説明

糸状態検知装置、及び、これを備えた繊維機械

【課題】走行する糸の状態が正常状態にあるか、糸切れ状態にあるか、過テンション状態にあるか、を安価かつ簡素な構成で検知する技術を提供する。
【解決手段】ヤーンフィーラ16は、走行する合糸Yの状態を検知する装置であって、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体32を備える。走行する合糸Yの状態が正常状態と、糸切れ状態又は過テンション状態と、の間で切り替わることにより、センサ本体32の状態が回路遮断状態と回路短絡状態の間で切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸状態検知装置、及び、これを備えた繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1(特開平06−229855号公報)は、糸切れ検出器としても機能する糸張力測定装置を開示する。この糸張力測定装置は、走行する糸の運動に起因して糸ガイドに生じる振動に対応する信号を適宜に解析することで糸張力を求めるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、繊維機械の分野では、走行する糸の状態として代表的なものに、(i)走行する糸の張力が正常である正常状態、(ii)走行する糸が切れた糸切れ状態、(iii)走行する糸の張力が巻き付きや引っ掛かりなどにより異常に高くなった過テンション状態、が挙げられ、このような糸の状態を監視することは、繊維機械を問題なく運転するためには必要不可欠なものとされる。
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成では、糸ガイドに生じる振動に対応する信号から糸張力を求めるためには、複雑な演算処理が必要となる。
【0005】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、走行する糸の状態が正常状態にあるか、糸切れ状態にあるか、過テンション状態にあるか、を安価かつ簡素な構成で検知する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、本願発明の発明者は、上記の糸切れ状態と過テンション状態が何れも異常な状態である点では共通することに着目し、これらの状態を区別することなく検知する構成を採用することで、糸状態検知装置を安価かつ簡素とできることを見出し、以下の発明を完成させた。
【0007】
次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本願発明の第一の観点によれば、以下のように構成される糸状態検知装置が提供される。即ち、糸状態検知装置は、走行する糸の状態を検知する装置であって、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体を備える。走行する糸の状態が正常状態と、糸切れ状態又は過テンション状態と、の間で切り替わることにより、前記センサ本体の状態が前記の回路遮断状態と回路短絡状態の間で切り替わる。以上の構成によると、安価に入手でき且つ簡素な構成の前記センサ本体の状態を監視しさえすれば、走行する糸の状態が正常状態であるか否かを検知できる。この意味で、上記の構成によれば、走行する糸の状態が正常状態にあるか、糸切れ状態にあるか、過テンション状態にあるか、を安価かつ簡素な構成で検知することができる。
【0009】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記センサ本体は、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態のみを有する。このようなセンサ本体としては、例えばモーメンタリ型プッシュスイッチなどのような極めて安価かつ簡素なスイッチが挙げられる。このように、上記二つの状態のみを有するセンサ本体は極めて安価かつ簡素であるので、従って、上記の構成によれば、極めて安価かつ簡素な糸状態検知装置が実現される。
【0010】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、上記の糸状態検知装置は、走行する糸が糸掛けされると共に、前記糸の張力に応じて変位又は変形可能な、糸張力感知部を備える。走行する糸の状態は、前記糸張力感知部の変位又は変形を介して前記センサ本体に入力される。以上の構成によれば、簡素な構成で、上記各状態を前記センサ本体に入力できる。
【0011】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、走行する糸の状態が正常状態であるときは、前記糸張力感知部の変位又は変形が規制される。以上の構成によれば、前記正常状態における前記糸張力感知部の振動が防止されるので、前記糸状態検知装置を設けたことが他の装置に好ましくない影響を及ぼすことがない。
