説明

綿棒

【課題】 綿棒の細部の形状を一部改変するだけの簡単な構成によって、綿棒の用途の拡大を図り、例えば、イボ等の除去にかかる費用の削減と患者に与える精神的あるいは肉体的な負担を軽減させることができる新規な綿棒を提供する。
【解決手段】 本発明の綿棒は、軸部の一端ないし両端に綿部を備えた綿棒において、上記綿部の先端部に所定深さの切込み部を形成することによって構成されており、医療現場や家庭における治療補助具としての機能を高めることができ、例えば、液体窒素を綿部に含浸させてイボに押し付けこれを冷凍・除去するような使い方が考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療現場や家庭において消毒液等を塗布するための治療補助具、耳や鼻の掃除具、化粧の補助具、精密機器等の清掃具等として使用されている綿棒に係り、特に綿部の先端部の形状を工夫することにより、医療現場や家庭における治療補助具としての機能を高めるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1、特許文献2に示すように、木軸や紙軸によって構成されている軸部の一端ないし両端に綿繊維を丸めて膨らみを持たせた綿部を備えた綿棒が従来から使用されている。上記綿棒は耳や鼻の掃除等に使用されている一般用の他、化粧に使用されている化粧用、細菌検査や患部の消毒等に使用されている医療用、精密機器の細部の清掃等に使用されている工業用等があり、種々の分野で幅広く使用されている。
【0003】
ところで、医療現場においては、身体の表面にできた「イボ」等を効果的に除去する為の様々な取り組みがなされている。この点について詳しく説明する。
皮膚に生じる様々な小腫瘍には、代表的なものとして、ヒトパピローマウイルスによる感染症である疣贅、すなわち尋常性疣贅(いわゆるいぼ)、足底疣贅(足の裏にできるイボ)あるいは尖圭コンジローマ(性器のイボ)、ヒトポックスウイルス感染症である伝染性軟属腫(いわゆる水イボ)、老人性角化症(いわゆる年寄りのイボ)、老人性色素斑、日光角化症、スキンタッグ、色素性母斑(いわゆるほくろ)などがある。
【0004】
感染性の疣贅は、一般に足底・頭・肘・膝・指の関節等、通常時も皮膚への刺激が多い部位にできやすく、治療を行っても治りが悪いのみならず、その表面からウイルスを常時排出しているため、他人の皮膚に感染し、同様の疣贅が生じることがあるため、早急に確実に除去できる治療の必要がある。又、手掌や足底などにできたヒトパピローマウイルスによる疣贅はミルメシアも含め、学童期の子供やスポーツ選手に多く、学校のプールなどで常時ウイルスに感染したり、スポーツにより絶えず皮膚が傷害を受けるため、ウイルスの自家接種がおき、放置しておくと数が飛躍的に増えてくる。又、ウイルスの増殖力が強く、放置しておくと他の皮膚部位に同様の疣贅が現れる。
【0005】
これら良性腫瘍の治療法としては、例えば、凍結療法(クリオテラピー)、電気凝固、レーザー焼痂、手術切除等の治療法が一般的である。その中でも日常診療では簡便な凍結療法が広く行われている。この種の凍結療法では、液体窒素で患部を瞬間的に凍結させ、部分的に火傷の状態を起こすことにより、患部を壊死に陥らせ、あるいは壊死とともに周囲組織に水疱形成を合わせて引き起こし、患部を皮膚から脱落させ、治癒させるものである。処置そのものにかなりの痛みを伴うほか、処置後も患部に激痛が伴うことがある。
【0006】
又、上記したように、凍結療法には痛みを伴うため、例えば、尋常性疣贅の場合、1〜3週の間隔をおいて凍結療法を施す。又、治療回数は1〜4回を要する。又、疣贅の数が多いとそれだけ凍結療法を施す回数が増え、治療が苦痛になる 疣贅の液体窒素療法の場合、通常、治療終了4〜7日後に壊死効果が強くみられ、10〜14日目には、患部が痂皮形成し、自然に脱落することで治癒する。又、効果に個人差こそあるが、疣贅が壊死組織となり脱落するまでに、凡そ、数週から2ヵ月以上と長い日数が必要とされる。
【0007】
又、凍結療法には綿球法、スプレー法、凍結プローベ法がある。綿棒による凍結治療の場合、患部のサイズよりやや大きい綿棒をマイナス196℃の液体窒素に浸漬させ、直ちに患部に圧抵して凍結させる方法であるが、この方法では、比較的小さい、病変の深達度が3mm以下の皮膚表層に限局した病変の凍結療法によい。又、スプレー凍結治療の場合、特殊な噴霧器を使い、その先端を患部表面から1cm離して、ジメチルエーテルなどのガスや液体窒素、液化NOガスを0.1〜0.5kg/cm2の圧力で5〜30秒間噴霧することにより、患部を凍結させる。患部の凍結温度は、ジメチルエーテルでは−57℃、液体窒素では−196℃、液化亜酸化窒素ガスでは−89℃である。
【0008】
又、凍結プローベを用いる場合は、銅製の凍結端子を直接液体窒素に浸漬して十分に冷却した後患部に押し当てたり、特殊な凍結装置の先端に装着した銅製凍結端子に絶えず冷却剤を補給しながら患部に圧抵することにより治療する。
