説明

締固め用アタッチメント

【課題】締固め時に作用する応力が特定の箇所に集中することを防止し、破損しにくいた締固め用アタッチメントを提供する。
【解決手段】締固め用アタッチメント1は、鉛直方向の中心軸に対して左右対称で、その中心軸に沿って上端側から下端側へ次第に断面積が大きくなるように、円柱状の金属塊を金型等で圧力を加えて塑性流動させる鍛造方法で、一体成形にて製作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起振装置による振動を路面や法面等の締固め対象箇所に伝達することにより、当該対象箇所を締固める締固め用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ブレーカーを用いて路面や法面等の締固め対象箇所を締固める場合には、油圧ブレーカーのチゼルに板状のプレートを取り付け、このプレートを締固め対象箇所に押し当てて油圧ブレーカーによる振動を伝達することにより、締固め対象箇所を締固めている。
【0003】
例えば、特許文献1には、締固め対象箇所を締固める板状のプレートと、プレートの上面に取り付けられ、チゼルを内方に挿通させて把持する筒体とを備えた締固め用アタッチメントが開示されている。この締固め用アタッチメントをチゼルに取り付け、チゼルの振動を利用してプレートで締固め対象箇所を締固める。
【0004】
また、特許文献2には、締固め対象箇所を締固める板状のプレートと、油圧ブレーカーに接続される棒状のロッドと、プレートとロッドとの間に接続されるスプリングとを備えた締固め用アタッチメントが開示されている。この締固め用アタッチメントのロッドの端部を油圧ブレーカーに接続し、油圧ブレーカーに搭載された起振装置のシリンダによる振動を利用して締固め用アタッチメントを振動させてプレートで締固め対象箇所を締固める。
【特許文献1】特開平11−209916号公報
【特許文献2】実用新案登録第3127318号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の締固め用アタッチメントでは、締固め時に、締固め用アタッチメントに作用する応力がプレートと筒体又はロッドとの接続部分に集中するので、その接続部分が破断し易いという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、締固め時に作用する応力が特定の箇所に集中することを防止し、破損しにくい締固め用アタッチメントを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の締固め用アタッチメントは、起振装置に取り付けられ、前記起振装置による振動を締固め対象箇所に伝達して当該対象箇所を締固めるための締固め用アタッチメントであって、中心軸に関して対称で、当該中心軸に沿って一端側から他端側へ次第に断面積が大きくなるような形状に一体成形されてなり、前記一端側が前記起振装置に取り付けられることを特徴とする(第1の発明)。
【0008】
本発明の締固め用アタッチメントによれば、中心軸に関して対称で、その中心軸に沿って一端側から他端側へ次第に断面積が大きくなる形状を有するとともに、一体成形されているので、締固め時に作用する応力の集中する箇所が無く、破損しにくい。
また、一端側は他端側に比べて細いので、起振装置に取り付けることが容易である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記一端側から前記他端側へ滑らかに変化する外形形状を有することを特徴とする。
本発明の締固め用アタッチメントによれば、外形形状が、一端側から他端側へ滑らかに変化することにより、締固め時に作用する応力の集中する箇所が無いので、破損しにくい。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記他端部は、前記中心軸に対して垂直な断面の形状が四角形であることを特徴とする。
本発明の締固め用アタッチメントによれば、他端部は、中心軸に対して垂直な断面の形状が四角形なので、ある締固め対象箇所を締固めた後に隣接する締固め対象箇所を締固める際に、重なる部分を設けることなく締固めを行うことができる。したがって、効率良く締固め作業を行うことができる。
【0011】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、鍛造で製作されることを特徴とする。
本発明の締固め用アタッチメントによれば、鍛造で製作することにより、鋳造等の他の方法に比べて鋳巣ができにくく、強度に優れたものをつくることができる。
【0012】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記起振装置に脱着可能であることを特徴とする。
本発明の締固め用アタッチメントによれば、起振装置に脱着可能なので締固め対象箇所の広さ、締固め対象材に応じて最適なものに適宜交換することができる。
【0013】
第6の発明の締固め用アタッチメントは、打撃によって対象物を破砕するブレーカーに脱着可能な締固め用アタッチメントであって、中心軸に関して対称で、当該中心軸に沿って一端側から他端側へ次第に断面積が大きくなるような形状に一体成形されてなり、前記一端側が前記ブレーカーに取り付けられることを特徴とする。
本発明の締固め用アタッチメントによれば、中心軸に関して対称で、その中心軸に沿って一端側から他端側へ次第に断面積が大きくなる形状を有するとともに、一体成形されているので、締固め時に作用する応力の集中する箇所が無く、破損しにくい。
また、ブレーカーに取り付けるので、人が近づけないような箇所を締固めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の締固め用アタッチメントによれば、締固め時に作用する応力が特定の箇所に集中しないので、破損しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明においては、油圧ブレーカーに締固め用アタッチメントを取り付ける場合について説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、ランマー等の起振装置にも取り付けることができる。
【0016】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施形態に係る締固め用アタッチメント1の斜視図及び側面図である。
図1及び図2に示すように、締固め用アタッチメント1は、鉛直方向の中心軸に対して左右対称で、その中心軸に沿って上端側から下端側へ次第に断面積が大きくなるように、例えば、円柱状の金属塊を金型等で圧力を加えて塑性流動させる鍛造方法で、一体成形にて製作される。
【0017】
