説明

組換えNDV抗原及びその使用

本発明は、NDVワクチンを包含する。ワクチンは、NDVのHNに基づいたサブユニットワクチンであり得る。NDV HNは、植物又は微細藻類を含めた藻類において発現され得る。本発明はまた、NDVから動物を保護するために使用できるNDV抗原、エピトープ又は免疫原をコードし、発現する組換えベクターも包含する。ウイルスベクター又は不活化ワクチン及びサブユニットワクチンを使用するプライム−ブーストスキームを含む、DIVA戦略に適合するワクチン接種計画も包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月28日に出願された米国仮出願番号第61/290,297号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、NDV抗原を含む医薬組成物、特に、NDV HN抗原を含む医薬組成物を包含する。
【背景技術】
【0003】
ウイルスパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)は、公衆衛生並びに世界経済に対して重大な影響をもたらすヒト(麻疹、ムンプス、パラNDV及び呼吸器合胞体ウイルス)及び動物病原体(ニューカッスル病ウイルス及び牛疫ウイルス)の両方を含む(Lamb et al., 2007, Paramyxoviridae: The viruses and Their Replication, p. 1449-1496)。このウイルス科のメンバーは、一分節マイナス一本鎖RNAゲノムを有することによって定義される。パラミクソウイルス科は、2つの亜科、すなわち、パラミクソウイルス亜科(Paramyxovirinae)及びニューモウイルス亜科(Pneumovirinae)からなる。最近の再分類によって、パラミクソウイルス亜科は、5つの属、すなわち、モルビリウイルス(Morbillivirus)、ヘニパウイルス(Henipavirus)、ルブラウイルス(Rubulavirus)、レスピロウイルス(Respirovirus)及びアブラウイルス(Avulavirus)を含み、一方で、ニューモウイルス亜科は、ニューモウイルス(Pneumovirus)及びメタニューモウイルス(Metapneumovirus)を含む(Mayo, 2002, Arch Virol 147:1655-63)。鳥類パラミクソウイルス(APMV)は、アブラウイルス属に分類され、血球凝集阻害(HI)試験を使用して定義されている9種の抗原的に別個の血清型を含む(Alexander, 1988, Newcastle disease, p. x, 378 p)。9種の血清型のうち、APMV−1サブタイプに属する分離株は、商業用家禽において壊滅的な疾患を引き起こすことがあり、強毒性(velogenic)ニューカッスル病ウイルス(NDV)として分類される。NDVの軽度な形態は、中等毒性(mesogenic)及び弱毒性(lentogenic)分離株と呼ばれており、これでは、後者の形態は、家禽ではほとんど無症候性である。NDVのゲノムRNAは、6種のタンパク質:HN(血球凝集素−ノイラミニダーゼ)、NP(ヌクレオカプシドタンパク質)、P(リン酸化タンパク質)、M(マトリックスタンパク質)、F(融合タンパク質)及びL(RNA依存性RNAポリメラーゼ(polymerse))をコードする遺伝子を含有する。
【0004】
ウイルスベクターワクチンは、ワクチン開発において最も急速に成長している領域の1つに相当する。主要な世界的伝染病、HIV、結核及びマラリアのための臨床開発にある多数のワクチンがウイルスベクターである。現在使用されているウイルスベクターの不都合な点は、母系性に由来する抗体又は過去の感染によって獲得した抗体の存在である。
【0005】
最近、植物及び藻類が、ワクチン、抗体及び生物製剤などの治療薬の製造のための供給源として調査された。これらの植物及び藻類発現系は、いくつかの利点を提供する。例えば、植物又は藻類発現生成物からワクチンを導くことによって、動物病原体の混入のリスクが排除され、熱安定性環境が提供され得、食用物質として投与される場合には注射関連の危険が避けられる(Thanavala et al., Expert Rev. Vaccines 2006, 5, 249-260)。さらに、植物又は藻類は、大規模で増殖させることができ、既存の栽培、収穫及び保存施設を利用できる。さらに、植物(Giddings et al., Nature Biotech. 2000, 18, 1151-1155)又は藻類から治療薬を導くのには、最小の製造及び加工コストしかかからない。NDVに対する食用ワクチンを開発するために、NDVのF及びHNタンパク質を、ジャガイモ植物において発現させた(Berinstein A., et al., 2005, Vaccine 23: 5583-6689)。国際公開第2004/098533号パンフレットには、タバコ植物におけるNDV HN抗原及び鳥類インフルエンザウイルスHA抗原の発現が開示されている。米国特許出願公開第2010/0189731号明細書には、ウキクサ植物における鳥類インフルエンザウイルスHA抗原の発現が開示されている。
【0006】
植物又は藻類に由来するワクチン、抗体、タンパク質及び生物製剤の開発は、治療プロセスからは程遠く、このようなワクチン製造に付随することが多い多数の障害がある。植物ワクチンを成功裏に製造することに対する制限として、生物製剤又は発現される抗原の低い収率(Chargelegue et al., Trends in Plant Science 2001, 6, 495-496)、タンパク質不安定性、製品品質に一貫性がないこと(Schillberg et al., Vaccine 2005, 23, 1764-1769)及び期待された大きさ及び免疫原性のウイルス様生成物を製造する能力が不十分であること(Arntzen et al., Vaccine 2005, 23, 1753-1756)が挙げられる。これらの問題に対処するために、コドン最適化、植物又は藻類生成物を収穫及び精製するための注意深いアプローチ、材料の摂取を増大するための葉緑体などの植物部分の使用及び細胞内ターゲッティングの改善は、可能性ある戦略としてすべて考慮される(Koprowski, Vaccine 2005, 23, 1757-1763)。
【0007】
公衆衛生及び経済に対するNDVなどの動物病原体の潜在的な影響を考慮すると、感染を予防する方法及び動物を保護する方法が必要である。さらに、病原体に対する有効なワクチン及びワクチンを製造するための適した方法も必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/098533号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0189731号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Lamb et al., 2007, Paramyxoviridae: The viruses and Their Replication, p. 1449-1496
【非特許文献2】Mayo, 2002, Arch Virol 147:1655-63
【非特許文献3】Alexander, 1988, Newcastle disease, p. x, 378 p
【非特許文献4】Thanavala et al., Expert Rev. Vaccines 2006, 5, 249-260
【非特許文献5】Giddings et al., Nature Biotech. 2000, 18, 1151-1155
【非特許文献6】Berinstein A., et al., 2005, Vaccine 23: 5583-6689
【非特許文献7】Chargelegue et al., Trends in Plant Science 2001, 6, 495-496
【非特許文献8】Schillberg et al., Vaccine 2005, 23, 1764-1769
【非特許文献9】Arntzen et al., Vaccine 2005, 23, 1753-1756
【非特許文献10】Koprowski, Vaccine 2005, 23, 1757-1763
【発明の概要】
【0010】
NDV(ニューカッスル病ウイルス)抗原及びその断片及びバリアントを含む組成物を提供する。NDV抗原並びにその断片及びバリアントは、免疫原性及び保護特性を有する。好ましくは、NDV抗原は、NDV HN(血球凝集素−ノイラミニダーゼ)抗原又はその断片若しくはバリアントを含む。NDV抗原は、植物又は藻類において製造され得る。
【0011】
NDV抗原並びにその断片及びバリアントは、ワクチン及び/又は医薬組成物に製剤してもよい。このようなワクチン又は組成物を使用して、動物にワクチン接種してもよく、NDVの少なくとも1つの形態に対する保護を提供してもよい。
【0012】
本発明の方法は、植物又は藻類においてNDV抗原並びにその断片及びバリアントを製造する方法を含む。本方法はまた、保護的免疫原性応答を誘発するために、動物に、有効量のNDV抗原性ポリペプチド(単数及び複数)並びにその断片及びバリアントを投与することを含む使用方法を含む。植物又は藻類において製造した後、NDV抗原性ポリペプチド並びにその断片及びバリアントを、ワクチン又は組成物として使用するために部分的に又は実質的に精製してもよい。
【0013】
少なくとも1種のNDV抗原性ポリペプチド又はその断片若しくはバリアントと、使用のための説明書とを含むキットも提供する。
【0014】
例として与えられる以下の詳細な説明は、本発明を、記載される特定の実施形態だけに制限しようとするものではなく、添付の図面と併せて最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ポリヌクレオチド及びタンパク質配列に割り当てられた配列番号を示す表を提供する図である。
【図2】NDV HN遺伝子のDNA及びタンパク質配列並びにグリコシル化部位を提供する図である。
【図3】96ウェルプレート形式のHA分析を示す図である。
【図4】発現されたNDV HN遺伝子のSDS−PAGE及びウエスタンブロット解析を示す図である。
【図5】グリコシル化分析及びグリコシル化部位分析のためのクマシー染色、過ヨウ素酸染色、イムノブロットの画像を示す図である。
【図6a−6b】種々の株及び成熟タンパク質配列(シグナルペプチドを含まない)から得たNDV HNのタンパク質配列アラインメントを提供する図である。
【図7a】種々のNDV株から得たDNAの配列アラインメントを提供する図である。
【図7b】NDV HNの野生型DNAコーディングとコドン最適化(微細藻類が好む)DNAコーディングとの間、及びNDV HNの野生型DNAコーディングとコドン最適化(ウキクサが好む)DNAコーディングとの間のDNA配列アラインメントを示す図である。
【図7c】ウキクサ植物形質転換のためのプラスミドマップを表す図である。
【図8】HN直鎖エピトープ領域を示すためのNDV HNタンパク質の配列アラインメントを提供する図である。
【図9】種々の株のNDV HN中のグリコシル化部位の位置及び存在を示す表を提供する図である。
【図10】NDV HN CA/02タンパク質(配列番号3)のグリコシル化部位及びHN直鎖エピトープ領域の図式的特徴マップを提供する図である。
【図11】藻類において発現されたNDV HN(配列番号3)のペプチド配列分析を提供する図である。
【図12】HI力価試験結果及び死亡率試験結果を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
動物において免疫原性応答を誘発する、NDV(ニューカッスル病ウイルス)抗原並びにその断片及びバリアントを含む組成物を提供する。NDV抗原又はその断片若しくはバリアントは、藻類において製造してもよい。NDV抗原又は断片又はバリアントは、ワクチン又は医薬組成物に製剤し、動物において保護的反応を誘発又は刺激するために使用してもよい。一実施形態では、NDV抗原は、NDV血球凝集素(hemaglutinin)−ノイラミニダーゼ(HN)ポリペプチド又はその活性断片又はバリアントである。
【0017】
本発明の抗原性ポリペプチドは、全長ポリペプチド又はその活性断片又はバリアントであり得るということが認識されている。「活性断片」又は「活性バリアント」とは、断片又はバリアントがポリペプチドの抗原性を保持することを意図する。したがって、本発明は、動物において免疫原性応答を誘発する、いかなるNDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原も包含する。NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原は、動物において応答を誘発、誘導又は刺激するいかなるNDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原でもあり得る。
【0018】
所望の特定の抗原性ポリペプチドとして、血球凝集素−ノイラミニダーゼ(HN)がある。糖タンパク質、血球凝集素−ノイラミニダーゼ(HN)は、アミノ末端領域に位置する膜貫通領域を有し、これによって、II型内在性膜タンパク質となり、これは、ウイルスのシアル酸受容体を介する細胞との結合に関与している。HNタンパク質は、エンベロープから突出しており、これによって、ウイルスが、血球凝集素及びノイラミニダーゼ活性の両方を含有することが可能となる(Yusoff K, Tan WS, 2001, Avian Pathol 30:439-455)。
【0019】
しかし、種々の抗原があり、そのいずれも本発明の実施において使用してよい。さらに、これらの抗原のいずれかの前駆体を使用してもよいということが認識されている。
【0020】
本発明の抗原性ポリペプチドは、NDVに対して保護できる。すなわち、それらは、動物において免疫反応を刺激することができる。「抗原」又は「免疫原」とは、宿主動物において特異的免疫反応を誘導する物質を意味する。抗原は、全生物、死滅した、弱毒化された、又は生存しているもの;生物の一部;免疫原性を有するインサートを含有する組換えベクター;宿主動物に提示すると、免疫反応を誘導できるDNAの小片又は断片;ポリペプチド、エピトープ、ハプテン又はそれらのいかなる組合せも含み得る。或いは、免疫原又は抗原は、毒素又は抗毒素を含み得る。
【0021】
用語「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「ポリペプチド断片」は、いかなる長さのアミノ酸残基のポリマーも指すよう本明細書において同義的に使用される。ポリマーは、直鎖であっても、分岐であってもよく、修飾されたアミノ酸又はアミノ酸アナログを含んでもよく、アミノ酸以外の化学部分によって中断されていてもよい。この用語はまた、天然に、又は介入によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化又はその他の操作若しくは改変、例えば、標識成分若しくは生物活性成分とのコンジュゲーションによって改変されているアミノ酸ポリマーも包含する。
【0022】
本明細書において、用語「免疫原性又は抗原性ポリペプチド」は、宿主にひと度投与されると、タンパク質に対する体液性及び/又は細胞性型の免疫反応を惹起できるという意味で免疫学的に活性であるポリペプチドを含む。タンパク質断片は、全タンパク質と実質的に同一の免疫学的活性を有するようなものであることが好ましい。したがって、本発明のタンパク質断片は、少なくとも1種のエピトープ又は抗原決定基を含むか、又は本質的にそれからなる或いはそれからなる。本明細書において、「免疫原性」タンパク質又はポリペプチドとは、タンパク質の全長配列、そのアナログ又はその免疫原性断片を含む。「免疫原性断片」とは、1種又は2種以上のエピトープを含み、したがって、上記の免疫学的反応を誘発するタンパク質の断片を意味する。このような断片は、当技術分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を使用して同定できる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66 (Glenn E. Morris, Ed, 1996)を参照のこと。例えば、直鎖エピトープは、例えば、固相支持体上で多数のペプチド、タンパク質分子の一部に対応するペプチドを同時に合成することと、ペプチドが依然として支持体と結合されていながら、ペプチドを抗体と反応させることとによって決定してもよい。このような技術は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号明細書に記載されている。同様に、立体構造エピトープは、例えば、X線結晶学及び2次元核磁気共鳴などによってアミノ酸の空間立体構造を決定することによって容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols、前掲を参照のこと。
【0023】
本明細書に論じられるように、本発明は、抗原性ポリペプチドの活性断片及びバリアントを包含する。したがって、用語「免疫原性又は抗原性ポリペプチド」は、ポリペプチドが本明細書に定義される免疫学的反応を生じるよう機能する限り、配列への欠失、付加及び置換をさらに考慮する。用語「保存的変異」とは、コードされるアミノ酸残基が変化しないような、又は別の生物学的に同様の残基であるような、別の生物学的に同様の残基によるアミノ酸残基の置換又は核酸配列中のヌクレオチドの置換を表す。この関連で、特に好ましい置換は、一般に、性質が保存的、すなわち、アミノ酸のファミリー内で起こる置換となる。例えば、アミノ酸は、一般に、4つのファミリー:(1)酸性−アスパラギン酸及びグルタミン酸;(2)塩基性−リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び(4)非荷電極性−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、芳香族アミノ酸として分類されることもある。保存的変異の例として、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンなどのある疎水性残基の、別の疎水性残基との置換又はある極性残基の、別の極性残基との置換、例えば、アルギニンのリシンとの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸との置換若しくはグルタミンのアスパラギンとの置換など;又は生物活性に対して大きな効果を有さない、アミノ酸の、構造的に関連するアミノ酸との同様の保存的置換が挙げられる。したがって、参照分子と実質的に同様のアミノ酸配列を有するが、タンパク質の免疫原性に実質的に影響を及ぼさないわずかなアミノ酸置換を有するタンパク質は、参照ポリペプチドの定義内にある。これらの改変によって生じるポリペプチドのすべては、本明細書に含まれる。用語「保存的変異」はまた、置換ポリペプチドに対して産生された抗体がまた、非置換ポリペプチドと免疫反応するという条件で、非置換親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を使用することを含む。
【0024】
用語「エピトープ」とは、特異的B細胞及び/又はT細胞が反応する、抗原又はハプテン上の部位を指す。この用語はまた、「抗原決定基」又は「抗原決定基部位」と同義的に使用される。同一のエピトープを認識する抗体は、ある抗体の、標的抗原との別の抗体の結合を遮断する能力を示す、簡単なイムノアッセイにおいて同定することができる。
【0025】
組成物又はワクチンに対する「免疫学的反応」は、宿主における、所望の組成物又はワクチンに対する細胞性及び/又は抗体媒介性免疫反応の発生である。普通、「免疫学的反応」は、それだけには限らないが、以下の効果のうち1又は2以上を含む:所望の組成物又はワクチンに含まれる抗原又は複数の抗原に対して特異的に向けられる、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞及び/又は細胞傷害性T細胞の産生。宿主が、治療的又は保護的免疫学的反応のいずれかを示し、その結果、新規感染に対する耐性が増強される、及び/又は疾患の臨床重篤度が低減されることが好ましい。このような保護は、感染宿主によって普通は示される症状の低減若しくは欠如、感染宿主におけるより速い回復時間及び/又はより低いウイルス力価のいずれかによって実証される。
【0026】
「動物」とは、哺乳類、鳥類などを意図する。本明細書において、動物又は宿主は、哺乳類及びヒトを含む。動物は、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、イヌ科の動物(例えば、イヌ、オオカミ、キツネ、コヨーテ、ジャッカル)、ネコ科の動物(例えば、ライオン、トラ、家ネコ、野ネコ、その他の大型のネコ科の動物並びにチーター及びオオヤマネコを含めたその他のネコ科の動物)、ヒツジのような動物(例えば、ヒツジ)、ウシ亜科の動物(例えば、ウシ)、ブタのような動物(例えば、ブタ)、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、ダチョウ、エミュー及びヒクイドリ)、霊長類(例えば、原猿、メガネザル、サル、テナガザル、類人猿)及び魚類からなる群から選択され得る。用語「動物」はまた、胚性及び胎児段階を含め、すべての発生段階の個々の動物を含む。
