説明

精米装置

【課題】精米装置において、メンテナンス時期を知らせて、精米度合いの維持を図る。
【解決手段】玄米タンクから玄米を一定量に計量して精米室に供給し、該精米室内に設けた回転式の精米ブラシで一定時間精米して排出する精米装置において、前記一定量の玄米の精米を1回の稼働回数として検知する手段と、前記検知手段と接続されて、累積稼働回数をカウントすると共に累積稼働回数として記憶する手段と、前記累積稼働回数を表示する手段を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米装置に関し、詳しくは、玄米を精米ブラシで擦りながら撹拌する精米装置において、精米ブラシの定期メンテナンスの時期をユーザーに知らせることが出来るようにするものである。
【背景技術】
【0002】
近年、玄米の糊粉層には豊富な栄養成分が含まれていることが解明され、この栄養成分を100%摂取するには玄米のまま食べる必要があるが、玄米表面には維管束を含む固い層があり、炊飯するにしても、圧力鍋を使用しなければならないなど、大変手間がかかる問題がある。また、この固い層は食味・食感を非常に悪くするものであり、いやな臭いもあり、人間の体が拒絶する物質も含まれているため、玄米のまま食べられることは非常に少ない。
【0003】
そこで、この維管束を含む固い層をある程度除去して分搗き米にすることで、精白米より多くの栄養成分を確保しつつ、食べやすくする場合がある。しかしながら、この分搗き技術は難しく、現状の精米機では均一な分搗き米を作ることは困難で、精白米に近い搗精度のものから玄米に近いものまでの混合物となっている。また、各玄米粒についても表面を均一に削ったものではなく、部分的にえぐり取ったような削り方しかできず、削られやすい部分だけ削られて、表皮の特に固い部分はなかなか除去できなかった。これは、食味・食感を良くするために固い部分を除去しようと、搗精度を上げる必要があるが、当然、栄養成分が豊富な糊粉層まで削り取られてしまい、栄養成分を多く残そうとすれば食味・食感を犠牲にしなければならない問題がある。
【0004】
前記問題に対して、本発明者は、食味・食感と栄養価のバランスの良好な搗精米を得るべく、玄米粒の表面を研米し、糊粉層を残しつつ表面にある維管束を含む固い層のみを除去する研究を進め、特開2004−174422号公報および特開2006−205150号公報において、精米ブラシを用いた撹拌式精米機を提供している。
【0005】
前記した精米機は、いずれも上部に貯米部があり、該貯米部の底部開口に付設した計量器で玄米を計量して精米室へと供給し、定量の玄米を精米ブラシが突出した精米室の通路を循環させて玄米の糠や維管束を分離除去している。除去された糠や維管束は吸引装置で収容部に送ると共に精米は排出口より排出して精米受箱に収容している。
これらの精米機は、例えば、一合等の定量の玄米を一定時間精米している回分式(バッチ式)であるため、精米の均一度が非常に高い利点がある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−174422号公報
【特許文献2】特開2006−205150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1、2において玄米から糠および維管束を分離除去する精米ブラシは、線径が0.1〜0.3mm、長さが1mm〜6mm程度の樹脂製としているため、精米装置の他の部品と比較して消耗が激しい。精米ブラシが摩耗した状態で使用を継続すると、精米度合い、即ち、糠や維管束の分離除去性能が低下し所期の分搗き米が得られないこととなる。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、精米ブラシ等の消耗部品が交換時期に達したことを確実に知ることができるようにして、定期メンテナンスを行って、精米精度を維持することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、玄米タンクから玄米を一定量に計量して精米室に供給し、該精米室内に設けた回転式の精米ブラシで一定時間精米して排出する精米装置において、
前記一定量の玄米の精米を1回の稼働回数として検知する手段と、
前記検知手段と接続されて、累積稼働回数をカウントすると共に累積稼働回数として記憶する手段と、
前記累積稼働回数を表示する手段と、
を設けていることを特徴とする精米装置を提供している。
【0010】