これら凍結療法の内、スプレー法や凍結プローベ法を行う場合、機器が高価であったり、複雑な操作を必要とする。又、スプレー法は深達性あるいは広範囲の病変の治療に用いられるが、冷却ガスの噴霧範囲の制御が困難で、しばしば、予期せぬ低温火傷を起こすことがある。これらの事情のため、凍結療法を施す場合には日常の診療では綿球法がもっとも良く行われている。
【0009】
次に、電気凝固法であるが、高周波を発する機器を用いて、局所麻酔下に病変を蒸散させて除去する。その後、約2週間で痂皮が脱落し、しばらく赤味と凹みがみられ、3ヶ月から半年かけてこれらは徐々に消失していく。治療は、病変部の反応を見ながら、3ヶ月に1回程度のペースで処置を行なう。
【0010】
さらに、レーザー焼痂では、局所麻酔下に炭酸ガスレーザーを用いレーザー光を照射する。レーザー光は約99%が皮膚組織内の水分に吸収され、そのとき発生した熱エネルギーが病変部を気化・蒸散させる。多くの場合、数回の施術を要する。手術切除では、局所麻酔下に病変部をメスなどで切除して、除去する。
【0011】
このように、良性腫瘍の治療として、凍結療法(クリオテラピー)、電気凝固法、レーザー焼痂法、手術切除等の治療法があるが、日常の診療では綿球法を採用した凍結療法(クリオテラピー)がもっとも良く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−349296号公報
【特許文献2】特開2006−167395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、従来の綿球法を採用した凍結療法(クリオテラピー)では、病変部と綿棒の綿球の接触する面積が小さく、かつ液体窒素は常温で容易に気化するため、病変部が冷却される時間が短く、規則的な楕円等温線でみれば、冷却される部分が十分でない。このため、従来の綿球による凍結療法では、皮膚の深部に達する大きな病変に対して十分な効果を発揮できないことがあり、治療抵抗性手掌や足底などにできた疣贅では、凍結療法を行ってもなお、疣贅が拡がってくることがあった。
【0014】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、綿棒の細部の形状を一部改変するだけの簡単な構成によって、綿棒の用途の拡大を図り、例えば、イボ等の除去にかかる費用の削減と患者に与える精神的あるいは肉体的な負担を軽減させることができる新規な綿棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による綿棒は、軸部の一端ないし両端に綿部を備えた綿棒において、上記綿部の先端部に所定深さの切込み部が形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項2による面棒は、請求項1記載の綿棒において、上記切込み部は、複数の切込み線又は切込み溝を放射状に交差させることによって形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3による綿棒は、請求項2記載の綿棒において、上記切込み線又は切込み溝は十字形状に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項4による綿棒は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の綿棒において、上記綿部を液体窒素に浸して液体窒素を含浸させた後、上記綿部によってイボを被冠するように押し付け、それによって、イボを冷凍・除去させる治療に供する治療補助具として使用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
したがって、本発明による綿棒によると、軸部の一端ないし両端に綿部を備えた綿棒において、上記綿部の先端部に所定深さの切込み部が形成されているから、医療現場や家庭における治療補助具としての機能を高めることができる。例えば、液体窒素を綿部に含浸させてイボに押し付けこれを冷凍・除去するような使い方が考えられる。又、当該綿部に消毒液等を染み込ませて突起状の患部に上記消毒液を塗布する場合に上記切込み部が押し広げられて切込み部の左右の切断面が患部に当接するようになる。これに伴ない、患部に対する綿部の作用面積が拡大し、消毒液等の塗布効率が向上する。イボの除去についてさらに説明すると、綿部の先端に切れ目を入れることにより、病変部と綿部との接触部に隙間ができないようにし、病変部全体が綿部と密着させ、接触面積を大きくすることができる。これにより、従来の綿棒による治療と異なり、液体窒素が気化するまでの時間を延長することが可能となり、病変部が凍結している時間が長くなり、十分に凍結される病変部分が拡大されることになる。
又、上記切込み部を複数の切込み線または切込み溝を放射状に交差させることによって形成した場合には、上記効果をより確実なものとすることができる。又、切込み線又は切込み溝はカッターナイフ等を使用することで簡単に形成できるから綿棒の生産効率も向上する。
