説明

紫外線照射装置及び基板処理装置

【課題】小型化及びコスト低減を実現した紫外線照射装置及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板に対する紫外線照射を行う処理室と、少なくとも処理室内の基板を加熱する加熱機構と、処理室内を脱酸素及び脱水分状態に保持するように処理室内に気体を供給する気体供給部と、紫外線照射装置内に基板の搬入を行うための基板搬入口と処理室との間に少なくとも設けられ、処理室に連通されることで処理室内を所定雰囲気に維持する予備室と、を備えた紫外線照射装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線パターンや電極パターンなどの微細なパターンが形成されている。一般的にこのようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、レジスト膜をガラス基板に塗布する工程、レジスト膜を露光する工程、露光後のレジスト膜を現像する工程及び現像後のレジスト膜に対して紫外線を照射する工程が行われる。
【0003】
紫外線照射工程では、例えば基板をチャンバ内に収容し、基板を搬送しつつ当該基板に紫外線を照射する紫外線照射装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。このような紫外線照射装置では、チャンバ内の基板搬送経路において脱水分及び脱酸素状態の環境であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−96839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、真空ポンプを用いることでチャンバ(処理室)内を真空引きすることで上述したような脱水分及び脱酸素状態の環境に保持しているため、真空ポンプを用いることで装置のコストが高くなる、或いは装置が大型化して設置面積が嵩むといった問題が生じていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、小型化及びコスト低減を実現した紫外線照射装置及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の紫外線照射装置は、基板に対する紫外線照射を行う処理室と、少なくとも前記処理室内の前記基板を加熱する加熱機構と、前記処理室内を脱酸素及び脱水分状態に保持するように該処理室内に気体を供給する気体供給部と、当該紫外線照射装置内に前記基板の搬入を行うための基板搬入口と前記処理室との間に少なくとも設けられ、前記処理室に連通されることで該処理室内を所定雰囲気に維持する予備室と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の紫外線照射装置によれば、予備室を備えることで基板搬入時に処理室内への酸素及び水分の混入を防止しつつ、基体供給部によって処理室及び該処理室に連通する予備室内に気体を供給することで処理室内を所定雰囲気に安定的に維持できる。よって、真空ポンプを不要にできるので、装置の小型化及び低コスト化を実現できる。
【0009】
また、上記紫外線照射装置においては、前記予備室を複数備えるのが好ましい。
この構成によれば、複数の予備室内の雰囲気を段階的に変化させることで処理室内の雰囲気を所定値に安定的に維持することができる。
【0010】
また、上記紫外線照射装置においては、前記気体供給部は、前記処理室内に不活性ガスを供給するのが好ましい。
この構成によれば、処理室内に不活性ガスを供給することで処理室内を脱酸素及び脱水分状態に保持できる。
【0011】
また、上記紫外線照射装置においては、前記気体供給部は、前記不活性ガスとして窒素ガスを供給するのが好ましい。
このように窒素ガスを供給することで処理室内を良好に脱酸素及び脱水分状態に保持できる。
【0012】
また、上記紫外線照射装置においては、前記複数の予備室における内部圧力は、前記処理室側から前記基板搬入口側に向かって次第に低くなるように設定されるのが好ましい。
この構成によれば、複数の予備室内の内部圧力を処理室側から基板搬入口側に向かって次第に低くなるように設定することで処理室内の雰囲気を安定させることができる。
【0013】
また、上記紫外線照射装置においては、前記予備室及び前記処理室間において前記基板を移動させる基板移動機構を更に備えるのが好ましい。
この構成によれば、予備室及び処理室間において基板を移動させることで装置内を通過する際に要する時間を短縮できる。
【0014】
また、上記紫外線照射装置においては、前記加熱機構は、前記基板を保持した状態で加熱するプレートを含み、前記基板移動機構の一部は、前記プレートに設けられた溝部内を移動するのが好ましい。
この構成によれば、基板移動機構がプレートの溝部内を移動することで移動時間を短縮できる。また、基板移動機構の一部がプレート内の溝に設けられるので、ゴミ等の異物が基板に付着するのを防止することができる。
【0015】
また、上記紫外線照射装置においては、前記加熱機構は、前記予備室内の前記基板も加熱するのが好ましい。
この構成によれば、予備室内において基板を予め加熱することができるので、処理室内において基板を所定温度まで短時間で加熱できる。
【0016】
また、上記紫外線照射装置においては、前記予備室は、内部雰囲気を循環させる循環機構を有するのが好ましい。なお、処理室内にも循環機構を設けるようにしてよい。
この構成によれば、循環機構によって予備室内の雰囲気が循環されるので、予備室内の雰囲気を安定させることができる。
【0017】
また、上記紫外線照射装置においては、前記循環機構は、HEPAフィルターを用いて前記内部雰囲気の循環を行うのが好ましい。
この構成によれば、HEPAフィルターを用いることで予備室内の異物を除去した状態で内部雰囲気循環を行うことができる。
【0018】
また、上記紫外線照射装置においては、前記予備室は、当該紫外線照射装置内から前記基板の搬出を行うための基板搬出口と前記処理室との間にも設けられているのが好ましい。
この構成によれば、基板搬出口から基板の搬出を行う際に処理室内に酸素及び水分が混入するのを防止し、より処理室内の雰囲気を安定させることができる。
【0019】
本発明の基板処理装置は、基板に処理液の塗布処理を行う塗布装置と、前記基板に塗布された前記処理液の現像処理を行う現像装置と、前記基板に紫外線照射処理を行う紫外線照射装置と、前記塗布処理、前記現像処理及び前記紫外線照射処理の関連処理を行う関連装置と、を備え、前記塗布装置、前記現像装置、前記紫外線照射装置及び前記関連装置の間を直列的に前記基板を搬送する基板処理装置であって、前記紫外線照射装置として、上記紫外線照射装置が用いられていることを特徴とする。