本発明では、精米を連続的に行わずに、定量を一定時間で精米するバッチ的な回分式で精米しているため、1回の稼働時間×稼働回数で累計稼働時間を計測できる。一方、精米ブラシ等の消耗品の寿命も累計稼働時間で予め設定できる。よって、累積稼働時間となる累積稼働回数を設定しておくことにより、該累積稼働回数に達すると、消耗品の寿命に達っした定期メンテンナス時期となる。このように、稼働回数を計測して累積していくことで、正確に消耗品が寿命に達して交換すべき定期メンテナンス時期であることを把握することができる。その結果、精米ブラシ等を寿命を過ぎても使用し続けることにより発生する精米度合い低下を防止できる。
【0011】
詳細には、前記精米室から精米した米を排出する排出口に開閉扉を備え、該開閉扉の開閉検知手段を設け、該開閉扉の1回の開放を1回の稼働回数としており、
前記累積稼働回数が、前記精米ブラシのメンテナンスを必要とする設定回数に達すると、前記表示手段で警報を発する構成としていることが好ましい。
【0012】
即ち、前記排出口の開閉扉は1回の精米が終了した時点で1回開くものであるため、開閉扉の開放動作で稼働回数を正確に検知することができる。
前記排出口の開閉扉の開閉検知手段としては、光センサー、接触センサー等を用いることができる。前記検知手段からの検知信号を受信して稼働回数をカウントして累積稼働回数を記憶していく手段は集中制御装置に備えている。且つ、該集中制御装置に前記表示手段を設け、付設の画像表示板等に累積稼働回数を表示させることが好ましい。其の際、設定した累積回数と、該稼働回数に達するまでの残余の稼働回数も表示すると、ユーザーは消耗品が寿命までの期間を予め認知することができる。
【0013】
なお、前記開閉扉の開放で稼働回数を検知する方法に代えて、前記精米ブラシの回転軸の停止検知手段を設け、該停止検知手段を前記累積可動回数をカウントする手段に接続し、前記回転軸の1回の停止を1回の稼働回数として計測してもよい。
しかしながら、精米ブラシの回転停止等駆動装置や動力伝達機構等は突発的な故障等により作動が停止する可能性があるため、前記排出口の開閉扉の開放動作の方がより確実に稼働回数をカウントする手段として好適に用いることができる。
【0014】
前記累積稼働回数の設定値は、前記精米ブラシを交換すべき稼働回数によって設定していることが好ましい。この精米ブラシの耐用時間は予め実験により簡単に求めておくことができ、この耐用時間を一回の稼働時間で割ると稼働回数の設定値を求めることができる。前記精米ブラシは樹脂製とし、線径が0.1〜0.3mmで、突出量が1mm〜6mmとしていると好ましい。
前記構成とすると、精米ブラシに腰があり且つ柔軟であるため、米粒の表面に適度な摩擦力を付与することができるので、糊粉層および胚芽を残存させた状態で果皮を取り除き、米粒に割れを発生させることもない。なお、精米ブラシの突出量は2〜5mmとするとより好ましい。また、精米ブラシはナイロン製とするとより好ましい。
前記した精米ブラシは約8000稼働回数で寿命となるため、前記累積稼働回数の設定値は8000回とし、設定累積稼働回数に達すると、精米ブラシを交換するメンテナンスを行う構成としている。
【0015】
本発明の精米装置は、
前記精米装置は、
計量器を付設した吐出口を有する貯米部と、
前記貯米部の吐出口の下部に配置され、筒状の周壁の内周面の少なくとも一部に摩擦面を有すると共に、周壁に前記排出用の開閉扉を備えた処理槽と、
前記処理槽内に垂直方向に配置される筒状体の外周面に前記精米ブラシを突出している精米部材と、
前記精米部材と連結される前記回転軸を回転駆動する駆動装置を備え、
前記処理槽の前記摩擦面と前記精米ブラシの先端間に垂直方向に延在する空間を設け、該空間を玄米の循環空間とし、垂直方向の前記回転主軸を中心として水平方向に回転される前記精米ブラシに対して玄米を前記循環空間に垂直方向に循環させて玄米にスピン回転を発生させ、該スピン回転により玄米粒表面の研米する構成としていることが好ましい。
【0016】
前記精米部材の精米ブラシの先端における周速度は9.5〜13.5m/sの範囲で回転させ、前記駆動装置を動作させる精米時間は1合あたり15〜35秒間とすることが好ましい。よって、1回稼働で玄米を一合単位で精米すると、一回の稼働時間は15〜35秒となり、該稼働時間の終了時に前記排出口の開閉扉が一回開放動作することとなる。
【0017】
