給餌履歴情報管理装置
【課題】 養殖業や畜産業など、人工的に飼養される生産物に対する給餌履歴を簡単に収集できる管理装置を提供する。
【解決手段】 生産物を収容する収容単位(生簀等)ごとに給餌履歴情報管理装置を設ける。該装置は生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取り、生産物の個体ごとに固着された記録手段(RFIDタグ等)に、読み出した前記飼料情報の書き込みを行う。または個体ごとに固着された発信子から識別情報を読み取り、該識別情報と読み出した飼料情報とを対応づけて記録する。または読み出した個体の識別情報と生簀の識別情報とを対応づけて記録すると共に、生簀の識別情報と読み出した飼料情報とを対応づけて記録する。
【解決手段】 生産物を収容する収容単位(生簀等)ごとに給餌履歴情報管理装置を設ける。該装置は生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取り、生産物の個体ごとに固着された記録手段(RFIDタグ等)に、読み出した前記飼料情報の書き込みを行う。または個体ごとに固着された発信子から識別情報を読み取り、該識別情報と読み出した飼料情報とを対応づけて記録する。または読み出した個体の識別情報と生簀の識別情報とを対応づけて記録すると共に、生簀の識別情報と読み出した飼料情報とを対応づけて記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工的に飼養する(養殖、畜産等)生産物の個体ごとに給餌履歴情報を対応づけて記録する給餌履歴情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康に関する意識の高まりに伴い、消費者が、摂取する食品に関する情報を入手することのニーズが増大しつつある。このようなニーズに応える仕組みとして、農水畜産物の生産単位ごとに識別符号を割り当て、その生産単位に関わる情報(生産に関する情報など)と該生産単位に割り当てた識別符号とを対応付けてデータベースに記録し、該識別符号をキーとして該データベースを検索し得るように構成することにより、消費者や加工業者、流通業者、販売業者等が農水畜産物に関する情報を入手できるようにすることが下記特許文献1,2にて提案されている。
【特許文献1】特開2002−297625号公報
【特許文献2】特開2004−133716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農水畜産物の品質や安全性を確認するための重要な情報として、その農水畜産物が摂取した餌に係わる情報(種類など)があげられる。しかし、畜産業や養殖業では多数の個体(家畜や養殖魚など)を育成しており、この多数の個体ごとに、給餌した餌に係わる情報を記録していくのは容易ではない。
【0004】
特に魚の養殖業の場合、魚が稚魚から成魚に成長する過程で、生簀を移し変えたり、生簀の合併や分割が行われることが多い。各個体ごとに該個体が存在した生簀の情報を登録したり、生簀にて給餌を実施した際にどの個体にどの飼料を給餌したのかを記録していくことは容易ではない。
【0005】
本発明はこのような課題にかんがみなされたものであって、人工的に飼養される生産物に対する給餌履歴を簡単に収集できる管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた、第一の発明の給餌履歴情報管理装置は、人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された記録手段に、該読み出した前記飼料情報の書き込みを行う情報書込手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の発明の給餌履歴情報管理装置は、人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、 前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記個体識別情報読取手段が読み出した個体識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための記録手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第三の発明の給餌履歴情報管理装置は、人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、 前記読み取られた個体識別情報と、当該収容単位に付与された収容単位識別情報とを対応づけて記録するための第一の記録手段と、生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記収容単位識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための第二の記録手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
上記(および請求の範囲、明細書全体)の記載で、「個体」とは、人工的に飼養される一体の生産物の生産単位を表すものであり、例えば養殖業における一匹の魚、あるいは畜産における一頭の牛や豚、一羽の鶏、などがあげられる。
【0010】
また「収容単位」とは、飼養対象の一体または複数体の個体を収容する単位であり、具体的には1つの生簀、あるいは1つの畜舎があげられる。ただし畜産において1つの畜舎において複数の囲いが存在する場合は、その囲いが収容単位となりうる。本発明では、収容単位ごとに、その中の生産物に対して飼料が供給されることを前提としている。
【0011】
また、「収容具」とは飼料を収容する器具の総称であり、例えば飼料をつめた袋や、飼料をいれたケースなどがあげられる。
【0012】
上記第一及び第二の発明では、共に個体に対応づけて給餌履歴が記録される。第一の発明では給餌履歴は個体に装着したRFIDタグに記録し、第二の発明ではコンピュータシステムのデータベースに、各個体の識別情報と対応づけて記録がされる。
【0013】
第一の発明でよれば個体に装着されたRFIDタグから、直接その個体の給餌履歴を読み取ることができる。第二の発明によれば個体に装着されたRFIDタグから識別番号を入手し、上記管理センタ等のコンピュータシステムにアクセスして識別番号をキーとして検索をすれば、その個体の識別番号を入手することができる。
【0014】
また第三の発明では収容単位(生簀など)情報と個体識別情報とを対応づけて記録しておき、収容単位情報と飼料情報とを対応づけて記録することにより、個体識別情報から収容単位の識別情報を得て、この収容単位識別情報を用いて飼料情報を検索することにより、個体の給餌履歴を検索することが可能となる。
【0015】
更に「飼料」については、収容単位ごとに投与され、該収容単位内で飼養される生産物に供給される物質の全てが含まれる。主に想定しているのはいわゆる「餌」であるが、本発明はそれに限定されるものではなく、栄養補助剤や薬品、ワクチンなども含まれる。
【0016】
なお、上記の第二、第三の発明において、各記録手段により記録されるデータベースを構成するハードウェア(例えばハードディスク)は収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置を構成するハードウェア(コンピュータシステムやPDAなどの情報処理端末)に設けてもよく、また収容単位ごとに設けられた給餌履歴情報管理装置とは別に設けたコンピュータシステム(管理センタに設けた管理サーバ等)に設けても良い。第二、第三の発明における「記録手段」は、直接データベースを構成するハードディスク等に書き込みを行うことには限定されず、データベースを構成するハードディスク等を有する他のコンピュータシステムに、該データベースに記録をするためにデータを送出することも「記録手段」の範囲に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は多くの異なる形態で実施可能である。したがって、下記の各実施形態の記載内容のみで解釈すべきではない。また、各実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0018】
各実施形態では、主にシステムについて説明するが、所謂当業者であれば明らかな通り、本発明はコンピュータで使用可能なプログラム及び方法としても実施できる。また、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、または、ソフトウェア及びハードウェアの実施形態で実施可能である。プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、光記憶装置または磁気記憶装置等の任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。さらに、プログラムはネットワークを介した他のコンピュータに記録することができる。