【0020】
本発明の基板処理装置によれば、小型化及び低コスト化が図られた紫外線照射装置が用いられているため、基板処理装置自体も低コスト且つ小型で信頼性の高いものを提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、小型化及びコスト低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】基板処理装置を示す平面図。
【図2】紫外線処理ユニットを+Z側から見たときの構成を示す平面図。
【図3】紫外線処理ユニットを+Y側から見たときの構成を示す側面図。
【図4】紫外線処理ユニットの断面図。
【図5】図4の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
【0024】
以下、本発明の紫外線照射装置及びこれを備えた基板処理装置に係る実施例について説明する。
図1は本実施形態に係る基板処理装置SPAを示す平面図である。基板処理装置SPAは、例えばX方向に一列に配置されたローダ・アンローダLU、塗布現像処理部CD及びインターフェース部IFを備えている。基板処理装置SPAは、塗布現像処理部CDがローダ・アンローダLUとインターフェース部IFによって挟まれて配置された構成になっている。
【0025】
(ローダ・アンローダ)
ローダ・アンローダLUは、複数の基板Gを収容するカセットCの搬入及び搬出を行う部分である。ローダ・アンローダLUは、カセット待機部10及び搬送機構11を有している。
【0026】
カセット待機部10は、例えば基板処理装置SPAの−X側の端部に配置されており、複数のカセットCを収容する。カセット待機部10に収容されたカセットCは、例えばY方向に配列されるようになっている。カセット待機部10は、−X側に不図示の開口部が形成されており、当該開口部を介して基板処理装置SPAの外部との間でカセットCの受け渡しが行われるようになっている。
【0027】
搬送機構11は、カセット待機部10の+X側に配置されており、カセットCと塗布現像処理部CDとの間で基板Gの搬送を行う。搬送機構11は、例えばY方向に沿って移動可能に構成されている。具体的に搬送機構11は−Y側に移動することで、ローダ・アンローダLUから塗布現像処理部CDへ基板Gを搬送する。また、搬送機構11は+Y側に移動することで、塗布現像処理部CDからローダ・アンローダLUへ基板Gを搬送する。
【0028】
搬送機構11は搬送アーム12を有している。搬送アーム12は、ガラス基板を保持する保持部を有し、例えば一方向に伸縮可能に設けられている。搬送アーム12は、θZ方向に回転可能に形成されている。搬送アーム12は、例えばθZ方向に回転することで、カセット待機部10と塗布現像処理部CDとのそれぞれの方向に向かせることが可能になっている。搬送アーム12は、搬送アーム12を伸縮させることで、カセット待機部10及び塗布現像処理部CDのそれぞれにアクセス可能になっている。
【0029】
(塗布現像処理部)
塗布現像処理部CDは、基板Gにレジスト塗布及び現像を含む一連の処理を施す部分である。塗布現像処理部CDは、スクラバユニットSR、脱水ベークユニットDH、塗布ユニットCT、プリベークユニットPR、インターフェース部IF、現像ユニットDV、紫外線照射ユニットUV及びポストベークユニットPBを有している。
【0030】
塗布現像処理部CDは、Y方向に分割された構成になっており、−Y側の部分では、ローダ・アンローダLUからの基板Gがインターフェース部IFへ向けて+X方向に搬送されるようになっている。+Y側の部分では、インターフェース部IFからの基板Gがローダ・アンローダLUへ向けて−X方向に搬送されるようになっている。
【0031】
スクラバユニットSRは、ローダ・アンローダLUの下流に接続されており、基板Gの洗浄を行うユニットである。スクラバユニットSRは、ドライ洗浄装置41、ウェット洗浄装置42及びエアナイフ装置43を有している。ドライ洗浄装置41の−X側及びエアナイフ装置43の+X側には、それぞれコンベア機構CV1、CV2が設けられている。
コンベア機構CV1、CV2には、基板Gを搬送する不図示のベルト機構が設けられている。
【0032】
ドライ洗浄装置41は、例えば基板Gにエキシマレーザなどの紫外線を照射することにより、基板G上の有機物を除去する。ウェット洗浄装置42は、例えば不図示のスクラビングブラシを有している。ウェット洗浄装置42は、洗浄液及び当該スクラビングブラシを用いて基板Gを洗浄する。エアナイフ装置43は、例えば不図示のエアナイフ噴射機構を有している。エアナイフ装置43は、エアナイフ噴射機構を用いて基板G上にエアナイフを形成し、基板G上の不純物を除去する。
【0033】
脱水ベークユニットDHは、スクラバユニットSRの下流に接続されており、基板G上を脱水するユニットである。脱水ベークユニットDHは、加熱装置44、及び冷却装置45を有している。加熱装置44及びHMDS装置46は、Z方向に重ねられた状態で配置されている。Z方向視で加熱装置44及びHMDS装置46に重なる位置にコンベア機構CV3が設けられており、Z方向視で冷却装置45に重なる位置にコンベア機構CV4が設けられている。加熱装置44及びHMDS装置46と、冷却装置45との間には、基板Gを搬送する搬送機構TR1が設けられている。搬送機構TR1については、例えばローダ・アンローダLUに設けられた搬送機構11と同一の構成とすることができる。
【0034】
加熱装置44は、例えば基板Gを収容可能なチャンバ内にヒータを有する構成になっている。加熱装置44は、Z方向に例えば複数段配置されている。加熱装置44は、基板Gを所定の温度で加熱する。HMDS装置46は、HMDSガスを基板Gに作用させて疎水化処理を施し、塗布ユニットCTにおいて基板Gに塗布するレジスト膜と基板Gとの密着性を向上させる装置である。冷却装置45は、例えば基板Gを収容可能なチャンバ内に温調機構を有し、基板Gを所定の温度に冷却する。
【0035】
塗布ユニットCTは、脱水ベークユニットDHの下流に接続されており、基板G上の所定の領域にレジスト膜を形成する。塗布ユニットCTは、塗布装置47、減圧乾燥装置48、周縁部除去装置49を有している。塗布装置47は、基板G上にレジスト膜を塗布する装置である。塗布装置47としては、例えば回転式塗布装置、ノンスピン式塗布装置、スリットノズル塗布装置などが用いられる。これら各種の塗布装置を交換可能な構成であっても構わない。減圧乾燥装置48は、レジスト膜を塗布した後の基板Gの表面を乾燥させる。周縁部除去装置49は、基板Gの周縁部に塗布されたレジスト膜を除去し、レジスト膜の形状を整える装置である。