さらに、本発明の精米装置は前記構成とすることで、分搗き米の製造に好適に用いられる。詳細には、前記処理槽の摩擦面と前記精米ブラシの先端間に幅3〜10mmの垂直方向に延在する循環空間を設け、精米ブラシの回転方向と略直交方向から玄米を送り込むことで、玄米粒にスピン回転運動を発生させ、玄米がスピン回転しながら処理槽の摩擦面と回転する精米ブラシとの3〜10mmの隙間を通過させることで、玄米の表面に糊粉層を残して、維管束を略完全に効率良く除去できる。
前記処理槽の摩擦面と精米ブラシ先端間の距離を3〜10mmの範囲としているのは、3mm未満とすると、糊粉層も除去することなる一方、10mmよりも大きくすると維管束の完全除去率が低下するからである。この処理槽の摩擦面と精米ブラシ先端間の距離は好ましくは4〜6mm、特に5mmが好適である。
【0018】
本発明の精米装置は、前記処理槽内に投入されて搗精される玄米のうち、維管束が完全に除去されていると共に糊粉層は残存している搗精米が70%以上とすることができるものとしている。
このように、本発明の精米装置によれば、除去しにくい維管束を確実に除去できることより、維管束が完全に除去された搗精米を精米する玄米の内の70%以上とすることができ、更には、維管束の完全除去率は80〜90%とすることも可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、精米を連続的に行わずに、定量を一定時間精米するバッチ的な回分式で精米している精米装置において、稼働回数を検知して累積稼働回数を求めることで累積稼働時間を取得でき、精米ブラシ等の消耗品が寿命に達して交換すべき時期であることを把握することができる。其の結果、精米ブラシ等を寿命を過ぎても使用し続けることにより発生する精米度合いの低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に第1実施形態の精米装置を示す。
精米装置は、図1に示すように、垂直方向の縦長なケース1の外周壁1aの内面上下方向に間隔をあけて内方へ突出させた仕切壁1b、1c、1dを備え、上方より下方にかけて、貯米部10、精米部11、収容部12、駆動部13を設けている。
【0021】
前記精米部11内には、前記仕切壁1bと1cとの間に固定した内枠材5を備え、該内枠材5の内部に処理槽2を配置し、該処理槽2の内部を精米室Rとし、該処理槽2の内部に円筒形状の精米部材3を回転自在に配置している。
【0022】
前記内枠材5は、円筒状の側壁5aと、底壁5bとを備え、側壁5aの一部には外方に膨出して糠収集袋7に連通する糠排出路5cを形成している。側壁5aの対向する他部5dは前記処理槽2の周壁外面と接触させ、その下部に米排出口5eを設けると共に、該排出口5eと連通する米排出路5fを形成し、該米排出路5fの下端開口を精米受箱8の上面開口8aに向けて開口している。
内枠材5の上面開口5gには蓋9を開閉自在に取り付けていると共に、側壁5aの上端には処理槽2を載置するための段差部5hを設けている。また、底壁5bの中央に回転軸20の貫通穴5iを設けている。
【0023】
処理槽2は、円筒状の側壁2aと、底壁2bとを備えている。側壁2aは前記内枠材5の糠排出路5cと対向する部分に糠排出孔2dを形成していると共に、対向する周壁に米排出路5eと連通する米排出口2eを形成している。周壁2aの内面は糠排出穴2dと米排出口2e以外は凹凸を設けて摩擦面2cとし、かつ、上端に前記段差部5hに係止する鍔部2fを設けている。
底壁2bは、糠排出路5cと連通する部位に糠排出孔2gを形成すると共に、中央部に回転軸20の軸受21の貫通穴2hを設けている。
前記糠排出孔2dの大きさは、糠が通過して米が通過しない大きさに設定している。
【0024】
前記のように、処理槽2の米排出口2eと内枠材5の米排出口5eとは連通し、米排出路5fへと精米した米を導出している。
前記内枠材5の米排出口5eには開閉扉15を取り付けている。該開閉扉15は、その上端をピン16で軸支して内枠材5に取り付け、精米排出時には開閉扉15を後述するように自動的に外開きに開放動作させている。
また、該開閉扉15の開閉動作を検知する手段として近接センサー17を設け、該近接センサー17を米排出口5eの周縁に取り付け、閉鎖位置でオン、開放位置でオフ信号を発信する設定としている。
なお、開閉扉15が開作動位置に近接センサーを設け、開作動時にオン、閉作動時にオフとしてもよい。
【0025】
前記開閉扉15の支持するピン16は電磁ソレノイドで動作させ、電磁ソレノイドがオンの状態で閉動作、オフで開動作としており、該電磁ソレノイドは下段の駆動部13内に搭載したモータ25が停止すると、オフとなる設定としている。