【0019】
なお、以下説明する実施形態では、いずれも本発明を魚などの水産物の養殖に適用した例を説明する。
【0020】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る給餌履歴情報管理装置について、図に基づき説明する。
【0021】
本実施形態は本発明の請求項1に対応する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る給餌履歴情報管理装置を示す図である。
【0023】
生簀20の中にいる飼養対象の個体1(魚など)には、前もって個体ごとにRFIDタグ(以下「個体RFIDタグ」と称する)11が装着されている(例えば、魚の背びれや貝殻など、出荷後に誤って食されないような位置に装着される)。本実施形態では、後述する履歴情報を記録するために、十分な容量のメモリ12を有するRFIDタグが用いられる。
【0024】
生簀20には生簀側端末2が設けられている。この生簀側端末2には、生簀2の中で飼養されている個体1の個体RFIDタグ11や後述する飼料RFIDタグ31から識別番号等のデータを読み取り、またデータを書き込むためのRFIDリーダ/ライタ21が設けられている。
【0025】
また、飼料を収容する収容具3には、飼料RFIDタグ31が装着されている。この収容具3は、例えば飼料袋やケースなどである。
なお、図1では個体1は一体のみを図示したが、これは図示を簡単にするためであって、多くの場合は1つの生簀で複数の個体が飼養されている(一体のみの場合も権利範囲から排除するものではないが、後述する処理の説明では複数の個体が飼養されていることを前提とする)。
また、生贄側端末20は、情報処理をし得るハードウェア(少なくとも情報処理を行うためのCPUやメモリなど)で構成されており、これに後述する情報処理を実現するためのソフトウェアがインストールされることにより、後述する本実施形態の処理が実現される。これらのハードウェアは具体的にはPDAやパーソナルコンピュータを用いて実現することができる。ただこのようなハードウェアの構成およびソフトウェアの実装についてはいずれも周知技術の範囲内であるので、図示および詳述は省略する。
【0026】
個体RFIDタグ11のメモリ12には、図2に示すように該固体に供給された飼料の履歴情報が記録される。履歴情報としては、各レコードごとに飼料を給餌した日時情報に対応づけて、当該飼料に係わる情報(飼料名や仕入先名、水揚げ海域や産地などの飼料)が記録される。
この図2では1レコードのみについて具体的なデータ例を提示したが、実際には後述する処理により該固体に給餌がなされるたびに1レコードづつその飼料の情報が記録され、履歴情報として蓄積される。
【0027】
飼料RFIDタグ31には、該飼料RFIDタグが取り付けられた飼料の収容具3に収容された飼料に係わる情報が記録されており、例えば図3に示すように、その飼料の飼料名や仕入先名、水揚げ海域や産地などの情報が記録されている。
【0028】
次に、本実施形態の給餌履歴情報管理システムの動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
まずRFIDリーダ/ライタ21が飼料の収容具3に取り付けられた飼料RFIDタグを検出すると(S101)、飼料RFIDタグ31より飼料データを読み出し(S102)、テ゛ータを読み出した日時情報を取得する(S103)。これは管理装置のハードウェアに備わる計時手段(コンピュータでは一般的に備わっているタイマ等)を用いれば良い。次に生簀の中の個体に取り付けられたRFIDタグ11から、メモリ12に記録された履歴情報のうち最終の給餌日時のレコードを読み出し(S104)、この最終のレコードの更新日時が、今回の日時と一致するか比較する(S104)。一致すれば既に飼料情報が記録済みであるので、他の個体のRFIDタグ11から日時情報を読み出す処理に遷移する。一方S104にて一致しない場合は、S103で取得した更新日時と、S102で取得した飼料情報とを対応づけて(新たなレコードとして)、個体RFIDタグ11のメモリ12に書き込む(S106)。
本実施形態の変形として、上述した飼料RFIDタグ31に記録される飼料情報としては飼料の識別コードのみとしても良い。この場合は個体RFIDタグ11のメモリ12には給餌日時と飼料識別コードのみが対応づけて給餌履歴として記録されることとなるので、後日の流通時に個体RFIDタグ11からは直接飼料に関する情報は得られないが、別途設けられた管理システムに飼料識別コードと飼料に関する情報とを対応づけたデータベースを備え、飼料識別コードを用いて飼料に関する情報を検索可能とすれば、当該個体の給餌履歴を得ることが可能となる。
【0030】
また上記S103、S104では、各個体RFIDタグ11のメモリ12に記録された最終レコードを読み出して給餌日時を確認することにより、各個体RFIDタグ11のメモリ12に飼料情報を記録したか否かの判断を行っているが、これに代えて生簀側端末2に生簀内の各個体のIDを記録するDBを設けても良い。
【0031】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る給餌履歴情報管理装置について、図に基づき説明する。
【0032】
本実施形態は本発明の請求項2に対応する。
【0033】
図5は、本実施形態に係る給餌履歴情報管理装置を示す図である。図1と同様の構成要件については同じ符号を付与している。
【0034】
本実施形態においても、生簀50の中にいる飼養対象の個体4(魚など)には、前もって個体ごとにRFIDタグ(以下「個体RFIDタグ」と称する)41が装着されているものとする。但し、本実施形態では個体に給餌履歴情報を記録する必要は無いので(但し、個体にも給餌履歴情報を記録する形態を排除するものでは無い)、メモリを有さないか小容量メモリのみを有すればよく、RFIDリーダからIDが読み取り可能であれば良いので、実施形態1より安価なRFIDタグを用いることができる。
【0035】
生簀50に設けられた生簀側端末5には、生簀5の中で飼養されている個体1の個体RFIDタグ11や後述する飼料RFIDタグ31から識別番号等のデータを読み取るためのRFIDリーダ61が設けられている(本実施形態では、個体RFIDタグ41、飼料RFIDタグ31からデータの読取ができれば良いので、RFIDライタとしての機能は必須では無い。勿論、RFIDライタ機能を有する構成を排除するものでは無い)。更に、後述する管理サーバ6の通信手段61と通信するための通信手段52と、生簀に収容された個体を記録する個体DB53とを有して構成される。また生簀側端末5には、生簀を識別するための生簀IDが付与されているものとする。
【0036】
また、第一の実施形態と同様に、飼料を収容する収容具3には、飼料RFIDタグ31が装着されている(機能は第一実施例と同一の構成要件なので同一の符号を付した)。
更に本実施形態は、管理センターにおいて複数の生簀および各生簀にて飼養される個体の情報を集中して管理するための管理サーバ6が設けられるものとする。
【0037】
この管理サーバ6は、各生簀側端末5の通信手段52と通信するための通信手段61と、飼養対象である各個体のデータを管理するためのデータベース62とを有する。通信手段51と通信手段62との間でなされる通信は、要は両者でデータ通信ができれば良く、具体的なインフラを限定するものでは無い。
なお、図5においても個体1は一体のみを図示したが、これは図示を簡単にするためであって、多くの場合は1つの生簀で複数の個体が飼養されている。また同様に、生簀50は一つだけ図示したが、通常は複数の生簀に係わる情報を、管理センターで管理するものとする(一つの生簀のみの場合も権利範囲から排除するものではないが、後述する処理の説明では複数の生簀を管理することを前提とする)。
また本実施形態においても、生贄側端末6及び管理サーバ7は、情報処理をし得るハードウェア(少なくとも情報処理を行うためのCPUやメモリなど)で構成されており、これに後述する情報処理を実現するためのソフトウェアがインストールされることにより、後述する本実施形態の処理が実現される。管理サーバ7のハードウェアは具体的には一般的なサーバコンピュータあるいはパーソナルコンピュータにより実現することができる。ただこのようなハードウェアの構成およびソフトウェアの実装についてはいずれも周知技術の範囲内であるので、図示および詳述は省略する。
