説明

給電装置

【課題】電源駆動装置3と負荷装置4と給電経路2が互いに独立しており、電源駆動装置と負荷装置を給電経路に配置して電磁結合で荷の駆動を行なう給電装置1において構成をコンパクト化する。
【解決手段】電源駆動装置の駆動部10に、給電経路に発生している交流電力の向きを検出するフォトトランジスタ13a,13b と、他の電源駆動装置によって給電経路に発生している既存の交流電流を検知した場合に、該既存の交流電流と同位相で給電経路に交流電流を発生するように給電コイル6のドライバ12を駆動する制御手段15を設ける。電源駆動装置の追加により、給電経路に発生させる交流電流を負荷に適合させることが可能となり、最大負荷を想定した電源を常備する必要がなく構成がコンパクトになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流磁界を発生させる給電コイルを備えた電源駆動装置と、交流磁界を受けて交流電力を発生する受電コイルに負荷が接続された負荷装置とを給電経路に設け、電源駆動装置を駆動して給電経路に交流電流を発生させることにより、負荷装置に交流電力を発生させて負荷を駆動するようにした給電装置に係る。本発明は、このような給電装置において、特に負荷装置の設置個数に対応して適当な個数の電源駆動装置を設置することにより、負荷装置の個数に適した交流電力を与えられるようにしたコンパクトな構成の給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導による給電システムは、機械的接点を持たないで電力を供給できることから、さまざまな分野で利用されている。例えば、下記特許文献1には、このような電磁誘導による給電システムの一例である給電装置が開示されている。この給電装置は、平板に沿って設けられた給電側コイルに、これとは独立した給電部と受電部をそれぞれ設ける構成とされている。給電部は、磁性体に巻いた電源側コイルに電源を接続した構成であり、給電側コイルに配置して駆動することにより、給電側コイルに交流電力を誘起する。受電部は、磁性体に巻いた受電側コイルにLED等の負荷を接続した構成であり、給電部で駆動されている給電側コイルに配置することにより、受電側コイルに交流電力が誘起されて負荷が駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−72366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した電磁誘導による給電システムでは、通常は給電用の駆動装置と受電する負荷装置は専用と考えられるので、必要に応じて負荷及びこれに接続される受電部の個数を増減するような運用を想定した場合には、システムに設置する負荷及び受電部の最大個数に合わせた交流電力を供給しうる給電部を準備することが必要と考えられる。しかし、負荷の数はその使用目的や状況により変化するものであり、大型で重量も相当あると考えられる負荷及び受電部の最大個数に合わせて給電部の容量を設定するのは、少ない負荷や軽負荷の装置を駆動する場合もあることを考えると、システム全体としては必ずしも適切とはいえず、場合によっては商品価値を損なう場合もあると考えられる。
【0005】
前述した特許文献1の給電装置は、電磁誘導を利用し、給電側コイルとは別体の給電部を給電側コイル上に設置することにより、給電側コイルに交流電力を発生させるようにしたものであるが、このような構成の給電装置であれば、必要な個数の給電部を給電側コイル上に配置することにより、電源の給電能力を変更できるようにすることも考えられる。しかしながら、各給電部がそれぞれ給電側コイルに発生させる電力が交流電力であるため、各給電部が発生する交流電力の位相を合わせる必要がある。このため複数の給電部を同一の電源・制御信号により駆動することとなり、個々の駆動用コイルは小さくできたとしても、給電部、電源及び駆動回路等からなる電源駆動装置の全体としては必ずしも小型化が達成できるものではなく、システムに設置する可能性のある負荷及び受電部の最大個数に合わせた交流電力を供給するために、装置全体のコストが上昇するという前述した問題を解決することはできない。
【0006】
また、複数の給電部を用い、別々の電源に接続された別々の電源側コイルにより、それぞれ共通の給電側コイルに電磁誘導を行う構成も考えられるが、各給電部がそれぞれ給電側コイルに発生させる電流が交流電流であり、各各給電部が発生する交流電力の位相が合わないため、このような構成をとることはできなかった。