【0012】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記糸張力感知部は揺動自在に支持される。上記の糸状態検知装置は、前記糸の張力によって前記糸張力感知部に作用する張力トルクの作用する方向と反対の方向に、前記張力トルクの前記正常状態における下限値Tdに設定される第一トルクT1を前記糸張力感知部に作用させる第一トルク作用手段と、上記張力トルクの作用する方向と反対の方向に、上記第一トルクT1と相まって前記張力トルクの前記正常状態における上限値Tuに設定される第二トルクT2を前記糸張力感知部に作用させる第二トルク作用手段と、を更に備える。前記糸張力感知部が、所定角度位置を基準として、前記張力トルクの作用する方向と反対の方向にあるときは前記第二トルクT2を消失させる。以上の構成によれば、前記正常状態における前記糸張力感知部の振動が防止されるので、前記糸状態検知装置を設けたことが他の装置に好ましくない影響を及ぼすことがない。
【0013】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第一トルクT1は、調整可能である。即ち、糸種が変更されると、前記張力トルクの前記正常状態における下限値Tdが増減する。従って、上記の構成によれば、糸種に応じて前記第一トルクT1を変更できるので、この意味で、前記糸切れ状態の検知を問題なく行える。
【0014】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記糸張力感知部は、走行する前記糸が糸掛けされるプーリを備える。以上の構成によれば、前記糸の表面品質の劣化を防げる。
【0015】
上記の糸状態検知装置を備えた繊維機械は、安価かつ簡素である。
【0016】
本願発明の第二の観点によれば、以下のように構成される糸状態検知装置が提供される。即ち、糸状態検知装置は、走行する糸の状態を検知する装置であって、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体と、走行する糸が糸掛けされるプーリを備えた第一回動部と、前記第一回動部に張力トルクの正常状態における上限値Tuを超える張力トルクが作用したときに、前記第一回動部と共に回る第二回動部と、を備える。以上の構成によれば、前記第一回動部に作用する張力トルクが正常であるときと、過大であるときの前記第一回動部の動作に変化を付けることができる。
【0017】
上記の糸状態検知装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記各回動部には、糸状態検知装置の本体フレームに一端が掛止されるバネ部材が夫々掛止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。先ず、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る撚糸機の構成を概説する。図1は、本発明の一実施形態に係る撚糸機の構成概略図である。
【0019】
本実施形態に係る撚糸機100は、複数で列設される撚糸ユニット1と、この複数の撚糸ユニット1の作動を制御する機台制御装置2と、から構成される。撚糸ユニット1は、二本の糸を撚り合わせるものであって、図1には、複数の撚糸ユニット1のうち一の撚糸ユニット1のみが正面視で描かれている。
【0020】
撚糸ユニット1は、撚り合わせる二本の糸のうち一方の糸(以下、内糸Y1と称する。)を供給する給糸パッケージ(以下、内糸用給糸パッケージP1と称する。)を支持する内糸用給糸パッケージ支持部3と、他方の糸(以下、外糸Y2と称する。)を供給する給糸パッケージ(以下、外糸用給糸パッケージP2と称する。)を支持する外糸用給糸パッケージ支持部4と、外糸Y2に対して張力を付与する張力付与装置5と、内糸Y1と外糸Y2が撚り合わされた糸としての合糸Yを巻き取る巻取装置6と、を備える。そして、内糸用給糸パッケージ支持部3の外周側で外糸Y2のバルーンを形成するためのバルーン形成装置7が内糸用給糸パッケージ支持部3の上流側に同軸状に設けられる。以下、外糸Y2が外糸用給糸パッケージP2から送出されて巻取装置6に至るまでの糸道に沿って撚糸ユニット1の構成を更に説明する。
【0021】
外糸用給糸パッケージ支持部4に回転不能に支持される外糸用給糸パッケージP2から解舒された外糸Y2は、外糸Y2に対して若干の張力を付与する機能を有する第1糸ガイド8と、外糸Y2に対して所定の張力を付与するゲート式テンサー9と、第2糸ガイド10と、を順に介して上記の張力付与装置5に導入される。張力付与装置5によって好適な張力が付与された外糸Y2は、第3糸ガイド11と、第4糸ガイド12と、を順に介して鉛直方向に沿って吸い上げられるようにバルーン形成装置7に導入される。このバルーン形成装置7は、スピンドル13を出力軸とする電気モータ14と、このスピンドル13に対して回転不能に固定されるディスク15と、から構成される。スピンドル13の軸心には外糸Y2が通過可能な糸道が形成され、第4糸ガイド12を介してスピンドル13の糸道内に案内された外糸Y2はやがてスピンドル13の外部へ送出されると共に、このディスク15がスピンドル13を介して電気モータ14によって回転させられることで、外糸Y2はディスク15の下面に沿って渦を描きながら振り回される。スピンドル13から送出された外糸Y2は、ディスク15の下面を這うように更に外周へ案内され、ディスク15の外周縁よりバルーン形成装置7を離れ、内糸用給糸パッケージ支持部3によって支持される内糸用給糸パッケージP1を避けるように案内されながら巻取装置6へ導かれる。