【0038】
個体RFIDタグ41は、各個体ごとにユニークな識別IDが付与されており、この個体識別IDはRFIDリーダによって読み出されるものである。
【0039】
また飼料RFIDタグ31は第一実施形態と同様の情報(例を図3に開示)が記録されている。
【0040】
生簀側端末5の個体データベース53に記録されるデータの例を図6に示す。
【0041】
このデータベースには、生簀に収容されて飼養されている個体4の情報が、個体IDと対応づけて記録されている。この図6の例では、個体4の情報として、該個体が生簀に投入された日時、該個体を確認した(生簀側端末5のRFIDタグ51が最後に該個体のデータを読み取った)日時、最後に給餌した日時(後述する給餌情報の記録処理を実行した日時)とが格納される。なお、これらのデータのほかに、個体に係わるさまざまな属性や管理データを対応づけて記録しても良い。
【0042】
管理サーバ6の管理データベース62に記録されるデータの例を図7に示す。
【0043】
このデータベースでは、個体IDに対応づけて、1回の給餌に関する情報(給餌された日時、給餌をうけたときに個体が収容された生簀の番号(ID)、飼料に関する情報)が1レコードとして記録される。この図7では2レコードのみを図示したが、通常は複数の個体が管理対象となっており、それぞれの個体が複数回給餌をうけるので、複数の個体ごとに複数のレコードの給餌情報が作成され記録されていく。この管理データベース62についても、図7に示したデータ以外に、管理対象の個体や生簀ごとに様々な管理データを対応づけて記録するよう構成しても良い。
【0044】
次に、本実施形態の給餌履歴情報管理システムの動作を図7のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まずRFIDリーダ51が飼料の収容具3に取り付けられた飼料RFIDタグを検出すると(S201)、飼料RFIDタグ31より飼料データを読み出し(S202)、データを読み出した日時情報を取得する(S203)。このS201からS203までの処理は、第一実施形態のS101からS103までの処理に対応する。
【0046】
次に個体RFIDタグから個体IDを読み出し(S204)、該個体IDに対応する給餌記録が既になされたかを、個体データベース53に記録された該個体IDのレコード中にある最終給餌日時が今回の日時と一致するか比較する(S205)。一致すれば既に飼料情報が記録済みであるので、他の個体のRFIDタグ11から個体IDを読み出す処理に遷移する。一方S205にて一致しない場合は、個体DB53の該個体IDに対応するレコードにある給餌日時を、S203で取得した給餌日時に更新する(S206)。そして個体データベース53の全レコードを更新したかを判断し(S207)、全レコードを更新した場合は、全ての個体IDと、S203で取得した給餌日時と、S202で取得した飼料情報と、生簀IDを対応づけて、管理サーバ4に送出する(S208)。
【0047】
なお、S207における給餌された個体IDに係わるレコードを更新したか否かの判断については、例えば書き込み回数が全レコード数に達したか否かで判断してもよく(その場合は生簀内の全ての魚に給餌できたものとみなす)、また給餌日時から一定時間の間、S204からS206の処理を実行し、最終給餌時間を書き込みを行うことができた個体IDのみを送信するように構成しても良い(その場合はRFIDリーダ51の近傍に現れた魚のみ給餌されたとみなす。適宜、給餌状況をチェックすることにより、給餌がなされなかった魚を斃死したとみなす運用をすることもできる)。
【0048】
一方管理サーバ7は、先述したS206にて生簀側端末6より送信されたデータを受信した際には(S209)、受信したデータに基づいて、該個体IDと、給餌日時、生簀ID、飼料情報とを対応づけた新たなレコードを作製し、管理データベース62に記録する(S210)。
本実施形態の変形として、上述した管理データベース62に記録される飼料情報としては飼料の識別コードのみとしても良い。この場合は管理データベース62には給餌日時と飼料識別コードのみが対応づけて給餌履歴として記録されることとなるので、後日の流通時に個体RFIDタグ41からは直接飼料に関する情報は得られないが、別途、管理システムに飼料識別コードと飼料に関する情報とを対応づけたデータベースを備え、飼料識別コードを用いて飼料に関する情報を検索可能とすれば、当該個体の給餌履歴を得ることが可能となる。
【0049】
また、管理サーバ6の管理データベース62と、生簀側端末5の個体データベース53を統合するよう構成しても良い。例えば管理センタを置かず、生簀側端末5に管理データベース62に相当するデータベースを置き、生簀内の個体を管理するように構成しても良い。この場合は、データベース中の生簀IDは必須ではなくなる。
【0050】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る給餌履歴情報管理装置について、図に基づき説明する。
【0051】
本実施形態は本発明の請求項3に対応する。
【0052】
図9は、本実施形態に係る給餌履歴情報管理装置を示す図である。図1、図5と同様の構成要件については同じ符号を付与している。
【0053】
本実施形態においても、生簀50の中にいる飼養対象の個体4(魚など)には、前もって個体ごとにRFIDタグ(以下「個体RFIDタグ」と称する)41が装着されているものとする。但し、本実施形態では第二実施形態と同様に、個体に給餌履歴情報を記録する必要は無いので(但し、個体にも給餌履歴情報を記録する形態を排除するものでは無い)、メモリを有さないか小容量メモリのみを有すればよく、RFIDリーダからIDが読み取り可能であれば良いので、実施形態1より安価なRFIDタグを用いることができる。
【0054】
生簀50に設けられた生簀側端末5には、生簀5の中で飼養されている個体5の個体RFIDタグ41や飼料RFIDタグ31から識別番号等のデータを読み取るためのRFIDリーダ51と、後述する管理サーバ7の通信手段71と通信するための通信手段52と、生簀に収容された個体を記録する個体DB53とを有して構成される。また、生簀側端末には、生簀を識別するための生簀IDが付与されているものとする。
【0055】
また、第一の実施形態と同様に、飼料を収容する収容具3には、飼料RFIDタグ31が装着されている。
【0056】
以上説明した構成は、いずれも第二実施形態と共通であるので、第二実施形態と同じ参照符号を付与した。
本実施形態においても、管理センターにおいて複数の生簀および各生簀にて飼養される個体の情報を集中して管理するための管理サーバ7が設けられている。
【0057】
この管理サーバ7は、各生簀側端末7の通信手段72と通信するための通信手段71と、該簀毎の飼養対象である各個体のデータを対応づけて管理するための第一管理データベース72と、生簀ごとに給餌がなされた飼料情報が記録される第二管理データベース73とが設けられている。
なお、図9においても個体1は一体のみを図示したが、これは図示を簡単にするためであって、多くの場合は1つの生簀で複数の個体が飼養されている。また同様に、生簀50は一つだけ図示したが、通常は複数の生簀に係わる情報を、管理センターで管理するものとする(一つの生簀のみの場合も権利範囲から排除するものではないが、後述する処理の説明では複数の生簀を管理することを前提とする)。
また本実施形態においても、生贄側端末5及び管理サーバ7は、情報処理をし得るハードウェア(少なくとも情報処理を行うためのCPUやメモリなど)で構成されており、これに後述する情報処理を実現するためのソフトウェアがインストールされることにより、後述する本実施形態の処理が実現される。管理サーバ8のハードウェアは具体的には一般的なサーバコンピュータあるいはパーソナルコンピュータにより実現することができる。ただこのようなハードウェアの構成およびソフトウェアの実装についてはいずれも周知技術の範囲内であるので、図示および詳述は省略する。
【0058】
本実施形態のいても個体RFIDタグ41には各個体ごとにユニークな識別IDが付与されており、この個体識別IDはRFIDリーダによって読み出されるものである。また飼料RFIDタグ31についても第一、第二実施形態と同様の情報(例を図3に開示)が記録されている。
【0059】
そして本実施形態においても生簀側端末5の個体データベース53に図6に示すようなデータが記録されているものとする。
【0060】
管理サーバ8に設けられた第一管理データベース72、第二管理データベース73の例を図10、図11を用いて説明する。
