絶縁型スイッチング電源
【課題】絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止すること。
【解決手段】絶縁型スイッチング電源1は、ノーマルモードで動作させるモード切替信号が入力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にして制御回路2の端子P1の電圧を低下させ、この端子P1の電圧に応じてスイッチ素子Q1を制御する。制御回路2は、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、放電部15により端子P1の電圧を低下させる。
【解決手段】絶縁型スイッチング電源1は、ノーマルモードで動作させるモード切替信号が入力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にして制御回路2の端子P1の電圧を低下させ、この端子P1の電圧に応じてスイッチ素子Q1を制御する。制御回路2は、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、放電部15により端子P1の電圧を低下させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁型スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁型スイッチング電源は、スイッチ素子をスイッチングさせることで、入力された電圧を所望の電圧に変換して出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示されている絶縁型スイッチング電源には、出力電圧により動作する負荷の状態に応じて、マイコンといった外部回路から所定の信号が入力される。この絶縁型スイッチング電源は、所定の信号に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えて、軽負荷時における消費電力を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−206274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、入力電圧の瞬時停電が発生したり、出力が過負荷な状態になったりすると、出力電圧が低下する。このため、上述の外部回路が絶縁型スイッチング電源の出力電圧により動作する場合に、上述のように出力電圧が低下してしまうと、外部回路が所定の信号を出力できなくなってしまい、誤動作が生じるおそれがあった。
【0006】
上述の課題に鑑み、本発明は、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、図1の絶縁型スイッチング電源1に相当)であって、予め定められた特定点(例えば、図3の端子P1に相当)の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図3の制御回路2に相当)と、前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部(例えば、図3の定電流供給部13に相当)と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図1のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる第1の電圧低下部(例えば、図3のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図5の出力低下検出電圧VSENに相当)以下であれば、前記特定点の電圧を低下させる第2の電圧低下部(例えば、図3の放電部15に相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0008】
この発明によれば、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると特定点の電圧を低下させ、この特定点の電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、第2の電圧低下部を設けた。そして、第2の電圧低下部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、特定点の電圧を低下させることとした。このため、連続発振状態において、状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、状態切替信号が入力されなくなってしまっても、状態切替信号が入力されている場合と同様に、特定点の電圧を低下させることができる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0009】
(2) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、後述の絶縁型スイッチング電源1Aに相当)であって、予め定められた特定点(例えば、図6の端子P1に相当)の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図6の制御回路2Aに相当)と、前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部(例えば、図6の定電流供給部13Aに相当)と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図1のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる電圧低下部(例えば、図6のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図5の出力低下検出電圧VSENに相当)以下であれば、前記電圧上昇部による前記特定点の電圧の上昇を停止させる電圧上昇停止部(例えば、図6の電圧上昇停止部15Aに相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0010】
この発明によれば、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると特定点の電圧を低下させ、この特定点の電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、電圧上昇停止部を設けた。そして、電圧上昇停止部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、電圧上昇部による特定点の電圧の上昇を停止させることとした。このため、連続発振状態において、状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、状態切替信号が入力されなくなってしまっても、状態切替信号が入力されている場合と同様に、特定点の電圧の上昇を防止できる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0011】
(3) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図7のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、図7の絶縁型スイッチング電源1Bに相当)であって、前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタ(例えば、図8のキャパシタC5に相当)と、前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図8の制御回路2Bに相当)と、前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部(例えば、図8の定電流供給部13Bに相当)と、前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧(例えば、図9の下限電圧VLOWに相当)以下であれば下限検出信号が出力する出力電圧下限検出部(例えば、図7の出力電圧下限検出部80に相当)と、前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図7のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する第1の放電部(例えば、図8のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図9の上限電圧VHIや、後述の出力低下検出電圧VSENに相当)未満であれば、前記キャパシタを放電する第2の放電部(例えば、図8の放電部15に相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0012】
この発明によれば、出力電圧が下限電圧以下であることを示す下限検出信号が入力されたり、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されたりすると、キャパシタを放電し、このキャパシタの両端電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、第2の放電部を設けた。そして、第2の放電部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、キャパシタを放電することとした。このため、連続発振状態において、出力電圧下限検出部および状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、下限検出信号または状態切替信号が入力されている場合と同様に、キャパシタを放電することができる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0013】
(4) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図7のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、後述の絶縁型スイッチング電源1Cに相当)であって、前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタ(例えば、図11のキャパシタC5に相当)と、前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図11の制御回路2Cに相当)と、前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部(例えば、図11の定電流供給部13Cに相当)と、前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧(例えば、図9の下限電圧VLOWに相当)以下であれば下限検出信号を出力する出力電圧下限検出部(例えば、図7の出力電圧下限検出部80に相当)と、前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図7のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する放電部(例えば、図11のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図9の上限電圧VHIや、後述の出力低下検出電圧VSENに相当)未満であれば、前記定電流供給部から前記キャパシタへの定電流供給を停止させる定電流供給停止部(例えば、図11の電圧上昇停止部15Aに相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0014】
この発明によれば、出力電圧が下限電圧以下であることを示す下限検出信号が入力されたり、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されたりすると、キャパシタを放電し、このキャパシタの両端電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、定電流供給停止部を設けた。そして、定電流供給停止部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、定電流供給部からキャパシタへの定電流供給を停止させることとした。このため、連続発振状態において、出力電圧下限検出部および状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、下限検出信号または状態切替信号が入力されている場合と同様に、キャパシタの両端電圧の上昇を防止できる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0015】
(5) 本発明は、(3)または(4)の絶縁型スイッチング電源について、前記出力電圧が上限電圧(例えば、図9の上限電圧VHIに相当)以上であれば上限検出信号を出力する出力電圧上限検出部(例えば、図7の出力電圧上限検出部70に相当)を備え、前記状態切替制御部は、前記連続発振状態において、前記出力電圧が前記上限電圧より低ければ、前記状態切替信号の出力を停止することを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0016】
この発明によれば、絶縁型スイッチング電源に、出力電圧が上限電圧以上であれば上限検出信号を出力する出力電圧上限検出部を設けた。そして、連続発振状態において、出力電圧が上限電圧より低ければ、状態切替制御部からの状態切替信号の出力を停止することとした。このため、連続発振状態において、状態切替制御部の動作期間を短くすることができるので、状態切替制御部の消費電力を低減でき、絶縁型スイッチング電源および状態切替制御部を含むシステムの高効率化を実現できる。
【0017】
(6) 本発明は、(1)〜(5)のいずれかの絶縁型スイッチング電源について、前記設定電圧は、前記状態切替制御部の最低動作電圧(例えば、図5や図9の最低動作電圧V0に相当)以上であることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0018】
この発明によれば、上述の設定電圧を、状態切替制御部の最低動作電圧以上に設定することとした。このため、連続発振状態において、出力電圧の低下によって状態切替制御部が動作できなくなるより前に、特定点の電圧の上昇や、キャパシタの両端電圧の上昇を防止できる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源の回路図である。
【図2】前記絶縁型スイッチング電源のタイミングチャートである。
【図3】前記絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【図4】スタンバイモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図5】ノーマルモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源の回路図である。
【図8】前記絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【図9】ノーマルモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図10】スタンバイモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0022】
<第1実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1の回路図である。絶縁型スイッチング電源1は、トランスTと、制御回路2と、出力電圧検出部50と、モード切替信号生成部60と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、キャパシタC1〜C4と、ダイオードD1、D2と、フォトトランジスタPT1、PT2と、を備える。
【0023】
まず、トランスTの1次側の構成について説明する。制御回路2には、P1〜P6の6つの端子が設けられている。端子P3には、基準電位源GNDに接続された端子GND1が接続されるとともに、キャパシタC1を介して入力端子INが接続される。
【0024】
端子P1には、フォトトランジスタPT1を介して、端子P3が接続される。フォトトランジスタPT1は、モード切替信号生成部60から出力される信号に応じてオンオフする。モード切替信号生成部60は、出力端子OUTから出力される出力電圧VOUTにより動作する。このモード切替信号生成部60は、絶縁型スイッチング電源1をノーマルモードで動作させる場合には、モード切替信号をフォトトランジスタPT1に出力して、フォトトランジスタPT1をオン状態にする。一方、絶縁型スイッチング電源1をスタンバイモードで動作させる場合には、モード切替信号の出力を停止して、フォトトランジスタPT1をオフ状態にする。
【0025】
端子P2には、フォトトランジスタPT2を介して、端子P3が接続される。フォトトランジスタPT2は、出力電圧検出部50から出力される信号に応じて、端子P2の電圧が出力電圧VOUTに応じた電圧となるように、活性的にオンオフする。出力電圧検出部50は、出力端子OUTに接続される。この出力電圧検出部50は、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG(後述の図4参照)以上である場合には、フォトトランジスタPT2を活性オン状態とし、出力電圧VOUTが高くなるに従って活性オン状態におけるフォトトランジスタPT2のインピーダンスを低下させる。これによれば、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG以上である場合には、端子P2の電圧は、出力電圧VOUTに応じて変化する電圧、より具体的には出力電圧VOUTが高くなるに従って低くなる電圧となる。一方、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、フォトトランジスタPT2をオフ状態にする。
【0026】
端子P4には、キャパシタC4を介して端子P3が接続されるとともに、ダイオードD1のカソードが接続される。ダイオードD1のアノードには、トランスTの制御巻線T2の他端が接続され、制御巻線T2の一端には、端子P3が接続される。
【0027】
端子P5には、入力端子INが接続される。この入力端子INには、トランスTの1次巻線T1の一端も接続される。1次巻線T1の他端には、キャパシタC2を介して端子P3が接続される。また、1次巻線T1の他端には、スイッチ素子Q1のドレインも接続される。スイッチ素子Q1のソースには、端子P3が接続され、スイッチ素子Q1のゲートには、端子P6が接続される。
【0028】
次に、トランスTの2次側の構成について説明する。トランスTの2次巻線T3の一端には、基準電位源GNDに接続された端子GND2が接続される。2次巻線T3の他端には、ダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードには、出力端子OUTが接続されるとともに、キャパシタC3を介して端子GND2が接続される。
【0029】
出力端子OUTに接続された出力電圧検出部50は、端子GND2にも接続される。
【0030】
[絶縁型スイッチング電源1の動作]
以上の構成を備える絶縁型スイッチング電源1は、モード切替信号に応じて変化する端子P1の電圧と、出力電圧VOUTに応じて変化する端子P2の電圧と、に応じて、制御回路2によりノーマルモードまたはスタンバイモードでスイッチ素子Q1をスイッチング制御し、入力端子INから入力される入力電圧を必要な出力電圧VOUTに変換制御して、この出力電圧VOUTを出力端子OUTから出力する。なお、本実施形態では、スタンバイモードでは、絶縁型スイッチング電源1は、スイッチ素子Q1をバースト制御するものとする。
【0031】
図2は、絶縁型スイッチング電源1のタイミングチャートである。VC4は、キャパシタC4の両端電圧を示し、VP1は、端子P1の電圧を示し、VP2は、端子P2の電圧を示す。
【0032】
図2に示すように、ノーマルモードでは、スイッチ素子Q1を発振させて、出力電圧VOUTを略一定とする。一方、スタンバイモードでは、スイッチ素子Q1を発振させる発振期間と、スイッチ素子Q1の発振を停止させる発振停止期間と、を交互に繰り返すことにより、スイッチ素子Q1を間欠発振させる。なお、スタンバイモードでは、スイッチ素子Q1のドレイン電流のピーク値を発振期間において一定にしつつ、発振期間と停止期間との比率で出力電圧VOUTを制御する。このため、スタンバイモードの場合には、ノーマルモードの場合と比べて、出力電圧VOUTのリップルが大きくなる。
【0033】
[制御回路2の構成]
図3は、制御回路2の回路図である。制御回路2は、起動回路部11、低電圧誤動作防止回路部12、定電流供給部13、端子電圧検出部14、放電部15、発振制御部16、発振停止制御部17、制御電圧生成部18、およびラッチ保護回路部19を備える。
【0034】
[起動回路部11の構成]
起動回路部11は、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q11、Q12と、抵抗R11、R12と、を備える。
【0035】
スイッチ素子Q11のソースには、接点A1が接続され、スイッチ素子Q11のドレインには、抵抗R11を介して接点A2が接続される。スイッチ素子Q11のゲートには、抵抗R12を介して接点A2が接続されるとともに、スイッチ素子Q12のドレインが接続される。スイッチ素子Q12のゲートには、接点A3が接続され、スイッチ素子Q12のソースには、基準電位源GNDが接続される。
【0036】
[低電圧誤動作防止回路部12の構成]
低電圧誤動作防止回路部12は、比較器CMP21と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q21と、抵抗R21〜R23と、を備える。
【0037】
抵抗R21と抵抗R22とは、直列接続され、これら直列接続された抵抗R21、R22を介して、制御電圧源VDDと基準電位源GNDとが接続される。具体的には、制御電圧源VDDには抵抗R21の一端が接続され、抵抗R21の他端には抵抗R22の一端が接続され、抵抗R22の他端には基準電位源GNDが接続される。制御電圧源VDDからは、後述するように、制御電圧生成部18から出力される電圧が供給される。抵抗R22には、抵抗R23とスイッチ素子Q21とを直列接続したものが、並列接続される。具体的には、抵抗R22の一端には、抵抗R23を介してスイッチ素子Q21のドレインが接続され、スイッチ素子Q21のソースには、抵抗R22の他端が接続される。スイッチ素子Q21のゲートには、接点B3が接続される。また、抵抗R22の一端には、比較器CMP21の反転入力端子も接続される。比較器CMP21の非反転入力端子には、接点B1が接続され、比較器CMP21の出力端子には、接点B2が接続される。
【0038】
[定電流供給部13の構成]
定電流供給部13は、電流源S31を備える。
【0039】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、接点C1が接続される。
【0040】
[端子電圧検出部14の構成]
端子電圧検出部14は、インバータINV41、INV42を備える。
【0041】
インバータINV41の入力端子には、接点D1が接続され、インバータINV41の出力端子には、接点D2と、インバータINV42の入力端子と、が接続される。インバータINV42の出力端子には、接点D3が接続される。
【0042】
[放電部15の構成]
放電部15は、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q51と、論理積AND51と、を備える。
【0043】
論理積AND51の2つの入力端子には、それぞれ接点E1、E2が接続される。論理積AND51の出力端子には、スイッチ素子Q51のゲートが接続される。スイッチ素子Q51のドレインには、接点E3が接続され、スイッチ素子Q51のソースには、基準電位源GNDが接続される。
【0044】
[発振制御部16の構成]
発振制御部16は、出力電圧低下検出部161と、オントリガ発生部162と、オン幅制御部163と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF61と、インバータINV61と、否定論理積NAND61、NAND62と、を備える。
【0045】
出力電圧低下検出部161には、接点F5、F6と、オン幅制御部163と、が接続される。オン幅制御部163には、接点F6と、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち他方と、も接続される。否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち一方には、接点F4が接続され、否定論理積NAND61の出力端子には、フリップフロップFF61の第2のリセット端子が接続される。フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162が接続され、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点F3が接続される。否定論理積NAND62の3つの入力端子には、それぞれ、接点F1、F2、およびフリップフロップFF61の出力端子が接続される。否定論理積NAND62の出力端子には、インバータINV61の入力端子が接続され、インバータINV61の出力端子には、接点F7が接続される。
【0046】
[発振停止制御部17の構成]
発振停止制御部17は、スタンバイ制御部171と、スタンバイ時電流制限部172と、否定論理積NAND71、NAND72と、論理積AND71と、を備える。