【0022】
ここで、内糸用給糸パッケージ支持部3の構成を簡単に説明する。内糸用給糸パッケージ支持部3は、前述のスピンドル13に対して図略のベアリングを介して軸支されると共に、内糸用給糸パッケージ支持部3の外周側へ配設される図略のマグネットとの磁気的な結合によって回転が規制される。内糸用給糸パッケージ支持部3は、内糸用給糸パッケージ支持部3に対して内糸用給糸パッケージP1が回転しないように内糸用給糸パッケージP1を支持すると共に、下方から送糸される外糸Y2が内糸用給糸パッケージP1に対して接触することのないようハット18が設けられる。同様に、送糸される外糸Y2が内糸用給糸パッケージP1に対して接触することのないよう、ハット18と内糸用給糸パッケージP1を挟んで反対側に、ハット18と軸方向において対を成すように、ハット18と略同径のリング19が設けられる。この構成で、バルーン形成装置7から離れた外糸Y2は、ハット18及びリング19との当接により内糸用給糸パッケージP1との離間距離が所定量以上確保され、もって、外糸Y2は、内糸用給糸パッケージP1を避けるように案内されながら巻取装置6の第5糸ガイド20へ導かれることとなる。
【0023】
一方、内糸用給糸パッケージP1から解舒された内糸Y1は、第6糸ガイド21によって軸心へ案内された後、上記の第5糸ガイド20へ案内される。
【0024】
次に、巻取装置6の構成を概説する。巻取装置6は、合糸Yの糸道に沿って順に、内糸Y1と外糸Y2を合糸するための第5糸ガイド20と、走行する合糸Yの状態を検知するヤーンフィーラ16(糸状態検知装置)と、合糸Yの張力を所定量、低下させるための張力緩和部22と、合糸Yを巻取ボビンBに対して綾振るためのトラバース装置23と、巻取ボビンBを回転可能に支持するクレードル24と、クレードル24に支持された巻取ボビンBを回転させるための巻取ドラム25と、を備える。本実施形態においてトラバース装置23は、合糸Yを把持する略示のトラバースガイドが往復運動することで合糸Yを巻取ボビンBに対して綾振るように構成され、トラバースガイドを往復運動させるためのトラバースモータ26が設けられる。巻取ドラム25には、巻取ドラム25を所定回転数で回転させるための巻取ドラム用モータ27が設けられる。
【0025】
以上の構成で、機台制御装置2は、電気モータ14やヤーンフィーラ16、トラバースモータ26、巻取ドラム用モータ27と接続され、電気モータ14の回転数を制御したり、ヤーンフィーラ16を例えば100msec間隔などの所定時間間隔で監視することで走行する合糸Yの状態を適切に取得したりできるようになっている。
【0026】
次に、撚糸機100の作動を説明する。
【0027】
撚糸機100の運転を開始するには、先ず、内糸Y1と外糸Y2が図1において実線で示される糸道を形成するように、内糸Y1及び外糸Y2の糸通しを行う。このとき、トラバースモータ26、巻取ドラム用モータ27、電気モータ14は何れも静止状態とされる。また、外糸Y2は、ディスク15の外周縁とハット18、リング19に当接した状態を保っている。
【0028】
次に、オペレータが、各種の運転条件を図略の入力手段を介して機台制御装置2へ入力する。各種の運転条件としては、例えば、巻取装置6における巻取速度やトラバース装置23におけるトラバース速度、スピンドル13の回転数、糸種、糸太さなどが挙げられる。
【0029】
そして、機台制御装置2は上記運転条件に基づいて巻取装置6を制御することで合糸Yの巻き取りを開始すると共に、電気モータ14を制御することでスピンドル13の回転を、この回転が所望の回転数に到達するまで加速させる。すると、外糸Y2は、鎖線で示されるようにハット18やリング19を離れて、ディスク15の外周縁と第5糸ガイド20との間で外周側へ膨出してバルーンを形成する。
【0030】
そして、外糸Y2が内糸用給糸パッケージP1の外周で振り回されることで、第5糸ガイド20に至る直前において外糸Y2は内糸Y1と撚り合い合糸Yとされる。この撚り合った合糸状態を維持しながら、合糸Yの状態がヤーンフィーラ16によって検知されつつ張力緩和部22において張力が所定量、低減され、トラバース装置23において綾振られながら、巻取ボビンBに巻き取られる。以上に、本実施形態に係る撚糸機100の構成と作動を概説した。
【0031】
次に、上記のヤーンフィーラ16の構成を図2に基づいて説明する。図2は、非運転状態におけるヤーンフィーラの正面図である。本図には、ヤーンフィーラ16内に合糸Yが未だ存在しない非運転状態が示される。本図に示されるヤーンフィーラ16は、走行する合糸Yの状態を検知する装置である。詳しくは、ヤーンフィーラ16は、走行する合糸Yが正常状態にあるか、糸切れ状態にあるか、過テンション状態にあるか、を検知する装置である。
【0032】