【0007】
そこで本発明は、給電コイルで交流磁界を発生させる電源駆動装置と、交流磁界で交流電力を発生する受電コイルに負荷を接続した負荷装置とをそれぞれ給電経路に設け、電源駆動装置を駆動して給電経路に交流電流を発生させることにより、負荷装置に交流電力を発生させて負荷を駆動するようにした給電装置において、負荷装置の設置個数に対応して適当な個数のそれぞれ独立した電源駆動装置を設置することにより、負荷装置の個数に適した交流電力を与えられるようにしたコンパクトな構成の給電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、給電コイルで交流磁界を発生させる電源駆動装置と、交流磁界で交流電力を発生する受電コイルに負荷を接続した負荷装置とをそれぞれ給電経路に設け、電源駆動装置を駆動して給電経路に交流電流を発生させることにより、負荷装置に交流電力を発生させて負荷を駆動するようにした給電装置において、給電経路上に既に設置された電源駆動装置の駆動信号を検知し、これと同期した駆動信号にて、給電経路に交流電流を発生させることのできる電源駆動装置を提案する。これによって、互いに完全に独立した複数の電源駆動装置を必要な個数だけ使用することが可能となった。すなわち、負荷装置の増減に対して電源駆動装置の設置数を変更し、必要な交流電力の増減に対応することが可能となり、給電装置全体としての小型化・コンパクト化が可能となった。
以下に、各請求項に記載した各発明ごとに、課題を解決するための手段として必須の構成を説明する。
【0009】
請求項1に記載された給電装置は、
交流磁界を発生させる給電コイルを備えた電源駆動装置と、前記電源駆動装置が設置されて前記給電コイルが発生させた交流磁界により交流電流を発生させる給電経路と、前記給電経路に設置されて前記給電経路に発生した交流電流が発生する交流磁界を受けて交流電力を発生させる受電コイルと該受電コイルから交流電力を供給される負荷とを備えた負荷装置と、を有する給電装置において、
前記電源駆動装置は、前記給電経路に発生している交流電流を検出する交流電流検出手段と、他の電源駆動装置によって前記給電経路に発生している既存の交流電流を前記交流電流検出手段が検知した場合に当該既存の交流電流と同位相で前記給電経路に交流電流を発生するように前記給電コイルを駆動する制御手段とを有することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載された給電装置は、請求項1記載の給電装置において、
前記電源駆動装置は、他の電源駆動装置によって前記給電経路に発生している交流電流を前記交流電流検出手段が検知しない場合には、前記制御手段により所定の位相及び周波数で前記給電経路に交流電力を発生するように前記給電コイルを駆動することを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載された給電装置は、請求項2記載の給電装置において、
前記電源駆動装置は、所定の休止期間をおいた所定の繰返し期間で前記給電経路に交流電流を発生させ、他の電源駆動装置によって前記給電経路に発生している既存の交流電流を前記所定の休止期間及び前記所定の繰返し期間に亘って連続して前記交流電流検出手段が検出しない場合には、前記制御手段により前記所定の休止期間をおいた前記所定の繰返し期間で前記給電経路に交流電流を発生させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された給電装置によれば、交流電力を供給するために、給電経路に電源駆動装置を設置すると、この電源駆動装置が給電経路に交流電流を誘起する前に、この電源駆動装置の交流電流検出手段が、給電経路に交流電流が発生しているか否かを検出する。この給電経路に他の電源駆動装置がすでに設置されており、この給電経路に他の電源駆動装置による交流電流が発生していると、後から設置した電源駆動装置の交流電流検出手段がこれを検知し、その検出結果を受けた当該電源駆動装置の制御手段が、当該既存の交流電流と同位相で前記給電経路に交流電流を発生するように、当該電源駆動装置の給電コイルを駆動する。これによって、互いに完全に独立した複数の電源駆動装置を必要な個数だけ使用することが可能となった。すなわち、給電経路に設けられた負荷装置の数に対応して、電源駆動装置の設置数を変更し、必要な交流電力の増減に対応することが可能となり、個々の電源駆動装置を小型化することができるので、給電装置は全体としての小型化・コンパクト化が可能となった。
