を調節する因子(例えば、調節する因子の有効性)を特定および特性付ける方法を提供する。
【0003】
〔発明の背景〕
小腸、気道、尿道、および生殖器官の上皮細胞は、比較的厚い粘液の層に覆われており、当該粘液は、ムチン、多くの小さな付随タンパク質、糖タンパク質、脂質、および糖脂質を含む。上記上皮細胞および粘液は、特定の細菌の接着タンパク質を認識する受容体を含む。上皮細胞への細菌の付着または密接な会合は、細菌の病原性と同様にコロニー形成にも寄与し得る。さらに、腸粘液および上皮に対する細菌の付着は、微生物フロラ(microbial flora)内の個々の安定性に重要であると考えられている。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明は、全体として、粘液および細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着および非付着の検出、特定、測定を行う方法に関する。特に、本発明は、粘液(例えば、腸粘膜内層)および上皮細胞に対する細菌の付着を、検出および特定するためのアッセイ、並びに、粘液および上皮細胞に対する細菌の付着を調節する因子を特定するための方法を提供する。上記アッセイは、安定していて、輸送しやすく、保存しやすいだけでなく、非放射性であり、微生物学的に安全である。
【0005】
従って、いくつかの実施形態では、本発明は、粘液および/または上皮細胞への細菌の付着のアッセイのための、非放射性の固相酵素免疫検定法(ELISA)を包含するキットを提供する。上記キットは、特定の構成要素に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記キットは、粘液および/または上皮細胞でコーティングされている固相の支持体と、細菌を含むサンプルと、上記細菌に対して特異的な一次抗体と、上記細菌へ結合した上記一次抗体に対して特異的な、検出可能に標識されている二次抗体と、を備えている。いくつかの実施形態では、上記キットは、上記検出可能に標識されている二次抗体を視覚化するための基質を備えている。いくつかの実施形態では、上記検出可能に標識されている二次抗体は、酵素標識を含む。いくつかの実施形態では、上記基質は、上記酵素標識の存在下で、比色シグナル、蛍光シグナル、または化学発光シグナルを発する組成物である。いくつかの実施形態では、上記検出可能に標識されている二次抗体は、ペルオキシダーゼに結合されているブタ抗IgGイムノグロブリンを含む。いくつかの実施形態では、上記比色組成物は、3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジンである。いくつかの実施形態では、上記固相の支持体は、96ウェルプレートである。いくつかの実施形態では、上記細菌は、E.coli細菌である。粘液の例としては、ブタ近位側回腸粘液、ブタ遠位結腸粘液、ブロイラー十二指腸粘液、およびブロイラー盲腸粘液が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。一次抗体の例としては、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、HRPが結合したポリクローナル抗体、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的なポリクローナル抗体が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。二次抗体の例としては、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRP、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−AP、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体(H&L)、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼ、およびStreptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼが挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
【0006】
ある実施形態では、本発明は、細菌と粘液との間の、および細菌と上皮細胞との間の付着および非付着を測定するための方法を提供する。上記方法は、細菌と粘液との間の、および細菌と上皮細胞との間の付着および非付着を測定するための特定の技術に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記方法は、細菌を含むサンプル、および粘液を準備する工程、並びに、上記細菌と上記粘液との間の付着を測定できる条件下で、非放射性の比色アッセイの中で、上記細菌を含むサンプルと上記粘液とを混ぜ合わせる工程を含む。いくつかの実施形態では、上記非放射性の比色アッセイは、ELISAアッセイである。いくつかの実施形態では、上記条件は、粘液、上皮細胞、または他の細胞へ結合した上記細菌に対して特異的な一次抗体を加えること、および、上記細菌へ結合した上記一次抗体に対して特異的な二次抗体であって、検出可能に標識されている二次抗体を加えることを包含している。いくつかの実施形態では、上記方法は、上記一次抗体へ結合した上記検出可能に標識されている二次抗体を視覚化するための基質を加える工程を包含している。いくつかの実施形態では、粘液がマイクロタイタープレート上にコーティングされている。いくつかの実施形態では、上記検出可能に標識されている二次抗体は、酵素標識を含む。いくつかの実施形態では、上記基質は、上記酵素標識の存在下で、比色シグナル、蛍光シグナル、または化学発光シグナルを発する組成物である。いくつかの実施形態では、上記検出可能に標識されている二次抗体は、ペルオキシダーゼに結合されているブタ抗IgGイムノグロブリンを含む。いくつかの実施形態では、上記比色組成物は、3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジンである。いくつかの実施形態では、上記細菌は、E.coli細菌である。上記方法は、特定の一次抗体、または二次抗体に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、一次抗体の例として、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、HRPが結合したポリクローナル抗体、並びに、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的なポリクローナル抗体が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。二次抗体の例としては、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRP、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−AP、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体(H&L)、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼ、およびStreptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼが挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
【0007】
ある実施形態では、本発明は、細菌と粘液との間の付着を調節する薬剤を同定するための方法であって、細菌を含むサンプル、粘液、および薬剤を準備する工程、並びに、上記細菌と上記粘液との間の付着を測定できる条件下で、非放射性の比色アッセイの中で、上記細菌を含むサンプルと、上記粘液と、上記薬剤とを混ぜ合わせる工程を含む方法を提供する。上記方法は、さらに、上記薬剤の存在下および非存在下で、上記細菌の付着を比較する工程、並びに、上記薬剤の非存在下における、上記細菌と上記粘液との間の付着に比べて、上記測定された付着のレベルが高い場合または低い場合に、上記薬剤を、上記細菌と上記粘液との間の付着を調節する因子として同定する工程、を含む。いくつかの実施形態では、上記非放射性の比色アッセイは、ELISAアッセイである。いくつかの実施形態では、上記条件は、上記粘液へ結合した上記細菌に対して特異的な一次抗体を加えることを包含している。いくつかの実施形態では、上記条件は、上記細菌へ結合した上記一次抗体に対して特異的な二次抗体であって、検出可能に標識されている二次抗体を加えることを包含している。いくつかの実施形態では、上記条件は、上記一次抗体へ結合した上記検出可能に標識されている二次抗体を視覚化するための基質を加えることを包含している。いくつかの実施形態では、粘液がマイクロタイタープレート上にコーティングされている。いくつかの実施形態では、上記検出可能に標識されている二次抗体は、酵素標識を含む。いくつかの実施形態では、上記基質は、上記酵素標識の存在下で、比色シグナル、蛍光シグナル、または化学発光シグナルを発する組成物である。いくつかの実施形態では、上記検出可能に標識されている二次抗体は、ペルオキシダーゼに結合されているブタ抗IgGイムノグロブリンを含む。いくつかの実施形態では、上記比色組成物は、3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジンである。いくつかの実施形態では、上記細菌は、E.coli細菌である。上記方法は、特定の一次抗体、または二次抗体に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、一次抗体の例として、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、HRPが結合したポリクローナル抗体、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的なポリクローナル抗体が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。二次抗体の例としては、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRP、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−AP、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体(H&L)、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼ、およびStreptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼが挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記薬剤は、天然に存在する分子、合成によって派生した分子、および組み替えによって派生した分子からなる群から選択される。
【0008】
ある実施形態では、薬剤を含む組成物であって、上記薬剤は、粘液に対する細菌の付着を調節する因子であり、上記薬剤は、i)細菌を含むサンプル、ii)粘液および/または上皮細胞、iii)薬剤、を準備する工程;上記細菌と上記粘液との間の付着を測定できる条件下で、非放射性の比色アッセイの中で、上記細菌を含むサンプルと、上記粘液と、上記薬剤とを混ぜ合わせる工程;上記薬剤の存在下および非存在下で、上記細菌の付着を比較する工程;並びに、上記薬剤の非存在下における、上記細菌と上記粘液との間の付着に比べて、上記測定された付着のレベルが高い場合または低い場合に、上記薬剤を、上記細菌と上記粘液との間の付着を調節する因子として同定する工程、を含む工程によって同定されることを特徴とする組成物を提供する。いくつかの実施形態では、上記組成物は、家畜、ペットとなる動物、魚、および貝からなる群から選択される対象によって消費されるために作られる食品の中に含まれる。
【0009】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、E.coli ALI84およびALI446の付着に対する、粘液濃度(mgタンパク質/ml)の効果を示し、放射活性物質で標識されている細菌によって測定した。
【0010】
図2は、E.coli ALI84の付着に対する、一次抗体の効果を示し、放射活性物質で標識されている細菌を用いて、シンチレーションカウンターによって測定した。一次抗体:HRP=HRPが結合した抗E.coli抗体;BP2022=非結合抗E.coli抗体、ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli抗体。
【0011】
図3は、E.coli ALI446の付着に対する、一次抗体の効果を示し、放射活性物質で標識した細菌を用いて、シンチレーションカウンターによって測定した。一次抗体:HRP=HRPが結合した抗E.coli抗体;BP2022=非結合抗E.coli抗体、ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli抗体。
【0012】
図4は、E.coli細菌(ALI84株およびALI446株)とともに培養した場合の、3つの異なる3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジン(TMB)ELISA基質の着色を示す。
【0013】
図5は、E.coliのALI84株およびALI446株とともに培養した場合の、p−ニトロフェニルリン酸(pNPP)および2、2−アジノ−ビス(3エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(AzBTS)ELISA基質の着色を示す。E=ABTSマイクロウェルエンハンサー。
【0014】
図6は、粘液でコーティングしたウェル中で培養した場合の、異なるELISA基質の着色を示す。写真は60分の時点で撮影した。15分の時点で、弱いシグナルが6つの陽性の(黄色の)ウェル中で観察された。
【0015】
図7は、粘液またはプレートに対する抗体の非特異的な結合について調べた場合の、プレートのレイアウトを示す。BP2022=抗E.coli一次抗体;BP2022HRP=ペルオキシダーゼが結合した抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli一次抗体。HRP=ペルオキシダーゼが結合した二次抗体;StrHRP=ペルオキシダーゼが結合したストレプトアビジン。AP=アルカリフォスファターゼが結合した二次抗体;StrAP=ストレプトアビジンが結合した二次抗体。本実験では、細菌は使用していない。
【0016】
図8は、粘液またはプレートに対する抗体の結合を示す。プレートのレイアウトは図7に記載されている。
【0017】
図9は、一次抗体および二次抗体を用いた非特異的な結合試験を示す。一次抗体:HRP=HRPが結合した一次抗体、BP2022=何も結合していないポリクローナル抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli一次抗体。二次抗体:HRP=HRPが結合したIgG;StrHRP=HRPで標識されているストレプトアビジン。本実験では、細菌は使用していない。
【0018】
図10は、一次抗体および二次抗体を用いた非特異的な結合試験を示す。プレートのレイアウトは図9に記載されている。一次抗体:HRP=HRPが結合した一次抗体、BP2022=何も結合していないポリクローナル抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli。二次抗体:HRP=HRPが結合したIgG;StrHRP=HRPで標識されているストレプトアビジン。
【0019】
図11は、抗体の希釈および細菌の数/ウェルを最適化するために利用する条件を記載した表を示す。一次抗体:HRPが結合した一次抗体。二次抗体は用いていない。
【0020】
図12は、抗体の希釈および最適な細菌の数/ウェルの試験から得られたデータを示す。一次抗体:HRPが結合した一次抗体。二次抗体は用いていない。プレートのレイアウトは図11に記載されている。
【0021】
図13は、抗体の希釈および細菌の数/ウェルを最適化するために利用する条件を記載した表を示す。一次抗体:ビオチンが結合した抗E.coli抗体。二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン。
【0022】
図14は、抗体の希釈および最適な細菌の数/ウェルの試験から得られたデータを示す。一次抗体:ビオチンが結合した抗E.coli抗体。二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン。
【0023】
図15は、10〜10個の細菌をウェルに加えた場合のELISA吸光度を示す。対数近似曲線を追加している。
【0024】
図16は、0〜10個の細菌をウェルに加えた場合のELISA吸光度を示す。
【0025】
図17は、A)細菌の付着に対する、異なる濃度のBio−Mosの効果であり、効果はBio−Mosを加えない場合の吸光度の割合として示される;B)E.coli ALI84株の付着に対する、異なる濃度のBio−Mosの効果であり、放射活性物質で標識されている細菌を用いたシンチレーションカウンターによって測定した。
【0026】
図18は、付着/接着を変化させた効果を検出するために最適なレベルを見つけるために、細菌の数/ウェルを調べた実験から得られたデータを示す(例えばBio−Mosを用いる)。
【0027】
図19は、付着/接着を変化させた効果を検出するために最適なレベルを見つけるために、細菌の数/ウェルを調べた実験から得られたデータを示す(例えばBio−Mosを用いる)。
【0028】
図20は、異なる濃度のBio−Mos間の違いを検出するための、一次抗体の希釈に関するデータを示す。
【0029】
図21は、異なるタイプの粘液および複数の濃度のBio−Mosを用いたELISAでの、Bio−Mosの効果を示す。
【0030】
図22は、放射活性物質付着アッセイおよびELISA処理での、Bio−Mosの効果の比較を示す。反復したサンプル間の平均の標準誤差は、エラーバーで示す。
【0031】
図23は、異なる方法で不活性化された細菌の、粘液でコーティングされたプレートへの付着を示す。付着は、Bio−Mosがある場合とBio−Mosがない場合とについて測定した。UV不活性化細菌およびDMSO不活性化細菌のデータは示していない。
【0032】
図24は、ELISA法に従い、新しくコーティングされたプレートへの、細菌の付着を示す。
【0033】
図25は、粘液に対する細菌の付着における、E.coli保存液中のエタノール濃度の効果を示す。
【0034】
図26は、異なる方法で保存した、粘液でコーティングしたプレートに対する、Bio−Mosがある場合とBio−Mosがない場合との細菌の付着を示す。
【0035】
図27は、粘液でコーティングし、風乾したプレートに対する、エタノールで不活性化されたE.coliの付着における、Bio−Mosの効果を示す。反復(replicates)間の平均の標準誤差は、エラーバーで示す。
【0036】
図28は、異なるBio−Mos試験レベルでの、絶対的なプレート間の変動を示す。同じサンプルを用いて反復したアッセイ(ウェル)は、バーのグループとして示す。
【0037】
図29は、異なるBio−Mos試験レベルでの、絶対的なプレート間の変動を示す。図中の4つのパネルは、異なる4つの日に実施されたアッセイを表すが、1つのバッチのE.coliを用いている。同じサンプルを用いて反復したアッセイ(ウェル)は、バーのグループとして示す。
【0038】
図30は、異なるパネル中に、異なるBio−Mos試験レベルでの、絶対的なプレート間の変動を示す。各パネル中の4セットのカラムは、異なる4つの日に実施されたアッセイを表すが、1つのバッチのE.coliを用いている。
【0039】
図31は、異なるBio−Mos試験レベルでの、相対的なプレート間の変動を示す。カラムは、反復試験ウェルの平均を表し、バーは平均の標準誤差を示す。アッセイは異なる4つの日に実施されたが、1つのバッチのE.coliを用いている。2つのパネルは同じデータを示すが、プレート間の変動(上側のパネル)またはBio−Mosの効果(下側のパネル)のどちらかを、強調するように別々に表されている。
【0040】
図32は、Bio−Mosの効果における、相対的なバッチ間の変動を示す。上側のパネルのカラムは反復試験ウェルの平均を表し、バーは平均の標準誤差を示す。アッセイは、培地およびバッファーの調製、並びにE.coliの培養から、全て独立して実施した。上側のパネルは、測定されたシグナルを示し、下側のパネルはコントロールウェルと比較した値を示す。
【0041】
図33は、発展させたアッセイを用いた試験処理間で示された差を検出するために必要な、反復ウェルの数を示す。
【0042】
図34は、Bio−Mos(2ng/ml)がある場合、および、ない場合での、細菌調製物の5つの独立したバッチにおいて、測定されたシグナルを示す。
【0043】
図35は、Bio−Mos(2ng/ml)がある場合、および、ない場合での、粘液プレートの5つの独立したバッチにおいて、測定されたシグナルを示す。
【0044】
図36は、保存1週間後および2週間後の試験のシグナルを示す。
【0045】
図37は、本発明の一実施形態における、真空包装されたプレートおよびアンプルを示す。
【0046】
〔定義〕
本発明の理解を容易にするために、多数の用語を以下に定義する。
【0047】
本明細書で用いられる場合、用語「粘液」は、消化管の一部によって生産され、当該消化管の一部を覆う(例えば、腸の上皮細胞によって生産され、当該腸を覆う)、比較的厚い分泌物を指す。粘液は、ムチン、タンパク質、糖タンパク質、脂質、および糖脂質等の一つ以上の成分を含んでいてもよい。また、粘液は、一つ以上の種類の受容体を含んでいてもよい(例えば、特定の接着タンパク質を認識する受容体)。粘液および/または上皮細胞に対する細菌の付着および/または密接な会合(例えば、粘液層を介した付着および/または密接な会合)は、腸粘液および/または腸上皮に対する細菌の付着に寄与して得る(例えば、上記付着および/または密接な会合によって、腸に生息する細菌集団において、役割を果たす)。本発明は、いかなる特定の種類の粘液、または、いかなる特定の供給源(例えば、動物の種類)もしくは場所(例えば消化管の部分(例えば、回腸(例えば、近位、遠位等)、十二指腸、盲腸、結腸、または当該消化管の他の部分))から得られる粘液に限定されるものではない。
【0048】
本明細書で用いられる場合、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、全て、電子対を共有する「ペプチド結合」によって結合されている、アミノ酸の一次配列を指す。一般的に、ペプチドは、数個のアミノ酸(典型的には2〜50個のアミノ酸)からなり、タンパク質よりも短い。用語「ポリペプチド」は、ペプチドおよびタンパク質を包含する。いくつかの実施形態では、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、合成されたものであり、一方、他の実施形態では、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、組み換えられたもの、または天然に存在するものである。合成ペプチドは、in vitroで人工的な方法によって生産された(すなわち、in vivoでは生産されなかった)ペプチドである。