【0036】
プリベークユニットPRは、塗布ユニットCTの下流に接続されており、基板Gにプリベーク処理を行うユニットである。プリベークユニットPRは、加熱装置50及び冷却装置51を有している。加熱装置50と冷却装置51とは、搬送機構TR2を挟むようにY方向に沿って配置されている。
【0037】
現像ユニットDVは、プリベークユニットPRの冷却装置51の−X側に接続されており、露光後の基板Gの現像処理を行う。現像ユニットDVは、現像装置55、リンス装置56及びエアナイフ装置57を有している。現像装置55は、基板Gに現像液を供給して現像処理を行う。リンス装置56は、現像後の基板Gにリンス液を供給し、基板Gを洗浄する。エアナイフ装置57は、基板G上にエアナイフを形成し、基板G上を乾燥させる。
現像装置55の+X側にはコンベア機構CV9が設けられており、エアナイフ装置57の−X側にはコンベア機構CV10が設けられている。
【0038】
紫外線処理ユニット(紫外線照射装置)UVは、現像ユニットDVの下流側に接続されており、現像後の基板Gに例えばi線などの紫外線を照射する。
【0039】
ポストベークユニットPBは、紫外線処理ユニットUVの下流側に接続されており、紫外線処理後の基板Gをベークする。ポストベークユニットPBは、加熱装置59及び冷却装置60を有している。加熱装置59は、現像後の基板Gにポストベークを行う。冷却装置60は、ポストベーク後の基板Gを冷却する。
【0040】
インターフェース部IFは、露光装置EXに接続される部分である。インターフェース部IFは、バッファ装置52、搬送機構TR3、コンベア機構CV7、CV8及び周辺露光装置EEを有している。バッファ装置52は、プリベークユニットPRの搬送機構TR2の+X側に配置されている。バッファ装置52の+X側には、搬送機構TR3が設けられている。
【0041】
バッファ装置52は、基板Gを一時的に待機させておく装置である。バッファ装置52には、基板Gを収容する不図示のチャンバや、当該チャンバ内の温度を調整する温調装置、チャンバ内に収容された基板GのθZ方向の位置を調整する回転制御装置などが設けられている。バッファ装置52のチャンバ内では、基板Gの温度を所定の温度に保持できるようになっている。コンベア機構CV7、CV8は、プリベークユニットPRの冷却装置51をX方向に挟むように配置されている。
【0042】
(紫外線照射装置)
図2は、紫外線処理ユニットUVを+Z側から見たときの構成を示す平面図である。図3は、紫外線処理ユニットUVを+Y側から見たときの構成を示す側面図である。図4は、図2における紫外線処理ユニットUVの断面構成を示す図であり、図5は図4の要部拡大断面図である。なお、図2〜図5においては、図を判別しやすくするため、それぞれ一部の構成を省略して示している。
【0043】
図2、3に示すように、紫外線処理ユニットUVは、第1〜第4予備室80〜83と、紫外線処理室84と、これら予備室80〜83及び紫外線処理室84間で基板Gを移動させる基板移動機構85と、を有している。第1〜第4予備室80〜83は、後述するように紫外線処理室84内を所定雰囲気に維持するためのものである。
【0044】
第1予備室80は、サブチャンバ110、メインチャンバ111、昇降機構112及び加熱機構113を有している。サブチャンバ110は現像ユニットDVに接続され、現像処理後の基板Gを紫外線処理ユニットUV内に搬入するためのものである。
【0045】
メインチャンバ111は、サブチャンバ110との接続部分に基板搬入口111aを有しており、該基板搬入口111aは不図示の開閉シャッターにより開閉可能とされている。すなわち、サブチャンバ110は紫外線処理ユニットUV内に基板Gの搬入を行うための基板搬入口(不図示)を構成している。メインチャンバ111は後述する所定雰囲気において基板Gを加熱した状態で収容するためのものである。また、メインチャンバ111は循環機構150に接続されており、内部雰囲気が循環されるようになっている。
【0046】
サブチャンバ110には排気ダクト110aが接続されており、サブチャンバ110内の雰囲気が排気されるようになっている。これにより、サブチャンバ110内の内部圧力が略一定に保持されるようになっている。サブチャンバ110には、不図示の気流調整部が設けられており、該気流調整部によって、メインチャンバ111からサブチャンバ110に流れた窒素画素が排気ダクト110aへ流れるようになっている。また、サブチャンバ110の搬入口が開口したときにも、大気が排気ダクト110a側へ流れるようになっている。
【0047】
循環機構150はメインチャンバ111内の雰囲気を基板Gの一端側から吸気した雰囲気をフィルター151に透過させることで該基板Gの他端側に排出するようになっている(図3参照)。フィルター151としては、HEPAフィルターを用いており、これにより内部雰囲気中に含まれた異物を除去した状態でメインチャンバ111内に循環させるようにしている。
【0048】
昇降機構112は、Z方向に移動可能に設けられている。昇降機構112の+Z側には、例えば複数の支持ピン112aが設けられている。複数の支持ピン112aの+Z側の端部は、例えばXY平面に平行な同一面内に設けられている。このため、複数の支持ピン112aによって基板GがXY平面に平行に支持されるようになっている。
【0049】
昇降機構112は、メインチャンバ111内に収容される基板Gを支持しつつ、当該基板Gをメインチャンバ111内のZ方向に沿って昇降可能となっている。昇降機構112は、例えばロボットアーム等によって現像ユニットDVから搬入された基板Gを受け取るためのものである。昇降機構112は、上昇させた支持ピン112a間の隙間にロボットアームを挿入させることでロボットアームとの間で基板Gの受け渡しを行うことができる。
【0050】
加熱機構113は、基板Gを加熱した状態で保持するホットプレート114を主体に構成されるものである。ホットプレート114におけるX方向に沿う端面には、後述する基板移動機構85の一部を移動可能とする溝部114aが形成されている(図3参照)。なお、ホットプレート114の表面温度は例えば100℃に設定されている。
【0051】