【0027】
本明細書において、用語「植物」とは、双子葉類(dicotyledonous)(双子葉植物(dicot))植物及び単子葉類(monocotyledonous)(単子葉植物(monocot))植物の両方を含む。双子葉植物の植物として、それだけには限らないが、エンドウマメ、アルファルファ及びダイズなどのマメ科植物、ニンジン、セロリ、トマト、ジャガイモ、タバコ、コショウ、ナタネ、ビート、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、レタス、ピーナッツなどが挙げられる。単子葉植物の植物として、それだけには限らないが、コムギ、オオムギ、ソルガム及びキビなどの穀草類、ライムギ、ライコムギ、トウモロコシ、コメ又はオーツムギ、サトウキビ、ウキクサ、イネ科植物などが挙げられる。用語「植物」はまた、それだけには限らないが、シダ、トクサ、ヒカゲノカズラ、蘚類、苔類、ツノゴケ類、藻類を始めとする隠花植物も含む。本明細書において、用語「藻類(algae)」及び「藻類(alga)」は、ポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを産生できる藻類のいかなる株も含む。藻類として、例えば、紅藻類、褐藻類及び緑藻類、配偶体などを挙げることができる。藻類は、微細藻類であり得る。微細藻類は、スラウストキトリアセアエ(Thraustochytriaceae)、例えば、シゾキトリウム、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)、ラビリンチュロイデス(Labyrinthuloides)及びジャポノキトリウム(Japonochytrium)であり得る。
【0028】
特に断りのない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示内容が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。単数の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を含む。同様に、単語「又は」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、「及び」を含むものとする。
【0029】
本開示内容において、特に、特許請求の範囲及び/又は段落において、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」、「含んでいる(comprishing)」などといった用語は、米国特許法においてそれのものとされる意味を有することができ;例えば、それらは、「含む(includes)」、「含まれる(included)」、「含んでいる(including)」などを意味することができ、「本質的にからなっている(consisting essentially of)」及び「本質的にからなる(consists essentially of)」などの用語は、米国特許法においてそれらのものとされる意味を有し、例えば、それらは、明確に列挙されない要素を考慮するが、先行技術中に見られる要素又は本発明の基本的特徴若しくは新規特徴に影響を及ぼす要素は排除するということは留意されたい。
【0030】
組成物
本発明は、有効量の組換えNDVポリペプチド又は抗原と、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体とを含み得るNDVワクチン又は組成物に関する。NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原は、動物において反応を誘発、誘導又は刺激する、いかなるNDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原でもあり得る。一実施形態では、NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原は、血球凝集素−ノイラミニダーゼ(neuramidase)(HN)、RNAポリメラーゼ、融合タンパク質(F)、マトリックスタンパク質、リン酸化タンパク質及び核タンパク質である。別の実施形態では、NDV抗原は、血球凝集素−ノイラミニダーゼ(neuramidase)(HN)であり得る。
【0031】
本発明は、植物又は藻類タンパク質発現系において発現された組換えNDV HN遺伝子は、高度に免疫原性であり、相同及び異種NDV株からの攻撃から動物を保護したという出願人の驚くべき発見に、部分的に、基づいている。
【0032】
本発明は、有効量の組換えNDV HNポリペプチド又は抗原と、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体とを含み得るNDVワクチン又は組成物に関する。一実施形態では、組換えNDV HN抗原は、藻類において発現される。さらに別の実施形態では、藻類は、シゾキトリウムから選択される。一実施形態では、組換えNDV HN抗原は、例えば、米国特許第7,001,772号明細書、米国特許出願公開第2008/0022422号明細書、同2006/0275904号明細書、同2006/0286650号明細書に記載されるシゾキトリウムタンパク質発現系において発現され得る。
【0033】
一実施形態では、本明細書に開示される主題は、ウキクサ発現系によって産生される組換えNDV HNポリペプチド又は抗原と、アオウキクサ属を始めとするウキクサに由来する植物物質と、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体とを含む組成物を対象とする。別の実施形態では、本明細書に開示される主題は、NDV HNポリペプチド又は抗原を含む、ウキクサ発現系によって産生された、場合によりグリコシル化されていないタンパク質を対象とする。組換えNDV HNポリペプチド又は抗原は、BiolexのLEXシステムSMなどのコウキクサ(Lemna minor)タンパク質発現系において発現させてもよい。
【0034】
一実施形態では、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体は、油中水型エマルジョンであり得る。別の実施形態では、油中水型エマルジョンは、水/油/水(W/O/W)型トリプルエマルジョンであり得る。さらに別の実施形態では、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体は、水中油型エマルジョンであり得る。
【0035】
一実施形態では、組成物又はワクチンは、組換えベクターと、薬学的に又は獣医学的に許容される賦形剤、担体又は媒体を含む。組換えベクターは、NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原をコードするポリヌクレオチドを含み得る植物又は藻類発現ベクターである。一実施形態では、NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原は、NDV又は鳥類NDV株に感染した鳥類に由来するものであり得る。
【0036】
一実施形態では、NDVポリペプチド又はその抗原又は断片又はバリアントは、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを含む。本実施形態の一態様では、HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントは、NDV HN遺伝子によって製造される組換えポリペプチドである。この実施形態の別の態様では、NDV HN遺伝子は、配列番号1、2、4、6、8、12、14、16、18、22又は23に示される配列に対して少なくとも70%の同一性を有する。この実施形態の別の態様では、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントは、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示される配列に対して少なくとも80%の同一性を有する。この実施形態の別の態様では、HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントは、HN直鎖エピトープ領域を含む。この実施形態の別の態様では、エピトープ領域は、配列番号10、11又は28に示される配列に対して少なくとも80%の同一性を有する。
【0037】
一実施形態では、NDV抗原は、部分精製され、又は別の実施形態では、NDV抗原は、実質的に精製される。さらに別の実施形態では、NDV抗原は、採取された微細藻類全体中に存在する。さらに別の実施形態では、NDV抗原は、低速上清中に存在する。
【0038】
合成抗原、例えば、ポリエピトープ、フランキングエピトープ及びその他の組換え由来又は合成由来抗原もまた、定義内に含まれる。例えば、Bergmann et al., 1993; Bergmann et al., 1996; Suhrbier, 1997; Gardner et al., 1998参照のこと。本発明の目的上、免疫原性断片は、普通、少なくとも約3個のアミノ酸、少なくとも約5個のアミノ酸、少なくとも約10〜15個のアミノ酸又は約15〜25個のアミノ酸又はそれ以上のアミノ酸の分子を含む。断片の長さの決定的な上限はなく、タンパク質配列のほぼ全長又はさらに、タンパク質の少なくとも1つのエピトープを含む融合タンパク質を含んでもよい。
【0039】
したがって、エピトープを発現するポリヌクレオチドの最小構造は、NDVポリペプチドのエピトープ又は抗原決定基をコードするヌクレオチドを含む、又は本質的にからなる、又はからなるものである。NDVポリペプチドの断片をコードするポリヌクレオチドは、最小15のヌクレオチド、約30〜45のヌクレオチド、約45〜75又は少なくとも57、87若しくは150のポリペプチドをコードする配列の隣接した(consecutive)又は連続した(contiguous)ヌクレオチドを含み得る、又は本質的にからなり得る、又はからなり得る。本発明の実施では、重複するペプチドライブラリーを作製することなどのエピトープ決定手順(Hemmer et al., 1998)、Pepscan(Geysen et al., 1984; Geysen et al., 1985; Van der Zee R. et al., 1989; Geysen, 1990; Multipin.RTM. Peptide Synthesis Kits de Chiron)及びアルゴリズム(De Groot et al., 1999;国際出願US2004/022605号パンフレット)を使用してもよい。
【0040】
タンパク質のグリコシル化は、タンパク質の免疫原性に対して複数の効果を有し得る。NDVの場合には、グリコシル化は、タンパク質の適切なフォールディング及び立体構造エピトープ形成にとって必要であると思われる(McGinnes, L. W.及びT. G. Morrison. 1995, Virology 212:398-410)。McGinnes et al.によれば、グリコシル化部位433及び481でのHNタンパク質のグリコシル化(図8〜10参照のこと)は、タンパク質結合活性及び立体構造エピトープ形成にとって必要である。HNタンパク質の適切なグリコシル化は、タンパク質機能及び本発明の組成物に対する宿主の免疫反応にとって必要であり得る。
【0041】
HNタンパク質の立体構造エピトープ及び一次直鎖エピトープは、Gotoh, BT, et al., 1988, Virology 163:174-82、Iorio, R. M., J. B. et al., 1986, J Gen Virol 67:1393-403、Iorio, RM, et al.,1989, Virus Res 13:245-61に記載されている。直鎖エピトープの変動が、新生株によるワクチン逃避の原因であり得ると思われる(Cho, SH, et al., 2008, J Clin Microbiol 46:1541-4)。図8は、直鎖エピトープ領域における変動のレベルを示すための4種のNDV株から得たHNタンパク質のアラインメントを提供する。
【0042】
用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」とは、直鎖であるか、又は分岐している、一本鎖又は二本鎖又はそれらのハイブリッドであるRNA又はDNAを指す。この用語はまた、RNA/DNAハイブリッドも包含する。以下は、ポリヌクレオチドの限定されない例である:遺伝子又は遺伝子断片、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドなどの改変されたヌクレオチド及びヌクレオチドアナログ、ウラシル、その他の糖並びにフルオロリボース及びチオラートなどの連結基及びヌクレオチド分岐を含み得る。ヌクレオチドの配列は、重合後に、標識成分とのコンジュゲーションなどによって、さらに改変される場合もある。この定義内に含まれるその他の種類の改変として、キャップ、1つ又は2つ以上の天然に存在するヌクレオチドのアナログとの置換、ポリヌクレオチドをタンパク質、金属イオン、標識成分、その他のポリヌクレオチド又は固相支持体と結合するための手段の導入がある。ポリヌクレオチドは、化学合成によって得てもよく、又は微生物から導いてもよい。
【0043】
用語「遺伝子」は、生物学的機能と関連しているポリヌクレオチドのいかなるセグメントも指すよう広く使用される。したがって、遺伝子は、ゲノム配列中にあるようなイントロン及びエキソンを、又はcDNA中にあるような全くのコード配列を、及び/又はその発現に必要な調節配列を含む。例えば、遺伝子はまた、mRNA又は機能的RNAを発現するか、又は特定のタンパク質をコードし、調節配列を含む核酸断片を指す。
【0044】
本発明はさらに、NDV抗原、エピトープ又は免疫原をコードするポリヌクレオチドに対する相補鎖を含む。相補鎖は、いかなる長さのポリマーであってもよく、いかなる組合せのデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及びアナログも含有し得る。
【0045】
「単離された」生物学的成分(核酸又はタンパク質又はオルガネラなど)とは、その成分が天然に存在する生物の細胞中のその他の生物学的成分、例えば、その他の染色体及び染色体外DNA及びRNA、タンパク質及びオルガネラから、実質的に分離又は精製されている成分を指す。「単離」されている核酸及びタンパク質として、標準精製法によって精製された核酸及びタンパク質が挙げられる。この用語はまた、組換え技術並びに化学合成によって調製された核酸及びタンパク質を包含する。
【0046】
本明細書において、用語「精製された」とは、完全な精製を必要とせず、むしろ、相対的な用語として意図される。したがって、例えば、部分精製ポリペプチド調製物とは、ポリペプチドが、ポリペプチドがその天然の環境中にあるよりも濃縮されているものである。すなわち、ポリペプチドが、細胞成分から分離されている。「実質的に精製された」とは、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%以上の細胞成分又は物質が除去されているようなものとする。同様に、ポリペプチドは、部分精製されている場合もある。「部分精製された」とは、60%未満の細胞成分又は物質が除去されているものとする。同じことが、ポリヌクレオチドにも当てはまる。本明細書に開示されるポリペプチドは、当技術分野で公知のいかなる手段によって精製されてもよい。
【0047】
一態様では、本発明は、NDV HNポリペプチドを提供する。別の態様では、本発明は、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示される配列を有するNDV HNポリペプチド及びそのバリアント又は断片を提供する。
【0048】
さらに、NDV HNポリペプチドの相同体が、本発明の範囲内に入るよう意図される。本明細書において、用語「ホモログ」とは、オルソログ、アナログ及びパラログを含む。用語「アナログ」とは、同一又は同様の機能を有するが、無関係の生物において別個に進化した2種のポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。用語「オルソログ」とは、異なる種に由来するが、種分化によって共通の先祖遺伝子から進化した2種のポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。普通、オルソログは、同一又は同様の機能を有するポリペプチドをコードする。用語「パラログ」とは、ゲノム内の複製によって関連している2種のポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。パラログは、普通、異なる機能を有するが、これらの機能は関連したものであり得る。野生型NDVポリペプチドのアナログ、オルソログ及びパラログは、翻訳後修飾によって、アミノ酸配列の相違によって、又は両方によって野生型NDVポリペプチドと異なったものであり得る。特に、本発明のホモログは、一般に、野生型NDVポリペプチド又はポリヌクレオチド配列のすべて又は一部と、少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%又は95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示し、同様の機能を示す。
【0049】
別の態様では、本発明は、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示される配列を有するNDV HNポリペプチドに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドを提供する。さらに別の態様では、本発明は、配列番号10、配列番号11又は配列番号28に示される配列を有する免疫原性断片を含むNDV HNポリペプチドを提供し、ここで、ポリペプチドは、配列番号3、5、7、9、15、17、19又は20に示される配列を有するポリペプチドに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。
【0050】
さらに別の態様では、本発明は、周知の分子生物学的技術を使用して当業者によって容易に調製できる、上記で同定されたNDV HNポリペプチド(配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28)の断片及びバリアントを提供する。
【0051】
バリアントは、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する相同ポリペプチドである。
【0052】
バリアントは、対立遺伝子バリアントを含む。用語「対立遺伝子バリアント」とは、タンパク質のアミノ酸配列の変化につながる多型及び天然集団(例えば、ウイルス種又は変種)内に存在する多型を含有するポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。このような天然の対立遺伝子変異は、通常、ポリヌクレオチド又はポリペプチドにおいて1〜5%の変動をもたらし得る。対立遺伝子バリアントは、いくつかの異なる種の所望の核酸配列を配列決定することによって同定でき、これは、ハイブリダイゼーションプローブを使用して、それらの種において同一の遺伝子座を同定することによって容易に実施できる。ありとあらゆるこのような核酸変異及びその結果生じるアミノ酸多型又は天然の対立遺伝子変異の結果であり、所望の遺伝子の機能活性を変更しない変異は、本発明の範囲内にあるものとする。
【0053】
本明細書において、用語「誘導体」又は「バリアント」とは、1以上の保存的アミノ酸変異又はその他のわずかな改変を有し、その結果、(1)対応するポリペプチドが、野生型ポリペプチドと比較した場合に実質的に同等の機能を有するか、又は(2)ポリペプチドに対して産生された抗体が野生型ポリペプチドと免疫反応性である、ポリペプチド又はポリペプチドをコードする核酸を指す。これらのバリアント又は誘導体は、修飾されていない対応物ポリペプチドと比較して実質的に同等の活性を有するペプチドをもたらし得るNDVポリペプチド一次アミノ酸配列のわずかな改変を有するポリペプチドを含む。このような改変は、位置指定突然変異誘発によるように計画的である場合も、自発的である場合もある。用語「バリアント」は、ポリペプチドが機能して、本明細書に定義される免疫学的反応をもたらす限りは、配列に対する欠失、付加及び置換をさらに考慮する。
【0054】