【0049】
用語「サンプル」および「標本」は、広範な意味で用いられ、あらゆる供給源から得られたサンプルまたは標本を包含する。本明細書で用いられる場合、用語「サンプル」は、動物(ヒトを含む)から得られる生物学的サンプルを指し、液体、固体、組織、および気体を包含する。本発明のいくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、脳脊髄液(CSF)、漿液、尿、唾液、血液、および血漿、血清等の血液産物を含む。しかし、上記の例は、本発明において用いられるサンプルの種類を限定するように解釈されるものではない。
【0050】
本明細書で用いられる場合、用語「ホスト」および「対象」は、研究、分析、試験、診断、または治療される、ヒトおよび非ヒトである動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、家禽、魚、甲殻類等)を含むが、上記の例に限定されない、あらゆる動物を指す。本明細書で用いられる場合、用語「ホスト」、「対象」、および「患者」は、特に示されない限り、同義的に用いられる。
【0051】
本明細書で用いられる場合、用語「抗体」(または「複数の抗体」)は、抗原決定基に対して特異的に結合し、当該抗体の生産を刺激する抗原決定基と同一、または構造的に関連しているタンパク質と特異的に結合する、あらゆるイムノグロブリンを指す。従って、抗体は、当該抗体の生産を刺激する抗原を検出するためのアッセイに利用することができる。モノクローナル抗体は、Bリンパ球(すなわち、B細胞)の単一クローンに由来し、一般的に、構造および抗原特異性において均一である。ポリクローナル抗体は、抗体産生細胞の多数の異なるクローンに由来する。従って、当該ポリクローナル抗体は、構造およびエピトープ特異性において不均一であるが、全て同一の抗原を認識する。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は、精製されていない調製物として用いられ、一方、好ましい実施形態では、上記抗体は精製される。例えば、いくつかの実施形態では、未精製の血清中に含まれるポリクローナル抗体が用いられる。また、用語「抗体」は、あらゆる供給源(例えば、ヒト、げっ歯類、非ヒトである霊長類、ウサギ目、ヤギ、ウシ亜科、ウマ科、ヒツジ等)から得られる、あらゆるイムノグロブリン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD等)を包含するものである。
【0052】
本明細書で用いられる場合、用語「抗原」は、抗体によって認識できる、あらゆる物質に関して用いられる。当該用語は、あらゆる抗原、および「免疫原」(すなわち、抗体の形成を誘導する物質)を包含する。従って、免疫原性の反応においては、抗体は、抗原、または抗原の一部の存在に応じて、生産される。用語「抗原」および「免疫原」は、個々の高分子、または、抗原高分子の均一または不均一な集団を指して用いられる。用語、抗原および免疫原は、一つ以上のエピトープを含む、タンパク分子、またはタンパク分子の一部を包含する。多くの場合、抗原は、免疫原であり、従って、「抗原」は、しばしば用語「免疫原」と同義的に用いられる。いくつかの好ましい実施形態では、免疫性を与えられた動物の血清における、適切な抗体の存在を検出するためのアッセイにおいて、免疫原物質が抗原として用いられる。
【0053】
本明細書で用いられる場合、用語「抗原断片」および「抗原の一部」等は、抗原の一部に関して用いられる。抗原断片または一部は、抗原全体の小さな割合を占めるものから、大きな割合を占めるものまで、一般的にサイズが幅広いが、100%の抗原ではない。しかし、抗原の「少なくとも一部」を特定する場合には、抗原全体が存在してもよいことを意図している(例えば、試験に用いられるサンプルが、抗原の一部のみを含んでいるわけではない)。いくつかの実施形態では、抗原断片および/または抗原の一部は、抗体によって認識されるエピトープを含む。一方、他の実施形態では、当該断片および/または一部は、抗体によって認識されるエピトープを含まない。さらに、いくつかの実施形態では、抗原断片および/または一部は、免疫原性ではなく、一方、好ましい実施形態では、抗原断片および/または一部は、免疫原性である。
【0054】
本明細書で用いられる場合、用語「抗原決定基」および「エピトープ」は、特定の抗体の可変領域と接触する、抗原の一部を指す。タンパク質、またはタンパク質の断片(一部)が、ホスト動物に免疫を与えるために用いられる場合、当該タンパク質は、当該タンパク質の所定の領域、または立体構造(当該領域および/または構造が、「抗原決定基」と呼ばれる)と特異的に結合する抗体の生産を誘導する可能性がある。いくつかの設定では、抗原決定基は、抗体との結合において、通常の抗原(すなわち、免疫反応をもたらすために用いられる「免疫原」)と競合する。
【0055】
用語「特異的結合」および「特異的な結合」は、抗体と抗原との間の相互作用に関して用いられる場合、抗原の特定の構造(すなわち、抗原決定基、またはエピトープ)の存在に依存した相互作用を表す。換言すれば、抗体は、抗原に固有のタンパク質構造を認識し、当該タンパク質構造と結合するものであり、一般的に全てのタンパク質と結合する(すなわち、非特異的結合)ものではない。
【0056】
本明細書で用いられる場合、用語「免疫学的アッセイ」は、抗原の検出または定量のために、少なくとも一つ以上の特定の抗体を用いる、あらゆるアッセイを指す。免疫学的アッセイは、ウェスタンブロット、ELISA、放射免疫アッセイ、および免疫蛍光アッセイを含むが、上記の例に限定されるものではない。
【0057】
本明細書で用いられる場合、用語「ELISA」は、固相酵素免疫検定法(またはEIA)を指す。多数のELISA法、およびELISAの適用が当業者によって知られており、多数の参照文献に記載されている(例えば、Crowther、 “Enzyme−Linked Immunosorbent Assay (ELISA)、” in Molecular Biomethods Handbook、 Rapley et al. (eds.)、 pp. 595−617、 Humana Press、 Inc.、 Totowa、 N.J. (1998); Harlow and Lane (eds.)、 Antibodies: A Laboratory Manual、 Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988); Ausubel et al. (eds.)、 Current Protocols in Molecular Biology、 Ch. 11、 John Wiley & Sons、 Inc.、 New York (1994)参照)。さらに、多数の商業的に利用可能なELISA試験システムがある。
【0058】
本明細書で用いられる場合、用語「レポーター試薬」、「レポーター分子」、「検出基質」および「検出試薬」は、抗原と結合した抗体の検出および/または定量を可能にする試薬に関して用いられる。例えば、いくつかの実施形態では、レポーター試薬は、抗体に結合されている酵素に対する、比色基質である。抗体と酵素との結合物に対して適切な基質を加えることで、比色シグナルまたは蛍光シグナルを発する(例えば、興味のある抗原に対して、結合物である抗体を結合させた後)。他のレポーター試薬としては、放射活性化合物が挙げられるが、当該放射活性化合物に限定されるものではない。上記の定義は、検出系の一部としてのビオチンおよびアビジンをベースとする化合物(例えば、ニュートラアビジンおよびストレプトアビジンを含むが、上記の例に限定されない)の使用も包含する。
【0059】
本明細書で用いられる場合、用語「シグナル」は、一般的に、反応が起こったこと(例えば、抗原に対する抗体の結合)を示す、あらゆる検出可能なプロセスに関して用いられる。放射活性、蛍光、または比色産物/試薬の形態のシグナルが、本発明で使用され得ることが意図されている。本発明の種々の実施形態では、上記シグナルは、定性的に評価され、一方、別の実施形態では、上記シグナルは定量的に評価される。
【0060】
本明細書で用いられる場合、用語「固相の支持体」は、抗体、抗原、および他の試験成分等の試薬が取り付けられる、あらゆる固形物または固定物に関して用いられる。例えば、ELISA法では、マイクロタイタープレートのウェルが固相の支持体を提供する。固相の支持体の他の例には、顕微鏡用スライド、カバースリップ、ビーズ、粒子、細胞培養フラスコが、他の多数の好適な器具と同様に含まれる。
【0061】
本明細書で用いられる場合、用語「効果的な量」は、有益または所望の結果をもたらすために十分な、組成物の量を指す。効果的な量は、1回以上の投与(administration)、使用(application)または、服用(dosage)によって、投与されてもよいし、および/または、別の物質と組み合わされてもよいが、特定の剤形または投与経路に限定されるものではない。
【0062】
本明細書で用いられる場合、用語「投与」および「投与する」は、対象(例えば、対象、または、in vivo、in vitroもしくはex vivoの細胞、組織、および器官)に対して、薬物、プロドラッグ、もしくは他の薬剤、または、治療上の処置(例えば、本発明に係る方法の使用を介して、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として特定された薬剤)を与える行為を指す。投与経路の代表例としては、目(点眼)、口(経口)、皮膚(局所的または経皮)、鼻(点鼻)、肺(吸入)、口腔粘膜(口腔投与)、耳、直腸、膣、注射(静脈内、皮下、腫瘍内、腹腔内等)等を介するものが挙げられる。
【0063】
本明細書で用いられる場合、用語「共投与」および「共投与する」は、少なくとも2つの薬剤の投与を指す(本発明に係る方法の使用を介して、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として特定された薬剤、並びに、対象および/または物質(例えば、食料(例えば、動物の飼料)に対する、1つ以上の他の薬剤(例えば、病原菌による疾患を治療することで知られている治療))。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤または治療の共投与は、同時に行われる。他の実施形態では、第一の薬剤/治療が、第二の薬剤/治療に先行して行われる。当業者であれば、使用される種々の薬剤または治療の剤形および/または投与経路が変更可能であることを理解できる。共投与における適切な投与量は、当業者によって、容易に決定できる。いくつかの実施形態では、薬剤または治療が共投与される場合、それぞれの薬剤または治療は、単独での投与および/または処方に適切な量よりも、少ない投与量で投与および/または処方される。従って、共投与が特に望ましいのは、薬剤または治療の共投与/共処方によって、潜在的に有害(例えば、有毒)な薬剤の必要量を低減させることができる場合、および/または、2つ以上の薬剤の共投与によって、他の薬剤の共投与を介した一方の薬剤の有益な効果に対する、対象の感作がもたらされる場合である。
【0064】
本明細書で用いられる場合、「コロニー形成後処置(post-colonization treatment)」または「後から使用する(post-application)」は、感染症を除去した後の処置を指す。
【0065】
本明細書で用いられる場合、「事前に使用する(pre-application)」および/または「予防処置」は、予防策として用いられる処置を指す(例えば、感染および/または疾患を防ぐ)。
【0066】
本明細書で用いられる場合、用語「疾患」および「病的状態」は、生きている動物、または当該動物のあらゆる組織、もしくは器官が通常の状態を損ない、通常の機能の実行を妨害または修正するものと関連する状態、徴候、および/または症状であって、環境要因(栄養失調、工業災害、または気候等)、特定の感染体(寄生虫、細菌、またはウイルス等)、生物の内在的な欠陥(種々の遺伝子異常、または上記の例と他の因子との組み合わせ)に対する反応であり得る状態、徴候、および/または症状を表すために同義的に用いられる。
【0067】
本明細書で用いられる場合、用語「罹患している」は、特定の疾患を経験している対象(例えば、動物、またはヒトである対象)を指す。本発明は、特定の徴候、もしくは症状、または疾患に限定されるものではない。従って、本発明はあらゆる範囲の疾患(例えば、潜在的な臨床症状(sub-clinical manifestation)から、完全に症状の出ている疾患まで)を経験している対象を含み、上記対象は、特定の疾患に関連する、少なくともいくつかの証拠(indicia)(例えば、徴候、および症状)を示している。
【0068】
本明細書で用いられる場合、用語「有毒」は、毒物を投与する前の同じ細胞または組織と比較した場合に、対象、細胞または組織に現れる、あらゆる不利益および有害な効果を指す。
【0069】
本明細書で用いられる場合、用語「機能的な飼料成分」または「機能的な飼料添加物」は、活性薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として特定された薬剤)と不活性または活性な担体との組み合わせを指し、上記組み合わせは、in vitro、in vivo、またはex vivoでの診断または治療における使用に特に適した組成物を形成する。
【0070】
本明細書で用いられる場合、用語「担体」は、あらゆる標準的な担体を指し、当該標準的な担体としては、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水、または水/油のエマルジョン等)、および様々な種類の湿潤剤、ありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、ラウリル硫酸ナトリウム、等張剤(isotonic agents)および吸収遅延剤、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、またはデンプングリコール酸ナトリウム)、トウモロコシの穂軸、乾燥させた醸造かす、ふすま、酵母(例えば、全使用済み酵母(whole spent yeast))、酵母成分(例えば、酵母細胞壁の抽出物)等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。上記組成物は、安定剤および保存剤を含んでいてもよい。担体の例としては、安定剤および補助剤が挙げられる(例えば、Martin、 Remington‘s Pharmaceutical Sciences、 15th Ed.、 Mack Publ. Co.、 Easton、 Pa. (1975)参照。本明細書中で参照によって引用される)。
【0071】
本明細書で用いられる場合、用語「消化物」は、食品、飼料、または他の有機化合物が吸収できる形態に変化したものを指し、熱および水分、または化学作用によって、軟化、分解、または崩壊したものである。
【0072】
本明細書で用いられる場合、用語「消化系」は、消化が起こり得る、または消化が起こる系(胃腸系を含む)を指す。
【0073】
本明細書で用いられる場合、用語「飼料」は、動物によって消費され、エネルギーおよび/または栄養分を動物の食事に与えるものを指す。飼料の例としては、完全混合飼料(Total Mixed Ration(TMR))、まぐさ、ペレット、濃縮物、プレミックス、副産物、穀物、醸造かす、糖蜜、繊維、飼い葉、草、干草、穀粒、葉、粗びき粉、可溶物、および栄養補助食品が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
【0074】
本明細書で用いられる場合、用語「動物」は動物界に属する動物を指す。当該動物には、家畜(livestock、farm animals、domestic animals)、ペット、海生および淡水性の動物、並びに野生動物が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
【0075】
本明細書で用いられる場合、用語「薬学的に許容可能な塩」は、本発明の化合物(例えば、生存している酵母細胞、または、本発明の細胞壁成分を含む)のあらゆる塩(例えば、酸と塩基の反応によって得られる)を指し、上記塩は、目的となる対象(例えば、哺乳類、ヒト、鳥類、ウシ亜科、ブタ、ウマ科、ヒツジ、ヤギ、イヌ科、ネコ科、魚、ラクダ科、げっ歯類の種、魚および貝である対象、および/またはin vivo、もしくはex vivoの細胞、組織、もしくは器官)において生理学的に許容されるものである。本発明の化合物の「塩」は、無機または有機の酸および塩基に由来してもよい。酸の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。シュウ酸等の他の酸は、それ自体は薬学的に許容可能ではないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容可能な酸付加塩を得るために、中間体として利用される塩の調製に用いられてもよい。
【0076】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、およびNWの式で表される化合物(式中、WはC1−4のアルキルである)等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
【0077】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、硫酸ドデシル、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。塩の他の例としては、Na、NH、およびNW等の式で表される適切なカチオン(式中、WはC1−4のアルキル基である)と混合された、本発明の化合物のアニオン等が挙げられる。治療における使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容可能であることが意図されている。しかし、薬学的に許容可能でない酸および塩基の塩を、たとえば、薬学的に許容可能な化合物の調製または精製に用いてもよい。
【0078】
治療および/または予防における使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容可能であることが意図されている。しかし、薬学的に許容可能でない酸および塩基の塩を、たとえば、薬学的に許容可能な化合物の調製または精製に用いてもよい。
【0079】
本明細書で用いられる場合、用語「細胞培養物」は、細胞のあらゆるin vitro培養物を指す。上記用語には、連続継代細胞系(例えば、不死化した表現型を有する)、初代細胞系、形質転換細胞系、有限である細胞系(例えば、非形質転換細胞)、およびin vitroで維持される、他のあらゆる細胞集団が含まれる。
【0080】
本明細書で用いられる場合、用語「真核生物」は、「原核生物」と区別される生物を指す。上記用語は、真核生物の通常の特性を示す細胞を有する全ての生物を包含し、当該特性には、核膜によって包まれた真核(中には染色体が存在する)の存在、膜に包まれたオルガネラの存在、および真核生物に共通して観察される他の特性が挙げられる。従って、上記用語は、菌類、原生動物、および動物(例えば、ヒト)を含むが、上記の例に限定されるものではない。
【0081】
本明細書で用いられる場合、用語「in vitro」は、人工的な環境を指し、人工的な環境中で起こる工程または反応を指す。in vitroな環境は、試験管および細胞培養物からなるものであってもよいが、上記の例に限定されるものではない。用語「in vivo」は、天然の環境(例えば、動物、または細胞)を指し、天然の環境中で起こる工程または反応を指す。
【0082】
本明細書で用いられる場合、用語「サンプル」は広範な意味で用いられる。一つの意味では、生物学的サンプルおよび環境サンプルと同様に、あらゆる供給源から得られる標本または培養物を含むことを意味する。生物学的サンプルは、動物(ヒトを含む)から得られるもので、液体、固体、組織、および気体を包含する。生物学的サンプルは、血漿、血清等の血液産物を含む。環境サンプルは、表面物質、土壌、水、結晶、および工業サンプル等の環境物質を含む。しかし、上記の例は、本発明に適用可能なサンプルの種類を制限するものではない。
【0083】
本明細書で用いられる場合、用語「キット」は、パッケージ化された材料のセットを指す。
【0084】
本明細書で用いられる場合、用語「非付着を調節する因子(anti−adherence modulators、および/またはanti−adhesion modulators)」は付着をブロックする(例えば、化合物が線毛に付着するのをブロック、並びに/または、粘液上皮細胞および/もしくは他の種類の細胞に対する細菌の付着をブロックする)調節因子を指す。
【0085】
〔発明の詳細な説明〕
放射活性物質結合アッセイは、腸粘液に対する細菌の付着、およびある薬剤が当該付着を効果的に防ぐことを測定するために行われる(例えば、Conway、 et al.、 1990、 Infection and Immunity 58:3178−3182参照。全て参照によって本明細書中に引用される)。特に、腸粘液に対する細菌の付着を測定するために行われる、放射活性物質結合アッセイは、さらに細菌の付着の阻害におけるBio−mos(Saccharomyces cerevisiaeの細胞壁に由来するマンノプロテイン)の効果を示す。しかし、非放射性の決まりきった方法は、粘液に対する細菌の付着の検出、特定、および測定に利用できない。本発明に係る方法および組成物は、粘液に対する細菌の付着の検出、特定、および測定のための非放射性の方法を提供することで、上記の制限を克服している。
【0086】
特に、本発明は、粘液に対する細菌の付着の測定、および、付着を調節する(例えば、阻害する、促進する)産物の効果の試験のための、簡潔および正確な免疫アッセイを提供する。いくつかの実施形態では、上記免疫アッセイは、ウェスタンブロットである。いくつかの実施形態では、上記免疫アッセイは、放射免疫アッセイである。いくつかの実施形態では、上記免疫アッセイは、免疫蛍光アッセイである。いくつかの実施形態では、上記免疫アッセイは、ELISAをベースとするアッセイである。ELISAをベースとする方法は、一次抗体および二次抗体の様々な組み合わせ、並びに、異なる微生物種に対する種々の比色検出系の使用において、柔軟性を有するため、放射性アッセイに代わる魅力的な手段である。従って、本発明は、粘液(例えば、腸粘膜内層)に対する細菌の付着の検出および特定のためのELISAをベースとする方法を提供する。
【0087】
従って、いくつかの実施形態では、本発明は、粘液と細菌細胞との間の相互作用(例えば、結合、付着、親和性等)のモニタリングおよび/または特性付けを行うための、非放射性の比色アッセイを提供する。いくつかの実施形態では、非放射性のアッセイは、同様のモニタリングおよび/または特性付けに利用される放射性のアッセイと比較して、同程度の感度、および/または、より優れた感度を有する。いくつかの実施形態では、本発明の非放射性の比色アッセイは、1つ以上の検査薬が有する、粘液と細菌細胞との相互作用(例えば、結合、付着、親和性等)を変化させる(例えば、阻害する、および/または促進する)能力の、モニタリングおよび/または特性付けを行うために利用される。
