説明

絵画風画像表示装置および絵画風画像表示方法

【課題】原画像の一部に時間の経過に従って動く動的部分が存在する場合、当該動的部分が時間の経過に従って変化する絵画風画像であって、静止画としても、動画としても鑑賞して楽しむことができ、面白みがあり、また、実用的にも充分な絵画風画像を生成することを可能にする。
【解決手段】撮影された撮影画像を絵画風画像52に変換する(a)。撮影画像のうち、時刻表示部画像53を認識し、この認識された時刻表示部画像53の位置を表す座標位置を記憶した上で、時刻表示部画像53に対応する内蔵時刻表示部画像N1を、予めROMに記憶されている複数の内蔵時刻表示部画像の中から選択する(b)。この選択された内蔵時刻表示部画像N1を絵画風画像52の前記座標位置に貼り付け合成したあと、この貼り付け合成された内蔵時刻表示部画像N1を、現在時刻に従って、順次、差替えて表示させる(c)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された画像を絵画風画像に変換して表示する絵画風画像表示装置および絵画風画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人的コストと時間的コストを多くかけることなく、画家の描いた絵画に見られる特徴を擬似的に再現した絵画風画像を容易に作成する絵画風画像変換方法が知られている。
【0003】
この絵画風画像変換方法は、処理対象である原画像の他に、実際の画家が描いた絵画の画像も入力し、画家の画像から色彩情報と筆触情報を解析する。そして、解析した情報をもとに原画像の色彩を疑似化させ、筆触を配置することにより、絵画風画像を生成するようにするものである(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−213598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来技術にあっては、取得された絵画風画像を鑑賞して楽しむことができるものの、原画像の一部に時間の経過に従って動く動的部分が存在する場合であっても、静止画としてしか絵画風画像を鑑賞して楽しむことしかできない。したがって、生成された絵画風画像は、面白みにも欠け、また、実用的にも不充分なものであった。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、原画像の一部に時間の経過に従って動く動的部分が存在する場合、当該動的部分が時間の経過に従って変化する絵画風画像であって、静止画としても、動画としても絵画風画像を鑑賞して楽しむことができ、面白みがあり、また、実用的にも充分な絵画風画像を生成することのできる絵画風画像表示装置および絵画風画像表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る絵画風画像表示装置にあっては、撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、この撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像を絵画風画像に変換する画像変換手段と、複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段と、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、この認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶手段と、この画像位置記憶手段に記憶されている時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶手段に記憶されている座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替えて、前記絵画風画像を表示させる差替制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明に係る絵画風画像表示装置にあっては、撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段と、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、こ認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶手段と、この画像位置記憶手段に記憶されている時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶手段に記憶されている座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替える差替制御手段と、この差替制御手段の制御により差替えられた電子時刻表示部画像と前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像とを絵画風画像に変換して、この変換された絵画風画像を表示させる画像表示制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の発明に係る絵画風画像表示装置にあっては、前記電子時刻表示部画像記憶手段は、時針と分針とにより現在時刻を表示するアナログ電子時刻表示部画像と、数字により現在時刻を表示するデジタル電子時刻表示部画像との少なくとも一方を記憶していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の発明に係る絵画風画像表示装置にあっては、前記電子時刻表示部画像記憶手段