かつ、開閉扉15が開動作すると近接センサー17で検知し、該検知信号を前記下段の駆動部13に搭載する集中制御装置30に送信すると共に、該集中制御装置30の外面に付設した表示装置31の終了表示ライト32を点灯させるようにしている。
さらに、集中制御装置30に設けた記憶部に前記近接センサー17から検知信号を送信して、開閉扉15の開動作をカウントさせ、累積稼働回数を前記表示装置31で表示させている。
該記憶部には、予め累積稼働回数の最大設定値を入力しており、該最大設定値に達すると前記表示装置31に設けたブラシ交換ライト33を点滅させて警報を発生するようにしている。
【0026】
前記精米部材3は、円筒状で外周面に精米ブラシ6を植毛した筒部3aと、筒部3aの下端縁より周方向に間隔をあけて突出した支持脚部3cと、支持脚部3cを介して筒部3aに固定された円板座部3bと、円板座部3bの中心より上方に突出して内部に軸穴3eを有する軸取付部3dを備えている。
筒部3aと円板座部3bとの間に形成された空隙は米の循環空間Aとしている。
【0027】
精米ブラシ6は、66ナイロン製とし、線径が0.1〜0.3mmで突出量Dが1〜6mmとしている。筒部3aの外径は、筒部3aの高さの2倍〜3倍としている。円板座部3bの外径は筒部3aの外径よりも大としている。円板座部3bの外径は処理槽2の内径よりやや小さくし(米が噛み込まない程度の微小隙間がある)、米は常に円板座部3bの上で撹拌される設定としている。
【0028】
前記精米ブラシ6の先端と処理槽2の側壁2aの内周側の摩擦面2cとの間で垂直方向に延在する米の循環空間Bを設け、この空間Bの幅を3〜10mmとしている。前記垂直方向に延在する循環空間Bの下端は前記空間Aと連通すると共に上端は蓋9と精米部材3の筒部3aの上端との空間Cと連通し、前記上下空間CとAとが筒部3aの内部空間Dで連通し、前記空間A、B,C、Dで米の循環空間を形成している。
【0029】
前記蓋9の下面には、精米部材3の筒部3aの内周面に摺接する一対の掻き落とし部材18を下方に向けて垂直方向に対して傾斜した状態で突出している。掻き落とし部材18は、蓋9と接続される棒部18aと、棒部18aの外面より外方に突出する摺接ブラシ18bを備えている。
【0030】
内枠材5の底壁5bの貫通穴5iに回転軸20を貫通させ、その軸受21を処理槽2の貫通穴2hに貫通させて、回転軸20を精米部材3の軸穴3eに内嵌固定している。
回転軸20は下段の仕切壁1dの貫通穴1d−1を貫通させ、駆動部13内に突出させている。該駆動部13内に搭載したモータ25とベルト26を介して連動するプーリー27に前記回転軸20の下端を固定している。
【0031】
前記モータ25の回転、停止、回転時間、回転速度の制御は接続した前記集中制御装置30で行っている。
また、モータ25は、精米部材3の精米ブラシ6の先端における周速度が9.5〜13.5m/sとなるように回転軸20の回転速度を設定している。
集中制御装置30は、ユーザが開始ボタン(図示せず)を操作すると、モータ25を1合当たり15〜35秒間動作させて停止するようにタイマー制御している。
【0032】
前記糠収集袋7は仕切壁1cと1dの間に形成する収容部12に収容し、仕切壁1dと1cとの間に形成した外面開口1fから取り出し自在としている。該糠収集袋7は通気フィルター材から形成し、かつ、糠収集袋7の下側の仕切壁1dには通気穴1d−2を設け、該通気穴1d−2と対向する駆動部13内に糠吸引装置28を搭載している。
また、前記精米受箱8は糠収集袋7と対向する位置の収容部12内に配置し、外面開口1gから取り出せるようにしている。
【0033】
上段の貯米部10では、ケース1の内面より下向き円錐状に突出すると共にその下端から円筒状に突出させた仕切壁1gを設け、該仕切壁1gの下部円筒部の内部で且つ前記蓋9の上面に計量器35を搭載している。
かつ、該仕切壁1fの上部にホッパー材37を取り付け、該ホッパー材37の下端供給口37aに対向して計量器35を配置し、該計量器35で計量しながら、蓋9に設けた供給口9aを通して一定量(本実施形態では1合)の玄米を精米室Rに供給している。
詳しくは、計量器35は回転計量器で、上部開口から投入された玄米を升切りし、その後、下部の開口部から精米室Rへと供給して、精米室Rへの供給量を一定にしている。
なお、ケース1の上端開口にはカバー38を着脱自在に取り付けている。
【0034】