【0013】
請求項2に記載された給電装置によれば、請求項1記載の給電装置による効果において、電源駆動装置を給電経路に設置した場合において、他の電源駆動装置が発生している既存の交流電流が検知されない場合には、当該電源駆動装置の制御手段が所定の位相及び周波数で給電経路に交流電流を発生させるので、給電経路に設置された負荷装置を適当な電力でで駆動することができる。
【0014】
請求項3に記載された給電装置によれば、請求項2記載の給電装置による効果において、電源駆動装置は、所定の休止期間をおいた所定の繰返し期間で給電経路に交流電流を発生させる構成となっているので、給電経路に先に設置されて駆動を行なっている他の電源駆動装置が存在しないことは、後から給電経路に設置した電源駆動装置の交流電流検出手段が、前記所定の休止期間及び前記所定の繰返し期間に亘って連続して交流電流を検出しないことをもって確実に判断できる。既存の電源駆動装置がないと判断された場合には、制御手段により、前記所定の休止期間をおいた前記所定の繰返し期間で給電経路に交流電流を発生させれば、必要な交流電力で負荷装置の駆動を行なうことができ、さらにその後に負荷装置が増設され、電源装置がこれに対応して増設された場合にも、前に設置した電源駆動装置が発生する交流電力に同期した交流電力を給電経路に発生させることができる。
以上説明した本発明の効果は、特に電池を電源とする小型の給電装置において十分に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の給電装置における電源駆動装置の回路構成図である。
【図2】第1実施形態の給電装置における電源駆動装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の給電装置における電源駆動装置の各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
【図4】第1実施形態の給電装置の全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。
図4に示すように、この給電装置1は、閉ループ状に形成され、図示しないシート状の基体乃至基板等に設けられた給電経路2と、給電経路2を挟むように配置される負荷装置4と、給電経路2を挟むように配置される電源駆動装置3とによって構成されている。
【0017】
図4に示すように、負荷装置4は、下方に突出した一対の脚部8a,8aによって下面側に凹部8bが構成された磁性体8と、磁性体8の凹部8bに巻装した受電コイル9と、この受電コイル9に接続されたLED等からなる負荷としての発光部10を有している。磁性体8の一対の脚部8a,8aの間の凹部8bに給電経路2がくるように負荷装置4を給電経路2上(給電経路2が設けられたシート体の上)に配置し、給電経路2に交流電流を流すと、電磁誘導によって受電コイル9に交流電流が発生し、発光部10が発光する。
【0018】
この負荷装置4は、発光部10の利用目的等に応じて個数や配置を選び、各負荷装置4を給電経路2の必要箇所に設置して使用する。これら負荷装置4を駆動するために必要な交流電力は、給電経路2に設置した負荷装置4の個数で決まるので、後述するように、給電経路2に設置した負荷装置4の個数に応じて電源駆動装置3を給電経路2に設置する。
【0019】
図4に示すように、電源駆動装置3は、下方に突出した一対の脚部5a,5aによって下面側に凹部5bが構成された磁性体5と、磁性体5の凹部5bに巻装した給電コイル6と、この給電コイル6に接続された駆動部7とを有している。
【0020】
図1に示すように、電源駆動装置3の駆動部7は、給電経路2に発生させる交流電流の電源としての電池11と、給電経路2に交流電流を発生させるために給電コイル6を駆動するドライバ12と、給電経路2に発生している交流電流を検出する交流電流検出手段としてのフォトトランジスタ13a,13bと、フォトトランジスタ13a,13bによる入力判断及びドライバ12を駆動制御する制御手段15とを有しており、これらの各回路構成は図3に示す動作波形及びタイミングをもって駆動される。
【0021】