【0047】
論理積AND71の出力端子には、接点G3が接続され、論理積AND71の2つの入力端子には、否定論理積NAND71の出力端子と、否定論理積NAND72の出力端子と、が接続される。否定論理積NAND71の2つの入力端子には、接点G1と、接点G2に接続されたスタンバイ制御部171と、が接続される。否定論理積NAND72の2つの入力端子には、接点G1と、スタンバイ時電流制限部172と、が接続される。
【0048】
[スタンバイモードにおける制御回路2の動作]
まず、スタンバイモードにおける制御回路2の動作について、図4を用いて以下に説明する。
【0049】
図4は、スタンバイモードにおける絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTを示す図である。VDSQ1は、スイッチ素子Q1のドレイン−ソース間電圧を示し、V0は、モード切替信号生成部60の最低動作電圧を示す。
【0050】
時刻t1〜t2の期間と、時刻t3〜t4の期間と、時刻t5〜t6の期間とは、上述の発振期間である。一方、時刻t2〜t3の期間と、時刻t4〜t5の期間とは、上述の発振停止期間である。
【0051】
ここで、図3の制御電圧源VDDの電圧は、制御電圧生成部18から出力される電圧に等しい。制御電圧生成部18は、端子P4を介して図1のキャパシタC4に接続されており、キャパシタC4の両端電圧が所定電圧未満の場合には、キャパシタC4の両端電圧に応じた電圧を出力し、キャパシタC4の両端電圧が所定電圧以上の場合には、所定電圧を出力する。キャパシタC4は、制御巻線T2の両端電圧、または、起動回路部11により充電される。
【0052】
図3の起動回路部11では、スイッチ素子Q12がオフ状態である場合、スイッチ素子Q11のゲートに、抵抗R12、接点A2、および端子P5を介して、図1の入力端子INから入力電圧が印加され、スイッチ素子Q11がオン状態となる。すると、入力端子INとキャパシタC4とが、端子P5、接点A2、抵抗R11、オン状態のスイッチ素子Q11、接点A1、および端子P4を介して導通する。これによれば、起動回路部11が動作して、キャパシタC4が起動回路部11により充電されることとなる。
【0053】
一方、スイッチ素子Q12がオン状態である場合、スイッチ素子Q11のゲート電圧が引き抜かれ、スイッチ素子Q11がオフ状態となる。すると、入力端子INとキャパシタC4とが絶縁される。これによれば、起動回路部11の動作が停止され、キャパシタC4が制御巻線T2の両端電圧により充電されることとなる。
【0054】
スイッチ素子Q12は、低電圧誤動作防止回路部12により、キャパシタC4の両端電圧に応じて制御される。低電圧誤動作防止回路部12では、キャパシタC4の両端電圧が、端子P4および接点B1を介して比較器CMP21の非反転入力端子に印加される。この比較器CMP21は、ヒステリシス特性を有する。
【0055】
ここで、まず、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満である場合について説明する。キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満である場合、比較器CMP21は、Lレベル電圧を出力する。このLレベル電圧は、接点B2および接点A3を介して、スイッチ素子Q12のゲートに印加される。これによれば、スイッチ素子Q12がオフ状態となり、上述のように起動回路部11が動作することとなる。
【0056】
また、上述の比較器CMP21から出力されるLレベル電圧は、接点B2および接点B3を介して、スイッチ素子Q21のゲートに印加され、スイッチ素子Q21がオフ状態となる。これによれば、抵抗R21と抵抗R22とで制御電圧源VDDの電圧を分圧したものが、比較器CMP21の反転入力端子に印加される。このため、比較器CMP21の閾値電圧は、第1の閾値電圧に固定されることとなる。
【0057】
次に、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧以上である場合について説明する。キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧以上である場合、比較器CMP21は、Hレベル電圧を出力する。このHレベル電圧は、接点B2および接点A3を介して、スイッチ素子Q12のゲートに印加される。これによれば、スイッチ素子Q12がオン状態となり、上述のように起動回路部11の動作が停止されることとなる。
【0058】
また、上述の比較器CMP21から出力されるHレベル電圧は、接点B2および接点B3を介して、スイッチ素子Q21のゲートに印加され、スイッチ素子Q21がオン状態となる。これによれば、抵抗R22に抵抗R23が並列接続されることとなり、抵抗R21と、抵抗R22および抵抗R23を並列接続したものと、で制御電圧源VDDの電圧を分圧したものが、比較器CMP21の反転入力端子に印加される。このため、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満である場合と比べて、比較器CMP21の反転入力端子に印加される電圧が低下し、比較器CMP21の閾値電圧は、上述の第1の閾値電圧より低い第2の閾値電圧に固定されることとなる。
【0059】
ところで、スタンバイモードでは、図1のモード切替信号生成部60により、フォトトランジスタPT1がオフ状態となる。このため、端子P1の電圧は、図3の定電流供給部13により、Hレベル電圧となる。
【0060】
この端子P1のHレベル電圧は、インバータINV41でLレベル電圧に変換され、接点D2および接点E2を介して、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方に印加される。このため、論理積AND51の出力端子からスイッチ素子Q51のゲートにLレベル電圧が印加され、スイッチ素子Q51がオフ状態となる。これによれば、端子P1は接地されず、端子P1の電圧は、Hレベル電圧で維持されることとなる。
【0061】
また、上述の端子P1のHレベル電圧は、接点D1、インバータINV41、INV42、接点D3、および接点G1を介して、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方と、否定論理積NAND72の2つの入力端子のうち一方と、に印加される。
【0062】
否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち他方に接続されたスタンバイ制御部171は、接点G2を介して接続された端子P2の電圧が第1電圧以上である場合には、Lレベル電圧を出力し、端子P2の電圧が第2電圧未満である場合には、Hレベル電圧を出力する。ここで、第2電圧は、第1電圧より低いものとし、端子P2は、出力電圧低下検出部161によりプルアップされているものとする。このため、図1のフォトトランジスタPT2がオフ状態の場合、すなわち出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、端子P2の電圧が第1電圧以上となり、スタンバイ制御部171は、Lレベル電圧を出力する。一方、フォトトランジスタPT2がオン状態の場合、すなわち出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG以上である場合には、端子P2の電圧が第2電圧未満となり、スタンバイ制御部171は、Hレベル電圧を出力する。
【0063】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG以上である場合には、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点G3および接点F3を介して、Lレベル電圧が印加される。フリップフロップFF61は、リセット優先であるため、第1のリセット端子にLレベル電圧が印加されると、セット端子の状態にかかわらずLレベル電圧を出力する。これによれば、否定論理積NAND62からHレベル電圧が出力され、インバータINV61でLレベル電圧に変換された後、接点F7および端子P6を介して、図1のスイッチ素子Q1のゲートに印加され、スイッチ素子Q1がオフ状態となる。すると、発振停止期間となり、図4の時刻t2〜t3の期間や、時刻t4〜t5の期間のように、出力電圧VOUTが低下することとなる。
【0064】
一方、スタンバイモードにおいて、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点G3および接点F3を介して、Hレベル電圧が印加される。
【0065】
ここで、フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、否定論理積NAND61の出力端子が接続され、否定論理積NAND61の2つの入力端子のそれぞれには、接点F4、D2、インバータINV41、および接点D1を介して端子P1が接続されるとともに、オン幅制御部163が接続される。スタンバイモードでは、端子P1の電圧が上述のようにHレベル電圧であるため、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち一方には、Lレベル電圧が印加される。このため、スタンバイモードでは、オン幅制御部163の動作によらず、否定論理積NAND61がHレベル電圧を出力することとなり、その結果、フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、Hレベル電圧が印加される。これによれば、フリップフロップFF61のセット端子および第1のリセット端子の状態によっては、スイッチ素子Q1が発振動作の可能な状態となる。
【0066】
フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162が接続される。オントリガ発生部162は、予め定められた周期で、Hレベル電圧とLレベル電圧とを交互に出力する。このため、フリップフロップFF61は、フリップフロップFF61の第1のリセット端子および第2のリセット端子にHレベル電圧が印加されている状態において、オントリガ発生部162がLレベル電圧を出力すると、Hレベル電圧を出力する。そして、フリップフロップFF61の第1のリセット端子にLレベル電圧が印加されると、Lレベル電圧を出力する。
【0067】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、フリップフロップFF61は、オントリガ発生部162の出力に応じて、予め定められた周期でHレベル電圧を出力する。そして、図1のスイッチ素子Q1を流れる電流がスタンバイ時上限電流以上になると、スタンバイ時電流制限部172がHレベル電圧を出力し、フリップフロップFF61の第1のリセット端子にLレベル電圧が印加される。このため、比較器CMP21およびラッチ保護回路部19からHレベル電圧が出力される限り、予め定められた周期で、スイッチ素子Q1のゲートにHレベル電圧とLレベル電圧とが交互に印加され、スイッチ素子Q1がスイッチングする。すると、発振期間となり、図4の時刻t1〜t2の期間や、時刻t3〜t4の期間や、時刻t5〜t6の期間のように、出力電圧VOUTが上昇することとなる。
【0068】
なお、上述の比較器CMP21からHレベル電圧が出力される限りとは、上述のように、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧以上である限りということであり、定常動作状態である限りということである。また、ラッチ保護回路部19は、電源の異常動作から回路を保護するためのものであり、定常動作状態ではHレベル電圧を出力するが、異常状態を検出すると、Lレベル電圧を出力する。このため、上述のラッチ保護回路部19からHレベル電圧が出力される限りとは、定常動作状態である限りということである。
【0069】
[ノーマルモードにおける制御回路2の動作]
次に、ノーマルモードにおける制御回路2の動作について、図5を用いて以下に説明する。
【0070】
図5は、ノーマルモードにおける絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTを示す図である。VSENは、出力電圧低下検出部161の閾値電圧である出力低下検出電圧を示し、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、端子P2の電圧が所定電圧以上となり、出力電圧低下検出部161がHレベル電圧を出力する。
【0071】
時刻t11より前の期間は、定常動作状態を示し、この期間では、後述のようにスイッチ素子Q1を発振させており、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREGで略一定となる。
【0072】
具体的には、ノーマルモードであるため、時刻t11より前の期間では、図1のモード切替信号生成部60により、フォトトランジスタPT1がオン状態となる。このため、図3の端子P1が接地され、端子P1の電圧は、Lレベル電圧となる。
【0073】
この端子P1のLレベル電圧は、接点D1、インバータINV41、INV42、接点D3、および接点G1を介して、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方と、否定論理積NAND72の2つの入力端子のうち一方と、に印加される。このため、ノーマルモードでは、スタンバイ制御部171やスタンバイ時電流制限部172の動作によらず、否定論理積NAND71、NAND72がともにHレベル電圧を出力することとなり、その結果、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されることとなる。
【0074】
フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、否定論理積NAND61の出力端子が接続され、否定論理積NAND61の2つの入力端子には、上述のように端子P1とオン幅制御部163とが接続される。ノーマルモードでは、端子P1の電圧がLレベル電圧であるため、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。一方、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち他方には、スイッチ素子Q1のオン幅が端子P2の電圧に応じた幅になると、オン幅制御部163からHレベル電圧が印加される。以上より、ノーマルモードでは、フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、スイッチ素子Q1のオン幅が端子P2の電圧に応じた幅になるたびに、Lレベル電圧が印加されることとなる。
【0075】
フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162から、予め定められた周期で、Hレベル電圧とLレベル電圧とが交互に印加される。
【0076】
以上によれば、時刻t11より前の期間では、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて図1のスイッチ素子Q1が発振し、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREGで略一定となる。
【0077】
時刻t11において、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、入力電圧の供給がなくなることで出力電圧VOUTが低下し、出力電圧VOUTの低下に伴って制御巻線T2の両端電圧も低下して、その結果、キャパシタC4の両端電圧が低下する。そして、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満にまで低下して、比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになると、スイッチ素子Q1の発振が停止されるため、出力電圧VOUTがさらに低下し、時刻t12では出力低下検出電圧VSENとなり、時刻t13では最低動作電圧V0となる。なお、出力が過負荷な状態になった場合にも、入力電圧の瞬時停電が発生した場合と同様に、出力電圧VOUTが低下する。
【0078】
時刻t14において、上述の入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。ここで、時刻t11〜t14の期間では、上述のように制御巻線T2の両端電圧が低下するとともに、入力電圧の供給がないため起動回路部11からの充電電流が供給されず、その結果、キャパシタC4の両端電圧がさらに低下する。
【0079】
このため、時刻t14において上述の入力電圧の瞬時停電が解消されたとしても、起動回路部11の動作が再開されてキャパシタC4の両端電圧が上昇し、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになるまでには、時間が掛かることとなる。したがって、時刻t14以降においても、スイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0080】
時刻t15において、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されるものとする。ここで、時刻t15以降では、実線で、絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTを示し、一点鎖線で、絶縁型スイッチング電源1に放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTを示すものとする。
【0081】
まず、絶縁型スイッチング電源1に放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0082】
時刻t13〜t16の期間では、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となるので、ノーマルモードであるにもかかわらず、出力電圧VOUTにより動作するモード切替信号生成部60がモード切替信号を出力できなくなり、フォトトランジスタPT1がオフ状態となってしまう。このため、時刻t13〜t16の期間において、定電流供給部13が動作してしまうと、端子P1の電圧が上昇してしまう。そして、時刻t15以降において、端子P1の電圧がHレベル電圧であれば、上述のようにスタンバイモードとなる。ところが、スタンバイモードにおいて取り出すことのできる出力電力より重い出力電力を取り出そうとすると、出力電圧VOUTが上昇できず、出力電力条件によっては、図5の一点鎖線で示したように出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0083】
次に、絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0084】
時刻t13より前の期間においては、フォトトランジスタPT1がオン状態であるため、端子P1の電圧がLレベル電圧である。このため、時刻t11〜t13の期間において、制御回路2が動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。一方、時刻t12〜t17の期間において、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であるため、制御回路2が動作可能であれば、上述のように出力電圧低下検出部161がHレベル電圧を出力し、このHレベル電圧が、接点F5および接点E1を介して、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方に印加される。以上より、時刻t12〜t17の期間において、制御回路2が動作可能であれば、論理積AND51がHレベル電圧を出力し、スイッチ素子Q51がオン状態となり、端子P1が接地されることとなり、その結果、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。
【0085】
なお、時刻t11〜t14の期間において、制御回路2が動作不能であれば、制御回路2の動作は一旦停止するが、制御回路2が動作可能となった時点で、制御回路2は、上述の時刻t11〜t13において動作可能である場合と同様に、動作する。このため、制御回路2は、動作可能となった時点で、誤動作によりスタンバイモードになることなく、ノーマルモードでの動作を再開することとなる。
【0086】
このため、時刻t15において、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、時刻t11より前の期間と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じたスイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図5の実線で示したように、時間が経過するに従って上昇し、時刻t18において出力設定電圧VREGとなる。
【0087】
以上の絶縁型スイッチング電源1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0088】
絶縁型スイッチング電源1は、端子P1の電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にして、端子P1を接地する。そして、放電部15により、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、放電部15により端子P1を接地する。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、端子P1の電圧を低下させることができる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1の誤動作を防止できる。
【0089】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1をノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1をスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1は、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0090】
<第2実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1Aの構成]
本発明の第2実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Aについて、以下に説明する。絶縁型スイッチング電源1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1とは、制御回路2の代わりに制御回路2Aを備える点が異なる。なお、絶縁型スイッチング電源1Aにおいて、絶縁型スイッチング電源1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
[制御回路2Aの構成]
図6は、制御回路2Aの回路図である。制御回路2Aは、図3に示した本発明の第1実施形態に係る制御回路2とは、定電流供給部13の代わりに定電流供給部13Aを備える点と、放電部15の代わりに電圧上昇停止部15Aを備える点と、が異なる。
【0092】
[定電流供給部13Aの構成]
定電流供給部13Aは、電流源S31と、PチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q31と、を備える。
【0093】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、スイッチ素子Q31のソースが接続される。スイッチ素子Q31のドレインには、接点C1が接続され、スイッチ素子Q31のゲートには、接点C2が接続される。
【0094】
[電圧上昇停止部15Aの構成]
電圧上昇停止部15Aは、論理積AND51を備える。
【0095】
論理積AND51の2つの入力端子には、それぞれ接点E1、E2が接続され、論理積AND51の出力端子には、接点E3が接続される。
【0096】
[スタンバイモードにおける制御回路2Aの動作]
まず、スタンバイモードにおける制御回路2Aの動作について説明する。ノーマルモードからスタンバイモードに移行すると、図1のモード切替信号生成部60は、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。ところが、ノーマルモードにおいて、フォトトランジスタPT1がオン状態であり、端子P1が接地されていたため、端子P1の電圧は、Lレベル電圧のままである。
【0097】
この端子P1のLレベル電圧は、インバータINV41でHレベル電圧に変換され、接点D2および接点E2を介して、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方に印加される。一方、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧低下検出部161からLレベル電圧が印加される。このため、論理積AND51からLレベル電圧が出力され、接点E3および接点C2を介してスイッチ素子Q31のゲートに印加され、スイッチ素子Q31がオン状態となる。したがって、スタンバイモードでは、制御回路2と同様に、端子P1の電圧は、定電流供給部13AによりHレベル電圧となる。
【0098】