次に、前記構成からなる精米装置の動作について説明する。
ユーザは上段の貯米部10のホッパー材37に玄米を投入しておく。
図5に示すように、開始ボタン(図示せず)を押すと、計量器35がモータ25により一定量(1合)の玄米を精米室Rへと投入する。設定数だけ回転すると計量器35のモータは停止する。
一定量が精米室Rに投入され、計量器35が停止すると、精米部材3をモータ25によって回転駆動する。該モータ25が設定時間回転した後、米排出口を開閉する開閉扉15を開く電磁ソレノイドがオンする。これにより開閉扉15が設定時間だけ開作動し、精米室R内で精米された米が排出され、精米受箱9に収容される。
【0035】
前記開閉扉15が開動作すると、近接センサー17はオフとなり、該オフ信号が集中制御装置30に送信され、開閉扉15が一回開動作する毎に稼働回数「1」がカウントされ、記録部に記録される。
該動作は1合の精米動作の終了毎になされ、集中制御装置30で稼働回数を累積していく。累積稼働回数が記録部に予め入力されている設定回数に達すると、表示装置31のブラシ交換ライト33を点滅させて警報を発生している。
これにより、ユーザーは精米部材3を交換すべきメンテナンス時期に達したことを認知することができる。
【0036】
前記精米室R内における精米動作(米トギ動作)を詳述する。
モータ25により精米部材3が周速度9.5〜13.5m/sで回転して玄米が撹拌されると共に糠吸引装置28が作動する。
この精米部材3の回転による撹拌で、主に精米部材3の精米ブラシ6と処理槽2の摩擦面2cとの間の循環空間Bにおいて玄米の表面に摩擦力が付与され、玄米から糠が剥離される。
【0037】
詳しくは、図4に示すように、精米部材3を回転させると、円板座部3b上の米は遠心力で循環空間Aを通過して外周方向へ移動し、処理槽2の側壁2aに達した米は次々に押しやられてくる米の圧力で、摩擦面2cと精米ブラシ6の隙間の循環空間Bを通って精米されながら上昇し、上端に達した米は循環空間Cを通って精米部材2の内側の循環空間Dへ落下して循環を繰り返す。
【0038】
前記循環空間Bで玄米から糠が剥離されると共に、垂直方向の循環空間Bに下方から垂直方向に上昇してくる玄米に対して精米ブラシ6が直交する水平方向に回転して摺接するため、玄米にはスピン回転することとなり、玄米の表面全体が内周側の精米ブラシ6と外周側の摩擦面2cと接触する。即ち、玄米の小さいカーブの稜線も精米ブラシ6および摩擦面2cと接触し、該稜線に位置する維管束も削ることとなる。
かつ、循環空間Bの幅を3〜10mmとしているため、玄米の表面がかなり強く精米ブラス6と摩擦面2cと接触することで、玄米の表面全体の維管束を含む固い層が削られることとなり、その結果、維管束を玄米の表面から略均一に除去することができる。
この際、掻き落とし部材18の摺接ブラシ18bが、回転する精米部材3の側壁3aの内周面に摺接するので、循環する一部の米が遠心力で精米部材3の側壁3aの内周面に貼り付いても即座に掻き落とすことができ、米粒ごとに循環度合いが不均一になるのを防止している。
【0039】
除去された糠(果皮)は、糠吸引装置28による空気の流れと精米部材3の回転による遠心力とで、糠排出孔2dを通過して糠排出部に排出され、糠収集袋7に溜められる。また、除去された糠が処理槽2の底壁2b上に落ちたとしても、その糠は、精米部材3の回転に伴って円板座部13bの下面で外周方向に掃き出され、糠排出孔2fから糠収集袋7へと排出される。
最終的には、設定された精米時間(20〜35秒)が経過すると開閉扉15が開き、処理槽2内の米は撹拌の遠心力で米排出穴2e、5e→米排出路5fの順に通過して精米受箱8へ落下する。
【0040】
図6および図7に第2実施形態を示す。
第2実施形態では、複数台(本実施形態では5台)の精米装置50を基台51に並列に搭載すると共に、上方に共用の貯米タンク52を搭載し、該貯米タンク52の下部に並設した供給シュート53を各精米装置50の貯米部10の供給している。
【0041】
また、各精米装置50のケース1内に設ける内枠材54はケース1の下端まで延在させて、糠排出路55を設けると共に米排出路56を設けている。
各糠排出路55の下端の排出口55aは基台51に配管した吸引管57に連通させ、該吸引管57を吸引装置58に連通している。
各米排出路56の下端排出口56aは基台51に配管したベルトコンベヤ60の上方に開口し、ベルトコンベヤ60上に米を落下させ、これら米をベルトコンベヤ60の先端から精米受箱61に落下させて収集している。