用語「保存的変異」は、アミノ酸残基の、別の生物学的に同様の残基での置換又はコードされるアミノ酸残基が変化しないか、別の生物学的に同様の残基であるような核酸配列中のヌクレオチドの置換を示す。この関連で、特に好ましい置換は、一般に、上記のように、性質が保存的となる。
【0055】
NDV HNポリペプチドの免疫原性断片は、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示される配列又はそのバリアントを有するNDV HNポリペプチドの少なくとも8、10、13、14、15又は20個の連続するアミノ酸、少なくとも21個のアミノ酸、少なくとも23個のアミノ酸、少なくとも25個のアミノ酸又は少なくとも30個のアミノ酸を含む。別の実施形態では、NDV HNポリペプチドの断片は、全長NDV HNポリペプチド上に見られる特異的抗原性エピトープを含む。免疫原性断片は、NDV HN直鎖エピトープ領域を含有する断片を含み得る。一実施形態では、免疫原性断片は、配列番号10、配列番号11又は配列番号28に示される配列を有するポリペプチドを含む。
【0056】
別の態様では、本発明は、NDV HNポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示される配列を有するNDV HNポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。さらに別の態様では、本発明は、配列番号3、5、7、9、10、11、13、15、17、19、20、21又は28に示される配列を有するポリペプチドに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するNDV HNポリペプチド又はこれらのポリペプチドのうち1種若しくはこれらのポリペプチドの組合せの少なくとも8個若しくは少なくとも(at east)10個の連続するアミノ酸を含む保存的バリアント、対立遺伝子バリアント、同族体又は免疫原性断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。さらに別の態様では、本発明は、配列番号10、配列番号11又は配列番号28に示される配列を有する免疫原性断片を含むNDV HNポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供し、ここで、ポリペプチドは、配列番号3、5、7、9、15、17、19又は20に示される配列を有するポリペプチドに対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。
【0057】
別の態様では、本発明は、配列番号1、2、4、6、8、12、14、16、18、22又は23に示されるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド又はそのバリアントを提供する。さらに別の態様では、本発明は、配列番号1、2、4、6、8、12、14、16、18、22又は23に示される配列を有するポリヌクレオチドのうち1種又はそのバリアントに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを提供する。
【0058】
本開示内容のポリヌクレオチドは、遺伝暗号、例えば、特定の宿主にとって最適化されたコドン使用の結果として縮重している配列を含む。本明細書において、「最適化された」とは、所与の種におけるその発現を増大するよう遺伝子操作されているポリヌクレオチドを指す。NDVポリペプチドの最適化されたポリヌクレオチドコーディングを提供するために、NDVタンパク質遺伝子のDNA配列を、1)特定の種において高度に発現される遺伝子によって好まれるコドンを含むよう、2)前記種において実質的に見られる、ヌクレオチド塩基組成におけるA+T又はG+C含量を含むよう、3)前記種の開始配列を形成するよう、又は4)RNAの不安定化、不適当なポリアデニル化、分解及び終結を引き起こすか、又は二次構造ヘアピン若しくはRNAスプライシング部位を形成する配列を排除するよう改変してもよい。前記種におけるNDVタンパク質の発現の増大は、真核生物及び原核生物における、又は特定の種におけるコドン使用の分布頻度を利用することによって達成できる。用語「好ましいコドン使用の頻度」とは、所与のアミノ酸を特定するためのヌクレオチドコドンの使用において、特定の宿主細胞によって示される優先度を指す。20種の天然アミノ酸があり、そのほとんどは、2種以上のコドンによって特定される。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされるNDV HNポリペプチドのアミノ酸配列が機能的に変更されない限り、すべての縮重ヌクレオチド配列が、開示内容中に含まれる。
【0059】
2種のアミノ酸配列間の配列同一性は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)ペアワイズblast及びblosum62マトリックスによって、標準パラメータを使用して推定できる(例えば、「National Center for Biotechnology Information」(NCBI、Bethesda、Md.、USA)サーバーで入手可能なBLAST又はBLASTXアルゴリズム参照のこと)。
【0060】
配列に関して「同一性」とは、2種の配列のうち短いほうのヌクレオチド又はアミノ酸の数で除した、同一ヌクレオチド又はアミノ酸を有する位置の数を指す場合があり、ここで、2種の配列のアラインメントは、例えば、20ヌクレオチドのウィンドウサイズ、4ヌクレオチドのワード長及び4のギャップペナルティーを使用して、Wilbur及びLipmanのアルゴリズム(Wilbur and Lipman)に従って決定でき、市販のプログラム(例えば、Intelligenetics(商標)Suite、Intelligenetics Inc. CA)を使用して、アラインメントを含む配列データのコンピュータを使った分析及び解釈を好都合に実施できる。RNA配列が、DNA配列と、同様であるか、又はある程度の配列同一性又は相同性を有するといわれる場合には、DNA配列中のチミン(T)が、RNA配列中のウラシル(U)に相当すると考えられる。したがって、RNA配列は、本発明の範囲内であり、DNA配列中のチミン(T)は、RNA配列中のウラシル(U)に相当すると考えることによって、DNA配列から導くことができる。
【0061】
2種のアミノ酸配列の配列同一性若しくは配列類似性又は2種のヌクレオチド配列間の配列同一性は、ベクターNTIソフトウェアパッケージ(Invitrogen社、1600 Faraday Ave.、Carlsbad、CA)を使用して決定できる。
【0062】
ハイブリダイゼーション反応は、種々のストリンジェンシーの条件下で実施できる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は周知である。例えば、「Molecular Cloning; A Laboratory Manual」, second edition (Sambrook et al., 1989)参照のこと。
【0063】
本発明は、ベクター分子又は発現ベクターに含有され、プロモーターエレメントに作動可能に連結しているNDVポリヌクレオチドをさらに包含する。
【0064】
「ベクター」とは、インビトロ又はインビボのいずれかで、標的細胞に送達される異種ポリヌクレオチドを含む組換えDNA又はRNAプラスミド又はウイルスを指す。異種ポリヌクレオチドは、予防又は治療の目的のために所望の配列を含んでもよく、場合により、発現カセットの形態であってもよい。本明細書において、ベクターは、最終的な標的細胞又は対象において複製できる必要はない。この用語は、クローニングベクター及びウイルスベクターを含む。
【0065】
用語「組換え体」とは、天然には生じないか、又は天然に見られない配置で別のポリヌクレオチドと連結している、半合成又は合成起源のポリヌクレオチドを意味する。
【0066】
「異種」とは、比較される実体の残りとは遺伝的に別個の実体に由来することを意味する。例えば、ポリヌクレオチドを、遺伝子工学技術によって、異なる供給源に由来し、異種ポリヌクレオチドであるプラスミド又はベクター中に配置してもよい。その天然のコード配列から取り出され、天然の配列以外のコード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、異種プロモーターである。
【0067】
本発明のポリヌクレオチドは、同一転写単位内のさらなるコード配列、プロモーターなどの制御エレメント、リボソーム結合部位、5’UTR、3’UTR、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、同一又は異なるプロモーターの制御下のさらなる転写単位、クローニング、発現、相同組換え及び宿主細胞の形質転換を可能にする配列及び本発明の実施形態を提供するために望ましいものであり得る任意の構築物などのさらなる配列を含み得る。
【0068】
NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原の発現のためのエレメントが、本発明のベクター中に存在することが有利である。最小の方法では、これは、プラスミドなどの特定のベクター及び特定のウイルスベクター、例えば、ポックスウイルス以外のウイルスベクターの、開始コドン(ATG)、停止コドン及びプロモーターと、所望により、ポリアデニル化配列も含む。ポリヌクレオチドがポリペプチド断片、例えば、有利には、ベクター中のNDVペプチドをコードする場合には、ATGをリーディングフレームの5’に配置し、停止コドンを3’に配置する。エンハンサー配列、イントロンなどの安定化配列及びタンパク質の分泌を可能にするシグナル配列など、発現を制御するためのその他のエレメントが存在し得る。
【0069】
本発明はまた、発現ベクターなどのベクターを含む組成物に関する。組成物は、1種又は2種以上のベクター、例えば、発現ベクター、例えば、1種又は2種以上のNDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原を含み、発現するインビボ発現ベクターを含み得る。一実施形態では、ベクターは、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体中に、NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原をコードする、かつ/又は発現するポリヌクレオチドを含む。
【0070】
本発明の別の実施形態によれば、発現ベクターは、プラスミドベクター、特に、インビボ発現ベクターである。特定の限定されない例では、ポリヌクレオチド配列の挿入のためのベクターとして、pVR1020又は1012プラスミド(VICAL Inc.; Luke et al., 1997; Hartikka et al., 1996、例えば、米国特許第5,846,946号明細書及び同6,451,769号明細書を参照のこと)を利用してもよい。pVR1020プラスミドは、pVR1012に由来し、ヒトtPAシグナル配列を含有する。一実施形態では、ヒトtPAシグナルは、GenBank受託番号HUMTPA14のアミノ酸M(1)〜アミノ酸S(23)を含む。別の特定の限定されない例では、ポリヌクレオチド配列の挿入のためのベクターとして利用されるプラスミドは、ウマIGF1のシグナルペプチド配列、GenBank受託番号U28070アミノ酸M(24)〜アミノ酸A(48)を含有し得る。実施において調べられ、使用され得るDNAプラスミドに関するさらなる情報は、例えば、米国特許第6,852,705号明細書;同6,818,628号明細書;同6,586,412号明細書;同6,576,243号明細書;同6,558,674号明細書;同6,464,984号明細書;同6,451,770号明細書;同6,376,473号明細書及び同6,221,362号明細書に見られる。
【0071】
用語プラスミドは、本発明のポリヌクレオチド及び細胞又は所望の宿主又は標的の細胞におけるそのインビボ発現に必要なエレメントを含む任意のDNA転写単位を対象とし、この関連で、スーパーコイル又は非スーパーコイル、環状プラスミド並びに直鎖形態が、本発明の範囲内にあるものとするということは留意されたい。
【0072】
各プラスミドは、プロモーターと作動可能に連結しているか、プロモーターの制御下にある、又はプロモーターに依存しているNDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原をコードするポリヌクレオチドを含む。一般に、真核細胞において機能的な強力なプロモーターを使用することが有利である。強力なプロモーターは、それだけには限らないが、ヒト又はマウス起源の、又は所望により、ラット又はモルモットなどの別の起源を有してもよい、最初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV−IE)であり得る。
【0073】
より一般的な用語では、プロモーターは、ウイルス、植物又は細胞起源を有する。本発明の実施において有用に使用できるCMV−IE以外の強力なウイルスプロモーターとして、SV40ウイルスの初期/後期プロモーター又はラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターがある。本発明の実施において有用に使用できる強力な細胞プロモーターとして、細胞骨格の遺伝子のプロモーター、例えば、デスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)又はアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)などがある。
【0074】
プラスミドは、その他の発現制御エレメントを含み得る。安定化配列(単数又は複数)、例えば、イントロン配列(単数又は複数)、例えば、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼイントロン(トウモロコシADHIイントロン)、hCMV−IEの第1のイントロン(国際公開第1989/01036号パンフレット)、ウサギβ−グロビン遺伝子のイントロンII (van Ooyen et al., 1979)を組み込むことが特に有利である。別の実施形態では、プラスミドは、3’UTRを含み得る。3’UTRは、それだけには限らないが、アグロバクテリウムノパリンシンターゼ(Nos)3’UTRであり得る。プラスミドは、OrfCターミネーター(PFA3ターミネーターとしても知られる)をさらに含み得る。
【0075】
ポックスウイルス以外のプラスミド及びウイルスベクターのポリアデニル化シグナル(ポリA)に関しては、ウシ成長ホルモン(bGH)遺伝子のポリ(A)シグナル(米国特許第5,122,458号明細書を参照のこと)又はウサギβ−グロビン遺伝子のポリ(A)シグナル又はSV40ウイルスのポリ(A)シグナルを使用できる。
【0076】
「宿主細胞」は、組換えプラスミド又はベクターなどの外因性ポリヌクレオチドを与えることによって遺伝子改変されているか、又は遺伝子改変され得る原核細胞又は真核細胞を示す。この用語は、遺伝子改変された細胞を指す場合には、元の改変された細胞と、その後代の両方を指す。
【0077】
一実施形態では、組換えNDV HN抗原は、トランスジェニック植物において発現される。別の実施形態では、組換えNDV HN抗原は、トランスジェニック藻類において発現される。さらに別の実施形態では、トランスジェニック藻類は、シゾキトリウムである。藻類タンパク質発現系の詳細は、例えば、米国特許第7,001,772号明細書、米国特許出願公開第2008/0022422号明細書に見出すことができる。実施形態では、NDV HNポリペプチド又は抗原は、本明細書に開示される任意のポリペプチド又は本明細書に開示される任意のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドであり得る。
【0078】
微細藻類又はウキクサにおいてNDVポリペプチドを発現させる方法
本発明のいくつかの実施形態では、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントは、微細藻類又はウキクサにおいて発現される。これらの方法は、当技術分野で公知のいかなる適した形質転換法も使用する、藻類又は植物に導入される発現カセットの使用を含む。これらの発現カセット内のポリヌクレオチドは、以下のように、微細藻類又はウキクサにおける抗原性NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントの発現の増強のために改変してもよい。
【0079】
抗原性NDVポリペプチドの微細藻類又はウキクサ発現のためのカセット
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを発現するトランスジェニック微細藻類又はウキクサは、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを用いる微細藻類又はウキクサの形質転換によって得る。この方法では、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを、発現カセット内に構築し、当技術分野で公知の任意の適した形質転換法によって微細藻類又はウキクサに導入する。
【0080】
いくつかの実施形態では、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットで形質転換される微細藻類又はウキクサはまた、所望の別の異種ポリペプチド、例えば、別のNDVポリペプチド、その断片又はバリアントの発現を提供する発現カセットで形質転換されている。所望の別の異種ポリペプチドの発現を提供する発現カセットは、微細藻類又はウキクサへ導入するための同一ポリヌクレオチドで(例えば、同一形質転換ベクターで)提供されても、同一又は異なる導入方法によって、例えば、同一又は異なる形質転換法によって、同一時間に、又は異なる時間に、微細藻類又はウキクサへ導入するための異なるポリヌクレオチド(例えば、異なる形質転換ベクター)で提供されてもよい。
【0081】
微細藻類又はウキクサの形質転換において使用するための発現カセットは、所望のポリヌクレオチド、すなわち、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドと作動可能に連結している転写開始領域(例えば、プロモーター)を少なくとも含む発現制御エレメントを含む。本明細書において、ヌクレオチド配列に関連して「作動可能に連結している」とは、互いに機能的な関係に配置している複数のヌクレオチド配列を指す。一般に、作動可能に連結しているDNA配列は、リーディングフレーム中で連続しており、必要に応じて、2種のタンパク質コーディング領域をつなげる。このような発現カセットは、所望のポリヌクレオチド又は複数のポリヌクレオチド(例えば、所望の1種のポリヌクレオチド、所望の2種のポリヌクレオチドなど)を、プロモーター及びその他の発現制御エレメントの転写調節下にあるよう挿入するための複数の制限部位とともに提供される。本発明の特定の実施形態では、導入されるポリヌクレオチドは、2種以上の発現カセットを含有し、その各々は、少なくとも1種の所望のポリヌクレオチドを含有する。
【0082】
「発現制御エレメント」とは、普通、特定のコード配列にとって適当な転写開始部位で、RNAポリメラーゼIIを、又はいくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼIIIを、RNA合成を開始するよう指示できるTATAボックスを含むDNAの調節領域を意図する。発現制御エレメントは、一般に、TATAボックスの上流又は5’に位置するその他の認識配列をさらに含む場合もあり、これは、転写開始速度に影響を及ぼす(例えば、増強する)。さらに、発現制御エレメントは、一般に、TATAボックスの下流又は3’に位置する配列をさらに含む場合もあり、これは、転写開始速度に影響を及ぼす(例えば、増強する)。
【0083】
転写開始領域(例えば、プロモーター)は、微細藻類宿主又はウキクサ植物にとって天然であっても、相同であっても、外来であっても、異種であってもよいか、又は天然配列である場合も、合成配列である場合もある。外来とは、その転写開始領域が、転写開始領域が導入される野生型微細藻類宿主又はウキクサ植物において見られないことを意図する。「機能的プロモーター」とは、プロモーターが、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードする配列と作動可能に連結している場合は、コードされるポリペプチド、断片又はバリアントの発現(すなわち、転写及び翻訳)を駆動できることを意図する。プロモーターは、所望の結果に基づいて選択できる。したがって、本発明の発現カセットは、微細藻類又はウキクサにおける発現のための構成的、誘導可能な、組織の好む、又はその他のプロモーターを含み得る。
【0084】
