説明

給水ポンプ装置

【課題】 容易な操作で迅速に給水を開始できるようにする。
【解決手段】 水タンク1の吐水口1aと給水先とを結ぶ第1水路4の途中にポンプ5を設け、ポンプ5と吐水口1aとの間に第1切替バルブ6を設けて水源7と結ぶ第2水路8を分岐し、水タンク1の内部に上方が開放された予備タンク2を設け、ポンプ5と第1切替バルブ6との間に第2切替バルブ9を設けて予備タンク2の吐水口2aと結ぶ第3水路10を分岐し、ポンプ5と給水先との間に第3切替バルブ11を設けて第1切替バルブ6と第2切替バルブ9との間と結ぶ第4水路12を分岐し、第3切替バルブ11と給水先との間に予備タンク2の上方と結ぶ第5水路13を分岐し、第5水路13の途中に開閉バルブ14を設け、水タンク1に満水を検知する満水センサー1bを設け、各バルブを自動制御する制御手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川・池・水槽・プール・地下水等の水源から汲み上げた水を水タンクに貯水して給水する給水ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、散水車等で使用されている自吸方式水ポンプは、水ポンプ内に水を充満させて駆動し、水路内を排気して給水を行うもので、排気は水ポンプの駆動だけで可能であるから操作が容易で且つ低コストで実施できるものである。しかしながら、水ポンプの排気能力が微弱であるから排気に長時間を要するとともに、少量の水をインペラーの高速回転で攪拌するから水ポンプ内の水温が上昇し易く、真空に近い状態になると水ポンプ内の水が沸騰して給水が不能となる問題があった。また、この自吸方式水ポンプの揚程は4〜5m以内に限られていた。
【0003】
一方、水タンク内に残した水を排気に利用する給水ポンプ装置が提案されている。この技術は、水タンク内の水をバルブ操作で逆流させて水路内の空気を水源へ排気し、その後バルブを吸引側へ切り替えて給水を行うもので、排気が迅速に行え、揚程が7〜8mと給水能力も高いものである。しかしながら、逆流するための十分な水量(300〜500L)を水タンクに予め残しておく必要があるから、作業者は次の排気のために水の残量を常に確認しながら散水等の作業をしなければならない。また、逆流排気時間を適切に決めないと水タンクの水が途中で不足したり排気が不完全となり、作業に熟練を要していた。
【0004】
また、エゼクタによる吸引積込方法(特許文献1参照)は、吸引ホース・吸引回路内の排気能力が速く、地面から水面までの高低差は7mから8m近くまで吸引積込が出来るが、配管回路・制御回路が複雑で有り、高価な散水車と成っている。
【特許文献1】特許第2683539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、容易な操作で迅速に給水を開始できる低コストの給水ポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 水タンクの吐水口と給水先とを結ぶ第1水路の途中にポンプを設け、ポンプと水タンクの吐水口との間の第1水路の途中に第1切替バルブを設けて水源と結ぶ第2水路を分岐し、水タンクの内部に上方が開放された予備タンクを設け、ポンプと第1切替バルブとの間の第1水路の途中に第2切替バルブを設けて予備タンクの吐水口と結ぶ第3水路を分岐し、ポンプと給水先との間の第1水路の途中に第3切替バルブを設けて第1切替バルブと第2切替バルブとの間の第1水路の途中と結ぶ第4水路を分岐し、第3切替バルブと給水先との間の第1水路の途中に予備タンクの上方と結ぶ第5水路を分岐し、第5水路の途中に開閉バルブを設けた、給水ポンプ装置
2) 水タンクに満水を検知する満水センサーを設け、各バルブを制御する制御手段を設け、同制御手段は、第2切替バルブの第3水路側と第3切替バルブの第1水路側と開閉バルブを所定時間開放させる第1制御と、第1切替バルブの第2水路側と第2切替バルブの第3水路側と第3切替バルブの第4水路側を所定時間開放させる第2制御と、第1切替バルブの第2水路側と第2及び第3切替バルブの第1水路側と開閉バルブを水タンクの満水センサーが検知するまで開放させる第3制御とを順に連続的に行い、給水先に給水する際は第1乃至3切替バルブの第1水路側を開放させるとともに開閉バルブを閉鎖させるように制御するものである、前記1)記載の給水ポンプ装置
3) 散水機を備えた車両に前記1)又は2)記載の給水ポンプ装置を設けた、散水車