【0061】
図10に示す第一管理データベース72には、生簀に収容されて飼養されている個体1の情報が、個体IDと対応づけて記録されている。同じ個体でも移し変えを行ったり、生簀の合併や分割を行ったりすることがあるので、その場合は、同じ個体IDでも複数の生簀IDが対応づけて記録される。個体がいつ、どの生簀にて飼養されているかを明らかにするために、生簀に収容された日時(生簀側端末5のRFIDリーダ51にて読み取られる)が更新日時として記録されている。
【0062】
図11に示す第二管理データベース72では、生簀IDに対応づけて、1回の給餌に関する情報(給餌された日時、給餌をうけたときに個体が収容された生簀の番号(ID)、飼料に関する情報)が1レコードとして記録される。
【0063】
第一の管理データベース72、及び/又は第二の管理データベース73についても、図10、図11に示したデータ以外に、管理対象の個体や生簀に関する様々な管理データを対応づけて記録するよう構成しても良い。
【0064】
次に、本実施形態の給餌履歴情報管理システムの動作を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
まずRFIDリーダ51が飼料の収容具3に取り付けられた飼料RFIDタグを検出すると(S301)、飼料RFIDタグ31より飼料データを読み出し(S302)、データを読み出した日時情報を取得する(S203)。
【0066】
次に個体RFIDタグから個体IDを読み出し(S304)、該個体IDに対応する給餌記録が既になされたかを、個体データベース53に記録された該個体IDのレコード中にある最終給餌日時が今回の日時と一致するか比較する(S305)。一致すれば既に飼料情報が記録済みであるので、他の個体のRFIDタグ41から個体IDを読み出す処理に遷移する。一方S305にて一致しない場合は、個体DB53の該個体IDに対応するレコードにある給餌日時を、S303で取得した給餌日時に更新する(S306)。そして個体データベース53の全レコードを更新したかを判断し(S307)、全レコードを更新した場合は、生簀IDと、全ての個体IDと、S303で取得した給餌日時と、S302で取得した飼料情報とを対応づけて、管理サーバ4に送出する(S308)。
【0067】
ここまでの処理は、第二実施形態の生簀側端末5における処理(S201からS208)と基本的には同じである。
【0068】
一方管理サーバ7は、先述したS306にて生簀側端末5より送信されたデータを受信した際には(S309)、受信したデータに基づいて、第一管理データベースに生簀IDと個体IDとを対応付けて記録し(S310)、またに生簀IDと、給餌日時、飼料情報とを対応づけた新たなレコードを作製し、第二管理データベース72に記録する(S310)。
本実施形態においても、上述した管理データベース72に記録される飼料情報としては飼料の識別コードのみとしても良い。この場合は管理データベース72には給餌日時と飼料識別コードのみが対応づけて給餌履歴として記録されることとなるので、後日の流通時に個体RFIDタグ41からは直接飼料に関する情報は得られないが、別途、管理システムに飼料識別コードと飼料に関する情報とを対応づけたデータベースを備え、飼料識別コードを用いて飼料に関する情報を検索可能とすれば、当該個体の給餌履歴を得ることが可能となる。
【0069】
また、S310における生簀IDと個体IDとを対応づけて第一管理データベースに記録する処理は、必ずしも給餌がされたタイミングでなくてもよく、一定期間ごとに生簀側端末6がRFIDリーダ51を用いて生簀内の個体の個体IDを収集し、管理センタに送出するように構成しても良い。
【0070】
また、管理センタを置かず、生簀側端末2に第一及び/又は第二の管理データベースに相当するデータベースを置き、生簀内の個体を管理するように構成しても良い。この場合は、データベース中の生簀IDは必須ではなくなる。
【0071】
以上説明した第三の実施形態によれば、生簀IDと個体IDとが対応づけて記録され、また生簀IDと飼料情報とが対応づけて記録されているので、個体IDから生簀IDとその生簀に個体がいた日時を第一のデータベースから得て、前記日時にて、生簀IDで特定される生簀で給餌がなされた飼料情報を検索することにより、個体の給餌履歴を検索することが可能となる。
【0072】
以上の前記各実施形態により本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は実施形態に記載の範囲には限定されず、これら各実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。そして、かような変更又は改良を加えた実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれる。このことは、特許請求の範囲及び課題を解決する手段からも明らかなことである。
【0073】
例えば各実施形態はいずれも魚の養殖業に適用したものであるが、魚以外の養殖に適用しても良く、畜産に適用しても良い。要は収容単位(生簀や畜舎など)に収容した生体を人工的に飼養する業務であれば適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る個体RFID11内のメモリ12に記録される給餌履歴データの例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るRFID31に記録された飼料情報の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るシステムの構成ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る管理データベースの例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る個体データベースの例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るシステムの構成ブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る第一の管理データベースの例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る第二の管理データベースの例を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
11 個体RFIDタグ
12 個体RFIDタグ内のメモリ
2 生簀側端末
21 RFIDリーダ/ライタ
31 飼料RFIDタグ
41 個体RFIDタグ
51 生簀側端末
52 RFIDリーダ
53 個体データベース
6 管理サーバ
61 通信手段
62 管理データベース
7 管理サーバ
71 通信手段
72 第一の管理データベース
73 第二の管理データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工的に飼養する(養殖、畜産等)生産物の個体ごとに給餌履歴情報を対応づけて記録する給餌履歴情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康に関する意識の高まりに伴い、消費者が、摂取する食品に関する情報を入手することのニーズが増大しつつある。このようなニーズに応える仕組みとして、農水畜産物の生産単位ごとに識別符号を割り当て、その生産単位に関わる情報(生産に関する情報など)と該生産単位に割り当てた識別符号とを対応付けてデータベースに記録し、該識別符号をキーとして該データベースを検索し得るように構成することにより、消費者や加工業者、流通業者、販売業者等が農水畜産物に関する情報を入手できるようにすることが下記特許文献1,2にて提案されている。
【特許文献1】特開2002−297625号公報
【特許文献2】特開2004−133716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農水畜産物の品質や安全性を確認するための重要な情報として、その農水畜産物が摂取した餌に係わる情報(種類など)があげられる。しかし、畜産業や養殖業では多数の個体(家畜や養殖魚など)を育成しており、この多数の個体ごとに、給餌した餌に係わる情報を記録していくのは容易ではない。
【0004】
特に魚の養殖業の場合、魚が稚魚から成魚に成長する過程で、生簀を移し変えたり、生簀の合併や分割が行われることが多い。各個体ごとに該個体が存在した生簀の情報を登録したり、生簀にて給餌を実施した際にどの個体にどの飼料を給餌したのかを記録していくことは容易ではない。
【0005】