本発明の発現カセットにおいて、細菌、酵母、真菌、昆虫、哺乳類、藻類及び植物プロモーターを含めた当技術分野で公知のいかなる適したプロモーターも使用してよい。例えば、微細藻類プロモーターを含めた植物又は藻類プロモーターを使用してよい。例示的プロモーターとして、それだけには限らないが、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、オパインシンセターゼプロモーター(例えば、nos、mas、ocsなど)、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、リブロースビスホスフェート(RubP)カルボキシラーゼ小サブユニットプロモーター及びアルコールデヒドロゲナーゼプロモーターが挙げられる。米国特許第7,001,772号明細書には、各々、ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)微生物に由来する、アセト乳酸シンターゼ、アセト乳酸シンターゼプロモーター及びターミネーター領域、α−チュブリンプロモーター、ヤブレツボカビ目ポリケチドシンターゼ(PKS)系に由来するプロモーター及び脂肪酸不飽和化プロモーターの核酸及びアミノ酸配列が開示された。米国特許出願公開第2006/0275904号明細書及び同2006/0286650号明細書には、シゾキトリウムアクチン、延長因子1α及びグリセルアルデヒド3−ホスフェートデヒドロゲナーゼの各々のプロモーター及びターミネーターの配列並びにシゾキトリウム宿主細胞において遺伝子を発現させるためのベクターにおけるそれらの使用が開示された。微細藻類RubPカルボキシラーゼ小サブユニットプロモーターは、当技術分野で公知である(Silverthorne et al. (1990) Plant Mol. Biol. 15:49)。植物又は藻類に感染するウイルスに由来するその他のプロモーターも適しており、それだけには限らないが、タロイモモザイクウイルス、クロレラウイルス(例えば、クロレラウイルスアデニンメチルトランスフェラーゼプロモーター;Mitra et al. (1994)Plant Mol. Biol. 26:85)、トマト黄化壊疽ウイルス、タバコ茎壊疽ウイルス、タバコ壊死ウイルス、タバコ輪斑ウイルス、トマト輪斑ウイルス、キュウリモザイクウイルス、ピーナッツスタンプ(stump)ウイルス、アルファルファモザイクウイルス、サトウキビバシリフォルムバドナウイルスなどから単離されたプロモーターが挙げられる。
【0085】
プロモーターを始めとする発現制御エレメントは、所望のレベルの調節をもたらすよう選択できる。例えば、いくつかの例では、構成的発現を付与するプロモーター(例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のマンノピンシンターゼプロモーター)を使用することが有利であり得る。あるいは、その他の場合には、特定の環境刺激に応じて活性化されるプロモーター(例えば、熱ショック遺伝子プロモーター、乾燥誘導性遺伝子プロモーター、病原体誘導性遺伝子プロモーター、創傷誘導性遺伝子プロモーター及び明/暗誘導性遺伝子プロモーター)又は植物成長調節因子に応じて活性化されるプロモーター(例えば、アブシジン酸(abscissic acid)、オーキシン、サイトカイニン及びジベレリン酸によって誘導される遺伝子に由来するプロモーター)を使用することが有利であり得る。さらなる代替として、組織特異的発現をもたらすプロモーター(例えば、根、葉及び花特異的プロモーター)を選択してもよい。
【0086】
所与のプロモーターの全体的な強度は、上流活性化配列などのシス作用性ヌクレオチド配列の組合せ及び空間的構成によって影響を受け得る。例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンスオクトピンシンターゼ遺伝子に由来する活性化ヌクレオチド配列は、アグロバクテリウム・ツメファシエンスマンノピンシンターゼプロモーターからの転写を増強し得る(米国特許第5,955,646号明細書参照のこと)。本発明では、発現カセットは、所望の抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントの発現を増強するよう、プロモーター配列の上流に挿入された活性化ヌクレオチド配列を含有し得る。一実施形態では、発現カセットは、アグロバクテリウム・ツメファシエンスマンノピンシンターゼ遺伝子に由来するプロモーターと作動可能に連結しているアグロバクテリウム・ツメファシエンスオクトピンシンターゼ遺伝子に由来する3つの上流活性化配列を含む(米国特許第5,955,646号明細書を参照のこと)。
【0087】
したがって、発現カセットは、転写の5’−3’方向に、植物又は藻類において機能的な、転写及び翻訳開始領域を含む発現制御エレメント、NDV HNポリペプチド(又はその断片若しくはバリアント)をコードするポリヌクレオチド並びに転写及び翻訳終結領域を含む。本発明に従って、当技術分野で公知の任意の適した終結配列を使用してよい。終結領域は、転写開始領域について天然であってもよく、所望のコード配列について天然であってもよく、別の供給源に由来するものであってもよい。オクトピンシンセターゼ及びノパリンシンセターゼ終結領域などの好都合な終結領域は、A.ツメファシエンス(tumefaciens)のTi−プラスミドから入手できる。Guerineau et al. (1991) Mol. Gen. Genet. 262:141; Proudfoot (1991) Cell 64:671、Sanfacon et al. (1991) Genes Dev. 5:141、Mogen et al. (1990) Plant Cell 2:1261、Munroe et al. (1990) Gene 91:151、Ballas et al. (1989) Nucleic Acids Res. 17:7891及びJoshi et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:9627も参照のこと。さらなる例示的終結配列として、エンドウRubPカルボキシラーゼ小サブユニット終結配列及びカリフラワーモザイクウイルス35S終結配列がある。
【0088】
一般に、発現カセットは、形質転換された微細藻類細胞又は組織を選択するための選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子として、抗生物質耐性をコードする遺伝子、例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)及びハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)をコードするもの、並びに除草化合物に対する耐性を付与する遺伝子が挙げられる。除草剤耐性遺伝子は、一般に、除草剤に対して非感受性の改変された標的タンパク質又はそれが作用し得る前に植物において除草剤を分解又は解毒する酵素をコードする。DeBlock et al. (1987) EMBO J. 6:2513、DeBlock et al.(1989) Plant Physiol. 91:691、Fromm et al. (1990)BioTechnology 8:833、Gordon-Kamm et al. (1990) Plant Cell 2:603参照のこと。例えば、グリホセート(glyphosphate)又はスルホニル尿素除草剤に対する耐性は、突然変異体標的酵素、5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)及びアセト乳酸シンターゼ(ALS)をコードする遺伝子を使用して得られた。グルホシネートアンモニウム、ブロモキシニル(boromoxynil)及び2,4−ジクロロフェノキシアセタート(2,4−D)に対する耐性は、それぞれの除草剤を解毒する、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ、ニトリラーゼ又は2,4−ジクロロフェノキシアセタートモノオキシゲナーゼをコードする細菌遺伝子を使用して得られた。
【0089】
本発明の目的上、選択マーカー遺伝子として、それだけには限らないが、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(Fraley et al. (1986) CRC Critical Reviews in Plant Science 4:1)、シアナミドヒドラターゼ(Maier-Greiner et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4250)、アセト乳酸シンターゼ(ALS、Li, et al. (1992)Plant Physiol. 100:662-668)、アスパラギン酸キナーゼ、ジヒドロジピコリン酸シンターゼ(Perl et al. (1993)BioTechnology 11:715)、bar遺伝子(Toki et al. (1992) Plant Physiol. 100:1503; Meagher et al. (1996) Crop Sci. 36:1367)、トリプトファンデカルボキシラーゼ(Goddijn et al. (1993) Plant Mol. Biol. 22:907)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NEO; Southern et al. (1982) J. Mol. Appl. Gen. 1:327)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT又はHYG; Shimizu et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:1074)、ジヒドロホレートレダクターゼ(DHFR; Kwok et al. (1986)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:4552)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(DeBlock et al. (1987) EMBO J. 6:2513)、2,2−ジクロロプロピオン酸デハロゲナーゼ(Buchanan-Wollatron et al. (1989) J. Cell. Biochem. 13D:330)、アセトヒドロキシ酸シンターゼ(米国特許第4,761,373号明細書; Haughn et al. (1988) Mol. Gen. Genet. 221:266)、5−エノールピルビルシキメート−ホスフェートシンターゼ(aroA; Comai et al. (1985) Nature 317:741)、ハロアリールニトリラーゼ(国際公開第87/04181号パンフレット);アセチル−補酵素Aカルボキシラーゼ(Parker et al. (1990)Plant Physiol. 92:1220)、ジヒドロプテロイン酸シンターゼ(sulI; Guerineau et al. (1990) Plant Mol. Biol. 15:127)及び32kDa光化学系IIポリペプチド(psbA; Hirschberg et al. (1983)Science 222:1346 (1983)をコードする遺伝子が挙げられる。
【0090】
また、ゲンタマイシン(例えば、aacC1、Wohlleben et al. (1989) Mol. Gen. Genet. 217:202-208)、クロラムフェニコール(Herrera-Estrella et al. (1983) EMBO J. 2:987)、メトトレキサート(Herrera-Estrella et al. (1983) Nature 303:209; Meijer et al. (1991) Plant Mol. Biol. 16:807)、ハイグロマイシン(Waldron et al. (1985) Plant Mol. Biol. 5:103; Zhijian et al. (1995) Plant Science 108:219; Meijer et al. (1991) Plant Mol. Bio. 16:807)、ストレプトマイシン(Jones et al. (1987) Mol. Gen. Genet. 210:86)、スペクチノマイシン(Bretagne-Sagnard et al. (1996) Transgenic Res. 5:131)、ブレオマイシン(Hille et al. (1986) Plant Mol. Biol. 7:171)、スルホンアミド(Guerineau et al. (1990) Plant Mol. Bio. 15:127)、ブロモキシニル(Stalker et al. (1988) Science 242:419);2,4−D(Streber et al. (1989) BioTechnology 7:811)、ホスフィノトリシン(DeBlock et al. (1987) EMBO J. 6:2513)、スペクチノマイシン(Bretagne-Sagnard and Chupeau、Transgenic Research 5:131)に対する耐性をコードする遺伝子も含まれる。
【0091】
bar遺伝子は、グルホシネート型除草剤、例えば、ホスフィノトリシン(PPT)又はビアラホスなどに対する除草剤耐性を付与する。上記のように、ベクター構築物において使用できるその他の選択マーカーとして、それだけには限らないが、同様にビアラホス及びホスフィノトリシン耐性のためのpat遺伝子、イミダゾリノン耐性のためのALS遺伝子、ハイグロマイシン耐性のためのHPH又はHYG遺伝子、グリホサート耐性のためのEPSPシンターゼ遺伝子、Hc−毒素に対する耐性のためのHm1遺伝子及び日常的に使用される、当業者に公知のその他の選択的物質が挙げられる。Yarranton (1992) Curr. Opin. Biotech. 3:506、Chistopherson et al. (1992) PNAS USA 89:6314、Yao et al. (1992) Cell 71:63、Reznikoff (1992) Mol. Microbiol. 6:2419、Barkley et al. (1980) The Operon 177-220、Hu et al. (1987) Cell 48:555、Brown et al. (1987) Cell 49:603、Figge et al. (1988) Cell 52:713、Deuschle et al. (1989) PNAS USA 86:5400、Fuerst et al. (1989) PNAS USA 86:2549、Deuschle et al. (1990) Science 248:480、Labow et al. (1990) Mol. Cell. Biol. 10:3343、Zambretti et al. (1992) PNAS USA 89:3952、Baim et al. (1991) PNAS USA 88:5072、Wyborski et al. (1991) Nuc. Acids Res. 19:4647、Hillenand-Wissman (1989) Topics in Mol. And Struc. Biol. 10:143、Degenkolb et al. (1991) Antimicrob. Agents Chemother. 35:1591、Kleinschnidt et al. (1988) Biochemistry 27:1094、Gatz et al. (1992) Plant J. 2:397、Gossen et al. (1992) PNAS USA 89:5547、Oliva et al. (1992) Antimicrob. Agents Chemother. 36:913、Hlavka et al. (1985) Handbook of Experimental Pharmacology 78及びGill et al. (1988) Nature 334:721を参照のこと。
【0092】
選択マーカー遺伝子の上記の一覧は、制限するものではない。いかなる選択マーカー遺伝子も本発明において使用してよい。
【0093】
微細藻類宿主又はウキクサ植物における発現の増強のためのヌクレオチド配列の改変
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントが、微細藻類又はウキクサ内で発現される場合には、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードする発現されるポリヌクレオチド配列を、微細藻類におけるその発現を増強するよう改変してもよい。1つのこのような改変として、植物又は藻類が好むコドン、特に、微細藻類が好むコドンを使用するポリヌクレオチドの合成がある。植物又は藻類が好むコドンを用いてヌクレオチド配列を合成するための方法は当技術分野で入手可能である。例えば、米国特許第5,380,831号明細書及び同5,436,391号明細書、欧州特許第0359472号明細書、同0385962号明細書、国際公開第91/16432号パンフレット、Perlak et al. (1991)PNAS USA 15:3324、Iannacome et al. (1997) Plant Mol. Biol. 34:485、及びMurray et al. (1989)Nucleic Acids. Res. 17:477参照のこと。合成は、当業者に公知のいかなる方法を使用して達成してもよい。好ましいコドンは、微細藻類において発現されるタンパク質における最高頻度のコドンから決定できる。例えば、微細藻類のコドン使用の頻度は、表Aに見られる。
【0094】
【表1】

【0095】
本発明の目的上、「微細藻類が好むコドン」とは、微細藻類において17%を超えるコドン使用の頻度を有するコドンを指す。本明細書において、用語「微細藻類が好むコドン」とは、スラウストキトリアセアエ科において17%を超えるコドン使用の頻度を有するコドンを指す。本明細書において「シゾキトリウムが好むコドン」とは、シゾキトリウムにおいて、17%を超えるコドン使用の頻度を有するコドンを指し、シゾキトリウムにおけるコドン使用の頻度は、コドン使用データベース(Codon Usage Database)(GenBank Release 160.0、2007年6月15日)から得られる。
【0096】
コウキクサのコドン使用の頻度は、表Bに見られ、シゾキトリウムのコドン使用の頻度は、表Cに見られる。
【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
本発明の目的上、「ウキクサが好むコドン」とは、ウキクサにおける、17%を超えるコドン使用の頻度を有するコドンを指す。本明細書において、「アオウキクサ属が好むコドン」とは、アオウキクサ属において、17%を超えるコドン使用の頻度を有するコドンを指す。本明細書において、「コウキクサが好むコドン」とは、コウキクサにおける、17%を超えるコドン使用の頻度を有するコドンを指し、コウキクサにおけるコドン使用の頻度は、コドン使用データベース(Codon Usage Database)(GenBank Release 160.0、2007年6月15日)から得られる。
【0100】
所望の抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドのすべて又はいかなる部分も最適化してもよいし、又は合成であってもよいということがさらに認識される。言い換えれば、十分に最適化された配列も、部分的に最適化された配列も使用してもよい。例えば、コドンの40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%が、微細藻類が好む又はウキクサが好むコドンであってよい。一実施形態では、コドンの90%から96%の間が、微細藻類が好む又はウキクサが好むコドンである。一実施形態では、NDVポリペプチドは、NDV HNポリペプチド、例えば、配列番号3又は15に示されるNDV HNポリペプチドであり、発現カセットは、このNDV HNポリペプチドの最適化されたコード配列を含み、コード配列は、微細藻類が好むコドン、例えば、スラウストキトリアセアエが好むか、又はシゾキトリウムが好むコドンを含む。このような一実施形態では、発現カセットは、配列番号3又は15に示されるHNポリペプチドをコードするシゾキトリウムが好むコドンを含有する、配列番号1又は14を含む。別のこのような実施形態では、発現カセットは、配列番号17又は20に示されるHNポリペプチドをコードするシゾキトリウムが好むコドンを含有する配列番号22又は23を含む。
【0101】