又、上記綿棒が、上記綿部を所定時間、液体窒素に浸して冷却凍結した後、患部に作用させて治療に供する治療補助具として使用された場合には、費用がかかり、患者への負担の大きな従来のレーザー治療に代わって、安価で患者への負担の小さなイボ等の新たな治療スタイルが構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、綿棒を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、綿棒を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2中の矢視III部の拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図3中のIV−IV矢視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、綿棒をイボ等の除去に使用した場合の作業手順を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、綿棒を患部に対する消毒液の塗布に使用した場合の作業手順を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、綿棒の綿部を示す拡大側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図7中のVIII―VIII矢視図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示す図で、綿棒の綿部を示す拡大側面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す図で、図9中のX−X矢視図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態を示す図で、綿棒の綿部を示す拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図6を参照して本発明の(1)第1の実施の形態による綿棒の構造と、当該綿棒を使用してイボ等の除去を行なう作業手順と、患部に対する消毒液の塗布の作業手順とについて説明する。次に、図7、図8を参照して本発明の(2)第2の実施の形態による綿棒の構造について説明し、図9、図10を参照して本発明の(3)第3の実施の形態による綿棒の構造について説明する。最後に、図11を参照して本発明の(4)第4の実施の形態による綿棒の構造について説明する。
【0019】
(1)第1の実施の形態(図1乃至図6参照)
本発明の綿棒1は、紙や木あるいは硬質プラスチック材料等によって形成されていて、直径(d)が、例えば、1.5〜2.5mm程度、長さ(L)が、例えば、50〜150mm程度の軸部3と、天然綿繊維や合成繊維あるいはこれらの混合繊維等によって形成されていて、直径(D)が、例えば、3〜10mm程度、長さ(a)が、例えば、10〜25mm程度の綿部5と、を備えることによって構成されている。
そして、本発明の特徴的構成として、上記綿部5の先端部5aに所定深さ(一例として0.5〜3.5mm程度)(H)の切込み部7Aが形成されている。
【0020】
又、本実施の形態による綿棒1Aは、直径(d)が2.5mm程度、長さ(L)が150mm程度の木軸によって形成されている軸部3と、当該軸部3の一端3aに設けられ、天然綿繊維を直径(D)が10mm程度、長さ(a)が22mm程度の液滴形状に丸めた綿部5とを備えている。
又、上記綿部5の先端部5aに対して形成される切込み部7Aは、2本の切込み線9、11を90°角度を異ならせ、放射状に交差させて配置することによって十字形状に形成されている。
尚、上記切込み部7Aの切込み深さ(H)は、一例として2mm程度に設定されており、切込み部7Aの長さ方向(Y)に対して一様の深さになるように形成されている。又、綿部5の先端の切り込み部7は、その長さが綿部5の高さの半分かそれ以下が望ましい。又、切り込み部7Aの切り込み線の数としては、これを特に限定するものではなく、例えば、2〜4個程度の範囲で任意に決定すればよい。
【0021】
次に、このようにして構成される本実施の形態による綿棒1Aを使用してイボ等Aを除去する場合の作業手順について図5に基づいて説明する。
使用する綿棒1Aの綿部5の先端部5aに対して形成されている切込み部7Aは、当初、図5(a)に示すように交差した2本の切込み線9、11によって形成される十字形状を有している。
【0022】
イボ等Aを除去する者は、軸部3の他端3bを持って図5(b)に示すように液体窒素Nが充填されている容器21内に軸部3の一端3aに設けられている綿部5を先端部5a側から基端部5bにかけて入れ、綿部5に液体窒素Nを含浸させる。
このようにして液体窒素Nを含浸した綿部5を容器21から取り出すと、先端部5aの切込み部7Aは、図5(c)に示すように広がっていき、切込み部7Aの中心にはイボ等Aを内嵌するために十分な大きさの嵌合空間23が形成される。
【0023】