ここで、「合糸Yが糸切れ状態にある」とは、合糸Yを構成する内糸Y1又は外糸Y2のうち何れか一方又は両方が糸切れしている状態を意味する。また、「合糸Yが過テンション状態にある」とは、例えば合糸Yが第5糸ガイド20に巻き付いたり、内糸Y1が内糸用給糸パッケージP1の隅部に引っ掛かったり、外糸Y2がゲート式テンサー9内で絡んだりするなどして合糸Yの張力が異常に高くなった状態を意味する。一方、「合糸Yが正常状態にある」とは、上記の「糸切れ状態」でも「過テンション状態」でもなく、合糸Yの張力が所望の変動幅内で変動しており、正常な巻取りが成立している状態を意味する。
【0033】
以下、ヤーンフィーラ16の構成、各バネ力の具体的な設定内容、ヤーンフィーラ16の作動、の順に説明する。以降の説明では、随時、以下の変数を用いて説明する。
T:走行する合糸Yの張力によって糸張力感知レバーに作用する張力トルク
Td:張力トルクTの正常状態における下限値
Tu:張力トルクTの正常状態における上限値
T1:引張コイルバネによって糸張力感知レバーに作用するトルク
T2:引張コイルバネによって糸張力感知レバーに作用するトルク
【0034】
<ヤーンフィーラ16の構成>
ヤーンフィーラ16のフレーム30には、回転軸31が突設されると共に、センサ本体32が設けられる。上記回転軸31には、汎用鋼などから成る糸張力感知レバー33(糸張力感知部)が揺動自在に支持される。この糸張力感知レバー33は、回転軸31から離れる方向へ延びる三つのアームから構成される。即ち、糸張力感知レバー33は、糸掛けアーム33a、バネ掛けアーム33b、スイッチアーム33cから構成される。糸掛けアーム33a、バネ掛けアーム33b、スイッチアーム33cは、ヤーンフィーラ16の正面視においてこの順で、回転軸31を反時計周りに概ね90°ずつズレて配設される。
【0035】
糸掛けアーム33aの先端には、走行する合糸Yが糸掛けされるプーリ34が設けられる。ここで、走行する合糸Yの糸道とプーリ34との関係を説明するため、図3を参照されたい。図3は、正常状態におけるヤーンフィーラの正面図である。本図に示されるようにプーリ34の上流側の合糸Yは回転軸31とプーリ34を結んだ線と略直角に走行し、プーリ34の下流側の合糸Yは回転軸31とプーリ34を結んだ線と略平行に走行する。この構成により、走行する合糸Yの張力によって糸張力感知レバー33に張力トルクTが作用するようになっている。以降、走行する合糸Yの状態が糸切れ状態となった際に糸張力感知レバー33が回動する方向を糸切れ方向と、走行する合糸Yの状態が過テンション状態となった際に糸張力感知レバー33が回動する方向を過テンション方向と、称する。
【0036】
再び、図2を参照されたい。バネ掛けアーム33bの先端には、紙面奥手方向に向かって延びる干渉突起35が突設される。
【0037】
スイッチアーム33cの先端には、回転軸31から離れる方向へ開口する凹部36と、この凹部36を回転軸31の周方向において挟む一対の突部、糸切れ突部37及び過テンション突部38と、が形成される。糸切れ突部37から過テンション突部38をみる方向は上記の糸切れ方向と一致する。
【0038】
センサ本体32は、いわゆるモーメンタリ型プッシュスイッチとして構成される。即ち、センサ本体32は、進退可能なボタン部39と、このボタン部39が突出状態であるときは遮断状態となり押下状態であるときは短絡状態となる図略の回路と、を有する。換言すれば、センサ本体32は、ボタン部39の状態と一対一で対応する、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有する。そして、上記のボタン部39は、上記の糸張力感知レバー33のスイッチアーム33cに形成される凹部36に遊挿され、もって、糸張力感知レバー33が回動すると糸切れ突部37又は過テンション突部38との干渉により突出状態から押下状態へと切り替わり、この干渉が解消されると再び押下状態から突出状態へと自動復帰するようになっている。
【0039】
上記のバネ掛けアーム33bの先端の干渉突起35には引張コイルバネ40の一端が掛止され、引張コイルバネ40の他端はヤーンフィーラ16のフレーム30に掛止され、もって、引張コイルバネ40は、張力トルクTの作用する方向(過テンション方向)と反対の方向(糸切れ方向)に、所望の第一トルクT1を糸張力感知レバー33に作用させるようになっている。本実施形態において、糸張力感知レバー33に第一トルクT1を作用させる第一トルク作用部(第一トルク作用手段)は、フレーム30と糸張力感知レバー33の間に掛け渡された上記の引張コイルバネ40を少なくとも含んで構成される。上記引張コイルバネ40の他端は、具体的には、引張コイルバネ40のバネ力を調整するためのバネ力調整部45(バネ力調整手段)を介してヤーンフィーラ16のフレーム30に掛止される。このバネ力調整部45は、引張コイルバネ40の周面に螺刻されるオネジ部と係合可能なメネジ部を回転可能に支持して構成され、このメネジ部を適宜に回転することで、引張コイルバネ40を自在に進退ないし伸縮できるようになっている。
【0040】