【0042】
前記米排出路56の上端は第1実施形態と同様に精米室Rに開口する処理槽2の米排出口2e、内枠材54の米排出口54aと連通し、米排出口54aを開閉扉15で開閉し、該開閉扉15の開動作を近接センサー17で検知して、接続した集中制御層30に送信している。該集中制御装置30で開閉扉15の開動作をカウントとし、表示部31で表示する構成、および予め設定した累積稼働回数に達すると精米交換用のランプ33を表示する構成は第1実施形態と同様としている。
さらに、処理槽2、精米部材3の構成および精米作用は第1実施形態と同様としており、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
前記構成からなる第2実施形態の精米装置においても、第1実施形態と同様に、開閉扉15が開動作すると、近接センサー17はオフとなり、該オフ信号が集中制御装置30に送信され、開閉扉15が一回開動作する毎に稼働回数「1」がカウントされ、記録部に記録され、集中制御装置30で稼働回数を累積していく。累積稼働回数が記録部に予め入力されている設定回数に達すると、表示装置31のブラシ交換ライト33を点滅させて警報を発生している。これにより、ユーザーは精米部材3を交換すべきメンテナンス時期に達したことを認知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態の撹拌式精米機の垂直断面図である。
【図2】処理槽の斜視図である。
【図3】精米部材の斜視図である。
【図4】精米状況を説明する要部断面図である。
【図5】精米作業のフローチャートである。
【図6】第2実施形態の正面図である。
【図7】第2実施形態の精米装置の垂直断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ケース
2 処理槽
2a 周壁
2b 底壁
2c 摩擦面
2e 米排出口
3 精米部材
5 内枠材
5e 米排出口
5f 米排出路
6 精米ブラシ
7 糠収集袋
8 精米受箱
9 蓋
10 貯米部
11 精米部
12 収容部
13 駆動部
15 開閉扉
17 近接センサー
20 回転軸
25 モータ
30 集中制御装置
31 表示部
33 ブラシ交換ランプ
35 計量器
50 精米装置
R 精米室
A、B,C,D 循環空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米タンクから玄米を一定量に計量して精米室に供給し、該精米室内に設けた回転式の精米ブラシで一定時間精米して排出するバッチ式の精米装置において、
前記一定量の玄米の精米を1回の稼働回数として検知する手段と、
前記検知手段と接続されて、累積稼働回数をカウントすると共に累積稼働回数として記憶する手段と、
前記累積稼働回数を表示する手段と、
を設けていることを特徴とする精米装置。
【請求項2】
前記精米室から精米した米を排出する排出口に開閉扉を備え、該開閉扉の開閉検知手段を設け、該開閉扉の1回の開放を1回の稼働回数としており、
前記累積稼働回数が、前記精米ブラシのメンテナンスを必要とする設定回数に達すると、前記表示手段で警報を発する構成としている請求項1に記載の精米装置。
【請求項3】
前記精米装置は、
計量器を付設した吐出口を有する貯米部と、
前記貯米部の吐出口の下部に配置され、筒状の周壁の内周面の少なくとも一部に摩擦面を有すると共に、周壁に前記排出用の開閉扉を備えた処理槽と、
前記処理槽内に垂直方向に配置される筒状体の外周面に前記精米ブラシを突出している精米部材と、
前記精米部材と連結される前記回転軸を回転駆動する駆動装置を備え、
前記処理槽の前記摩擦面と前記精米ブラシの先端間に垂直方向に延在する空間を設け、該空間を玄米の循環空間とし、垂直方向の前記回転主軸を中心として水平方向に回転される前記精米ブラシに対して玄米を前記循環空間に垂直方向に循環させて玄米にスピン回転を発生させ、該スピン回転により玄米粒表面を研米する構成としている請求項1また請求項2に記載の精米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−155153(P2008−155153A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348266(P2006−348266)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】