図1に示すように、ドライバ12は、コレクタ同士で接続した極性の異なる2個1組のトランジスタ16a,16bの組A,Bを有している。2組A,Bの各トランジスタは、両端のエミッタにおいて電源である電池11にそれぞれ接続されており、各組A,Bのコレクタには、給電コイル9の両端がそれぞれ接続されている。また、トランジスタ16a,16bの各組A,Bにおいては、その両端のエミッタと接続されたコレクタとの間にトランジスタ16a,16bにはダイオード17がそれぞれ設置されている。
【0022】
そして、図1に示すように、各トランジスタ16a,16bのベースには、制御手段15から制御信号O1〜O4がそれぞれ入力される。すなわち、制御手段15は、トランジスタ16a,16bの各組A,Bにおいて、極性の異なる各トランジスタ16a,16bに対して互いに反対の制御信号(ON信号とOFF信号)を与えるとともに、各組A,B間で対応する位置にある同極性のトランジスタ16a,16a及び16b,16bに対しては互いに反対の制御信号が与えられるように駆動される。
【0023】
図1の他、図3も参照してより具体的に説明すると、あるタイミングでトランジスタ16a,16bの組Aにおいて、pnp型のトランジスタ16aにON信号(図3に示す駆動パルスではL信号)の制御信号O1が与えられる場合には、同組のnpn型のトランジスタ16bにはOFF信号(図3に示す駆動パルスではL信号)の制御信号O2が与えられ、トランジスタ16a,16bの組Bにおいて、pnp型のトランジスタ16aにはOFF信号(図3に示す駆動パルスではH信号)の制御信号O3が与えられ、同組のnpn型のトランジスタ16bにはON信号(図3に示す駆動パルスではH信号)の制御信号O4が与えられる。これによって、電池11の電圧に基づいて給電コイル6には一定方向の電流が流れる。
【0024】
そして、次のタイミングでは、各制御信号O1〜O4はそれぞれ逆の信号となり、電池11の電圧に基づいて給電コイル6には前のタイミングとは逆方向の電流が流れる。この動作を繰り返すことにより、図3の「最初の電源駆動装置の給電コイルの電圧波形」に示すように、給電コイル6には交流電力が発生し、給電経路2に配置された前述した負荷装置4には、図3の「負荷装置に発生する電圧波形」に示すような交流電力が誘起され、発光部10が発光駆動される。
【0025】
なお、図3の「最初の電源駆動装置の給電コイルの電圧波形」に示すように、電源駆動装置3によって給電経路2に発生する交流は、一定の間隔で駆動を停止する休止期間T1を含む繰返し周期T2で繰返される。この休止期間T1を含む繰返し周期T2は、後述するように、給電経路2に先に配置されて給電経路2を駆動している電源駆動装置3の存在を、その後に配置される電源駆動装置3が検知するために設定されているものである。
【0026】
また、図3の「最初の電源駆動装置の給電コイルの電圧波形」のパルスの拡大図に示すように、各パルスは休止期間t1を含む周期t2で繰り返されている。このパルスの休止期間t1は、給電経路2に複数設置されうる電源駆動装置3ではドライバ12のトランジスタ16a,16b等の素子の間で行なわれる切り替え時の遅延対応として設けられた期間であり、電流の流れが切り替わるときに給電コイル6がOFFとなる期間である。すなわち、トランジスタ16a,16bによるドライバ12の切り替えで交流を生成する場合、トランジスタ16a,16bの各組A,Bの切り替えを完全に同時に行なうことが困難であり、場合によってはショートする恐れもあることから設けられた領域であり、また後述すように、給電経路2に先に配置された電源駆動装置3が給電経路2に発生させている交流に対し、後に配置される電源駆動装置3が交流を重畳する場合に、重ね合わせた交流波形のロスをなるべく少なくするために設定されているものである。
【0027】
なお、本実施形態では、t2は50μsから40μs程度、t1は1〜2μs程度、T2は500〜1000μs程度、T1は50〜100μs程度が適当と思われる。
【0028】
図1に示すように、交流電流検出手段としてのフォトトランジスタ13a,13bは、給電コイル6の各端部とドライバ12との間にそれぞれ設けられ、給電コイル6の両端に発生する電圧を検出し、給電経路2に発生する交流電流の有無と向きを示す検知信号S1,S2を制御手段15にそれぞれ入力する。
【0029】
図3に示すように、2個のフォトトランジスタ13a,13bが出力する検知信号S1,S2は、給電経路2に交流が流れている間は、互いに反対のHとLの組み合わせとなっている。例えば、前述したドライバ12の制御信号O1〜O4が、それぞれOFF(H)、ON(H)、ON(L)、OFF(L)であるタイミングにおける交流の方向では、検知信号S1がH、検知信号S2はLとなっており、これから給電経路2に発生している交流の向きを検知することができる。