上記の回転軸31には、更に、汎用鋼などから成る補助レバー41が揺動自在に支持される。この補助レバー41は、回転軸31から離れる方向へ延びる補助アーム42から構成される。この補助アーム42の先端には引張コイルバネ43の一端が掛止され、引張コイルバネ43の他端はヤーンフィーラ16のフレーム30に掛止される。また、補助アーム42は糸張力感知レバー33のバネ掛けアーム33bの干渉突起35に対して糸切れ方向に当接可能とされ、もって、引張コイルバネ43は、補助アーム42と干渉突起35とバネ掛けアーム33bとを順に介して、張力トルクTの作用する方向(過テンション方向)と反対の方向(糸切れ方向)に、所望の第二トルクT2を糸張力感知レバー33に作用させるようになっている。本実施形態において、糸張力感知レバー33に第二トルクT2を作用させる第二トルク作用部(第二トルク作用部)は、フレーム30と補助アーム42の間に掛け渡された上記の引張コイルバネ43と、補助アーム42と、干渉突起35と、を少なくとも含んで構成される。また、上記のフレーム30には、補助アーム42の糸切れ方向への回動を所定角度位置で規制する規制突起44が設けられる。
【0041】
<各バネ力の具体的な設定内容>
次に、上記の引張コイルバネ40と引張コイルバネ43のバネ力の具体的な設定内容について説明する。引張コイルバネ40のバネ力は、上述の第一トルクT1が、張力トルクTの正常状態における下限値Tdとなるように設定される。一方、引張コイルバネ43のバネ力は、上述の第二トルクT2が、上記第一トルクT1と相まって張力トルクTの正常状態における上限値Tuとなるように設定される。各バネ力の設定内容を数式で表すと、下記式(1)の通りとなる。
【0042】
【数1】

【0043】
<ヤーンフィーラ16の作動>
次に、図2〜5を参照しつつ、ヤーンフィーラ16の作動を、非運転状態、正常状態、過テンション状態、糸切れ状態の順に詳細に説明する。
【0044】
(非運転状態)
図2に示すように、糸張力感知レバー33のプーリ34に合糸Yが糸掛けされていない状態では、糸張力感知レバー33が第一トルクT1の作用によって糸切れ方向へ付勢されて、センサ本体32のボタン部39が糸切れ突部37との干渉により押下状態へ切り替わった状態となっている。ヤーンフィーラ16のセンサ本体32を常時監視している機台制御装置2は、センサ本体32の状態が回路短絡状態であることを検知することにより、走行する糸の状態が正常状態でないことを認識する。
【0045】
このとき、糸張力感知レバー33は所定角度位置を基準として張力トルクTの作用する方向と反対の方向にあるので、干渉突起35は補助レバー41から離反しており、引張コイルバネ43による第二トルクT2は糸張力感知レバー33に対して全く作用しないようになっている。ここで、「所定角度位置」とは、図3に示されるように、規制突起44と当接した状態の補助レバー41に対して、糸張力感知レバー33の干渉突起35が当接した状態における、糸張力感知レバー33の角度位置を意味する。
【0046】
(正常状態)
図2の状態から図3に示される正常状態へ切り替わると、この正常状態は糸張力感知レバー33の回動を介してセンサ本体32に入力され、センサ本体32は該入力を受けて回路遮断状態となり、ヤーンフィーラ16のセンサ本体32を常時監視している機台制御装置2は、センサ本体32の状態が回路遮断状態であることを検知することにより、走行する糸の状態が正常状態であることを認識する。そして、正常状態へと切り替わり、この状態が継続している間は、糸張力感知レバー33の回動が規制される。以下、詳しく説明する。
【0047】
図2の状態で、糸張力感知レバー33のプーリ34に合糸Yを糸掛けし、合糸Yを所望の速度で走行させると、図3に示すように、糸張力感知レバー33には張力トルクTが作用する。この張力トルクTは、合糸Yの走行中にある程度は変動するものの、上記の第一トルクT1が張力トルクTの正常状態における下限値Tdに設定されているので、糸張力感知レバー33は、第一トルクT1と張力トルクTとの差分のトルクによって過テンション方向へと回動し、やがて、干渉突起35が補助レバー41に対して当接すると共に、センサ本体32のボタン部39が押下状態から突出状態へと切り替わり、センサ本体32は回路遮断状態となる。
【0048】
このとき、糸張力感知レバー33は、所定角度位置にあるので、引張コイルバネ43による第二トルクT2は糸張力感知レバー33に対して作用できるようになっており、この第二トルクT2は、第一トルクT1と相まって張力トルクTの正常状態における上限値Tuを超えるように設定されているので、この正常状態においては、張力トルクTは補助レバー41を規制突起44から離反させることができない。従って、この正常状態においては、干渉突起35が補助レバー41に対して常時当接し、補助レバー41が規制突起44に対して常時当接することで、糸張力感知レバー33の回動は規制されることとなる。
【0049】
(過テンション状態)