微細藻類におけるその発現を増強するために、所望の抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドに、その他の改変を行ってもよい。これらの改変として、それだけには限らないが、偽のポリアデニル化シグナルをコードする配列、エキソン−イントロンスプライシング部位シグナル、トランスポゾン様リピート及び遺伝子発現にとって有害であり得るその他のこのような十分に特性決定された配列の排除が挙げられる。可能であれば、所望の異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、予測されるヘアピン二次mRNA構造を避けるよう改変してもよい。
【0102】
動物及び植物における翻訳開始コドンの最適翻訳開始状況ヌクレオチド配列間には公知の相違がある。本明細書において、「翻訳開始状況ヌクレオチド配列」とは、翻訳開始コドンのすぐ5’の3つのヌクレオチドの同一性を指す。「翻訳開始コドン」とは、所望のヌクレオチド配列から転写されるmRNAの翻訳を開始するコドンを指す。これらの翻訳開始状況ヌクレオチド配列の組成は、翻訳開始の効率に影響を及ぼし得る。例えば、Lukaszewicz et al. (2000) Plant Science 154:89-98及びJoshi et al. (1997); Plant Mol. Biol. 35:993-1001参照のこと。本発明では、所望の抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドの翻訳開始コドンの翻訳開始状況ヌクレオチド配列を、微細藻類における発現を増強するよう改変してもよい。一実施形態では、翻訳開始コドンのすぐ上流の3つのヌクレオチドが「ACC」であるようヌクレオチド配列を改変する。第2の実施形態では、これらのヌクレオチドは、「ACA」である。
【0103】
微細藻類又はウキクサにおける抗原性NDVポリペプチドの発現はまた、5’リーダー配列を使用することによって増強してもよい。このようなリーダー配列は、翻訳を増強するよう作用し得る。翻訳リーダーは、当技術分野で公知であり、これとして、それだけには限らないが、ピコルナウイルスリーダー、例えば、EMCVリーダー(脳心筋炎5’非コーディング領域;Elroy-Stein et al. (1989) PNAS USA 86:6126)、ポティウイルスリーダー、例えば、TEVリーダー(タバコエッチウイルス; Allison et al. (1986) Virology 154:9)、ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP; Macajak and Sarnow (1991)Nature 353:90)、アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNAに由来する非翻訳リーダー(AMV RNA 4; Jobling and Gehrke (1987) Nature 325:622)、タバコモザイクウイルスリーダー(TMV; Gallie (1989) Molecular Biology of RNA, 23:56)、ジャガイモエッチウイルスリーダー(Tomashevskaya et al. (1993) J. Gen. Virol. 74:2717-2724)、Fed−1 5’非翻訳領域(Dickey (1992) EMBO J. 11:2311-2317)、RbcS 5’非翻訳領域(Silverthorne et al. (1990) J. Plant. Mol. Biol. 15:49-58)及びトウモロコシ退緑斑紋ウイルスリーダー(MCMV; Lommel et al. (1991) Virology 81:382)が挙げられる。Della-Cioppa et al. (1987) Plant Physiology 84:965も参照のこと。トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)遺伝子、トウゴマカタラーゼ遺伝子又はアラビドプシストリプトファン経路遺伝子PAT1に由来するイントロン配列を始めとする植物イントロン配列を含むリーダー配列もまた、植物において翻訳効率を高めると分かっている(Callis et al. (1987)Genes Dev. 1:1183-1200、Mascarenhas et al. (1990) Plant Mol. Biol. 15:913-920)。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ1遺伝子(ADH1;GenBank受託番号X04049)のヌクレオチド1222〜1775に対応するヌクレオチド配列を、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドの上流にその翻訳の効率を増強するために挿入する。別の実施形態では、発現カセットは、イボウキクサリブロース−ビス−ホスフェートカルボキシラーゼ小サブユニット5B遺伝子に由来するリーダーを含有する(RbcSリーダー;Buzby et al. (1990)Plant Cell 2:805-814参照のこと)。
【0105】
上記の発現を増強するヌクレオチド配列改変のいずれも、いかなる単一の改変又は改変のいかなる可能性ある組合せも含めて、本発明において使用してよいということは認識される。本明細書において、微細藻類又はウキクサにおける、語句「発現の増強のために改変された」とは、これらの改変のいかなる1種も、又はいかなる組合せも含有するポリヌクレオチド配列を指す。
【0106】
シグナルペプチド
所望のNDVポリペプチドは、普通又は有利には、分泌タンパク質として発現され得る。分泌タンパク質は、普通、小胞体(ER)の膜上の受容体タンパク質と相互作用して、細胞からの分泌のための、膜を横断し、小胞体中への、増大するポリペプチド鎖の転位置を指示する「シグナルペプチド」を含む前駆体ポリペプチドから翻訳される。このシグナルペプチドは、前駆体ポリペプチドから切断され、シグナルペプチドを欠く「成熟した」ポリペプチドをもたらし得る。シグナルペプチドが切断されず、シグナルペプチドを含む全ポリペプチドが細胞から分泌される場合もある。本発明の一実施形態では、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントが、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントの、培養培地への分泌を指示するシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結しているポリヌクレオチド配列から微細藻類又はウキクサにおいて発現される。小胞体へのタンパク質転位置を標的とする植物又は藻類シグナルペプチド(細胞の外側への分泌のための)は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第6,020,169号参照のこと。本発明では、任意の植物又は藻類シグナルペプチドを使用して、発現されたポリペプチドをERへと標的とできる。
【0107】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)塩基性エンドキチナーゼシグナルペプチド(NCBIタンパク質受託番号BAA82823のアミノ酸14〜34)、エクステンションシグナルペプチド(Stiefel et al. (1990) Plant Cell 2:785-793)、コメα−アミラーゼシグナルペプチド(NCBIタンパク質受託番号AAA33885のアミノ酸1〜31;GenBank M24286も参照のこと)である。別の実施形態では、シグナルペプチドは、分泌された微細藻類タンパク質のシグナルペプチドに対応する。
【0108】
一実施形態では、本発明のシグナルペプチドは、配列番号13(配列番号12に示される配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる)又は配列番号21(配列番号27に示される配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる)に示されるNDV HNシグナルペプチドである。ウイルス起源のNDV HNシグナルペプチドは、微細藻類におけるNDVタンパク質の発現において驚くべき結果を示し、これでは、細胞からの分泌のための膜を横断する、小胞体へのポリペプチド鎖の転位置を指示した。
【0109】
あるいは、哺乳類シグナルペプチドを使用して、微細藻類からの分泌のために、組換え製造された抗原性NDVポリペプチドを標的にできる。植物細胞が、小胞体を標的とする哺乳類シグナルペプチドを認識すること及びこれらのシグナルペプチドが、ポリペプチドの細胞膜を通ってだけでなく、植物の細胞壁を通っての分泌を指示できることが実証された。米国特許第5,202,422号明細書及び同5,639,947号明細書を参照のこと。
【0110】
一実施形態では、所望のポリヌクレオチド配列の上記のいかなる改変又は改変の組合せも使用して、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を微細藻類における発現の増強のために改変する。
【0111】
分泌されるNDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントは、それだけには限らないが、クロマトグラフィー、電気泳動、透析、溶媒−溶媒抽出などを含めた当技術分野で公知の任意の従来手段によって培養培地から採取できる。その際、部分的又は実質的に精製された抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを培養培地から得ることができる。
【0112】
形質転換された微細藻類又はウキクサ
本発明は、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを発現する形質転換された微細藻類又はウキクサ植物を提供する。用語「微細藻類」とは、スラウストキトリアセアエ科のメンバーを指す。この科は、現在4つの属:シゾキトリウム、スラウストキトリウム、ラビリンチュロイデス及びジャポノキトリウムに分けられている。例示的シゾキトリウムとして、それだけには限らないが、シゾキトリウム・アグレガルム(Schizochytorium aggregatum)、シゾキトリウム・リマシナム(Schizochytorium limacinum)、シゾキトリウム種(S31)(ATCC20888)、シゾキトリウム種(S8)(ATCC 20889)、シゾキトリウム種(LC−RM)(ATCC18915)、シゾキトリウム種(SR21)(ATCC28209)及び寄託されたシゾキトリウム・リマシナム株IFO 32693(Honda et Yokochi)が挙げられる。
【0113】
用語「ウキクサ」とは、ウキクサ(Lemnaceae)科のメンバーを指す。この科は、現在、以下のように5つの属及び38のウキクサの種に分けられている:アオウキクサ属(ナンゴクウキクサ(L. aequinoctialis)、L.ディスペルマ(disperma)、L.エクアドリエンシス(ecuadoriensis)、イボウキクサ(L. gibba)、ムラサキコウキクサ(L. japonica)、コウキクサ(L. minor)、ヒナウキクサ(L. miniscula)、L.オブスクラ(obscura)、チビウキクサ(L. perpusilla)、L.テネラ(tenera)、ヒンジモ(L. trisulca)、キタグニコウキクサ(L. turionifera)、チリウキクサ(L. valdiviana));スピロデラ(Spirodela)属(S. インテルメディア(intermedia)、S.ポリリーザ(polyrrhiza)、ヒメウキクサ(S. punctata));ウォルフィア(Wolffia)属(Wa.アングスタ(angusta)、Wa.アリーザ(arrhiza)、Wa.オーストラリナ(australina)、Wa.ボレアリス(borealis)、Wa.ブラシリエンシス(brasiliensis)、Wa.コロンビアナ(columbiana)、Wa.エロンガタ(elongata)、ミジンコウキクサ(Wa. globosa)、Wa.ミクロスコピカ(microscopica)、Wa.ネグレクタ(neglecta));ウォルフィエラ(Wolfiella)属(Wl.カウダタ(caudata)、Wl.デンチクラタ(denticulata)、Wl.グラディアタ(gladiata)、Wl.ヒアリナ(hyalina)、Wl.リングラタ(lingulata)、Wl.レプンダ(repunda)、Wl.ロツンダ(rotunda)及びWl.ネオトロピカ(neotropica))及びランドルチア(Landoltia)属ヒメウキクサ(L. punctata)。アオウキクサ属の種は、Landolt (1986)Biosystematic Investigation on the Family of Duckweeds: The family of Lemnaceae-A Monograph Study (Geobatanischen Institut ETH、Stiftung Rubel、Zurich)によって記載される分類学的スキームを使用して分類できる。
【0114】
本明細書において、「植物」とは、全植物、植物器官(例えば、葉状体(葉)、茎、根など)、種子、植物細胞及びそれらの後代を含む。トランスジェニック植物の部分は、本発明の範囲内に、例えば、植物細胞、植物プロトプラスト、植物を再生できる植物細胞組織培養物、組織、植物カルス、胚並びに花、胚珠、茎、果実、葉、根、根端、根粒及びトランスジェニック植物又は所望のポリヌクレオチドでこれまでに形質転換され、したがって、少なくとも一部は、トランスジェニック細胞からなるその後代に由来する同類のものなどを含むと理解すべきである。
【0115】
本発明の形質転換された微細藻類又はウキクサ植物は、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む発現構築物を、所望の微細藻類又はウキクサ植物中に導入することによって得ることができる。
【0116】
用語「導入すること」とは、ポリヌクレオチド、例えば、抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む発現構築物との関連で、微細藻類又はウキクサ植物にポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチドが、微細藻類又はウキクサの細胞の内部へ侵入するような方法で提示することを意味するものとする。2種以上のポリヌクレオチドが導入される場合には、これらのポリヌクレオチドを、単一ヌクレオチド構築物の一部として集めてもよく、又は別個のヌクレオチド構築物として集めてもよく、同一又は異なる形質転換ベクター上に位置させてもよい。したがって、これらのポリヌクレオチドは、所望の微細藻類又はウキクサ宿主細胞中に、単一の形質転換事象で、別個の形質転換事象で、又は例えば、育種プロトコールの一部として導入できる。本発明の組成物及び方法は、微細藻類中に1種又は2種以上のポリヌクレオチドを導入するための特定の方法に依存せず、微細藻類又はウキクサ植物の少なくとも1種の細胞の内部へ侵入するだけである。ポリヌクレオチドを植物又は藻類中に導入する方法は、当技術分野で公知であり、それだけには限らないが、一過性の形質転換法、安定な形質転換法及びウイルス媒介性法が挙げられる。
【0117】
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドとの関連で、「一過性の形質転換」とは、ポリヌクレオチドが微細藻類又はウキクサ中に導入されるが、微細藻類又はウキクサのゲノム中に統合されないことを意味するものとする。
【0118】
「安定に導入すること」又は「安定に導入された」とは、微細藻類又はウキクサ中に導入されるポリヌクレオチド(例えば、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチド)との関連で、導入されるポリヌクレオチドが、微細藻類又はウキクサゲノム中に安定に組み込まれ、従って、微細藻類又はウキクサ植物が、ポリヌクレオチドで安定に形質転換されることを意図する。
【0119】
「安定な形質転換」又は「安定に形質転換された」とは、微細藻類又はウキクサ植物に導入されたポリヌクレオチド、例えば、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドが微細藻類又は植物のゲノムに組み込まれ、後代によって、より詳しくは、複数の連続する世代の後代によって、遺伝によって受け継がれ得ることを意味するものとする。いくつかの実施形態では、連続する世代は、例えば、クローン増殖を用いて、植物性に(すなわち、無性生殖)生じた後代を含む。その他の実施形態では、連続する世代は、有性生殖によって生じた後代を含む。
【0120】
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む発現構築物は、当業者に公知の形質転換プロトコールを使用して所望の微細藻類又は植物中に導入できる。微細藻類又は植物細胞又は根粒にヌクレオチド配列を導入するのに適した方法として、マイクロインジェクション(Crossway et al. (1986) Biotechniques 4:320-334)、エレクトロポレーション(Riggs et al. (1986) PNAS USA 83:5602-5606)、アグロバクテリウム媒介性形質転換(米国特許第5,563,055号明細書及び同5,981,840号明細書)、直接遺伝子導入(Paszkowski et al. (1984) EMBO J. 3:2717-2722)、弾道粒子加速法(ballistic particle acceleration)(例えば、米国特許第4,945,050号明細書、同5,879,918号明細書、同5,886,244号明細書及び同5,932,782号明細書を参照のこと)及びPlant Cell, Tissue, and Organ Culture: Fundamental Methods、ed. Gamborg and Phillips (Springer-Verlag、Berlin)中のTomes et al. (1995)「Direct DNA Transfer into Intact Plant Cells via Microprojectile Bombardment」、McCabe et al. (1988) Biotechnology 6:923-926参照のこと)が挙げられる。形質転換された細胞を、従来法に従って植物又は藻類に成長させてもよい。
【0121】
上記のように、安定に形質転換された微細藻類又は植物は、米国特許第6,040,498号又は米国特許出願公開第2003/0115640号明細書、同2003/0033630号明細書又は同2002/0088027号明細書に開示される遺伝子導入法の1つなど、当技術分野で公知のいかなる遺伝子導入法によっても得ることができる。微細藻類又は植物は、アグロバクテリウム媒介性遺伝子導入、弾道衝撃(ballistic bombardment)又はエレクトロポレーションを始めとするいくつかの方法のいずれか1つによって、本明細書に記載される核酸配列を含有する発現カセットを用いて効率的に形質転換できる。使用されるアグロバクテリウムは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス又はアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)であり得る。安定な微細藻類又は植物形質転換体は、所望の核酸配列及び選択物質に対する耐性を付与する遺伝子の両方を用いて微細藻類又は植物細胞を形質転換することと、それに続いて、形質転換された細胞を、選択物質を含有する培地中で培養することによって単離できる。例えば、米国特許第6,040,498号明細書参照のこと。
【0122】
これらの方法において利用される安定に形質転換された微細藻類又は植物は、正常な形態を示し、有性生殖によって稔性であり、かつ/又は例えば、クローン増殖を用いて、植物性に(すなわち、無性生殖)繁殖し得るはずである。本発明の形質転換された微細藻類又は植物は、単一コピーのNDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするポリヌクレオチドを含む導入された核酸を含有し、導入された核酸がその中に著しい再編成を有さないことが好ましい。本発明の形質転換された微細藻類が、低コピー数(すなわち、形質転換された細胞あたり、12コピー以下、8コピー以下、5コピー以下、あるいは、3コピー以下、さらなる代替法として、3コピーより少ない核酸)で存在する導入された核酸を含有し得ることは認識される。
【0123】