【0088】
例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、実施例1〜16に記載されるように、粘液と細菌細胞との間の相互作用(例えば、結合、付着、親和性等)のモニタリングおよび/または特性付けを行うための固相酵素免疫検定法(ELISA)を提供する。いくつかの実施形態では、上記検定法は、室温で行われる。いくつかの実施形態では、上記検定法は、37℃で行われる。いくつかの実施形態では、上記検定法は、実施例2〜15に記載されるように最適化される。いくつかの実施形態では、プレート(例えば、マイクロタイタープレート(例えば、MAXISORPプレート(例えば、6、12、24、48、96、128、またはそれ以上のウェルを含む)を粘液でコーティングする。いくつかの実施形態では、利用される上記粘液は、動物の粘液である。いくつかの実施形態では、粘液は、ブタ、ニワトリ、ウシ、ウマ科、イヌ科、ネコ科、または他の種類の動物から得られるものである。いくつかの実施形態では、上記粘液は、消化管の1つ以上の部分から得られる。例えば、いくつかの実施形態では、粘液は、回腸(例えば、近位側回腸、遠位回腸等)、十二指腸、盲腸、結腸、または当該消化管の他の部分から得られる。本発明は、上記プレートをコーティングするために利用される粘液の量(例えば、プレート上のウェルの数および/またはサイズに依存する)によって制限されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液をコーティングバッファー中に希釈し、その後、プレートをコーティングするために利用する。いくつかの実施形態では、上記コーティングバッファーは、1リットルの水に、1.6gのNaCO、2.94gのNaHCO、および0.2gのNa−アジドが溶解しており、pHが9.6に調節されている水溶液、または同様のバッファーである。いくつかの実施形態では、コーティングバッファー1mlあたりに約0.001gから0.2gの間の粘液タンパク質を含むコーティングバッファーが、プレート上の各ウェルをコーティングするために用いられる。上記コーティングバッファーは、より多い量(例えば、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.75mg/ml、1.0mg/ml、またはそれを超える値)、または、より少ない量(例えば、0.0005mg/ml、またはそれを下回る値)が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、約300μlのコーティング懸濁液が、各ウェルをコーティングするために用いられ、より多い体積(例えば、400μl、500μl、600μl、700μl、またはそれを超える値)、または、より少ない体積(例えば、200μl、100μl、50μl、25μl、またはそれを下回る値)が用いられてもよい(例えば、ウェルのサイズ、所望のシグナルの量、または他の要因(例えば、細菌の付着)に応じて)。一旦、上記コーティング溶液がウェルに加えられれば、粘液を各ウェルに一定時間(例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約6時間、約12時間、約24時間、またはそれを越える時間)、一定の温度(例えば、4℃、室温、またはさらに温かい温度(例えば37℃))でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、培養の間、プレートをカバーする(例えば、上記コーティング溶液の蒸発を防ぐために)。コーティング期間内のある時間、検査薬(例えば、粘液に対する細菌の結合を変化させる(例えば、阻害する、および/または、促進する)能力について検査される)を調製する。上記検査薬は、いずれの適切なバッファー(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(例えば、8.0gのNaCl、0.2gのKCl、1.4gのNaHPO×2HO、0.2gのKHPOを1Lの水に溶解させ、pH7.4に調整したPBS溶液))中に希釈されてもよい。本発明は、検査薬の種類によって限定されるものではない。実際に、種々の検査薬について、本明細書中に記載されている方法を含む(しかし、当該方法に限定されない)、本発明に係る方法を用いて、モニタリングおよび/または特性付けを行うことができる。
【0089】
コーティングが完了した後、上記コーティング溶液をウェルから除去し(例えば、ウェルの内容物を混合せずに)、適切な体積(例えば、100ml、200ml、300ml、400ml、またはそれを超える体積)の洗浄液(例えば、PBS)を用いて、各ウェルを洗浄する。
【0090】
粘液との相互作用についてモニタリングおよび/または特性付けが行われる細菌は、細菌を破壊しない条件下で、細菌を採集することで調製される。本発明では、いかなる特定の種類の細菌、または、細菌のいかなる特定の増殖期にも限定されるものではない。実際に、本発明に係るアッセイ中で、種々の細菌についてモニタリングおよび/または特性付けを行ってもよく、本発明には、本明細書中に記載されている細菌の種類が包含される(しかし、当該細菌の種類に限定されない)。一旦、細菌を採集すれば(例えば、遠心分離して、細菌を沈殿させる)、ウェルあたりの望ましい細菌の数に応じて、上記細菌をバッファー(例えば、PBS)中で、所望の濃度になるまで再懸濁させる。いくつかの実施形態では、ウェルに加える細菌の数は、ウェルあたり約10個であり、より多い数(例えば、10、10、1010)、または、より少ない数(例えば、10、10、10)の細菌を各ウェルに加えてもよい。プレートの最後の洗浄の後、細菌をウェルに加える。いくつかの実施形態では、検査薬溶液を、各ウェルに加える直前に、細菌懸濁液に加える。検査薬の量および細胞の量は、本明細書中で記載されているように、変更が可能である。細菌および/または細菌に検査薬を加えたものを、一旦ウェルに加えれば、設定された時間の間(例えば、1時間、2時間、4時間、8時間、またはそれを越える時間)、ウェル中で培養することができる。培養後に、ウェルを洗浄する(例えば、PBSを用いて、1回、2回、3回、またはそれ以上の回数)。洗浄後、ブロッキングバッファー(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ミルク、または他の適切なブロッキング剤(例えば、PBS中に10%のFBSを希釈したもの))を各ウェルに加える(例えば、ウェルを粘液でコーティングするために用いたブロッキングバッファーと同じ体積を用いる)。上記ブロッキング溶液を、ウェル中で、設定された時間の間(例えば、1時間、2時間、3時間、またはそれを越える時間)、一定温度(例えば、4℃、室温、またはさらに温かい温度(例えば37℃))でインキュベートする。ブロッキングバッファーを除去し、その後、一次抗体(例えば、モニタリングおよび/または特性付けが行われる細菌に対して特異的な親和性を有する)をウェル中に加える。上記一次抗体をブロッキングバッファー中に希釈する(例えば、1:500、1:1000、1:2500、1:5000、またはそれを超える値で)。希釈した一次抗体の、ウェルに加える体積は、約100ml〜約400mlであり(例えば、200ml)、ウェル中で、設定された時間の間(例えば、1時間、2時間、3時間、またはそれを越える時間)、一定温度(例えば、4℃、室温、またはさらに温かい温度(例えば37℃))でインキュベートされる。本発明は、用いられる一次抗体によって限定されるものではない。実際に、モニタリングおよび/または特性付けが行われる細菌に対して特異的な親和性を有していれば、いずれの抗体を用いてもよい。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、抗体の断片である。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、結合した抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、上記一次抗体には、ビオチンが結合されている。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、ビオチンが結合したポリクローナルな抗E.coli抗体である。一次抗体をインキュベートした後、洗浄バッファー(例えば、PBS)を用いて、各ウェルを洗浄する(1回、2回、3回、またはそれ以上の回数)。洗浄バッファーを除去し、その後、二次抗体(例えば、上記一次抗体に対して、特異的な親和性を有する)をウェルに加える。二次抗体も同様に、ブロッキングバッファー中に希釈する(例えば、1:500、1:1000、1:2500、1:5000、またはそれを超える値で)。本発明は、用いられる二次抗体の種類によって限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、抗体の断片である。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、結合した抗体である。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、ストレプトアビジンに結合されている。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、フォスファターゼ等)に結合されている。希釈した二次抗体の、ウェルに加える体積は、約100ml〜約400mlであり(例えば、200ml)、ウェル中で、設定された時間の間(例えば、1時間、2時間、3時間、またはそれを越える時間)、一定温度(例えば、4℃、室温、またはさらに温かい温度(例えば37℃))でインキュベートされる。インキュベートした後、洗浄バッファー(例えば、PBS)を用いて、各ウェルを洗浄する(1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の回数)。最後の洗浄の後、比色基質をウェルに加える。本発明は、用いられる基質の種類によって限定されるものではない。基質の例には、3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジン(TMB)(例えば、ペルオキシダーゼが結合した二次抗体に対して)、p−ニトロフェニルリン酸(pNPP)(例えば、フォスファターゼが結合した抗体)等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。ウェル中で発色が起こり、検出および/または定量を行う(例えば、分光光度計を用いる)。発色は、酸性バッファー(例えば、2MのHSO)を用いて、いずれの時点でも止めることができる(例えば、強い発色シグナルの発生を防ぐために(例えば、細菌の付着を定量化するために))。
【0091】
本発明は、粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定するための、ELISAをベースとする特定の方法に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、以下の1)〜6)を含む方法を提供する。1)ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレートを、粘液サンプルを用いてコーティングする。2)粘液でコーティングされたプレートに、細菌を加える。3)細菌に対する一次抗体を加える。4)一次抗体に対する二次抗体を加える。5)液体の基質を加える。6)細菌の付着を測定する。いくつかの実施形態では、洗浄する工程を、1つ以上の工程の間に適用する。いくつかの実施形態では、ブロッキング溶液を、1つ以上の工程の間で加える。上記方法は、細菌の付着を測定するための、特定の種類の、粘液のサンプル、細菌、一次抗体、二次抗体、液体の基質、および/または技術に限定されるものではない。
【0092】
粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定するための上記方法は、特定の細菌の種類に限定されるものではない。実際に、あらゆる種類の細菌を、本発明で用いることができる。細菌の例としては、Acidobacteria、Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes/Chlorobi、Chlamydiae/Verrucomicrobia、Chloroflexi、Chrysiogenetes、Cyanobacteria、Deferribacteres、Deinococcus-Thermus、Dictyoglomi、Fibrobacteres、Firmicutes、Fusobacteria、Gemmatimonadetes、Nitrospirae、Planctomycetes、Proteobacteria、Spirochaetes、Synergistetes、Tenericutes、Thermodesulfobacteria、およびThermotogaeが挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記細菌は、病原性の細菌であり、例えば、Bordetella(例えば、Bordetella pertussis)、Borrelia(例えば、Borrelia burgdorferi)、Brucella(例えば、Brucella abortus、Brucella canis、 Brucella melitensis、 Brucella suis)、Campylobacter (例えば、Campylobacter jejuni)、Chlamydia(例えば、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia psittaci、Chlamydia trachomatis)、Clostridium(例えば、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium tetani)、Corynebacterium(例えば、Corynebacterium diphtheriae)、Enterococcus(例えば、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecum)、Escherichia(例えば、Escherichia coli)、Francisella(例えば、Francisella tularensis)、Haemophilus(例えば、Haemophilus influenzae)、Helicobacter(例えば、Helicobacter pylori)、Legionella(例えば、Legionella pneumophila)、Leptospira(例えば、Leptospira interrogans)、Listeria(例えば、Listeria monocytogenes)、Mycobacterium(例えば、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis)、Mycoplasma(例えば、Mycoplasma pneumoniae)、Neisseria(例えば、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis)、Pseudomonas(例えば、Pseudomonas aeruginosa)、Rickettsia(例えば、Rickettsia rickettsii)、Salmonella(例えば、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium)、Shigella(例えば、Shigella sonnei)、Staphylococcus(例えば、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus)、Streptococcus(例えば、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes)、Treponema(例えば、Treponema pallidum)、Vibrio(例えば、Vibrio cholerae)、およびYersinia(例えば、Yersinia pestis)が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記細菌は、ブタの粘液に対して強い付着を示すことが知られているE.coliの特定の株から選択される(例えば、E.coliのALI84および/またはALI446)。
【0093】
本発明は、粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定するための、ELISAをベースとする方法の中で、細菌を調製および/または利用する方法について、特定の様式に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記細菌を、利用する前に不活性化させ(例えば、保存する目的で)、試験の間、活性化させる。上記方法は、細菌を不活性化させるための方法について、特定の様式に限定されるものではない。細菌を不活性化させる方法の例には、細菌を冷凍する方法、エタノールを用いて細菌を懸濁する方法、グルタルアルデヒドを用いて細菌を懸濁する方法、ホルマリンを用いて細菌を懸濁する方法、細菌に紫外線を照射する方法、ジメチルスルホキシドを用いて細菌を懸濁する方法、および、保存のための冷却の前に細菌を加熱する方法が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。上記方法は、不活性化された細菌を、試験のために活性化させる方法について、特定の様式に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記細菌を、遠心分離技術によって活性化させる(例えば、回収する)。
【0094】
上記方法は、エタノールを用いて細菌を不活性化させる方法について、特定の様式に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記細菌を、エタノールを用いて不活性化させる前に(例えば、不活性化させる1日前に)、増殖させ、未使用の培地中に移す(例えば、10%の接種(inoculums))。次に、細菌培養物に対して直接エタノールを加えることで、上記細菌を不活性化させ、保存する(例えば、最終的な濃度がおよそ40%vol/vol(例えば、20%vol/vol;30%vol/vol;33%vol/vol;35%vol/vol;37%vol/vol;40%vol/vol;42%vol/vol;45%vol/vol;50%vol/vol;60%vol/vol)になるように)。いくつかの実施形態では、エタノール(例えば、最終的な濃度がおよそ40%vol/vol)を用いて不活性化させた細菌を、およそ+4℃(例えば、2℃;3℃;4℃;5℃;6℃)で保存する。いくつかの実施形態では、エタノール(例えば、最終的な濃度がおよそ40%vol/vol)(およそ+4℃で保存した)を用いて不活性化させた細菌を、遠心分離によって活性化(例えば、回収)させる。いくつかの実施形態では、上記細菌をリン酸緩衝生理食塩水(例えば、PBS)(例えば、8.0gのNaCl、0.2gのKCl、1.4gのNaHPO×2HO、0.2gのKHPO、ad. 1000mlのMilliQ HO、pH7.4)に懸濁する。
【0095】
粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定する方法は、特定の粘液の種類に限定されるものではない。実際に、いずれの種類の粘液を本発明に用いてもよい。いくつかの実施形態では、使用する粘液は、ブタに由来するものである(例えば、ブタ結腸粘液)(例えば、ブタ回腸粘液(例えば、およそ1歳のブタの近位側結腸からこすり取る))。
【0096】
本発明は、粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定するための、ELISAをベースとする方法の中で、粘液サンプル(例えばブタに由来する粘液)を調製および/または利用する方法について、特定の様式に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、コーティングバッファーを用いて、粘液サンプルを懸濁する。上記方法は、コーティングバッファーについて、特定の構成に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記コーティングバッファーは、1.6gのNaCO(乾燥)、2.94gのNaHCO、0.2gのNa−アジド、pH9.6の11HOを含む(成分を混合することで、最終的にpH9.7になる)。
【0097】
いくつかの実施形態では、ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレート(例えば、ウェル)(例えば、96ウェルプレート)(例えば、96ウェルMaxiSorpプレート)上に、上記粘液サンプルをコーティングする。上記粘液サンプルは、ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレート上へコーティングする方法について、特定の様式に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、試験の直前に、上記粘液サンプルを直接プレート上にコーティングする。いくつかの実施形態では、試験前の長期的な保存を可能にするために、上記粘液サンプルをプレート上にプレコーティングする。上記方法は、ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレート上へ粘液サンプル(例えば、ブタ回腸に由来する粘液)をプレコーティングする方法について、特定の方法に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液が事前にコーティングされた、ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレートは、プレートを粘液サンプルでコーティングし、続いて、コーティングしたプレートを凍結させることで得られる。いくつかの実施形態では、粘液が事前にコーティングされた、ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレートは、プレートを粘液サンプルでコーティングし、続いて、コーティングしたプレートを空気乾燥させることで得られる。上記方法は、ELISAをベースとするアッセイで用いるために構成されたプレート上で、粘液サンプルに水分を含ませて元に戻す方法について、特定の様式に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記サンプルをリン酸緩衝生理食塩水(例えば、PBS)(例えば、8.0gのNaCl、0.2gのKCl、1.4gのNaHPO×2HO、0.2gのKHPO、ad. 1000mlのMilliQ HO、pH7.4)に曝すことで、水分を含ませて元に戻す。
【0098】
粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定する方法は、特定の一次抗体の種類に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液の付着について調べる細菌に対して、上記一次抗体を直接加える。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対する、HRPが結合したポリクローナル抗体である(Acrisカタログ番号BP2022HRP)。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対する、ポリクローナル抗体である(Acrisカタログ番号BP2022)。いくつかの実施形態では、上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対する、ビオチンが結合したポリクローナル抗体である(Acrisカタログ番号BP1021B)。
【0099】
粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定する方法は、特定の二次抗体の種類に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、二次抗体は、粘液に結合した細菌に対する一次抗体の結合を検出するために構成されている。従って、いくつかの実施形態では、上記二次抗体を一次抗体に対して直接加える。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRPである(Acrisカタログ番号R1317HRP)。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−APである(Acrisカタログ番号R1317AP)。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体である(H&L)(Acrisカタログ番号R13 17F)。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼである(Sigmaカタログ番号S2890)。いくつかの実施形態では、上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼである(Sigmaカタログ番号S5512)。
【0100】
いくつかの実施形態では、上記一次抗体および二次抗体は、ブロッキング溶液に希釈されている。上記方法は、特定のブロッキング溶液の種類に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記ブロッキング溶液は、ミルクである。いくつかの実施形態では、上記ブロッキング溶液は、ウシ胎仔血清(FBS)である。いくつかの実施形態では、上記ブロッキング溶液は、ウシ血清アルブミン(BSA)である。
【0101】
粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定する方法は、特定の種類の液体基質に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記液体基質は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)(Sigmaカタログ番号T4319)を用いたアッセイの中で、一次抗体および/または二次抗体の結合の検出を容易にするために構成されている。いくつかの実施形態では、上記液体基質は、TMBスローキネティック型(slow kinetic form)(以下、TMBスロー)(Sigmaカタログ番号T0440)である。いくつかの実施形態では、上記液体基質は、TMBスーパーセンシティブ(super sensitive)(以下、TMBスーパー)(Sigmaカタログ番号T4444)である。いくつかの実施形態では、上記液体基質は、P−ニトロフェニルリン酸(Sigmaカタログ番号N7653)である。いくつかの実施形態では、上記液体基質は、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(AzBTS;Sigmaカタログ番号A3219)+ABTSマイクロウェルエンハンサー(Sigmaカタログ番号AI227)である。
【0102】
粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定する方法は、当該粘液に対する細菌の付着の測定のための、特定の技術に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を、視覚的に測定する(例えば、イメージ(imagery)および/または写真を用いる)。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を、ELISAプレートリーダーを用いて測定する。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を測定するために用いられる技術によって、例えば、吸光度、蛍光強度、発光、時間分解蛍光(time−resolved fluorescence)、および/または蛍光偏光を、検出、測定および定量する。
【0103】
いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定する方法(例えば、ELISAをベースとした方法)は、粘液に対する細菌の付着を調節する薬剤を同定するために用いられる。いくつかの実施形態では、本発明における細菌の付着を検出、特定、および/または測定する方法は、最適化された(例えば、第2、第3、第4世代、またはそれを上回る世代)組成物(例えば、前の世代の組成物に比べて、より大きな効能(例えば、細菌の付着を防ぐ効果において)を示す組成物)を作成および/または同定するために用いられる。上記方法は、粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着を調節する薬剤を同定するための、特定の技術に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着を調節する潜在的な因子は、細菌サンプルとともに、粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)(例えば、ブタ回腸粘液および/または上皮細胞)によってコーティングしたプレートに、加えられ、続けて、一次抗体および二次抗体、並びに液体基質が加えられる。いくつかの実施形態では、上記薬剤の、調節における活性の特性付けを、上記薬剤の存在下および非存在下での細菌の付着を比較することによって行う。例えば、粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着を増加させる薬剤は、例えば、特定の種類の細菌と、特定の種類の粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)との間の付着を促進する因子として、特性付けされる。粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着を減少させる薬剤は、例えば、特定の種類の細菌と、特定の種類の粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)との間の付着を阻害する因子として、特性付けされる。上記方法は、特定のタイプまたは種類の潜在的な薬剤に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、上記薬剤は、例えば、天然に存在する分子、合成によって派生した分子、および組み替えによって派生した分子である。
【0104】
いくつかの実施形態では、上記方法は、予防策または防止策として、粘液および/または上皮細胞との間の付着を調節することで知られている、1つ以上の薬剤を事前に使用する工程を含む。例えば、いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液に対する細菌の付着を阻害することで知られている、1つ以上の薬剤を事前に使用する工程を含む。本発明に係る方法は、粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着を阻害することで知られている、特定の種類の薬剤に限定されるものではない。例えば、いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を阻害することで知られている薬剤は、本発明を限定するものではないが、Bio−Mos(例えば、Saccharomyces cerevisiaeの細胞壁に由来するマンノプロテイン)である。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を阻害することで知られている薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液に対する細菌の付着を促進することで知られている、1つ以上の薬剤を、共に使用する工程を含む。上記方法は、粘液に対する細菌の付着を促進することで知られている、特定の種類の薬剤に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を促進することで知られている薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。
【0105】
いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液に対する細菌の付着を調節することが知られている、1つ以上の薬剤を、共に使用する工程を含む。例えば、いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている、1つ以上の薬剤を共に使用する工程を含む。上記方法は、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている、特定の種類の薬剤に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている薬剤は、Bio−Mos(例えば、Saccharomyces cerevisiaeの細胞壁に由来するマンノプロテイン)である。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液に対する細菌の付着を促進することが知られている、1つ以上の薬剤を、共に使用する工程を含む。上記方法は、粘液に対する細菌の付着を促進することが知られている、特定の種類の薬剤に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を促進することが知られている薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。
【0106】
いくつかの実施形態では、上記方法は、感染性の疾患を除去した後に、粘液または上皮細胞に対する細菌の付着を調節することが知られている、1つ以上の薬剤を使用する工程を含む。例えば、いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液および/または細胞(例えば、上皮細胞)に対する細菌の付着を阻害することが知られている1つ以上の薬剤を、後から使用する工程を含む。上記方法は、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている、特定の種類の薬剤に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている薬剤は、Bio−Mos(例えば、Saccharomyces cerevisiaeの細胞壁に由来するマンノプロテイン)である。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を阻害することが知られている薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。いくつかの実施形態では、上記方法は、粘液に対する細菌の付着を促進することが知られている、1つ以上の薬剤を、共に使用する工程を含む。上記方法は、粘液に対する細菌の付着を促進することが知られている、特定の種類の薬剤に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、粘液に対する細菌の付着を促進することが知られている薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明に係るアッセイは、回腸および/または尿道の細菌(例えば、回腸および/または尿道の粘膜表面にコロニーを形成する細菌)に対する非付着化合物の同定および/または特性付けを行うために用いられる。いくつかの実施形態では、非付着化合物は、同一の疾患および/または徴候および/または症状((例えば、動物(例えば、乳牛、ブタ等の繁殖力を有する動物)の)例えば、サルモネラ症、子宮筋層炎)を、予防および/または治療するために用いられることで、特定される。いくつかの実施形態では、本発明に係るアッセイは、マイクロプレートリーダーが利用できる場所であれば、いずれの場所でも行うことができ、研究室内(例えば、大学、民間、公立、または他の種類の研究室)、野外(例えば、大農場、農場、またはアッセイを行うユーザーがいる場所)等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、アッセイおよび/またはアッセイの構成要素は、商業的に販売されており、エンドユーザー(例えば、アッセイの購入者)によって、エンドユーザー自身の研究室で利用される(例えば、産物(例えば、非付着化合物)の効能、性能、および/または濃度を調べるために)。従って、本発明は、アッセイのユーザーが、ユーザーのいる場所で(例えば、非付着化合物(例えば、Bio−Mos)を用いる場所で)、化合物(例えば、非付着化合物)の品質特性付けを行うことができる、組成物および方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明に係るアッセイを用いて作成した非付着化合物に関する情報(例えば、効能、品質、濃度等)が収集される。いくつかの実施形態では、情報は、データベース(例えば、オンラインのデータベース)または郵送で収集される。いくつかの実施形態では、非付着化合物に関して収集された上記情報および/またはデータ(例えば、効能、品質、濃度等)は、品質管理計画において利用される。いくつかの実施形態では、非付着化合物に関して収集された上記情報および/またはデータ(例えば、効能、品質、濃度等)は、非付着化合物の提供者および/または製造者によって、当該化合物の活性をモニタリングするために利用される。いくつかの実施形態では、非付着化合物に関して収集された上記情報および/またはデータ(例えば、効能、品質、濃度等)は、非付着化合物が使用される場所において収集された、動物の健康データとともに用いられる(例えば、動物の行動に関する情報を提供するために)。いくつかの実施形態では、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として同定された薬剤)の好ましい物理的形状は、動物の餌に直接含有させる、または、動物に直接供給させるために好適な粉末であって、乾燥した、自由に流動する粉末(free-flowing powder)である。他の実施形態では、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として同定された薬剤)の好ましい物理的形状は、沈殿させて、または飲料水を介して、投与することができる、液体または沈殿物である。
【0108】
本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として同定された薬剤)を含む、本発明に係る組成物は、家畜、ペット動物、魚、および貝を対象とした、商業的に利用可能なあらゆる飼料に加えることができる。上記飼料の例としては、完全混合飼料(Total Mixed Ration(TMR))、まぐさ、ペレット、濃縮物、プレミックス、副産物、穀物、醸造かす、糖蜜、繊維、飼い葉、草、干草、穀粒、葉、粗びき粉、可溶物、および栄養補助食品が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として同定された薬剤)を含む、本発明に係る組成物は、動物の餌(例えば、商業的に利用可能な沈殿した餌)に直接組み込まれる。動物の餌に直接組み込まれる場合、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤を含む組成物は、動物、魚、または貝の飼料に対して、餌の約0.0125重量%〜約0.4重量%の量で加えられてもよい。いくつかの実施形態では、上記化合物は、動物、魚、または貝の飼料に対して、餌の約0.025重量%〜約0.2重量%の量で加えられてもよい。または、本発明に係る組成物を、栄養補助食品として、動物に直接与えてもよい(例えば、1日あたりの動物1匹あたりに約2.5〜約20グラムの量で与える)。当業者であれば、動物の種、サイズ、および、本発明に係る組成物が加えられる飼料の種類に応じて、与える組成物の量を変更できることを、十分に理解できる。
【0109】
本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として同定された薬剤)を含む、本発明に係る組成物は、あらゆる動物に与えることができる。上記動物の例としては、反芻動物およびウマ科の動物が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。餌に混合される場合、または栄養補助食品として与えられる場合、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤(例えば、粘液に対する細菌の付着を調節する因子として同定された薬剤)を含む、本発明に係る組成物は、動物の体内で、粘液に対する細菌の付着を調節し(例えば、薬剤に応じて増加または減少させ)、行動および健康を改善し、疾患の発生率を低減させる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明は、粘液に対する細菌の付着を調節する(例えば、阻害する、促進する)ことで知られる薬剤を対象に投与することで、病原菌によって引き起こされる疾患を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、上記薬剤は、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定される。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Bacillus anthracisによって引き起こされ(例えば、皮膚炭そ、肺炭そ、胃腸炭そ)、いくつかの実施形態では、上記方法は、ペニシリン、ドキシサイクリン、および/またはシプロフロキサシンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Bordetella pertussisによって引き起こされ(例えば、百日咳、続発性細菌性肺炎)、いくつかの実施形態では、上記方法は、マクロライド系抗生物質(例えば、アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン)の共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Borrelia burgdorferiによって引き起こされ(例えば、ライム病)、いくつかの実施形態では、上記方法は、セファロスポリン、アモキシシリン、および/またはドキシサイクリンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、ブルセラ病原菌(例えば、Brucella abortus、Brucella canis、Brucella melitensis、Brucella suis)によって引き起こされ(例えば、ブルセラ症)、いくつかの実施形態では、上記方法は、ドキシサイクリン、ストレプトマイシン、および/またはゲンタマイシンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Campylobacter jejuniによって引き起こされ(例えば、急性腸炎)、いくつかの実施形態では、上記方法は、シプロフロキサシンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Chlamydia pneumoniaeによって引き起こされ(例えば、市中呼吸器感染)、いくつかの実施形態では、上記方法は、ドキシサイクリン、および/またはエリスロマイシンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Chlamydia psittaciによって引き起こされ(例えば、オウム病)、いくつかの実施形態では、上記方法は、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、および/またはエリスロマイシンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Chlamydia trachomatisによって引き起こされ(例えば、非淋菌性尿道炎(NGU)、トラコーマ、新生児の封入体性結膜炎(ICN)、鼠径リンパ肉芽腫(LGV))、いくつかの実施形態では、上記方法は、アジスロマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、および/またはドキシサイクリンの共投与を含む。いくつかの実施形態では、上記疾患は、Clostridium botulinum(例えば、ボツリヌス中毒症)、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、clostridium tetani(例えば、破傷風)、Corynebacterium diphteriae(例えば、ジフテリア)、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecum、Escherichia coli、Francisella tularensis(例えば、ツラレミア)、Haemophilus influenzae、Helicobacter pylori、Legionella pneumophila(例えば、レジオネラ症)、Leptospira interrogans、Listeria monocytogenes、Mycobacterium leprae(例えば、ハンセン病)、Mycobacterium tuberculosis(例えば、結核)、Mycoplasma pneumoniae、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Pseudomonas aeruginosa、Rickettsia rickettsii、Salmonella typhi、Shigella sonnei、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticus、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Treponema pallidum、Vibrio cholerae、およびYersinia pestis(例えば、ペスト)によって引き起こされる。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明は、ユーザーによる本発明に係る方法(例えば、粘液に対する細菌の付着を検出、特定、および測定するための方法)の実行を可能にするために構成されたキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、以下に示す1つ以上の構成要素を含む。当該構成要素としては、粘液サンプル、粘液サンプルによってコーティングされたプレート、細菌、一次抗体、二次抗体、液体基質、洗浄液、ELISAをベースとするアッセイを読み取るために構成された装置、取扱説明書、粘液に対する細菌の付着を減少させることが知られている薬剤(例えば、Bio−Mos)(例えば、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤)、粘液に対する細菌の付着を増加させることが知られている薬剤(例えば、本発明に係る、ELISAをベースとする方法の使用によって同定された薬剤)、および追加の治療薬(additional treatment agent)(例えば、抗生物質)が挙げられる。