図3の状態から図4に示される過テンション状態へと切り替わると、この過テンション状態は糸張力感知レバー33の回動を介してセンサ本体32に入力され、センサ本体32は該入力を受けて回路短絡状態となり、ヤーンフィーラ16のセンサ本体32を常時監視している機台制御装置2は、センサ本体32の状態が回路短絡状態であることを検知することにより、走行する糸の状態が正常状態でないことを認識し、トラバースモータ26や巻取ドラム用モータ27などを直ちに停止させて、巻取を中止する。以下、詳しく説明する。
【0050】
図3の状態で、走行する合糸Yの状態が正常状態から過テンション状態へと切り替わると、図4に示すように、糸張力感知レバー33は、第一トルクT1と第二トルクT2の合計トルクと、張力トルクTと、の差分のトルクによって過テンション方向へ回動し、補助レバー41が規制突起44から離反すると共に、センサ本体32のボタン部39は過テンション突部38との干渉により突出状態から押下状態へと切り替わり、センサ本体32は回路短絡状態となる。
【0051】
(糸切れ状態)
図3の状態から図5に示される糸切れ状態へと切り替わると、この糸切れ状態は糸張力感知レバー33の回動を介してセンサ本体32に入力され、センサ本体32は該入力を受けて回路短絡状態となり、ヤーンフィーラ16のセンサ本体32を常時監視している機台制御装置2は、センサ本体32の状態が回路短絡状態であることを検知することにより、走行する糸の状態が正常状態でないことを認識し、トラバースモータ26や巻取ドラム用モータ27などを直ちに停止させて、巻取を中止する。以下、詳しく説明する。
【0052】
図3の状態で、走行する合糸Yの状態が正常状態から糸切れ状態へと切り替わると、図5に示すように、糸張力感知レバー33は、第一トルクT1と、残された張力トルクT(合糸Yを構成する内糸Y1及び外糸Y2の双方が同時に糸切れした場合は、残された張力トルクTはゼロとなる。)と、の差分のトルクによって糸切れ方向へ回動し、干渉突起35が補助レバー41から離反すると共に、センサ本体32のボタン部39が糸切れ突部37との干渉により突出状態から押下状態へと切り替わり、センサ本体32は回路短絡状態となる。なお、複数糸を搬送する場合においては、搬送される複数の糸の一部が切れた場合にも、上述と同様に、糸張力感知レバー33は第一トルクT1と残された張力トルクTとの差分のトルクにより糸切れ方向に回動し、センサ本体32は回路短絡状態となり、機台制御装置2が該回路短絡状態を検知する。
【0053】
以上に、ヤーンフィーラ16の作動を説明した。
【0054】
上記の撚糸機100が対象とする糸種は、例えば、ポリエステルやナイロン、レーヨン、アラミドなどが挙げられる。また、内糸用給糸パッケージP1や外糸用給糸パッケージP2の形状は、本図に示されるようなチーズ巻きの他に、例えば、コーン巻きやフランジ巻き、ボビン巻きであってもよい。
【0055】
(まとめ)
●以上説明したように上記実施形態においてヤーンフィーラ16は、以下のように構成される。即ち、ヤーンフィーラ16は、走行する合糸Yの状態を検知する装置であって、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体32を備える。走行する合糸Yの状態が正常状態と、糸切れ状態又は過テンション状態と、の間で切り替わることにより、センサ本体32の状態が回路遮断状態と回路短絡状態の間で切り替わる。以上の構成によると、安価に入手でき且つ簡素な構成のセンサ本体32の状態を監視しさえすれば、走行する合糸Yの状態が正常状態であるか否かを検知できる。この意味で、上記の構成によれば、走行する合糸Yの状態が正常状態にあるか、糸切れ状態にあるか、過テンション状態にあるか、を安価かつ簡素な構成で検知することができる。
【0056】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、センサ本体32は、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態のみを有する。このようなセンサ本体32としては、例えば上記実施形態のようにモーメンタリ型プッシュスイッチなどのような極めて安価かつ簡素なスイッチが挙げられる。このように、上記二つの状態のみを有するセンサ本体32は極めて安価かつ簡素であるので、従って、上記の構成によれば、極めて安価かつ簡素なヤーンフィーラ16が実現される。
【0057】
なお、上記実施形態では、センサ本体32としてモーメンタリ型プッシュスイッチを採用したが、これに代えて、モーメンタリ型スライドスイッチや両側モーメンタリ型トグルスイッチを採用する構成も考えられる。即ち、図3の状態から図4の状態又は図5の状態へと切り替わった際に、センサ本体32が回路遮断状態と回路短絡状態の間で切り替わるようなスイッチであれば、その種を問わない。従って、センサ本体32としては、上記のモーメンタリ型スイッチに代えて、オルタネート式スイッチを採用する構成も考えられる。更には、上記の回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体32としては、光学的又は電磁的なセンサなども採用し得る。