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを発現する形質転換された植物又は藻類は、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを発現するのに適した条件下で培養してもよい。次いで、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを微細藻類、培養培地又は微細藻類及び培養培地から採取し、望ましい場合には、クロマトグラフィー、電気泳動、透析、溶媒−溶媒抽出などを含めた、当技術分野で公知の、いかなる従来単離法及び精製法を使用して精製してもよい。次いで、NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを、本明細書において別の場所に記載される治療適用のためのワクチンとして製剤してもよい。
【0124】
NDVポリペプチドを調製する方法
本明細書に十分に記載されるように、一実施形態では、組換えNDV HNポリペプチドを製造する方法は、(a)微細藻類又はウキクサ植物を微細藻類又はウキクサ培養培地中で培養するステップであって、微細藻類又はウキクサ植物が、NDVポリペプチドを発現するよう安定に形質転換されており、NDVポリペプチドが、前記の組換えNDVポリペプチドのコード配列と、作動可能に連結している、培養培地中へのNDVポリペプチドの分泌を指示するシグナルペプチドのコード配列とを含むヌクレオチド配列から発現される、ステップ、及び(b)前記培養培地からNDVポリペプチドを収集するステップを含む。用語「収集する」は、それだけには限らないが、培養培地から採取すること又は精製することを含む。
【0125】
微細藻類又は植物において組換えポリペプチドを製造した後、タンパク質精製のために、当技術分野で利用可能ないかなる方法を使用してもよい。種々のステップが、非タンパク質又は藻類又は植物物質からタンパク質を遊離することと、それに続いて、その他のタンパク質から所望のタンパク質を精製することを含む。組換えタンパク質は、細胞によるその製造後に培養培地から単離される分泌タンパク質であり得、シグナルペプチドを含み得る。前記シグナルペプチドは、分泌後に切断され、成熟タンパク質生成物が生じ得る。製造に使用されるベクター及び宿主系に応じて、本発明の得られる組換えNDVポリペプチドは、組換え細胞内に残存する場合も、発酵培地中に分泌される場合も、2つの細胞膜の間の空間に分泌される場合も、細胞膜の外表面に保持される場合もある。精製プロセスにおける最初のステップは、遠心分離、濾過又はその組合せを含む。最初の、低速での遠心分離の後、低速上清を医薬組成物又はワクチン製剤に使用してもよい。低速上清に、以下に記載される種々の方法を使用してさらなる精製を行ってもよい。組織の細胞外間隙内に分泌されるタンパク質は、真空又は遠心抽出を使用して得ることができる。最小処理がまた、粗生成物の調製も含む場合がある。その他の方法は、抽出物の直接使用を可能にするための解離及び抽出を含む。
【0126】
本発明の方法によって製造される組換えタンパク質は、種々の標準タンパク質精製技術、例えば、それだけには限らないが、遠心分離、濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、等電点電気泳動及び分別可溶化を使用して精製してもよい。所望のタンパク質を精製する方法は、タンパク質の大きさ、生理化学的特性及び結合親和性の相違を利用し得る。このような方法として、プロカインアミド親和性、サイズ排除、高圧液体、逆相及び陰イオン交換クロマトグラフィーを始めとするクロマトグラフィー、親和性タグなどが挙げられる。特に、固定化されたNiイオンアフィニティークロマトグラフィーを使用して、発現されたタンパク質を精製できる。Favacho et al. (2006) Protein expression and purification 46:196-203を参照のこと。また、Zhou et al. (2007)The Protein J 26:29-37、Wang et al. (2006) Vaccine 15:2176-2185及び国際公開第2009/076778号パンフレットを参照のこと。精製プロセスにおいて、浸透圧調節物質、抗酸化剤、フェノール酸化阻害剤、プロテアーゼ阻害剤などといった保護剤を使用してもよい。
【0127】
使用方法及び製品
本発明は、以下の方法実施形態を含む。一実施形態では、NDV抗原性ポリペプチド(単数又は複数)又はその断片若しくはバリアントと、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤又は媒体とを含む組成物を動物に投与することを含む、動物にワクチン接種する方法が開示される。この実施形態の一態様では、動物は、鳥類、ウマ、イヌ、ネコ又はブタである。
【0128】
さらに別の実施形態では、ワクチン又は組成物を、1日齢以上のニワトリに投与してもよい。
【0129】
本発明の一実施形態では、プライム−ブースト投与計画を使用してよく、これは、少なくとも1種の共通ポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原を使用する、少なくとも1回の最初の投与と、少なくとも1回の追加免疫投与からなる。通常、最初の投与に使用される免疫学的組成物又はワクチンは、追加免疫として使用されるものとは性質が異なっている。しかし、最初の投与及び追加免疫投与として同一組成物を使用してもよいということは留意されたい。この投与プロトコールは、「プライム−ブースト」と呼ばれる。
【0130】
本発明では、抗原性NDVポリペプチド又はその断片若しくはバリアントをコードするNDVコード配列又はその断片を発現させるために組換えウイルスベクターを使用する。具体的には、ウイルスベクターは、NDV配列、さらに詳しくは、NDV HN遺伝子又は抗原性ポリペプチドをコードするその断片を発現できる。本明細書において考慮されるウイルスベクターとして、それだけには限らないが、ポックスウイルス[例えば、ワクシニアウイルス又は弱毒化ワクシニアウイルス、トリポックスウイルス又は弱毒化トリポックスウイルス(例えば、カナリアポックス、鶏痘、ハトポックス(dovepox)、ハトポックス(pigeonpox)、ウズラポックス(quailpox)、ALVAC、TROVAC;例えば、米国特許第5,505,941号明細書、同5,494,8070号明細書参照のこと)、アライグマポックス(raccoonpox)ウイルス、ブタポックスウイルスなど]、アデノウイルス(例えば、ヒトアデノウイルス、イヌアデノウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば、イヌヘルペスウイルス、シチメンチョウのヘルペスウイルス、マレック病ウイルス、感染性喉頭気管炎ウイルス、ネコヘルペスウイルス、喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、ウシヘルペスウイルス、ブタヘルペスウイルス)、バキュロウイルス、レトロウイルスなどが挙げられる。別の実施形態では、トリポックス発現ベクターは、ALVACなどのカナリアポックスベクターであり得る。さらに別の実施形態では、トリポックス発現ベクターは、TROVACなどの鶏痘ベクターであり得る。NDVポリペプチド、抗原、エピトープ又は免疫原は、NDV HNであり得る。例えば、NDV HN又はFを含むTROVACベクターは、米国特許第7,144,578号及び米国特許出願公開第2008/0188640号明細書に記載されるベクターであり得、HN及びFを含むNDV抗原を含むILTVベクターは、米国特許第6,306,400号明細書及び同6,153,199号明細書に記載されるベクターであり得る。ウイルスベクターにおいて発現される本発明のNDVポリペプチド又は抗原は、特定のポックスウイルスプロモーター、例えば、とりわけ、ワクシニアプロモーター7.5kDa(Cochran et al., 1985)、ワクシニアプロモーターI3L(Riviere et al., 1992)、ワクシニアプロモーターHA(Shida, 1986)、牛痘プロモーターATI(Funahashi et al., 1988)、ワクシニアプロモーターH6(Taylor et al., 1988b;Guo et al., 1989、Perkus et al., 1989)の制御下に挿入される。
【0131】
本発明のプライム−ブーストプロトコール又は投与計画の別の態様では、本発明のNDV抗原を含んでなる組成物を投与し、続いて、インビボでNDV抗原及び/又はそのバリアント又は断片を含有し、発現する組換えウイルスベクター又はプラスミドベクターを投与する。同様に、プライム−ブーストプロトコールは、組換えウイルスベクター又はプラスミドベクターの投与と、それに続く、本発明の組換えNDV抗原の投与を含み得る。初回投与及び二次投与の両方とも、本発明の組換えNDV抗原を含み得ることはさらに留意されたい。したがって、本発明の組換えNDV抗原は、ウイルスベクターとともにいかなる順序で投与してもよく、あるいは、初回及び二次組成物の両方として単独で使用してもよい。
【0132】
本発明のプライム−ブーストプロトコールのさらに別の態様では、本発明のNDV抗原を含んでなる組成物を投与し、その後、NDV抗原を含む不活化ウイルス組成物又はワクチンを投与する。同様に、プライム−ブーストプロトコールは、不活化ウイルス組成物又はワクチンの投与と、それに続く、本発明の組換えNDV抗原の投与とを含み得る。初回及び二次投与の両方とも、本発明の組換え抗原性ポリペプチドを含み得ることはさらに留意されたい。本発明の抗原性ポリペプチドは、不活化ウイルス組成物又はワクチンとともにいかなる順序で投与してもよく、あるいは、初回及び二次組成物の両方として単独で使用してもよい。
【0133】
プライム−ブースト投与計画は、少なくとも1種の共通ポリペプチド及び/又はそのバリアント又は断片を使用する、少なくとも1回の初回投与と、少なくとも1回の追加投与とを含む。初回投与において使用されるワクチンは、後の追加免疫ワクチンとして使用されるものと性質が異なっていてもよい。初回投与は、1回又は2回以上の投与を含み得る。同様に、追加投与は、1回又は2回以上の投与を含み得る。
【0134】
哺乳類である標的種の組成物の用量容積、例えば、ウイルスベクターに基づいた鳥類組成物の用量容積、例えば、非ポックスウイルス−ウイルスベクターに基づいた組成物は、一般に、約0.1〜約2.0mlの間、約0.1〜約1.0mlの間及び約0.5ml〜約1.0mlの間である。
【0135】
プライム−ブーストプロトコールにおいて使用される本発明の組換え抗原性ポリペプチドを含む組成物は、薬学的に又は獣医学的に許容される媒体、希釈剤又は賦形剤中に含有される。本発明のプロトコールは、NDVから動物を保護し、かつ/又は、感染動物における疾患進行を防ぐ。
【0136】
種々の投与は、1〜6週間間隔をあけて実施することが好ましい。一実施形態によれば、年1回の追加免疫も想定される。動物は、最初の投与の時点で少なくとも1日齢である。
【0137】
ワクチンの有効性は、NDVの毒性株を用いて鳥類などの動物に抗原投与することによる最後の免疫誘導の約2〜4週間後に試験してもよい。相同及び異種株の両方を、抗原投与に使用して、ワクチンの有効性を試験する。噴霧によって、鼻腔内に、眼内に、気管内に及び/又は経口的に動物に抗原投与してもよい。抗原投与ウイルスは、投与経路に応じて、容積中、約105−8EID50であり得る。例えば、投与が、噴霧による場合には、ウイルス懸濁液をエアロゾル化して、約1〜100μmの液滴を作製し、投与が鼻腔内、気管内又は経口である場合には、抗原投与ウイルスの容積は、それぞれ、約0.5ml、1〜2ml及び5〜10mlである。動物は、臨床徴候、例えば、脱水症及びペイスティベント(pasty vents)について抗原投与後14日間毎日観察してもよい。さらに、動物の群を安楽死させ、肺及び胸腔出血、気管炎、気管支炎、細気管支炎及び気管支肺炎の病理学的知見について評価してもよい。ウイルスを単離するために、抗原投与後、すべての動物から中咽頭のスワブを収集してもよい。呼吸組織におけるウイルス抗原の存在又は非存在を、定量的リアルタイムリバーストランスクリプターゼポリメラーゼ連鎖反応(qRRT−PCR)によって評価してもよい。抗原投与の前後に血液サンプルを収集してもよく、NDV特異的抗体の存在について分析してもよい。
【0138】
当業者ならば、本明細書の開示内容は、例として提供され、本発明はそれに制限されないということは理解されなければならない。本明細書の開示内容及び当技術分野における知識から、当業者ならば、投与回数、投与経路及び各注射プロトコールに使用されるべき用量を、過度の実験を行うことなく決定できる。
【0139】
本発明は、有効量の本発明に従って作製された治療組成物を、動物へ少なくとも1回投与することを考慮する。動物は、雄であっても、雌であっても、妊娠中の雌であっても、新生仔であってもよい。この投与は、それだけには限らないが、筋肉内(IM)、皮内(ID)又は皮下(SC)注射を始めとする種々の経路によって、又は鼻腔内若しくは経口投与によってであり得る。本発明の治療組成物はまた、無針装置(例えば、Pigjet、Dermojet、Biojector、Avijet(Merial社、GA、USA)、Vetjet又はVitajet装置(Bioject社、Oregon、USA)を用いるような)によって投与してもよい。プラスミド組成物を投与するための別のアプローチは、エレクトロポレーションを使用することである(例えば、Tollefsen et al., 2002、 Tollefsen et al., 2003、Babiuk et al., 2002、PCT国際公開第99/01158号パンフレット参照のこと)。別の実施形態では、治療組成物を、遺伝子銃又は金粒子衝突によって動物へ送達する。
【0140】
一実施形態では、本明細書に開示される主題は、ワクチン接種投与計画及び感染動物とワクチン接種した動物間の区別を検出する方法(DIVA)を提供する。
【0141】
「ワクチン接種した動物からの感染動物の区別」(DIVA)を可能にする戦略は、特に、発展途上国における、トリの大量処分及び結果として起こる経済的な損害を伴わないウイルスの最終的な根絶のための可能性ある解決法として提案されている(国連食料農業機関(Food and Agriculture Organization of the United)(FAO)(2004). FAO、OIE & WHO Technical consultation on the Control of NDV. Animal health special report)。この戦略は、ワクチン接種の恩恵にあずかり(環境中には少ないウイルス)、感染した群れを同定する能力を有し、駆除を含めたその他の制御手段の実施を依然として可能にする。群れレベルでは、簡単なアプローチとして、各ワクチン接種された群れの中のワクチン接種されていないままの指標鳥を定期的にモニタリングすることがあるが、これは、特に、大きな群れの中の指標の同定では、いくつかの管理の問題を引き起こし得る。代替として、屋外曝露について試験することをワクチン接種された鳥で実施してもよい。あるいは、NDV HNサブユニット(タンパク質)のみを含有するワクチンを使用することで、ワクチン接種された鳥における感染を検出するために、古典的AGID及びNP−又はマトリックスベースのELISAが使用されることが可能となる。
【0142】
本発明のワクチン又は組成物の使用によって、HA以外のNDVタンパク質に対する抗体反応を検出することを目的とした利用可能な診断検査、例えば、寒天ゲル免疫拡散法又はNPベースのELISAを使用して、ワクチン接種された動物におけるNDV感染の検出が可能となるということが本明細書において開示される。本発明のワクチン又は組成物の使用によって、感染動物とワクチン接種された動物間を区別すること(DIVA)によって、動物において感染を検出することが可能となることが本明細書において開示される。NPベースの免疫原性検出法を使用して、動物におけるNDVの感染を診断するための方法、例えば、NPベースのELISAが本明細書において開示される。一実施形態では、本明細書に開示される主題は、a)核タンパク質(NP)を含む固体基質を、動物から得られたサンプルと接触させることと、b)固体基質を、NPに対するモノクローナル抗体(MAb)と接触させることと、c)MAbの、固体基質上のNPによって捕獲されたサンプルとの結合を検出することとを含む、動物においてNDV感染を診断する方法を対象とし、ここで、陰性対照に対する試験サンプルの阻害パーセンテージは、対象がNDVに感染していることを示し、それによって、対象におけるNDV感染を診断する。
【0143】
本発明の別の実施形態は、組換えNDV HN免疫学的組成物又はワクチン及び動物において免疫反応を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための説明書を含む、動物におけるNDVに対する免疫学的又は保護的反応を誘発又は誘導する方法を実施するためのキットである。
【0144】
一実施形態では、本明細書に開示される主題は、免疫反応を誘発又は誘導する方法を実施するためのキットを対象とし、これは、組換えNDV免疫学的組成物若しくはワクチン又は不活化NDV免疫学的組成物若しくはワクチン、組換えNDVウイルス組成物若しくはワクチン及び方法を実施するための説明書を含み得る。
【0145】
本発明の別の実施形態は、本発明のNDV抗原を含む組成物又はワクチン及び組換えNDVウイルス免疫学的組成物又はワクチン及び動物において免疫反応を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための説明書を含む、動物においてNDVに対する免疫学的又は保護的反応を誘導する方法を実施するためのキットである。
【0146】
本発明の別の実施形態は、本発明のNDV抗原を含む組成物又はワクチン及び不活化NDV免疫学的組成物又はワクチン及び動物において免疫反応を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための説明書を含む、動物においてNDVに対する免疫学的又は保護的反応を誘導する方法を実施するためのキットである。
【0147】
本発明のさらに別の態様は、上記の本発明に従うプライム−ブーストワクチン接種のためのキットに関する。キットは、少なくとも2つのバイアル:本発明の初回ワクチン接種のためのワクチン又は組成物を含有する第1のバイアル及び本発明の追加ワクチン接種のためのワクチン又は組成物を含有する第2のバイアルを含み得る。キットは、さらなる初回ワクチン接種又はさらなる追加ワクチン接種のためのさらなる第1又は第2のバイアルを含有することが有利であり得る。
【0148】
一実施形態では、本発明は、標的細胞におけるNDV HN抗原又はエピトープの送達及び発現のための治療上有効な量のワクチン又は組成物の投与を提供する。治療上有効な量を決定することは、当業者にとって日常的な実験である。一実施形態では、ワクチン又は組成物は、組換えNDV HNポリペプチド、抗原又はエピトープと、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、媒体又は賦形剤とを含む。別の実施形態では、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、媒体又は賦形剤は、トランスフェクション又は感染を促進し、かつ/又は、ベクター又はタンパク質の保存を改善する。
【0149】
薬学的に又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、当業者には周知である。例えば、薬学的に又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、0.9% NaCl(例えば、生理食塩水)溶液又はリン酸バッファーであり得る。本発明の方法のために使用できるその他の薬学的に又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤として、それだけには限らないが、ポリ−(L−グルタミン酸)又はポリビニルピロリドンが挙げられる。薬学的に又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、ベクター又は組換えタンパク質の投与を促進するいかなる化合物又は化合物の組合せであってもよく、担体、媒体又は賦形剤は、トランスフェクションを促進し、かつ/又はベクター若しくはタンパク質の保存を改善し得ることが有利である。本明細書において、用量及び用量容積は、一般説明において論じられており、当業者ならば、過度の実験を行うことなく、当技術分野における知識と合わせたこの開示内容の読み取りから決定できる。
【0150】
排他的にではないが、プラスミドに適している第四級アンモニウム塩を含有するカチオン性脂質、以下の式を有するもの:
【0151】
【化1】

【0152】
[式中、R1は、12〜18個の炭素原子を有する飽和又は不飽和直鎖脂肪族基であり、R2は、2又は3個の炭素原子を含有する別の脂肪族基であり、Xは、アミン又はヒドロキシル基、例えば、DMRIEである]。別の実施形態では、カチオン性脂質は、中性脂質、例えば、DOPEと結合していてもよい。
【0153】