第2予備室81は、チャンバ121及び加熱機構123を有している。チャンバ121は、第1予備室80のメインチャンバ111との接続部分に基板搬入部122を有しており、基板搬入部122はシャッター構造により開閉可能となっている。チャンバ121は後述する所定雰囲気において基板Gを加熱した状態で収容するためのものである。また、チャンバ121はフィルター151を介して循環機構150に接続されており、内部雰囲気が循環されるようになっている。
【0052】
加熱機構123は、基板Gを加熱した状態で保持するホットプレート124を主体に構成されるものである。ホットプレート124におけるX方向に沿う端面には、後述する基板移動機構85の一部を移動可能とする溝部124aが形成されている(図3参照)。なお、ホットプレート124の表面温度は例えば100℃に設定されている。
【0053】
第3予備室82は、チャンバ131及び加熱機構133を有している。チャンバ131は、第2予備室81のチャンバ111との接続部分に間隔壁132を有している。なお、間隔壁132は第3予備室82のチャンバ131と第2予備室81のチャンバ121とは連通した状態に形成されている。チャンバ131は後述する所定雰囲気において基板Gを加熱した状態で収容するためのものである。また、チャンバ131はフィルター151を介して循環機構150に接続されており、内部雰囲気が循環されるようになっている。
【0054】
加熱機構133は、基板Gを加熱した状態で保持するホットプレート134を主体に構成されるものである。ホットプレート134におけるX方向に沿う端面には、後述する基板移動機構85の一部を移動可能とする溝部134aが形成されている(図3参照)。なお、ホットプレート134の表面温度は例えば100℃に設定されている。
【0055】
第4予備室83は、サブチャンバ140、メインチャンバ141、昇降機構142及び加熱機構143を有している。サブチャンバ140はポストベークユニットPBに接続され、紫外線照射処理後の基板GをポストベークユニットPB内に搬入するためのものである。すなわち、サブチャンバ140は紫外線処理ユニットUV内から基板Gの搬出するための基板搬出口を構成している。
【0056】
メインチャンバ141は、サブチャンバ140との接続部分に基板搬入口141aを有しており、該基板搬入口141aは不図示の開閉シャッターにより開閉可能とされている。メインチャンバ141は紫外線の照射処理が行われた基板Gを収容する。メインチャンバ141は後述する所定雰囲気において基板Gを加熱した状態で収容するためのものである。また、チャンバ141はフィルター151を介して循環機構150に接続されており、内部雰囲気が循環されるようになっている。
【0057】
昇降機構142は、Z方向に移動可能に設けられている。昇降機構142の+Z側には、例えば複数の支持ピン142aが設けられている。複数の支持ピン142aの+Z側の端部は、例えばXY平面に平行な同一面内に設けられている。このため、複数の支持ピン142aによって基板GがXY平面に平行に支持されるようになっている。
【0058】
昇降機構142は、メインチャンバ141内に収容される基板Gを支持しつつ、当該基板Gをメインチャンバ141内のZ方向に沿って昇降可能となっている。昇降機構142は、例えばロボットアーム等により、サブチャンバ140を介してポストベークユニットPBとの間で基板Gの受け渡しを行うためのものである。昇降機構112は、上昇させた支持ピン112a間の隙間にロボットアームを挿入させることでロボットアームとの間で基板Gの受け渡しを行うことができる。
【0059】
加熱機構143は、基板Gを加熱した状態で保持するホットプレート144を主体に構成されるものである。ホットプレート144におけるX方向に沿う端面には、後述する基板移動機構85の一部を移動可能とする溝部144aが形成されている(図3参照)。なお、ホットプレート144の表面温度は例えば100℃に設定されている。
【0060】
紫外線処理室84は、チャンバ161、チャンバ161内の基板Gに対して紫外線を照射する紫外線照射部162、加熱機構163及びチャンバ161内に不活性ガス(気体)を供給するガス供給部165を有している。
【0061】
チャンバ161は紫外線の照射処理が行われる基板Gを収容する。紫外線照射部162は、X方向に沿って走査しながらチャンバ161内の基板Gに対して紫外線を照明するようにチャンバ161の上面に取り付けられている。また、チャンバ161は、不図示の領域においてフィルター151を介して循環機構150に接続されており、内部雰囲気が循環されるようになっている。
【0062】
チャンバ161は、第3予備室82のチャンバ131との接続部分に基板搬入部161aを有しており、第4予備室83のメインチャンバ141との接続部分に基板搬出部161bを有している。これら基板搬入部161a及び基板搬出部161bはシャッター構造により開閉可能とされている。
【0063】
紫外線照射部162は、基板Gに照射する紫外線を照明する。紫外線照射部162は、紫外線を照射する光源86を有し、該光源86が基板Gに対してX方向に走査可能に構成されている。光源86としては、紫外線(例えばi線など)を照射する光源が用いられている。光源86として、波長340nm〜420nmの範囲の紫外線を照射するメタルハライドランプ、LEDランプ、及び高圧水銀ランプ等を例示することができる。具体的に本実施形態では、高圧水銀ランプを採用した。なお、光源86に所定の波長の紫外線のみを透過させる紫外線カットを設け、上記i線を照射するようにしても構わない。光源86は、上記i線を照射することで、基板Gに形成されたレジスト表面をキュアし、レジストの後の工程においてレジストが熱等によるダレが生じるのを防止することができる。
【0064】
加熱機構163は基板Gを加熱した状態で保持するホットプレート164を主体に構成されるものである。ホットプレート164におけるX方向に沿う端面には、後述する基板移動機構85の一部を移動可能とする溝部164aが形成されている。なお、ホットプレート164の表面温度は例えば100℃に設定されている。
【0065】
ガス供給部165は、チャンバ161内に不活性ガス(気体)を供給するためのものである。上記不活性ガスとしては窒素ガスを用いるのが好ましく、ガス供給部165は窒素ガスをチャンバ161内に供給することで低酸素状態(脱酸素及び脱水分状態)に保持している。具体的にガス供給部165は、チャンバ161内の酸素濃度が100ppm程度となるようにチャンバ161内に窒素ガスを供給する。なお、紫外線処理ユニットUVは、装置の立ち上げ時に、処理室84以外の予備室80〜83にも不図示のガス供給部から窒素ガスを導入し、予備室80〜83及び処理室84全体を脱酸素、脱水分状態に保持するようにしている。