【0058】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、上記のヤーンフィーラ16は、走行する合糸Yが糸掛けされると共に、合糸Yの張力に応じて回動可能な糸張力感知レバー33を備える。走行する糸の状態は、糸張力感知レバー33の回動を介してセンサ本体32に入力される。以上の構成によれば、簡素な構成で、上記各状態をセンサ本体32に入力できる。
【0059】
なお、上記実施形態では、合糸Yの張力に応じて回動可能な糸張力感知レバー33を採用したが、これに代えて、合糸Yの張力に応じて弾性変形可能な弾性体を採用する構成も考えられる。この場合、正常状態や糸切れ状態、過テンション状態は、この弾性体の弾性変形を介してセンサ本体32に入力されることとなる。この弾性体としては、例えば合成ゴムやエラストマーなどが考えられる。
【0060】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、走行する合糸Yの状態が正常状態であるときは、糸張力感知レバー33の回動が規制される。以上の構成によれば、正常状態における糸張力感知レバー33の振動が防止されるので、ヤーンフィーラ16を設けたことが他の装置に好ましくない影響を及ぼすことがない。
【0061】
なお、上記実施形態では、上記正常状態における糸張力感知レバー33の回動を規制するようにしたが、これに代えて、上記正常状態における糸張力感知レバー33の回動を減衰させる構成も考えられる。この場合、正常状態における糸張力感知レバー33の振動が抑制される。なお、糸張力感知レバー33の回動を減衰させる構成としては、例えば、糸張力感知レバー33と回転軸31との間にフェルト部材などの摩擦部材を介装する構成が考えられる。
【0062】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、糸張力感知レバー33は揺動自在に支持される。上記のヤーンフィーラ16は、合糸Yの張力によって糸張力感知レバー33に作用する張力トルクTの作用する方向と反対の方向に、張力トルクTの正常状態における下限値Tdに設定される第一トルクT1を糸張力感知レバー33に作用させる第一トルク作用部(第一トルク作用手段)と、上記張力トルクTの作用する方向と反対の方向に、上記第一トルクT1と相まって張力トルクTの正常状態における上限値Tuに設定される第二トルクT2を糸張力感知レバー33に作用させる第二トルク作用部(第二トルク作用手段)と、を更に備える。糸張力感知レバー33が、所定角度位置を基準として、張力トルクTの作用する方向と反対の方向にあるときは第二トルクT2を消失させる。以上の構成によれば、正常状態における糸張力感知レバー33の振動が防止されるので、ヤーンフィーラ16を設けたことが他の装置に好ましくない影響を及ぼすことがない。
【0063】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、第一トルクT1は、調整可能である。即ち、糸種が変更されると、張力トルクTの正常状態における下限値Tdが増減する。従って、上記の構成によれば、糸種に応じて第一トルクT1を変更できるので、この意味で、糸切れ状態の検知を問題なく行える。
【0064】
なお、糸種や糸太さなどの情報は、前述したようにオペレータによって適宜に機台制御装置2へ入力されているので、バネ力調整部45に例えばステッピングモータなどの駆動部を設け、この駆動部を機台制御装置2と電気的に接続し、機台制御装置2が、オペレータによって入力された糸種や糸太さなどの情報に基づいて、第一トルクT1を適宜に増減する構成も考えられる。
【0065】
また、上記実施形態では、第一トルクT1のみを調整可能としたが、これに代えて、第二トルクT2のみを調整可能としたり、第一トルクT1と第二トルクT2の両方を調整可能とする構成も考えられる。
【0066】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、糸張力感知レバー33は、走行する合糸Yが糸掛けされるプーリ34を備える。以上の構成によれば、合糸Yの表面品質の劣化を防げる。
【0067】
●上記のヤーンフィーラ16を備えた撚糸機100は、安価かつ簡素である。
【0068】
●また、上記実施形態においてヤーンフィーラ16は、以下のように構成される。即ち、ヤーンフィーラ16は、走行する合糸Yの状態を検知する装置であって、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体32と、走行する合糸Yが糸掛けされるプーリ34を備えた糸張力感知レバー33(第一回動部)と、糸張力感知レバー33に張力トルクTの正常状態における上限値Tuを超える張力トルクTが作用したときに、糸張力感知レバー33と共に回る補助レバー41(第二回動部)と、を備える。以上の構成によれば、糸張力感知レバー33に作用する張力トルクTが正常であるときと、過大であるときの糸張力感知レバー33の動作に変化を付けることができる。
【0069】
●上記のヤーンフィーラ16は、更に、以下のように構成される。即ち、各回動部33、41には、ヤーンフィーラ16のフレーム30(本体フレーム)に一端が掛止される引張コイルバネ40、43(バネ部材)が夫々掛止される。