本発明はこのような課題にかんがみなされたものであって、人工的に飼養される生産物に対する給餌履歴を簡単に収集できる管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた、第一の発明の給餌履歴情報管理装置は、人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された記録手段に、該読み出した前記飼料情報の書き込みを行う情報書込手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の発明の給餌履歴情報管理装置は、人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、 前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記個体識別情報読取手段が読み出した個体識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための記録手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
第三の発明の給餌履歴情報管理装置は、人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、 前記読み取られた個体識別情報と、当該収容単位に付与された収容単位識別情報とを対応づけて記録するための第一の記録手段と、生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記収容単位識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための第二の記録手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
上記(および請求の範囲、明細書全体)の記載で、「個体」とは、人工的に飼養される一体の生産物の生産単位を表すものであり、例えば養殖業における一匹の魚、あるいは畜産における一頭の牛や豚、一羽の鶏、などがあげられる。
【0010】
また「収容単位」とは、飼養対象の一体または複数体の個体を収容する単位であり、具体的には1つの生簀、あるいは1つの畜舎があげられる。ただし畜産において1つの畜舎において複数の囲いが存在する場合は、その囲いが収容単位となりうる。本発明では、収容単位ごとに、その中の生産物に対して飼料が供給されることを前提としている。
【0011】
また、「収容具」とは飼料を収容する器具の総称であり、例えば飼料をつめた袋や、飼料をいれたケースなどがあげられる。
【0012】
上記第一及び第二の発明では、共に個体に対応づけて給餌履歴が記録される。第一の発明では給餌履歴は個体に装着したRFIDタグに記録し、第二の発明ではコンピュータシステムのデータベースに、各個体の識別情報と対応づけて記録がされる。
【0013】
第一の発明でよれば個体に装着されたRFIDタグから、直接その個体の給餌履歴を読み取ることができる。第二の発明によれば個体に装着されたRFIDタグから識別番号を入手し、上記管理センタ等のコンピュータシステムにアクセスして識別番号をキーとして検索をすれば、その個体の識別番号を入手することができる。
【0014】
また第三の発明では収容単位(生簀など)情報と個体識別情報とを対応づけて記録しておき、収容単位情報と飼料情報とを対応づけて記録することにより、個体識別情報から収容単位の識別情報を得て、この収容単位識別情報を用いて飼料情報を検索することにより、個体の給餌履歴を検索することが可能となる。
【0015】
更に「飼料」については、収容単位ごとに投与され、該収容単位内で飼養される生産物に供給される物質の全てが含まれる。主に想定しているのはいわゆる「餌」であるが、本発明はそれに限定されるものではなく、栄養補助剤や薬品、ワクチンなども含まれる。
【0016】
なお、上記の第二、第三の発明において、各記録手段により記録されるデータベースを構成するハードウェア(例えばハードディスク)は収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置を構成するハードウェア(コンピュータシステムやPDAなどの情報処理端末)に設けてもよく、また収容単位ごとに設けられた給餌履歴情報管理装置とは別に設けたコンピュータシステム(管理センタに設けた管理サーバ等)に設けても良い。第二、第三の発明における「記録手段」は、直接データベースを構成するハードディスク等に書き込みを行うことには限定されず、データベースを構成するハードディスク等を有する他のコンピュータシステムに、該データベースに記録をするためにデータを送出することも「記録手段」の範囲に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は多くの異なる形態で実施可能である。したがって、下記の各実施形態の記載内容のみで解釈すべきではない。また、各実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0018】
各実施形態では、主にシステムについて説明するが、所謂当業者であれば明らかな通り、本発明はコンピュータで使用可能なプログラム及び方法としても実施できる。また、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、または、ソフトウェア及びハードウェアの実施形態で実施可能である。プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、光記憶装置または磁気記憶装置等の任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。さらに、プログラムはネットワークを介した他のコンピュータに記録することができる。
【0019】
なお、以下説明する実施形態では、いずれも本発明を魚などの水産物の養殖に適用した例を説明する。
【0020】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る給餌履歴情報管理装置について、図に基づき説明する。
【0021】
本実施形態は本発明の請求項1に対応する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る給餌履歴情報管理装置を示す図である。
【0023】
生簀20の中にいる飼養対象の個体1(魚など)には、前もって個体ごとにRFIDタグ(以下「個体RFIDタグ」と称する)11が装着されている(例えば、魚の背びれや貝殻など、出荷後に誤って食されないような位置に装着される)。本実施形態では、後述する履歴情報を記録するために、十分な容量のメモリ12を有するRFIDタグが用いられる。
【0024】
生簀20には生簀側端末2が設けられている。この生簀側端末2には、生簀2の中で飼養されている個体1の個体RFIDタグ11や後述する飼料RFIDタグ31から識別番号等のデータを読み取り、またデータを書き込むためのRFIDリーダ/ライタ21が設けられている。
【0025】
また、飼料を収容する収容具3には、飼料RFIDタグ31が装着されている。この収容具3は、例えば飼料袋やケースなどである。
なお、図1では個体1は一体のみを図示したが、これは図示を簡単にするためであって、多くの場合は1つの生簀で複数の個体が飼養されている(一体のみの場合も権利範囲から排除するものではないが、後述する処理の説明では複数の個体が飼養されていることを前提とする)。
また、生贄側端末20は、情報処理をし得るハードウェア(少なくとも情報処理を行うためのCPUやメモリなど)で構成されており、これに後述する情報処理を実現するためのソフトウェアがインストールされることにより、後述する本実施形態の処理が実現される。これらのハードウェアは具体的にはPDAやパーソナルコンピュータを用いて実現することができる。ただこのようなハードウェアの構成およびソフトウェアの実装についてはいずれも周知技術の範囲内であるので、図示および詳述は省略する。
【0026】
個体RFIDタグ11のメモリ12には、図2に示すように該固体に供給された飼料の履歴情報が記録される。履歴情報としては、各レコードごとに飼料を給餌した日時情報に対応づけて、当該飼料に係わる情報(飼料名や仕入先名、水揚げ海域や産地などの飼料)が記録される。
この図2では1レコードのみについて具体的なデータ例を提示したが、実際には後述する処理により該固体に給餌がなされるたびに1レコードづつその飼料の情報が記録され、履歴情報として蓄積される。
【0027】