【0112】
〔実験〕
以下の実施例は、ある好ましい実施形態および本発明の側面を、実証、および、さらに例証するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0113】
<実施例1、腸内物質(intestinal matter)に対する細菌の付着における、比色ELISA、および、放射活性物質による検出において用いられる材料および方法の比較>
細菌株。2つのE.coli株(E.coli ALI84およびALI446)を発達計画(development project)のために選択した。前者は元々、疾患の鳥から単離されたものであり、後者の株は、下痢のブタから単離されたものである。上記の株は、ブタの粘液に対して付着を示すため、選択された。上記細菌をLB培地中で増殖させ、実験の前日に未使用の培地に移した(培養物:培地=1:10)。細菌の数は、培養時間に従って推定した。
【0114】
抗体。抗体は、ドイツのAcris Antibodies GmbH、およびドイツのSigma Aldrichから購入した。一次抗体には、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、HRPが結合したポリクローナル抗体(Acrisカタログ番号BP2022HRP);E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的なポリクローナル抗体(Acrisカタログ番号BP2022);および、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、ビオチンが結合したポリクローナル抗体(Acrisカタログ番号BP1021B)が含まれる。
【0115】
二次抗体には、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRP(Acrisカタログ番号R1317HRP);アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−AP(Acrisカタログ番号R1317AP);FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体(H&L)(Acrisカタログ番号R13 17F);Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼ(Sigmaカタログ番号S2890);Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(Sigmaカタログ番号S5512)が含まれる。ELISA基質は、ドイツのSigma Aldrichから、すぐに使える溶液として購入した:3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)(Sigmaカタログ番号T4319);TMBスローキネティック型(以下、TMBスロー)(Sigmaカタログ番号T0440);TMBスーパーセンシティブ((以下、TMBスーパー)(Sigmaカタログ番号T4444);P−ニトロフェニルリン酸(Sigmaカタログ番号N7653);2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(AzBTS;Sigmaカタログ番号A3219)+ABTSマイクロウェルエンハンサー(Sigmaカタログ番号AI227)。
【0116】
バッファー。最後の洗浄以外では、HEPES−Hanksバッファー(pH7.4)をウェルの洗浄のために用いた。最後の洗浄では、ELISAにおいて赤く着色したHEPES−Hanksによるかく乱を避けるため、PBSを用いた。いくつかの実施形態では、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)は、HEPES−Hanksバッファーの代わりに、全ての工程に含まれる。
【0117】
プレート。ELISA実験には、96ウェル免疫プレートが用いられる(MaxiSorp、Nunc、デンマーク、本報告では、以下「MaxiSorpプレート」)。シンチレーション実験には、シンチレーションカウンターにおいて用いるために、ポリエチレンテレフタレートマイクロタイタープレートが用いられる(96ウェルPETサンプルプレート、1450−401;Wallac Oy、Turku;本明細書では「ソフトプレート」と呼ぶ)。
【0118】
以下に記載する、従来型の放射活性物質結合/付着アッセイは、比色ELISAに対するコントロールとして用いられる。
【0119】
放射活性物質付着アッセイのための、放射活性物質による細菌の標識。細菌を+37℃で、一晩かけて増殖させ、細菌懸濁液をLBの新しいバッチ中に1:10で希釈し、メチル−1,−2,3Hチミジン(117 I−lCi/mmol;Amersham)を加えた。上記細菌を、+37℃で2時間培養し、5分間の3000gでの遠心分離によって採集した。細菌の沈殿物を、HEPES−HanksバッファーまたはPBSに再び懸濁し、付着アッセイに用いた。
【0120】
放射活性物質付着アッセイ。200ulの希釈した細菌懸濁液を、マイクロタイターウェルに加え、上記プレートを+37℃で1時間培養した。結合しなかった細菌は、300μlのHEPES−HanksバッファーまたはPBSで3回洗浄して取り除いた。250ulのシンチレーション液を加え、シンチレーションカウンターを用いて放射活性を測定した。
【0121】
粘液の単離および固定化。上記プレートを、異なる動物に由来する、異なる濃度の粘液を用いてコーティングした。他に記載がない場合は、1歳のブタの近位側回腸に由来する粘液を用いた。上記粘液を、腸の表面からこすり取り、洗浄した。精製していない粘液抽出物を、使用するまでの間、−80℃で保存した。コーティングのために、炭酸ナトリウムバッファー(コーティングバッファー、pH9.6)を用いて、粘液のタンパク質濃度を0.0〜0.2mg/mlに調整し、細菌の付着に最適な粘液濃度を調べた。300μlまたは200μlの粘液を、各350ulのウェルに導入することで、粘液溶液をプレートに固定化した。その後、上記プレートを+4℃で一晩かけてインキュベートした。余分な粘液は、300μlのHEPES−HanksバッファーまたはPBSで2回洗浄して、マイクロタイタープレートから取り除いた。
【0122】
ELISA基質を用いた、E.coliによる非特異的な発色を調べるために用いるマイクロチューブ法。E.coliの新鮮な培養物(〜10の細菌/ml)を、マイクロチューブに分注した(〜10/チューブ)。上記チューブを5分/3000gで遠心分離し、上清を除去した。上記細菌を700μlのELISA基質に懸濁した。5分後から15分ごとに、3時間経過するまで、370、405、および630nmにおける上記懸濁液の吸光度を、分光光度計を用いて読み取った。
【0123】
一次抗体の特異性を調べるために用いたFITC法。蛍光顕微鏡を用いて、一次抗体(FITCが結合した二次抗体に適合する、ポリクローナル抗E.coli抗体、BP2022)の特異性を調べた。10の細菌を、各マイクロチューブに導入し、1mlのPBSで3回洗浄した(各洗浄の間に、3000g/5分の遠心分離を行った)。1%BSA/PBS中に1:100、1:500、1:1000で希釈した一次抗体を、各チューブに導入し、室温で45分間インキュベートした。ネガティブコントロールとして、1%BSA/PBSを用いた。上記細菌を、PBSを用いて3回洗浄し、1%BSA/PBS中に1:100、1:500、および1:1000で希釈した液中に、二次抗体(FITCが結合したウサギ抗ヤギIgG)を導入した。上記チューブを、室温で1時間インキュベートした。上記細菌を、PBSを用いて2回洗浄し、Whatman BLACK NUCLEPOREメンブレン(孔径0.2μm)を用いて濾過した。上記フィルターを、PBSを用いて2回洗浄し、顕微鏡用スライドに移動させ、液浸油の液滴を用いて密封した。上記スライドは、暗所に保存した。
【0124】
基本的なELISAプロトコル。基本的なプロトコルを以下に示すが、各実験における正確な条件は、以下に記載される結果の文脈中で示される。バッファーに懸濁した0〜10の細菌を、粘液でコーティングしたウェルに導入した。他に記載がない限り、0.1mg/mlの粘液濃度、および10の細菌/ウェルを用いた。いくつかの実験では、以下に示す濃度でPBS中に希釈した細菌とともに、Bio−Mos(Alltech、Nicholasville、KY)を加えた。
【0125】
上記プレートを、+37℃または室温で1時間培養した。上記プレートを、バッファー(PBSまたはHEPES−Hanks、300ul)を用いて、3回洗浄した。PBS中に、ミルク、ウシ胎仔血清、またはBSA(ウシ血清アルブミン)のいずれかを加えることで、非特異的な結合をブロックした。上記プレートを、+37℃または室温で1時間培養した。上記ブロッキングバッファーを除去し、1:200から1:100000の間の希釈液中に、一次抗体を導入した。上記抗体を、ブロッキングバッファー中に希釈した。上記プレートを、再度+37℃または室温で1時間インキュベートし、PBSまたはHEPES−Hanksを用いて、3回洗浄した。二次抗体を、ブロッキングバッファー中に1:1000から1:100000の間で希釈した液中に加えた。上記プレートを、+37℃または室温で1時間インキュベートした。最後の培養の後、結合していない全ての二次抗体を完全に除去することを保証するために、上記プレートを、PBS(300ul/ウェル)を用いて5回洗浄した。基質を加え、上記プレートについて、ELISAリーダーを用いた読み取り、および/または、撮影を行った。
【0126】
<実施例2、腸粘液の濃度>
上記コーティング懸濁液における粘液の濃度を特定するために、異なる粘液濃度の懸濁液を用いて、ウェルをコーティングした。粘液濃度は、アッセイの信頼性にとって重要であると特定された変量(variable)であった(例えば、粘液濃度が低すぎる場合、粘液の代わりに、細菌がプレートに結合する可能性がある)。基本的な方法:放射活性物質付着アッセイ(上記材料および方法を参照)。プレート:96ウェルPETプレート(ソフトプレート);粘液:ブタ近位側回腸、0.0〜0.2mgタンパク質/mlコーティングバッファー;細菌:一方のプレート上にはE.coli ALI84株、もう一方のプレート上にはE.coli ALI446株;10の細菌/ウェル。バッファー:HEPES−Hanks;ブロッキング:ブロッキングなし;一次抗体:なし;二次抗体:なし;培養温度:+37℃。E.coli ALI84およびALI446の粘液濃度の効果を、図1に示す放射活性物質で標識されている細菌によって測定した。
【0127】
図1は、上記細菌が、粘液でコーティングされていないウェルに対して最適な付着を示したことを示している。上記細菌が粘液に対して付着し、プレートに対して付着しないことを検証するために、比較的高い粘液濃度(0.1mgタンパク質/mlコーティングバッファー)を特定し、当該粘液濃度を次の実験のために選択した。従って、いくつかの実施形態では、本発明は、ウェルをコーティングするために好適な粘液濃度(例えば、プレートのウェルに対する細菌の結合を低減および/または排除できる量)を用いる。
【0128】
<実施例3、細菌の付着に対する、一次抗体の阻害効果の分析>
一次抗体が、細菌の付着に対して影響を与えるかどうかを調べるために、粘液でコーティングしたウェル中の細菌を、抗体なし〜1:200である抗体希釈液を用いて培養した。基本的な方法:放射活性物質付着アッセイ(材料および方法を参照)。プレート:96ウェルPETプレート(ソフトプレート);粘液:ブタ近位側回腸;細菌:一方のプレート上にはE.coli ALI84株、もう一方のプレート上にはE.coli ALI446株。10の細菌/ウェル;バッファー:HEPES−Hanks;ブロッキング:ブロッキングなし;一次抗体:HRP=HRPが結合した抗E.coli抗体;BP2022=非結合の抗E.coli抗体、ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli抗体;二次抗体:二次抗体なし;培養温度:+37℃。
【0129】
図2および3に示されているように、最も低い濃度(1:20000の希釈)では、異なる最初の2つの一次抗体によって、粘液に対する細菌の付着が促進されたが、1:200の希釈では、付着がわずかに低減された。最初の2つの抗体のFc領域は、粘液に結合しておらず、一方、粘液に対する当該領域の結合は、3番目の抗体中のビオチンによってブロックされた可能性がある。低い濃度では、最初の2つの抗体は、細菌および粘液と結合する可能性がある(細菌と結合するFab領域、および粘液と結合するFc領域)。高い濃度では(1:200の希釈)、細菌の表面上の、粘液に結合する部位(すなわち、粘液に対する細菌の結合部位)が、抗体によって明らかにブロックされているので、粘液に対する細菌の付着が低減される。ビオチンが結合した抗体は、非常に小さい効果を有し、付着を促進すると考えられる。さらに、本実験では、一次抗体を細菌とともに加えたが、本明細書中で記載される比色付着ELISA法では、まず細菌のみを1時間培養する。従って、いくつかの実施形態では、細菌が粘液に付着する場合には、細菌の付着/結合に対する一次抗体の効果(例えば、抗体が、実際に細菌の付着を増加または減少させる)は、低減および/または排除されている(例えば、抗体が存在しない)。また、いくつかの実施形態では、非特異的な結合をブロックするために、ウシ胎仔血清、または他のブロッキング剤を利用することができる。従って、いくつかの実施形態では、本発明によって、従来の放射活性物質付着アッセイにおいて、HRPが結合した一次抗体、および何も結合していない一次抗体は、粘液に対する細菌の付着を変化させる(例えば、促進または阻害する)こと、並びに、本発明に係る比色アッセイでは、当該変化をもたらさないことが示される。さらに、調べた全ての抗体は、本明細書中で記載される方法に好適であると考えられるので、本発明によって、本発明に係る結合/付着アッセイは、幅広い抗体(例えば、何も結合していない抗体、および結合した抗体)に好適であることが示される。
【0130】
<実施例4、ELISA基質における、E.coliによる非特異的発色>
2つの選択されたE.coliの株における、ELISA基質における非特異的呈色反応を生ずる能力を調べた。上記実験は、基質とともに細菌を培養したマイクロチューブ中で行われた。マイクロチューブ法(実施例1の材料および方法を参照)を用いた。
【0131】
図4および5に示されているように、細菌によって生じた色はごくわずかであり、基質のみの発色と同程度であった。約5分〜30分の時間内では、いずれの基質も、大幅な呈色反応を生じなかった。従って、いくつかの実施形態では、本発明によって、本発明書で記載される、それぞれのELISA基質は、本発明に係る付着アッセイにおける使用に好適であることが示される。
【0132】
<実施例5、ELISA基質における、粘液による非特異的発色>
1歳のブタに由来する5つの粘液サンプルを、ELISA基質における非特異的呈色を生じる能力について調べた。実施例1の材料および方法に記載されているように、ELISAを行った。プレート:ソフトプレート;粘液:ブタ近位側回腸、回腸中央部および遠位回腸、並びに、近接結腸および遠位結腸;細菌:細菌なし;抗体:抗体なし;バッファー:PBS;ブロッキング:1%BSA/PBSで1時間;培養温度:+37℃;基質:図6に示されている6つの基質全て。
【0133】
図6に示されているように、ブタ回腸は、パラ−ニトロフェニルリン酸(pNPP)によって、呈色反応を生じたが、ブタ結腸は呈色反応を生じなかった。他の基質は、粘液とは反応しなかった。pNPPによる発色は、回腸粘液中に元々存在するリン酸によるものである可能性がある。従って、本発明によって、いくつかの実施形態では、ブタ回腸は、パラ−ニトロフェニルリン酸(pNPP)によって呈色反応を生じるが、ブタ結腸は呈色反応を生じないことが示される。
【0134】
<実施例6、一次抗体の特異性の実験>
蛍光顕微鏡を用いて、一次抗体の特異性を調べた。端的に述べると、細菌をBSAによってブロックし、最初に一次抗体とともにインキュベートし、その後FITCが結合した二次抗体とともにインキュベートした。蛍光は、蛍光顕微鏡を用いて、視覚化した。実施例1の材料および方法に記載されているFITC法を用いた。
【0135】
二次抗体を加えた全てのサンプルは、一次抗体が存在しない場合でも、ある程度の蛍光を示し、上記二次抗体の濃度は、サンプル間で最も顕著な差をもたらした。従って、本発明によって、いくつかの実施形態では、ウシ胎仔血清(FBS)および/またはウシ血清アルブミン(BSA)を用いることで、非特異的な結合を減衰および/または阻害できることが示される。
【0136】
<実施例7、粘液またはプレートに対する抗体の非特異的結合>
細菌が存在しない場合に、プレートまたは粘液に対して抗体が非特異的に結合するかどうか調べるため、粘液でコーティングしたプレートに、一次抗体および二次抗体を加えた。実施例1に記載されているELISA法を用いた。非特異的な結合をブロックするためにBSAを用いた。プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸;細菌:細菌なし;ブロッキング:PBSに1%BSAを加えたもの;バッファー:PBS;一次抗体:表1参照;PBSに1%BSAを加えたものにおいて、異なる希釈率で200ul;二次抗体:表1参照;PBSに1%BSAを加えたものにおいて、異なる希釈率で200ul;培養温度:+37℃;基質:TMB(HRPが結合した二次抗体を対象とする)、pNPP(APが結合した二次抗体を対象とする)。図7および8には、粘液またはプレートに対する抗体の非特異的な結合を調べるためのプレートのレイアウト、および非特異的な結合の結果がそれぞれ示されている。本実験には細菌を使用しなかった。従って、いくつかの実施形態では、本発明によって、粘液またはプレートに対する、抗体の強い非特異的な結合が示される。いくつかの実施形態では、BSAは、本発明に係る付着アッセイにおいて適切なブロッキング剤ではない。
【0137】
<実施例8、抗体の非特異的な結合を防ぐブロッキング剤の実験>
細菌または一次抗体を加えない場合、二次抗体は、粘液/プレートに対して強く結合した(図8参照)。そこで、BSAの代わりに非特異的な結合をブロックするものとして、ミルクおよびウシ胎仔血清を調べた。実施例1に記載されている基本的なELISA法を用いた。プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸;ブロッキング:PBSに5%脱脂粉乳を加えたもの、またはPBSに10%ウシ胎仔血清を加えたもの、+37℃で1時間;バッファー:PBS;一次抗体:表2参照;ブロッキングバッファーにおいて、異なる希釈率で200ul;二次抗体:表2参照;ブロッキングバッファーにおいて、異なる希釈率で200ul;ストレプトアビジンが結合した二次抗体は、製造者の推奨に従って、1:1000および1:10000の希釈率で用いた。培養温度:+37℃;基質:TMB。図9は本アッセイのためのプレートのレイアウトを示している。一次抗体:HRP=HRPが結合した一次抗体、BP2022=何も結合していないポリクローナル抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli一次抗体。二次抗体:HRP=HRPが結合したIgG;StrHRP=HRPで標識されているストレプトアビジン。本実験では、細菌を使用していない。
【0138】
図10に示されているように、ミルクに比べて、ウシ胎仔血清は、より効率的に非特異的な結合をブロックした。非特異的な結合は、ビオチン−ストレプトアビジン複合体を用いた場合、ごくわずかであったが、BP2022一次抗体を用いた場合、最も強かった。本実験に基づき、PBSに10%ウシ胎仔血清を加えたものが、実験でのブロッキングのために選択された。従って、本発明によって、PBSに10%ウシ胎仔血清を加えたものが、本発明に係る付着アッセイに好適なブロッキング剤であることが示される。
【0139】
<実施例9、粘液でコーティングしたプレートに対する細菌の結合>
抗体の希釈および細菌の数/ウェルを最適化することによって、ELISAのプロトコル全体の最適化(粘液および細菌の両方を含む)を行った。実施例1に記載されている基本的なELISA法を用いた。プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸;細菌:E.coli ALI84株、およびALI446株、細菌の数/ウェルは図11に示されている。バッファー:HEPES−Hanks/PBS;ブロッキング:PBSに10%ウシ胎仔血清を加えたもの;一次抗体:表2参照;ブロッキングバッファーにおいて、異なる希釈率で200ul(図11および13);二次抗体:表2参照;ブロッキングバッファーにおいて、異なる希釈率で200ul(図13);培養温度:+37℃;基質:TMB。
【0140】
図12および14に示されているように、ビオチン−ストレプトアビジン複合体は、HRPが結合した一次抗体に比べて、より特異的であった。非特異的な結合は、全く観察されなかった(図14、コントロール、2つの分離した列を参照)。上記結果によって、実施例8で得られた結果が確かめられた。
【0141】
従って、ビオチン−ストレプトアビジンの組み合わせのみを用いて続けることが決定された。図14は、1:1000の希釈によって、より少ない数の細菌でも反応を起こすことができることを示しており、それゆえ、当該希釈が、さらなる実験のために選択された。一次抗体の希釈も、同様に最適化した。図14では、二次抗体(ストレプトアビジン−HRP)を1:10000に希釈すると、少ない数の細菌を検出するためには薄すぎることを示している(従って、いくつかの実施形態では、1:1000の希釈を用いた)。
【0142】
ビオチン−ストレプトアビジンの組み合わせは、他の抗体に比べて、より特異的であり、次の実験で用いられた。従って、本発明によって、いくつかの実施形態では、10の細菌/ウェルが、本発明に係る付着アッセイで利用するのに最適な数であり、より多い数(例えば、10の細菌/ウェルを上回る数(例えば、10の細菌、10の細菌、1010の細菌、またはそれを上回る数))、または、より少ない数(例えば、10の細菌/ウェルを下回る数(例えば、10の細菌、10の細菌、10の細菌、またはそれを下回る数))でも利用できることが示される。本実験においては、1:1000から1:10000の一次抗体の希釈が最適であったが、一次抗体の量は、当該範囲を上回る、または、下回るものであってもよい。いくつかの実施形態では、一次抗体の量は、呈色反応を制限しないように選択される。