カチオン性脂質の中でも、DMRIE(N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシルオキシ)−1−プロパンアンモニウム;国際公開第96/34109号パンフレット)が好ましく、中性脂質、有利には、DOPE(ジオレオイル−ホスファチジル−エタノールアミン;Behr, 1994)と結合して、DMRIE−DOPEが形成することが有利である。
【0154】
DOPEが存在する場合には、DMRIE:DOPEモル比は、約95:約5〜約5:約95であることが有利であり、約1:約1、例えば、1:1がより有利である。
【0155】
別の実施形態では、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤、媒体又はアジュバントは、油中水型エマルジョンであり得る。適した油中水型エマルジョンの例として、安定であり、6〜50v/v%、好ましくは、12〜25v/v%の抗原含有水相と、全部で、又は一部で非代謝可能オイル(例えば、パラフィンオイルなどの無機オイル)及び/又は代謝可能オイル(例えば、植物油又は脂肪酸、ポリオール又はアルコールエステル)と、0.2〜20p/v%、好ましくは、3〜8p/v%の界面活性剤とを含有する50〜94v/v%の油相を含有する4℃で流体である、オイルベースの油中水型ワクチンエマルジョンが挙げられ、後者は、全体で又は一部で又は混合物中で、いずれかのポリグリセロールエステルであり、前記ポリグリセロールエステルは、好ましくは、ポリグリセロール(ポリ)リシノレアート又はポリオキシエチレンリシンオイルあるいは水素化ポリオキシエチレンリシンオイルである。油中水型エマルジョンにおいて使用してもよい界面活性剤の例として、エトキシ化ソルビタンエステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(TWEEN 80(登録商標))、AppliChem, Inc.社、Cheshire、CTから入手可能) 及びソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノオレエート(SPAN 80(登録商標))、Sigma Aldrich社、St. Louis、MOから入手可能)が挙げられる。さらに、油中水型エマルジョンに関して、米国特許第6,919,084号明細書も参照のこと。油中水型エマルジョンは、無機オイルを含有する75%のオイル層と、4%のSPAN 80(登録商標)と、0.4% TWEEN 80(登録商標)を含有する25%の水相とを含み得る。いくつかの実施形態では、抗原含有水相は、1種又は2種以上の緩衝剤を含む生理食塩水溶液を含む。適した緩衝溶液の例として、リン酸緩衝生理食塩水がある。一実施形態では、油中水型エマルジョンは、水/油/水(W/O/W)型トリプルエマルジョンであり得る(米国特許第6,358,500号明細書を参照のこと)。WOWトリプルエマルジョンは、無機オイル及び6%のSPAN 80(登録商標)と、1.6% TWEEN 80(登録商標)を含有する40%の水相を含有する60%の油相を含み得る。その他の適したエマルジョンの例は、米国特許第7,371,395号明細書に記載されている。
【0156】
本発明の免疫学的組成物及びワクチンは、1種又は2種以上の薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤、媒体又はアジュバントを含み得るか、本質的にからなる。本発明の実施において使用するために適した担体又はアジュバントとして、(1)アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸及びアルケニル誘導体ポリマー、(2)免疫賦活性配列(ISS)、例えば、1又は2以上の非メチル化CpG単位を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド配列(Klinman et al., 1996;国際公開第98/16247号パンフレット)、(3)水中油型エマルジョン、例えば、M. Powell、M. Newman、Plenum Press 1995によって公開された「Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach」の147ページに記載されるSPTエマルジョン及び同じ報告の183ページに記載されるエマルジョンMF59、(4)第四級アンモニウム塩を含有するカチオン性脂質、例えば、DDA(5)サイトカイン、(6)水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウム、(7)サポニン又は(8)本出願に引用され、参照により組み込まれる任意の文書において論じられるその他のアジュバント又は(9)それらの任意の組合せ若しくは混合物がある。
【0157】
ウイルスベクターに特に適している水中油型エマルジョン(3)は、軽い流動パラフィンオイル(欧州薬局方型)、イソプレノイドオイル、例えば、スクアラン、スクアレン、アルケンのオリゴマー形成に起因するオイル、例えば、イソブテン又はデセン、直鎖アルキル基を有する酸又はアルコールのエステル、例えば、植物油、エチルオレエート、プロピレングリコール、ジ(カプリレート/カプレート)、グリセロールトリ(カプリレート/カプレート)及びプロピレングリコールジオレエート又は分岐脂肪アルコール又は酸のエステル、特に、イソステアリン酸エステルをベースとし得る。
【0158】
オイルは、エマルジョンを形成するよう乳化剤と組み合わせて使用する。乳化剤は、非イオン性界面活性剤、例えば、一方では、ソルビタン、マンニド(例えば、無水オレイン酸マンニトール)、グリセロール、ポリグリセロール又はプロピレングリコールのエステルであり、他方、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸又はヒドロキシステアリン酸であり得、前記エステルは所望により、エトキシ化又はポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体ブロック、例えば、プルロニック、例えば、L121であってもよい。
【0159】
(1)型アジュバントポリマーの中でも、特に、糖又はポリアルコールポリアルケニルエーテルによって架橋された、架橋アクリル酸又はメタクリル酸のポリマーが好ましい。これらの化合物は、カルボマーの名称の下で知られている(Pharmeuropa,vol. 8, no. 2, June 1996)。当業者ならば、米国特許第2,909,462号明細書を参照でき、これは、少なくとも3つのヒドロキシル基、好ましくは、8以下のこのような基を有し、少なくとも3つのヒドロキシル基の水素原子が、少なくとも2個の炭素原子を有する不飽和、脂肪族基によって置換されているポリヒドロキシル化合物によって架橋されたこのようなアクリル酸ポリマーを提供する。好ましい基は、2〜4個の炭素原子を含有するもの、例えば、ビニル、アリル及びその他のエチレン的に不飽和な基である。不飽和基はまた、メチルなどのその他の置換基を含有し得る。カルボポールの名称で販売される製品(BF Goodrich社、Ohio、USA)は特に適している。それらは、アリルショ糖によって、又はアリルペンタエリスリトールによって架橋されている。それらの中でも、カルボポール974P、934P及び971Pが参照される。
【0160】
無水マレイン酸−アルケニル誘導体コポリマーに関しては、EMA(Monsanto社)が好ましく、これは、直鎖又は架橋エチレン−無水マレイン酸コポリマーであり、それらは、例えば、ジビニルエーテルによって架橋されている。J. Fields et al., 1960も参照される。
【0161】
構造に関しては、アクリル酸又はメタクリル酸ポリマー及びEMAは、以下の式を有する基本単位によって形成されることが好ましい:
【0162】
【化2】

【0163】
[式中、
− R1及びR2は、同一であっても、異なっていてもよく、H又はCH3を表し
− x=0又は1であり、好ましくは、x=1であり、
− y=1又は2であり、x+y=2である]。
EMAについて、X=0及びy=2である場合には、カルボマーについてはx=y=1である。
【0164】
これらのポリマーは水又は生理学的塩溶液(20g/l NaCl)に可溶性であり、pHを、例えば、ソーダ(NaOH)によって7.3〜7.4に調製し、発現ベクター(単数又は複数)を組み込むことができるアジュバント溶液を提供できる。最終の免疫学的組成物又はワクチン組成物中のポリマー濃度は、約0.01〜約1.5% w/v、約0.05〜約1% w/v及び約0.1〜約0.4% w/vの間の範囲であり得る。
【0165】
サイトカイン又は複数のサイトカイン(5)は、免疫学的組成物又はワクチン組成物中でタンパク質の形態であり得るか、又は宿主において、免疫原又は複数の免疫原又はそのエピトープ(単数又は複数)と同時発現され得る。免疫原又はその複数の免疫原又はエピトープ(単数又は複数)を発現するものと同一ベクターによる、又はその別個のベクターによる、サイトカイン又は複数のサイトカインの同時発現が好ましい。
【0166】
本発明は、このような組合せ組成物を、例えば、活性化合物を、有利には、アジュバント、担体、サイトカイン及び/又は希釈剤と一緒に、またそれらと混合することによって調製することを包含する。
【0167】
本発明において使用してもよいサイトカインとして、それだけには限らないが、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ(IFNγ)、インターロイキン−1α(IL−1α)、インターロイキン−1β(IL−1β)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−5(IL−5)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−8(IL−8)、インターロイキン−9(IL−9)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−11(IL−11)、インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)及びトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)が挙げられる。サイトカインは、本発明の免疫学的組成物又はワクチン組成物と同時投与してもよく、及び/又は逐次投与してもよいということは理解されよう。したがって、例えば、本発明のワクチンはまた、インビボで適したサイトカイン、例えば、ワクチン接種されるか、又は免疫学的反応が誘発されるこの宿主に対応しているサイトカイン(例えば、鳥類に投与される製剤のための鳥類サイトカイン)を発現する外因性核酸分子を含有し得る。
【0168】
本発明をここで、以下の限定されない例によってさらに記載する。
[実施例]
【0169】
さらなる詳細がなくとも、当業者ならば、先の記載を使用して、本発明をその最大限に実施できると考えられる。以下の詳細な実施例は単に例示と解釈されるべきであって、先の開示内容をいかなるものであれ制限するものではない。当業者ならば、反応物質について、並びに反応条件及び技術の両方について、手順から適当な変法を即座に認識するであろう。
【0170】
DNAインサート、プラスミド及び組換え微細藻類又は植物ベクターの構築は、J. Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)によって記載される標準分子生物学技術を使用して実施した。
【実施例1】
【0171】
NDV HN遺伝子及び形質転換のためのベクターの構築
ベクターpAB0018(ATCC受託番号PTA9616)を、BamHI及びNdeIで消化し、その結果、838bp及び9879bpの2つの断片が得られた。大きいほうの断片を寒天ゲルでの標準電気泳動技術によって分画し、市販のDNA精製キットを使用して精製した。この9879bpの断片を、BamHI及びNdeIで先に消化しておいたコドン最適化したNDV HN遺伝子(配列番号1)に連結した。次いで、連結を使用して、コンピテント大腸菌DH5−α細胞の商業的に供給された株(Invitrogen社、Carlsbad、CA、USA)を製造業者のプロトコールを使用して形質転換した。次いで、これらのプラスミドを制限消化又はPCRによってスクリーニングして、連結が、予想したプラスミド構造を作製したことを確認した。この手順から得られた1つのこのようなプラスミドベクターを、Sanger配列決定によって検証し、pCL0081と名づけた。NDV HN遺伝子の特定の核酸配列を、シゾキトリウム種における発現のために最適化した。さらに、ベクターpCL0081は、スルホメツロンメチの存在下で増殖させたシゾキトリウム形質転換体に耐性を付与する選択マーカーカセット、HN導入遺伝子の発現を駆動するシゾキトリウム延長因子−1遺伝子(EF1)に由来するプロモーター及びそれに続くHN導入遺伝子及びOrfCターミネーター(PFA3ターミネーターとしても知られている)を含有していた。
【0172】
シゾキトリウム種(ATCC20888)を、エレクトロポレーション法を使用したベクターpCL0081を用いる形質転換の宿主として使用した。細胞を、シェーカー上、M50−20培地中で、200rpm、29℃で48時間増殖させた。細胞を新鮮培地に1:100で希釈し、一晩増殖させた。細胞を遠心分離し、1Mマンニトール、10mM CaCl2(pH5.5)で2 OD600単位の終濃度に再懸濁した。5mLの細胞を、0.25mg/mLのプロテアーゼXIV(Sigma Chemical社)と混合し、シェーカー上で4時間インキュベートした。細胞を10%氷冷グリセロールで2回洗浄し、500μLの冷10%グリセロールに再懸濁した。90μLを、0.2cmの前冷却したgapエレクトロキュベット(Biorad 165-2086)中に分注した。キュベットに10μlのDNA(1〜5μg)を加え、穏やかに混合し、氷上で維持した。200ohms(抵抗)、25μF、250V(0.1cm gap)500V(0.2cm gap)で、細胞にエレクトロポレーションを施した。直ちに、キュベットに0.5mLの培地を加えた。次いで、細胞を4.5mLのM50−20培地に移し、シェーカー上、100rpmで2〜3時間インキュベートした。細胞を遠心分離し、0.5mLの培地に再懸濁し、適当に選択して(必要な場合には)2−5M2Bプレート上にプレーティングし、29℃でインキュベートした。
【実施例2】
【0173】
藻類形質転換体のHA抗原分析
シゾキトリウムのトランスジェニック株(pCL0081で形質転換された)の冷凍保存(Cryostocks)を、M50−20(米国特許出願第2008/0022422号明細書に記載される)中でコンフルエンシーに増殖させ、次いで、(1リットルあたり)13.62g NaSO、0.72g KSO、0.56g KCl、2.27g MgSO.7HO、3g (NH)2SO、0.19g CaCl.2HO、3g MSG一水和物、21.4g MES及び0.4g KHPOを含有する培地中で、50mLバッフル付振盪フラスコ中、27℃、200rpmで48時間増殖させた。脱イオンHOを用いて容積を900mLにし、pHを6に調整し、その後、35分間オートクレーブ処理した。次いで、培地に、濾過滅菌したグルコース(50g/L)、ビタミン(2mL/L)及び微量金属(2mL/L)を加え、容積を1リットルに調整した。ビタミン溶液は、0.16g/L ビタミンB12、9.75g/L チアミン、3.33g/L パントテン酸(pentothenate)Caを含有していた。微量金属溶液(pH2.5)は、1.00g/L クエン酸、5.15g/L FeSO.7HO、1.55g/L MnCl.4HO、1.55g/L ZnSO.7HO、0.02g/L CoCl.6HO、0.02g/L NaMoO.2HO、1.035g/L CuSO.5HO、1.035g/L NiSO.6HOを含有していた。すべての試薬は市販されていた。
【0174】
シゾキトリウム培養物を、50mLコニカル試験管に移し、3000gで15分間遠心分離した。この低速上清を、血球凝集活性測定法にそのままで使用した。低速上清の一部を、100,000gで1時間さらに遠心分離した。得られたペレット、HNタンパク質を含有する不溶性画分をリン酸バッファー生理食塩水(PBS)に再懸濁し、ペプチド配列分析並びにグリコシル化分析に使用した。
【0175】
シゾキトリウムによるHNタンパク質の発現を、まず、活性測定法によって評価した。機能性HNタンパク質は、血球凝集活性を示し、これは、標準血球凝集活性測定法によって容易に検出された。手短には、96ウェルマイクロタイタープレート中で、50μLの低速上清のPBSでの2倍希釈を調製した。次いで、各ウェルに、等容積のシチメンチョウ赤血球(Fitzgerald Industries社, Acton, MA, USA)のおよそ1%の溶液を加え、続いて、室温で、30分間インキュベートした。次いで、凝集度を視覚的に分析した。血球凝集活性単位(HAU)は、ウェル中で可視的血球凝集を引き起こす低速上清の最高希釈として定義される。通常の活性は、トランスジェニック株「CL0081-23」においてほぼ512HAU程度であると分かった(図3B)。トランスジェニック株と同じ方法で増殖させ、調製したシゾキトリウム種ATCC20888のPBS又は野生型株を、陰性対照として使用し、血球凝集活性を全く示さなかった。NDV血球凝集素(HA)組換えタンパク質を、陽性対照として使用した。サンプル力価を、最高希釈でスコア化し、その後、明確なボタンを観察した。生上清においてHA活性を検出した(図3A)。濃縮上清サンプルにおけるHAUは、3200HAU/50μlであった。血球凝集活性は、複数ラウンドの凍結/解凍を通じて安定であると分かった。
【実施例3】
【0176】
藻類形質転換体の発現分析
HNタンパク質の発現はまた、イムノブロット分析とそれに続く標準イムノブロット手順によっても検証した。タンパク質を、4〜12%ビス−トリスゲル(Invitrogen社)でのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離した。次いで、タンパク質をクマシーブルー(SimplyBlue Safe Stain、Invitrogen社)を用いて染色するか、又はポリビニリデンフルオリドメンブレンにトランスファーし、1:1000希釈のニワトリに由来する抗NDV抗血清(Charles River laboratories社、Wilmington、MA、USA)、続いて、1:5000希釈のアルカリ性ホスファターゼにカップリングされている抗ニワトリ二次抗体(AP-AffiniPure Goat Anti-Chicken #103-055-155、Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.社、West Grove、PA、USA)でHNタンパク質の存在をプローブした。続いて、膜を5−ブロモ−4−クロロ−3−インドール−リン酸/ニトロブルーテトラゾリウム液(BCIP/NBT)を用いて製造業者(KPL、Gaithersburg社、MD)の説明書に従って処理した。トランスジェニック株「CL0081-23」の例が、図4に示されている。クマシーブルー染色したゲル及び対応する抗NDVイムノブロットが、パネルB及びCに示されている。組換えHNタンパク質を、低速上清(パネルB)において、及び不溶性画分(パネルC)において検出した。陰性対照(−Ctrl)は、シゾキトリウム種ATCC20888の野生型株又はトランスジェニック株「AB0018」とした。
【実施例4】
【0177】
グリコシル化分析