締固め用アタッチメント1は、一体成形されていて接続部分が無いので、説明の便宜上、締固め用アタッチメント1の上端から中央部付近までの円柱形状の部位をチゼル部2、チゼル部2の下側で傘状の部位を傘部3、傘部3の下側の板状の部位をプレート部4とする。
【0018】
チゼル部2の上部は、後述する油圧ブレーカー5のブラケット6(図7)に挿入されて把持可能となるように径の太さを変えて、段差を有するように形成されている。なお、各段差部分のコーナー部は、R面状に加工され、外形形状が滑らかに変化するようになっている。
【0019】
傘部3は、プレート部4に向かって円錐形状に拡開し、水平方向の断面積が次第に大きくなるように形成される。なお、チゼル部2から傘部3へ、及び傘部3からプレート部4へ等の外形形状が変化する部分は滑らかに変化するようになっている。
【0020】
図3は、図2のA矢視図である。図3に示すように、プレート部4は、締固め対象箇所を効率良く締固めるために水平方向の断面形状が四角形になるように形成されている。また、プレート部4の四隅には、ボルト8を挿通させるための貫通穴4bが設けられている。
【0021】
図4は、締固め用アタッチメント1に、締固め対象箇所を締固めるための押圧板7を取り付けた状態を示す斜視図であり、図5は、図4のB矢視図である。また、図6は、押圧板7の側面図である。
【0022】
図4及び図5に示すように、締固め用アタッチメント1のプレート部4に押圧板7をボルト8及びナット9にて取り付ける。プレート部4よりも大きい押圧板7を取り付けることにより、広い範囲を効率良く締固めることができる。
【0023】
図6に示すように、押圧板7には、プレート部4の四隅に対応する位置にボルト8を挿通させるための貫通穴7bが設けられ、その貫通穴7bの下部にはざぐり穴7cが設けられている。そして、ボルト8を押圧板7の下側から、その頭部がざぐり穴7cに収容されるように貫通穴7bに挿通させるとともに、プレート部4の貫通穴4bにも挿通させて、プレート部4より上側に突出したねじ部にナット9を螺合することにより押圧板7をプレート部4に取り付ける。このように、ざぐり穴7cが設けられることで、押圧板7の下面7aからボルト8の頭部が突出するのを防止できる。
【0024】
図7は、締固め用アタッチメント1を油圧ブレーカー5のブラケット6に取り付けて、締固め対象箇所11を締固めている状態を示す図である。
図7に示すように、油圧ブレーカー5のブラケット6に締固め用アタッチメント1を取り付けて、締固め用アタッチメント1に接続されている押圧板7を締固め対象箇所11に押し当てた状態で、油圧ブレーカー5内のシリンダ(図示しない)のピストンを上下させて締固め用アタッチメント1の上端を連続して叩くことにより締固め用アタッチメント1を振動させて、締固め対象箇所11を締固める。このとき、ボルト8の頭部は押圧板7内に内包されていて下面7aより下方に突出していないので、締固め対象箇所11にボルト8の形状は残らない。
【0025】
上述したように、本実施形態の締固め用アタッチメント1は、一体成形されていて、かつ、外形形状は、上端から下端へ滑らかに変化しているので、応力の集中する箇所が無く、破損しにくい。
【0026】
また、プレート部4の下面4aは四角形なので、ある締固め対象箇所11を締固めた後に隣接する締固め対象箇所11を締固める際に、重なる部分を設けることなく締固めを行うことができる。したがって、効率良く締固め作業を行うことができる。
【0027】
さらに、締固め用アタッチメント1は、鍛造方法により製作するので、金属の組織が緻密になり、鋳造等の他の方法に比べて鋳巣ができにくく、強度に優れている。
【0028】
また、締固め用アタッチメント1は、油圧ブレーカー5のブラケット6に脱着可能なので締固め対象箇所11の広さ、締固め対象材に応じて適宜交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る締固め用アタッチメントの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る締固め用アタッチメントの側面図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】締固め用アタッチメントに、締固め対象箇所を締固めるための押圧板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図4のB矢視図である。
【図6】押圧板の側面図である。
【図7】締固め用アタッチメントを油圧ブレーカーのブラケットに取り付けて、締固め対象箇所を締固めている状態を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 締固め用アタッチメント
2 チゼル部
3 傘部
4 プレート部
4a プレート部の下面
4b 貫通穴
5 油圧ブレーカー
6 ブラケット
7 押圧板
7a 押圧板の下面
7b 貫通穴
7c ざぐり穴
8 ボルト
9 ナット
11 締固め対象箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起振装置に取り付けられ、前記起振装置による振動を締固め対象箇所に伝達して当該対象箇所を締固めるための締固め用アタッチメントであって、
中心軸に関して対称で、当該中心軸に沿って一端側から他端側へ次第に断面積が大きくなるような形状に一体成形されてなり、前記一端側が前記起振装置に取り付けられることを特徴とする締固め用アタッチメント。
【請求項2】
前記一端側から前記他端側へ滑らかに変化する外形形状を有することを特徴とする請求項1に記載の締固め用アタッチメント。
【請求項3】
前記他端部は、前記中心軸に対して垂直な断面の形状が四角形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の締固め用アタッチメント。
【請求項4】
鍛造で製作されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の締固め用アタッチメント。
【請求項5】
前記起振装置に脱着可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の締固め用アタッチメント。
【請求項6】
打撃によって対象物を破砕するブレーカーに脱着可能な締固め用アタッチメントであって、
中心軸に関して対称で、当該中心軸に沿って一端側から他端側へ次第に断面積が大きくなるような形状に一体成形されてなり、前記一端側が前記ブレーカーに取り付けられることを特徴とする締固め用アタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−138441(P2009−138441A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316403(P2007−316403)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】