【0143】
<実施例10、細菌の数の検出における、ELISAの線形性>
ELISA法における、線形性を示す範囲(linear range)を推定するために、異なる細菌の数/ウェルで、ELISAを行った。実施例1に記載されている基本的なELISA法を用いた。プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸;細菌:E.coli ALI84株、107の細菌/ウェル;バッファー:PBS;Bio−Mos:なし;ブロッキング:10%ウシ胎仔血清;一次抗体:ビオチンを結合した一次抗体、ブロッキングバッファー中で1:1000の希釈;二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン、ブロッキングバッファー中で1:1000の希釈;培養温度:一方のプレートは+37℃、もう一方のプレートは室温;室温で試薬;基質:TMB。
【0144】
620nmにおける吸光度を、細菌の数と対比してプロットした。細菌の数が、10の細菌/ウェルまでは、関係性は線形であるが(図16参照)、10から10までは、最も適合する近似曲線は対数曲線であった(図15参照)。したがって、本発明によって、ある細菌の数/ウェル、細菌に対して結合する粘液の能力は、結合部位が飽和するにつれて減少することが示される。
【0145】
従って、いくつかの実施形態では、本発明に係るアッセイは、細菌の細胞数/ウェルの範囲(例えば、1つのウェルあたり0から約10の細菌)において、線形性を示す。いくつかの実施形態では、本発明は、1つのウェルあたりに付着する細菌についての高感度の計算を提供する。いくつかの実施形態では、本発明に係る方法は標準化される(例えば、再現可能な比較結果を得るため)。
【0146】
<実施例11、細菌の付着に対するBio−Mosの効果>
ELISA法の線形性および分解能(resolution)を調べるために、異なる濃度のBio−Mosを用いて、粘液に対する細菌細胞の付着をブロックした。実施例1に記載されている基本的な比色ELISAを用いて得られた結果を、同様に実施例1に記載されている放射活性物質付着アッセイを用いて得られた結果を比較した。プレート:MaxiSorpプレートおよびソフトプレート;粘液:ブタ近位側回腸;細菌:E.coli ALI84株およびALI446株、〜10の細菌/ウェル。プレートが同一のものであるということを保証するために、両方のプレートに対して、同一の放射活性物質で標識されている細菌の懸濁液を用いた;バッファー:HEPES−Hanks、PBS;Bio−Mos:濃度0〜20g/l、PBS中に希釈;ブロッキング(MaxiSorpプレートのみ):PBS中に10%ウシ胎仔血清を加えたもの;一次抗体(MaxiSorpプレートのみ):ビオチンを結合した一次抗体(ブロッキングバッファー中で1:1000);二次抗体(MaxiSorpプレートのみ):HRPが結合したストレプトアビジン(ブロッキングバッファー中で1:1000);培養温度:+37℃;基質:TMB。
【0147】
図17Aおよび17Bに示されているように、放射性アッセイでは、異なる濃度のBio−Mosを用いた場合の、細菌の付着における差が検出された。ELISAを行った後、シンチレーションカウンターを用いて、両方のプレートを測定した(5分/ウェル)。図17Bは、ELISAを行った後はシンチレーション計数がより低いことを示しており、ELISAの間に細菌が洗い流されたことを示唆している。しかし、Bio−Mosの明らかな効果が観察された。
【0148】
細菌が存在しないウェル(コントロール)と、最大濃度のBio−Mosを含むウェル(最も少ない数の細菌)との間の差を検出できたが(図17A参照)、一方、最大濃度のBio−Mosを含むウェル(最も少ない数の細菌)のシンチレーション計数は、細菌が存在しないコントロールと近いという点において、比色ELISA法の予測されなかった特徴が特定された。従って、本発明は、いくつかの実施形態では、最大濃度のBio−Mosを含むウェル(最も少ない数の細菌)と、細菌が存在しないウェル(コントロール)との間の付着/付着の差を検出することができるELISA法を提供する(例えば、当該濃度の範囲において、放射性アッセイに比べて、比色アッセイはより感度が高い)。
【0149】
<実施例12、付着を変化させる効果を検出するために重要な細菌の数>
本実験の目的は、Bio−Mosの効果を検出するための細菌の数/ウェルを見つけることである。基本的な方法;ELISA(材料および方法を参照);プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸;細菌:E.coli ALI84株およびALI446株、0〜108/ウェル;Bio−Mos:濃度0〜20g/l、PBS中に希釈;バッファー:PBS;ブロッキング:10%ウシ胎仔血清;一次抗体:ビオチンを結合した一次抗体、ブロッキングバッファー中で1:1000の希釈;二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン、ブロッキングバッファー中で1:1000の希釈;培養温度:+37℃;基質:TMB。
【0150】
図18〜19に示されているように、いくつかの実施形態では、検出可能な差を得るためには、細菌の数/ウェルは10を超えるべきであると考えられた。10の細菌/ウェルを用いた場合は、明らかな差が見られた。10の細菌/ウェルを用いた場合でも、明らかな差が得られるが、非常に速く反応が終点に達し、従って、全てのウェルに同時に基質を加えることができないため、変化が生じうる。同様に、非常に多数の細菌/ウェルを用いる可能性もあるが、抗体濃度、もしくは基質濃度、または粘液の結合部位は、制限される。それゆえ、次の実験は、10までの細菌/ウェルを用いて行った。どちらのE.coli株においても、非常に低い濃度のBio−Mosは、粘液に対する細菌の付着を促進すると考えられる。従って、いくつかの実施形態では、本発明に係るアッセイにより、比較的低いレベル(例えば、約0.1〜1.0g/l)の阻害剤(例えば、Bio−Mos)は、多量の薬剤に比べて、より効果的に細菌を除去することが確認された。
【0151】
<実施例13、改善された洗浄方法>
これまで、洗浄工程には、Nunc免疫洗浄装置が用いられていたが、反復ウェル間のかなりの変動のため、粗雑な方法であると考えられる。それゆえ、サンプル間の変動を最小化するために、異なる洗浄方法を調べた。新しい方法は、液体を振り落とすことをベースにした。基本的な方法;ELISA(材料および方法を参照);プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブロイラー十二指腸;細菌:E.coli ALI84株、0〜107の細菌/ウェル;バッファー:PBS;Bio−Mos:濃度0、0.1、1および10、細菌と共に加える;ブロッキング:10%ウシ胎仔血清;一次抗体:ビオチンを結合した一次抗体、ブロッキングバッファー中で1:1000;二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン、ブロッキングバッファー中で1:1000;培養温度:+37℃;基質:TMB。図20に示されているように、新しい洗浄方法(振動洗浄(shake wash))によって、ELISA法において、優れた結果が得られた。全体のシグナルはより大きくなり、異なるBio−Mos濃度間で、より大きな差が検出された。また、新しい方法は、より速く、同時にいくつかのプレートを扱うことを可能にする。しかし、上記方法は、ウェルの内容物の混和を避けることができる条件下で行われることが重要である。従って、本発明は、従来の洗浄方法と比べて優れた、新しい振動洗浄法を提供する。振動洗浄法では、ピペットを用いて洗浄バッファーをウェルに加え、その後、プレートを上下逆さまにして穏やかに振り、溶液が1つのウェルから別のウェルに移動しないように、ウェルを空にする。上記工程は、必要に応じて何度でも行う。
【0152】
<実施例14、一次抗体の濃度>
これまで、抗体の濃度がELISAの感度を制限するものではないことを保証するために、放射性アッセイにおいては、一次抗体について1:1000の希釈が従来用いられてきた。従って、本発明に係るアッセイが大規模な設定で用いられる場合、抗体の希釈は、当該アッセイの展開において重要な役割を果たす可能性がある。上記アッセイの大規模な展開の実現可能性を判断するため、一次抗体の希釈を調べた。実施例1に記載されている基本的なELISA法を用いた;プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸;Bio−Mos:濃度0、5、および10g/l、PBS中に希釈;細菌:E.coli ALI84株、〜10の細菌/ウェル;ブロッキング:PBS中に10%ウシ胎仔血清を加えたもの;一次抗体:ビオチンを結合した一次抗体200μl(ブロッキングバッファー中で(1:1000〜1:10000の範囲));二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン200μl(ブロッキングバッファー中で1:1000);培養温度:室温;基質:TMB。
【0153】
1:1000の希釈によって、Bio−Mosのレベル間でのよい分解能を得ることができ、より少ない希釈でも同様によく作用した。従って、いくつかの実施形態では、本発明に係るアッセイにおいて認識可能な分解能の差を提供するために、1:1000の希釈、または、より少ない希釈(例えば、1:900、1:750、1:500、またはさらに少ない)を利用する。従って、いくつかの実施形態では、一次抗体の希釈は、アッセイにおいて調べる、細菌の全ての結合部位を飽和させることができるように選択される。いくつかの実施形態では、非常に少ない量(例えば、約0.0001g/l〜約1.0g/lの濃度)の付着阻害剤(例えば、Bio−Mos)の効果を検出するために、本発明に係るアッセイを利用する場合、一次抗体をより小さい希釈で用いてもよい(例えば、1:750、1:500、またはさらに少ない値(例えば、抗体の濃度が発色を制限するものではないことを保証するために))。
【0154】
<実施例15、アッセイにおける反応体積>
ウェル中に多数の細菌が存在する場合、比色シグナルは極端に速く発達した。それゆえ、より小さい粘液の領域(例えば、より少ない数の細菌を結合できる(例えば、それゆえ、シグナル強度を低減する))では、シグナル強度が低減されるのかどうかについて判断した。また、コーティングされたウェルを満たすために必要な体積を低減することによって、試薬の量を減らすことが可能なのかどうかについても、判断した。小さい粘液の領域を有するウェルはよく作用し、細菌の数/ウェルの検出限界は、上述の実施例で得られた結果と同様であった。発色は、上述の実施例に比べ、ゆっくりと発達した。従って、本発明によって、いくつかの実施形態では、1つのウェル中の粘液の体積は、約200μlから約300μlの間であればよいということが示される(例えば、所望のシグナルの強さに依存する)。いくつかの実施形態では、粘液の体積は、200μlよりも少ない量(例えば、150μl、100μl、またはそれを下回る量)、または300μlよりも多い量(例えば、350μl、400μl、またはそれを上回る量)であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明によって、コーティングに用いる粘液の量をより少なくすることによって、アッセイの感度および機能性(例えば、検出可能なシグナル)を損なうことなく、使用する試薬の量を少なくする(例えば、300μlの粘液を含むウェルに必要な量と比較すると、200μlの粘液を含むウェルでは、約半分の量の試薬で十分である)ことが可能になるということが示される。従って、本発明は、アッセイの感度および機能性を維持し、かつ、試薬の消耗に関するコストを削減するための方法およびアッセイを提供する。
【0155】
<実施例16、粘液の供給源>
これまでに実施された実験(実施例1〜15)では、ブタ近位側回腸を用いていた。他の粘液の供給源についても、比色検出が可能であるかどうか判断するため、実施例1に記載されているELISAアッセイにおいて、他の複数の粘液の供給源を調べた(例えば、ブタ近位側回腸、ブタ遠位結腸、ブロイラー十二指腸、およびブロイラー盲腸)。プレート:MaxiSorpプレート;粘液:ブタ近位側回腸および遠位結腸、ブロイラー十二指腸および盲腸;細菌:E.coli ALI84株、10の細菌/ウェル;バッファー:PBS;Bio−Mos:濃度0、0.1、1および10、細菌と共に加える;ブロッキング:10%ウシ胎仔血清;一次抗体:ビオチンを結合した一次抗体、ブロッキングバッファー中で1:1000の希釈;二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン、ブロッキングバッファー中で1:1000の希釈;培養温度:+37℃;基質:TMB。
【0156】
図21に示されているように、使用した粘液の種類によって、細菌は、異なるレベル(例えば、強さおよび/または親和性)の付着を示した。例えば、試験を行った細菌は、ブタ回腸およびブタ結腸から得られた粘液に比べて、ブロイラー十二指腸およびブロイラー盲腸から得られた粘液に対して、ほぼ2倍の付着を示した。しかし、比色アッセイは、ブロッキング剤の濃度の範囲において、ブロッキング剤(例えば、Bio−Mos)が粘液に対する細菌の付着を阻害する能力と同様に、異なるレベルの細菌の付着を捉えるために十分な感度を有し、かつ頑強であった。従って、いくつかの実施形態では、本発明は、種々の粘液の種類および/または供給源(例えば、異なる動物に由来、および、消化管(例えば、腸)の異なる部分に由来)に対して利用できる、非放射性の比色結合アッセイを提供する。
【0157】
<実施例17、放射性アッセイと比色アッセイとの比較>
本発明に係る比色アッセイで用いられる材料および方法と、従来の放射性アッセイで用いられる材料および方法とを比較し、それぞれのアッセイについて、Bio−Mosによって誘導した細菌の付着における差を検出する能力を評価するために、比較実験を行った。プレート:MaxiSorpプレートおよびソフトプレート;粘液:ブタ近位側回腸;Bio−Mos:異なる濃度で50μl/ウェル、PBS中に希釈;細菌:〜10の細菌/ウェル。プレートが同一のものであるということを保証するため、両方のプレートに対して、同一の放射活性物質で標識されている細菌の懸濁液を用いた;ブロッキング(MaxiSorpプレートのみ):PBS中に10%ウシ胎仔血清を加えたもの;一次抗体(MaxiSorpプレートのみ):100μlの、ビオチンを結合した一次抗体(ブロッキングバッファー中で1:1000);二次抗体(MaxiSorpプレートのみ):100μlの、HRPが結合したストレプトアビジン(ブロッキングバッファー中で1:1000);培養温度:室温;基質:TMB。ELISAを行った後、両方のプレートにシンチレーション液を満たし、シンチレーションカウンターを用いて、放射活性を測定した。
【0158】
両方のアッセイの材料および方法を用いた場合、Bio−Mosの効果が非常に似ていることが観察された。低濃度のBio−Mosは、粘液に対する細菌の付着を促進すると考えられる。本発明を実施するために機序は必要なく、本発明は、特定の作用機序に限定されるものではないが、いくつかの実施形態では、低濃度のBio−Mosまたは他の種類の阻害剤が、細菌の凝集物の形成に用いられる。従って、本アッセイによって測定されたように、最も低い濃度で付着が増加した場合でも、(例えば、消化管腔において)凝集物は、より容易に消化管から洗い流される可能性がある。従って、低濃度のBio−Mosまたは他の阻害剤(例えば、本明細書中で記載される、本発明に係る方法によって特定および/また特性付けされた)は、実際に、高濃度の場合に比べて、より効率的、および/または、高濃度の場合と同様に効率的に、細菌を除去できる。
【0159】
図22に見られるように、非常に低濃度のBio−Mosでは、2つの方法における吸光度は少し異なった。ELISAの線の傾向は、ごく初期の時点で、すでに同様であり(低い吸光度)、従って、1.0g/lから0.1g/lまでの減少傾向は、ELISAリーダーの能力の限界による結果である可能性は低い。抗体または基質の濃度によって、発色が制限されている可能性があるが、上記の仮説では、1.0g/lから0.1g/lまでのわずかな減少傾向を説明することができない。
【0160】
上記の結果および他の実施例での結果は、0.1g/lまたは1.0g/lのどちらかにおいて、高い吸光度が得られることを示している。従って、本発明によって、いくつかの実施形態では、実験間の細菌の数の差によって変動が引き起こされることが示される。従って、いくつかの実施形態では、比較結果において、並行する実験で元々の細菌の数が等しいことを確実にするために、同一の細菌懸濁液を用いるか、または、培養方法を標準化すればよい。従って、いくつかの実施形態では、細菌の数/ウェルを減らすことで、粘液の結合部位の数、または、抗体もしくは基質の濃度の代わりに、Bio−Mosおよび/または他のブロッキング剤(例えば、検査薬)の濃度が、最大の限定要因となっていることが確かめられる。
【0161】
<実施例18、非放射性の細菌結合アッセイ>
本発明に係る実施形態を発展させる過程で、病原体の付着を測定するために本明細書中で作成した比色ELISAの使用について、さらに調べるため、および、検査薬による付着の変化の程度を評価するために、実験を実施した。従って、実験は、粘液に対する細菌の付着を変化させる(例えば、阻害する)可能性がある、または、可能性がない検査薬を選別するために、本アッセイを利用することができるかどうか判断するために行われた。従って、実験は、粘液に対する細菌の付着を変化させる(例えば、阻害する)可能性がある、または、可能性がない検査薬を選別するために、本アッセイを利用することができるかどうか判断するために行われた。つまり、本発明は、放射活性物質が結合した、生きている病原体の代わりに用いることができるものを提供し(例えば、本発明に係るアッセイは、生きている細菌または放射活性物質が結合した細菌の使用を必要としない(例えば、本発明によって、エタノールによって不活性化された細菌を、付着アッセイに用いることができることが示された))、同様に、空気乾燥されたプレートであって粘液でコーティングされたプレートを提供する。従って、いくつかの実施形態において、本明細書中で提供された方法によって、生きている細菌および/または放射活性物質が結合した細菌(例えば、病原菌)を使用する必要性を排除し、かつ、アッセイを行うたびに細菌の密度を調整する必要性を排除することができるという点で、本発明に係る実施形態を発展させる過程で発展させた方法は、従来の方法と比べて、大きな利点を提供する。
【0162】
細菌の調製物の保存および均一性。実施例9、10、および12に記載されているように、本付着アッセイで用いられる細菌の調製物の密度は、反応において重要な変量として特定された。細菌密度が低い場合、シグナルは弱く、一方、細菌密度が高い場合、シグナルは線形性を示す範囲を超えた。上記データから、一連のアッセイの精度、感度および比較可能性には、固定された細菌密度が必要であると判断した。また、標準的な細菌懸濁液(例えば、同時には行わない(例えば、異なる日に、または、異なる週、もしくは月に)、一連のアッセイにおける使用のため)を作成することができるかどうかについても判断した(例えば、保存、使用が容易であり、非病原性である細菌懸濁液)。複数の細菌保存方法および不活性化方法を特定し、調べた。上記保存方法および不活性化方法には、化学固定剤(例えば、エタノール、グルタルアルデヒド、ホルマリン、DMSO)による保存および不活性化、UV照射による不活性化、および、凍結させた、生きている細菌の懸濁液の使用が含まれる。
【0163】
粘液でコーティングされたプレートの保存。これまでに記載されたアッセイ(例えば、実施例1〜15)では、アッセイを実行するたびに、96ウェルプレートに粘液を用いたコーティングを行った。記載したように、上記処理には、一晩かけた培養が必要とされる。そこで、上記の時間を消費する工程を置き換える(例えば、事前にコーティングした、長期保存可能な、粘液でコーティングされたプレートによって)ことができるかどうか判断するために、実験を実施した。プレートを空気乾燥し、長期保存後に用いる方法と同様に、コーティングしたプレートを凍結する方法を含む、種々の方法を調べた(例えば、異なる種類の粘液を用いて)。
【0164】
方法。
【0165】
細菌の培養および不活性化。細菌を、Luria培地中で、37度で増殖させ、所望の実験の1日前に新しい培地(10%接種材料)に移した。
【0166】
凍結:増殖させた細菌培養物は、−20℃で凍結させた。使用前に、当該培養物を室温で解凍した。1つのバッチは、凍結中の細胞の損傷を防ぐために、グリセロールを加えて凍結させた。しかし、グリセロールから細菌を採集する工程には問題があり、利用できない結果をもたらすため、上記アプローチを中断した。
【0167】
エタノール:Luria培地中の細菌培養物に対して、1:1の割合で99%エタノールを加え、50%エタノール溶液を作成した。当該懸濁液を4℃で保存した。
【0168】
グルタルアルデヒド:最終濃度が4%になるように、グルタルアルデヒドを用いた。当該懸濁液を4℃で保存した。
【0169】
ホルマリン:最終濃度が4%になるように、ホルムアルデヒドを用いた。当該懸濁液を4℃で保存した。
【0170】
UV:30分間または60分間、UVランプの下で上記培養物にUVを照射した。当該懸濁液を4℃で保存した。
【0171】
ジメチルスルホキシド:DMSOを、10%の濃度で上記培養物中に加えた。当該懸濁液を4℃で保存した。
【0172】
熱:上記培養物を、70℃で30分間加熱し、その後、4℃で保存した。
【0173】
使用直前に、遠心分離によって細菌を回収した。
【0174】
粘液でコーティングしたプレートの調製および保存。子豚の腸からこすり取った粘液を、NaCOバッファー(pH9.6)中に希釈し、0.1〜0.3mg粘液タンパク質/mlの懸濁液を作成した。300μlの当該懸濁液を96ウェルIgAプレートの各ウェル中に導入した。当該プレートは4℃で一晩かけてインキュベートした。
【0175】
空気乾燥においては、PBSを用いて、上記プレートを2回洗浄し、層流キャビネット中で一晩かけて乾燥させた。上記プレートを、室温で、プラスチックバッグ中に保存した。使用前に、300μlのPBSを各ウェルに導入し、10分間粘液に水分を含ませて元に戻した。その後、上記プレートを上下逆さまにして穏やかに振り、PBSを除去した。
【0176】
凍結については、上記プレートを、粘液懸濁液とともに−20℃で凍結させた。使用前に、上記プレートを室温で解凍し、PBSを用いて3回洗浄した。
【0177】
上記新しいプレートは、粘液でコーティングして一晩置いた後、PBSを用いて3回洗浄した。
【0178】
結果
放射性アッセイを用いた細菌保存方法の最初の選別。保存した細菌を用いた3つの方法は、新鮮な細菌を用いたアッセイと比べて、満足できるものであると考えられた(図23参照)。上記の方法は、エタノール、UV照射、および凍結である(他の方法は、本アッセイに好適ではないと判断された)。UVおよびDMSOによって不活性化させた細菌のデータは、異なる細菌懸濁物を用いたので、図23には示されていない。DMSOによる不活性化は、細菌の付着を劇的に阻害したが、一方、試験に用いた細菌に対するUV照射は、比較的良好な付着結果をもたらした。