これによれば、スタンバイモードにおいて、制御回路2Aは、制御回路2と同様にスイッチ素子Q1を制御することとなり、絶縁型スイッチング電源1Aの出力電圧VOUTは、絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTと同様に、図4に示したように変化することとなる。
【0099】
[ノーマルモードにおける制御回路2Aの動作]
次に、ノーマルモードにおける制御回路2Aの動作について説明する。スタンバイモードからノーマルモードに移行すると、図1のモード切替信号生成部60がフォトトランジスタPT1をオン状態にするので、端子P1の電圧は、Lレベル電圧となる。
【0100】
これによれば、ノーマルモードでかつ定常動作状態では、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じてスイッチ素子Q1が発振し、図5の時刻t11より前の期間と同様に、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREGで略一定となる。
【0101】
ここで、まず、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、制御回路2Aでは、制御回路2と同様に比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振が禁止される。このため、出力電圧VOUTは、図5の時刻t11〜t14の期間と同様に、低下することとなる。
【0102】
次に、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となった後に、入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。これによれば、制御回路2Aでは、制御回路2と同様にスイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、図5の時刻t14〜t15の期間と同様に、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0103】
次に、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されたものとする。仮に、絶縁型スイッチング電源1Aに電圧上昇停止部15Aが設けられていない場合には、絶縁型スイッチング電源1に放電部15が設けられていない場合と同様に、スタンバイモードとなり、出力電力条件によっては、図5の一点鎖線で示したのと同様に出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0104】
これに対して、絶縁型スイッチング電源1Aでは、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満となった時点で、出力電圧検出部50によりフォトトランジスタPT2がオフ状態となり、端子P2の電圧が所定電圧以上となる。このため、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となった時点において、制御回路2Aが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧低下検出部161からHレベル電圧が印加される。一方、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となる直前では、ノーマルモードであるためフォトトランジスタPT1がオン状態であり、端子P1の電圧がLレベル電圧である。したがって、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となった時点において、制御回路2Aが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、端子P1のLレベル電圧がインバータINV41でHレベル電圧に変換された後、印加される。
【0105】
以上によれば、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となった時点では、制御回路2Aが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子には、ともにHレベル電圧が印加されるため、接点E3および接点C2を介して、スイッチ素子Q31のゲートには、Hレベル電圧が印加されることとなる。これによれば、電流源S31の出力端子と端子P1とが絶縁され、端子P1の電圧は、Lレベル電圧で維持されるので、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。なお、制御回路2と同様に、制御回路2Aが動作不能な電圧であれば、制御回路2Aの動作は一旦停止するが、制御回路2Aが動作可能となった時点で、制御回路2Aは、上述の動作可能である場合と同様に、動作する。このため、制御回路2Aは、動作可能となった時点において、誤動作によりスタンバイモードになることなく、ノーマルモードでの動作を再開することとなる。
【0106】
このため、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて、スイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図5の実線で示したのと同様に、時間が経過するに従って上昇することとなる。
【0107】
以上の絶縁型スイッチング電源1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0108】
絶縁型スイッチング電源1Aは、端子P1の電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にして端子P1の電圧を低下させる。そして、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、定電流供給部13Aによる端子P1の電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止する。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、端子P1の電圧の上昇を防止できる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1Aの誤動作を防止できる。
【0109】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1Aをノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1Aをスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1Aは、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0110】
<第3実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1Bの構成]
図7は、本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Bの回路図である。絶縁型スイッチング電源1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1とは、抵抗R1およびキャパシタC5を備える点と、出力電圧検出部50の代わりに出力電圧上限検出部70および出力電圧下限検出部80を備える点と、制御回路2の代わりに制御回路2Bを備える点と、が異なる。なお、絶縁型スイッチング電源1Bにおいて、絶縁型スイッチング電源1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
キャパシタC5の一方の電極には、端子P1が接続され、キャパシタC5の他方の電極には、端子P3および端子GND1を介して基準電位源GNDが接続される。このキャパシタC5には、抵抗R1と、フォトトランジスタPT1と、がそれぞれ並列接続される。
【0112】
出力電圧上限検出部70には、出力端子OUTと、端子GND2と、が接続される。この出力電圧上限検出部70は、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上である場合には、フォトトランジスタPT2を活性オン状態とし、出力電圧VOUTが高くなるに従って活性オン状態におけるフォトトランジスタPT2のインピーダンスを低下させる。これによれば、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上である場合には、端子P2の電圧は、出力電圧VOUTに応じて変化する電圧、より具体的には出力電圧VOUTが高くなるに従って低くなる電圧となる。一方、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満である場合には、フォトトランジスタPT2をオフ状態にする。
【0113】
出力電圧下限検出部80には、出力端子OUTと、端子GND2と、が接続される。この出力電圧下限検出部80は、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であれば、フォトトランジスタPT1をオン状態にする。
【0114】
なお、V0について、上述の第1実施形態および第2実施形態では、モード切替信号生成部60の最低動作電圧としたが、本実施形態では、モード切替信号生成部60および出力電圧下限検出部80の最低動作電圧とする。
【0115】
[絶縁型スイッチング電源1Bの動作]
以上の構成を備える絶縁型スイッチング電源1Bは、モード切替信号および出力電圧VOUTに応じて変化するキャパシタC5の両端電圧と、出力電圧VOUTに応じて変化する端子P2の電圧と、に応じて、制御回路2Bによりノーマルモードまたはスタンバイモードでスイッチ素子Q1をスイッチング制御し、入力端子INから入力される入力電圧を必要な出力電圧VOUTに変換制御して、この出力電圧VOUTを出力端子OUTから出力する。なお、本実施形態では、スタンバイモードでは、絶縁型スイッチング電源1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1と同様に、スイッチ素子Q1をバースト制御するものとする。
【0116】
[制御回路2Bの構成]
図8は、制御回路2Bの回路図である。制御回路2Bは、図3に示した本発明の第1実施形態に係る制御回路2とは、定電流供給部13の代わりに定電流供給部13Bを備える点と、端子電圧検出部14の代わりに端子電圧検出部14Aを備える点と、発振制御部16の代わりに発振制御部16Aを備える点と、発振停止制御部17の代わりに発振停止制御部17Aを備える点と、が異なる。
【0117】
[定電流供給部13Bの構成]
定電流供給部13Bは、電流源S31と、PチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q31と、インバータINV31と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF31と、を備える。
【0118】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、スイッチ素子Q31のソースが接続される。スイッチ素子Q31のドレインには、接点C1が接続され、スイッチ素子Q31のゲートには、インバータINV31の出力端子が接続される。インバータINV31の入力端子には、フリップフロップFF31の出力端子が接続され、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点C3が接続され、フリップフロップFF31のセット端子には、接点C2が接続される。
【0119】
[端子電圧検出部14Aの構成]
端子電圧検出部14Aは、インバータINV41と、抵抗R41と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q41と、を備える。
【0120】
スイッチ素子Q41のゲートには、接点D1が接続され、スイッチ素子Q41のソースには、基準電位源GNDが接続され、スイッチ素子Q41のドレインには、抵抗R41を介して制御電圧源VDDが接続される。この制御電圧源VDDには、抵抗R41を介してインバータINV41の入力端子および接点D2も接続される。インバータINV41の出力端子には、接点D3が接続される。
【0121】
[発振制御部16Aの構成]
発振制御部16Aは、図3に示した発振制御部16とは、否定論理積NAND61を備えない点と、否定論理積NAND62の代わりに否定論理積NAND63を備える点と、出力電圧低下検出部161の代わりに出力電圧上限制御部161Aを備える点と、が異なる。
【0122】
出力電圧上限制御部161Aには、接点F6、F9と、オン幅制御部163と、が接続される。オン幅制御部163には、接点F6と、フリップフロップFF61の第2のリセット端子と、が接続される。フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162が接続され、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点F3が接続される。否定論理積NAND63の4つの入力端子には、それぞれ、接点F1、F2、F8、およびフリップフロップFF61の出力端子が接続される。否定論理積NAND63の出力端子には、インバータINV61の入力端子が接続され、インバータINV61の出力端子には、接点F7が接続される。
【0123】
[発振停止制御部17Aの構成]
発振停止制御部17Aは、否定論理積NAND71と、インバータINV71と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF71と、を備える。
【0124】
フリップフロップFF71の反転出力端子には、接点G7、G8が接続され、フリップフロップFF71のリセット端子には、接点G5が接続される。フリップフロップFF71のセット端子には、否定論理積NAND71の出力端子が接続され、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち他方には、接点G4が接続される。否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方には、インバータINV71の出力端子が接続され、インバータINV71の入力端子には、接点G6、G9が接続される。
【0125】
[ノーマルモードにおける制御回路2Bの動作]
まず、ノーマルモードにおける制御回路2Bの動作について、図9を用いて以下に説明する。
【0126】
図9は、ノーマルモードにおける絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTを示す図である。
【0127】
スタンバイモードからノーマルモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60がフォトトランジスタPT1をオン状態にする。すると、キャパシタC5は、抵抗R1およびフォトトランジスタPT1により放電され、キャパシタC5の両端電圧が略ゼロまで低下する。これによれば、図8に示すように、端子P1および接点D1を介してキャパシタC5にゲートが接続されるスイッチ素子Q41は、オフ状態となる。
【0128】
スイッチ素子Q41がオフ状態になると、インバータINV41からLレベル電圧が出力され、接点D3および接点G5を介してフリップフロップFF71のリセット端子に印加される。このため、フリップフロップFF71の反転出力端子からHレベル電圧が出力され、接点G7および接点F3を介してフリップフロップFF61の第1のリセット端子に印加されるとともに、接点G8および接点F8を介して否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。一方、定常動作状態では、比較器CMP21およびラッチ保護回路部19から上述のようにHレベル電圧が出力されるため、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうち、接点F1に接続されるものと、接点F2に接続されるものとには、Hレベル電圧が印加される。
【0129】
これによれば、ノーマルモードでかつ定常動作状態である時刻t21より前の期間では、図5の時刻t11より前の期間と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて図7のスイッチ素子Q1が発振し、出力電圧VOUTが上限電圧VHIで略一定となる。
【0130】
時刻t21において、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、時刻t21〜t24の期間では、図5の時刻t11〜t14の期間と同様に、比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振が禁止される。このため、出力電圧VOUTは、時間が経過するに従って低下し、時刻t22では出力低下検出電圧VSENとなり、時刻t23では最低動作電圧V0となる。なお、出力が過負荷な状態になった場合にも、入力電圧の瞬時停電が発生した場合と同様に、出力電圧VOUTが低下する。
【0131】
時刻t24において、上述の入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。これによれば、時刻t24〜t25の期間では、図5の時刻t14〜t15の期間と同様に、スイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0132】
時刻t25において、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されたものとする。ここで、時刻t25以降では、実線で、絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTを示し、一点鎖線で、絶縁型スイッチング電源1Bに放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTを示すものとする。
【0133】
まず、絶縁型スイッチング電源1Bに放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0134】
時刻t23〜t26の期間では、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となるので、ノーマルモードであるにもかかわらず、出力電圧VOUTにより動作するモード切替信号生成部60がモード切替信号を出力できなくなるとともに、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であるにもかかわらず、出力電圧下限検出部80がフォトトランジスタPT1をオン状態にすることができなくなり、その結果、フォトトランジスタPT1がオフ状態となってしまう。このため、時刻t23〜t26の期間において、キャパシタC5は抵抗R1でしか放電されないため、キャパシタC5の両端電圧が抵抗R1によりLレベル電圧に低下するまで、スイッチ素子Q1の発振を再開できなくなる。さらに、抵抗R1の抵抗値と、電流源S31から出力される定電流値と、によっては、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧に低下できないためにスイッチ素子Q1の発振を再開できず、図9の一点鎖線で示したように出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0135】
次に、絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0136】
時刻t21において出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点で、出力電圧上限検出部70によりフォトトランジスタPT2がオフ状態となり、端子P2は出力電圧上限制御部161Aによりプルアップされているため、制御回路2Bが動作可能であれば、端子P2の電圧が所定電圧以上に上昇する。ここで、端子P2の電圧が所定電圧以上になると、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が出力される。このため、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点において、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、接点E1および接点F9を介して、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。一方、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0未満となるまでは、ノーマルモードとしてフォトトランジスタPT1がオン状態であり、端子P1の電圧がLレベル電圧である。この端子P1のLレベル電圧は、接点D1を介してスイッチ素子Q41のゲートに印加され、制御回路2Bが動作可能であれば、スイッチ素子Q41がオフ状態となるので、時刻t23より前の期間では、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。
【0137】
以上によれば、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点では、制御回路2Bが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子には、ともにHレベル電圧が印加されるため、スイッチ素子Q51がオン状態となり、端子P1が接地されることとなる。これによれば、キャパシタC5は、抵抗R1だけでなくスイッチ素子Q51によっても放電され、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧で維持されるので、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。なお、制御回路2と同様に、制御回路2Bが動作不能な電圧であれば、制御回路2Bの動作は一旦停止するが、制御回路2Bが動作可能となった時点で、制御回路2Bは、上述の動作可能である場合と同様に、動作する。このため、制御回路2Aは、動作可能となった時点において、誤動作によりスタンバイモードになることなく、ノーマルモードでの動作を再開することとなる。
【0138】
このため、時刻t25において、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、図5の時刻t15と同様に、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じたスイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図9の実線に示したように、時間が経過するに従って上昇し、時刻t28において上限電圧VHIとなる。
【0139】
[スタンバイモードにおける制御回路2Bの動作]
次に、スタンバイモードにおける制御回路2Bの動作について、図10を用いて以下に説明する。
【0140】
ノーマルモードからスタンバイモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60は、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。
【0141】
ここで、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下である場合、フォトトランジスタPT1は、図7の出力電圧下限検出部80によりオン状態となるので、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧となる。すると、上述のノーマルモードの場合と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じてスイッチ素子Q1が発振し、発振期間となる。
【0142】
一方、発振期間となり、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めた場合、図7の出力電圧下限検出部80も、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。ところが、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であった期間では、上述のようにフォトトランジスタPT1がオン状態であったため、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めても、キャパシタC5の両端電圧はLレベル電圧のままである。このため、スイッチ素子Q41はオフ状態のままであり、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。また、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満である場合には、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。したがって、論理積AND51からHレベル電圧が出力され、スイッチ素子Q51がオン状態となり、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧で維持される。
【0143】