次に、図5(d)に示すように上記嵌合空間23内にイボ等Aが内嵌するように綿部5をイボ等Aにあてがうと、1分程度で−80℃程度に冷却され、イボ等Aは凍結する。そして、図5(e)に示すように綿棒1Aを上方に引き上げるとイボ等Aも綿部5といっしょになって引き上げられ、皮膚25から切り離されて除去されることになる。
このように、本実施の形態による綿棒1Aを使用すれば、レーザー照射によるイボ等Aの除去に比べて格段に安い費用で、且つ、患者に大きな負担を掛けることなくイボ等Aを除去することができるようになる。
【0024】
又、本実施の形態による綿棒1Aを使用して虫さされ等によって腫れ上がった患部Bに対して消毒液Sを塗布する場合には、図6(a)(b)に示すように切込み部7Aを形成したことによって綿部5の先端部5aの変形が容易になり、綿部5が患部Bの形状に馴染んでより広い接触面積が確保できるようになる。
したがって、消毒液Sが効率良く患部Bに滲透し、腫れを鎮めて、回復を促がす効果が発揮される。
【0025】
ここで、本実施の形態の場合と従来の場合とを対比してみる。表1は本実施の形態の場合と従来の場合とを対比して示すものであり、4人の手掌・足底疣贅患者で、従来の綿棒と切り込み7Aが入った本実施の形態による綿棒1Aを使用した場合の両方の効果を対比して示すものである。従来の綿棒を使用した凍結療法では、比較的小さい、病変の深達度が3mm以下の皮膚表層に限局した病変の凍結療法によいが、病変が深達性の場合、凍結効果が不十分なことが多く、治療回数は数回要してしまっていた。例えば、尋常性疣贅の場合、1〜3週の間隔をおいて凍結するのであるが、治療回数は1〜4回を要する。又、手掌・足底の疣贅の場合、何回凍結させても、脱落しないことが多い。
【0026】
これに対して、本実施の形態の場合には、切り込み7Aが入った綿棒1Aを使用して凍結療法を行っているので、従来に比べ治療回数が大幅に減少しており、消費する綿棒及び液体窒素量が減少させることができ、一回の治療にかかわる治療コストを減らすことができる。又、治療期間が短縮でき、通院にかかる経済的負担を減らすことが可能となる。又、疣贅の場合、ウイルスの拡散による他人への感染を抑制することが可能となり、医療衛生の面からも望ましい。
尚、表1において、右端に示す効果であるが、本実施の形態の場合は従来に比べて治療効果が大幅に改善されていると共に、痛みについても改善されているものであり、治療時に患者が感じる痛みを大幅に軽減させることができるものである(表1中痛みに関しては「<」と表示しているがこれは痛みについてより改善されていることを意味しており、換言すれば、痛みが減少していることを意味している)。
【0027】
【表1】

【0028】
(2)第2の実施の形態(図7、図8参照)
第2の実施の形態による綿棒1Bの構造は、切込み部7Bの構造を除いて上記第1の実施の形態による綿棒1Aの構造と同じである。したがって、ここでは第1の実施の形態と相違する切込み部7Bの構造に絞って説明する。
即ち、本実施の形態の切込み部7Bは、図7、図8に示すように断面が一例としてV字形状の4本の切込み溝15、16、17、18を45°間隔で放射状に交差させることによって形成されている。
【0029】
尚、上記切込み部7Bの切込み深さ(H)は、上記第1の実施の形態と同様、一例として2mm程度に設定されており、切込み部7Bの長さ方向(Y)に対して一様の深さになるように形成されている。
そして、このような構造の綿棒1Bを使用した場合でも、上記第1の実施の形態の綿棒1Aと同様の作用、効果が発揮されて、綿棒の細部の形状を一部改変するだけの簡単な構成によって、綿棒の用途の拡大を図り、イボ等Aの除去にかかる費用の削減と患者に与える精神的あるいは肉体的な負担を軽減させることができる。
【0030】
(3)第3の実施の形態(図9、図10参照)
第3の実施の形態による綿棒1Cの構造は、切込み部7Cの構造を除いて上記第1の実施の形態による綿棒1Aの構造と同じである。したがって、ここでは第1の実施の形態と相違する切込み部7Cの構造に絞って説明する。
即ち、本実施の形態の切込み部7Cは、図8、図9に示すように3本の切込み線29、31、33を一例として60°間隔で放射状に交差させることによって形成されている。又、上記3本の切込み線29、31、33の外方寄りの端部には、非切込み部30、32、34が形成されていて、各切込み線29、31、33の先端が綿部5の側周面6に達しないように形成されている。
【0031】
尚、上記切込み部7Cの切込み深さ(Hょは、上記第1の実施の形態と同様、一例として2mm程度に設定されており、切込み部7Cの長さ方向(Y)に対して一様の深さになるように形成されている。
そして、このような構造の綿棒1Cを使用した場合でも、上記第1の実施の形態の綿棒1Aと同様の作用、効果が発揮されて、綿棒の細部の形状を一部改変するだけの簡単な構成によって、綿棒の用途の拡大を図り、イボ等Aの除去にかかる費用の削減と患者に与える精神的あるいは肉体的な負担を軽減させることができる。