は、現在時刻を表示するための時針と分針との長さの異なる複数種の電子時刻表示部画像を記憶し、前記画像位置記憶手段は、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時針と分針との長さの比率を判別し、前記差替制御手段は、前記判別された時針と分針との長さの比率に対応する電子時刻表示部画像を前記電子時刻表示部画像記憶手段から選択することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の発明に係る絵画風画像表示方法にあっては、撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段とを備える機器における絵画風画像表示方法であって、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像を絵画風画像に変換する画像変換ステップと、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、この認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶ステップと、この画像位置記憶ステップで記憶された時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶ステップで記憶された座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替えて、前記絵画風画像を表示させる差替制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明に係る絵画風画像表示方法にあっては、撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段とを備える機器における絵画風画像表示方法であって、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、こ認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶ステップと、この画像位置記憶ステップで記憶された時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶ステップで記憶された座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替える差替制御ステップと、この差替制御ステップでの制御により差替えられた電子時刻表示部画像と前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像とを絵画風画像に変換して、この変換された絵画風画像を表示させる画像表示制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の発明に係る絵画風画像表示装置にあっては、表示部を備えている絵画風画像表示装置において、撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、この撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像を絵画風画像に変換する画像変換手段と、この画像変換手段により変換された撮影画像を表示させる撮影画像表示制御手段と、複数の第1画像を記憶している第1画像記憶手段と、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、予め定められた形状の第2画像があるか否を検出し、あったと検出された際は、この第2画像と当該第2画像の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶手段と、この画像位置記憶手段に記憶されている第2画像の形状と対応する形状を有する第1画像を前記第1画像記憶手段の中から予め定められている順番に選択し、この選択された各第1画像を前記画像位置記憶手段に記憶されている座標位置と対応する前記撮影画像の位置に、時間の経過に従って、順次、差替えながら表示させる差替制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、原画像である撮影画像が変換された絵画風画像の一部に時間の経過に従って動く動的な動画部分を存在させることができる。このために、静止画としても、動画としても絵画風画像を鑑賞して楽しむことができ、面白みがある絵画風画像を表示することができる。また、絵画風画像の一部の動画部分を時刻表示部にした場合にはこの時刻表示部により現在時刻を表示させることができることから、実用的にも便利な絵画風画像を表示することができる。
【0015】
より具体的には、たとえば、時計台を撮影すると、撮影された時計台の撮影画像を自動的に絵画風画像に変換して表示することができ、かつ、当該絵画風画像の中で実時刻を刻む実時間時刻表示部(クロック)を表示することができる。また、車を撮影すると、撮影された車の撮影画像を自動的に絵画風画像に変換して表示することができ、かつ、車の撮影画像のうち、実物タイヤ画像の形状に対応した複数の定形タイヤ画像を時間の経過に従って順次差替えて表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態にかかる置時計の外観を示す正面図、(b)は背面図である。
【図2】同置時計の機能ブロック図である。
【図3】ROMに記憶されたテーブルの概念図である。