そして、出力電圧VOUTがさらに上昇し、上限電圧VHI以上になると、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、接点F9および接点E1を介して、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。このため、論理積AND51はLレベル電圧を出力し、スイッチ素子Q51がオフ状態となる。ここで、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点B2および接点C3を介して、比較器CMP21からHレベル電圧が印加される。一方、フリップフロップFF31のセット端子には、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上の場合、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。このため、スイッチ素子Q31がオン状態となり、電流源S31から出力される定電流によりキャパシタC5が充電され、キャパシタC5の両端電圧がHレベル電圧となる。
【0144】
このキャパシタC5の両端電圧であるHレベル電圧は、スイッチ素子Q41のゲートに印加され、スイッチ素子Q41がオン状態となる。このため、インバータINV41からHレベル電圧が出力され、接点D3および接点G4を介して否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち他方に印加されるとともに、接点D3および接点G5を介してフリップフロップFF71のリセット端子に印加される。一方、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上であるため、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が出力され、このLレベル電圧は、インバータINV71でHレベル電圧に変換された後、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方に印加される。したがって、フリップフロップFF71のセット端子には、Lレベル電圧が印加され、フリップフロップFF71の反転出力端子からLレベル電圧が出力されることとなる。このLレベル電圧は、フリップフロップFF61の第1のリセット端子に印加されるため、フリップフロップFF61からはLレベル電圧が出力され、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。これによれば、否定論理積NAND63からHレベル電圧が出力され、インバータINV61でLレベル電圧に変換された後、図7のスイッチ素子Q1のゲートに印加され、スイッチ素子Q1がオフ状態となり、発振停止期間となる。
【0145】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、制御回路2Bは、スイッチ素子Q1を間欠発振で制御することとなり、絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTは、図10に示すように変化することとなる。
【0146】
以上の絶縁型スイッチング電源1Bによれば、以下の効果を奏することができる。
【0147】
絶縁型スイッチング電源1Bは、キャパシタC5の両端電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にしてキャパシタC5の両端電圧を低下させる。そして、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、放電部15によりキャパシタC5の両端電圧を低下させる。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、キャパシタC5の両端電圧を低下させることができる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1Bの誤動作を防止できる。
【0148】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1Bをノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1Bをスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1Bは、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0149】
<第4実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1Cの構成]
本発明の第4実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Cについて、以下に説明する。絶縁型スイッチング電源1Cは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Bとは、制御回路2Bの代わりに制御回路2Cを備える点が異なる。なお、絶縁型スイッチング電源1Cにおいて、絶縁型スイッチング電源1Bと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0150】
[制御回路2Cの構成]
図11は、制御回路2Cの回路図である。制御回路2Cは、図8に示した本発明の第3実施形態に係る制御回路2Bとは、定電流供給部13Bの代わりに定電流供給部13Cを備える点と、放電部15の代わりに電圧上昇停止部15Aを備える点と、が異なる。
【0151】
[定電流供給部13Cの構成]
定電流供給部13Cは、電流源S31と、PチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q31と、否定論理積NAND31と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF31と、を備える。
【0152】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、スイッチ素子Q31のソースが接続される。スイッチ素子Q31のドレインには、接点C1が接続され、スイッチ素子Q31のゲートには、否定論理積NAND31の出力端子が接続される。否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち、一方にはフリップフロップFF31の出力端子が接続され、他方には接点C4が接続される。フリップフロップFF31のセット端子には、接点C2が接続され、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点C3が接続される。
【0153】
[電圧上昇停止部15Aの構成]
電圧上昇停止部15Aは、否定論理積NAND51を備える。
【0154】
否定論理積NAND51の2つの入力端子には、それぞれ接点E1、E2が接続され、否定論理積NAND51の出力端子には、接点E3が接続される。
【0155】
[ノーマルモードにおける制御回路2Cの動作]
まず、ノーマルモードにおける制御回路2Cの動作について説明する。スタンバイモードからノーマルモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60がフォトトランジスタPT1をオン状態にする。すると、キャパシタC5は、抵抗R1およびフォトトランジスタPT1により放電され、キャパシタC5の両端電圧が略ゼロまで低下する。これによれば、図11に示すように、端子P1および接点D1を介してキャパシタC5にゲートが接続されるスイッチ素子Q41は、オフ状態となる。
【0156】
スイッチ素子Q41がオフ状態になると、インバータINV41からLレベル電圧が出力され、接点D3および接点G2を介してフリップフロップFF71のリセット端子に印加される。このため、フリップフロップFF71の反転出力端子からHレベル電圧が出力され、接点G4および接点F3を介してフリップフロップFF61の第1のリセット端子に印加されるとともに、接点G5および接点F8を介して否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。一方、定常動作状態では、比較器CMP21およびラッチ保護回路部19から上述のようにHレベル電圧が出力されるため、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうち、接点F1に接続されるものと、接点F2に接続されるものとには、Hレベル電圧が印加される。
【0157】
これによれば、ノーマルモードでかつ定常動作状態では、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて図7のスイッチ素子Q1が発振し、図9の時刻t21より前の期間と同様に、出力電圧VOUTが上限電圧VHIで略一定となる。
【0158】
ここで、まず、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、制御回路2Cでは、制御回路2Bと同様に比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振が禁止される。このため、出力電圧VOUTは、図9の時刻t21〜t24の期間と同様に、出力電圧VOUTが低下することとなる。
【0159】
次に、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となった後に、入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。これによれば、制御回路2Cでは、制御回路2Bと同様にスイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、図9の時刻t24〜t25の期間と同様に、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0160】
次に、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されたものとする。仮に、絶縁型スイッチング電源1Cに電圧上昇停止部15Aおよび否定論理積NAND31が設けられていない場合には、絶縁型スイッチング電源1Bに放電部15が設けられていない場合と同様に、キャパシタC5の両端電圧が抵抗R1によりLレベル電圧に低下するまで、スイッチ素子Q1の発振を再開できなくなる。さらに、抵抗R1の抵抗値と、電流源S31から出力される定電流値と、によっては、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧に低下できないためにスイッチ素子Q1の発振を再開できず、図9の一点鎖線で示したように出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0161】
これに対して、絶縁型スイッチング電源1Cでは、図9の時刻t21に示したように出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点で、出力電圧上限検出部70によりフォトトランジスタPT2がオフ状態となり、端子P2は出力電圧上限制御部161Aによりプルアップされているため、制御回路2Cが動作可能であれば、端子P2の電圧が所定電圧以上に上昇する。ここで、端子P2の電圧が所定電圧以上になると、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が出力される。このため、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点において、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、接点E1および接点F4を介して、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。一方、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0未満となるまでは、ノーマルモードとしてフォトトランジスタPT1がオン状態であり、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧である。このキャパシタC5の両端電圧であるLレベル電圧は、端子P1および接点D1を介してスイッチ素子Q41のゲートに印加され、制御回路2Cが動作可能であれば、スイッチ素子Q41がオフ状態となるので、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。
【0162】
以上より、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点では、制御回路2Cが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子には、ともにHレベル電圧が印加されるため、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち他方には、Lレベル電圧が印加される。
【0163】
以上によれば、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点では、否定論理積NAND31からHレベル電圧が出力されるので、スイッチ素子Q31がオフ状態となる。これによれば、電流源S31の出力端子とキャパシタC5とが絶縁され、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧で維持されるので、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。
【0164】
このため、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、図9の時刻t25と同様に、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じたスイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図9の実線に示したように、時間が経過するに従って上昇することとなる。
【0165】
[スタンバイモードにおける制御回路2Cの動作]
次に、スタンバイモードにおける制御回路2Cの動作について説明する。ノーマルモードからスタンバイモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60は、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。
【0166】
ここで、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下である場合、フォトトランジスタPT1は、図7の出力電圧下限検出部80によりオン状態となるので、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧となる。すると、上述のノーマルモードの場合と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じてスイッチ素子Q1が発振し、発振期間となる。
【0167】
一方、発振期間となり、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めた場合、図7の出力電圧下限検出部80も、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。ところが、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であった期間では、上述のようにフォトトランジスタPT1がオン状態であったため、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めても、キャパシタC5の両端電圧はLレベル電圧のままである。このため、スイッチ素子Q41はオフ状態のままであり、否定論理積NAND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。また、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満である場合には、否定論理積NAND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。したがって、否定論理積NAND51からLレベル電圧が出力され、接点E3および接点C4を介して、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち他方に印加される。よって、スイッチ素子Q31がオフ状態となる。
【0168】
そして、出力電圧VOUTがさらに上昇し、上限電圧VHI以上になると、否定論理積NAND51の2つの入力端子のうち他方には、接点F4および接点E1を介して、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。このため、否定論理積NAND51はHレベル電圧を出力し、接点E3および接点C4を介して、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち他方に印加される。ここで、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点B2および接点C3を介して、比較器CMP21からHレベル電圧が印加される。一方、フリップフロップFF31のセット端子には、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上の場合、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。したがって、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち一方には、フリップフロップFF31からHレベル電圧が印加される。よって、スイッチ素子Q31がオン状態となり、電流源S31の出力端子とキャパシタC5とが導通するので、キャパシタC5の両端電圧は、Hレベル電圧となり、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Lレベル電圧が印加される。
【0169】
このため、フリップフロップFF61からはLレベル電圧が出力され、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。これによれば、否定論理積NAND63からHレベル電圧が出力され、インバータINV61でLレベル電圧に変換された後、図7のスイッチ素子Q1のゲートに印加され、スイッチ素子Q1がオフ状態となり、発振停止期間となる。
【0170】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、制御回路2Cは、制御回路2Bと同様にスイッチ素子Q1を間欠発振で制御することとなり、絶縁型スイッチング電源1Cの出力電圧VOUTは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTと同様に、図10に示したように変化することとなる。
【0171】
以上の絶縁型スイッチング電源1Cによれば、以下の効果を奏することができる。
【0172】
絶縁型スイッチング電源1Cは、キャパシタC5の両端電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にしてキャパシタC5の両端電圧を低下させる。そして、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、定電流供給部13CによるキャパシタC5の両端電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止する。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、キャパシタC5の両端電圧の上昇を防止できる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1Cの誤動作を防止できる。
【0173】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1Cをノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1Cをスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1Cは、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0174】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0175】
例えば、上述の第1実施形態では、モード切替信号生成部60は、絶縁型スイッチング電源1に設けられるものとしたが、これに限らず、出力電圧VOUTにより動作するのであれば、絶縁型スイッチング電源1の外部に設けられるものであってもよい。
【0176】
また、上述の第3実施形態では、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、放電部15によりキャパシタC5の両端電圧を低下させることとした。しかし、これに限らず、例えば、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN未満であれば、放電部15によりキャパシタC5の両端電圧を低下させることとしてもよい。
【0177】
また、上述の第4実施形態では、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、定電流供給部13CによるキャパシタC5の両端電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止した。しかし、これに限らず、例えば、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN未満であれば、定電流供給部13CによるキャパシタC5の両端電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止してもよい。
【符号の説明】
【0178】
1、1A、1B、1C:絶縁型スイッチング電源
2、2A、2B、2C;制御回路
11;起動回路部
12;低電圧誤動作防止回路部
13、13A、13B、13C;定電流供給部
14、14A;端子電圧検出部
15;放電部
15A;電圧上昇停止部
16、16A;発振制御部
17、17A;発振停止制御部
18;制御電圧生成部
19;ラッチ保護回路部
50;出力電圧検出部
60;モード切替信号生成部
70;出力電圧上限検出部
80;出力電圧下限検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁型スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁型スイッチング電源は、スイッチ素子をスイッチングさせることで、入力された電圧を所望の電圧に変換して出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示されている絶縁型スイッチング電源には、出力電圧により動作する負荷の状態に応じて、マイコンといった外部回路から所定の信号が入力される。この絶縁型スイッチング電源は、所定の信号に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えて、軽負荷時における消費電力を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−206274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、入力電圧の瞬時停電が発生したり、出力が過負荷な状態になったりすると、出力電圧が低下する。このため、上述の外部回路が絶縁型スイッチング電源の出力電圧により動作する場合に、上述のように出力電圧が低下してしまうと、外部回路が所定の信号を出力できなくなってしまい、誤動作が生じるおそれがあった。
【0006】
上述の課題に鑑み、本発明は、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、図1の絶縁型スイッチング電源1に相当)であって、予め定められた特定点(例えば、図3の端子P1に相当)の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図3の制御回路2に相当)と、前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部(例えば、図3の定電流供給部13に相当)と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図1のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる第1の電圧低下部(例えば、図3のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図5の出力低下検出電圧VSENに相当)以下であれば、前記特定点の電圧を低下させる第2の電圧低下部(例えば、図3の放電部15に相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0008】
この発明によれば、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると特定点の電圧を低下させ、この特定点の電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、第2の電圧低下部を設けた。そして、第2の電圧低下部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、特定点の電圧を低下させることとした。このため、連続発振状態において、状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、状態切替信号が入力されなくなってしまっても、状態切替信号が入力されている場合と同様に、特定点の電圧を低下させることができる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0009】