【0179】
絶対的な付着に加えて、上記方法における、検査薬が付着を阻害する効果を検出する能力についても、特性付けを行った。DMSOおよびUV照射以外の細菌保存方法の結果を、図23に示す。選択した方法に関わらず、本アッセイによって、Bio−MosがE.coliの付着を阻害することを明らかにできた。
【0180】
選択された細菌保存方法を用いたELISAアッセイ。上記結果に基づいて、ELISA細菌検出系において、3つの細菌不活性化方法を調べた。本発明は特定の作用機序に限定されるものではなく、本発明を実施するために作用機序の理解は必要ないが、上述の方法によって細菌を固定した場合、細菌の抗原特性を変化させ、抗体をベースとする方法において、調節された細菌の検出の失敗を引き起こす可能性がある。しかし、ELISA法は試験を行う細菌調製物に対して作用すると考えられる。図24に示すように、絶対的な細菌の付着効率を考慮すると、細菌不活性化方法の中で、UV照射および凍結は、エタノール保存に比べて、より良好であった。しかし、上記方法は、使用における実用性を考慮した場合、大きな欠点を有する。UVによって不活性化させた細菌懸濁液は、未開封の状態でのみ安定しており、環境中の細菌に曝された場合、他の細菌によって容易に損なわれる。一方、凍結した細菌は、まだ生きており、解凍後に増殖を開始する可能性または代謝的に活性である可能性がある。上記の点は、本アッセイの精度および再現性に影響するであろう。さらに、生きている細菌を用いて作業を行う場合、安全性の問題が考えられる。
【0181】
細菌懸濁液中のエタノール濃度の最適化。エタノールによる細菌の保存は理想的ではないと考えられるが、上記方法が提供する他の利点のため、上記アプローチを発展させる試みを継続することを決定した。まず、殺菌する能力に基づいて、50%の濃度のエタノールを用いた。しかし、細菌の付着に対するアルコール濃度の効果を判断するために、他のアルコール濃度についても調べた。エタノール濃度は、細菌の付着効率に対して、大いに影響を与えると考えられる。本発明はいずれの作用機序に限定されるものでもなく、本発明を実施するために作用機序の理解は必要ないが、いくつかの実施形態では、本発明によって、エタノールが、結合に必須である線毛を分離もしくは破壊、または細菌の他の抗原特性を変化させることが示される。付着の効率を考えた場合、50%エタノールと比べて、40%の濃度であるエタノールは、大幅に良好であると考えられる。図25に示されている、驚くべき非線形の傾向が繰り返し観察された。
【0182】
粘液でコーティングしたプレートの保存。空気乾燥および凍結によって保存された、粘液でコーティングしたプレートに対する、細菌の付着能力を、コーティングしたばかりのプレートを比較することで調べた。放射活性物質で標識されている細菌を用いた試験では、空気乾燥したプレートは、コーティングしたばかりのプレートと同等であったが、一方、凍結したプレートは少し高い計数を示した。各方法は、本発明に係る、非放射性のELISA法を用いて、調べた。
【0183】
図26に示されているように、空気乾燥したプレートは、凍結保存されたプレートおよびコーティングしたばかりのプレートに比べて、弱いシグナルを発した。しかし、細菌の付着に対するBio−Mosの効果は、使用した全ての方法において明らかであった。従って、本発明は、事前に作成され、保存された、粘液でコーティングしたプレート(例えば、空気乾燥したプレートまたは凍結保存したプレート)を使用する方法を提供する。
【0184】
乾燥したプレートに水分を含ませて元に戻す時間。アッセイを実行する前に、空気乾燥したプレートに水分を含ませて元に戻すために、1分から12時間までのタイムスパンについて調べた。水分を含ませて元に戻す時間は、本アッセイの結果にあまり影響しないが、同等の結果を得るために、続く全てのアッセイにおいて、一定の(例えば、10分)水分を含ませて元に戻す時間を用いた。
【0185】
ウェル中の粘液濃度。ウェル中の粘液濃度は前に調べたが、細菌の付着が、高い粘液濃度によって促進されるかどうかについて調べることを決定した。コーティングバッファー中の3つのレベルの粘液について調べた。上記レベルはそれぞれ、0.1mg/ml、0.2mg/ml、および0.3mg/mlのタンパク質に相当する。粘液濃度が増加した場合、細菌の付着は明らかに改善され、0.3mgタンパク質/mlで最も高いレベルの付着がもたらされた。
【0186】
検査薬(例えば、Bio−Mos)を用いた、細菌の付着における変化の検出。予備のシンチレーションおよびELISA実験に基づいて、検査薬(例えば、Bio−Mos)の効果、および当該検査薬の、粘液に対する細菌の付着を変化させる能力を調べるために、エタノールで不活性化させた細菌および空気乾燥したプレートを用いた。得られたデータは、結果の曲線が、新鮮な細菌およびプレートを用いてELISAを行った場合に得られる曲線と、非常に似ていることを示した。
【0187】
他の種類の粘液への適用。他の種類の粘液を用いて、ELISA(保存したプレートおよびEtOHで不活性化させた細菌を用いた)について調べた。ELISAによって、ブタ近位側回腸粘液、ブタ遠位結腸粘液、ブロイラー十二指腸粘液、およびブロイラー盲腸粘液を含む、複数の種類の粘液を用いた有用なデータが提供された。本発明によって、保存したプレート、および、EtOHで不活性化させ、保存した細菌を用いたELISAは、粘液の供給源に関する有用なデータを提供すること、並びに、検査薬が細菌の付着をブロックする能力の効果(例えば、Bio−Mos)は、粘液の供給源に関わらず同様であること、が示される。従って、本発明は、扱うのが容易で、安全で、かつ、材料を容易に保存および輸送できる、粘液に対する細菌細胞の付着/結合のモニタリングおよび特性付けを行うために有用である組成物(例えば、エタノールで不活性化させた細菌、および空気乾燥した、粘液でコーティングしたプレート)および方法(例えば、非放射性のELISA)を提供する。
【0188】
非放射性の細菌結合アッセイについての、さらなる特性付け。本明細書中で提供される非放射性のアッセイが信頼でき、再現可能であり、かつ、ばらつきが最小化されているかどうかを判断するために、本発明を発展させる過程で、実験を行った。異なる細菌のバッチ間および異なるプレート間における変動を調べ、アッセイの再現性について判断した(例えば、異なる日に実行し(プレート間の変動)、反復したサンプルのプレート変動をモニタリングすることによって)。
【0189】
方法
細菌の培養および不活性化。Luria培地中で37℃で細菌を増殖させ、エタノールで不活性化させる前日に、新鮮な培地(10%接種材料)に移した。一晩かけて増殖させた培養物中に直接、最終濃度が40%vol/volになるようにエタノールを加えることで、細菌を不活性化させ、保存した。上記懸濁液は4℃で保存し、使用直前に遠心分離で回収した。沈殿物を、元の体積のLuria培地に懸濁し、およそ10の細菌/mlの懸濁液を得た。
【0190】
粘液でコーティングしたプレートの調製および保存。子豚の腸からこすり取った粘液を、NaCOバッファー(pH9.6)中に希釈し、0.3mg粘液タンパク質/mlの懸濁液を作成した。300μlの当該懸濁液を96ウェルIgAプレートの各ウェル中に導入した。当該プレートは4℃で一晩かけてインキュベートした。PBSを用いて、上記プレートを2回洗浄し、ラミナーフローキャビネット中で一晩かけて乾燥させ、室温で、プラスチックバッグ中に保存した。使用前に、300μlのPBSを各ウェルに導入し、10分間粘液に水分を含ませて元に戻す。その後、上記プレートを上下逆さまにして穏やかに振り、PBSを除去した。
【0191】
ELISA法。粘液でコーティングした、空気乾燥したプレートは、PBSを用いて10分間、水分を含ませて元に戻し、その後、100μlの細菌懸濁液、並びに、PBS中にBio−Mosを加えたもの、もしくは純粋なPBS100μlを加えた。処理のサンプルは、系統誤差を避けるために、ランダムにウェルに配置した。上記プレートを室温で1時間インキュベートし、光および蒸発から保護した。インキュベートした後、PBSを用いて、上記プレートを3回洗浄し、ブロッキングバッファー(10%ウシ胎仔血清)を加えた。上記プレートを上述のようにインキュベートし、空にした。一次抗体を加え、プレートをインキュベートし、上述のように洗浄した。二次抗体を加え、プレートをインキュベートし、上述のように洗浄した。最後に、TMB基質をウェルに加え、15〜30分間発色させた。上記反応は、硫酸を用いて停止させ、450nmにおいて吸光度を測定した。
【0192】
統計分析。各プレートにおいて平均がゼロとなるサンプルが100%になるように調節された値について、変動係数を推定した。その後、処理間および処理内の一元配置ANOVAのMSEを分散の推定値として用いて、水準1および2の上記調節された値について、プレート内およびプレート間の変動係数の推定値を求めた。上記の推定は、異なるレベルのBio−Mosについて別々に行った。検出力分析を行い、2つの処理間の差を検出するために必要な反復数についての推定値を求めた。リスクレベル(risk level)u=0.05および検出力=0.8または0.9を用いた。
【0193】
結果
同じプレート内で分析された、反復したサンプルから測定した変動。製品評価の目的のためには、同じプレート内にいくつかの反復がある状態でアッセイを行う場合、当該アッセイが再現可能であり、従って、信頼できる試験、アッセイの実用性において十分であると知られている、および考えられている検出の限界を提供することが重要である。上記目的のために、1つのバッチの細菌調製物を用いて、同質の粘液でコーティングしたプレートで本アッセイを実行した。図28は、いくらかのウェル間の変動が存在するが、加えたBio−Mosによる、付着を阻害する効果は明らかであり、再現性があることを示しいている。コントロールウェルとの比較により、Bio−Mosの水準1mg/mlおよび2mg/mlは、p値<0.0001においてコントロールと差があることが示された。しかし、図28に示されているように、Bio−Mosの2つの水準は、互いに差がなかった。変動係数は、各処理について別々に求めた。
【0194】
4つの異なる粘液プレートから測定した変動
製品評価の目的のためには、アッセイが再現可能であることが重要である。アッセイが再現可能であるかどうか(例えば、同一の薬剤を用いて、異なる時間に)判断するために、図28にデータが示されている実験を、4つの異なる日に4回繰り返した。試験の各セットは、異なる日に、異なる粘液プレートについて、1つの細菌調製物を用いて行った。図29の4つのパネルに結果を示す。異なるプレート内での変動の平均は、それぞれ、プレート1で14%、プレート2で14%、プレート3で13%であり、プレート4では22%もの高さであった。下記の表1は、各プレート内での各試験について計算されたCVを示している。Bio−Mosを加えたウェルに比べて、コントロールウェルではCVが低い傾向が見られた。全ての4つの試験プレートおよび全ての処理から計算された、平均のCVは16%であった(表1)。
【0195】
【表1】

【0196】
4つの異なる粘液プレートから測定された絶対的なシグナルの差。図30は、図29のデータを示しているが、異なる試験における絶対的なシグナルの大きさを強調するために、図29とは異なる方法で示している。プレートは同じように扱ったが、別々に扱った。ウェルの位置等の要因による系統誤差を避けるため、サンプルはランダムにウェルに配置した。注目すべきことは、上記の試みでは、正確に同じ方法で、本アッセイの全ての工程を繰り返したが、絶対的なシグナルのレベルは日によって変化したことである。本発明はいずれの作用機序に限定されるものでもなく、本発明を実施するために作用機序の理解は必要ないが、いくつかの実施形態では、上記変動は、以下の1つ以上の工程を含む。1.粘液が結合する工程、2.ウェルを洗浄する工程、3.細菌が結合する工程、4.結合していない細菌を洗い流す工程、5.一次抗体を結合させる工程、6.洗浄する工程、7.二次抗体を結合させる工程、8.発色反応。しかし、本発明によって、発色にはいくらかの変動があるが、当該変動は限定的であり、有用なデータの作成を妨げるものではないことが示される(例えば、1つ以上の検査薬における、粘液に対する細菌の付着を変化させる(例えば、阻害する)能力に関して)。
【0197】
相対的なシグナルを用いた場合の、プレート間の変動の比較。試験を行う製品と同じプレートに、関連するコントロール処理が存在する場合、プレート間のシグナルの変動は問題ない。全てのコントロールウェルの平均に1という値を与え、試験化合物を加えたウェルには上記コントロールウェルを基準として正規化した値を与えることで、全てのシグナルを相対的な値に変換した。正規化した結果を図31に示す。相対的なシグナルとして示した場合、検出されたBio−Mosの効果の大きさは、全てのプレートでほぼ一致した。
【0198】
細菌のバッチ間の変動。細菌のバッチおよびプレート間の変動を調べるために、複数の、独立して増殖させた細菌培養物を作成し、同様に、複数の、独立して製造した粘液でコーティングしたプレートを作成した。異なるバッチのPBS、Luria培地を用いて、新しい凍結保存ビーズ(frozen storage bead)から各培養物を増殖させ、完全に独立して上記バッチを作成した。独立したプレートおよび培養物のそれぞれに対して、同様のELISAアッセイを行った。上記実験の結果を図32に示す。
【0199】
図32に示すように、シグナルの絶対的なレベルは実験ごとに変動したが、コントロール試験のシグナルと比較した場合、完全に独立した試験によって、付着に対するBio−Mosの効果はほぼ一致するということを示すデータが提供された(図32参照)。
【0200】
検出力分析。実験データを用いて、所望の検出力を得るために必要な反復数を推定することができた。検出力とは、2つの試験化合物の反応間、または、2つの処理の反応間における差の割合であって、互いに統計的に有意に異なることを示す差の割合を意味する。図33および下記の表2は、検出力と反復数との間の関係を示す。
【0201】
本発明によって、検査薬のバッチを比較する場合、例えば、製品Aが付着を50%阻害し、製品Bが66%阻害した場合に、2つの薬剤には差があるとするには、わずか5反復(またはさらに少ない反復数)で十分であることが示される。従って、5反復で十分である。
【0202】
【表2】

【0203】
<実施例19、安定した、機能的な細菌調製物および粘液でコーティングされたプレートの作成>
本発明に係る実施形態を発展させる過程で、下記の特徴を備えている細菌懸濁液を調製するために実験を行った:調製した細菌に存在および/または保持されており、粘液に対する細菌の付着を仲介する線毛であって、上記線毛は多数存在し、構造的には変化せずに、高い親和性で、粘液に対する細菌の結合および/または付着を可能にする;免疫特性を保有しており、当該免疫特性によって、ELISAで用いられる一次抗体の効率的な結合、並びに、抗体の結合を変化させない方法での細菌の殺菌および/または不活性化を可能にする、細菌表面の抗原;並びに/または、寿命が長く、ELISAにおいて簡潔で即座に用いることができる組成をもたらすために実行される細菌の調製。
【0204】
実施例18の細菌接種材料の調製物を含む、非放射性の細菌結合アッセイの修正を行った。より刺激が少なく、より穏やかな(例えば、線毛および/または細菌表面の抗原を保存するために(例えば、抗体の結合のために))二重殺菌処理(dual-kill procedure)を用いて、実験を行った。以下に示すように、凍結保存処理によって、接種材料の長期保存が容易になった。例えば、いくつかの実施形態では、凍結保存処理によって、正しい数の細菌を正確に含む、使い捨てのアンプルの作成が可能になった(アッセイにおいて、粘液でコーティングしたプレートとともに用いるため(例えば、キットでの使用のため))。上記の新しい方法および組成物は、技術者側の潜在的な誤りを低減し(正確な接種材料のサイズを決定しなければならない点において)、接種材料の汚染の危険性を低減し、かつ、時間の経過に伴う細菌調製物の劣化を最小化する。凍結乾燥したアンプルは、室温で安定的であり、機能性を損なう危険性もなく輸送可能(例えば、世界的に)である。
【0205】
細菌の調製方法。Luria−Bertani培地中で、37℃で細菌(例えば、E.coli F4+(かつてのK88)株)を増殖させた。培養物を遠心分離によって回収し、食塩水中に再び懸濁し、即座に、顕微鏡による計数にて数え上げた。細菌懸濁液を、65℃で45分間加熱し、続いて45分間のUV照射によって殺菌した。細菌のバッチをアンプルに分注した。各アンプルは1×10の細菌細胞を含み、−80℃で凍結させた。アンプルは、24時間凍結させた後、凍結乾燥させ、密封した。上記アンプルは+4℃で保存した。アンプル中の生きているE.coliは、2つの異なるアプローチ(すなわち、ダイレクトプレーティング(direct plating)および最確数(Most Probable Number:MPN)を用いる方法)によって決定した。ダイレクトプレーティングのために、10倍ごとの連続した希釈液を、各細菌のバッチから5つの反復で調製した。使用した培地は、栄養分に富んだ、非選択性のLuria Berthaniである。37℃で2日間培養した後、コロニーを数えた。MPNは、栄養分に富み、非選択性の培地中に、直接、アンプルの内容物を連続して希釈することで行った。MPNは、3反復で行った(3テーブルMPN)。MPNチューブにおける増殖は、まず37℃で2日後に記録し、2週間後に再び記録した。MPN法においては、細菌アンプル(〜10個の細胞)の全内容物を、最初の、最も少ない希釈率のチューブに懸濁した。従って、MPNでは、単一の生きている細菌を検出することになっている。プレートでの計数では、アンプルの内容物を10mlの希釈剤中に懸濁し、当該懸濁液のうちの0.1mlをプレートに広げた。従って、増殖しないということは、上記アンプルが、100個よりも少ない生きているE.coli細胞を含んでいることを表している。細菌調製物(アンプル)の5つの異なるバッチについて、生存可能性を調べた。ダイレクトプレーティングおよびMPN計数の両方の試験方法の結果は、生存している痕跡を示さなかった。従って、本発明は、高度に再現可能であり、一貫性のある細菌調製物を提供する、新しい二重殺菌法を提供する(例えば、粘液付着アッセイ中で決定されたように(例えば、図34参照))。
【0206】
粘液でコーティングしたプレートの作成および安定化。本発明を発展させる過程で、下記の特徴を備えている、粘液でコーティングしたプレートを調製するために、実験を行った:各プレートのウェル間、および異なるプレート間で均一な品質を有している粘液コーティング;細菌、および/または、プレート上にコーティングされた粘液の結合特性を破壊しない方法で安定化された粘液プレート(結合する細菌に関する、粘液表面の特性を保存する);並びに/または、使用する(例えば、ELISAで)準備ができるまでの長期間(例えば、日、週、月、1年、またはそれを上回る期間)、安定している(例えば、室温、またはより低い温度で)、粘液でコーティングしたプレート。
【0207】
粘液でコーティングしたマイクロタイタープレート。新鮮な解体されたブタの遠位小腸(回腸)から粘液をこすり取ることで、粘液を回収した。実施例18に記載されているように、粘液を洗浄し、遠心分離によって不純物を除去した。SIGMA製のBicinchoninic Acid Protein kit(B9643)を用いて、粘液タンパク質を定量した。0.1mg粘液タンパク質/mlコーティングバッファーを含んでいる粘液バッファー液を用いて、Nunc MaxiSorpプレート(96ウェル型)をコーティングした。マイクロタイタープレートのバッチは、異なる日に別々に調製し、試験の日まで+4℃で保存した。プレート間の変動を調べるために、上記プレートにおいて、Bis−Mosを含む、および、Bis−Mosを含まない細菌付着アッセイを実行した。プレート間での阻害の平均は81.9%であったことから、それぞれのバッチは平均して1.5%ずれていた(例えば、図35参照)。
【0208】
本発明を発展させる過程で、粘液バッファー液の下で、真空包装用パッケージ中に4℃で1週間または2週間保存した場合の粘液プレートの安定性を調査するために、追加実験を行った。2週間の保存の後、細菌調製物を用いた付着アッセイに使用することができるかどうかを判断するために、粘液プレートについて調べた。結果を図36に示す。アッセイの絶対的なシグナルは、わずかな強度の低下を示した。しかし、前述の研究では、プレート間の変動に関して、強度について変動が観察され、上記変動はプレートの保存とは関係ない可能性がある。非付着製品Bio−Mosの適用により、およそ80%の阻害が観察されたことが実証された。従って、本発明は、保存が可能であり、より後の時点で使用することが可能な(例えば、付着アッセイのために)、粘液でコーティングされたプレートを作成する方法、および粘液でコーティングされたプレートそのものを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、別々に、または、共に保存可能である(例えば、真空包装用のパッケージ中に(例えば、図37参照))、粘液でコーティングされたプレートおよび/また細菌調製物(例えば、アンプル中に保存されている)を提供する。上記粘液でコーティングされたプレートおよび/また細菌調製物は、購入および/または使用のために商業的に利用可能に作られてもよい。
【0209】
上記明細書中で述べられた全ての出願および特許は、本明細書中で参照によって引用される。本発明に係る、記載された組成物および方法についての種々の修正および変更は、当業者にとって明らかであって、本発明の範囲および精神から逸脱しないものである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、請求項に係る発明は、上記の特定の実施形態に、不当に限定されるものではないと理解されるべきである。実際に、本発明を実施するために、記載された様式について種々の修正を行うことは、当業者にとって明らかであり、本発明の範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】E.coli ALI84およびALI446の付着に対する、粘液濃度(mgタンパク質/ml)の効果を示し、放射活性物質で標識されている細菌によって測定した。
【図2】E.coli ALI84の付着に対する、一次抗体の効果を示し、放射活性物質で標識されている細菌を用いて、シンチレーションカウンターによって測定した。一次抗体:HRP=HRPが結合した抗E.coli抗体;BP2022=非結合抗E.coli抗体、ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli抗体。
【図3】E.coli ALI446の付着に対する、一次抗体の効果を示し、放射活性物質で標識した細菌を用いて、シンチレーションカウンターによって測定した。一次抗体:HRP=HRPが結合した抗E.coli抗体;BP2022=非結合抗E.coli抗体、ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli抗体。