【図4】絵画風画像変換表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】時刻表示部画像の認識処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】撮影画像の一例を示す図である。
【図7】時刻表示部画像の抽出手順を示す説明図である。
【図8】(a)〜(c)は絵画風画像への変換手順を示す説明図である。
【図9】(a)はデジタル表示の時刻表示部画像を示す図であり、(b)はデジタル表示の内蔵時刻表示部画像を示す図である。
【図10】撮影画像の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1(a)は、本発明の一実施の形態に係る置時計1の外観を示す正面図であり、図1(b)は、同置時計1の外観を示す背面図である。
【0018】
この置時計1は、撮影機能を備え、正面部には液晶表示部2が設けられている。また、背面部には後述する撮像部のレンズ部3が設けられているとともに、機能キー5、スライドスイッチ6等が設けられている。また、上面部にはシャッターキー4が設けられている。
【0019】
図2は、置時計1の機能構成図である。この置時計1は、CPU7、このCPU7の各種機能を実現するためのプログラムなどを記憶したROM8、撮像部9、RAM10、入力部11、分割画像RAM12、時計部13、画像合成部14、および前記液晶表示部2を備える。また、CPU7は、後述する時刻表示部画像を検出する時刻表示部用検出部71、および撮影画像を取得する画像取得部72を備える。なお、時刻表示部用検出部71、および画像取得部72は、ROM8に記憶されたプログラムを実行することによりCPU7で機能するものとする。
【0020】
入力部11は、前記シャッターキー4、機能キー5、スライドスイッチ6等を有し、これらキーおよびスイッチに対するユーザーの操作を検出する。
【0021】
分割画像ROM12には、時刻表示部画像メモリ121と背景画像メモリ122とが設けられている。時刻表示部画像メモリ121は、撮影された画像(撮影画像)に含まれている時刻表示部画像を記憶するとともに、撮影画像中における時刻表示部画像の位置を示す座標を記憶する。背景画像メモリ122は、撮影画像から前記時刻表示部画像を除いた背景画像を記憶する。
【0022】
撮像部9は、前記レンズ部3、およびレンズ部3の光軸上に配置されたCCDまたはCMOS等を有し、レンズ部3により被写体画像(イメージ)を結像し、RGBの各色の光の強さを、電流値に変換して画像データを生成する。RAM10は、撮像部9により撮像されて取得された画像データを記憶するとともに、CPU7のワークエリアとして使用される。
【0023】
CPU7は、ROM8に記憶されたプログラムを実行して、単独で、または他の構成部と協働して様々な処理を行い、置時計1の各種手段、各種構成部および各種機能を実現する。
【0024】
時刻表示部用検出部71は、CPU7がRAM10から取得した撮影画像中における時刻表示部の画像である前記時刻表示部画像の検出を行う。画像取得部72は、CPU7により取得されて時刻表示部用検出部71により検出が行われた画像を、時刻表示部画像と、時刻表示部画像を除去した文字板の画像とに分割させて取得する。
【0025】
分割画像RAM12は、画像取得部72により取得された時刻表示部画像を時刻表示部画像メモリ121に記憶し、一方、時刻表示部画像を除去した背景画像を背景画像メモリ122に記憶する。計時手段として機能する時計部13は、CPU7の指示に応じて現在の時刻を計時する。
【0026】
合成手段として機能する画像合成部14は、後述するようにCPU7により生成されるRAM10に記憶されている内蔵時刻表示部画像を差し替える画像合成を行う。表示手段として機能するCPU7は、画像合成部14によって合成された画像を、表示部としての液晶表示部2に表示する。
【0027】
前記ROM8には、図3に示すテーブル101が記憶されている。このテーブル101には、針式(アナログ)欄102と、数字式(デジタル)欄103とが設けられている。
【0028】
針式(アナログ)欄102には、パターン1、2、3に対応して、時針(H1)の長さL1と分針(H2)の長さL2の比率に対応した針画像が記憶されている。
【0029】
たとえば、針式(アナログ)のパターン1は、時針の長さ「2」に対して分針の長さの比率が「8」である針式で時刻を表示する針画像である。パターン2は、時針の長さ「3」に対して分針の長さの比率が「7」である針式で時刻を表示する針画像あり、パターン3は、時針の長さ「4」に対して分針の長さの比率が「6」である針式で時刻を表示する針画像ある。
【0030】
また、各パターン1、2、3には、当該比率の長さからなる時針と分針との針画像を含み、12時0分から11時59分までの時刻を表す内蔵時刻表示部画像、つまり12×60=720種の、分単位での時刻別の内蔵時刻表示部画像が各々記憶されている。
【0031】
数字式(デジタル)欄102には、パターン1、2、3・・・24に対応して、時を表す数字「00」〜「23」が記憶され、かつパターン1、2、3・・・60に対応して、分を表す数字「00」〜「59」の時刻画像が記憶されている。したがって、時を表す数字「00」〜「23」と、分を表す数字「00」〜「59」との時刻画像の組合せにより、「00:00」から「23:59」までの、24×60=1440種の時刻を表すことが可能である。
【0032】
以上の構成に係る本実施の形態において、置時計1はCPU7がRAM10に格納されているプログラムに従って処理を実行することにより、図4のフローチャートに示す絵画画像変換表示処理を実行する。
【0033】