(2) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、後述の絶縁型スイッチング電源1Aに相当)であって、予め定められた特定点(例えば、図6の端子P1に相当)の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図6の制御回路2Aに相当)と、前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部(例えば、図6の定電流供給部13Aに相当)と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図1のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる電圧低下部(例えば、図6のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図5の出力低下検出電圧VSENに相当)以下であれば、前記電圧上昇部による前記特定点の電圧の上昇を停止させる電圧上昇停止部(例えば、図6の電圧上昇停止部15Aに相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0010】
この発明によれば、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると特定点の電圧を低下させ、この特定点の電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、電圧上昇停止部を設けた。そして、電圧上昇停止部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、電圧上昇部による特定点の電圧の上昇を停止させることとした。このため、連続発振状態において、状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、状態切替信号が入力されなくなってしまっても、状態切替信号が入力されている場合と同様に、特定点の電圧の上昇を防止できる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0011】
(3) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図7のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、図7の絶縁型スイッチング電源1Bに相当)であって、前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタ(例えば、図8のキャパシタC5に相当)と、前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図8の制御回路2Bに相当)と、前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部(例えば、図8の定電流供給部13Bに相当)と、前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧(例えば、図9の下限電圧VLOWに相当)以下であれば下限検出信号が出力する出力電圧下限検出部(例えば、図7の出力電圧下限検出部80に相当)と、前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図7のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する第1の放電部(例えば、図8のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図9の上限電圧VHIや、後述の出力低下検出電圧VSENに相当)未満であれば、前記キャパシタを放電する第2の放電部(例えば、図8の放電部15に相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0012】
この発明によれば、出力電圧が下限電圧以下であることを示す下限検出信号が入力されたり、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されたりすると、キャパシタを放電し、このキャパシタの両端電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、第2の放電部を設けた。そして、第2の放電部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、キャパシタを放電することとした。このため、連続発振状態において、出力電圧下限検出部および状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、下限検出信号または状態切替信号が入力されている場合と同様に、キャパシタを放電することができる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0013】
(4) 本発明は、スイッチ素子(例えば、図7のスイッチ素子Q1に相当)を連続発振状態(例えば、後述のノーマルモードに相当)または間欠発振状態(例えば、後述のスタンバイモードに相当)でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源(例えば、後述の絶縁型スイッチング電源1Cに相当)であって、前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタ(例えば、図11のキャパシタC5に相当)と、前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部(例えば、図11の制御回路2Cに相当)と、前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部(例えば、図11の定電流供給部13Cに相当)と、前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧(例えば、図9の下限電圧VLOWに相当)以下であれば下限検出信号を出力する出力電圧下限検出部(例えば、図7の出力電圧下限検出部80に相当)と、前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部(例えば、図7のモード切替信号生成部60に相当)から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号(例えば、後述のモード切替信号に相当)が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する放電部(例えば、図11のフォトトランジスタPT1に相当)と、前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧(例えば、図9の上限電圧VHIや、後述の出力低下検出電圧VSENに相当)未満であれば、前記定電流供給部から前記キャパシタへの定電流供給を停止させる定電流供給停止部(例えば、図11の電圧上昇停止部15Aに相当)と、を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0014】
この発明によれば、出力電圧が下限電圧以下であることを示す下限検出信号が入力されたり、連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されたりすると、キャパシタを放電し、このキャパシタの両端電圧に応じてスイッチ素子を制御する絶縁型スイッチング電源に、定電流供給停止部を設けた。そして、定電流供給停止部により、連続発振状態において、出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、定電流供給部からキャパシタへの定電流供給を停止させることとした。このため、連続発振状態において、出力電圧下限検出部および状態切替制御部が動作できなくなるまで出力電圧が低下して、下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、下限検出信号または状態切替信号が入力されている場合と同様に、キャパシタの両端電圧の上昇を防止できる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により下限検出信号および状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【0015】
(5) 本発明は、(3)または(4)の絶縁型スイッチング電源について、前記出力電圧が上限電圧(例えば、図9の上限電圧VHIに相当)以上であれば上限検出信号を出力する出力電圧上限検出部(例えば、図7の出力電圧上限検出部70に相当)を備え、前記状態切替制御部は、前記連続発振状態において、前記出力電圧が前記上限電圧より低ければ、前記状態切替信号の出力を停止することを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0016】
この発明によれば、絶縁型スイッチング電源に、出力電圧が上限電圧以上であれば上限検出信号を出力する出力電圧上限検出部を設けた。そして、連続発振状態において、出力電圧が上限電圧より低ければ、状態切替制御部からの状態切替信号の出力を停止することとした。このため、連続発振状態において、状態切替制御部の動作期間を短くすることができるので、状態切替制御部の消費電力を低減でき、絶縁型スイッチング電源および状態切替制御部を含むシステムの高効率化を実現できる。
【0017】
(6) 本発明は、(1)〜(5)のいずれかの絶縁型スイッチング電源について、前記設定電圧は、前記状態切替制御部の最低動作電圧(例えば、図5や図9の最低動作電圧V0に相当)以上であることを特徴とする絶縁型スイッチング電源を提案している。
【0018】
この発明によれば、上述の設定電圧を、状態切替制御部の最低動作電圧以上に設定することとした。このため、連続発振状態において、出力電圧の低下によって状態切替制御部が動作できなくなるより前に、特定点の電圧の上昇や、キャパシタの両端電圧の上昇を防止できる。したがって、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連続発振状態において、出力電圧の低下により状態切替信号が入力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源の誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源の回路図である。
【図2】前記絶縁型スイッチング電源のタイミングチャートである。
【図3】前記絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【図4】スタンバイモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図5】ノーマルモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源の回路図である。
【図8】前記絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【図9】ノーマルモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図10】スタンバイモードにおける前記絶縁型スイッチング電源の出力電圧を示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る絶縁型スイッチング電源が備える制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0022】
<第1実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1の回路図である。絶縁型スイッチング電源1は、トランスTと、制御回路2と、出力電圧検出部50と、モード切替信号生成部60と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、キャパシタC1〜C4と、ダイオードD1、D2と、フォトトランジスタPT1、PT2と、を備える。
【0023】
まず、トランスTの1次側の構成について説明する。制御回路2には、P1〜P6の6つの端子が設けられている。端子P3には、基準電位源GNDに接続された端子GND1が接続されるとともに、キャパシタC1を介して入力端子INが接続される。
【0024】
端子P1には、フォトトランジスタPT1を介して、端子P3が接続される。フォトトランジスタPT1は、モード切替信号生成部60から出力される信号に応じてオンオフする。モード切替信号生成部60は、出力端子OUTから出力される出力電圧VOUTにより動作する。このモード切替信号生成部60は、絶縁型スイッチング電源1をノーマルモードで動作させる場合には、モード切替信号をフォトトランジスタPT1に出力して、フォトトランジスタPT1をオン状態にする。一方、絶縁型スイッチング電源1をスタンバイモードで動作させる場合には、モード切替信号の出力を停止して、フォトトランジスタPT1をオフ状態にする。
【0025】
端子P2には、フォトトランジスタPT2を介して、端子P3が接続される。フォトトランジスタPT2は、出力電圧検出部50から出力される信号に応じて、端子P2の電圧が出力電圧VOUTに応じた電圧となるように、活性的にオンオフする。出力電圧検出部50は、出力端子OUTに接続される。この出力電圧検出部50は、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG(後述の図4参照)以上である場合には、フォトトランジスタPT2を活性オン状態とし、出力電圧VOUTが高くなるに従って活性オン状態におけるフォトトランジスタPT2のインピーダンスを低下させる。これによれば、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG以上である場合には、端子P2の電圧は、出力電圧VOUTに応じて変化する電圧、より具体的には出力電圧VOUTが高くなるに従って低くなる電圧となる。一方、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、フォトトランジスタPT2をオフ状態にする。
【0026】
端子P4には、キャパシタC4を介して端子P3が接続されるとともに、ダイオードD1のカソードが接続される。ダイオードD1のアノードには、トランスTの制御巻線T2の他端が接続され、制御巻線T2の一端には、端子P3が接続される。
【0027】
端子P5には、入力端子INが接続される。この入力端子INには、トランスTの1次巻線T1の一端も接続される。1次巻線T1の他端には、キャパシタC2を介して端子P3が接続される。また、1次巻線T1の他端には、スイッチ素子Q1のドレインも接続される。スイッチ素子Q1のソースには、端子P3が接続され、スイッチ素子Q1のゲートには、端子P6が接続される。
【0028】
次に、トランスTの2次側の構成について説明する。トランスTの2次巻線T3の一端には、基準電位源GNDに接続された端子GND2が接続される。2次巻線T3の他端には、ダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードには、出力端子OUTが接続されるとともに、キャパシタC3を介して端子GND2が接続される。
【0029】
出力端子OUTに接続された出力電圧検出部50は、端子GND2にも接続される。
【0030】
[絶縁型スイッチング電源1の動作]
以上の構成を備える絶縁型スイッチング電源1は、モード切替信号に応じて変化する端子P1の電圧と、出力電圧VOUTに応じて変化する端子P2の電圧と、に応じて、制御回路2によりノーマルモードまたはスタンバイモードでスイッチ素子Q1をスイッチング制御し、入力端子INから入力される入力電圧を必要な出力電圧VOUTに変換制御して、この出力電圧VOUTを出力端子OUTから出力する。なお、本実施形態では、スタンバイモードでは、絶縁型スイッチング電源1は、スイッチ素子Q1をバースト制御するものとする。
【0031】
図2は、絶縁型スイッチング電源1のタイミングチャートである。VC4は、キャパシタC4の両端電圧を示し、VP1は、端子P1の電圧を示し、VP2は、端子P2の電圧を示す。
【0032】
図2に示すように、ノーマルモードでは、スイッチ素子Q1を発振させて、出力電圧VOUTを略一定とする。一方、スタンバイモードでは、スイッチ素子Q1を発振させる発振期間と、スイッチ素子Q1の発振を停止させる発振停止期間と、を交互に繰り返すことにより、スイッチ素子Q1を間欠発振させる。なお、スタンバイモードでは、スイッチ素子Q1のドレイン電流のピーク値を発振期間において一定にしつつ、発振期間と停止期間との比率で出力電圧VOUTを制御する。このため、スタンバイモードの場合には、ノーマルモードの場合と比べて、出力電圧VOUTのリップルが大きくなる。
【0033】
[制御回路2の構成]
図3は、制御回路2の回路図である。制御回路2は、起動回路部11、低電圧誤動作防止回路部12、定電流供給部13、端子電圧検出部14、放電部15、発振制御部16、発振停止制御部17、制御電圧生成部18、およびラッチ保護回路部19を備える。
【0034】
[起動回路部11の構成]
起動回路部11は、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q11、Q12と、抵抗R11、R12と、を備える。
【0035】
スイッチ素子Q11のソースには、接点A1が接続され、スイッチ素子Q11のドレインには、抵抗R11を介して接点A2が接続される。スイッチ素子Q11のゲートには、抵抗R12を介して接点A2が接続されるとともに、スイッチ素子Q12のドレインが接続される。スイッチ素子Q12のゲートには、接点A3が接続され、スイッチ素子Q12のソースには、基準電位源GNDが接続される。
【0036】
[低電圧誤動作防止回路部12の構成]
低電圧誤動作防止回路部12は、比較器CMP21と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q21と、抵抗R21〜R23と、を備える。
【0037】
抵抗R21と抵抗R22とは、直列接続され、これら直列接続された抵抗R21、R22を介して、制御電圧源VDDと基準電位源GNDとが接続される。具体的には、制御電圧源VDDには抵抗R21の一端が接続され、抵抗R21の他端には抵抗R22の一端が接続され、抵抗R22の他端には基準電位源GNDが接続される。制御電圧源VDDからは、後述するように、制御電圧生成部18から出力される電圧が供給される。抵抗R22には、抵抗R23とスイッチ素子Q21とを直列接続したものが、並列接続される。具体的には、抵抗R22の一端には、抵抗R23を介してスイッチ素子Q21のドレインが接続され、スイッチ素子Q21のソースには、抵抗R22の他端が接続される。スイッチ素子Q21のゲートには、接点B3が接続される。また、抵抗R22の一端には、比較器CMP21の反転入力端子も接続される。比較器CMP21の非反転入力端子には、接点B1が接続され、比較器CMP21の出力端子には、接点B2が接続される。
【0038】
[定電流供給部13の構成]
定電流供給部13は、電流源S31を備える。
【0039】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、接点C1が接続される。
【0040】
[端子電圧検出部14の構成]
端子電圧検出部14は、インバータINV41、INV42を備える。
【0041】
インバータINV41の入力端子には、接点D1が接続され、インバータINV41の出力端子には、接点D2と、インバータINV42の入力端子と、が接続される。インバータINV42の出力端子には、接点D3が接続される。
【0042】
[放電部15の構成]
放電部15は、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q51と、論理積AND51と、を備える。
【0043】
論理積AND51の2つの入力端子には、それぞれ接点E1、E2が接続される。論理積AND51の出力端子には、スイッチ素子Q51のゲートが接続される。スイッチ素子Q51のドレインには、接点E3が接続され、スイッチ素子Q51のソースには、基準電位源GNDが接続される。
【0044】
[発振制御部16の構成]
発振制御部16は、出力電圧低下検出部161と、オントリガ発生部162と、オン幅制御部163と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF61と、インバータINV61と、否定論理積NAND61、NAND62と、を備える。
【0045】
出力電圧低下検出部161には、接点F5、F6と、オン幅制御部163と、が接続される。オン幅制御部163には、接点F6と、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち他方と、も接続される。否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち一方には、接点F4が接続され、否定論理積NAND61の出力端子には、フリップフロップFF61の第2のリセット端子が接続される。フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162が接続され、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点F3が接続される。否定論理積NAND62の3つの入力端子には、それぞれ、接点F1、F2、およびフリップフロップFF61の出力端子が接続される。否定論理積NAND62の出力端子には、インバータINV61の入力端子が接続され、インバータINV61の出力端子には、接点F7が接続される。
【0046】
[発振停止制御部17の構成]
発振停止制御部17は、スタンバイ制御部171と、スタンバイ時電流制限部172と、否定論理積NAND71、NAND72と、論理積AND71と、を備える。
【0047】
論理積AND71の出力端子には、接点G3が接続され、論理積AND71の2つの入力端子には、否定論理積NAND71の出力端子と、否定論理積NAND72の出力端子と、が接続される。否定論理積NAND71の2つの入力端子には、接点G1と、接点G2に接続されたスタンバイ制御部171と、が接続される。否定論理積NAND72の2つの入力端子には、接点G1と、スタンバイ時電流制限部172と、が接続される。
【0048】
[スタンバイモードにおける制御回路2の動作]
まず、スタンバイモードにおける制御回路2の動作について、図4を用いて以下に説明する。
【0049】
図4は、スタンバイモードにおける絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTを示す図である。VDSQ1は、スイッチ素子Q1のドレイン−ソース間電圧を示し、V0は、モード切替信号生成部60の最低動作電圧を示す。
【0050】
時刻t1〜t2の期間と、時刻t3〜t4の期間と、時刻t5〜t6の期間とは、上述の発振期間である。一方、時刻t2〜t3の期間と、時刻t4〜t5の期間とは、上述の発振停止期間である。
【0051】
ここで、図3の制御電圧源VDDの電圧は、制御電圧生成部18から出力される電圧に等しい。制御電圧生成部18は、端子P4を介して図1のキャパシタC4に接続されており、キャパシタC4の両端電圧が所定電圧未満の場合には、キャパシタC4の両端電圧に応じた電圧を出力し、キャパシタC4の両端電圧が所定電圧以上の場合には、所定電圧を出力する。キャパシタC4は、制御巻線T2の両端電圧、または、起動回路部11により充電される。
【0052】
図3の起動回路部11では、スイッチ素子Q12がオフ状態である場合、スイッチ素子Q11のゲートに、抵抗R12、接点A2、および端子P5を介して、図1の入力端子INから入力電圧が印加され、スイッチ素子Q11がオン状態となる。すると、入力端子INとキャパシタC4とが、端子P5、接点A2、抵抗R11、オン状態のスイッチ素子Q11、接点A1、および端子P4を介して導通する。これによれば、起動回路部11が動作して、キャパシタC4が起動回路部11により充電されることとなる。
【0053】
一方、スイッチ素子Q12がオン状態である場合、スイッチ素子Q11のゲート電圧が引き抜かれ、スイッチ素子Q11がオフ状態となる。すると、入力端子INとキャパシタC4とが絶縁される。これによれば、起動回路部11の動作が停止され、キャパシタC4が制御巻線T2の両端電圧により充電されることとなる。
【0054】
スイッチ素子Q12は、低電圧誤動作防止回路部12により、キャパシタC4の両端電圧に応じて制御される。低電圧誤動作防止回路部12では、キャパシタC4の両端電圧が、端子P4および接点B1を介して比較器CMP21の非反転入力端子に印加される。この比較器CMP21は、ヒステリシス特性を有する。
【0055】
ここで、まず、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満である場合について説明する。キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満である場合、比較器CMP21は、Lレベル電圧を出力する。このLレベル電圧は、接点B2および接点A3を介して、スイッチ素子Q12のゲートに印加される。これによれば、スイッチ素子Q12がオフ状態となり、上述のように起動回路部11が動作することとなる。