飼料RFIDタグ31には、該飼料RFIDタグが取り付けられた飼料の収容具3に収容された飼料に係わる情報が記録されており、例えば図3に示すように、その飼料の飼料名や仕入先名、水揚げ海域や産地などの情報が記録されている。
【0028】
次に、本実施形態の給餌履歴情報管理システムの動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
まずRFIDリーダ/ライタ21が飼料の収容具3に取り付けられた飼料RFIDタグを検出すると(S101)、飼料RFIDタグ31より飼料データを読み出し(S102)、テ゛ータを読み出した日時情報を取得する(S103)。これは管理装置のハードウェアに備わる計時手段(コンピュータでは一般的に備わっているタイマ等)を用いれば良い。次に生簀の中の個体に取り付けられたRFIDタグ11から、メモリ12に記録された履歴情報のうち最終の給餌日時のレコードを読み出し(S104)、この最終のレコードの更新日時が、今回の日時と一致するか比較する(S104)。一致すれば既に飼料情報が記録済みであるので、他の個体のRFIDタグ11から日時情報を読み出す処理に遷移する。一方S104にて一致しない場合は、S103で取得した更新日時と、S102で取得した飼料情報とを対応づけて(新たなレコードとして)、個体RFIDタグ11のメモリ12に書き込む(S106)。
本実施形態の変形として、上述した飼料RFIDタグ31に記録される飼料情報としては飼料の識別コードのみとしても良い。この場合は個体RFIDタグ11のメモリ12には給餌日時と飼料識別コードのみが対応づけて給餌履歴として記録されることとなるので、後日の流通時に個体RFIDタグ11からは直接飼料に関する情報は得られないが、別途設けられた管理システムに飼料識別コードと飼料に関する情報とを対応づけたデータベースを備え、飼料識別コードを用いて飼料に関する情報を検索可能とすれば、当該個体の給餌履歴を得ることが可能となる。
【0030】
また上記S103、S104では、各個体RFIDタグ11のメモリ12に記録された最終レコードを読み出して給餌日時を確認することにより、各個体RFIDタグ11のメモリ12に飼料情報を記録したか否かの判断を行っているが、これに代えて生簀側端末2に生簀内の各個体のIDを記録するDBを設けても良い。
【0031】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る給餌履歴情報管理装置について、図に基づき説明する。
【0032】
本実施形態は本発明の請求項2に対応する。
【0033】
図5は、本実施形態に係る給餌履歴情報管理装置を示す図である。図1と同様の構成要件については同じ符号を付与している。
【0034】
本実施形態においても、生簀50の中にいる飼養対象の個体4(魚など)には、前もって個体ごとにRFIDタグ(以下「個体RFIDタグ」と称する)41が装着されているものとする。但し、本実施形態では個体に給餌履歴情報を記録する必要は無いので(但し、個体にも給餌履歴情報を記録する形態を排除するものでは無い)、メモリを有さないか小容量メモリのみを有すればよく、RFIDリーダからIDが読み取り可能であれば良いので、実施形態1より安価なRFIDタグを用いることができる。
【0035】
生簀50に設けられた生簀側端末5には、生簀5の中で飼養されている個体1の個体RFIDタグ11や後述する飼料RFIDタグ31から識別番号等のデータを読み取るためのRFIDリーダ61が設けられている(本実施形態では、個体RFIDタグ41、飼料RFIDタグ31からデータの読取ができれば良いので、RFIDライタとしての機能は必須では無い。勿論、RFIDライタ機能を有する構成を排除するものでは無い)。更に、後述する管理サーバ6の通信手段61と通信するための通信手段52と、生簀に収容された個体を記録する個体DB53とを有して構成される。また生簀側端末5には、生簀を識別するための生簀IDが付与されているものとする。
【0036】
また、第一の実施形態と同様に、飼料を収容する収容具3には、飼料RFIDタグ31が装着されている(機能は第一実施例と同一の構成要件なので同一の符号を付した)。
更に本実施形態は、管理センターにおいて複数の生簀および各生簀にて飼養される個体の情報を集中して管理するための管理サーバ6が設けられるものとする。
【0037】
この管理サーバ6は、各生簀側端末5の通信手段52と通信するための通信手段61と、飼養対象である各個体のデータを管理するためのデータベース62とを有する。通信手段51と通信手段62との間でなされる通信は、要は両者でデータ通信ができれば良く、具体的なインフラを限定するものでは無い。
なお、図5においても個体1は一体のみを図示したが、これは図示を簡単にするためであって、多くの場合は1つの生簀で複数の個体が飼養されている。また同様に、生簀50は一つだけ図示したが、通常は複数の生簀に係わる情報を、管理センターで管理するものとする(一つの生簀のみの場合も権利範囲から排除するものではないが、後述する処理の説明では複数の生簀を管理することを前提とする)。
また本実施形態においても、生贄側端末6及び管理サーバ7は、情報処理をし得るハードウェア(少なくとも情報処理を行うためのCPUやメモリなど)で構成されており、これに後述する情報処理を実現するためのソフトウェアがインストールされることにより、後述する本実施形態の処理が実現される。管理サーバ7のハードウェアは具体的には一般的なサーバコンピュータあるいはパーソナルコンピュータにより実現することができる。ただこのようなハードウェアの構成およびソフトウェアの実装についてはいずれも周知技術の範囲内であるので、図示および詳述は省略する。
【0038】
個体RFIDタグ41は、各個体ごとにユニークな識別IDが付与されており、この個体識別IDはRFIDリーダによって読み出されるものである。
【0039】
また飼料RFIDタグ31は第一実施形態と同様の情報(例を図3に開示)が記録されている。
【0040】
生簀側端末5の個体データベース53に記録されるデータの例を図6に示す。
【0041】
このデータベースには、生簀に収容されて飼養されている個体4の情報が、個体IDと対応づけて記録されている。この図6の例では、個体4の情報として、該個体が生簀に投入された日時、該個体を確認した(生簀側端末5のRFIDタグ51が最後に該個体のデータを読み取った)日時、最後に給餌した日時(後述する給餌情報の記録処理を実行した日時)とが格納される。なお、これらのデータのほかに、個体に係わるさまざまな属性や管理データを対応づけて記録しても良い。
【0042】
管理サーバ6の管理データベース62に記録されるデータの例を図7に示す。
【0043】
このデータベースでは、個体IDに対応づけて、1回の給餌に関する情報(給餌された日時、給餌をうけたときに個体が収容された生簀の番号(ID)、飼料に関する情報)が1レコードとして記録される。この図7では2レコードのみを図示したが、通常は複数の個体が管理対象となっており、それぞれの個体が複数回給餌をうけるので、複数の個体ごとに複数のレコードの給餌情報が作成され記録されていく。この管理データベース62についても、図7に示したデータ以外に、管理対象の個体や生簀ごとに様々な管理データを対応づけて記録するよう構成しても良い。
【0044】
次に、本実施形態の給餌履歴情報管理システムの動作を図7のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まずRFIDリーダ51が飼料の収容具3に取り付けられた飼料RFIDタグを検出すると(S201)、飼料RFIDタグ31より飼料データを読み出し(S202)、データを読み出した日時情報を取得する(S203)。このS201からS203までの処理は、第一実施形態のS101からS103までの処理に対応する。
【0046】
次に個体RFIDタグから個体IDを読み出し(S204)、該個体IDに対応する給餌記録が既になされたかを、個体データベース53に記録された該個体IDのレコード中にある最終給餌日時が今回の日時と一致するか比較する(S205)。一致すれば既に飼料情報が記録済みであるので、他の個体のRFIDタグ11から個体IDを読み出す処理に遷移する。一方S205にて一致しない場合は、個体DB53の該個体IDに対応するレコードにある給餌日時を、S203で取得した給餌日時に更新する(S206)。そして個体データベース53の全レコードを更新したかを判断し(S207)、全レコードを更新した場合は、全ての個体IDと、S203で取得した給餌日時と、S202で取得した飼料情報と、生簀IDを対応づけて、管理サーバ4に送出する(S208)。
【0047】