すなわち、ユーザーがこの置時計1を携帯して、例えば図6に示す時計台50にレンズ部3を向けてシャッターキー4を押下すると、CPU7は撮影処理を実行する(ステップS101)。この撮影処理より、撮像部9はレンズ部3により結像されている被写体画像を取り込んで撮影画像とし、この撮影画像をRAM10に格納する(ステップS102)。
【0034】
引き続き、CPU7は液晶表示部2を駆動して、撮影画像を液晶表示部2に表示させる(ステップS103)。このステップS103での処理により、図8(a)に示すように、時計台50を主要被写体とする撮影画像51が液晶表示部2に表示される。
【0035】
次に、この撮影画像51を絵画風画像に変換する変換処理を実行する(ステップS104)。このステップS104における絵画風画像への撮影画像の変換処理は、従来周知のいずれの変換処理方法を用いてもよい。
【0036】
例えば、特開2004−213598号に開示されている技術を採用することにより、予めROM8に記憶しておいた特定の画家の画像である画家画像の色彩や筆触を抽出して、それを撮影画像51に付与し、絵画風画像に変換する。絵画風画像への変換は、撮影画像51を画家画像の色彩に疑似させる手順と、画家画像から、その筆触特徴を抽出する手順と、色彩を疑似させた画像からテクスチャの方向や強さを解析する手順と、解析結果に基づいて抽出した筆触を配置する手順と、を含む。
【0037】
色彩を疑似させる手順は、画家画像から代表的な色の集合を作成し、また撮影画像51からも代表的な色の集合を作成する。前記色の集合作成とは、色彩情報を色空間上にプロットし、画像に使用されているすべての色の中から多く使用されているものを選択し取り出すことである。撮影画像51の色集合と、画家画像の色集合を比較し、疑似化して再彩色を行う事で、撮影画像51を、色彩を模した絵画風画像に変換する。
【0038】
あるいは、特開昭60−198687号の開示されている技術や特開昭61−150077号公報に開示されている技術を用いて、撮影画像51を油絵のような画像に変換してもよいし、特開昭61−221878号公報に開示されている技術を用いて、撮影画像51を水墨画のような画像に変換してもよい。
【0039】
このステップS104での変換処理により、図8(a)に示すように、絵画風画像52が生成され、液晶表示部2に表示されることとなる。
【0040】
次に、時刻表示部画像の認識処理を実行する(ステップS105)。 図5は、このステップS105での時刻表示部画像の認識処理の詳細を示すフローチャートである。
【0041】
先ず、撮影画像51中に円画像があるか否かを判断する(ステップS201)。図7(b)の部分拡大図に示すように、撮影画像51中に円画像Rがある場合には、ステップS201の判断がYESとなる。したがって、ステップS201からステップS202に進み、円画像の内側に長さの異なる2本の針画像(H1、H2)があるか否かを判断する。
【0042】
図7(b)の部分拡大図に示すように、円画像Rの内側に長さの異なる2本の針画像H1、H2がある場合には、ステップS202の判断がYESとなる。したがって、ステップS202からステップS203に進み、2本の針画像H1、H2の比率を算出する。しかる後に、この算出した2本の針画像H1、H2の長さの比率に対応するROM8に記憶されている円画像の内蔵時刻表示画像を特定する。
【0043】
すなわち、図7(b)に示すように、時針H1の長さがL1であり、分針H2の長さがL2であり、時針の長さL1に対する分針の長さL2の比が2:8であったとすると、この比率は、図3に示したテーブル101において、パターン1の内部時刻表示部画像に対応する。したがって、ステップS204においては、このパターン1である内部時刻表示部画像(N1)を、使用する時刻表示部画像として特定する。
【0044】
他方、ステップS201の判断がNOであって、撮影画像中に円画像がない場合には、ステップS201からステップS205に進み、撮影画像中に枠画像があるか否かを判断する。図9(a)に示すように、撮影画像中に枠画像Wがある場合には、枠画像Wの内側に、複数の数字S1、S2、S3と当該数字の間に、「:」のコロンC1とがあるか否かを判断する(ステップS206)。
【0045】
図9(a)に示した例の場合、枠画像Wの内側に、複数の数字S1、S2、S3と当該数字の間に、コロンC1とがあるので、ステップS206の判断はYESとなる。したがって、ステップS206からステップS207に進み、数字S1、S2、S3、コロンC1に対応するROM8の内蔵時刻表示部画像を、使用する時刻表示部画像として特定する。つまり、テーブル101において、数字式(デジタル)欄103に記憶されている内蔵時刻表示部画像を使用する時刻表示部画像として特定する。これにより、図9(b)に示すように、時刻をデジタル表示する内蔵時刻表示部画像M1が使用する時刻表示部画像として決定されることとなる。
【0046】
他方、図4のフローチャートにおいて、ステップS105に続くステップS106では、撮影画像中における認識した時刻表示部画像の位置を示す位置座標を検出してRAM10に記憶する。このとき時刻表示部画像の位置座標は、時刻表示部画像が円画像を有するものである場合には(ステップS201;YES)、円画像の上下左右の4点の位置座標を検出して記憶し、時刻表示部画像が枠画像を有するものである場合には(ステップS205;YES)、枠画像の四隅の4点の位置座標を検出して記憶する。
【0047】
なお、円画像の中心部の位置座標のみ、あるいは枠画像の中心部の位置座標のみを検出して記憶するようにしてもよい。
【0048】
次に、このステップS106でRAM10に記憶した位置座標に基づき、絵画風画像の時刻表示部画像を、前記ステップS204またはステップS207で特定した内蔵時刻表示部画像に差し替える(ステップS107)。したがって、このステップS107での処理により、図8(a)(b)に示すように、例えば内部時刻表示部画像N1が、絵画風画像52の時刻表示部画像53に差し替えられる。