【0056】
また、上述の比較器CMP21から出力されるLレベル電圧は、接点B2および接点B3を介して、スイッチ素子Q21のゲートに印加され、スイッチ素子Q21がオフ状態となる。これによれば、抵抗R21と抵抗R22とで制御電圧源VDDの電圧を分圧したものが、比較器CMP21の反転入力端子に印加される。このため、比較器CMP21の閾値電圧は、第1の閾値電圧に固定されることとなる。
【0057】
次に、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧以上である場合について説明する。キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧以上である場合、比較器CMP21は、Hレベル電圧を出力する。このHレベル電圧は、接点B2および接点A3を介して、スイッチ素子Q12のゲートに印加される。これによれば、スイッチ素子Q12がオン状態となり、上述のように起動回路部11の動作が停止されることとなる。
【0058】
また、上述の比較器CMP21から出力されるHレベル電圧は、接点B2および接点B3を介して、スイッチ素子Q21のゲートに印加され、スイッチ素子Q21がオン状態となる。これによれば、抵抗R22に抵抗R23が並列接続されることとなり、抵抗R21と、抵抗R22および抵抗R23を並列接続したものと、で制御電圧源VDDの電圧を分圧したものが、比較器CMP21の反転入力端子に印加される。このため、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満である場合と比べて、比較器CMP21の反転入力端子に印加される電圧が低下し、比較器CMP21の閾値電圧は、上述の第1の閾値電圧より低い第2の閾値電圧に固定されることとなる。
【0059】
ところで、スタンバイモードでは、図1のモード切替信号生成部60により、フォトトランジスタPT1がオフ状態となる。このため、端子P1の電圧は、図3の定電流供給部13により、Hレベル電圧となる。
【0060】
この端子P1のHレベル電圧は、インバータINV41でLレベル電圧に変換され、接点D2および接点E2を介して、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方に印加される。このため、論理積AND51の出力端子からスイッチ素子Q51のゲートにLレベル電圧が印加され、スイッチ素子Q51がオフ状態となる。これによれば、端子P1は接地されず、端子P1の電圧は、Hレベル電圧で維持されることとなる。
【0061】
また、上述の端子P1のHレベル電圧は、接点D1、インバータINV41、INV42、接点D3、および接点G1を介して、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方と、否定論理積NAND72の2つの入力端子のうち一方と、に印加される。
【0062】
否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち他方に接続されたスタンバイ制御部171は、接点G2を介して接続された端子P2の電圧が第1電圧以上である場合には、Lレベル電圧を出力し、端子P2の電圧が第2電圧未満である場合には、Hレベル電圧を出力する。ここで、第2電圧は、第1電圧より低いものとし、端子P2は、出力電圧低下検出部161によりプルアップされているものとする。このため、図1のフォトトランジスタPT2がオフ状態の場合、すなわち出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、端子P2の電圧が第1電圧以上となり、スタンバイ制御部171は、Lレベル電圧を出力する。一方、フォトトランジスタPT2がオン状態の場合、すなわち出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG以上である場合には、端子P2の電圧が第2電圧未満となり、スタンバイ制御部171は、Hレベル電圧を出力する。
【0063】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG以上である場合には、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点G3および接点F3を介して、Lレベル電圧が印加される。フリップフロップFF61は、リセット優先であるため、第1のリセット端子にLレベル電圧が印加されると、セット端子の状態にかかわらずLレベル電圧を出力する。これによれば、否定論理積NAND62からHレベル電圧が出力され、インバータINV61でLレベル電圧に変換された後、接点F7および端子P6を介して、図1のスイッチ素子Q1のゲートに印加され、スイッチ素子Q1がオフ状態となる。すると、発振停止期間となり、図4の時刻t2〜t3の期間や、時刻t4〜t5の期間のように、出力電圧VOUTが低下することとなる。
【0064】
一方、スタンバイモードにおいて、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点G3および接点F3を介して、Hレベル電圧が印加される。
【0065】
ここで、フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、否定論理積NAND61の出力端子が接続され、否定論理積NAND61の2つの入力端子のそれぞれには、接点F4、D2、インバータINV41、および接点D1を介して端子P1が接続されるとともに、オン幅制御部163が接続される。スタンバイモードでは、端子P1の電圧が上述のようにHレベル電圧であるため、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち一方には、Lレベル電圧が印加される。このため、スタンバイモードでは、オン幅制御部163の動作によらず、否定論理積NAND61がHレベル電圧を出力することとなり、その結果、フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、Hレベル電圧が印加される。これによれば、フリップフロップFF61のセット端子および第1のリセット端子の状態によっては、スイッチ素子Q1が発振動作の可能な状態となる。
【0066】
フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162が接続される。オントリガ発生部162は、予め定められた周期で、Hレベル電圧とLレベル電圧とを交互に出力する。このため、フリップフロップFF61は、フリップフロップFF61の第1のリセット端子および第2のリセット端子にHレベル電圧が印加されている状態において、オントリガ発生部162がLレベル電圧を出力すると、Hレベル電圧を出力する。そして、フリップフロップFF61の第1のリセット端子にLレベル電圧が印加されると、Lレベル電圧を出力する。
【0067】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満である場合には、フリップフロップFF61は、オントリガ発生部162の出力に応じて、予め定められた周期でHレベル電圧を出力する。そして、図1のスイッチ素子Q1を流れる電流がスタンバイ時上限電流以上になると、スタンバイ時電流制限部172がHレベル電圧を出力し、フリップフロップFF61の第1のリセット端子にLレベル電圧が印加される。このため、比較器CMP21およびラッチ保護回路部19からHレベル電圧が出力される限り、予め定められた周期で、スイッチ素子Q1のゲートにHレベル電圧とLレベル電圧とが交互に印加され、スイッチ素子Q1がスイッチングする。すると、発振期間となり、図4の時刻t1〜t2の期間や、時刻t3〜t4の期間や、時刻t5〜t6の期間のように、出力電圧VOUTが上昇することとなる。
【0068】
なお、上述の比較器CMP21からHレベル電圧が出力される限りとは、上述のように、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧以上である限りということであり、定常動作状態である限りということである。また、ラッチ保護回路部19は、電源の異常動作から回路を保護するためのものであり、定常動作状態ではHレベル電圧を出力するが、異常状態を検出すると、Lレベル電圧を出力する。このため、上述のラッチ保護回路部19からHレベル電圧が出力される限りとは、定常動作状態である限りということである。
【0069】
[ノーマルモードにおける制御回路2の動作]
次に、ノーマルモードにおける制御回路2の動作について、図5を用いて以下に説明する。
【0070】
図5は、ノーマルモードにおける絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTを示す図である。VSENは、出力電圧低下検出部161の閾値電圧である出力低下検出電圧を示し、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、端子P2の電圧が所定電圧以上となり、出力電圧低下検出部161がHレベル電圧を出力する。
【0071】
時刻t11より前の期間は、定常動作状態を示し、この期間では、後述のようにスイッチ素子Q1を発振させており、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREGで略一定となる。
【0072】
具体的には、ノーマルモードであるため、時刻t11より前の期間では、図1のモード切替信号生成部60により、フォトトランジスタPT1がオン状態となる。このため、図3の端子P1が接地され、端子P1の電圧は、Lレベル電圧となる。
【0073】
この端子P1のLレベル電圧は、接点D1、インバータINV41、INV42、接点D3、および接点G1を介して、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方と、否定論理積NAND72の2つの入力端子のうち一方と、に印加される。このため、ノーマルモードでは、スタンバイ制御部171やスタンバイ時電流制限部172の動作によらず、否定論理積NAND71、NAND72がともにHレベル電圧を出力することとなり、その結果、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されることとなる。
【0074】
フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、否定論理積NAND61の出力端子が接続され、否定論理積NAND61の2つの入力端子には、上述のように端子P1とオン幅制御部163とが接続される。ノーマルモードでは、端子P1の電圧がLレベル電圧であるため、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。一方、否定論理積NAND61の2つの入力端子のうち他方には、スイッチ素子Q1のオン幅が端子P2の電圧に応じた幅になると、オン幅制御部163からHレベル電圧が印加される。以上より、ノーマルモードでは、フリップフロップFF61の第2のリセット端子には、スイッチ素子Q1のオン幅が端子P2の電圧に応じた幅になるたびに、Lレベル電圧が印加されることとなる。
【0075】
フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162から、予め定められた周期で、Hレベル電圧とLレベル電圧とが交互に印加される。
【0076】
以上によれば、時刻t11より前の期間では、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて図1のスイッチ素子Q1が発振し、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREGで略一定となる。
【0077】
時刻t11において、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、入力電圧の供給がなくなることで出力電圧VOUTが低下し、出力電圧VOUTの低下に伴って制御巻線T2の両端電圧も低下して、その結果、キャパシタC4の両端電圧が低下する。そして、キャパシタC4の両端電圧が比較器CMP21の閾値電圧未満にまで低下して、比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになると、スイッチ素子Q1の発振が停止されるため、出力電圧VOUTがさらに低下し、時刻t12では出力低下検出電圧VSENとなり、時刻t13では最低動作電圧V0となる。なお、出力が過負荷な状態になった場合にも、入力電圧の瞬時停電が発生した場合と同様に、出力電圧VOUTが低下する。
【0078】
時刻t14において、上述の入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。ここで、時刻t11〜t14の期間では、上述のように制御巻線T2の両端電圧が低下するとともに、入力電圧の供給がないため起動回路部11からの充電電流が供給されず、その結果、キャパシタC4の両端電圧がさらに低下する。
【0079】
このため、時刻t14において上述の入力電圧の瞬時停電が解消されたとしても、起動回路部11の動作が再開されてキャパシタC4の両端電圧が上昇し、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになるまでには、時間が掛かることとなる。したがって、時刻t14以降においても、スイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0080】
時刻t15において、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されるものとする。ここで、時刻t15以降では、実線で、絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTを示し、一点鎖線で、絶縁型スイッチング電源1に放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTを示すものとする。
【0081】
まず、絶縁型スイッチング電源1に放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0082】
時刻t13〜t16の期間では、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となるので、ノーマルモードであるにもかかわらず、出力電圧VOUTにより動作するモード切替信号生成部60がモード切替信号を出力できなくなり、フォトトランジスタPT1がオフ状態となってしまう。このため、時刻t13〜t16の期間において、定電流供給部13が動作してしまうと、端子P1の電圧が上昇してしまう。そして、時刻t15以降において、端子P1の電圧がHレベル電圧であれば、上述のようにスタンバイモードとなる。ところが、スタンバイモードにおいて取り出すことのできる出力電力より重い出力電力を取り出そうとすると、出力電圧VOUTが上昇できず、出力電力条件によっては、図5の一点鎖線で示したように出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0083】
次に、絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0084】
時刻t13より前の期間においては、フォトトランジスタPT1がオン状態であるため、端子P1の電圧がLレベル電圧である。このため、時刻t11〜t13の期間において、制御回路2が動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。一方、時刻t12〜t17の期間において、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であるため、制御回路2が動作可能であれば、上述のように出力電圧低下検出部161がHレベル電圧を出力し、このHレベル電圧が、接点F5および接点E1を介して、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方に印加される。以上より、時刻t12〜t17の期間において、制御回路2が動作可能であれば、論理積AND51がHレベル電圧を出力し、スイッチ素子Q51がオン状態となり、端子P1が接地されることとなり、その結果、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。
【0085】
なお、時刻t11〜t14の期間において、制御回路2が動作不能であれば、制御回路2の動作は一旦停止するが、制御回路2が動作可能となった時点で、制御回路2は、上述の時刻t11〜t13において動作可能である場合と同様に、動作する。このため、制御回路2は、動作可能となった時点で、誤動作によりスタンバイモードになることなく、ノーマルモードでの動作を再開することとなる。
【0086】
このため、時刻t15において、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、時刻t11より前の期間と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じたスイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図5の実線で示したように、時間が経過するに従って上昇し、時刻t18において出力設定電圧VREGとなる。
【0087】
以上の絶縁型スイッチング電源1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0088】
絶縁型スイッチング電源1は、端子P1の電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にして、端子P1を接地する。そして、放電部15により、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、放電部15により端子P1を接地する。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、端子P1の電圧を低下させることができる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1の誤動作を防止できる。
【0089】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1をノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1をスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1は、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0090】
<第2実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1Aの構成]
本発明の第2実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Aについて、以下に説明する。絶縁型スイッチング電源1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1とは、制御回路2の代わりに制御回路2Aを備える点が異なる。なお、絶縁型スイッチング電源1Aにおいて、絶縁型スイッチング電源1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
[制御回路2Aの構成]
図6は、制御回路2Aの回路図である。制御回路2Aは、図3に示した本発明の第1実施形態に係る制御回路2とは、定電流供給部13の代わりに定電流供給部13Aを備える点と、放電部15の代わりに電圧上昇停止部15Aを備える点と、が異なる。
【0092】
[定電流供給部13Aの構成]
定電流供給部13Aは、電流源S31と、PチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q31と、を備える。
【0093】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、スイッチ素子Q31のソースが接続される。スイッチ素子Q31のドレインには、接点C1が接続され、スイッチ素子Q31のゲートには、接点C2が接続される。
【0094】
[電圧上昇停止部15Aの構成]
電圧上昇停止部15Aは、論理積AND51を備える。
【0095】
論理積AND51の2つの入力端子には、それぞれ接点E1、E2が接続され、論理積AND51の出力端子には、接点E3が接続される。
【0096】
[スタンバイモードにおける制御回路2Aの動作]
まず、スタンバイモードにおける制御回路2Aの動作について説明する。ノーマルモードからスタンバイモードに移行すると、図1のモード切替信号生成部60は、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。ところが、ノーマルモードにおいて、フォトトランジスタPT1がオン状態であり、端子P1が接地されていたため、端子P1の電圧は、Lレベル電圧のままである。
【0097】
この端子P1のLレベル電圧は、インバータINV41でHレベル電圧に変換され、接点D2および接点E2を介して、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方に印加される。一方、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧低下検出部161からLレベル電圧が印加される。このため、論理積AND51からLレベル電圧が出力され、接点E3および接点C2を介してスイッチ素子Q31のゲートに印加され、スイッチ素子Q31がオン状態となる。したがって、スタンバイモードでは、制御回路2と同様に、端子P1の電圧は、定電流供給部13AによりHレベル電圧となる。
【0098】
これによれば、スタンバイモードにおいて、制御回路2Aは、制御回路2と同様にスイッチ素子Q1を制御することとなり、絶縁型スイッチング電源1Aの出力電圧VOUTは、絶縁型スイッチング電源1の出力電圧VOUTと同様に、図4に示したように変化することとなる。
【0099】
[ノーマルモードにおける制御回路2Aの動作]
次に、ノーマルモードにおける制御回路2Aの動作について説明する。スタンバイモードからノーマルモードに移行すると、図1のモード切替信号生成部60がフォトトランジスタPT1をオン状態にするので、端子P1の電圧は、Lレベル電圧となる。
【0100】
これによれば、ノーマルモードでかつ定常動作状態では、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じてスイッチ素子Q1が発振し、図5の時刻t11より前の期間と同様に、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREGで略一定となる。
【0101】
ここで、まず、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、制御回路2Aでは、制御回路2と同様に比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振が禁止される。このため、出力電圧VOUTは、図5の時刻t11〜t14の期間と同様に、低下することとなる。
【0102】
次に、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となった後に、入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。これによれば、制御回路2Aでは、制御回路2と同様にスイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、図5の時刻t14〜t15の期間と同様に、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0103】
次に、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されたものとする。仮に、絶縁型スイッチング電源1Aに電圧上昇停止部15Aが設けられていない場合には、絶縁型スイッチング電源1に放電部15が設けられていない場合と同様に、スタンバイモードとなり、出力電力条件によっては、図5の一点鎖線で示したのと同様に出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0104】
これに対して、絶縁型スイッチング電源1Aでは、出力電圧VOUTが出力設定電圧VREG未満となった時点で、出力電圧検出部50によりフォトトランジスタPT2がオフ状態となり、端子P2の電圧が所定電圧以上となる。このため、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となった時点において、制御回路2Aが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧低下検出部161からHレベル電圧が印加される。一方、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となる直前では、ノーマルモードであるためフォトトランジスタPT1がオン状態であり、端子P1の電圧がLレベル電圧である。したがって、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となった時点において、制御回路2Aが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、端子P1のLレベル電圧がインバータINV41でHレベル電圧に変換された後、印加される。