【0066】
上述の第1予備室80のメインチャンバ111、第2予備室81のチャンバ121、第3予備室82のチャンバ131、処理室84の内部圧力は、不図示の圧力調整機構により紫外線処理室84のチャンバ161側からサブチャンバ110側に向かって次第に低くなるように設定されている。また、第4予備室83のメインチャンバ141の内部圧力は、紫外線処理室84のチャンバ161よりも低く設定されている。すなわち、紫外線処理室84のチャンバ161は、他のチャンバ111、121、131、141に対して正圧状態とされている。
【0067】
この構成に基づき、紫外線処理室84のチャンバ161内にガス供給部165によって供給された窒素ガスは、チャンバ161内に基板Gを搬入する際に基板搬入部161aのシャッターが開くと相対的に圧力の低いチャンバ131及び該チャンバ131に連通するチャンバ121内へと流れ込むようになっている。また、チャンバ121内の窒素ガスは、第1予備室80のメインチャンバ111からチャンバ121内に基板Gを搬入する際に基板搬入部122のシャッターが開くと相対的に圧力の低いメインチャンバ111内へと流れ込むようになっている。また、チャンバ161内の窒素ガスは、チャンバ161内から基板Gを搬出する際に基板搬入部161aのシャッターが開くと相対的に圧力の低い第4予備室83のメインチャンバ111内へと流れ込むようになっている。
これにより、チャンバ161側に近いチャンバ141,131,121,111の順に酸素濃度が低い状態が維持されるようになっている。
【0068】
具体的に第1予備室80のメインチャンバ111の酸素濃度は、紫外線処理室84のチャンバ161の酸素濃度を100%とした時の70%程度に設定され、第2予備室81のチャンバ121の酸素濃度は80%程度、第3予備室82のチャンバ131及び第4予備室83のメインチャンバ141の酸素濃度は90%程度に設定されている。
【0069】
図4に示すように基板移動機構85は、基板保持部材170と、該基板保持部材170をガイドするガイド部171と、ガイド部171に沿って基板保持部材170を駆動させる駆動機構172とを有している。基板保持部材170は、基板GのY方向における両端部の裏面側を保持する保持部170aを有する。なお、基板保持部材170は、同時に4枚の基板Gを保持可能な大きさを有している。ガイド部171は予備室80〜83及び紫外線処理室84間の各チャンバを連通した状態に設けられている。基板保持部材170は駆動機構172によってX方向及びZ方向に移動可能とされている。
【0070】
このような構成に基づき、基板移動機構85は、基板保持部材170をX方向に移動させることで複数(最大で4枚)の基板Gを同時に各チャンバ111,121,131,161,141内で移動可能となっている。これにより、紫外線処理ユニットUV内を通過する基板Gのタクトを短縮することができる。
【0071】
図2に示したように基板保持部材170は、保持部170aがホットプレート114の溝部114a、ホットプレート124の溝部124a、ホットプレート134の溝部134a、及びホットプレート144の溝部144a内を移動可能とされている。また、上記ホットプレート114、124、134、144、164の各々には、上記溝114a、124a、134a、144a、164aに連通する切欠114b、124b、134b、144b、164b(以下、切欠114b〜164bと称す場合もある)がそれぞれ形成されている。
【0072】
駆動機構172は、上記切欠114b〜164bを介して基板保持部材170の保持部170aをホットプレート114〜164の上方に突出させることが可能となっている。一方、基板Gを保持した基板保持部材170の保持部170aは、各切欠114b〜164bを介して下降することで各ホットプレート114〜164内に収容されることで対応するホットプレートに基板Gを良好に載置することができる。このような構成に基づき、基板保持部材170はホットプレート114〜164との間で基板Gの受け渡し又は受け取りを行うことが可能となっている。
【0073】
以上のように構成された基板処理装置SPAを用いる基板処理方法を説明する。
まず、基板Gが収容されたカセットCをローダ・アンローダLUのカセット待機部10にロードする。カセットC内の基板Gは、搬送機構11を介してスクラバユニットSRへ搬送される。
【0074】
スクラバユニットSRに搬送された基板Gは、コンベア機構CV1を介してドライ洗浄装置41へ搬送される。この基板Gは、ドライ洗浄装置41、ウェット洗浄装置42及びエアナイフ装置43と順に処理される。エアナイフ装置43から搬出された基板Gは、コンベア機構CV2を介して脱水ベークユニットDHへと搬送される。
【0075】
脱水ベークユニットDHでは、まず加熱装置44によって基板Gの加熱処理が行われる。加熱後の基板Gは、例えばZ方向に搬送され、HMDS装置46においてHMDSガスによる処理が行われる。HMDS処理後の基板Gは、搬送機構TR1によって冷却装置45に搬送され、冷却処理が行われる。冷却処理後の基板Gは、コンベア機構CV4によって塗布ユニットCTに搬送される。
【0076】
その後、基板Gは塗布ユニットCTにおいてレジスト膜の塗布処理が行われる。塗布処理後の基板GはプリベークユニットPRに搬送され、加熱装置50においてプリベーク処理が行われ、冷却装置51において冷却処理が行われる。プリベークユニットPRでの処理を完了させた基板Gは、搬送機構TR2によってインターフェース部IFに搬送される。
【0077】
インターフェース部IFでは、例えばバッファ装置52において温度調整が行われた後、周辺露光装置EEにおいて周辺露光が行われる。周辺露光の後、基板Gは、搬送機構TR3によって露光装置EXに搬送され、露光処理が行われる。露光処理後の基板Gは、加熱処理及び冷却処理が行われた後、現像ユニットDVに搬送される。
【0078】
現像ユニットDVにおいて、基板Gには現像処理、リンス処理及び乾燥処理が順に行われる。乾燥処理の後、コンベア機構CV10によって基板Gは紫外線処理ユニットUVへと搬送される。
【0079】
なお、以下では、紫外線処理ユニットUV内に搬入した1枚の基板Gが各チャンバ間を移動する工程について説明する。
まず、はじめに紫外線処理ユニットUVでは、サブチャンバ110(基板搬入口111a)を介して第1予備室80のメインチャンバ111内に不図示のロボットアームによって基板Gが搬送される。このとき、昇降機構112は支持ピン112aを+Z側に移動させ、ロボットアームの高さよりも高い位置(+Z側の位置)まで基板Gを持ち上げる。これにより、ロボットアームから支持ピン112aへと基板Gが受け渡される。基板Gの受け渡し後、ロボットアームをメインチャンバ111内から退避させ、メインチャンバ111を密閉する。