HNタンパク質上のグリカンの存在を、まず、酵素処理によって評価した。トランスジェニック株「CL0081-23」の不溶性画分を、PBSに再懸濁し、EndoH又はPNGase Fを用いて製造業者(New England Biolabs社、Ipswich、MA、USA)の説明書に従って消化した。次いで、12% SDS−PAGEでタンパク質を分離し、クマシーブルー、過ヨウ素酸で染色するか、又は抗NDV抗血清を用いてイムノブロットした場合の、予測される移動度のシフトによってグリカンの除去を同定した(図5、パネルA)。イムノブロット法の陰性対照(−Ctrl)は、トランスジェニック株「AB0018」とした。酵素処理の陰性対照は、酵素を伴わずにインキュベートしたトランスジェニック株「CL0081-23」(非処理NT)とした。第2に、シゾキトリウムにおいて産生されたHNタンパク質のグリコシル化プロフィールを、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析及びNanoSprayイオン化−直鎖イオントラップ質量分析 (Complex Carbohydrate Research Center、Georgia)によって分析した。所望のタンパク質のクマシーブルー染色したゲル切片を、小片(約1mm)に切り出し、色が透明に変わるまで40mM重炭酸アンモニウム(AmBic)及び100%アセトニトリルを用いて交互に脱染した。脱染したゲルを、40mM Ambic中の10mM DTT中、55℃で1時間再膨潤させた。DTT溶液を55mMヨードアセトアミド(IAM)と交換し、暗所で45分間インキュベートした。インキュベーション後、40mM AmBic及び100%アセトニトリルを用いて交互に2回洗浄した。脱水したゲルを、最初に、トリプシン溶液(40mM Ambic中のトリプシン)を用いて、氷上で45分間再膨潤させタンパク質消化を37℃で一晩実施した。上清を別の試験管に移した。ペプチド及びグリコペプチドを、5%ギ酸中の20%アセトニトリル、5%ギ酸中の50%アセトニトリル、次いで、5%ギ酸中の80%アセトニトリルを用いて順次ゲルから抽出した。サンプル溶液を乾燥させ、1つの試験管中で合わせた。抽出したトリプシン消化物をC18 sep−pakカートリッジに通し、5%酢酸で洗浄して夾雑物(塩、SDSなど)を除去した。ペプチド及びグリコペプチドを、5%酢酸中の20%イソプロパノール、5%酢酸中の40%イソプロパノール及び100%イソプロパノールを用いて順次溶出し、スピード真空濃縮機中で乾燥させた。乾燥したサンプルを合わせ、次いで、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を用いて再構成し、100℃で5分間加熱して、トリプシンを不活化した。トリプシン消化物を、PNGase Fとともに37℃で一晩インキュベートして、N−グリカンを放出した。消化後、サンプルをC18 sep−pakカートリッジを通し、5%酢酸を用いて炭水化物画分を溶出し、凍結乾燥によって乾燥させた。放出されたN結合型オリゴサッカリドをAnumula 及びTaylor (Anumula and Taylor, 1992)の方法に基づいてペルメチル化し、質量分析によってプロファイルした。質量分析による解析は、Complex Carbohydrates Research Center で開発された方法(Aoki K, Perlman M. Lim JM, Cantu R, Wells L, Tiemeyer M. J Biol Chem. 2007 Mar 23;282(12):9127-42.)に従って実施した。質量分析は、NSI−LTQ/MSを使用して決定した。手短には、ペルメチル化グリカンを50%メタノール中の1mM NaOHに溶解し、0.4μL/分の一定流速で機器(LTQ,Thermo Finnigan)中に直接注入した。MS分析を、正イオンモードで実施した。総イオンマッピングのために、自動化MS/MS分析(35の衝突エネルギーで)、2質量単位、先のウィンドウと重複する連続2.8質量単位ウィンドウにおいて500〜2000のm/z範囲をスキャンした。総イオンマッピングを実施して、グリカンを示す断片イオンの存在を調べた。m/z 500からm/z 2000のすべてのMS/MSデータを取り、次いで、生データを手動で分析した。NSI総イオンマッピングによって得られた種のクロマトグラム及び表が、図5(パネルB及びC)に示されている。このクロマトグラムを、スキャンフィルター、高マンノース型グリカンの特徴的なニュートラルロスの1つであるm/z 139のニュートラルロスによって処理した。総イオンマッピングは、このサンプルが長いマンノース鎖を有する一連の高マンノース型グリカンを含有することを示した。
【実施例5】
【0178】
NDV HNのペプチド分析
上記のように、不溶性画分をSDS−PAGEによって分離し、クマシーブルーを用いて染色するか、PVDFにトランスファーして、ニワトリ由来の抗NDV抗血清を用いてイムノブロットした。クマシー染色されたゲルからイムノブロットにおいて交差反応に対応するバンドを切り出し、ペプチド配列分析に付した。手順は、50%エタノール、5%酢酸中で、所望のバンドを洗浄すること/脱染することからなっていた。次いで、ゲル小片をアセトニトリル中で脱水し、スピードバック中で乾燥させ、50mM重炭酸アンモニウム中の10ng/μLトリプシン5μLを加えることによってトリプシンを用いて消化し、消化物を室温で一晩インキュベートした。形成されたペプチドを、ポリアクリルアミドから、5%ギ酸を有する50%アセトニトリル30μLの2つのアリコートに抽出した。これらの抽出物を合わせ、スピードバック中で<10μLに蒸発させ、次いで、1%酢酸に再懸濁して、LC−MS分析のためのおよそ30μLの最終容積を構成した。LC−MSシステムは、Finnigan LTQリニアイオントラップ質量分析計システムとした。HPLCカラムは、自己充填した9cm×75μm id Phenomenex Jupiter C18逆相キャピラリークロマトグラフィーカラムとした。次いでμL容積の抽出物を注入し、0.25μL/分の流速でアセトニトリル/0.1%ギ酸勾配によってカラムから溶出したペプチドを、オンラインの質量分析計の供給源に入れた。マイクロエレクトロスプレーイオン供給源は、2.5kVで作動した。消化物を、LC実験の全過程にわたって質量分析計が、一連のm/z比をフラグメンテーションする選択的反応(SRM)実験を使用して分析した。次いで、所望のペプチドのフラグメンテーションパターンを使用して、クロマトグラムを作製する。各ペプチドのピーク面積を求め、内部標準に対して正規化した。この分析に使用した内部標準は、研究されるサンプル間で不変の量を有するタンパク質である。2つのシステムの最終比較は、各タンパク質の正規化されたピーク比を比較することによって決定する。次いで、ncbiデータベースに対して衝突誘導性解離スペクトルを探索した。HNタンパク質は、タンパク質配列の68%を網羅する合計32種のペプチドによって同定した。配列決定されている特異的ペプチドを用いる結果が、図11に示されている。
【実施例6】
【0179】
ニワトリのワクチン接種
アジュバント中の、シゾキトリウムで発現されたNDV HNタンパク質を用いて3〜4週齢でワクチン接種した、特定の病原体を含まない(SPF)ニワトリにおいて、抗原投与研究を実施した。12羽のニワトリを各ワクチン群に割り当てた。同一アジュバント中のシゾキトリウム野生型材料を用いてワクチン接種した群を、陰性対照群として含めた。3群のニワトリを、3つの投与量レベル(100HAU、1000HAU及び10000HAU)で1回スキームを用いて試験した。シゾキトリウム培養培地の油中水型エマルジョンを、筋肉内経路によって脚に(部位あたり0.5mlx2)投与した。27日目に、血球凝集阻害試験のために血液サンプルを収集し、次いで、ニワトリに、ニワトリあたり104.0EID50(図12)でニューカッスル病ウイルスGB Texas株を用いて筋肉内に抗原投与した。ニワトリを毎日観察し、ニワトリの健康状態が攻撃されていることを確実にした。抗原投与後、ニワトリをNDVの重篤な臨床徴候、例えば、それだけには限らないが、極度の神経過敏、呼吸困難、神経質な徴候又は死亡について14日間毎日観察した。図12に示される死亡率データは、植物由来のNDV HNを用いるワクチン接種は、対照を上回って、100HAUの用量レベルで33%の保護の増大、1000HAU及び9333HAUの用量レベルで100%の保護の増大を誘発することを示す。
【実施例7】
【0180】
ウキクサにおいて産生されるNDV HNタンパク質の発現、特性決定、免疫原性及び有効性
コウキクサタンパク質発現系を使用して、NDV HNポリペプチド(配列番号17、NDV株 YZCQ/Liaoning/08)を発現させた。コウキクサに最適化したHN遺伝子(配列番号22及び23)を、改変A.ツメファシエンスバイナリーベクターにクローニングした(Gasdaska, J., et al., Bioprocessing J. 3, 50-56, 2003)。いくつかのベクター構築物を作製した。構築物は、スーパープロモーター、イボウキクサ RBCS SSU1由来の5’リーダー及びノパリンシンターゼ(Nos)ターミネーターを含有している。構築物MerH01は、その天然シグナル配列(プラスミドマップにおいて示されるシグナルアンカー)を有するコドン最適化したNDV HN遺伝子を含有する。構築物MerH02は、その天然シグナル配列及びKDEL ER保留配列を有するコドン最適化したNDV HN遺伝子を含有する。構築物MerH03は、天然NDV HNシグナル配列がαアミラーゼシグナル配列で置換されている、コドン最適化したNDV HN遺伝子(成熟HNタンパク質をコードする)を含有する。構築物MerH04は、αアミラーゼシグナル配列で置換されたその天然シグナル配列及びKDEL ER保留配列を有する、コドン最適化したNDV HN遺伝子を含有する。4種の構築物のプラスミドマップは図7cに示されている。構築物を、A.ツメファシエンスC58Z707(Hepburn, A.G. et al., J. Gen. Microbiol. 131, 2961-2969, 1985)に形質転換した。植物形質転換ベクター構築物で形質転換されたA.ツメファシエンスC58Z707を使用して、Yamamoto、Y. et al.、In Vitro Cell. Dev. Biol. 37, 349-353 (2001)に記載されるように、迅速に増殖するコウキクサ根粒から、個々のクローン株に相当するトランスジェニック植物を作製した。
【0181】
トランスジェニック株を作製した後、培地及び組織におけるNDV HNの発現についてそれらをスクリーニングする。植物を、小さい研究用容器中で2週間増殖させ、得られた培地及び組織を分析のために収集する。組織分析のために、凍結組織をホモゲナイズし、遠心分離し、上清を標準血球凝集アッセイのために取り出す。最初のスクリーニングから得られた最高の株をスケールアップして、血球凝集アッセイ、血球凝集阻害アッセイ(HI)、SDS−PAGE、ウエスタンブロット及び免疫学的局在決定などのさらなる特性決定のために、およそ1kgのバイオマスを提供する。
【0182】
3〜4週齢の特定の病原体を含まない(SPF)ニワトリにおいて免疫原性及び有効性を評価するために、トランスジェニックアオウキクサ属の株から粗植物抽出物を調製する。12羽のニワトリを、組換えNDV HNポリペプチド及びアジュバントを含んでなる組成物を用いてワクチン接種した各ワクチン群に割り当てる。同一アジュバント中のアオウキクサ属野生型材料を用いてワクチン接種した群を、陰性対照として含める。その他の群のニワトリは、異なる投与量レベルで1回スキームを用いて試験する。21日目に、血球凝集阻害試験のために血液サンプルを収集し、次いで、種々のニューカッスル病ウイルス株を用いてニワトリに抗原投与する。抗原投与後、ニワトリを、NDVの重篤な臨床徴候、例えば、それだけには限らないが、極度の神経過敏、呼吸困難、神経質な徴候又は死亡について14日間毎日観察する。組換えNDV HNポリペプチドを含有する組成物は、NDV感染及び疾患を治療すること、保護すること及び予防することにおいて有効性を示す。
【0183】
本出願が引用した文書において引用されるか、参照されるすべての文書及び本明細書において引用されるか、参照されるすべての文書(「本明細書に引用される文書」)及び本明細書が引用した文書において引用されるか、又は参照されるすべての文書は、本明細書において、又は本明細書に参照により組み込まれる任意の文書において言及された任意の製品の、製造業者の説明書、記載、製品仕様書及び製品シートと一緒に、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実施において使用され得る。
【0184】
本発明の好ましい実施形態を、このように詳細に記載したが、上記の段落によって定義される本発明は、その多数の明白な変法が、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなくあり得るので、上記の記載において示される特定の詳細に制限されるものではないことは理解されなくてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NDV(ニューカッスル病ウイルス)HN(血球凝集素−ノイラミニダーゼ)ポリペプチド又は抗原と、薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤、媒体又はアジュバントとを含む組成物。
【請求項2】
NDV HNポリペプチド又は抗原が、NDV HN直鎖エピトープ領域を含む免疫原性断片を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
NDV HNポリペプチド又は抗原が、微細藻類又は植物において発現される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
NDV HNポリペプチド又は抗原が、部分精製されている、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
NDV HNポリペプチド又は抗原が、実質的に精製されている、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
NDV HNポリペプチド又は抗原が、配列番号3、5、7、9、15、17、19又は20に示される配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
NDVポリペプチド又は抗原が、配列番号1、2、4、6、8、14、16、18、22又は23に示される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
薬学的に又は獣医学的に許容される担体、賦形剤、媒体又はアジュバントが、油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョンである、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の少なくとも1回の投与を含む、NDVに対して感受性である動物にワクチン接種する方法。
【請求項10】
プライム−ブースト投与計画を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
対象をNDV感染から保護し、及び/又は感染した対象における疾患進行を防ぐために、プライム−ブースト投与計画が、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の初回投与と、インビボでNDV HNポリペプチド、そのバリアント又は断片を発現させるためのポリヌクレオチドを含有する組換えウイルスベクターを、薬学的に又は獣医学的に許容される媒体又は賦形剤中に含む組成物の追加投与とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象をNDV感染から保護し、及び/又は感染した対象における疾患進行を防ぐために、プライム−ブースト投与計画が、インビボでNDV HNポリペプチド、そのバリアント又は断片を発現させるためのポリヌクレオチドを含有する組換えウイルスベクターを、薬学的に又は獣医学的に許容される媒体、希釈剤又は賦形剤中に含む組成物の初回投与と、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の追加投与とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
プライム−ブースト投与計画が、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の初回投与と、NDV抗原を含む不活化ウイルス組成物又はワクチンの追加投与とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
対象をNDVから保護し、かつ/又は感染した対象における疾患進行を防ぐために、プライム−ブースト投与計画が、NDV抗原を含む不活化ウイルス組成物又はワクチンの初回投与と、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の追加投与とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
動物が、鳥類、ウマ、イヌ、ネコ又はブタである、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
微細藻類又はウキクサ植物において発現される実質的に精製されたNDVポリペプチド又は抗原であって、前記ポリペプチドが、配列番号3、5、7、9、15、17、19又は20に示される配列を有するポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、NDVポリペプチド又は抗原。
【請求項17】
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントを発現させるための遺伝子で安定に形質転換された微細藻類培養物又はウキクサ植物。
【請求項18】
NDV HNポリペプチド又はその断片若しくはバリアントが、配列番号3、5、7、9、15、17、19又は20に示される配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項17に記載の微細藻類培養物又はウキクサ植物。
【請求項19】
NDV HNポリペプチドを製造する方法であって、(a)微細藻類又はウキクサ培養培地中で微細藻類培養物又はウキクサ植物を培養するステップであって、前記微細藻類培養物又はウキクサ植物が、前記NDV HNポリペプチドを発現するよう安定に形質転換されており、前記NDV HNポリペプチドが、前記NDV HNポリペプチドのコード配列と、前記培養培地への前記ポリペプチドの分泌を指示するシグナルペプチドの、作動可能に連結しているコード配列とを含むヌクレオチド配列から発現されるステップ、及び(b)前記培養培地から前記NDV HNポリペプチドを収集するステップ、を含む方法。
【請求項20】
シグナルペプチドが、配列番号13又は21に示される配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
配列番号13又は21に示される配列を有するシグナルペプチドをコードするDNA断片を含むプラスミド。
【請求項22】
DNA断片が、NDV HNポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと作動可能に連結している、請求項21に記載のプラスミド。
【請求項23】
植物又は藻類形質転換のためのものである、請求項21又は22に記載のプラスミド。

【図1】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B−C】
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【図6a−1】
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【図6a−2】
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【図6b】
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【図7a−1】
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【図7a−2】
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【図7a−3】
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【図7a−4】
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【図7a−5】
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【図7a−6】
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【図7b−1】
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【図7b−2】
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【図7b−3】
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【図7b−4】
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【図7c−1】
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【図7c−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−515747(P2013−515747A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546255(P2012−546255)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/062209
【国際公開番号】WO2011/090708
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】