【0105】
以上によれば、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下となった時点では、制御回路2Aが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子には、ともにHレベル電圧が印加されるため、接点E3および接点C2を介して、スイッチ素子Q31のゲートには、Hレベル電圧が印加されることとなる。これによれば、電流源S31の出力端子と端子P1とが絶縁され、端子P1の電圧は、Lレベル電圧で維持されるので、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。なお、制御回路2と同様に、制御回路2Aが動作不能な電圧であれば、制御回路2Aの動作は一旦停止するが、制御回路2Aが動作可能となった時点で、制御回路2Aは、上述の動作可能である場合と同様に、動作する。このため、制御回路2Aは、動作可能となった時点において、誤動作によりスタンバイモードになることなく、ノーマルモードでの動作を再開することとなる。
【0106】
このため、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて、スイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図5の実線で示したのと同様に、時間が経過するに従って上昇することとなる。
【0107】
以上の絶縁型スイッチング電源1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0108】
絶縁型スイッチング電源1Aは、端子P1の電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にして端子P1の電圧を低下させる。そして、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN以下であれば、定電流供給部13Aによる端子P1の電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止する。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、端子P1の電圧の上昇を防止できる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1Aの誤動作を防止できる。
【0109】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1Aをノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1Aをスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1Aは、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0110】
<第3実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1Bの構成]
図7は、本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Bの回路図である。絶縁型スイッチング電源1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1とは、抵抗R1およびキャパシタC5を備える点と、出力電圧検出部50の代わりに出力電圧上限検出部70および出力電圧下限検出部80を備える点と、制御回路2の代わりに制御回路2Bを備える点と、が異なる。なお、絶縁型スイッチング電源1Bにおいて、絶縁型スイッチング電源1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
キャパシタC5の一方の電極には、端子P1が接続され、キャパシタC5の他方の電極には、端子P3および端子GND1を介して基準電位源GNDが接続される。このキャパシタC5には、抵抗R1と、フォトトランジスタPT1と、がそれぞれ並列接続される。
【0112】
出力電圧上限検出部70には、出力端子OUTと、端子GND2と、が接続される。この出力電圧上限検出部70は、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上である場合には、フォトトランジスタPT2を活性オン状態とし、出力電圧VOUTが高くなるに従って活性オン状態におけるフォトトランジスタPT2のインピーダンスを低下させる。これによれば、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上である場合には、端子P2の電圧は、出力電圧VOUTに応じて変化する電圧、より具体的には出力電圧VOUTが高くなるに従って低くなる電圧となる。一方、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満である場合には、フォトトランジスタPT2をオフ状態にする。
【0113】
出力電圧下限検出部80には、出力端子OUTと、端子GND2と、が接続される。この出力電圧下限検出部80は、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であれば、フォトトランジスタPT1をオン状態にする。
【0114】
なお、V0について、上述の第1実施形態および第2実施形態では、モード切替信号生成部60の最低動作電圧としたが、本実施形態では、モード切替信号生成部60および出力電圧下限検出部80の最低動作電圧とする。
【0115】
[絶縁型スイッチング電源1Bの動作]
以上の構成を備える絶縁型スイッチング電源1Bは、モード切替信号および出力電圧VOUTに応じて変化するキャパシタC5の両端電圧と、出力電圧VOUTに応じて変化する端子P2の電圧と、に応じて、制御回路2Bによりノーマルモードまたはスタンバイモードでスイッチ素子Q1をスイッチング制御し、入力端子INから入力される入力電圧を必要な出力電圧VOUTに変換制御して、この出力電圧VOUTを出力端子OUTから出力する。なお、本実施形態では、スタンバイモードでは、絶縁型スイッチング電源1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1と同様に、スイッチ素子Q1をバースト制御するものとする。
【0116】
[制御回路2Bの構成]
図8は、制御回路2Bの回路図である。制御回路2Bは、図3に示した本発明の第1実施形態に係る制御回路2とは、定電流供給部13の代わりに定電流供給部13Bを備える点と、端子電圧検出部14の代わりに端子電圧検出部14Aを備える点と、発振制御部16の代わりに発振制御部16Aを備える点と、発振停止制御部17の代わりに発振停止制御部17Aを備える点と、が異なる。
【0117】
[定電流供給部13Bの構成]
定電流供給部13Bは、電流源S31と、PチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q31と、インバータINV31と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF31と、を備える。
【0118】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、スイッチ素子Q31のソースが接続される。スイッチ素子Q31のドレインには、接点C1が接続され、スイッチ素子Q31のゲートには、インバータINV31の出力端子が接続される。インバータINV31の入力端子には、フリップフロップFF31の出力端子が接続され、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点C3が接続され、フリップフロップFF31のセット端子には、接点C2が接続される。
【0119】
[端子電圧検出部14Aの構成]
端子電圧検出部14Aは、インバータINV41と、抵抗R41と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q41と、を備える。
【0120】
スイッチ素子Q41のゲートには、接点D1が接続され、スイッチ素子Q41のソースには、基準電位源GNDが接続され、スイッチ素子Q41のドレインには、抵抗R41を介して制御電圧源VDDが接続される。この制御電圧源VDDには、抵抗R41を介してインバータINV41の入力端子および接点D2も接続される。インバータINV41の出力端子には、接点D3が接続される。
【0121】
[発振制御部16Aの構成]
発振制御部16Aは、図3に示した発振制御部16とは、否定論理積NAND61を備えない点と、否定論理積NAND62の代わりに否定論理積NAND63を備える点と、出力電圧低下検出部161の代わりに出力電圧上限制御部161Aを備える点と、が異なる。
【0122】
出力電圧上限制御部161Aには、接点F6、F9と、オン幅制御部163と、が接続される。オン幅制御部163には、接点F6と、フリップフロップFF61の第2のリセット端子と、が接続される。フリップフロップFF61のセット端子には、オントリガ発生部162が接続され、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、接点F3が接続される。否定論理積NAND63の4つの入力端子には、それぞれ、接点F1、F2、F8、およびフリップフロップFF61の出力端子が接続される。否定論理積NAND63の出力端子には、インバータINV61の入力端子が接続され、インバータINV61の出力端子には、接点F7が接続される。
【0123】
[発振停止制御部17Aの構成]
発振停止制御部17Aは、否定論理積NAND71と、インバータINV71と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF71と、を備える。
【0124】
フリップフロップFF71の反転出力端子には、接点G7、G8が接続され、フリップフロップFF71のリセット端子には、接点G5が接続される。フリップフロップFF71のセット端子には、否定論理積NAND71の出力端子が接続され、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち他方には、接点G4が接続される。否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方には、インバータINV71の出力端子が接続され、インバータINV71の入力端子には、接点G6、G9が接続される。
【0125】
[ノーマルモードにおける制御回路2Bの動作]
まず、ノーマルモードにおける制御回路2Bの動作について、図9を用いて以下に説明する。
【0126】
図9は、ノーマルモードにおける絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTを示す図である。
【0127】
スタンバイモードからノーマルモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60がフォトトランジスタPT1をオン状態にする。すると、キャパシタC5は、抵抗R1およびフォトトランジスタPT1により放電され、キャパシタC5の両端電圧が略ゼロまで低下する。これによれば、図8に示すように、端子P1および接点D1を介してキャパシタC5にゲートが接続されるスイッチ素子Q41は、オフ状態となる。
【0128】
スイッチ素子Q41がオフ状態になると、インバータINV41からLレベル電圧が出力され、接点D3および接点G5を介してフリップフロップFF71のリセット端子に印加される。このため、フリップフロップFF71の反転出力端子からHレベル電圧が出力され、接点G7および接点F3を介してフリップフロップFF61の第1のリセット端子に印加されるとともに、接点G8および接点F8を介して否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。一方、定常動作状態では、比較器CMP21およびラッチ保護回路部19から上述のようにHレベル電圧が出力されるため、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうち、接点F1に接続されるものと、接点F2に接続されるものとには、Hレベル電圧が印加される。
【0129】
これによれば、ノーマルモードでかつ定常動作状態である時刻t21より前の期間では、図5の時刻t11より前の期間と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて図7のスイッチ素子Q1が発振し、出力電圧VOUTが上限電圧VHIで略一定となる。
【0130】
時刻t21において、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、時刻t21〜t24の期間では、図5の時刻t11〜t14の期間と同様に、比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振が禁止される。このため、出力電圧VOUTは、時間が経過するに従って低下し、時刻t22では出力低下検出電圧VSENとなり、時刻t23では最低動作電圧V0となる。なお、出力が過負荷な状態になった場合にも、入力電圧の瞬時停電が発生した場合と同様に、出力電圧VOUTが低下する。
【0131】
時刻t24において、上述の入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。これによれば、時刻t24〜t25の期間では、図5の時刻t14〜t15の期間と同様に、スイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0132】
時刻t25において、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されたものとする。ここで、時刻t25以降では、実線で、絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTを示し、一点鎖線で、絶縁型スイッチング電源1Bに放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTを示すものとする。
【0133】
まず、絶縁型スイッチング電源1Bに放電部15が設けられていない場合の出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0134】
時刻t23〜t26の期間では、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となるので、ノーマルモードであるにもかかわらず、出力電圧VOUTにより動作するモード切替信号生成部60がモード切替信号を出力できなくなるとともに、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であるにもかかわらず、出力電圧下限検出部80がフォトトランジスタPT1をオン状態にすることができなくなり、その結果、フォトトランジスタPT1がオフ状態となってしまう。このため、時刻t23〜t26の期間において、キャパシタC5は抵抗R1でしか放電されないため、キャパシタC5の両端電圧が抵抗R1によりLレベル電圧に低下するまで、スイッチ素子Q1の発振を再開できなくなる。さらに、抵抗R1の抵抗値と、電流源S31から出力される定電流値と、によっては、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧に低下できないためにスイッチ素子Q1の発振を再開できず、図9の一点鎖線で示したように出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0135】
次に、絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTについて、以下に説明する。
【0136】
時刻t21において出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点で、出力電圧上限検出部70によりフォトトランジスタPT2がオフ状態となり、端子P2は出力電圧上限制御部161Aによりプルアップされているため、制御回路2Bが動作可能であれば、端子P2の電圧が所定電圧以上に上昇する。ここで、端子P2の電圧が所定電圧以上になると、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が出力される。このため、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点において、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、接点E1および接点F9を介して、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。一方、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0未満となるまでは、ノーマルモードとしてフォトトランジスタPT1がオン状態であり、端子P1の電圧がLレベル電圧である。この端子P1のLレベル電圧は、接点D1を介してスイッチ素子Q41のゲートに印加され、制御回路2Bが動作可能であれば、スイッチ素子Q41がオフ状態となるので、時刻t23より前の期間では、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。
【0137】
以上によれば、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点では、制御回路2Bが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子には、ともにHレベル電圧が印加されるため、スイッチ素子Q51がオン状態となり、端子P1が接地されることとなる。これによれば、キャパシタC5は、抵抗R1だけでなくスイッチ素子Q51によっても放電され、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧で維持されるので、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。なお、制御回路2と同様に、制御回路2Bが動作不能な電圧であれば、制御回路2Bの動作は一旦停止するが、制御回路2Bが動作可能となった時点で、制御回路2Bは、上述の動作可能である場合と同様に、動作する。このため、制御回路2Aは、動作可能となった時点において、誤動作によりスタンバイモードになることなく、ノーマルモードでの動作を再開することとなる。
【0138】
このため、時刻t25において、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、図5の時刻t15と同様に、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じたスイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図9の実線に示したように、時間が経過するに従って上昇し、時刻t28において上限電圧VHIとなる。
【0139】
[スタンバイモードにおける制御回路2Bの動作]
次に、スタンバイモードにおける制御回路2Bの動作について、図10を用いて以下に説明する。
【0140】
ノーマルモードからスタンバイモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60は、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。
【0141】
ここで、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下である場合、フォトトランジスタPT1は、図7の出力電圧下限検出部80によりオン状態となるので、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧となる。すると、上述のノーマルモードの場合と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じてスイッチ素子Q1が発振し、発振期間となる。
【0142】
一方、発振期間となり、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めた場合、図7の出力電圧下限検出部80も、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。ところが、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であった期間では、上述のようにフォトトランジスタPT1がオン状態であったため、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めても、キャパシタC5の両端電圧はLレベル電圧のままである。このため、スイッチ素子Q41はオフ状態のままであり、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。また、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満である場合には、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。したがって、論理積AND51からHレベル電圧が出力され、スイッチ素子Q51がオン状態となり、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧で維持される。
【0143】
そして、出力電圧VOUTがさらに上昇し、上限電圧VHI以上になると、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、接点F9および接点E1を介して、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。このため、論理積AND51はLレベル電圧を出力し、スイッチ素子Q51がオフ状態となる。ここで、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点B2および接点C3を介して、比較器CMP21からHレベル電圧が印加される。一方、フリップフロップFF31のセット端子には、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上の場合、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。このため、スイッチ素子Q31がオン状態となり、電流源S31から出力される定電流によりキャパシタC5が充電され、キャパシタC5の両端電圧がHレベル電圧となる。
【0144】
このキャパシタC5の両端電圧であるHレベル電圧は、スイッチ素子Q41のゲートに印加され、スイッチ素子Q41がオン状態となる。このため、インバータINV41からHレベル電圧が出力され、接点D3および接点G4を介して否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち他方に印加されるとともに、接点D3および接点G5を介してフリップフロップFF71のリセット端子に印加される。一方、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上であるため、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が出力され、このLレベル電圧は、インバータINV71でHレベル電圧に変換された後、否定論理積NAND71の2つの入力端子のうち一方に印加される。したがって、フリップフロップFF71のセット端子には、Lレベル電圧が印加され、フリップフロップFF71の反転出力端子からLレベル電圧が出力されることとなる。このLレベル電圧は、フリップフロップFF61の第1のリセット端子に印加されるため、フリップフロップFF61からはLレベル電圧が出力され、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。これによれば、否定論理積NAND63からHレベル電圧が出力され、インバータINV61でLレベル電圧に変換された後、図7のスイッチ素子Q1のゲートに印加され、スイッチ素子Q1がオフ状態となり、発振停止期間となる。
【0145】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、制御回路2Bは、スイッチ素子Q1を間欠発振で制御することとなり、絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTは、図10に示すように変化することとなる。
【0146】
以上の絶縁型スイッチング電源1Bによれば、以下の効果を奏することができる。
【0147】
絶縁型スイッチング電源1Bは、キャパシタC5の両端電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にしてキャパシタC5の両端電圧を低下させる。そして、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、放電部15によりキャパシタC5の両端電圧を低下させる。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、キャパシタC5の両端電圧を低下させることができる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1Bの誤動作を防止できる。