【0080】
基板Gを受け取った後、昇降機構112は支持ピン112aを下降させることで基板Gをホットプレート114上に載置する。基板Gはホットプレート114により100℃で加熱される。このように第1予備室80内において基板Gを予め加熱することで紫外線処理室84内において基板Gを所定温度まで短時間で加熱できる。なお、チャンバ111内は、循環機構150によって内部雰囲気がフィルター151を介して循環されるため、クリーンな雰囲気が安定的に維持されている(図5参照)。なお、図5は第2予備室81のチャンバ121内における内部雰囲気の循環状態を示すものの、第1予備室80のチャンバ111内においても同様である。具体的にチャンバ111内の内部雰囲気はチャンバ121の側方の下部に設けられた雰囲気導入部125を介して循環機構150へと導かれるようになっている。内部雰囲気は雰囲気導入部125を介して上方へと導かれる構成となっているため、例えば内部雰囲気中に昇華物等の異物が含まれた場合に該異物は雰囲気導入部125に設けられた不図示のフィルター等によって捕獲することができる。よって、循環機構150に対して異物を除去した気体を供給することができる。
【0081】
基板Gをホットプレート114によって所定時間加熱した後、駆動機構172は切欠114bを介してホットプレート114内に収容されている基板保持部材170の保持部170aを+Z方向に上昇させる。
これにより、ホットプレート114に保持されていた基板Gは保持部170aによってホットプレート114の上方に持ち上げられる。
【0082】
続いて、駆動機構172は、基板保持部材170を用いて基板Gを第1予備室80内から第2予備室81内へと移動する。紫外線処理ユニットUVでは、基板保持部材170が4つの基板Gを同時に載置可能な大きさを有していることから隣接するチャンバ間において基板Gを移動させる際、基板保持部材170が一体で移動する構成となっている。そのため、基板搬入部122、基板搬入部161a、基板搬出部161bのシャッターを同時に開くことで、駆動機構172が基板保持部材170をX方向に沿って移動できる構成としている。
【0083】
基板Gを保持した基板保持部材170は、駆動機構172によって−X方向に移動し、基板搬入部122を介して第2予備室81内に基板Gを搬入する。駆動機構172は、切欠124aと保持部170aとがZ方向から視て重なる位置まで基板保持部材170を移動させ、基板保持部材170の保持部170aを下降させることで保持部170aを溝部124a内に収容する。これにより、基板Gは、基板保持部材170からホットプレート124へと受け渡される。基板Gはホットプレート124により100℃で加熱される。このように第2予備室81内において基板Gを予め加熱することで紫外線処理室84内において基板Gを所定温度まで短時間で加熱できる。
【0084】
なお、チャンバ121内は、循環機構150によって内部雰囲気がフィルター151を介して循環されるため、クリーンな雰囲気が安定的に維持されている(図5参照)。基板保持部材170は、駆動機構172により、基板Gをホットプレート124に受け渡した後、溝部124a内を通って初期位置へと戻される。このように基板保持部材170は、ホットプレート124の溝部124a内を移動することで移動に要する時間を短縮できる。
【0085】
なお、基板保持部材170を初期位置に戻すタイミングで、サブチャンバ110(基板搬入口111a)を介して第1予備室80のメインチャンバ111内にはロボットアーム(不図示)によって別の基板Gが順次搬送されている。この別の基板は、先に搬入されている基板Gと同様、第2予備室81、第3予備室82、紫外線処理室84、第4予備室83を経て紫外線処理ユニットUVから搬出されるようになっている。すなわち、本実施形態に係る紫外線処理ユニットUVによれば、同時に4枚の基板Gを隣接するチャンバ間で搬送することが可能となっている。
【0086】
基板Gをホットプレート124によって所定時間加熱した後、駆動機構172は切欠124bを介して保持部170aを+Z方向に上昇させることでホットプレート124の上方に基板Gを持ち上げる。そして、駆動機構172は基板保持部材170を−X方向に移動させることで第2予備室81のチャンバ121内の基板Gを第3予備室82のチャンバ131内へと移動する。
【0087】
駆動機構172は、切欠134bを介して基板保持部材170(保持部170a)を溝部134aに収容することで基板Gを第3予備室82のホットプレート134へと受け渡す。駆動機構172は基板保持部材170を初期位置まで戻す。このように基板保持部材170は、ホットプレート134の溝部134a内を移動することで移動に要する時間を短縮できる。
【0088】
基板Gはホットプレート134により所定時間100℃で加熱される。このように第3予備室82内において基板Gを予め加熱することで紫外線処理室84内において基板Gを所定温度まで短時間で加熱できる。
なお、チャンバ131内は、循環機構150によって内部雰囲気がフィルター151を介して循環されるため、クリーンな雰囲気が安定的に維持されている(図5参照)。
【0089】
なお、第1予備室80内のホットプレート114に別の基板Gが載置されている場合においては、第2予備室81内から第3予備室82内へと基板Gが搬送されるタイミングと同時に、基板保持部材170によって別の基板Gが第1予備室80内から第2予備室81内へと搬送される。
【0090】
基板Gをホットプレート134によって所定時間加熱した後、駆動機構172は切欠134bを介して保持部170aを+Z方向に上昇させることでホットプレート134の上方に基板Gを持ち上げる。そして、駆動機構172は基板保持部材170を−X方向に移動させることで第3予備室82のチャンバ131内の基板Gを基板搬入部161aを介して紫外線処理室84のチャンバ161内へと移動する。
【0091】
駆動機構172は、切欠164bを介して基板保持部材170(保持部170a)を溝部164aに収容することで基板Gを紫外線処理室84のホットプレート164へと受け渡す。駆動機構172は基板保持部材170を初期位置まで戻す。このように基板保持部材170は、ホットプレート164の溝部164a内を移動することで移動に要する時間を短縮できる。
以上により、紫外線処理室84への基板Gの搬入動作が完了する。
【0092】