【0049】
さらに、内部時刻表示部画像(N1)を時計部13が計時する現在時刻に従って順次差し替えつつ、絵画風画像を液晶表示部2の上部の領域であるクロック表示部に貼り付けて表示させる。これにより、図8(c)および図1(a)に示すように、液晶表示部2には、現在時刻に従って時針H1と分針H2とが運針する状態を示す時刻表示部画像53を含む絵画風画像52が表示され続けられる。
【0050】
したがって、原画像である撮影画像の一部に時間の経過に従って動く動的部分が存在する場合、当該動的部分が時間の経過に従って変化する絵画風画像であって、静止画としても、動画としても鑑賞して楽しむことができ、面白みがある画像を生成して、表示することができる。しかも、時刻表示部画像53は時針H1と分針H2とを含む針画像N1を順次差替えて表示することにより、現在時刻を表示することから、電子時計機能を備え、実用的にも充分な絵画風画像を表示することができる。
【0051】
より具体的には、アナログ時計を有する時計台を撮影すると、撮影された撮影画像を自動的に絵画風画像に変換することができ、かつ、変換された絵画風画像の中で実時刻を刻む実時間時刻表示部(クロック)を得ることができる。
【0052】
しかも、絵画の中で実時刻を刻む実時間時刻表示部(クロック)における時針H1と分針H2との長さの比率は、撮影画像における時刻表示部画像の時針H1と分針H2との長さの比率と対応する。よって、絵画風画像において、違和感なく実時刻を刻むアナログ方式の実時間時刻表示を行うことができる。
【0053】
無論、時刻表示部画像がデジタル表示であった場合も同様であり、原画像である撮影画像の一部に時間の経過に従って動く動的部分が存在する場合、当該動的部分が時間の経過に従って変化する絵画風画像であって、静止画としても、動画としても鑑賞して楽しむことができ、面白みがある画像を生成して、表示することができる。このとき、時刻表示部画像は数値により、現在時刻を表示することから、実用的にも充分な絵画風画像を生成して表示することができる。
【0054】
より具体的には、デジタル時計を有するタワーやビルを撮影すると、撮影された撮影画像を自動的に絵画風画像に変換することができ、かつ、変換された絵画風画像の中で実時刻を刻むデジタル方式の実時間時刻表示部(クロック)を得ることができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、図4のフローチャートにおいてステップS103に次いでステップS104の絵画風画像への撮影画像の変換処理を行うようにした。しかし、ステップS109の処理に次いでステップS104の絵画風画像への撮影画像の変換処理を行うようにしてもよい。つまり、ステップS109で撮影画像の時刻表示部画像を現在時刻に従って順次差し替え、差し替えた後に、撮影画像を風景画像に変換して表示するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態においては、本発明を置時計に適用した場合を示したが、置時計に限らず、携帯電話、デジタルカメラ等の他の機器に適用するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施の形態においては、複数の第1画像を内部時刻表示部画像N1とし、予め定められた形状の第2画像を時刻表示部画像としたが、これに限られない。
【0058】
たとえば、図10に示すように、複数の第1画像を定形タイヤ画像N2、N3とし、予め定められた形状の第2画像を実物タイヤ画像とし、撮影された車の撮影画像Kのうち、この実物タイヤ画像の形状に対応した複数の定形タイヤ画像N2、N3を時間の経過に従って順次差替えて表示するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態においては、機器である置時計が撮像部を有するものとしたが、機器自体は撮像部を有することなく、他の機器で撮像された画像を取得して記憶する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 置時計
2 液晶表示部
3 レンズ部
4 シャッターキー
5 機能キー
6 スライドスイッチ
7 CPU
8 ROM
9 撮像部
10 RAM
11 入力部
13 時計部
50 時計台
51 撮影画像
52 絵画風画像
53 時刻表示部画像
101 テーブル
R 円画像
W 枠画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、
この撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像を絵画風画像に変換する画像変換手段と、
複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、この認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶手段と、
この画像位置記憶手段に記憶されている時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶手段に記憶されている座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替えて、前記絵画風画像を表示させる差替制御手段と、
を備えていることを特徴とする絵画風画像表示装置。
【請求項2】
撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、