【0030】
図1に示す制御手段15は、発振部20及び分周回路21によって基準となるクロック信号を供給され、前記フォトトランジスタ13a,13bからの前記検知信号S1,S2に基づき、前記制御信号O1〜O4を前記ドライバ12に与えて、後述するような態様で給電コイル6を交流駆動することができる。また、制御手段15には、初期動作を開始するためのリセットスイッチ25が設けられている。
【0031】
以上説明した電源駆動装置3は、給電経路2に設置した負荷装置4の個数に応じた適切な個数が給電経路2に設置される。すなわち、前述したように、負荷装置4は、発光部10の利用目的等に応じて選択された個数が給電経路2に設置されるので、これら負荷装置4を駆動するために必要な交流電力が供給されるように電源駆動装置3の数を選定して給電経路2に設置する。
【0032】
また、複数の電源駆動装置3を給電経路2に設ける場合には、以下に説明するように、給電経路2にすでに電源駆動装置3が設置されて交流駆動が行なわれている状態で、追加の電源駆動装置3を当該給電経路2に配置して交流電力を増強するという使用方法をとることができる。
【0033】
次に、図2及び図3を用いて、電源駆動装置3を追加する場合における作用を含めた電源駆動装置3の制御動作を説明する。
電源駆動装置3の磁性体5の凹部5bに給電経路2がくるように電源駆動装置3を給電経路2上に配置し、両者を電磁結合状態にする。初期動作を開始するためのリセットスイッチ25をONにすると(S1)、制御手段15の制御信号O1〜O4はOFFの状態にて、フォトトランジスタ13a,13bの検知信号S1、S2の信号を検知する(S10)。
【0034】
制御手段15に検知信号S1又はS2の入力があると(S10、YES)、制御手段15は給電経路2には既に他の電源駆動装置4が設置されていると判断し、電源駆動装置4により給電経路2に発生する交流の休止期間T1及び繰返し周期T2と、当該交流のパルスの一周期t2を計数するための計数カウンタをリセットする(S101)。
【0035】
その後、制御手段15に検知信号S1又はS2が入力されず(S10、NO)、さらに計数カウンタによる計数が、図3の給電経路2に発生している交流の一周期t2を越え(S102、YES)、さらに図3の給電経路2に発生する電圧波形の休止期間である時間T1に相当する時間を越えた場合(S11、YES)は、再び制御手段15に検知信号S1又はS2の入力があるか否かが判断される(S12)。
【0036】
制御手段15に検知信号S1又はS2に入力があった場合(S12、YES)、その信号が検知信号S1か否かを判断する(S121)。
【0037】
検知されたのが検知信号S1であれば(S121、YES)、制御手段15は、制御信号O1と制御信号O4がONの位相からドライバ12を駆動し、所定の周波数で所定の期間だけ、給電コイル6を駆動する(S1211)。検知されたのが検知信号S2であれば(S121、NO)、制御手段15は、制御信号O2と制御信号O3がONである位相からドライバ12の駆動を開始し、所定の周波数で所定の期間だけ、給電コイル6を駆動する(S1212)。
【0038】
いずれの場合においても、図3の「最初の電源駆動装置の給電コイルの電圧波形」と「追加した電源駆動装置の給電コイルの電圧波形」に示すように、両装置による電圧波形は同期しており、位相が一致している。従って、両波形が相殺して電力にロスが生じる等の不都合はなく、加えた分の電力が重畳されて電力増強の目的が達成されている。
なお、S1211とS1212で制御手段15がドライバ12に与えた制御信号はトリガー動作であり、信号を開始したら動作はS101へ戻る。
【0039】
制御手段15が検知信号S1又はS2を検知せず(S10、NO)、時間t1が経過し(S102、YES)、時間T1が経過しても(S11、YES)、検知信号S1、S2の入力がなく(S12、NO)、さらに計数カウンタの計数が、電源駆動装置3により給電経路2に発生する交流の繰返し周期T2に相当する時間を経過した場合には(S13,YES)、この給電経路2には他の電源駆動装置3は設置されていないと判断することができる。
【0040】