ところで、紫外線処理ユニットUV内で基板Gの搬入が行われると、サブチャンバ110,140を介してユニットUV内に外気が入り込み、紫外線処理ユニットUV内部の酸素濃度が上昇する可能性がある。特に紫外線処理室84のチャンバ161内の酸素濃度が上昇すると基板Gの表面において化学反応が生じ、不純物が生成されることで紫外線照射処理を良好に行うことができなくなってしまう可能性がある。
【0093】
これに対し、本実施形態では、上述のように紫外線処理室84のチャンバ161と紫外線処理ユニットUV内に基板Gの搬入を行うための基板搬入口をなすサブチャンバ110との間に第1予備室80乃至第3予備室82を設けている。
【0094】
これによれば、紫外線処理ユニットUVに対して基板Gの搬入を行った場合であっても、上記第1予備室80乃至第3予備室82によって紫外線処理室84のチャンバ161内の雰囲気が変動するのを防止することができ、チャンバ161内を所定雰囲気(低酸素雰囲気)に維持することができる。
【0095】
具体的に基板Gの搬入時に基板搬入部161aのシャッターが開くと、第3予備室82のチャンバ131内には相対的に内部圧力が高い状態(正圧状態)とされる紫外線処理室84のチャンバ161内から窒素ガスが流れ込むことで酸素濃度が低い状態(チャンバ161の酸素濃度の90%程度)に維持される。なお、紫外線処理室84のチャンバ161は、ガス供給部165によって窒素ガスが供給されることで所定の低酸素雰囲気に維持することができる。
【0096】
また、第3予備室82のチャンバ131と第2予備室81のチャンバ121とは連通していることから第2予備室81のチャンバ121内には相対的に内部圧力が高い状態(正圧状態)とされる第3予備室82のチャンバ131内から窒素ガスが流れ込むことで酸素濃度が低い状態(チャンバ161の酸素濃度の80%程度)に維持される。
【0097】
また、基板Gの搬入時に基板搬入部122のシャッターが開くと、第1予備室80のチャンバ111内には相対的に内部圧力が高い状態(正圧状態)とされる第2予備室81のチャンバ121内から窒素ガスが流れ込むことで酸素濃度が低い状態(チャンバ161の酸素濃度の70%程度)に維持される。
【0098】
このように本実施形態においては、基板Gを紫外線処理ユニットUV内に基板Gの搬入した場合であっても、紫外線処理室84のチャンバ161内を所定雰囲気に維持することができる。
【0099】
基板Gが搬入された後、紫外線処理室84は、ホットプレート164によって加熱される基板Gに対して紫外線照射部162の光源86から紫外線(i線)を照射する。ここで、チャンバ161内は上述のようにガス供給部165によって窒素ガスが供給されることで低酸素状態とされているため、基板Gに形成された現像パターンに化学変化等を生じさせることなく、良好に紫外線照射処理を行うことができる。
【0100】
紫外線照射処理後、駆動機構172は切欠164bを介して保持部170aを+Z方向に上昇させることでホットプレート164の上方に基板Gを持ち上げる。そして、駆動機構172は基板保持部材170を−X方向に移動させることで基板Gを基板搬出部161bを介して第4予備室83のメインチャンバ141内へと搬入する。
【0101】
駆動機構172は、切欠164bと保持部170aとがZ方向から視て重なる位置まで基板保持部材170を移動させた後、基板保持部材170を下降させることで保持部170aを溝部144a内に収容する。これにより、基板Gがホットプレート144へと受け渡される。駆動機構172は、基板Gをホットプレート144に受け渡した後、溝部144a内を通って基板保持部材170を初期待機位置まで戻す。基板Gはホットプレート144により所定時間100℃で加熱される。このように第4予備室83内において基板Gを予め加熱することでポストベークユニットPB内において基板Gを所定温度まで短時間で加熱できる。
なお、メインチャンバ141内は、循環機構150によって内部雰囲気がフィルター151を介して循環されるため、クリーンな雰囲気が安定的に維持されている(図5参照)。
【0102】
続いて、サブチャンバ140(基板搬出口141b)を介して第4予備室83のメインチャンバ141内にロボットアーム(不図示)が侵入し、基板Gを搬出する。このとき、昇降機構142は支持ピン142aを+Z側に移動させ、ロボットアームの高さよりも高い位置(+Z側の位置)まで基板Gを持ち上げ、基板Gの裏面にロボットアームが挿入された状態で支持ピン142aを下降させる。これにより、支持ピン142aからロボットアームへと基板Gの受け渡しを行うことができる。基板Gの受け渡し後、ロボットアームをメインチャンバ141内から退避させ、メインチャンバ141を密閉する。そして、ロボットアームは、サブチャンバ140を経て紫外線処理ユニットUV内から搬出した基板GをポストベークユニットPB内へと搬入する。
【0103】
ところで、紫外線処理ユニットUV内から基板Gを搬出する際、サブチャンバ140を介して外気が入り込むことで紫外線処理ユニットUV内部(メインチャンバ141)の酸素濃度が上昇する可能性がある。特に紫外線処理室84のチャンバ161内の酸素濃度が上昇すると基板Gの表面において化学反応が生じ、不純物が生成されることで紫外線照射処理を良好に行うことができなくなってしまう可能性がある。
【0104】
これに対し、本実施形態では、上述のように紫外線処理室84のチャンバ161と紫外線処理ユニットUV内から基板Gの搬出を行うための基板搬出口をなすサブチャンバ140との間に第4予備室83を設けている。
【0105】
これによれば、紫外線処理ユニットUV内から基板Gの搬出を行う場合であっても、上記第4予備室83によって紫外線処理室84のチャンバ161内の雰囲気が変動するのを防止することができ、チャンバ161内を所定雰囲気(低酸素雰囲気)に維持することができる。
【0106】
具体的に基板Gの搬出時に基板搬出部161bのシャッターが開くと、メインチャンバ141には相対的に内部圧力が高い状態(正圧状態)とされる紫外線処理室84のチャンバ161内に供給された窒素ガスが流れ込むことで酸素濃度が低い状態(チャンバ161の酸素濃度の80%程度)に維持される。なお、紫外線処理室84のチャンバ161は、ガス供給部165によって窒素ガスが供給されることで所定の低酸素雰囲気に維持することができる。
【0107】
このように本実施形態においては、基板Gを紫外線処理ユニットUV内から基板Gを搬出した場合であっても、紫外線処理室84のチャンバ161内を所定雰囲気に維持することができる。
【0108】