複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、こ認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶手段と、
この画像位置記憶手段に記憶されている時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶手段に記憶されている座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替える差替制御手段と、
この差替制御手段の制御により差替えられた電子時刻表示部画像と前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像とを絵画風画像に変換して、この変換された絵画風画像を表示させる画像表示制御手段と、
を備えていることを特徴とする絵画風画像表示装置。
【請求項3】
前記電子時刻表示部画像記憶手段は、時針と分針とにより現在時刻を表示するアナログ電子時刻表示部画像と、数字により現在時刻を表示するデジタル電子時刻表示部画像との少なくとも一方を記憶していることを特徴とする請求項1または2記載の絵画風画像表示装置。
【請求項4】
前記電子時刻表示部画像記憶手段は、現在時刻を表示するための時針と分針との長さの異なる複数種の電子時刻表示部画像を記憶し、
前記画像位置記憶手段は、前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時針と分針との長さの比率を判別し、
前記差替制御手段は、前記判別された時針と分針との長さの比率に対応する電子時刻表示部画像を前記電子時刻表示部画像記憶手段から選択することを特徴とする請求項1または2記載の絵画風画像表示装置。
【請求項5】
撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段とを備える機器における絵画風画像表示方法であって、
前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像を絵画風画像に変換する画像変換ステップと、
前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、この認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶ステップと、
この画像位置記憶ステップで記憶された時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶ステップで記憶された座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替えて、前記絵画風画像を表示させる差替制御ステップと、
を含むことを特徴とする絵画風画像表示方法。
【請求項6】
撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、複数の電子時刻表示部画像を記憶している電子時刻表示部画像記憶手段とを備える機器における絵画風画像表示方法であって、
前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、時刻を表示する時刻表示部の画像である時刻表示部画像を認識し、こ認識した時刻表示部画像と前記時刻表示部の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶ステップと、
この画像位置記憶ステップで記憶された時刻表示部画像を、前記電子時刻表示部画像記憶手段に記憶されている複数の電子時刻表示部画像の中から選択し、この選択された電子時刻表示部画像を前記画像位置記憶ステップで記憶された座標位置に、現在時刻に従って、順次、差替える差替制御ステップと、
この差替制御ステップでの制御により差替えられた電子時刻表示部画像と前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像とを絵画風画像に変換して、この変換された絵画風画像を表示させる画像表示制御ステップと、
を含むことを特徴とする絵画風画像表示方法。
【請求項7】
表示部を備えている絵画風画像表示装置において、
撮影された撮影画像を記憶している撮影画像記憶手段と、
この撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像を絵画風画像に変換する画像変換手段と、
この画像変換手段により変換された撮影画像を表示させる撮影画像表示制御手段と、
複数の第1画像を記憶している第1画像記憶手段と、
前記撮影画像記憶手段に記憶されている撮影画像のうち、予め定められた形状の第2画像があるか否を検出し、あったと検出された際は、この第2画像と当該第2画像の位置を表す座標位置とを対応付けて記憶する画像位置記憶手段と、
この画像位置記憶手段に記憶されている第2画像の形状と対応する形状を有する第1画像を前記第1画像記憶手段の中から予め定められている順番に選択し、この選択された各第1画像を前記画像位置記憶手段に記憶されている座標位置と対応する前記撮影画像の位置に、時間の経過に従って、順次、差替えながら表示させる差替制御手段と、
を備えていることを特徴とする絵画風画像表示装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−150392(P2011−150392A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8844(P2010−8844)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】