【0148】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1Bをノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1Bをスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1Bは、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0149】
<第4実施形態>
[絶縁型スイッチング電源1Cの構成]
本発明の第4実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Cについて、以下に説明する。絶縁型スイッチング電源1Cは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Bとは、制御回路2Bの代わりに制御回路2Cを備える点が異なる。なお、絶縁型スイッチング電源1Cにおいて、絶縁型スイッチング電源1Bと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0150】
[制御回路2Cの構成]
図11は、制御回路2Cの回路図である。制御回路2Cは、図8に示した本発明の第3実施形態に係る制御回路2Bとは、定電流供給部13Bの代わりに定電流供給部13Cを備える点と、放電部15の代わりに電圧上昇停止部15Aを備える点と、が異なる。
【0151】
[定電流供給部13Cの構成]
定電流供給部13Cは、電流源S31と、PチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q31と、否定論理積NAND31と、NANDゲートで構成されるフリップフロップFF31と、を備える。
【0152】
電流源S31の入力端子には、制御電圧源VDDが接続され、電流源S31の出力端子には、スイッチ素子Q31のソースが接続される。スイッチ素子Q31のドレインには、接点C1が接続され、スイッチ素子Q31のゲートには、否定論理積NAND31の出力端子が接続される。否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち、一方にはフリップフロップFF31の出力端子が接続され、他方には接点C4が接続される。フリップフロップFF31のセット端子には、接点C2が接続され、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点C3が接続される。
【0153】
[電圧上昇停止部15Aの構成]
電圧上昇停止部15Aは、否定論理積NAND51を備える。
【0154】
否定論理積NAND51の2つの入力端子には、それぞれ接点E1、E2が接続され、否定論理積NAND51の出力端子には、接点E3が接続される。
【0155】
[ノーマルモードにおける制御回路2Cの動作]
まず、ノーマルモードにおける制御回路2Cの動作について説明する。スタンバイモードからノーマルモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60がフォトトランジスタPT1をオン状態にする。すると、キャパシタC5は、抵抗R1およびフォトトランジスタPT1により放電され、キャパシタC5の両端電圧が略ゼロまで低下する。これによれば、図11に示すように、端子P1および接点D1を介してキャパシタC5にゲートが接続されるスイッチ素子Q41は、オフ状態となる。
【0156】
スイッチ素子Q41がオフ状態になると、インバータINV41からLレベル電圧が出力され、接点D3および接点G2を介してフリップフロップFF71のリセット端子に印加される。このため、フリップフロップFF71の反転出力端子からHレベル電圧が出力され、接点G4および接点F3を介してフリップフロップFF61の第1のリセット端子に印加されるとともに、接点G5および接点F8を介して否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。一方、定常動作状態では、比較器CMP21およびラッチ保護回路部19から上述のようにHレベル電圧が出力されるため、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうち、接点F1に接続されるものと、接点F2に接続されるものとには、Hレベル電圧が印加される。
【0157】
これによれば、ノーマルモードでかつ定常動作状態では、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じて図7のスイッチ素子Q1が発振し、図9の時刻t21より前の期間と同様に、出力電圧VOUTが上限電圧VHIで略一定となる。
【0158】
ここで、まず、入力電圧の瞬時停電が発生したものとする。これによれば、制御回路2Cでは、制御回路2Bと同様に比較器CMP21がLレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振が禁止される。このため、出力電圧VOUTは、図9の時刻t21〜t24の期間と同様に、出力電圧VOUTが低下することとなる。
【0159】
次に、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0以下となった後に、入力電圧の瞬時停電が解消されたものとする。これによれば、制御回路2Cでは、制御回路2Bと同様にスイッチ素子Q1の発振の禁止が継続され、図9の時刻t24〜t25の期間と同様に、出力電圧VOUTの低下が継続されることとなる。
【0160】
次に、比較器CMP21がHレベル電圧を出力するようになり、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されたものとする。仮に、絶縁型スイッチング電源1Cに電圧上昇停止部15Aおよび否定論理積NAND31が設けられていない場合には、絶縁型スイッチング電源1Bに放電部15が設けられていない場合と同様に、キャパシタC5の両端電圧が抵抗R1によりLレベル電圧に低下するまで、スイッチ素子Q1の発振を再開できなくなる。さらに、抵抗R1の抵抗値と、電流源S31から出力される定電流値と、によっては、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧に低下できないためにスイッチ素子Q1の発振を再開できず、図9の一点鎖線で示したように出力電圧VOUTが最低動作電圧V0を超えることができず、その結果、絶縁型スイッチング電源の起動不良となるおそれがある。
【0161】
これに対して、絶縁型スイッチング電源1Cでは、図9の時刻t21に示したように出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点で、出力電圧上限検出部70によりフォトトランジスタPT2がオフ状態となり、端子P2は出力電圧上限制御部161Aによりプルアップされているため、制御回路2Cが動作可能であれば、端子P2の電圧が所定電圧以上に上昇する。ここで、端子P2の電圧が所定電圧以上になると、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が出力される。このため、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点において、論理積AND51の2つの入力端子のうち他方には、接点E1および接点F4を介して、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。一方、出力電圧VOUTが最低動作電圧V0未満となるまでは、ノーマルモードとしてフォトトランジスタPT1がオン状態であり、キャパシタC5の両端電圧がLレベル電圧である。このキャパシタC5の両端電圧であるLレベル電圧は、端子P1および接点D1を介してスイッチ素子Q41のゲートに印加され、制御回路2Cが動作可能であれば、スイッチ素子Q41がオフ状態となるので、論理積AND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。
【0162】
以上より、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点では、制御回路2Cが動作可能であれば、論理積AND51の2つの入力端子には、ともにHレベル電圧が印加されるため、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち他方には、Lレベル電圧が印加される。
【0163】
以上によれば、出力電圧VOUTが上限電圧VHIより低くなった時点では、否定論理積NAND31からHレベル電圧が出力されるので、スイッチ素子Q31がオフ状態となる。これによれば、電流源S31の出力端子とキャパシタC5とが絶縁され、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧で維持されるので、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加され続ける。
【0164】
このため、スイッチ素子Q1の発振の禁止が解除されると、図9の時刻t25と同様に、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Hレベル電圧が印加されているので、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じたスイッチ素子Q1の発振が再開される。その結果、出力電圧VOUTは、図9の実線に示したように、時間が経過するに従って上昇することとなる。
【0165】
[スタンバイモードにおける制御回路2Cの動作]
次に、スタンバイモードにおける制御回路2Cの動作について説明する。ノーマルモードからスタンバイモードに移行すると、図7のモード切替信号生成部60は、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。
【0166】
ここで、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下である場合、フォトトランジスタPT1は、図7の出力電圧下限検出部80によりオン状態となるので、キャパシタC5の両端電圧は、Lレベル電圧となる。すると、上述のノーマルモードの場合と同様に、オントリガ発生部162から出力される周期的な信号と、オン幅制御部163から出力される端子P2の電圧に応じたオン幅信号と、に応じてスイッチ素子Q1が発振し、発振期間となる。
【0167】
一方、発振期間となり、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めた場合、図7の出力電圧下限検出部80も、フォトトランジスタPT1をオン状態とするのを停止する。ところが、出力電圧VOUTが下限電圧VLOW以下であった期間では、上述のようにフォトトランジスタPT1がオン状態であったため、出力電圧VOUTが下限電圧VLOWより上昇し始めても、キャパシタC5の両端電圧はLレベル電圧のままである。このため、スイッチ素子Q41はオフ状態のままであり、否定論理積NAND51の2つの入力端子のうち一方には、Hレベル電圧が印加される。また、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満である場合には、否定論理積NAND51の2つの入力端子のうち他方には、出力電圧上限制御部161AからHレベル電圧が印加される。したがって、否定論理積NAND51からLレベル電圧が出力され、接点E3および接点C4を介して、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち他方に印加される。よって、スイッチ素子Q31がオフ状態となる。
【0168】
そして、出力電圧VOUTがさらに上昇し、上限電圧VHI以上になると、否定論理積NAND51の2つの入力端子のうち他方には、接点F4および接点E1を介して、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。このため、否定論理積NAND51はHレベル電圧を出力し、接点E3および接点C4を介して、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち他方に印加される。ここで、フリップフロップFF31のリセット端子には、接点B2および接点C3を介して、比較器CMP21からHレベル電圧が印加される。一方、フリップフロップFF31のセット端子には、出力電圧VOUTが上限電圧VHI以上の場合、出力電圧上限制御部161AからLレベル電圧が印加される。したがって、否定論理積NAND31の2つの入力端子のうち一方には、フリップフロップFF31からHレベル電圧が印加される。よって、スイッチ素子Q31がオン状態となり、電流源S31の出力端子とキャパシタC5とが導通するので、キャパシタC5の両端電圧は、Hレベル電圧となり、フリップフロップFF61の第1のリセット端子には、Lレベル電圧が印加される。
【0169】
このため、フリップフロップFF61からはLレベル電圧が出力され、否定論理積NAND63の4つの入力端子のうちの1つに印加される。これによれば、否定論理積NAND63からHレベル電圧が出力され、インバータINV61でLレベル電圧に変換された後、図7のスイッチ素子Q1のゲートに印加され、スイッチ素子Q1がオフ状態となり、発振停止期間となる。
【0170】
以上によれば、スタンバイモードにおいて、制御回路2Cは、制御回路2Bと同様にスイッチ素子Q1を間欠発振で制御することとなり、絶縁型スイッチング電源1Cの出力電圧VOUTは、図7に示した本発明の第3実施形態に係る絶縁型スイッチング電源1Bの出力電圧VOUTと同様に、図10に示したように変化することとなる。
【0171】
以上の絶縁型スイッチング電源1Cによれば、以下の効果を奏することができる。
【0172】
絶縁型スイッチング電源1Cは、キャパシタC5の両端電圧に応じてノーマルモードとスタンバイモードとを切り替えてスイッチ素子Q1を制御し、ノーマルモードに移行させるモード切替信号がモード切替信号生成部60から出力されると、フォトトランジスタPT1をオン状態にしてキャパシタC5の両端電圧を低下させる。そして、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、定電流供給部13CによるキャパシタC5の両端電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止する。このため、ノーマルモードにおいて、モード切替信号生成部60が動作できなくなるまで出力電圧VOUTが低下して、モード切替信号が出力されなくなってしまっても、モード切替信号が出力されている場合と同様に、キャパシタC5の両端電圧の上昇を防止できる。したがって、ノーマルモードにおいて、出力電圧VOUTの低下によりモード切替信号が出力されなくなってしまっても、絶縁型スイッチング電源1Cの誤動作を防止できる。
【0173】
モード切替信号生成部60は、モード切替信号を、絶縁型スイッチング電源1Cをノーマルモードで動作させる場合には出力し、絶縁型スイッチング電源1Cをスタンバイモードで動作させる場合には出力しない。このため、絶縁型スイッチング電源1Cは、スタンバイモードではモード切替信号生成部60を動作させる必要がないため、スタンバイモードにおける消費電力を削減できる。
【0174】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0175】
例えば、上述の第1実施形態では、モード切替信号生成部60は、絶縁型スイッチング電源1に設けられるものとしたが、これに限らず、出力電圧VOUTにより動作するのであれば、絶縁型スイッチング電源1の外部に設けられるものであってもよい。
【0176】
また、上述の第3実施形態では、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、放電部15によりキャパシタC5の両端電圧を低下させることとした。しかし、これに限らず、例えば、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN未満であれば、放電部15によりキャパシタC5の両端電圧を低下させることとしてもよい。
【0177】
また、上述の第4実施形態では、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが上限電圧VHI未満であれば、定電流供給部13CによるキャパシタC5の両端電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止した。しかし、これに限らず、例えば、ノーマルモードにおいて出力電圧VOUTが出力低下検出電圧VSEN未満であれば、定電流供給部13CによるキャパシタC5の両端電圧の上昇を電圧上昇停止部15Aにより防止してもよい。
【符号の説明】
【0178】
1、1A、1B、1C:絶縁型スイッチング電源
2、2A、2B、2C;制御回路
11;起動回路部
12;低電圧誤動作防止回路部
13、13A、13B、13C;定電流供給部
14、14A;端子電圧検出部
15;放電部
15A;電圧上昇停止部
16、16A;発振制御部
17、17A;発振停止制御部
18;制御電圧生成部
19;ラッチ保護回路部
50;出力電圧検出部
60;モード切替信号生成部
70;出力電圧上限検出部
80;出力電圧下限検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
予め定められた特定点の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部と、
前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる第1の電圧低下部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、前記特定点の電圧を低下させる第2の電圧低下部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項2】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
予め定められた特定点の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部と、
前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる電圧低下部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、前記電圧上昇部による前記特定点の電圧の上昇を停止させる電圧上昇停止部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項3】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタと、
前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部と、
前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧以下であれば下限検出信号が出力する出力電圧下限検出部と、
前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する第1の放電部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、前記キャパシタを放電する第2の放電部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項4】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタと、
前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部と、
前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧以下であれば下限検出信号を出力する出力電圧下限検出部と、
前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する放電部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、前記定電流供給部から前記キャパシタへの定電流供給を停止させる定電流供給停止部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項5】
前記出力電圧が上限電圧以上であれば上限検出信号を出力する出力電圧上限検出部を備え、
前記状態切替制御部は、前記連続発振状態において、前記出力電圧が前記上限電圧より低ければ、前記状態切替信号の出力を停止することを特徴とする請求項3または4に記載の絶縁型スイッチング電源。
【請求項6】
前記設定電圧は、前記状態切替制御部の最低動作電圧以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の絶縁型スイッチング電源。
【請求項1】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
予め定められた特定点の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部と、
前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる第1の電圧低下部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、前記特定点の電圧を低下させる第2の電圧低下部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項2】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
予め定められた特定点の電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記特定点の電圧を上昇させる電圧上昇部と、
前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力されると、前記特定点の電圧を低下させる電圧低下部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧以下であれば、前記電圧上昇部による前記特定点の電圧の上昇を停止させる電圧上昇停止部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項3】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタと、
前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部と、
前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧以下であれば下限検出信号が出力する出力電圧下限検出部と、
前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する第1の放電部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、前記キャパシタを放電する第2の放電部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項4】
スイッチ素子を連続発振状態または間欠発振状態でスイッチング制御し、必要な出力電圧に入力電圧から変換制御する絶縁型スイッチング電源であって、
前記間欠発振状態における出力電圧に対応して両端電圧が変化するキャパシタと、
前記キャパシタの両端電圧に応じて、前記スイッチ素子を制御する制御部と、
前記キャパシタに定電流を供給する定電流供給部と、
前記出力電圧により動作し、前記出力電圧が下限電圧以下であれば下限検出信号を出力する出力電圧下限検出部と、
前記下限検出信号が入力される場合と、前記出力電圧により動作する状態切替制御部から、前記連続発振状態に移行させる状態切替信号が入力される場合と、において前記キャパシタを放電する放電部と、
前記連続発振状態において、前記出力電圧が予め定められた設定電圧未満であれば、前記定電流供給部から前記キャパシタへの定電流供給を停止させる定電流供給停止部と、
を備えることを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
【請求項5】
前記出力電圧が上限電圧以上であれば上限検出信号を出力する出力電圧上限検出部を備え、
前記状態切替制御部は、前記連続発振状態において、前記出力電圧が前記上限電圧より低ければ、前記状態切替信号の出力を停止することを特徴とする請求項3または4に記載の絶縁型スイッチング電源。
【請求項6】
前記設定電圧は、前記状態切替制御部の最低動作電圧以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の絶縁型スイッチング電源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−110173(P2012−110173A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258502(P2010−258502)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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