なお、S207における給餌された個体IDに係わるレコードを更新したか否かの判断については、例えば書き込み回数が全レコード数に達したか否かで判断してもよく(その場合は生簀内の全ての魚に給餌できたものとみなす)、また給餌日時から一定時間の間、S204からS206の処理を実行し、最終給餌時間を書き込みを行うことができた個体IDのみを送信するように構成しても良い(その場合はRFIDリーダ51の近傍に現れた魚のみ給餌されたとみなす。適宜、給餌状況をチェックすることにより、給餌がなされなかった魚を斃死したとみなす運用をすることもできる)。
【0048】
一方管理サーバ7は、先述したS206にて生簀側端末6より送信されたデータを受信した際には(S209)、受信したデータに基づいて、該個体IDと、給餌日時、生簀ID、飼料情報とを対応づけた新たなレコードを作製し、管理データベース62に記録する(S210)。
本実施形態の変形として、上述した管理データベース62に記録される飼料情報としては飼料の識別コードのみとしても良い。この場合は管理データベース62には給餌日時と飼料識別コードのみが対応づけて給餌履歴として記録されることとなるので、後日の流通時に個体RFIDタグ41からは直接飼料に関する情報は得られないが、別途、管理システムに飼料識別コードと飼料に関する情報とを対応づけたデータベースを備え、飼料識別コードを用いて飼料に関する情報を検索可能とすれば、当該個体の給餌履歴を得ることが可能となる。
【0049】
また、管理サーバ6の管理データベース62と、生簀側端末5の個体データベース53を統合するよう構成しても良い。例えば管理センタを置かず、生簀側端末5に管理データベース62に相当するデータベースを置き、生簀内の個体を管理するように構成しても良い。この場合は、データベース中の生簀IDは必須ではなくなる。
【0050】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る給餌履歴情報管理装置について、図に基づき説明する。
【0051】
本実施形態は本発明の請求項3に対応する。
【0052】
図9は、本実施形態に係る給餌履歴情報管理装置を示す図である。図1、図5と同様の構成要件については同じ符号を付与している。
【0053】
本実施形態においても、生簀50の中にいる飼養対象の個体4(魚など)には、前もって個体ごとにRFIDタグ(以下「個体RFIDタグ」と称する)41が装着されているものとする。但し、本実施形態では第二実施形態と同様に、個体に給餌履歴情報を記録する必要は無いので(但し、個体にも給餌履歴情報を記録する形態を排除するものでは無い)、メモリを有さないか小容量メモリのみを有すればよく、RFIDリーダからIDが読み取り可能であれば良いので、実施形態1より安価なRFIDタグを用いることができる。
【0054】
生簀50に設けられた生簀側端末5には、生簀5の中で飼養されている個体5の個体RFIDタグ41や飼料RFIDタグ31から識別番号等のデータを読み取るためのRFIDリーダ51と、後述する管理サーバ7の通信手段71と通信するための通信手段52と、生簀に収容された個体を記録する個体DB53とを有して構成される。また、生簀側端末には、生簀を識別するための生簀IDが付与されているものとする。
【0055】
また、第一の実施形態と同様に、飼料を収容する収容具3には、飼料RFIDタグ31が装着されている。
【0056】
以上説明した構成は、いずれも第二実施形態と共通であるので、第二実施形態と同じ参照符号を付与した。
本実施形態においても、管理センターにおいて複数の生簀および各生簀にて飼養される個体の情報を集中して管理するための管理サーバ7が設けられている。
【0057】
この管理サーバ7は、各生簀側端末7の通信手段72と通信するための通信手段71と、該簀毎の飼養対象である各個体のデータを対応づけて管理するための第一管理データベース72と、生簀ごとに給餌がなされた飼料情報が記録される第二管理データベース73とが設けられている。
なお、図9においても個体1は一体のみを図示したが、これは図示を簡単にするためであって、多くの場合は1つの生簀で複数の個体が飼養されている。また同様に、生簀50は一つだけ図示したが、通常は複数の生簀に係わる情報を、管理センターで管理するものとする(一つの生簀のみの場合も権利範囲から排除するものではないが、後述する処理の説明では複数の生簀を管理することを前提とする)。
また本実施形態においても、生贄側端末5及び管理サーバ7は、情報処理をし得るハードウェア(少なくとも情報処理を行うためのCPUやメモリなど)で構成されており、これに後述する情報処理を実現するためのソフトウェアがインストールされることにより、後述する本実施形態の処理が実現される。管理サーバ8のハードウェアは具体的には一般的なサーバコンピュータあるいはパーソナルコンピュータにより実現することができる。ただこのようなハードウェアの構成およびソフトウェアの実装についてはいずれも周知技術の範囲内であるので、図示および詳述は省略する。
【0058】
本実施形態のいても個体RFIDタグ41には各個体ごとにユニークな識別IDが付与されており、この個体識別IDはRFIDリーダによって読み出されるものである。また飼料RFIDタグ31についても第一、第二実施形態と同様の情報(例を図3に開示)が記録されている。
【0059】
そして本実施形態においても生簀側端末5の個体データベース53に図6に示すようなデータが記録されているものとする。
【0060】
管理サーバ8に設けられた第一管理データベース72、第二管理データベース73の例を図10、図11を用いて説明する。
【0061】
図10に示す第一管理データベース72には、生簀に収容されて飼養されている個体1の情報が、個体IDと対応づけて記録されている。同じ個体でも移し変えを行ったり、生簀の合併や分割を行ったりすることがあるので、その場合は、同じ個体IDでも複数の生簀IDが対応づけて記録される。個体がいつ、どの生簀にて飼養されているかを明らかにするために、生簀に収容された日時(生簀側端末5のRFIDリーダ51にて読み取られる)が更新日時として記録されている。
【0062】
図11に示す第二管理データベース72では、生簀IDに対応づけて、1回の給餌に関する情報(給餌された日時、給餌をうけたときに個体が収容された生簀の番号(ID)、飼料に関する情報)が1レコードとして記録される。
【0063】
第一の管理データベース72、及び/又は第二の管理データベース73についても、図10、図11に示したデータ以外に、管理対象の個体や生簀に関する様々な管理データを対応づけて記録するよう構成しても良い。
【0064】
次に、本実施形態の給餌履歴情報管理システムの動作を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
まずRFIDリーダ51が飼料の収容具3に取り付けられた飼料RFIDタグを検出すると(S301)、飼料RFIDタグ31より飼料データを読み出し(S302)、データを読み出した日時情報を取得する(S203)。
【0066】
次に個体RFIDタグから個体IDを読み出し(S304)、該個体IDに対応する給餌記録が既になされたかを、個体データベース53に記録された該個体IDのレコード中にある最終給餌日時が今回の日時と一致するか比較する(S305)。一致すれば既に飼料情報が記録済みであるので、他の個体のRFIDタグ41から個体IDを読み出す処理に遷移する。一方S305にて一致しない場合は、個体DB53の該個体IDに対応するレコードにある給餌日時を、S303で取得した給餌日時に更新する(S306)。そして個体データベース53の全レコードを更新したかを判断し(S307)、全レコードを更新した場合は、生簀IDと、全ての個体IDと、S303で取得した給餌日時と、S302で取得した飼料情報とを対応づけて、管理サーバ4に送出する(S308)。
【0067】
ここまでの処理は、第二実施形態の生簀側端末5における処理(S201からS208)と基本的には同じである。
【0068】
一方管理サーバ7は、先述したS306にて生簀側端末5より送信されたデータを受信した際には(S309)、受信したデータに基づいて、第一管理データベースに生簀IDと個体IDとを対応付けて記録し(S310)、またに生簀IDと、給餌日時、飼料情報とを対応づけた新たなレコードを作製し、第二管理データベース72に記録する(S310)。
本実施形態においても、上述した管理データベース72に記録される飼料情報としては飼料の識別コードのみとしても良い。この場合は管理データベース72には給餌日時と飼料識別コードのみが対応づけて給餌履歴として記録されることとなるので、後日の流通時に個体RFIDタグ41からは直接飼料に関する情報は得られないが、別途、管理システムに飼料識別コードと飼料に関する情報とを対応づけたデータベースを備え、飼料識別コードを用いて飼料に関する情報を検索可能とすれば、当該個体の給餌履歴を得ることが可能となる。