このように、給電経路2に他の電源駆動装置3が設置されていないと判断された場合には、給電経路2に設置した電源駆動装置3では、制御手段15が制御信号O2〜O4によってドライバ12の駆動を開始し、当該電源駆動装置3は所定の位相及び周波数で給電コイル6を駆動する(S14)。
【0041】
これにより、給電経路2上に多数の負荷装置4もしくは大量の電流を必要とする負荷装置が設置され、図3の「負荷装置に発生する電圧波形」の最初の部分に示すように、電圧波形の振幅が所期のものよりも小さく、必要とする電力が不足したようなときには、給電経路2に新たな電源駆動装置3を設置するだけで、十分な電力の供給が可能となる。
【0042】
従って、使用者は負荷装置4の数や負荷容量を事前に決めて電源を準備する必要がなく、実際に使用される負荷装置4の数や負荷容量にその場で対応して、給電経路2に設置すべき電源駆動装置3の数を決めればよいので、給電装置1としての利用の自由度が向上する。
【0043】
以上説明した実施形態では、給電経路2は閉ループ状の回路(コイル)であり、それ自体には電源を有していないが、給電経路2に固定の駆動電源を接続しておき、この給電経路2に設置される負荷装置4の個々の負荷や設置される数に合せて、必要に応じて前述したような付加型の電源駆動装置3を追加するようにしてもよい。
【0044】
以上説明したように、本発明に係る実施形態の給電装置1によれば、互いに完全に独立した複数の電源駆動装置3を負荷に合せて必要な個数だけ使用することが可能となった。すなわち、給電経路2に実際に設けた負荷装置4の数に対応して、又は給電経路2に実際に設けた負荷装置4の合計の負荷に対応して、電源駆動装置3の設置数を変更し、必要な交流電力の増減に対応することができる。このため、給電装置として予想される最大負荷に合せた大容量の電源の準備が不要となり、全体としての小型化・コンパクト化が実現できた。
【符号の説明】
【0045】
1…給電装置
2…給電経路
3…電源駆動装置
4…負荷装置
6…負荷装置の受電コイル
7…負荷装置の負荷としての発光部
9…電源駆動装置の給電コイル
10…電源駆動装置の駆動部
11…電源としての電池
12…ドライバ
13a,13b…交流電流検出手段としてのフォトトランジスタ
15…制御手段
16a,16b…ドライバを構成するトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流磁界を発生させる給電コイルを備えた電源駆動装置と、前記電源駆動装置が設置されて前記給電コイルが発生させた交流磁界により交流電流を発生させる給電経路と、前記給電経路に設置されて前記給電経路に発生した交流電流が発生する交流磁界を受けて交流電力を発生させる受電コイルと該受電コイルから交流電力を供給される負荷とを備えた負荷装置と、を有する給電装置において、
前記電源駆動装置は、前記給電経路に発生している交流電流を検出する交流電流検出手段と、他の電源駆動装置によって前記給電経路に発生している既存の交流電流を前記交流電流検出手段が検知した場合に当該既存の交流電流と同位相で前記給電経路に交流電流を発生するように前記給電コイルを駆動する制御手段とを有することを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記電源駆動装置は、他の電源駆動装置によって前記給電経路に発生している交流電流を前記交流電力検出手段が検知しない場合には、前記制御手段により所定の位相及び周波数で前記給電経路に交流電流を発生させるように前記給電コイルを駆動することを特徴とする請求項1記載の給電装置。
【請求項3】
前記電源駆動装置は、所定の休止期間をおいた所定の繰返し期間で前記給電経路に交流電流を発生させ、他の電源駆動装置によって前記給電経路に発生している既存の交流電流を前記所定の休止期間及び前記所定の繰返し期間に亘って連続して前記交流電流検出手段が検出しない場合には、前記制御手段により前記所定の休止期間をおいた前記所定の繰返し期間で前記給電経路に交流電流を発生させることを特徴とする請求項2記載の給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−220301(P2010−220301A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61327(P2009−61327)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】