又、本実施の形態では切込み線29、31、33の両端部に非込み部30、32、34を設けたから、綿部5の剛性も高まる。
【0032】
(4)第4の実施の形態(図11参照)
第4の実施の形態による綿棒1Dの構造は、切込み部7Dの構造を除いて上記第1の実施の形態による綿棒1Aの構造と同じである。したがって、ここでは第1の実施の形態と相違する切込み部7Dの構造に絞って説明する。
即ち、本実施の形態の切込み部7Dは、上記第1の実施の形態と同様、2本の切込み線37、39を一例として90°角度を異らせて放射状に交差させることによって形成されている。
【0033】
そして、本実施の形態では、上記切込み部7Dの切込み深さ(H)が図11に示すように中心部で深くH1(一例として3.5mm)になっており、外方に行くにしたがって徐々に浅くなり、綿部5の側周面6に達した位置での切込み深さ(H)がH2(一例として0.5mm)になっている。
そして、このような構造の綿棒1Dを使用した場合でも、上記第1の実施の形態の綿棒1Aと同様の作用、効果が発揮されて、綿棒の細部の形状を一部改変するだけの簡単な構成によって、綿棒の用途の拡大を図り、イボ等Aの除去にかかる費用の削減と患者に与える精神的あるいは肉体的な負担を軽減させることができる。
【0034】
又、本実施の形態では切込み部7Dの切込み深さ(H)が嵌合空間23が形成される中心部で深く(H1)になっているから、嵌合空間23の形成が容易になる。一方、切込み部7Dの切込み深さ(H)が綿部5の側周面6に達した位置で浅く(H2)になっているから、綿部5の剛性が維持される。
【0035】
尚、本発明は、上述した第1〜第4の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、綿部5は、上述した各実施の形態のように軸部3の一端3aのみに設ける構成の他、軸部3の一端3aと他端3bの両端に設けることが可能である。
又、軸部3の両端3a、3bに綿部5を設ける場合には、2つの綿部5を同じものにしてもよいし、構造や大きさ、形状の違うものを1つずつ設けるようにすることも可能である。
又、綿棒1の各部の寸法や形状あるいは切込み線や切込み溝の数は、上述した寸法や形状あるいは切込み線や切込み溝の数に限らず綿棒1を使用する対象の大きさや形状等に応じて種々の寸法、形状あるいは切込み線や切込み溝の数のものが採用可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば、医療現場や家庭において消毒液等を塗布するための治療補助具、耳や鼻の掃除具、化粧の補助具、精密機器等の清掃具等として使用されている綿棒に係り、特に綿部の先端部の形状を工夫することにより、医療現場や家庭における治療補助具としての機能を高めるようにしたものに関し、例えば、身体の表面にできたイボを冷凍・除去させる際に使用する治療補助具に好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 綿棒
3 軸部
3a 一端
3b 他端
5 綿部
5a 先端部
5b 基端部
6 側周面
7 切込み部
9 切込み線
11 切込み線
15 切込み溝
16 切込み溝
17 切込み溝
18 切込み溝
21 容器
23 嵌合空間
25 皮膚
29 切込み線
30 非切込み部
31 切込み線
32 非切込み部
33 切込み部
34 非切込み部
37 切込み線
39 切込み線
d 直径
L 長さ
D 直径
a 長さ
H(切込み)深さ
A イボ等
N 液体窒素
B 患部
S 消毒液
Y 長さ方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の一端ないし両端に綿部を備えた綿棒において、
上記綿部の先端部に所定深さの切込み部が形成されていることを特徴とする綿棒。
【請求項2】
請求項1記載の綿棒において、
上記切込み部は、複数の切込み線又は切込み溝を放射状に交差させることによって形成されていることを特徴とする綿棒。
【請求項3】
請求項2記載の綿棒において、
上記切込み線又は切込み溝は十字形状に設けられていることを特徴とする面棒。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の綿棒において、
上記綿部を液体窒素に浸して液体窒素を含浸させた後、上記綿部によってイボを被冠するように押し付け、それによって、イボを冷凍・除去させる治療に供する治療補助具として使用されることを特徴とする綿棒。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−120624(P2011−120624A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278404(P2009−278404)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(509337458)大村興業株式会社 (2)
【出願人】(503147022)
【Fターム(参考)】