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給水後に水タンクの水を使い切っても予備タンクに水が残っているから次の空気抜きに利用でき、作業者は残り量を確認することなく給水作業できる。また、予備タンクの容量は従来技術と比較して1/3〜1/5程度で済み、少量の水で確実に排気して吸引積込できる。特に制御手段で各バルブを制御するようにしたものは、一連の工程が自動的に行われて迅速且つ容易に給水を開始でき、操作に熟練を要しない。また、従来技術のエゼクタ方式と比較して吸引積込に要する時間は同程度ながら装置が簡易な構造となり、低コストで実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、各バルブを制御する制御手段を設けると、一連の工程が自動的に行われて迅速且つ容易に給水を開始でき、操作に熟練を要しない。切替バルブとしては、電動式・エアー式のものや手動式が兼用できるものが採用でき、少なくとも3つのポートを持つものが使用される。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜6に示す実施例は、本発明の給水ポンプ装置を散水車に適用した例である。図1は実施例の給水ポンプ装置の説明図、図2は実施例の制御回路の説明図、図3〜6は実施例の給水ポンプ装置の使用状態を示す説明図である。
【0010】
図中、1は水タンク、1aは吐水口、1bは満水センサー、2は予備タンク、2aは吐水口、3は給水部、4は第1水路、5はポンプ、6は第1切替バルブ、7は水源、8は第2水路、8aはストレーナ、9は第2切替バルブ、10は第3水路、11は第3切替バルブ、12は第4水路、13は第5水路、14は開閉バルブ、15は制御回路、15aは押しボタンスイッチ、15bはリレー、15c,15dはタイマリレー、15eはヒューズ、16は散水機、16aはバルブ、a〜cは各切替バルブのポート、Wは水である。
【0011】
本実施例の給水ポンプ装置は、図1に示すように、水タンク1の吐水口1aと給水部3とを結ぶ第1水路4の途中にポンプ5を設け、ポンプ5と水タンク1の吐水口1aとの間の第1水路4の途中に第1切替バルブ6を設けて水源7と結ぶ第2水路8を分岐し、水タンク1の内部に上方が開放された予備タンク2を設け、ポンプ5と第1切替バルブ6との間の第1水路4の途中に第2切替バルブ9を設けて予備タンク2の吐水口2aと結ぶ第3水路10を分岐し、ポンプ5と給水部3との間の第1水路4の途中に第3切替バルブ11を設けて第1切替バルブ6と第2切替バルブ9との間の第1水路4の途中と結ぶ第4水路12を分岐し、第3切替バルブ11と給水部3との間の第1水路4の途中に予備タンク2の上方と結ぶ第5水路13を分岐し、第5水路13の途中に開閉バルブ14を設け、水タンク1に満水を検知する満水センサー1bを設け、各バルブ6,9,11,14を制御する制御回路15(図2参照)を設けている。各切替バルブ6,9,11はポートa〜cを備えたエアー方式の三方ボールバルブで構成し、開閉バルブ14は電動の二方ボールバルブで構成している。
【0012】
本実施例では、ポンプ5を駆動後に押しボタンスイッチ15aを押すとリレー15bが保持動作して電流がリレー15bから第1切替バルブ6・開閉バルブ14・タイマリレー15d・第2切替バルブ9へと流れ、図3に示すように第2切替バルブ6のポートb,cと第3切替バルブ11のポートa,bと開閉バルブ14が開放され、水Wは予備タンク2から第3水路10・第2切替バルブ9・第1水路4を通じてポンプ5に吸引され、第3切替バルブ11・第1水路4・第5水路13・開閉バルブ14を通じて予備タンク2へと流れて循環する。この循環が十数秒間継続してポンプ5から給水部3との間の第1水路4と第3水路10と第5水路13とポンプ5の内部が排気される。
【0013】
次に、タイマリレー15cが設定された時間になって作動すると第3切替バルブ11に電流が流れ、図4に示すように第1切替バルブ6のポートb,cと第2切替バルブ9のポートb,cと第3切替バルブ11のポートa,cが開放され、水Wは予備タンク2から第3水路10・第2切替バルブ9・第1水路4を通じてポンプ5に吸引され、第3切替バルブ11・第4水路12・第1水路4・第1切替バルブ6・第2水路8を通じて水源7へと逆流する。この逆流が数秒間継続して第2水路8と第4水路12の内部が排気される。
【0014】