【0069】
また、S310における生簀IDと個体IDとを対応づけて第一管理データベースに記録する処理は、必ずしも給餌がされたタイミングでなくてもよく、一定期間ごとに生簀側端末6がRFIDリーダ51を用いて生簀内の個体の個体IDを収集し、管理センタに送出するように構成しても良い。
【0070】
また、管理センタを置かず、生簀側端末2に第一及び/又は第二の管理データベースに相当するデータベースを置き、生簀内の個体を管理するように構成しても良い。この場合は、データベース中の生簀IDは必須ではなくなる。
【0071】
以上説明した第三の実施形態によれば、生簀IDと個体IDとが対応づけて記録され、また生簀IDと飼料情報とが対応づけて記録されているので、個体IDから生簀IDとその生簀に個体がいた日時を第一のデータベースから得て、前記日時にて、生簀IDで特定される生簀で給餌がなされた飼料情報を検索することにより、個体の給餌履歴を検索することが可能となる。
【0072】
以上の前記各実施形態により本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は実施形態に記載の範囲には限定されず、これら各実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能である。そして、かような変更又は改良を加えた実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれる。このことは、特許請求の範囲及び課題を解決する手段からも明らかなことである。
【0073】
例えば各実施形態はいずれも魚の養殖業に適用したものであるが、魚以外の養殖に適用しても良く、畜産に適用しても良い。要は収容単位(生簀や畜舎など)に収容した生体を人工的に飼養する業務であれば適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシステムの構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る個体RFID11内のメモリ12に記録される給餌履歴データの例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るRFID31に記録された飼料情報の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るシステムの構成ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る管理データベースの例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る個体データベースの例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るシステムの構成ブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る第一の管理データベースの例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る第二の管理データベースの例を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
11 個体RFIDタグ
12 個体RFIDタグ内のメモリ
2 生簀側端末
21 RFIDリーダ/ライタ
31 飼料RFIDタグ
41 個体RFIDタグ
51 生簀側端末
52 RFIDリーダ
53 個体データベース
6 管理サーバ
61 通信手段
62 管理データベース
7 管理サーバ
71 通信手段
72 第一の管理データベース
73 第二の管理データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、
生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、
前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された記録手段に、該読み出した前記飼料情報の書き込みを行う情報書込手段と、
を備えることを特徴とする給餌履歴情報管理装置。
【請求項2】
人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、
当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、
生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、
前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記個体識別情報読取手段が読み出した個体識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための記録手段と、
を備えることを特徴とする給餌履歴情報管理装置。
【請求項3】
人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、
当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、
前記読み取られた個体識別情報と、当該収容単位に付与された収容単位識別情報とを対応づけて記録するための第一の記録手段と、
生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る
飼料情報読取手段と、
前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記収容単位識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための第二の記録手段と、を備えることを特徴とする給餌履歴情報管理装置。
【請求項1】
人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、
生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、
前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された記録手段に、該読み出した前記飼料情報の書き込みを行う情報書込手段と、
を備えることを特徴とする給餌履歴情報管理装置。
【請求項2】
人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、
当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、
生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る飼料情報読取手段と、
前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記個体識別情報読取手段が読み出した個体識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための記録手段と、
を備えることを特徴とする給餌履歴情報管理装置。
【請求項3】
人工的に飼養される生産物を収容する収容単位ごとに設けられる給餌履歴情報管理装置であって、
当該収容単位に収容された生産物の個体ごとに固着された発信子から該個体の識別情報を読み取る個体識別情報読取手段と、
前記読み取られた個体識別情報と、当該収容単位に付与された収容単位識別情報とを対応づけて記録するための第一の記録手段と、
生産物に供給する飼料を収容した収容具に設けられた発信子から、飼料情報を読み取る
飼料情報読取手段と、
前記飼料情報読取手段が飼料情報を読み出した際に、前記収容単位識別情報と、前記飼料情報読取手段が読み出した飼料情報とを対応づけて記録するための第二の記録手段と、を備えることを特徴とする給餌履歴情報管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−254807(P2006−254807A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77806(P2005−77806)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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