ポストベークユニットPB内に搬入された基板Gは加熱装置59においてポストベーク処理が行われ、冷却装置60において冷却される。冷却処理後、基板Gは搬送機構11を介してカセットCに収容される。このようにして、基板Gに対して塗布処理、露光処理及び現像処理の一連の処理が行われることとなる。
【0109】
以上のように、本実施形態によれば、第1予備室80乃至第4予備室83を備えることで基板Gの搬入、搬出時に紫外線処理室84内への酸素及び水分の混入を防止しつつ、紫外線処理室84内を所定の低酸素雰囲気に安定的に維持できる。よって、従来のように低酸素を維持するための真空ポンプが不要となるので、紫外線照射ユニットUVの小型化及び低コスト化を実現できる。
【0110】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、基板保持部材170が複数(4枚)の基板Gを同時に支持する構成を例に挙げたが、基板保持部材170が1枚ずつの基板Gを載置し、駆動機構172により各々が独立してチャンバ間を移動する構成を採用しても構わない。
【0111】
また、上記実施形態では、紫外線処理室84のチャンバ161と紫外線処理ユニットUV内から基板Gの搬出を行うための基板搬出口をなすサブチャンバ140との間に第4予備室83を設ける場合を例に説明したが、紫外線処理室84のチャンバ161と紫外線処理ユニットUV内に基板Gの搬入を行うための基板搬入口をなすサブチャンバ110との間に第1予備室80乃至第3予備室82のみが設けられた構成であっても構わない。
【0112】
また、上記実施形態では、ガス供給部165が紫外線処理室84のチャンバ161のみに設けられる構成を例に挙げたが、第1予備室80乃至第3予備室82の各チャンバ111乃至141の各々にガス供給部165を設けるようにしても構わない。
【0113】
また、上記実施形態では、各チャンバ111乃至141に設けたホットプレート114乃至143について紫外線処理室84のチャンバ161内に設置されるホットプレート164と同じ温度(100℃)で基板Gを加熱する構成としたが、チャンバ161側から離間するに従ってホットプレート114乃至143の温度を順次低くする構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0114】
UV…紫外線処理ユニット、SPA…基板処理装置、47…塗布装置、55…現像装置、80…第1予備室、81…第2予備室、82…第3予備室、83…第4予備室、84…紫外線処理室、85…基板移動機構、110…サブチャンバ(基板搬入口)、140…サブチャンバ(基板搬出口)、113,123,133,143,163…加熱機構、114,124,134,144,164…ホットプレート、114a、124a、134a、144a、164a…溝、114b、124b、134b、144b、164b…切欠、150…循環機構、151…フィルター、162…紫外線照射部、165…ガス供給部、170…基板保持部材、170a…保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する紫外線照射を行う処理室と、
少なくとも前記処理室内の前記基板を加熱する加熱機構と、
前記処理室内を脱酸素及び脱水分状態に保持するように該処理室内に気体を供給する気体供給部と、
当該紫外線照射装置内に前記基板の搬入を行うための基板搬入口と前記処理室との間に少なくとも設けられ、前記処理室に連通されることで該処理室内を所定雰囲気に維持する予備室と、を備えることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記予備室を複数備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記気体供給部は、前記処理室内に不活性ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記気体供給部は、前記不活性ガスとして窒素ガスを供給することを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記複数の予備室における内部圧力は、前記処理室側から前記基板搬入口側に向かって次第に低くなるように設定されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記予備室及び前記処理室間において前記基板を移動させる基板移動機構を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記加熱機構は、前記基板を保持した状態で加熱するプレートを含み、
前記基板移動機構の一部は、前記プレートに設けられた溝部内を移動することを特徴とする請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記加熱機構は、前記予備室内の前記基板も加熱することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記予備室は、内部雰囲気を循環させる循環機構を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記循環機構は、HEPAフィルターを用いて前記内部雰囲気の循環を行うことを特徴とする請求項9に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記予備室は、当該紫外線照射装置内から前記基板の搬出を行うための基板搬出口と前記処理室との間にも設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
基板に処理液の塗布処理を行う塗布装置と、
前記基板に塗布された前記処理液の現像処理を行う現像装置と、
前記基板に紫外線照射処理を行う紫外線照射装置と、
前記塗布処理、前記現像処理及び前記紫外線照射処理の関連処理を行う関連装置と、を備え、前記塗布装置、前記現像装置、前記紫外線照射装置及び前記関連装置の間を直列的に前記基板を搬送する基板処理装置であって、
前記紫外線照射装置として、請求項1〜11のいずれか一項に記載の紫外線照射装置が用いられていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110194(P2013−110194A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252455(P2011−252455)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】