【図4】E.coli細菌(ALI84株およびALI446株)とともに培養した場合の、3つの異なる3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジン(TMB)ELISA基質の着色を示す。
【図5】E.coliのALI84株およびALI446株とともに培養した場合の、p−ニトロフェニルリン酸(pNPP)および2、2−アジノ−ビス(3エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(AzBTS)ELISA基質の着色を示す。E=ABTSマイクロウェルエンハンサー。
【図6】粘液でコーティングしたウェル中で培養した場合の、異なるELISA基質の着色を示す。写真は60分の時点で撮影した。15分の時点で、弱いシグナルが6つの陽性の(黄色の)ウェル中で観察された。
【図7】粘液またはプレートに対する抗体の非特異的な結合について調べた場合の、プレートのレイアウトを示す。BP2022=抗E.coli一次抗体;BP2022HRP=ペルオキシダーゼが結合した抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli一次抗体。HRP=ペルオキシダーゼが結合した二次抗体;StrHRP=ペルオキシダーゼが結合したストレプトアビジン。AP=アルカリフォスファターゼが結合した二次抗体;StrAP=ストレプトアビジンが結合した二次抗体。本実験では、細菌は使用していない。
【図8】粘液またはプレートに対する抗体の結合を示す。プレートのレイアウトは図7に記載されている。
【図9】一次抗体および二次抗体を用いた非特異的な結合試験を示す。一次抗体:HRP=HRPが結合した一次抗体、BP2022=何も結合していないポリクローナル抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli一次抗体。二次抗体:HRP=HRPが結合したIgG;StrHRP=HRPで標識されているストレプトアビジン。本実験では、細菌は使用していない。
【図10】一次抗体および二次抗体を用いた非特異な結合試験を示す。プレートのレイアウトは図9に記載されている。一次抗体:HRP=HRPが結合した一次抗体、BP2022=何も結合していないポリクローナル抗E.coli一次抗体;ビオチン=ビオチンが結合した抗E.coli。二次抗体:HRP=HRPが結合したIgG;StrHRP=HRPで標識されているストレプトアビジン。
【図11】抗体の希釈および細菌の数/ウェルを最適化するために利用する条件を記載した表を示す。一次抗体:HRPが結合した一次抗体。二次抗体は用いていない。
【図12】抗体の希釈および最適な細菌の数/ウェルの試験から得られたデータを示す。一次抗体:HRPが結合した一次抗体。二次抗体は用いていない。プレートのレイアウトは図11に記載されている。
【図13】抗体の希釈および細菌の数/ウェルを最適化するために利用する条件を記載した表を示す。一次抗体:ビオチンが結合した抗E.coli抗体。二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン。
【図14】抗体の希釈および最適な細菌の数/ウェルの試験から得られたデータを示す。一次抗体:ビオチンが結合した抗E.coli抗体。二次抗体:HRPが結合したストレプトアビジン。
【図15】10〜10個の細菌をウェルに加えた場合のELISA吸光度を示す。対数近似曲線を追加している。
【図16】0〜10個の細菌をウェルに加えた場合のELISA吸光度を示す。
【図17】A)細菌の付着に対する、異なる濃度のBio−Mosの効果であり、効果はBio−Mosを加えない場合の吸光度の割合として示される;B)E.coli ALI84株の付着に対する、異なる濃度のBio−Mosの効果であり、放射活性物質で標識されている細菌を用いたシンチレーションカウンターによって測定した。
【図18】付着/接着を変化させた効果を検出するために最適なレベルを見つけるために、細菌の数/ウェルを調べた実験から得られたデータを示す(例えばBio−Mosを用いる)。
【図19】付着/接着を変化させた効果を検出するために最適なレベルを見つけるために、細菌の数/ウェルを調べた実験から得られたデータを示す(例えばBio−Mosを用いる)。
【図20】異なる濃度のBio−Mos間の違いを検出するための、一次抗体の希釈に関するデータを示す。
【図21】異なるタイプの粘液および複数の濃度のBio−Mosを用いたELISAでの、Bio−Mosの効果を示す。
【図22】放射活性物質付着アッセイおよびELISA処理での、Bio−Mosの効果の比較を示す。反復したサンプル間の平均の標準誤差は、エラーバーで示す。
【図23】異なる方法で不活性化された細菌の、粘液でコーティングされたプレートへの付着を示す。付着は、Bio−Mosがある場合とBio−Mosがない場合とについて測定した。UV不活性化細菌およびDMSO不活性化細菌のデータは示していない。
【図24】ELISA法に従い、新しくコーティングされたプレートへの、細菌の付着を示す。
【図25】粘液に対する細菌の付着における、E.coli保存液中のエタノール濃度の効果を示す。
【図26】異なる方法で保存した、粘液でコーティングしたプレートに対する、Bio−Mosがある場合とBio−Mosがない場合の細菌の付着を示す。
【図27】粘液でコーティングし、風乾したプレートに対する、エタノールで不活性化されたE.coliの付着における、Bio−Mosの効果を示す。反復間の平均の標準誤差は、エラーバーで示す。
【図28】異なるBio−Mos試験レベルでの、絶対的なプレート間の変動を示す。同じサンプルを用いて反復したアッセイ(ウェル)は、バーのグループとして示す。
【図29】異なるBio−Mos試験レベルでの、絶対的なプレート間の変動を示す。図中の4つのパネルは、異なる4つの日に実施されたアッセイを表すが、1つのバッチのE.coliを用いている。同じサンプルを用いて反復したアッセイ(ウェル)は、バーのグループとして示す。
【図30】異なるパネル中に、異なるBio−Mos試験レベルでの、絶対的なプレート間の変動を示す。各パネル中の4セットのカラムは、異なる4つの日に実施されたアッセイを表すが、1つのバッチのE.coliを用いている。
【図31】異なるBio−Mos試験レベルでの、相対的なプレート間の変動を示す。カラムは、反復試験ウェルの平均を表し、バーは平均の標準誤差を示す。アッセイは異なる4つの日に実施されたが、1つのバッチのE.coliを用いている。2つのパネルは同じデータを示すが、プレート間の変動(上側のパネル)またはBio−Mosの効果(下側のパネル)のどちらかを、強調するように別々に表されている。
【図32】Bio−Mosの効果における、相対的なバッチ間の変動を示す。上側のパネルのカラムは反復試験ウェルの平均を表し、バーは平均の標準誤差を示す。アッセイは、培地およびバッファーの調製、並びにE.coliの培養から、全て独立して実施した。上側のパネルは、測定されたシグナルを示し、下側のパネルはコントロールウェルと比較した値を示す。
【図33】発展させたアッセイを用いた試験処理間で示された差を検出するために必要な、反復ウェルの数を示す。
【図34】Bio−Mos(2ng/ml)がある場合、および、ない場合での、細菌調製物の5つの独立したバッチにおいて、測定されたシグナルを示す。
【図35】Bio−Mos(2ng/ml)がある場合、および、ない場合での、粘液プレートの5つの独立したバッチにおいて、測定されたシグナルを示す。
【図36】保存1週間後および2週間後の試験のシグナルを示す。
【図37】本発明の一実施形態における、真空包装されたプレートおよびアンプルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘液および/または上皮細胞への細菌の付着および非付着を評価するための、非放射性の固相酵素免疫検定法(ELISA)を包含するキットであって、
粘液および/または上皮細胞でコーティングされている固相の支持体と、
細菌を含むサンプルと、
上記細菌に対して特異的な一次抗体と、
上記細菌へ結合した上記一次抗体に対して特異的な、検出可能に標識されている二次抗体と、を備えていることを特徴とするキット。
【請求項2】
さらに、上記検出可能に標識されている二次抗体を視覚化するための基質を備えていることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項3】
上記検出可能に標識されている二次抗体は、酵素標識を含むことを特徴とする請求項2に記載のキット。
【請求項4】
上記基質は、上記酵素標識の存在下で、比色シグナル、蛍光シグナル、または化学発光シグナルを発する組成物であることを特徴とする請求項3に記載のキット。
【請求項5】
上記検出可能に標識されている二次抗体は、ペルオキシダーゼに結合されているブタ抗IgGイムノグロブリンを含むことを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項6】
上記比色組成物は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンであることを特徴とする請求項4に記載のキット。
【請求項7】
上記固相の支持体は、96ウェルプレートであることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項8】
上記細菌は、E.coli細菌であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項9】
上記粘液は、ブタ近位側回腸粘液、ブタ遠位結腸粘液、ブロイラー十二指腸粘液、およびブロイラー盲腸粘液からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項10】
上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)が結合したポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項11】
上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、ポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項12】
上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRPであることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項13】
上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−APであることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項14】
上記二次抗体は、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項15】
上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼであることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項16】
上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項17】
細菌と、粘液および/または上皮細胞との間の付着および非付着を測定するための方法であって、以下のa)およびb)を含むことを特徴とする方法:
a)以下のi)およびii)を準備する工程、
i)細菌を含むサンプル、
ii)粘液および/もしくは上皮細胞、または他の細胞、
および、
b)上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着および非付着を測定できる条件下で、非放射性の比色アッセイの中で、上記細菌を含むサンプルと、上記粘液および/または上皮細胞とを混ぜ合わせる工程。
【請求項18】
上記非放射性の比色アッセイは、ELISAアッセイであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記条件は、粘液および/または上皮細胞へ結合した上記細菌に対して特異的な一次抗体を加えることを包含していることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
上記条件は、上記細菌へ結合した上記一次抗体に対して特異的な二次抗体であって、検出可能に標識されている二次抗体を加えることを包含していることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記条件は、上記一次抗体へ結合した上記検出可能に標識されている二次抗体を視覚化するための基質を加えることを包含していることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記粘液および/または上皮細胞は、マイクロタイタープレート上にコーティングされていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
上記検出可能に標識されている二次抗体は、酵素標識を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
上記基質は、上記酵素標識の存在下で、比色シグナル、蛍光シグナル、または化学発光シグナルを発する組成物であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
上記検出可能に標識されている二次抗体は、ペルオキシダーゼに結合されているブタ抗IgGイムノグロブリンを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記比色組成物は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
上記細菌は、E.coli細菌であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項28】
上記粘液は、ブタ近位側回腸粘液、ブタ遠位結腸粘液、ブロイラー十二指腸粘液、およびブロイラー盲腸粘液からなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項29】
上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、HRPが結合したポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項30】
上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、ポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項31】
上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRPであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項32】
上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−APであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項33】
上記二次抗体は、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項34】
上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項35】
上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項36】
細菌と、粘液および/または上皮細胞との間の付着を調節する薬剤を同定するための方法であって、以下のa)〜d)を含むことを特徴とする方法:
a)以下のi)〜iii)を準備する工程、
i)細菌を含むサンプル、
ii)粘液および/または上皮細胞、および、
iii)薬剤
並びに、
b)上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着を測定できる条件下で、非放射性の比色アッセイの中で、上記細菌を含むサンプルと、上記粘液および/または上皮細胞と、上記薬剤とを混ぜ合わせる工程、
c)上記薬剤の存在下および非存在下で、上記細菌の付着を比較する工程、
並びに、
d)上記薬剤の非存在下における、上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着に比べて、上記測定された付着のレベルが高い場合または低い場合に、上記薬剤を、上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着を調節する因子として同定する工程。
【請求項37】
上記非放射性の比色アッセイは、ELISAアッセイであることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
上記条件は、上記粘液および/または上皮細胞へ結合した上記細菌に対して特異的な一次抗体を加えることを包含していることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
上記条件は、上記細菌へ結合した上記一次抗体に対して特異的な二次抗体であって、検出可能に標識されている二次抗体を加えることを包含していることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
上記条件は、上記一次抗体へ結合した上記検出可能に標識されている二次抗体を視覚化するための基質を加えることを包含していることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記粘液は、マイクロタイタープレート上にコーティングされていることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項42】
上記検出可能に標識されている二次抗体は、酵素標識を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項43】
上記基質は、上記酵素標識の存在下で、比色シグナル、蛍光シグナル、または化学発光シグナルを発する組成物であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項44】
上記検出可能に標識されている二次抗体は、ペルオキシダーゼに結合されているブタ抗IgGイムノグロブリンを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
上記比色組成物は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンであることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
上記細菌は、E.coli細菌であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項47】
上記粘液および/または上皮細胞は、ブタ近位側回腸粘液、ブタ遠位結腸粘液、ブロイラー十二指腸粘液、およびブロイラー盲腸粘液からなる群から選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項48】
上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、HRPが結合したポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項49】
上記一次抗体は、E.coliのO抗原血清型およびK抗原血清型に対して特異的な、ポリクローナル抗体であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項50】
上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−HRPであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項51】
上記二次抗体は、アフィニティー精製されたウサギ抗ヤギIgG−APであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項52】
上記二次抗体は、FITCが結合した、ポリクローナルな抗ヤギIgG抗体であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項53】
上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−アルカリフォスファターゼであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項54】
上記二次抗体は、Streptomyces avidiniiに由来する、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項55】
上記薬剤は、天然に存在する分子、合成によって派生した分子、および組み換えによって派生した分子からなる群から選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項56】
薬剤を含む組成物であって、
上記薬剤は、粘液および/または上皮細胞に対する細菌の付着を調節する因子であり、
上記薬剤は、以下のa)〜d)を含む工程によって同定されることを特徴とする組成物:
a)以下のi)〜iii)を準備する工程、
i)細菌を含むサンプル、
ii)粘液および/または上皮細胞、および、
iii)薬剤
並びに、
b)上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着を測定できる条件下で、非放射性の比色アッセイの中で、上記細菌を含むサンプルと、上記粘液および/または上皮細胞と、上記薬剤とを混ぜ合わせる工程、
c)上記薬剤の存在下および非存在下で、上記細菌の付着を比較する工程、
並びに、
d)上記薬剤の非存在下における、上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着に比べて、上記測定された付着のレベルが高い場合または低い場合に、上記薬剤を、上記細菌と、上記粘液および/または上皮細胞との間の付着を調節する因子として同定する工程。
【請求項57】
上記組成物は、家畜、動物、魚、および貝からなる群から選択される対象によって消費されるために作られる食品の中に含まれることを特徴とする請求項56に記載の組成物。

【図37】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2012−533068(P2012−533068A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519734(P2012−519734)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041396
【国際公開番号】WO2011/005982
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(505404655)オルテック インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】