【0070】
最後に、上記実施形態では、繊維機械の一例として撚糸機100を取り上げているが、ヤーンフィーラ16は、撚糸機100以外の他の繊維機械、即ち、紡績機や自動ワインダーにも適用可能である。上記実施形態のようにヤーンフィーラ16を撚糸機100に適用した場合は、走行する糸は合糸であるから、糸切れ状態として、合糸を構成する糸条のうち一方のみが切れた場合と、合糸を構成する糸条のうち両方が切れた場合と、の二つの場合が考えられる。一方、ヤーンフィーラ16を紡績機や自動ワインダーに適用した場合は、走行する糸が主として単糸であるから、糸切れ状態は上記の撚糸機100に適用した場合と比較してシンプルになる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態に係る撚糸機の構成概略図
【図2】ヤーンフィーラの正面図(非運転状態)
【図3】ヤーンフィーラの正面図(正常状態)
【図4】ヤーンフィーラの正面図(過テンション状態)
【図5】ヤーンフィーラの正面図(糸切れ状態)
【符号の説明】
【0072】
16 ヤーンフィーラ
32 センサ本体
100 撚糸機(繊維機械)
Y 合糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する糸の状態を検知する糸状態検知装置であって、
回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体を備え、
走行する糸の状態が正常状態と、糸切れ状態又は過テンション状態と、の間で切り替わることにより、前記センサ本体の状態が前記の回路遮断状態と回路短絡状態の間で切り替わる、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の糸状態検知装置であって、
前記センサ本体は、回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態のみを有する、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の糸状態検知装置であって、
走行する糸が糸掛けされると共に、前記糸の張力に応じて変位又は変形可能な、糸張力感知部を備え、
走行する糸の状態は、前記糸張力感知部の変位又は変形を介して前記センサ本体に入力される、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の糸状態検知装置であって、
走行する糸の状態が正常状態であるときは、前記糸張力感知部の変位又は変形が規制される、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項5】
請求項3に記載の糸状態検知装置であって、
前記糸張力感知部は揺動自在に支持され、
前記糸の張力によって前記糸張力感知部に作用する張力トルクの作用する方向と反対の方向に、前記張力トルクの前記正常状態における下限値Tdに設定される第一トルクT1を前記糸張力感知部に作用させる第一トルク作用手段と、
上記張力トルクの作用する方向と反対の方向に、上記第一トルクT1と相まって前記張力トルクの前記正常状態における上限値Tuに設定される第二トルクT2を前記糸張力感知部に作用させる第二トルク作用手段と、
を更に備え、
前記糸張力感知部が、所定角度位置を基準として、前記張力トルクの作用する方向と反対の方向にあるときは前記第二トルクT2を消失させる、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項6】
請求項5に記載の糸状態検知装置であって、
前記第一トルクT1は、調整可能である、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項7】
請求項3〜6の何れかに記載の糸状態検知装置であって、
前記糸張力感知部は、走行する前記糸が糸掛けされるプーリを備える、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかの糸状態検知装置を備えた繊維機械。
【請求項9】
走行する糸の状態を検知する糸状態検知装置であって、
回路遮断状態と回路短絡状態の二つの状態を有するセンサ本体と、
走行する糸が糸掛けされるプーリを備えた第一回動部と、
前記第一回動部に張力トルクの正常状態における上限値Tuを超える張力トルクが作用したときに、前記第一回動部と共に回る第二回動部と、
を備えた、
ことを特徴とする糸状態検知装置。
【請求項10】
請求項9に記載の糸状態検知装置であって、
前記各回動部には、糸状態検知装置の本体フレームに一端が掛止されるバネ部材が夫々掛止される、
ことを特徴とする糸状態検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−30704(P2010−30704A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192247(P2008−192247)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】