次に、タイマリレー15dが設定された時間になって作動すると第2切替バルブ9と第3切替バルブ11の電流が遮断され、図5に示すように第1切替バルブ6のポートb,cと第2切替バルブ9のポートa,bと第3切替バルブ11のポートa,bが開放され(開閉バルブ14は常時開放されている)、水Wが水源7から第2水路8・第1切替バルブ6・第1水路4・第2切替バルブ9を通じてポンプ5に吸引され、第3切替バルブ11・第1水路4・第5水路13・開閉バルブ14を通じて予備タンク2へと流入し、予備タンク2の飽和した水Wが水タンク1内に貯水される。水タンク1内の水Wの水位が上昇して満水センサー1bが検知すると、リレー15bの保持が切れて吸引積込が完了する。
【0015】
吸引積込完了後、散水する際は図6に示すように第1切替バルブ6のポートa,bと第2切替バルブ9のポートa,bと第3切替バルブ11のポートa,bを開放するとともに開閉バルブ14を閉鎖し、水Wは水タンク1の吐水口1aから給水部3を通じて散水機16のバルブ16aまで達し、バルブ16aを開放させると水Wが散水機16から散水される。
【0016】
このように、本実施例によれば作業者は押しボタンスイッチ15aを押すだけで一連の工程が自動的に行われて迅速且つ容易に給水を開始でき、操作に熟練を要しないものとなった。また、散水後に水タンク1の水Wを使い切っても予備タンク2に水Wが残っているから次の排気に利用でき、作業者は水Wの残り量を確認することなく散水作業できるようになった。また、予備タンク2の容量は従来技術と比較して1/3〜1/5程度で済み、少量の水Wで確実に排気して吸引積込できるようになった。また、従来技術のエゼクタ方式と比較して吸引積込に要する時間は同程度ながら装置が簡易な構造となり、低コストの散水車となった。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の給水ポンプ装置は、散水車・消防車・路面洗浄車・工場の給水装置等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の給水ポンプ装置の説明図である。
【図2】実施例の制御回路の説明図である。
【図3】実施例の給水ポンプ装置の使用状態を示す説明図である。
【図4】実施例の給水ポンプ装置の使用状態を示す説明図である。
【図5】実施例の給水ポンプ装置の使用状態を示す説明図である。
【図6】実施例の給水ポンプ装置の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 水タンク
1a 吐水口
1b 満水センサー
2 予備タンク
2a 吐水口
3 給水部
4 第1水路
5 ポンプ
6 第1切替バルブ
7 水源
8 第2水路
8a ストレーナ
9 第2切替バルブ
10 第3水路
11 第3切替バルブ
12 第4水路
13 第5水路
14 開閉バルブ
15 制御回路
15a 押しボタンスイッチ
15b リレー
15c,15d タイマリレー
15e ヒューズ
16 散水機
16a バルブ
a〜c ポート
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水タンクの吐水口と給水先とを結ぶ第1水路の途中にポンプを設け、ポンプと水タンクの吐水口との間の第1水路の途中に第1切替バルブを設けて水源と結ぶ第2水路を分岐し、水タンクの内部に上方が開放された予備タンクを設け、ポンプと第1切替バルブとの間の第1水路の途中に第2切替バルブを設けて予備タンクの吐水口と結ぶ第3水路を分岐し、ポンプと給水先との間の第1水路の途中に第3切替バルブを設けて第1切替バルブと第2切替バルブとの間の第1水路の途中と結ぶ第4水路を分岐し、第3切替バルブと給水先との間の第1水路の途中に予備タンクの上方と結ぶ第5水路を分岐し、第5水路の途中に開閉バルブを設けた、給水ポンプ装置。
【請求項2】
水タンクに満水を検知する満水センサーを設け、各バルブを制御する制御手段を設け、同制御手段は、第2切替バルブの第3水路側と第3切替バルブの第1水路側と開閉バルブを所定時間開放させる第1制御と、第1切替バルブの第2水路側と第2切替バルブの第3水路側と第3切替バルブの第4水路側を所定時間開放させる第2制御と、第1切替バルブの第2水路側と第2及び第3切替バルブの第1水路側と開閉バルブを水タンクの満水センサーが検知するまで開放させる第3制御とを順に連続的に行い、給水先に給水する際は第1乃至3切替バルブの第1水路側を開放させるとともに開閉バルブを閉鎖させるように制御するものである、請求項1記載の給水ポンプ装置。
【請求項3】
散水機を備えた車両に請求項1又は2記載の給水ポンプ装置を設けた、散水車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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